(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2方向で隣り合う前記コネクタ受体は、前記第2方向に対する前記第1方向の傾斜角度が互いに等しくなっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコネクタパネル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したコネクタパネルにおいて、機器側光ファイバと導入側光ファイバとの間で所望の光学特性を得るためには、コネクタ受体に光コネクタが正常に装着されている必要がある。光コネクタとコネクタ受体との装着状態を確認するための構成として、光コネクタ(例えば、ハウジング)に、マーク部が配設されたものがある。この種の光コネクタでは、コネクタ受体の正常装着状態において、マーク部がコネクタ受体内に進入することで、マーク部がコネクタ受体によって視認不能に覆われる。これにより、光コネクタが正常装着状態であることを判断できる。一方、マーク部が視認できた場合には、コネクタ受体への光コネクタの差し込みが浅く、光コネクタが装着不良(いわゆる、半挿し状態)であることを判断できる。
【0005】
ところで、近時では、光通信装置のデータ通信量の増加等により、光ファイバの本数が増加傾向にある。そのため、コネクタパネルにおいて、コネクタ受体の高密度化が求められている。
しかしながら、コネクタ受体の高密度化を図ると、コネクタ受体の配列ピッチが狭くなるとともに、コネクタパネルの周辺に複数の光コネクタや光ファイバ等が存在することになる。この場合、光コネクタの装着状態を目視によって確認することが難しくなる。具体的に、マーク部の向きがコネクタ受体の配列方向に一致している場合には、マーク部を確認する際に、視線方向の奥側に位置する光コネクタが、視線方向の手前側に位置する光コネクタに覆われて見えなくなるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、コネクタ受体の高密度化を図る場合であっても、光コネクタとコネクタ受体との接続状態を容易に判断でき、所望の光学特性を得ることができるコネクタパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係るコネクタパネルは、光コネクタの装着されるコネクタ受体を配列する配列面を有するベース部材と、前記光コネクタの装着状態を判断するためのマーク部が形成されるとともに、前記マーク部が前記配列面内における第1方向の所定の向きとなるように配置される複数の前記コネクタ受体と、を備え、前記複数のコネクタ受体は、前記配列面内おける前記第1方向から傾斜させた第2方向にそれぞれの中心軸が並ぶように配列される。
本態様によれば、複数のコネクタ受体が第1方向に対して傾斜した第2方向にそれぞれの中心軸が並ぶように配列されるので、マーク部の向き(第1方向の所定の向き)と中心軸の並ぶ方向(第2方向)とを一致させてコネクタ受体を配列する場合に比べて、マーク部を確認し易くなる。そのため、第1方向の所定の向きからコネクタ受体と光コネクタとの接続部分を見たとき、マーク部に基づいて光コネクタの装着状態を判断できる。
その結果、コネクタ受体の高密度化を図る場合であっても、光コネクタの装着状態を容易に判断でき、所望の光学特性を得ることができる。
【0008】
本発明の一態様に係るコネクタパネルは、光コネクタの装着されるコネクタ受体を配列する配列面を有するベース部材と、前記光コネクタに形成された前記光コネクタの装着状態を判断するためのマーク部が、前記配列面内における第1方向の所定の向きとなるように装着される複数の前記コネクタ受体と、を備え、前記複数のコネクタ受体は、前記配列面内おける前記第1方向から傾斜させた第2方向にそれぞれの中心軸が並ぶように配列される。
本態様によれば、複数のコネクタ受体が第1方向に対して傾斜した第2方向にそれぞれの中心軸が並ぶように配列されるので、マーク部の向き(第1方向の所定の向き)と中心軸の並ぶ方向(第2方向)とを一致するように光コネクタがコネクタ受体に装着される場合に比べて、マーク部を確認し易くなる。そのため、第1方向の所定の向きからコネクタ受体と光コネクタとの接続部分を見たとき、マーク部に基づいて光コネクタの装着状態を判断できる。
その結果、コネクタ受体の高密度化を図る場合であっても、光コネクタの装着状態を容易に判断でき、所望の光学特性を得ることができる。
【0009】
上記態様に係るコネクタパネルにおいて、前記第2方向で隣り合う前記コネクタ受体は、前記第2方向に対する前記第1方向の傾斜角度が互いに等しくなっていてもよい。
