特許第6343321号(P6343321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343321
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】股部を有する女性用下着
(51)【国際特許分類】
   A41B 9/04 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
   A41B9/04 C
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-211363(P2016-211363)
(22)【出願日】2016年10月28日
(62)【分割の表示】特願2012-160268(P2012-160268)の分割
【原出願日】2012年7月19日
(65)【公開番号】特開2017-20160(P2017-20160A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2016年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107478
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 薫
(72)【発明者】
【氏名】上田 琴美
(72)【発明者】
【氏名】平野 昌一
(72)【発明者】
【氏名】柳井 里予
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−091935(JP,A)
【文献】 実開昭52−087097(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3071257(JP,U)
【文献】 特開2002−020949(JP,A)
【文献】 実開昭61−168103(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3110272(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 9/00− 9/16
A41B13/00−17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身生地と股部片とを備える股部を有する女性用下着であって、
前記股部片が、セルロース分子がカルボキシル基構造を有する構造に改質されたセルロース系繊維を含み、
前記セルロース系繊維を含む股部片が、パイル構造を有する編生地からなり、
前記パイル構造が弧状の渡し糸等よりも高く安定した起立状態の立体構造となる半ツイスト状のループを形成しており、
前記股部片は、前記身生地の股部に相当する部位の肌側に重畳され、股部片の少なくとも外縁の一部が縫着又は接着された接合構造を有することを特徴とする股部を有する女性用下着。
【請求項2】
該編生地の肌側面のほぼ全面に、前記パイル構造を有することを特徴とする請求項1に記載の股部を有する女性用下着。
【請求項3】
セルロース分子がカルボキシル基構造を有する構造に改質されたセルロース系繊維が、パイル構造をなす紡績糸に含まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の股部を有する女性用下着。
【請求項4】
パイル構造を有する編生地が、JIS L 1099(A−1法)における透湿度400g/m・h以上であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の股部を有する女性用下着。
【請求項5】
接合構造が、股部片の縫着または接着される外縁のうち、着用時の内股側の稜線では縫着又は接着されておらず、前身側及び後身側の稜線が縫着又は接着されている構造であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の股部を有する女性用下着。
【請求項6】
パイル構造が、複数の直線列に並んだ、ループパイル構造を有し、該複数の直線列が、着用時における身体の前後方向に列が伸びていることを特徴とする請求項3から5の何れかに記載の股部を有する女性用下着。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、股部を有する女性用下着に関し、特に、着用時に、尿やおりもの等の分泌物に基づく、臭いによる不快感や、肌接触による不快感を与えないようにした股部を有する女性用下着に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、女性の社会進出が進む一方で、女性の生理現象への理解や、月経、妊娠、出産、授乳等、女性特有の課題に対応する社会の配慮は十分とはいえず、他人に相談できず悩みを持つ女性も少なくないのが現状である。そうした社会背景の中、女性用下着の高機能化ニーズは高まっており、近年では特に、日常使いできるデイリーショーツにおいても、分泌物に基づく不快感への対応要望が高まってきている。
