特許第6343325号(P6343325)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343325
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】レーザスキャナの調整方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20180604BHJP
   G01C 15/06 20060101ALI20180604BHJP
   G01S 7/497 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   G01C15/00 103Z
   G01C15/06 T
   G01C15/00 103A
   G01S7/497
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-218547(P2016-218547)
(22)【出願日】2016年11月9日
(65)【公開番号】特開2017-122712(P2017-122712A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2017年1月31日
(31)【優先権主張番号】10 2015 119 707.3
(32)【優先日】2015年11月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591005615
【氏名又は名称】ジック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハラルド ウェーバー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ショップ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン リュック
【審査官】 三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0258340(US,A1)
【文献】 特開2004−317507(JP,A)
【文献】 特開平08−285594(JP,A)
【文献】 特開2000−075031(JP,A)
【文献】 特開平10−318751(JP,A)
【文献】 特開平07−198382(JP,A)
【文献】 米国特許第04330212(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00− 1/14
G01C 5/00−15/14
G01B 11/00−11/30
G01S 7/48− 7/51
G01S 17/00−17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調節装置を用いて少なくともピッチ軸(Y)とロール軸(X)を中心としてその向きを変更できるレーザスキャナ(10)の調整方法において、
前記レーザスキャナの走査範囲(10)内に、基準線(R)と交差する方向に延在し且つ該基準線(R)の方向に互いに離間した前記レーザスキャナ(10)により検出できる複数の縞状の標識(16A〜16C、18)を有する基準標的(14、14’)が配置され、
前記基準標的(14、14’)の走査パターンを生成するために前記レーザスキャナ(10)を用いて前記基準標的(14、14’)が走査され、その際、生成された走査パターンの形態に基づいて前記レーザスキャナ(10)の向きが所望の向きと一致しているか否か又は該レーザスキャナ(10)の向きが所望の向きからずれているか否かが判別されるように前記標識(16A〜16C、18)の形状及び/又は配置が選ばれており、かつ、前記標識の一部(16A〜16C、18)が前記基準標的(14、14’)の内側領域(20)に、また該標識の別の一部(16A、16B)が前記基準標的(14、14’)の2分割された外側領域(22A、22B)に、それぞれ割り当てられ、該外側領域(22A、22B)の2つの部分が前記基準線の方向に見たときに前記内側領域(20)の両側に配置され、調整の第1段階では前記内側領域(20)に割り当てられた標識(16A〜16C、18)のみが考慮され、続く調整の第2段階では前記外側領域(22A、22B)に割り当てられた標識(16A、16B)がそれのみで又は追加的に考慮され、
向きのずれが確認されたらそれに基づいて前記レーザスキャナ(10)の向きが変更されること
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記走査パターンの形態に基づいて前記レーザスキャナ(10)の向きが前記ピッチ軸(Y)及び/又は前記ロール軸(X)について所望の向きからずれているか否かが判別されるように前記標識(16A〜16C、18)の形状及び/又は配置が選ばれており、ずれが認められた軸(X、Y)については、該ずれが縮小又は解消されるように、該軸を中心としてレーザスキャナ(10)の向きが変更され、
その際、前記走査パターンの形態に基づいて、ずれの方向又はずれの方向と大きさが認識されること
