特許第6343334号(P6343334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6343334有機電子素子用化合物、これを用いた有機電子素子及びその電子装置
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  • 特許6343334-有機電子素子用化合物、これを用いた有機電子素子及びその電子装置 図000034
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343334
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】有機電子素子用化合物、これを用いた有機電子素子及びその電子装置
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20180604BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20180604BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20180604BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20180604BHJP
   H01L 51/46 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   C07D487/04 137
   C07D487/04CSP
   C07D519/00 311
   H05B33/14 B
   H05B33/22 B
   H05B33/22 D
   H01L29/78 618B
   H01L31/04 154C
   H01L31/04 154D
   H01L31/04 166
   H01L31/04 168
【請求項の数】7
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2016-244151(P2016-244151)
(22)【出願日】2016年12月16日
(62)【分割の表示】特願2015-562905(P2015-562905)の分割
【原出願日】2014年3月7日
(65)【公開番号】特開2017-71640(P2017-71640A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2016年12月16日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0027621
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515127979
【氏名又は名称】ドク サン ネオルクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ヘ リョン
(72)【発明者】
【氏名】リ、 サン ヘ
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ウォン サム
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、 ジェ ワン
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ユ リ
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ジュン ファン
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ソン イェ
【審査官】 阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/002509(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/04
C07D 519/00
H01L 29/786
H01L 51/46
H01L 51/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式3で表示されることを特徴とする化合物:
<式3>
【化1】

前記式3において、
m、n及びoはそれぞれ1〜4の整数であり、
〜Rは互いに独立してi)水素;重水素;三重水素;C−C60のアリール基;O、N、S、Si及びPのうち、少なくとも1つのヘテロ原子を含むC−C60のヘテロ環基;C−C50のアルキル基;フルオレニル基;及び−L−N(Ar)(Ar);からなる群より選択されるか、又はii)隣り合う基同士で互いに結合して少なくとも1つの環を形成してもよく(但し、環を形成しないR〜Rはそれぞれ前記i)で定義されるとおりである)、RはC−C60のアリール基;O、N、S、Si及びPのうち、少なくとも1つのヘテロ原子を含むC−C60のヘテロ環基;C−C50のアルキル基;フルオレニル基;及び−L−N(Ar)(Ar);からなる群より選択され、
Ar及びArは互いに独立して、C−C60のアリール基;O、N、S、Si及びPのうち、少なくとも1つのヘテロ原子を含むC−C60のヘテロ環基;C−C50のアルキル基;及びフルオレニル基;からなる群より選択され、
前記Lは単結合;C−C60のアリーレン基;O、N、S、Si及びPのうち、少なくとも1つのヘテロ原子を含むC−C60のヘテロアリーレン基;及びフルオレニレン基;からなる群より選択され、前記Lにおける前記アリーレン基、前記ヘテロアリーレン基、および前記フルオレニレン基のそれぞれは、ニトロ基;シアノ基;ハロゲン基;C-C20のアルキル基;C-C20のアリール基;C-C20のヘテロ環基;C-C20のアルコキシ基;及びアミノ基;からなる群より選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
前記R〜R、前記R、前記Ar及びArにおける前記アリール基、前記フルオレニル基、前記ヘテロ環基及び前記アルキル基のそれぞれは、重水素;ハロゲン;シラン基;ホウ素基;ゲルマニウム基;シアノ基;ニトロ基;C-C20のアルキルチオ基;C-C20のアルコキシ基;C-C20のアルキル基;C-C20のアルケニル基(alkenyl);C-C20のアルキニル基(alkynyl);C-C20のアリール基;重水素で置換されたC-C20のアリール基;C-C20のヘテロ環基;C-C20のシクロアルキル基;C-C20のアリールアルキル基及びC-C20のアリールアルケニル基;からなる群より選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
ArはC−C60のアリール基;O、N、S、Si及びPのうち、少なくとも1つのヘテロ原子を含むC−C60のヘテロ環基;C−C50のアルキル及びフルオレニル基;からなる群より選択され、