【0003】
20〜40代の女性を対象としたアンケート調査の結果、およそ85%の女性が「おりもの」について「気になることがある」と回答しており、特ににおいや、女性のリケートな部分への不快な触感を軽減することが求められている。
【0004】
一方、元来下着用素材としては一般的であった綿素材が、化合繊の発展と市場への浸透によりその使用量を減らしてきていたが、敏感肌やアレルギー対策、さらにはより高度なスキンケアへの要望の高まりから、再び綿素材への嗜好回帰の傾向が見られるようになっている。これと同時に、生体への高い親和性や生分解性という安心感からレーヨン等の再生セルロース繊維も含めたセルロース繊維素材への嗜好回帰トレンドが強まっている。
【0005】
従来、日頃着用でき、かつ、生理や尿失禁やおりものが多いなど緊急のときにパッドをショーツのクロッチ部に着脱可能とし、咄嗟に応急処置ができるようにすることを課題として、親水部を有するパッドを表面に着脱可能に装着できる前身頃と、後身頃と、前記前身頃と前記後身頃との間に位置し、前記パッドを着脱可能に装着できるクロッチ部とを備える女性用ショーツが知られている。(特許文献1参照)
【0006】
しかしながら、あくまでもパッドを用いて分泌物への処置を行うことを目的とするものであり、月経における出血時以外でもパッドをあらかじめ準備しておき、分泌物を予測して気にしながら着脱しなければならない煩わしさからは開放されない上、ショーツ単体では尿失禁やおりものが多い場合には対処できず、臭いや不快な感触を負わなければならないという問題があった。また、パッドを用いる場合には蒸れによる不快感が強く、かぶれやかゆみの問題も生じやすかった。
【0007】
また、ショーツのような股部構造を有する女性用下着に関して、着用によってクロッチ部に付着する種々の汚れに基づくかゆみや湿疹や臭いや不快感を解消することを目的として、股部構造を有し、クロッチ部の少なくとも一部が、麻または笹を含む和紙からなる糸を少なくとも一部に用いてなる、カバーファクターが10〜30の編物またはカバーファクターが400〜1400の織物から選択される布帛から構成され、該布帛の片面の少なくとも一部が肌側に露出された衣料が知られている。(特許文献2参照)
【0008】
しかしながら、繰り返し洗濯による抗菌や消臭の性能低下は依然改良が求められており、膣分泌粘液が多い場合の処理や皮膚への不快な接触を軽減することについてはほとんど対応できていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−155740号公報
【特許文献2】特開2011−231411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、股部を有する女性用下着に関し、特に、着用時に、尿やおりもの等の分泌物に基づく、臭いによる不快感や、肌接触による不快感を与えないようにした股部を有する女性用下着を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は以下の股部を有する女性用下着を提供する。
【0012】
項1.身生地と股部片とを備える股部を有する女性用下着であって、前記股部片が、セルロース分子がカルボキシル基構造を有する構造に改質されたセルロース系繊維を含み、前記セルロース系繊維を含む股部片が、パイル構造を有する編生地からなり、前記パイル構造が弧状の渡し糸等よりも高く安定した起立状態の立体構造となる半ツイスト状のループを形成しており、前記股部片は、前記身生地の股部に相当する部位の肌側に重畳され、股部片の少なくとも外縁の一部が縫着又は接着された接合構造を有することを特徴とする股部を有する女性用下着。
【0013】
項2.該編生地の肌側面のほぼ全面に、前記パイル構造を有することを特徴とする請求項1に記載の股部を有する女性用下着。
項3.セルロース分子がカルボキシル基構造を有する構造に改質されたセルロース系繊維が、パイル構造をなす紡績糸に含まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の股部を有する女性用下着。
【0014】
項4.パイル構造を有する編生地が、JIS L 1099(A−1法)における透湿度400g/m・h以上であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の股部を有する女性用下着。
【0015】
項5.接合構造が、股部片の縫着または接着される外縁のうち、着用時の内股側の稜線では縫着又は接着されておらず、前身側及び後身側の稜線が縫着又は接着されている構造であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の股部を有する女性用下着。