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ずれの方向又は前記ずれの方向と大きさが前記レーザスキャナ(10)の向きの変更に際して考慮されること
を特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基準標的(14,14’)の走査と前記レーザスキャナ(10)の向きの変更が反復的に実行されること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記レーザスキャナ(10)の向きを変更するときの増分が反復の度に縮小されること
を特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
認識された標識の数に基づいて、及び/又は、認識された標識の少なくとも1つの少なくとも1つの所定の特徴に基づいて、前記レーザスキャナ(10)の向きが所望の向きからずれているかどうかを判別できるように、前記標識(16A〜16C、18)の形状及び/又は配置が選ばれており、所定の判断基準が、前記基準線の方向乃至走査方向における認識された標識の幅、及び/又は、認識された標識の信号レベルを含んでいること
を特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
レーザスキャナ(10)を調整するため平面的な基準標的(14、14’)であって、
基準線(R)と交差する方向に延在し且つ該基準線(R)の方向に互いに離間した前記レーザスキャナにより検出できる複数の縞状の標識(16A〜16C、18)を有し、
該標識(16A〜16C、18)の一部が第1のグループ(24A)に配属され、該標識(16A〜16C、18)の別の一部が第2のグループ(24B)に配属され、
前記第1のグループ(24A)に配属された標識(16A〜16C、18)が、前記基準線(R)に対して、及び該基準線(R)に垂直に延在する対称線(S)に対して、それぞれ一方の側に配置され、前記第2のグループ(24B)に配属された標識(16A〜16C、18)が、前記基準線(R)に対して、及び前記対称線(S)に対して、それぞれ他方の側に配置されていること、及び
前記標識(16A〜16C、18)の各グループ(24A、24B)が、前記基準線(R)の方を向いた端部が該基準線(R)に接している少なくとも1つの第1の標識(16B)と、前記基準線(R)の方を向いた端部が該基準線(R)から離れている少なくとも1つの第2の標識(16A)とを有していること
を特徴とする基準標的。
【請求項8】
前記標識(16A〜16C、18)の第1のグループ(24A)及び第2のグループ(24B)が、各標識(16A〜16C、18)の形状及び/又は位置に関して、前記基準線(R)と前記対称線(S)の交点を中心として互いに回転対称であること
を特徴とする請求項に記載の基準標的。
【請求項9】
前記標識(16A〜16C、18)の1つが、前記対称線(S)に沿って前記基準線(R)の両側へ延在する中央標識(18)として形成されていること
を特徴とする請求項7又は8に記載の基準標的(14、14’)。
【請求項10】
前記標識の少なくとも第1の部分(16A、16B、18)が一定の幅を有すること、及び/又は
前記標識の少なくとも第2の部分(16C)がくさび状の形を有ること
を特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の基準標的(14、14’)。
【請求項11】
前記標識の少なくとも第2の部分(16C)の幅が前記基準線(R)からの距離の増大とともに広がっていること
を特徴とする請求項10に記載の基準標的(14、14’)。
【請求項12】
ーザスキャナ(10)と、
該レーザスキャナ(10)の向きを少なくともピッチ軸(Y)及びロール軸(X)を中心として変更するように構成された調節装置と、
レーザスキャナ装置の稼働時の構成において前記レーザスキャナ(10)の走査領域内に配置される基準標的(14、14’)であって、前記レーザスキャナ(10)により検出できる複数の縞状の標識(16A〜16C、18)を有し、該標識がレーザスキャナ装置の稼働時の構成において基準線(R)と交差する方向に延在し且つ該基準線(S)の方向に互いに離間している基準標的(14、14’)と、
制御ユニットと
を備え、該制御ユニットが、
前記基準標的(14、14’)を走査して該基準標的(14、14’)の走査パターンを生成すべく前記レーザスキャナ(10)を制御し、その際、生成された走査パターンの形態に基づいて前記レーザスキャナ(10)の向きが所望の向きと一致しているか否か又は該レーザスキャナ(10)の向きが所望の向きからずれているか否かが判別されるように前記標識(16A〜16C、18)の形状及び/又は配置が選ばれており、かつ、前記標識の一部(16A〜16C、18)が前記基準標的(14、14’)の内側領域(20)に、また該標識の別の一部(16A、16B)が前記基準標的(14、14’)の2分割された外側領域(22A、22B)に、それぞれ割り当てられ、該外側領域(22A、22B)の2つの部分が前記基準線の方向に見たときに前記内側領域(20)の両側に配置され、前記レーザスキャナ(10)の調整の第1段階では前記内側領域(20)に割り当てられた標識(16A〜16C、18)のみが考慮され、続く前記レーザスキャナ(10)の調整の第2段階では前記外側領域(22A、22B)に割り当てられた標識(16A、16B)がそれのみで又は追加的に考慮され、