本態様によれば、第2方向で隣り合う各コネクタ受体の間に形成されるデッドスペースを縮小できるので、コネクタパネルにおいて第1方向でのコネクタ受体の配列個数を向上させることができる。その結果、コネクタ受体の更なる高密度化を図ることができる。
【0010】
上記態様に係るコネクタパネルにおいて、前記第2方向で隣り合う前記コネクタ受体は、互いに接触した状態で配列されていてもよい。
本態様によれば、コネクタパネルにおいて第2方向でのコネクタ受体の配列個数を向上させることができ、コネクタ受体の更なる高密度化を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様に係るコネクタパネルによれば、コネクタ受体の高密度化を図る場合であっても、光コネクタとコネクタ受体との接続状態を容易に判断でき、所望の光学特性を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
図1は、コネクタパネル1を斜め前方から見た斜視図である。
図2は、コネクタパネル1を前方から見た正面図である。なお、以下の説明では、便宜上、図中における矢印FRを前方とし、矢印LHを左方とし、矢印UPを上方として説明する。
図1、
図2に示すように、本実施形態のコネクタパネル1は、例えば光通信装置(不図示)における中継機器5に設けられる。なお、中継機器5としては、例えば光アダプタパネルや光接続箱、光成端箱、光スプライスボックス、PD(Premise Distribution)盤、光モジュールユニット、光コネクタモジュール等が挙げられる。
【0014】
コネクタパネル1は、ベース部材10と、ベース部材10に固定された複数のコネクタ受体11と、を主に有している。
ベース部材10は、前後方向を厚さ方向とする板状に形成されている。ベース部材10は、中継機器5における例えば前壁を構成している。
【0015】
コネクタ受体11は、ベース部材10の前面(配列面)において、上下方向及び左右方向に複数配列されている。本実施形態において、上下方向に配列されたコネクタ受体11同士は、コネクタ列12を構成している。なお、ベース部材10の前面において、各コネクタ列12に対して右側に位置する部分には、識別部13が配設されている。識別部13は、上下方向に延びる帯状部13aに対して左側に、コネクタ番号等が各コネクタ受体11に対応して上下方向に配列されて構成されている。コネクタ列12の列数や、各コネクタ列12における上下方向の配列個数等は、適宜変更が可能である。
【0016】
図1に示すように、各コネクタ受体11は、中継機器5の内部に配索される機器側光ファイバ(不図示)と、中継機器5の外部から中継機器5に導入される導入側光ファイバ15と、をそれぞれ切替可能に接続する。なお、各光ファイバ(例えば、導入側光ファイバ15)には、光ファイバコードが好適に用いられている。すなわち、本実施形態の光ファイバは、光ファイバ心線が樹脂材料等からなる外被に覆われて構成されている。但し、光ファイバは、光ファイバ心線等であっても構わない。
【0017】
導入側光ファイバ15は、先端部(後端部)に光コネクタ21が組み立てられて、光コネクタ21とともにコネクタ付き光ファイバ22を構成している。コネクタ付き光ファイバ22は、光コネクタ21を介してコネクタ受体11に着脱可能に装着される。本実施形態において、コネクタ受体11及び光コネクタ21には、SC形光コネクタ(JIS C 5973に規定されるF04形光コネクタの適合品、或いはIEC 61754‐4(又はIEC 61754‐14)適合品)が用いられている。
【0018】
次に、上述した光コネクタ21について説明する。
光コネクタ21は、導入側光ファイバ15の後端部に固定されたフェルール24がハウジング25に収容されて構成されている。
フェルール24は、導入側光ファイバ15から口出しされた光ファイバ裸線15aに、光ファイバ裸線15aの後端面を露出させた状態で外挿されている。
【0019】
ハウジング25は、フェルール24を保持するプラグフレーム26と、プラグフレーム26に外装されたカップリング27と、を有している。
プラグフレーム26内には、フェルール24を後方に向けて付勢する付勢部材(不図示)が設けられている。上述したフェルール24は、プラグフレーム26の後端面から後方に突出した状態で、プラグフレーム26に保持されている。プラグフレーム26の左右両側面には、係止部28が形成されている。
【0020】
カップリング27は、プラグフレーム26に対して前後方向に移動可能に構成されている。カップリング27の左右両側壁には、上述した係止部28を露出させる露出孔29が形成されている。カップリング27の上面には、上方に向けて突出するキー31が形成されている。キー31は、上方から見た平面視において、例えば前後方向を長手方向とする長方形状に形成されている。
【0021】