【0016】
項6.パイル構造が、複数の直線列に並んだ、ループパイル構造を有し、該複数の直線列が、着用時における身体の前後方向に列が伸びていることを特徴とする請求項3から5の何れかに記載の股部を有する女性用下着。
【発明の効果】
【0017】
本発明の股部を有する女性用下着は、股部片が、分子中にCOO基を有するセルロース系繊維を含み、前記セルロース系繊維を含む股部片がパイル構造を有する編生地からなり、前記股部片は、前記身生地の股部に相当する肌側に重畳されて、股部片の少なくとも外縁の一部が縫着又は接着されている。これにより、着用時に、尿やおりもの等の分泌物に基づく、臭いによる不快感を軽減し、膣分泌粘液の肌接触による不快感が軽減される。
【0018】
また、股部片の肌側ほぼ全面に突出させたパイルを有することで、膣分泌粘液の肌への接触を低減させながら液を保持することができ、快適性を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は本発明による股部を有する女性用下着の一例を示す説明図、(b)は本発明の股部を有する女性用下着に用いられる股部片の一例を示す説明図、(c)は本発明における女性用下着の股部断面構造の一例(模式図)である。
図2】パイル編組織の一例であり、2本の糸を用いた天竺編組織において一方の糸のみがパイルとして突出する模式図である。
図3】本発明による股部を有する女性用下着の股部片におけるパイル構造の例について、股部片断面模式図(a)と、図示方向で撮影した拡大写真(b)(c)である。
図4】本発明による股部を有する女性用下着の股部片におけるパイル構造の例について、パイル高さを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明による股部を有する女性用下着を説明する。
【0021】
本発明の股部を有する女性用下着は、股部片が、セルロース分子がカルボキシル基構造を有する構造に改質されたセルロース系繊維を含んでいる。
これにより、酸性の悪臭物質と塩基性の悪臭物質との両方に基づく臭いを低減させることができる。
【0022】
一般的に膣分泌粘液は、汗、皮脂、外陰部にあるバルトリン腺とスキーン腺からの分泌液、子宮内膜と卵管からの液体、頸管粘液、剥離した細胞、膣壁自身からの分泌液等、多くの体液の混合物であり、ピリジン、スクアレン、尿素、酢酸(エタン酸)、酪酸(ブタン酸)、コレステロール等の複合アルコール、グリコール、ケトン、アルデヒド等を含んでいる。また、個人差はあるものの、前記以外の脂肪酸として、プロピオン酸(プロパン酸)、イソ吉草酸(ペンタン酸)等の短鎖脂肪酸を含み、前記した酢酸、酪酸等を含むこれらの短鎖脂肪酸成分は鼻にツンとくる性質の臭いであることから、尿等に起因するアンモニア臭とともに女性が気にするところの臭いの一因と考えられる。
【0023】
本発明においては、股部片を構成するセルロース系繊維が、改質されてCOO基構造を有するため、自然界において多く存在しているNa(ナトリウム)イオンやH(水素)イオンに起因して、改質されたセルロース系繊維のCOO基構造を、いわばCOONaとCOOHの両方の形で有している。また、洗濯が行われるたびに、主には洗剤中のアルカリ剤に起因するNaが繰り返し供給され、また、水中に多く存在するHも繰り返し供給されることによって、酸性の悪臭物質と塩基性の悪臭物質との両方に基づく臭いを低減させる効果は繰り返しの洗濯によっても持続するのである。
改質されたセルロース分子中のCOONaの構造は酸性の悪臭物質の無臭化に寄与する。
【0024】
その作用機構は明らかではないが、改質されたセルロースのカルボン酸構造が、主な酸性悪臭物質の酸よりも弱い酸であるので、酸性悪臭物質の酸、たとえば酢酸を例にとると、改質されたセルロースのカルボン酸構造に比べて比較的強酸と見なされるCHCOOH(悪臭物質)の構造が、CHCOONa(無臭)としてイオン交換するほうがより安定するからと考えられる。
【0025】
また、改質されたセルロース分子中のCOOHの構造は塩基性の悪臭物質の無臭化に寄与する。その作用機構は明らかではないが、たとえばアンモニア(NH)を例にとると、改質されたセルロースのCOOHがNH(悪臭物質)を捕捉して−COONH(無臭)とされるからと考えられる。
【0026】
また、膣の脂肪酸は常在菌の代謝過程からくるものであって、膣分泌粘液中にはこれら常在菌、つまり乳酸菌、連鎖球菌、ブドウ球菌等自体も含んでいる。これら常在菌は、病原性微生物の繁殖を抑制する働きをする。生成する酸性悪臭物質を処理しつつ、これら有益な常在菌を股部片のうちに保持することで女性のデリケートな部位周辺の悪玉細菌を低減させることにも寄与する。
本発明の股部を有する女性用下着は、上記股部片が、パイル構造を有する編生地からなっている。
【0027】