確認された前記レーザスキャナ(10)の向きのずれに関する情報を含む信号を生成する
ように構成されていることを特徴とするレーザスキャナ装置。
【請求項13】
前記制御ユニットが、生成された前記信号に基づいて、ずれが確認された軸(X、Y)を中心として前記レーザスキャナ(10)の向きを変更して該ずれを縮小又は解消するために前記調節装置を制御するように構成されていること、及び/又は
前記制御ユニットが、生成された前記信号に基づいて、ずれが確認された軸(X、Y)を中心として前記レーザスキャナ(10)の向きを変更して該ずれを縮小又は解消することをユーザに促すユーザ向けの指示を出力するように構成されていること、
を特徴とする請求項12に記載のレーザスキャナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調節装置を用いて少なくともピッチ軸とロール軸を中心としてその向きを変更できるレーザスキャナの調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザスキャナを用いると、空間の2次元又は3次元領域を監視、測定又は模写することができる。そのために、スキャン装置を用いて、多くの場合周期的に、レーザ光線が様々な空間角度へ偏向される。走査された物体から直反射又は拡散反射される光は適宜のセンサにより検出される。スキャン装置としては例えば回転鏡やプリズムが用いられる。レーザスキャナで用いられる光は可視波長領域内にあることもあれば、非可視波長領域(紫外又は赤外領域)にあることもある。
【0003】
レーザスキャナの使用前にはその向きを空間内で正確に調整することが通常必要である。一般に比較的容易に実行できる平行移動的な位置決めの他に、3次元の自由度(デカルト座標系のx、y及びz軸)についての回転の調整も必要である。従来の慣例では、走査光線が回転しつつ走査平面内で方向を変えるレーザスキャナの場合、走査軸、即ちレーザ光線の回転の中心軸がz軸となる。この軸は垂直軸又はヨー軸とも呼ばれる。スキャン角は通常限られている(例えば270°)ため、その扇形の走査領域を真ん中で分割する軸がx軸と定義される。x軸は言わばレーザスキャナの「視線方向」に相当し、ロール軸とも呼ばれる。y軸はx及びzの両軸に垂直に延在し、ピッチ軸とも呼ばれる。
【0004】
垂直軸についての調整は通常厳密ではなく、例えばレーザスキャナに付された標識マークの使用や、走査領域の電子的な確定により行うことができるのに対し、ピッチ軸及びロール軸についてのレーザスキャナの調整はよりコストがかかる。例えば水準器を用いたレーザスキャナの調整が知られている。しかし、この場合に達成可能な精度は不十分であることが多い。加えて、レーザスキャナ上に十分な大きさの平らな基準面がなければならず、それが構造の形状や大きさを制限することになる。更に、水準器を用いる場合、別の補助手段(くさび等)を使わなければ水平方向の調節しかできない。
【0005】
特許文献1に記載のレーザスキャナ型センサの調整方法では、ピッチ角の調整のために、規定の形状を有し且つ規定の位置にある立体の距離を光伝播時間法で測定する。該立体の形状及び配置は所望のピッチ角のときに伝播時間の測定値が極値となるように決められている。
【0006】
特許文献2には自動車に取り付けられたレーザスキャナの調整法が記載されている。この方法では、自動車を試験走路に沿って移動させ、試験平面に設けられた検出装置によりその面に沿って走査線を検出することで、スキャナの走査平面を見出す。
【0007】
特許文献3には、移動体に取り付けられたレーザスキャナを該スキャナにより認識できる様々な物体を用いて校正する方法であって、それらの物体を移動体の周囲に配置することでxy平面内での校正を可能にするものが記載されている。垂直方向の校正には、走査平面の向きに応じてレーザ光線を検出する上下に配置された2つの検出器が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DE 199 02 287 B4
【特許文献2】DE 102 17 295 A1
【特許文献3】DE 101 22 664 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、信頼性が高く、取り扱いが簡単で、低コストで使用できるレーザスキャナの調整方法を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1の特徴を有する方法により解決される。本発明が提供する方法は、調節装置を用いて少なくともピッチ軸とロール軸を中心としてその向きを変更できるレーザスキャナの調整方法において、