また、カップリング27の上面において、キー31よりも後方に位置する部分には、マーク部32が配設されている。すなわち、カップリング27の上面は、マーク部32が配設されたマーク面として機能している。マーク部32は、光コネクタ21の装着状態を判断するためのものである。本実施形態において、マーク部32は、カップリング27の上面の左右両端部において、左右方向に延びる帯状に着色が施されて構成されている。但し、マーク部32は、カップリング27の上面において、左右方向の全体に亘って施されていても構わない。また、マーク部32は、カップリング27の上面以外の面に形成されていても構わない。
【0022】
図1、
図2に示すように、上述したコネクタ受体11は、ベース部材10を前後方向に貫通する取付孔(不図示)に保持されている。コネクタ受体11は、光コネクタアダプタである。但し、コネクタ受体11は、光コネクタレセプタクルであっても構わない。なお、各コネクタ受体11は、何れも同様の構成からなるため、以下の説明では一のコネクタ受体11を例にして説明する。
【0023】
図1に示すように、コネクタ受体11は、アダプタハウジング35を備えている。アダプタハウジング35は、前側アダプタ半体36と後側アダプタ半体37とが前後方向に組み合わされて構成されている。
後側アダプタ半体37は、スリーブ38と、フランジ部39と、を有している。
スリーブ38は、ベース部材10の取付孔を通してベース部材10の後方(中継機器5内)に突出している。スリーブ38には、中継機器5内において、上述した機器側光ファイバが接続されている。
フランジ部39は、スリーブ38の前端部から左右両側に張り出している。フランジ部39は、ベース部材10の前面に当接している。
【0024】
前側アダプタ半体36は、ベース部材10に対して前方に突出している。前側アダプタ半体36は、スリーブ41と、フランジ部42と、を有している。
スリーブ41は、コネクタ収容孔43を有する角筒状に形成されている。具体的に、スリーブ41は、前後方向に延びるとともに、コネクタ収容孔43の寸法が光コネクタ21(ハウジング25)の外形寸法よりも一回り大きくなっている。本実施形態のスリーブ41は、前後方向から見た正面視において、長方形状に形成されている。
【0025】
なお、本実施形態では、スリーブ41の長手方向(上壁41aに沿う方向)を単に長手方向Xといい、スリーブ41の短手方向を単に短手方向Yという場合がある。この場合、コネクタ収容孔43の中心軸Oは、コネクタ収容孔43における長手方向X及び短手方向Yの中心を通り、前後方向に延在している。中心軸Oは、コネクタ受体11に挿入嵌合される光コネクタ21のフェルール24先端面(後端面)の中心を通り、フェルール24内に固定されている導入側光ファイバ15の光軸に平行な直線(以下、「接続中心線」という)に一致している。また、本実施形態において、コネクタ列12の配列方向(第2方向)とは、一のコネクタ列12を構成する各コネクタ受体11の中心軸Oの並ぶ方向(本実施形態では、上下方向(
図2における鎖線T参照))である。
【0026】
上述したスリーブ41(コネクタ収容孔43)内には、上述した光コネクタ21(ハウジング25)が前方から収容される。スリーブ41内には、光コネクタ21の正常装着状態において、上述したプラグフレーム26の係止部28が係止される爪部(不図示)が配設されている。そして、光コネクタ21の正常装着状態において、機器側光ファイバの前端面と導入側光ファイバ15の後端面とがコネクタ受体11内で前後方向に突き合わされる。光コネクタ21の正常装着状態において、カップリング27の上面は、スリーブ41の上壁41aに対向している。この場合、上述したマーク部32は、スリーブ41内に進入して、スリーブ41の上壁41aに上方から覆われる。すなわち、上壁41aは、光コネクタ21の正常装着状態において、光コネクタ21を上方から見た際、マーク部32を視認不能とする。
【0027】
図1に示すように、スリーブ41の上壁41aには、前後方向に延びるキー溝51が形成されている。キー溝51は、スリーブ41の上壁41aを貫通するとともに、スリーブ41の前端面で開口している。キー溝51は、光コネクタ21の正常装着状態において、上述したキー31を内部に収容する。
【0028】
図2に示すように、フランジ部42は、スリーブ41の後端部から左右両側に張り出している。フランジ部42は、上述した後側アダプタ半体37のフランジ部39に前方から重ね合わされている。すなわち、アダプタハウジング35は、各アダプタ半体36,37のフランジ部39,42を前後方向に重ね合わせた状態でベース部材10に固定されている。
【0029】
ここで、コネクタ受体11は、短手方向Yがコネクタ受体11の配列方向(上下方向)に対して傾斜した状態でベース部材10に保持されている。本実施形態において、短手方向Yと上下方向とのなす傾斜角度θは、例えば3.7°〜45°程度に設定されている。