これにより、膣からの分泌粘液をパイル構造内に内包して保持し、続いて拡散させることができ、肌面での不快な接触感を軽減することができる。また、編生地であることにより、着用者は両脚を前後左右に窮屈感なく動作させることが可能であり、同時に女性のデリケートな部分への適度なフィット感も保つことができる。
【0028】
本発明の股部を有する女性用下着は、前記パイル構造を有する編生地が、該編生地の肌側面のほぼ全面に、該生地面から突出する方向にパイルを有することができる。
【0029】
これにより、膣からの分泌粘液をパイル構造内にすばやく取り込んで保持し、続いて生地面方向に拡散させることができ、肌面での不快感を軽減することができる。股部片生地面内への液拡散、繊維糸内部への液拡散をともなって、スペーサー効果とも呼ぶべき、パイル構造による、肌面と、液面とを分離するような作用によるものと考えられる。
【0030】
また、上記パイル構造はループパイルとすることができる。ループパイルであることによって、パイルの立体構造が安定しやすくなる。ループパイルはループを形成する糸のトルクにより図3図4に見られるような半ツイスト状のループを形成するため、弧状の渡し糸等よりも高い立体構造を得られ、特に起立状態が安定しやすいものと考えられる。
【0031】
本発明において、股部片生地がループパイル構造を有することにより、スクアレンを含む油性汚れの洗濯による除去率は、ループパイル構造を有しない場合に比べて向上する。
【0032】
この作用機構は明らかではないが、本発明における上記パイル構造は、親水性のセルロース繊維表面を有するため、より平面構造を有し、ループパイル構造を有していない生地よりも、生地の表面がおりなす立体構造によって、親水性表面による油性汚れとの斥力を伴った、立体構造に基づく保持により、繊維内部への油性汚れの浸透を妨げているのではないかと推測される。
【0033】
パイルのループ(輪奈)は親水性セルロース構造を有するため、おりものに含まれる疎水性汚れは親水性繊維表面との斥力によりパイルのループ立体構造ひとつひとつの間に保持されやすく、洗濯により容易に除去可能とできると考えられる。おりものに含まれる親水性汚れは親水性繊維がすみやかに吸収するが、洗濯時、親水性繊維はすみやかに繊維内部にまで水を引き込み、親水性汚れを水へ引き渡す役目を果たすことで親水性汚れをも容易に除去可能にしていると思われる。
また、本発明の改質されたセルロース系繊維は、パイル構造をなす繊維構造物中に、紡績糸として含まれていることが好ましい。
【0034】
フィラメント糸に比べて紡績糸であることによって、単繊維の端部を多く有することにより、繊維表面積が大きくなる傾向にあり、パイル構造という大きく入り組んだ立体繊維構造ともあいまって、優れた悪臭物質低減効果を奏することができる。
また、ポリエステルやナイロン、アクリル等の化合繊との混紡による紡績糸も容易に用いることができるメリットもある。
【0035】
たとえば、セルロース系繊維を含む混紡糸中のポリエステルの混率の調整により、ポリエステルを増加させればパイルの立体構造がよりしっかりと保持しやすくできる。これにより前記したスペーサー効果がより期待できる。また、洗濯時の乾燥時間を低減させることができるため、改質されたセルロースに基づく悪臭物質低減効果とあいまって、雨期の部屋干し等、乾燥しにくい洗濯乾燥の環境においても、下着の乾きが悪いときの不快な臭いを軽減させることもできる。逆にポリエステルの混率を減少させれば、肌との生体適合性に優れるセルロース系繊維が多くなることから、化合繊による肌への異常をもたらしたことがあるような敏感肌の着用者にも適合しやすくなる。
【0036】
ポリエステルの混紡による前記したような効果を望む場合には、セルロース系繊維を含む混紡糸中のポリエステルの混率の好ましい下限として5%、好ましい上限として65%が例示できる。5%より少ないと、ポリエステルの混用効果は期待できず、コスト的に無駄となりやすい。65%より多いと、改質されたセルロース系繊維に基づく悪臭低減効果が期待できなくなる上、洗濯による油性汚れの除去が難しくなる傾向がある。より好ましい下限としては10%、より好ましい上限としては45%である。
【0037】
本発明の女性用下着に用いられる股部片において、パイル層1pと、地組織層1gとの境界については、股部片生地断面の拡大写真の画像解析等の手段により確認することができる。
【0038】
地組織層1gにおいては、地組織層を構成する繊維糸は股部片生地の平面方向に広がりを持って、複数の交差部を有する。一方で、パイル層1pにおいては、単パイル1spが、股部片生地の平面方向においてそれぞれ独立しており、地組織層に単パイル1sp単位で接続している。
【0039】
従って、股部片生地の断面拡大写真において、両表面よりも厚み方向中央側よりに、画像濃淡の境界線を見出すことができる。この境界線と、無作為に選んだ単パイル10個の頂点と、の間の距離を平均した寸法をパイル高さhpと定義することができる。パイル高さはパイルの起立状態により変動することがあるので、パイル高さhpをより正確に求め場合には、スチームによりパイルの起立状態が安定化することを利用して、測定前処理として100℃のスチーマで3分間湿熱処理する前処理を採用するのが望ましい。