前記レーザスキャナの走査範囲内に、基準線と交差する方向に延在し且つ該基準線の方向に互いに離間した前記レーザスキャナにより検出できる複数の縞状の標識を有する基準標的が配置され、
前記基準標的の走査パターンを生成するために前記レーザスキャナを用いて前記基準標的が走査され、その際、生成された走査パターンの形態に基づいてレーザスキャナの向きが所望の向きと一致しているか否か又はレーザスキャナの向きが所望の向きからずれているか否かが判別されるように前記標識の形状及び/又は配置が選ばれており、
向きのずれが確認されたらそれに基づいてレーザスキャナの向きが変更される
ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る方法の実施には、非常に簡単な構成の基準標的以外に追加の技術的な補助手段は必要ない。基準標的の重要な構成要素は標識であって、これは例えば直反射性及び/又は拡散反射性の材料(粘着テープ等)を適宜の担持体又は基板上に配置して成る。標識は、走査範囲内に立設された板や厚紙等の表面に付すことができる。また、走査範囲内にある壁の表面に直接標識を付してもよい。コントラストの付け方は本発明に係る方法にとって基本的に重要ではない。以下では周囲よりも光を強く反射する標識を前提とするが、例えば白壁上の黒い標識のように、逆のコントラストを作り出す標識を用いることもできる。本方法をきちんと実施するには、標識が基準線に対して交差する方向に延在していなければならない。標識と基準線の間の角が直角であれば、特に評価が容易になるため非常に有利であるが、それは必須ではない。直角からの多少のずれ(例えば10〜20度まで)は、評価の際にそれを適切に考慮すれば許容可能である。
【0012】
見出された向きと所望の向きの間にずれがあるか、一致しているかの判別は、例えば認識された走査パターンと基準パターンとの比較により行うことができ、その際、認識された走査パターンと基準パターンが一致していれば、レーザスキャナの向きは所望の向きと一致している。ここで、生成された走査パターンと基準パターンの一致は、2つのパターンが完全に同一である場合だけでなく、両者が互いに幾何学的に類似している場合、例えば走査パターンにおける複数の標識の間隔の比が基準パターンにおける比と一致する場合にも存在する。それゆえ、レーザスキャナと基準標的の間の距離が様々であっても本発明に係る方法を適用することができる。
【0013】
見出された向きと所望の向きの間にずれがあるか、一致しているかの判別は、走査パターン内部の情報に基づいて行うこと、例えば認識された異なる標識を特定の特徴(例えば幾何学的な特徴、明るさの差異等を含む)について比較することにより行うこともできる。ここで、「認識された標識」とは、走査パターン内でそれに属する標識が表す構造と解すべき概念である。
【0014】
レーザスキャナの所望の向きは主として基準標的の位置及び向きによって決まる。従って、基準標的を適当に取り付けることにより、レーザスキャナの走査平面がピッチ軸及び/又はロール軸を中心として水平面から傾くように該レーザスキャナの向きを調整することもできる。
【0015】
レーザスキャナの実際の調整は、例えば、走査パターンに基づくユーザ向けの指示を出し、ユーザが調節装置を用いてその指示に応じた向きの変更を行うことにより、手動で行うこともできる。最も簡単な場合、ユーザ向けの指示は、走査パターンが適宜の表示装置で再現され、ユーザが必要な調節を確認する、というものにすることができる。あるいは、自動調節用の調節装置を設け、それを評価ユニットと接続し、該ユニットが走査パターンの評価に基づき、場合によって必要な調節動作を算出して調節装置に伝達し、該装置がその動作を実行する、というようにすることもできる。
【0016】
本発明に係る方法は、原理的には、例えばいわゆる単層スキャナのように走査光線が平面内で運動するレーザスキャナに限定されるものではなく、他の形態、例えば走査光線が円錐面上で運動する構成や多層スキャナにも適用可能である。非平面の走査領域の場合、距離に応じて走査線に歪みが生じる可能性、つまり走査線の経路が一平面内に収まらなくなる可能性があるため、場合によっては調整の間だけ走査光線が一平面内で運動するように多層スキャナを駆動することが望ましい。
【0017】
本方法の有利な形態では、走査パターンの形態に基づいてレーザスキャナの向きがピッチ軸及び/又はロール軸について所望の向きからずれているか否かが判別されるように標識の形状及び/又は配置が選ばれており、ずれが認められた軸については、該ずれが縮小又は解消されるように、該軸を中心としてレーザスキャナの向きが変更される。従って、認識された走査パターンに基づいて、所望のピッチ角からのピッチ角のずれと、所望のロール角からのロール角のずれとを区別することができる。これにより、レーザスキャナの向きが所望の向きからずれている場合に、狙いをつけてそれを解消することができる。
【0018】