【0030】
そして、上述した一のコネクタ列12を構成する各コネクタ受体11は、短手方向Yが上下方向に対して傾斜した状態でそれぞれベース部材10に保持されている。本実施形態において、各コネクタ受体11の傾斜角度θは、それぞれ等しくなっている。この場合、上下方向で隣り合う各コネクタ受体11のうち、上方に位置するコネクタ受体11(スリーブ41)の下端面と、下方に位置するコネクタ受体11(スリーブ41)の上端面と、は上下方向で互いに当接している。但し、上下方向で隣り合う各コネクタ受体11は、互いに離間していても構わない。
【0031】
前後方向から見た正面視において、各コネクタ収容孔43の中心軸Oは、上下方向に直線状に並んでいる(左右方向で同等の位置に配置されている)。この場合、上下方向で隣り合う各コネクタ受体11同士は、中心軸Oが長手方向Xで互いにずれるように配列されている。したがって、上下方向で隣り合う各コネクタ受体11同士は、スリーブ41の長手方向Xにおける中心線L(中心軸Oを通り短手方向Yに沿って延びる中心線)が長手方向Xの一方にずれるように配列されている。なお、一のコネクタ列12において、各コネクタ受体11の傾斜角度θは、適宜変更が可能である。
【0032】
スリーブ41の長手方向Xにおいて、上下方向で隣り合うコネクタ受体11同士のスリーブ41の中心線L間の距離Pは、例えば0.6mm以上であって(この場合の傾斜角度θは3.7°)、カップリング27上面の幅の半分以下の範囲に設定することが好ましい。特に、距離Pは、2mm以上であることが好ましく、3.1mm以上であることがより好ましい。また、距離Pは、9.4mm以下とすることができる(この場合の傾斜角度θは45°)。なお、左右方向で隣り合うコネクタ列12において、上下方向で対応するコネクタ受体11(スリーブ41)の中心軸O間を結ぶ左右方向の距離は、25mm以上(例えば、33mm程度)に設定されている。
【0033】
このように、本実施形態では、コネクタ受体11の短手方向Yがコネクタ列12の配列方向に対して傾斜して配置されている。そのため、マーク部32の向き(マーク面の法線方向(第1方向))がコネクタ列12の配列方向に対して傾斜した状態で、光コネクタ21がコネクタ受体11に装着される。
この構成によれば、マーク部32が中心線Lに沿う方向(短手方向Y)の一方を向くように、光コネクタ21がコネクタ受体11に装着される。これにより、マーク部32の向きとコネクタ列12の配列方向とが一致するように光コネクタ21がコネクタ受体11に装着される場合に比べて、マーク部32を確認し易くなる。具体的に、
図3に示すように一のコネクタ列12を各コネクタ受体11の短手方向Yの一方から見たとき、光コネクタ21におけるハウジング25の長手方向Xの一方端部が視認可能になっている。そのため、各コネクタ受体11と光コネクタ21との装着状態を目視等により確認する際、光コネクタ21のマーク部32がスリーブ41内に進入しているか否かを確認することができる。すなわち、一のコネクタ列12を短手方向Yの一方から見たとき、マーク部32がスリーブ41の上壁41aによって視認不能に覆われることで、光コネクタ21が正常装着状態であることを判断できる。一方、一のコネクタ列12を短手方向Yの一方から見たとき、マーク部32が視認できた場合(例えば、
図3における光コネクタ21A参照)には、コネクタ受体11への光コネクタ21の差し込みが浅く、光コネクタ21が装着不良であることを判断できる。
その結果、コネクタ受体11の高密度化を図る場合であっても、光コネクタ21の装着状態を容易に判断でき、所望の光学特性を得ることができる。
【0034】
本実施形態では、各コネクタ受体11(スリーブ41)の短手方向Yが上下方向(コネクタ受体11の配列方向)に対して傾斜している構成とした。
この構成によれば、例えば各コネクタ受体11の短手方向Yを上下方向に一致させた状態で、中心軸Oを長手方向X(左右方向)にずらして各コネクタ受体11を配列する構成(コネクタ列12の配列方向が上下方向に対して傾斜する構成)に比べて一のコネクタ列12の左右方向の幅を縮小できる。その結果、コネクタパネル1においてコネクタ受体11の更なる高密度化を図ることができる。
【0035】
本実施形態では、上下方向で隣り合うコネクタ受体11は、上下方向に対する短手方向Yの傾斜角度θが互いに等しくなっている構成とした。
この構成によれば、上下方向で隣り合うコネクタ受体11のうち、上方に位置するコネクタ受体11の下端面が、下方に位置するコネクタ受体11の上端面に倣って配置されることになる。これにより、各コネクタ受体11の間に形成されるデッドスペースを縮小でき、コネクタパネル1において上下方向でのコネクタ受体11の配列個数を向上させることができる。その結果、コネクタ受体11の更なる高密度化を図ることができる。