【0040】
股部片におけるパイル高さは、好ましい下限が0.2mm、好ましい上限が3mmである。0.2mmよりも低いと膣分泌粘液の肌への接触に基づく不快感が高まる傾向があったり、洗濯による汚れ落ちの程度が低下する傾向があるため好ましくない。3mmよりも高いと着用状態でパイルの起立状態が安定しづらく、かえって膣分泌粘液の肌への接触に基づく不快感が高まることがあり好ましくない。さらに好ましい下限は0.3mm、さらに好ましい上限は2.5mmである。
【0041】
股部片における地組織層とパイル層との糸種使いは同じでも良いし、異ならせても良い。たとえば、図2に示すように地組織層を2種の糸使いで構成し、そのうちの一方の糸のみをパイル層に用いるように構成することができる。地組織層にはパイル層を構成する繊維糸よりも剛性の高い繊維糸を用いることにより、着用者の動作に追従する場合に、編目が極端に拡がり過ぎないよう調整することができる。このようにするため、地組織層にポリエステルやナイロン、アクリル等の化合繊糸を用いることができる。前記した化合繊糸は改質セルロース系繊維糸に比べて疎水性であるため、身生地側へ粘性の分泌液が移行することを防ぎ、液漏れをより効果的に抑制することができる。
【0042】
生地厚みは、例えばダイヤルシックネスゲージ(尾崎製作所社製)等を用いて測定することができる。本発明において、股部片の生地厚みは、好ましい下限が0.9mm、好ましい上限が4mmである。0.9mmよりも薄いと膣分泌粘液を拡散保持させる効果が低下し、液漏れを生じやすくなる傾向があり好ましくない。4mmよりも厚いと股部が蒸れやすくなり、不快感をもたらす傾向があり好ましくない。特に好ましい下限は1.2mm、特に好ましい上限は3mmである。
【0043】
身生地と股部片生地とが重畳配置された部位の生地総厚みは、好ましい下限が1.4mm、好ましい上限が5mmである。1.4mmよりも薄いと液漏れを生じやすくなる傾向があり好ましくない。5mmよりも厚いと股部が蒸れやすくなり、不快感をもたらす傾向があり好ましくない。特に好ましい下限は1.6mm、特に好ましい上限は4.5mmである。
【0044】
本発明において、股部片生地の目付は、好ましい下限が100g/m、好ましい上限が300g/mである。100g/mより小さくなると分泌粘液の保持拡散性能が低下したり、消臭効果が不十分になったりする傾向があるため好ましくない。300g/mより大きくなると肌あたりの感触が硬くなったり、蒸れやすくなるため、不快感をもたらす傾向があり、好ましくない。より好ましい下限は150g/mである。
【0045】
本発明において、股部片の透湿度(JIS L 1099 A−1法)は、好ましい下限が400g/m・hである。400g/m・h以上とすることで、蒸れによる不快感を低減でき、洗濯後の乾燥も早く雑菌も繁殖しにくくなり、股部片生地をより清潔に保つことができる。より好ましい下限は415g/m・h、特に好ましい下限は420g/m・hである。
【0046】
本発明において、股部片は、身生地の股部に相当する部位の肌側に重畳されて、股部片の少なくとも外縁の一部が縫着又は接着された接合構造を有する。
【0047】
身生地に対する股部片の縫着又は接着方法は公知の方法を採用でき、繊維糸による縫着手段や、ホットメルト接着剤やその他の接着剤による接着手段によって、接合することができる。前記縫着又は接着を行う部位については、股部片の外縁全周でもよいし、外縁の一部でもよい。
【0048】
特に股部片の縫着または接着される外縁のうち、着用時の内股側の稜線では縫着又は接着されておらず、前身側及び後身側の稜線が縫着又は接着されている構造が好ましい。
【0049】
前記のような構造とすることにより、洗濯による汚れ落ち効果が高くなる傾向があり、高い消臭効果が持続する傾向がある。また、縫着又は接着部は、他の部位に比べて膣分泌粘液の保持拡散や、スペーサー効果が劣る傾向があるので、縫着又は接着部を最小限にとどめ、性能を最大限発揮することにも寄与できる。身生地と縫着又は接着されない股部片外縁は、適宜公知のほつれ止め処置を行なうことができる。
【0050】
本発明において、股部片生地のパイル構造が、複数の直線列に並んだ、ループパイル構造を有し、該複数の直線列が、着用時における身体の前後方向に列が伸びている構造をとることができる。ここで、複数の直線列に並ぶという意味は、単パイル相互間の空隙があたかも連通する溝のように平行して並ぶことを示している。このパイル間の空隙がなす平行して並ぶ溝構造が、着用状態での前後方向に直線的に伸びていることにより、膣分泌粘液を前後方向に効率的に分配することができる。また、股部片が編生地であることにより、織生地に比較して自然な動作で溝構造がポンプのように伸縮動作可能であり、よりすばやく前後方向への液分散を行なうことができる。また、女性用下着の脚ぐり開口部の端縁の接線方向に液分配できることにより、分泌液を脚ぐり開口部から漏らすことをより効果的に防ぐことができる。