これとの関連で、走査パターンの形態に基づいて、ずれの方向、そして好ましくは該ずれの大きさも認識され、それらが特にレーザスキャナの向きの変更に際して考慮されるようにすると有利であることは明らかである。ずれの方向とは、ピッチ角乃至ロール角が所望のピッチ角乃至ロール角から正又は負のいずれの大きさで違っているかという意味である。起こり得るずれの方向及び/又は大きさは、走査パターンと基準パターンとの比較から得ることができるだけでなく、走査パターン自身に含まれる情報からも得るようにすると有利である。これについては後でより詳しく検討する。
【0019】
本方法の別の有利な形態では、基準標的の走査とレーザスキャナの向きの変更が反復的に実行され、その際、特に向きを変更するときの増分が反復の度に縮小される。特に、向きがずれている可能性があるがその大きさが正確に分からない場合に、基準標的の走査と向きの変更を交互に行うこの反復動作により所望の向きを素早く探索することができる。
【0020】
認識された標識の数に基づいて、及び/又は、認識された標識の少なくとも1つの少なくとも1つの所定の特徴に基づいて、レーザスキャナの向きが所望の向きからずれているかどうかを判別できるように、標識の形状及び/又は配置が選ばれており、所定の判断基準が、基準線の方向乃至走査方向における認識された標識の幅、及び/又は、認識された標識の信号レベルを含んでいると有利である。
【0021】
例えば、全て又は一部の標識がその長さに沿って変化する幅を有し、標識がどの部分で走査光線により掃引されたかによって認識された標識の幅が変わるようにして、特に向きのずれがある場合にその大きさを求める際の判断基準としてその幅を利用できるようにすることができる。
【0022】
レーザスキャナの分解能が低いために十分な信頼度で幅を特定できない場合は、走査パターン内で認識された標識の信号レベルも考慮に入れることができる。なぜならこの場合、原理的には、認識された標識の幅にわたって光の強度が積分されるため、信号レベルと認識された標識の幅との間に近似的に線形の関係があるからである。
【0023】
更に、基準パターンを参照することなく、2つ以上の認識された標識の幅乃至信号レベルの比較に基づいて向きのずれを算出することも可能である。これは、先に言及した、走査パターン自身に含まれる情報の評価に相当する。
【0024】
本方法の更に有利な形態では、前記標識の一部が基準標的の内側領域に、また該標識の別の一部が基準標的の2分割された外側領域に、それぞれ割り当てられ、該外側領域の2つの部分が基準線の方向に見たときに内側領域の両側に配置され、調整の第1段階では内側領域に割り当てられた標識のみが考慮され、続く調整の第2段階では外側領域に割り当てられた標識がそれのみで又は追加的に考慮される。
【0025】
外側領域の2つの部分にある標識は内側領域にある標識よりも基準標的の中心からの距離が大きい。というのも、本発明に係る方法で達成できる調整の際の精度は、とりわけ基準線の方向における標識の相互間の距離と関わりがある。標識間の距離が大きいほど高い精度で調整を行うことができる。しかし、本方法の始めに、特にロール角について大きなずれがあると、標識の長さに限りがある場合に該標識がもはや走査光線により掃引されない可能性がある。そうすると走査パターンの誤解釈につながる。
【0026】
これに対処するため、本方法は2つ以上の段階で実行される。最初は互いに近接した標識が考慮されるため、レーザスキャナの向きが大きく間違っていても走査光線による標識の掃引が確実に正しく行われる。この第1段階でレーザスキャナの粗調整を行った後、より外側にある標識に基づいて、後続の段階でより正確な調整を行うことができる。
【0027】
基準標的は一体として構成することができ、内側領域だけでなく2つの外側領域も含むことができる。あるいは、基準標的を複数の部分で構成し、内側領域及び各外側領域のそれぞれに対して1つの部分が設けられるようにしてもよい。
【0028】
本発明はレーザスキャナを調整するための平面的な基準標的、特に前述の方法を実施するために構成された基準標的にも関する。該基準標的は、基準線と交差する方向に延在し且つ該基準線の方向に互いに離間した前記レーザスキャナにより検出できる複数の縞状の標識を有し、該標識の一部が第1のグループに配属され、別の一部が第2のグループに配属され、前記第1のグループに配属された標識が、基準線に対して、及び該基準線に垂直に延在する対称線に対して、それぞれ一方の側に配置され、前記第2のグループに配属された標識が、基準線に対して、及び対称線に対して、それぞれ他方の側に配置されている。各グループには1つ以上の標識がある。
【0029】
即ち、基準標的の表面は基準線と対称線により2×2の区画を有するマトリックスに分割されており、2つの標識グループは対角線に沿って対向する2つの区画内に配置されている。同様に対角線に沿って対向する別の2つの区画内には標識を設ける必要はないが、そうすることを排除するものではない。レーザスキャナの向きが基準標的により規定される所望の向きと一致していれば、走査光線は基準線を掃引する。このような基準標的を用いれば、まずロール角又はピッチ角に関してずれが存在しているか否かを判別することができ、またそのずれの方向を見出すこともできるため、走査パターンに基づいて、特定の軸を中心とした特定の方向への向きの修正を指示することができる。