【0036】
本実施形態では、上下方向で隣り合うコネクタ受体11同士は、上下方向で互いに接触した状態で配列されている構成とした。
この構成によれば、コネクタパネル1において上下方向でのコネクタ受体11の配列個数を向上させることができ、コネクタ受体11の更なる高密度化を図ることができる。
【0037】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態に係るコネクタパネル100を前方から見た正面図である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図4に示すコネクタパネル100において、一のコネクタ列12を構成する各コネクタ受体11は、スリーブ41の短手方向Yを上下方向に一致させた状態で、かつ中心軸Oを左右方向(長手方向X)に互いにずらして配列されている。この場合、コネクタ列12は、下方に位置するコネクタ受体11ほど左右方向の一方側にずれた階段状に配列されている。また、一のコネクタ列12において、各コネクタ受体11の中心軸Oは、上下方向に交差する方向に直線状に並んでいる。したがって、コネクタ列12の配列方向(
図4における鎖線T参照)は、上下方向に対して傾斜している。そして、コネクタ受体11には、光コネクタ21におけるマーク部32の向き(マーク面の法線方向(第1方向))が短手方向Yに一致するように(コネクタ列12の配列方向に対して傾斜するように)光コネクタ21が装着される。
【0038】
本実施形態では、上下方向で隣り合う各コネクタ受体11同士が左右方向にずれて配列されるため、コネクタ列12を直上から見た際であっても、各光コネクタ21の少なくとも一部が視認可能となる。そのため、光コネクタ21の装着状態をより確実に判断できる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述した実施形態では、光コネクタ21の正常装着状態において、光コネクタ21のマーク部32がスリーブ41の上壁41aによって視認不能とされる構成について説明したが、この構成のみに限られない。マーク部は、光コネクタの装着状態を判断できる構成であれば、適宜変更が可能である。例えば、正常装着状態において、スリーブに形成された窓部を通してマーク部が視認できる構成であっても構わない。
上述した実施形態では、コネクタ受体11が配列されるベース部材10の前面(配列面)の面内方向が上下方向及び左右方向である場合について説明したが、この構成のみに限られない。
【0040】
上述した実施形態では、SC形光コネクタが挿入嵌合されるコネクタ受体が複数配列されたコネクタパネルを例にして説明したが、この構成のみに限られない。MPO形光コネクタ(JIS C5982に制定されるF13形光コネクタの適合品、或いはIEC 61754−7適合品)や、MU形光コネクタ(JIS C 5983に規定されるF14形光コネクタの適合品、或いはIEC 61754−6適合品)に本発明の構成を採用することも可能である。なお、SC形光コネクタ、MPO形光コネクタ及びMU形光コネクタがそれぞれ挿入嵌合されるコネクタ受体において、コネクタ収容孔の中心軸Oは、コネクタ受体に挿入嵌合された光コネクタのフェルール先端面の中心を通り、フェルール内に固定されている光ファイバの光軸に平行な直線(以下、接続中心線という)に一致している。
【0041】
LC形光コネクタ(TIA/EIA−604−10適合品、或いはIEC 61754−20)に本発明の構成を採用することも可能である。以下、
図5に基づいてLC形光コネクタについて簡単に説明する。
図5に示すコネクタ受体111は、コネクタ収容孔143を有する角筒状のスリーブ141を備えている。コネクタ収容孔143内には、光コネクタ121が収容される。
【0042】
光コネクタ121は、フェルール124を保持するハウジング125を備えている。フェルール124は、ハウジング125内に設けられた付勢部材(不図示)によって後方に付勢された状態で、かつハウジング125の後端面から後方に突出した状態で、ハウジング125に保持されている。
ハウジング125の後部には、スリーブ141内で係止されるラッチ130が設けられている。一方、ハウジング125の前部には、ラッチ130を操作するためのレバー131が設けられている。そして、本構成では、例えばラッチ130の上面にマーク部132が配設されている。すなわち、ラッチ130の上面は、マーク部132が配設されたマーク面として機能している。マーク部132は、光コネクタ121の正常装着状態において、スリーブ141(コネクタ収容孔143)内に進入することで、光コネクタ121を上方から見た際、スリーブ141の上壁141aによって視認不能とされる。なお、マーク部132は、ハウジング125の上面等に配設されていても構わない。