【0051】
単パイル相互間の左右方向ピッチは、好ましい下限が0.3mmであり、好ましい上限が2mmである。0.3mmより小さくなると分泌粘液の拡散効果が低下する傾向があり好ましくない。2mmより大きくなると分泌粘液が肌に接触しやすくなる傾向があり好ましくない。より好ましい下限は0.4mmであり、より好ましい上限は1.5mmである。単パイル相互間の前後方向ピッチは、好ましい下限が0.2mmであり、好ましい上限が1.5mmである。0.2mmより小さくなると分泌粘液の拡散効果が低下する傾向があり好ましくない。1.5mmより大きくなると分泌粘液が肌に接触しやすくなる傾向があり好ましくない。より好ましい下限は0.3mmであり、より好ましい上限は1.4mmである。ここで前後方向、左右方向とは図1に示す方向である。
【0052】
本発明において、股部片生地に用いられるセルロース系繊維に関して、セルロース分子がカルボキシル基構造を有する構造に改質されたセルロース系繊維とする方法は公知の方法が採用できる。たとえばセルロース分子にビニル化合物をグラフト共重合する方法、セルロース分子をカルボキシアルキル化する方法、N−オキシル化合物等の触媒を用いてセルロース分子中の水酸基を酸化を進行させてカルボキシル基とする方法、等が例示できる。セルロース系繊維原糸や原綿の状態で前記したような改質を行なっても良く、紡績糸、加工糸の状態で改質を行なっても良い。もちろん織編物等の繊維構造物化してから改質処理を行なっても差し支えない。好ましいのは、より高い改質効果が期待できる点で、織編
物化した後に、改質処理する方法である。
【0053】
COO基の含有有無は公知の分析方法により定性確認できるし、COO基の量は、全COO基をCOOH基とし、水酸化ナトリウム水溶液(0.1N)に浸漬して全COOH基をCOONa基に置換した後、その置換に使用されたNaを定量することにより求めることができる。置換に使用されたNa量は、股部片生地を浸漬した水酸化ナトリウム水溶液(0.1N)を、例えば、塩酸(0.1N)を使用して滴定することにより、定量することができる。
【0054】
本発明において、股部片生地の吸湿率は、好ましい下限が5%であり、好ましい上限が20%である。5%よりも低いと分泌粘液の保持性能が十分に発揮できなかったり、洗濯による汚れ落ちがしにくくなる傾向があり好ましくない。20%を超えると洗濯後の乾燥に時間がかかりすぎたり、股部片生地を清潔に保てなくなる傾向があり好ましくない。
本発明において、股部片生地の吸湿率は、下記式(1)により求めることができる。
吸湿率(%)=〔(公定重量)÷(絶乾重量)−1〕×100 (1)
【0055】
上記式(1)において、絶乾重量は、例えば、股部片生地小片を秤量ビンに入れて105℃で2時間乾燥させた後に秤量し、予め秤量しておいた秤量ビンの重量を差し引くことにより算出することができる。また、公定重量は、例えば、秤量ビンに入れて絶乾重量を測定した股部片生地小片を温度20℃、湿度65%RHの雰囲気に24時間放置した後に秤量し、秤量ビンの重量を差し引くことにより算出することができる。絶乾重量及び公定重量の測定には、例えば、10×20cm程度の大きさの生地小片等を使用することができる。秤量は、重量が一定になるまで繰り返し行う。
【0056】
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
【0057】
図2の編組織において、図中白色糸として図示した糸に綿紡績糸42番手を、図中黒色糸として図示した糸に同じく綿紡績糸42番手を用いて、生地片面全体にパイルを有する編生地1A(生地厚み1.6mm、パイル高さ0.7mm)を製造した。さらに、綿セルロース分子をカルボキシメチル化処理する加工(モノクロル酢酸ナトリウム175g/l及び水酸化ナトリウム175〜60g/lの水溶液処理液中に生地を浸漬し、60℃に加熱して1時間処理を行った後、水洗して未反応物を除去)を施し編生地1AT(図4、透湿度(JIS L 1099 A−1法)420g/m・h、吸湿率8.2%)とした。COO基含有の改質綿からなる編生地1ATを股部片として用い、綿糸95%、ポリウレタン糸5%からなるベア天竺編の編生地3を身生地として図1(a)に示すタイプの女性用ショーツを製造した。このとき、編生地1ATを、図1(b)に示す形状で裁断し、パイル面が肌側に配置されるよう図1(c)に示す積層構造で、ショーツの股部裏マチ布として図1(a)のごとく配置し、編生地1ATの周縁部を身生地に縫着した。この時、股部の生地総厚みは2.6mmであった。また、パイル面の単パイル間の左右方向ピッチは0.8mm、前後方向ピッチは0.6mmであり、パイル構造が前後方向に複数の直線列に並ぶよう股部片を配置して縫着した。