【0030】
基準標的の有利な構成では、標識の第1のグループ及び第2のグループが、各標識の形状及び/又は位置に関して、基準線と対称線の交点を中心として互いに点対称である。これにより、走査パターンを特に高い信頼性で評価することができる。
【0031】
標識の1つが、対称線に沿って基準線の両側へ延在する中央標識として形成されていると有利である。このようにすれば、基準標的を確実に見つけ出し、特に、該基準標的が全く走査されなかったのか、それとも、先に挙げた2つのグループに配属された標識が全く検出されないような一定のずれがロール角に関して存在するのか、ということまで判別できる。中央標識がなければいずれの場合の走査パターンにも標識は一切認識されないが、中央標識があれば、後者の場合には中央標識が通常は認識される。
【0032】
別の有利な実施形態では、少なくとも一部の標識が一定の幅を有する。また、その代わりに、又はそれに加えて、別の一部の標識がくさび状の形を有し、特にその幅が基準線からの距離の増大とともに広がっている。ここで幅とは基準線方向の標識の広がりのことである。基本的には、幅が一定の標識を用いるだけで十分高速且つ正確にレーザスキャナの調整ができる。くさび形の標識を用いることで、少なくとも部分的に、所望の向きからのずれを定量化することができる。
【0033】
別の有利な実施形態では、標識の各グループが、基準線の方を向いた端部が該基準線に接している少なくとも1つの第1の標識と、基準線の方を向いた端部が該基準線から離れている少なくとも1つの第2の標識とを有している。これによれば、レーザスキャナの向きが所望の向きと一致しているとき、即ち、レーザスキャナの走査光線が基準線を掃引するとき、標識は辛うじてまだ検出される一方、第2の標識はもはや検出されないように、第1の標識と第2の標識の長さが選ばれている。
【0034】
本発明は更に、特に前述の方法を実行するために構成されたレーザスキャナ装置に関する。該装置は、レーザスキャナと、該レーザスキャナの向きを少なくともピッチ軸及びロール軸を中心として変更するように構成された調節装置と、レーザスキャナ装置の稼働時の構成においてレーザスキャナの走査領域内に配置される基準標的、特に前述のいずれかの形態による基準標的であって、レーザスキャナにより検出できる複数の縞状の標識を有し、該標識がレーザスキャナ装置の稼働時の構成において基準線と交差する方向に延在し且つ該基準線の方向に互いに離間している基準標的と、制御ユニットとを備え、該制御ユニットは、基準標的を走査して該基準標的の走査パターンを生成すべくレーザスキャナを制御し、その際、生成された走査パターンの形態に基づいてレーザスキャナの向きが所望の向きと一致しているか否か又はレーザスキャナの向きが所望の向きからずれているか否かが判別されるように前記標識の形状及び/又は配置が選ばれており、確認されたレーザスキャナの向きのずれに関する情報を含む信号を生成するように構成されている。制御ユニットはレーザスキャナと接続又は該スキャナに統合することができる。見出されたずれに関する情報は、該ずれの方向と、好ましくは該ずれの大きさも含んでいると有利であり、特にピッチ軸乃至ロール軸に特化して見出されたずれに関する情報があるとよい。
【0035】
前記レーザスキャナ装置の有利な実施形態では、制御ユニットが、生成された前記信号に基づいて、ずれが確認された軸を中心としてレーザスキャナの向きを変更して該ずれを縮小又は解消するために調節装置を制御するように構成されている。その代わりに、又はそれに加えて、制御ユニットが、生成された前記信号に基づいて、ずれが確認された軸を中心としてレーザスキャナの向きを変更して該ずれを縮小又は解消することをユーザに促すユーザ向けの指示を出力するように構成されていてもよい。ユーザ向けの指示の出力は光学的及び/又は音響的に行うことができる。簡単な形態では、ユーザ向けの指示の出力を走査パターンの再現又は描画により行ってもよい。レーザ装置の他の有利な実施形態は、方法の有利な実施に関する記述及び/又は本発明に係る基準標的の有利な実施形態に関する記述から生み出される。
【0036】
本発明に係る方法、本発明に係る基準標的、本発明に係るレーザスキャナ装置、及びこれらのそれぞれの好ましい形態は、特にロール軸及び/又はピッチ軸を中心としたレーザスキャナの調整に役立つ。
【0037】
以下、図面を参照しながら本発明の模範例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】レーザスキャナ及び該レーザスキャナを調整するための基準標的を有するレーザスキャナ装置の概略平面図。
図2】第1の実施例に係る基準標的の側面図。
図3】レーザスキャナにより生成される走査線の基準標的に対する位置、その結果生じる走査パターン、及び必要となるレーザスキャナの向きの修正を、様々な場合について具体的に示した模式図。