【0043】
上述したコネクタ収容孔143は、光コネクタ121のハウジング125を収容するハウジング収容部143aと、ラッチ130を収容するラッチ収容部143bと、を有している。なお、ハウジング収容部143aは、前後方向から見た正面視で矩形状に形成されている。そして、ハウジング収容部143aの中心軸O(前後方向から見た正面視での中心)は、接続中心線に一致している。
【0044】
図6に示すように、上述したコネクタ列112を構成する各コネクタ受体111は、ハウジング収容部143aの中心軸Oが上下方向に並ぶように配列されている(
図6における鎖線T参照)。また、各コネクタ受体111は、ハウジング収容部143aの中心線L(前後方向から見た正面視において中心軸Oを通り、ハウジング収容部143aとラッチ収容部143bとが並ぶ方向に延びる中心線)が、上下方向に対して傾斜するように配列されている。したがって、光コネクタ121は、前後方向から見た正面視で、マーク部132の向き(マーク面の法線方向)が、上下方向に対して傾斜するように、コネクタ受体111に装着される。そのため、マーク部132の向きとコネクタ列112の配列方向とが一致するように光コネクタ121がコネクタ受体111に装着される場合に比べて、マーク部132を確認し易くなる。そのため、各コネクタ受体111と光コネクタ121との装着状態を目視等により確認する際、光コネクタ121のマーク部132がコネクタ収容孔143内に進入しているか否かを確認することができる。その結果、コネクタ受体111の高密度化を図る場合であっても、光コネクタ121の装着状態を容易に判断でき、所望の光学特性を得ることができる。
【0045】
FC形光コネクタ(JIS C 5970に規定されるF01形単心光コネクタの適合品、或いはIEC 61754−13適合品)に本発明を適用しても構わない。以下、
図7、
図8に基づいてFC形光コネクタについて簡単に説明する。
図7(a)に示す光コネクタ221は、円筒状に外観が形成されている。光コネクタ221は、フェルール24を保持する筒状のハウジング225と、ハウジング225に外装されたナット201と、を主に有している。ナット201は、ハウジング225に対して前後方向に移動可能に構成されている。ハウジング225の外周面において、周方向の一部には、キー231が形成されている。
【0046】
コネクタ受体211は、光コネクタ221のハウジング225を収容するスリーブ241を備えている。スリーブ241は、コネクタ収容孔243を有するとともに、前後方向を軸方向とする円筒状に形成されている。スリーブ241の外周面には、ナット201が螺着される雄ねじ部242が形成されている。また、スリーブ241における周方向の一部には、上述したキー231を収容するキー溝244が形成されている。
【0047】
図8に示すように、一のコネクタ列212を構成する各コネクタ受体211は、コネクタ収容孔243の中心軸Oが上下方向(第2方向)に並ぶように配列されている(
図8における鎖線T参照)。また、スリーブ241の雄ねじ部242には、マーク部232が形成されている。マーク部232は、雄ねじ部242の外周面において、周方向の一部に形成されている。
図7(a)、(b)に示すように、マーク部232は、光コネクタ221の正常装着状態において、雄ねじ部242にナット201が螺着されることで、ナット201に覆われて視認不能となる。一方、光コネクタ221が装着不良(ナット201の螺着不良)である場合には、マーク部232が露出するようになっている。
【0048】
ここで、
図8に示すように、一のコネクタ列212を構成する各コネクタ受体211は、マーク部232における周方向の中心を通り、雄ねじ部242の外周面の法線方向に延びる中心線L(第1方向)が各コネクタ受体211の配列方向に対して傾斜するように配置されている。この場合、マーク部232は、中心線Lに沿う方向の一方を向いている。
【0049】
この構成によれば、マーク部232の向きとコネクタ列212の配列方向とを一致させてコネクタ受体211を配列する場合に比べて、一のコネクタ列212の各コネクタ受体211を中心線Lに沿う方向の一方から見たとき、マーク部232を確認し易くなる。すなわち、マーク部232がナット201により覆われている場合には、光コネクタ221が正常装着状態であると判断できる。一方、マーク部232が視認できた場合には、光コネクタ221が装着不良であることを判断できる。
【0050】
このように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。