(実施例2)
【0058】
図2の編組織において、図中白色糸として図示した糸にCOO基含有の改質綿紡績糸42番手を、図中黒色糸として図示した糸にポリエステルフィラメント84dtex/48fを用いて、生地片面全体にパイルを有する編生地1B(吸湿率7.0%、透湿度(JIS L 1099 A−1法)423g/m・h、生地厚み1.4mm、パイル高さ0.7mm)を製造した。編生地1Bを股部片として用い、実施例1と同じ編生地3を身生地として図1(a)に示すタイプの女性用ショーツを製造した。このとき、編生地1Bを、図1(b)に示す形状で裁断し、パイル面が肌側に配置されるよう図1(c)に示す積層構造で、ショーツの股部裏マチ布として図1(a)のごとく配置し、編生地1Bの周縁部を身生地に縫着した。この時、股部の生地総厚みは2.3mmであった。また、パイル面の単パイル間の左右方向ピッチは0.7mm、前後方向ピッチは0.5mmであり、パイル構造が前後方向に複数の直線列に並ぶよう股部片を配置して縫着した。
(実施例3)
【0059】
図2の編組織において、図中白色糸として図示した糸にCOO基含有の改質綿紡績糸42番手を、図中黒色糸として図示した糸にポリエステルフィラメント84dtex/48fを用いて、生地片面全体にパイルを有する編生地1C(吸湿率7.1%、透湿度(JIS L 1099 A−1法)423g/m・h、生地厚み1.2mm、パイル高さ0.6mm)を製造した。編生地1Cを股部片として用い、実施例1と同じ編生地3を身生地として図1(a)に示すタイプの女性用ショーツを製造した。このとき、編生地1Cを、図1(b)に示す形状で裁断し、パイル面が肌側に配置されるよう図1(c)に示す積層構造で、ショーツの股部裏マチ布として図1(a)のごとく配置し、編生地1Cの周縁部を身生地に縫着した。この時、股部の生地総厚みは2.3mmであった。また、パイル面の単パイル間の左右方向ピッチは0.7mm、前後方向ピッチは0.5mmであり、パイル構造が前後方向に複数の直線列に並ぶよう股部片を配置して縫着した。
(実施例4)
【0060】
図2の編組織において、図中白色糸として図示した糸にCOO基含有の改質綿70%とポリエステル30%からなる混紡紡績糸42番手を、図中黒色糸として図示した糸にポリエステルフィラメント84dtex/48fを用いて、生地片面全体にパイルを有する編生地1D(吸湿率6.7%、透湿度(JIS L 1099 A−1法)428g/m・h、生地厚み1.5mm、パイル高さ0.8mm、綿55%:ポリエステル45%)を製造した。編生地1Dを股部片として用い、実施例1と同じ編生地3を身生地として図1(a)に示すタイプの女性用ショーツを製造した。このとき、編生地1Dを、図1(b)に示す形状で裁断し、パイル面が肌側に配置されるよう図1(c)に示す積層構造で、ショーツの股部裏マチ布として図1(a)のごとく配置し、編生地1Dの周縁部を身生地に縫着した。この時、股部の生地総厚みは2.6mmであった。また、パイル面の単パイル間の左右方向ピッチは0.9mm、前後方向ピッチは0.7mmであり、パイル構造が前後方向に複数の直線列に並ぶよう股部片を配置して縫着した。
(比較例1)
【0061】
図2の編組織において、図中白色糸として図示した糸に綿(未改質)70%とポリエステル30%からなる混紡紡績糸42番手を、図中黒色糸として図示した糸にポリエステルフィラメント84dtex/48fを用いて、生地片面全体にパイルを有する編生地1E(吸湿率4.9%、透湿度(JIS L 1099 A−1法)390g/m・h、生地厚み1.5mm、パイル高さ0.8mm、綿55%:ポリエステル45%)を製造した。
編生地1Eを股部片として用い、実施例1と同じ編生地3を身生地として図1(a)に示すタイプの女性用ショーツを製造した。このとき、編生地1Eを、図1(b)に示す形状で裁断し、パイル面が肌側に配置されるよう図1(c)に示す積層構造で、ショーツの股部裏マチ布として図1(a)のごとく配置し、編生地1Eの周縁部を身生地に縫着した。この時、股部の生地総厚みは2.6mmであった。また、パイル面の単パイル間の左右方向ピッチは0.9mm、前後方向ピッチは0.7mmであり、パイル構造が前後方向に複数の直線列に並ぶよう股部片を配置して縫着した。
(比較例2)
【0062】