図4】第2の実施例に係る基準標的の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明に係るレーザスキャナ装置はレーザスキャナ10を含む。本例では該スキャナが270度の平らな走査範囲を有する(図1)。つまり、本例は単層スキャナに関するものある。以下で詳しく説明する基準標的14は走査領域12の中央にある。
【0040】
レーザスキャナ10の向きは調節装置(図示せず)を用いて少なくともピッチ軸Y及びロール軸Xを中心として変更できる。加えて、図面に垂直に延在するヨー軸又は垂直軸を中心とした調節もできるようにしてもよい。
【0041】
以下、図2を参照して第1の実施例に係る基準標的14について説明する。基準標的14は、長方形の担持体16の表面に付された複数の縞状の標識16A〜16C及び18を有している。標識16A〜16C及び18の反射力が担持体26の反射力よりも高いと有利である。なお、そのコントラスト比は逆であってもよい。
【0042】
基準標的14は、長辺に平行に走る基準線Rと短辺に平行に走る対称線Sにより4つの区画に対称的に分割されている。長方形の中央標識18が対称線Sに沿って基準線Rの両側に延在している。
【0043】
中央標識18より左で基準線Sより上には、2つの長方形の標識16A、16Bとこれらの間に配置されたくさび形の標識16Cを含む第1の標識グループ24Aがある。外側の標識16Bは基準線Rまで延在している一方、内側の標識16Aは基準線Rから離れておいる。その間隔は、基準線Rと一致する走査光線によって該標識が辛うじて検出されないような間隔である。これに対し、くさび形の標識16Cは基準線Rまで延在している。
【0044】
第2の標識グループ24Bは中央標識18より右で基準線Rより下に配置されている。第2の標識グループ24Bは、対称線Sと基準線Rの交点に対して第1の標識グループ24Aと点対称である。即ち、標識16A〜16Cの寸法と相対位置はどちらのグループ24A、24Bでも同じである。
【0045】
本実施例の変形として、くさび形の標識16Cを省略し、グループ24A、24Bが長方形の標識16A、16Bのみを含むようにしてもよい。
【0046】
図2の実施例の別の変形として、長方形の標識16A、16Bの一方をそれぞれ省略してもよい。即ち、長方形の標識16A又は16Bとくさび形の標識16Cがあるようにしてもよい。更に別の変形として、長方形の標識16A、16Bを全て省略し、グループ24A、24Bがそれぞれくさび形の標識16Cのみを含むようにしてもよい。
【0047】
本方法を実施するために、基準標的14は、基準線Rの位置及び向きがレーザスキャナ10の姿勢とともに空間内において走査領域12の所望の位置を確定するように配置される。その際、走査光線が基準標的14を確実に捕らえるようにレーザスキャナ10の向きの粗調整を行う必要がある。
【0048】
もしそうなっていれば、レーザスキャナ10は図3に描いた9通りの考え得る走査パターンのいずれかに一致する走査パターンを生成する。この図では走査パターン内で認識された標識が垂直な縞として単に概略的に再現されている。認識された標識が走査パターンに一切現れていなければ、基準標的14が確実に検出されるように、まずレーザスキャナ10の向きを大まかに合わせならない。
【0049】
以下、レーザスキャナの向きがピッチ軸Y及び/又はロール軸について所望の向きからずれた場合、付随する走査パターンにどのような作用が及ぶか、そしてレーザスキャナの向きをピッチ軸Y及び/又はロール軸を中心としてどのように変更しなければならないかを、図3の模式図に基づいて詳しく説明する。なお、図3の基となる基準標的は、図2の基準標的14からくさび形の標識16Cを除いたものに相当する。
【0050】
図1において符号Xをロール軸に、符号Yをピッチ軸にそれぞれ割り当てたことに対応して、図3の符号Xはロール軸を中心としたレーザスキャナ10の位置の調節を表しており、それに付した符号「−」は時計回りの調節を、また符号「+」は反時計回りの調節をそれぞれ表している。従って、ピッチ軸を中心としたレーザスキャナ10の調節が必要な場合は符号「Y」で表されているが、ここでの符号「−」は図3において走査線を持ち上げる結果となるピッチ軸の変更を、また符号「+」は走査線を下へ降ろす結果となるピッチ軸の変更を表している。
【0051】
レーザスキャナ10が正しく調整されていれば、図3の模式図の事例6に描かれたように、走査線は図中の点線で示した基準線を覆い隠す。この場合、外側の標識16B及び中央標識18だけが掃引される(図2参照)。修正は不要であり、それが符号「0」で表されている。
【0052】
事例1〜3では少なくともロール軸Xについて調整不良があり、ここではロール角が大きく設定されすぎている。従って、事例1〜3のような走査パターンが検出されたらロール角Xを小さくする。事例2及び3にあるように、ピッチ軸Yについて調整不良がある場合もあるが、最初はこれを考慮しない。
【0053】
事例4及び5ではピッチ軸Yについて調整不良がある。事例4のように走査線が基準線より上にあるときはピッチ角を増加させなければならず、走査線が基準線より下にあるときは(事例5)ピッチ角を減少させなければならない。事例4及び5のような走査パターンが生じる調整不良の場合、ピッチ軸についての調整不良に加えて同時にロール軸Xについても調整不良が存在することがあり、そうすると走査線が図3に描いたように水平に走らず、少し傾くことになる。ロール軸Xについてのこのような調整不良は、最初は考慮せずにおく。