図2の編組織において、図中白色糸として図示した糸に綿(未改質)70%とポリエステル30%からなる混紡紡績糸42番手を、図中黒色糸として図示した糸にポリエステルフィラメント84dtex/48fを用いて、生地片面全体にパイルを有する編生地1F(生地厚み1.5mm、パイル高さ0.8mm)を製造した。編生地1FにSR加工を施し編生地1FT(透湿度(JIS L 1099 A−1法)398g/m・h、吸湿率5.9%)を得た。ここでSR加工は、生地を親水性ポリエステル系のSR加工剤(ナイスポールPR−99、日華化学社製)3%owfにNKアシストNY(日華化学社製)を1%owfを添加した処理液に浸漬させた後、パッダ−を用いて絞り率100%で絞り、次いで、100℃で3分間乾燥した後、180℃で30秒間加熱した。この編生地1FTを股部片として用い、実施例1と同じ編生地3を身生地として図1(a)に示すタイプの女性用ショーツを製造した。このとき、編生地1FTを、図1(b)に示す形状で裁断し、パイル面が肌側に配置されるよう図1(c)に示す積層構造で、ショーツの股部裏マチ布として図1(a)のごとく配置し、編生地1FTの周縁部を身生地に縫着した。この時、股部の生地総厚みは2.6mmであった。また、パイル面の単パイル間の左右方向ピッチは0.9mm、前後方向ピッチは0.7mmであり、パイル構造が前後方向に複数の直線列に並ぶよう股部片を配置して縫着した。
(比較例3)
【0063】
綿(未改質)42番手の糸を用いて、フライス編組織の編生地1G(生地厚み1.1mm)を製造した。さらに、綿セルロース分子をカルボキシメチル化処理する加工(モノクロル酢酸ナトリウム175g/l及び水酸化ナトリウム175〜60g/lの水溶液処理液中に生地を浸漬し、60℃に加熱して1時間処理を行った後、水洗して未反応物を除去)を施し編生地1GT(透湿度(JIS L 1099 A−1法)430g/m・h、吸湿率8.2%)とした。編生地1GTを股部片として用い、実施例1と同じ編生地3を身生地として図1(a)に示すタイプの女性用ショーツを製造した。このとき、パイル構造を有していない編生地1GTを、図1(b)に示す形状で裁断し、ショーツの股部裏マチ布として
図1(a)のごとく配置し、編生地1GTの周縁部を身生地に縫着した。この時、股部の生地総厚みは2.2mmであった。
(評価)
【0064】
実施例1〜4、比較例1〜3について以下のように汚れ落ち評価、消臭試験、着用評価を行った。結果を表1に示す。
(汚れ落ち評価)人工汚れの洗濯後残留率評価
【0065】
股部片生地試験布にスクアレン1%owf、オレイン酸10%owf、ゼラチン2.5%owfを付着させた後、通常の家庭用洗濯機を用いて、洗剤(花王社製、アタック)を0.67g/Lの濃度となるように加え洗濯を行った。洗濯後の各試験布を天日乾燥した後、試験布上に残存するオレイン酸をメタノールで抽出し、ガスクロマトグラフによりオレイン酸の残留量を測定し、オレイン酸残留率(%)を求めた。数値が小さいほど汚れ落ちが良いことを示す。
(消臭試験)
【0066】
500mL(実容積625mL)の三角フラスコにマグネチィックスターラーバーを入れ、股部片生地を4cm×5cmに切り取った試験布に糸をつけ、糸の端を三角フラスコの外側にセロハンテープで止めることにより、試験布を三角フラスコ内に吊り下げた。次いで、アンモニア消臭の場合には2%アンモニア溶液を、酢酸消臭の場合には3%酢酸溶液をそれぞれマイクロピペットで5μL、三角フラスコの内側壁に垂らした。2重のラップで覆ったシリコン栓ですばやく三角フラスコを密栓し、更にそのラップを3重にした輪ゴムで密栓した。その後、マグネチィックスターラーで攪拌しながら20℃、120分間放置した。120分放置した後、ラップがはがれないようにしてシリコン栓を拔き、測定用シリコン栓付検知管(ガステック社製、No.3La/アンモニア用:ガステック社製、No.81/酢酸用)を用いて三角フラスコ内のガス濃度を測定した。同様の試験を、試験布を三角フラスコ内に吊り下げない状態で行い、これをブランク測定値とした。下記式(2)を用いて洗濯していない試験布(新品)と、家庭用洗濯洗剤を用いて30回繰り返し洗濯を行った後の試験布(洗濯30回後)について消臭率(%)を求め、下記の基準により評価した。
消臭率(%)=〔(ブランク測定値−試験布測定値)/ブランク測定値〕×100 (2)
◎:消臭率90%以上
○:消臭率80%以上90%未満
△:消臭率50%以上80%未満
×:消臭率50%未満
(着用評価)
【0067】
普段おりもの用パッドを使用している20〜40代女性に、生理周期において排卵期にあたる時期を選び実施例1〜4及び比較例1〜3の女性用ショーツをおりもの用パッドなしで着用させ、着用感アンケートをとった。1つのショーツあたり被験者3名があたるようにし、特に局部の着用触感について不快感の有無について評価を行い、1つのショーツあたりの評価は次の3段階評価とした。
○:3名いずれも不快感なし
△:1名のみ不快感あり
×:2名〜3名が不快感あり
【0068】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明によれば、着用時に、尿やおりもの等の分泌物に基づく、臭いによる不快感や、肌接触による不快感を与えないようにした股部を有する女性用下着を提供することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 :股部片
1sp:単パイル
1p :パイル層
1g :地組織層
2 :身生地の股部に相当する部位
3 :身生地
4 :股部を有する女性用下着
図1
図2
図3
図4