【0054】
先に言及したロール軸Xについての追加の調整不良がやや大きく目立つ場合、事例4及び5の走査パターンと比べて、もう一つ別の標識がそれぞれ検出される可能性がある。これは事例7及び8に相当する。これらの場合でも、まずピッチ角を増加(事例7)乃至減少させる(事例8)ことによりピッチ軸Yについての調整不良を修正する。ピッチ軸Yについての調整不良がもはや認められなくなってから、ロール軸Xについてずれがあればその修正を行う。
【0055】
最後に事例9では、走査線が5つの標識の全てを捕らえ、その結果、同様に5本の縞が走査パターン内に現れている。この事例に対応する図3の部分模式図から分かるように、ロール軸Xについてのずれに加えてピッチ軸Yについてのずれがあったとしても、5つの標識が検出される可能性がある。この事例でも、ロール角に関して所望の向きとの一致が達成されるまでピッチ角の修正を見合わせる。
【0056】
前述の各事例で、ロール角についてのずれとピッチ角についてのずれがともに存在する場合、走査パターンに応じてまず一方の角度のずれのみが修正される。その修正が行われると、走査パターンは、他方の角度のずれに特徴を有する事例のいずれかに対応する走査パターンに変わるため、これに基づいてそのずれを修正することができる。
【0057】
次に、図4を参照し、本発明に係る基準標的14’を別の実施例として説明する。基準標的14’は、図2の基準標的14に相当する内側領域20と、該内側領域20により引き離されて配置された外側領域22A、22Bという、3つの部分から成る。外側領域はいずれも、先の基準標的14の標識16A、16Bに相当する2つの標識16A、16Bを有する。外側領域22A、22Bの配置の際は、それらの基準線Rが内側領域20の基準線Rと一直線に並ぶように注意する必要がある。外側領域22A、22Bの標識16Bは基準線Rまで延在している一方、標識16Aは、走査光線が基準線Rに沿って基準標的14’を走査したときに外側領域22A、22Bの標識16Aがどちらも該光線によって検出されないような間隔だけ基準線から離れている。
【0058】
レーザスキャナ10の調整は2段階で行われる。第1の段階は図2及び図3を参照して説明した方法と同じであって、この段階では内側領域20の標識16A、16B及び18だけが考慮される。
【0059】
精度を高めるために、第2の段階では追加的に外側領域22A、22Bも考慮されるが、この段階では内側領域20の標識16A、16Bの代わりに外側領域22A、22Bの標識16A、16Bだけを考慮することが有意義である。
【0060】
レーザスキャナ10からの基準標的14の距離が増すにつれて走査光線の幅が該光線の拡散により広がる可能性があるため、2つの実施例(図2及び図4)のいずれにおいても、基準線Rと標識16Aの間隔、そして場合によっては基準線Rと標識16B、16Cの間隔を前記距離に適合させる必要が生じる場合がある。これは、例えば標識16A、16B、16Cのうち基準線Rの方を向いた端部領域を非反射性材料で覆うことにより行うことができる。正しい被覆を確実に行うために、基準標的14、14’上において、距離を示す適宜の補助標識で標識16A、16B、16Cの被覆対象領域に目印を付けてもよい。
【0061】
レーザスキャナ10の調整は、走査パターンに基づくユーザ向けの指示を出力し、ユーザが調節装置を用いてその指示に応じた向き変更を行うことにより、手動で行うこともできる。最も簡単な場合、ユーザ向けの指示は、走査パターンが適宜の表示装置で再現される、というものにすることができる。
【0062】
また、レーザスキャナに接続された評価装置で走査パターンを分析し、図3を参照して説明した関係に従ってそれに基づくピッチ角乃至ロール角の調節のための修正指示を出力することも可能である。この指示は少なくとも変更の方向に関する情報を含んでいるとよい。例えばくさび形の標識16Cに基づいて走査パターンの定量的な分析ができる場合は、必要な調節の大きさに関する情報もユーザ向けの指示に含めることができる。ユーザ向けの指示の出力は光学的及び/又は音響的に行うことができる。
【0063】
別の変形では、調節装置が自動調節を行うように構成され且つ評価ユニットと接続されており、評価ユニットにより算出された必要な調節動作が調節装置へ伝えられ、該装置により実行される。
【0064】
前もって製造された基準標的14、14’の代わりに、例えばレーザスキャナの設置箇所にある固定された物体(例えば壁)の表面に必要な標識を一時的に取り付けることによって、個別に作られた基準標的を用いることも基本的に可能である。
【符号の説明】
【0065】
10…レーザスキャナ
12…走査領域
14、14’…基準標的
16A〜16C…標識
20…内側領域
22A、22B…外側領域
24A、24B…標識グループ
26…担持体
R…基準線
S…対称線
X…ロール軸
Y…ピッチ軸
Z…垂直軸
図1
図2
図3
図4