〜Zはそれぞれ独立して、CR又はNであり、ここでRは水素;C−C20のアリール基;O、N、S、Si及びPのうち、少なくとも1つのヘテロ原子を含むC−C60のヘテロ環基;C−C50のアルキル基;及びフルオレニル基;からなる群より選択される。
【請求項2】
前記式3で表される化合物が、下記化合物のうちの1つであることを特徴とする請求項1に記載の化合物:
【化2】

【化3】
【請求項3】
第1電極、第2電極、及び前記第1電極と第2電極との間に位置する有機物層を含む有機電子素子であって、
前記有機物層は請求項1または請求項2に記載の化合物を含有することを特徴とする有機電子素子。
【請求項4】
前記化合物を溶液工程(soluble process)により前記有機物層として形成することを特徴とする請求項3に記載の有機電子素子。
【請求項5】
前記有機物層は発光層を含み、
前記化合物は前記発光層のホスト物質として用いられることを特徴とする請求項3に記載の有機電子素子。
【請求項6】
請求項3に記載の有機電子素子を含むディスプレイ装置;及び
前記ディスプレイ装置を駆動する制御部;と、を含む電子装置。
【請求項7】
前記有機電子素子は、有機電子発光素子、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスタ、及び単色又は白色照明用素子のうち、少なくとも1つであることを特徴とする請求項6に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電子素子用化合物、これを用いた有機電子素子及びその電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、有機発光現象とは、有機物質を用いて電気エネルギーを光エネルギーに変換させる現象をいう。有機発光現象を利用する有機電子素子は通常、正極と負極及びこの間に有機物層を含む構造を有する。ここで、有機物層は、有機電子素子の効率と安定性を高めるために、それぞれ他の物質で構成された多層の構造からなる場合が多く、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層などからなり得る。
【0003】
有機電子素子において有機物層として用いられる材料は、機能によって発光材料と電荷輸送材料、例えば、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、電子注入材料などに分類されることができる。
【0004】
一方、有機電子素子の寿命短縮原因のうち1つである正極電極(ITO)から金属酸化物が有機層に浸透拡散されることを遅延させつつ、素子駆動時に発生するジュール熱(Joule heating)に対しても安定された特性、即ち高いガラス転移温度を有する正孔注入層材料に対する開発が必要である。また、正孔輸送層材料の低いガラス転移温度は素子駆動時、薄膜表面の均一度を低下させる特性があるため、素子の寿命に大きな影響を及ぼすことと報告されている。また、OLED素子の形成において蒸着方法が主流をなしており、このような蒸着方法に長く耐えられる材料、即ち耐熱特性が強い材料開発が必要な実情である。
【0005】
前述した有機電子素子が有する優れた特徴を十分に発揮するためには、素子内の有機物層をなす物質、例えば、正孔注入物質、正孔輸送物質、発光物質、電子輸送物質、電子注入物質などが安定的、且つ効率的な材料によって後押されることが前提とならなければならないが、未だに安定的、且つ効率的な有機電子素子用有機物層材料の開発が十分に行われていない状態であり、従い、新しい材料の開発が求め続けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、素子の高い発光効率、低い駆動電圧、高耐熱性、色純度及び寿命を向上させることができる化合物、これを用いた有機電子素子及びその電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面において、本発明は、下記式で表される化合物を提供する。
【化1】
【0008】
他の側面において、本発明は、前記式で表される化合物を用いた有機電子素子及びその電子装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る化合物を用いることで、素子の高い発光効率、低い駆動電圧、高耐熱性を達成することができ、素子の色純度及び寿命を大きく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る有機電子発光素子の例示図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。
各図面の構成要素に参照符号を付すにおいて、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されていても可能な限り、同一の符号を有するようにしていることに留意すべきである。また、本発明を説明するにおいて、関連する公知の構成又は機能に関する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にするおそれがあると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0012】
また、本発明の構成要素を説明するにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を用いることができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語により該当構成要素の本質や順番又は順序などが限定されないわけではない。ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」又は「接続」されると記載された場合、その構成要素は、その他の構成要素に直接的に連結又は接続され得るが、各構成要素の間に他の構成要素が「連結」、「結合」又は「接続」され得ることも理解されるべきである。
【0013】
一方、 本明細書で用いられた用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、他の説明がない限り、フッ素(F)、 塩素(Cl)、ブローム(Br)及びヨード(I)を含む。
本発明に用いられた用語「アルキル」又は「アルキル基」は、他の説明がない限り、1ないし60の炭素数を有し、これに制限されるものではない。
本発明に用いられた用語「アルケニル」又は「アルキニル」は、他の説明がない限り、それぞれ2ないし60の炭素数の二重結合又は三重結合を有し、これに制限されるものではない。
本発明で用いられた用語「シクロアルキル」は、他の説明がない限り、3ないし60の炭素数を有する環を形成するアルキルを意味し、これに制限されるものではない。
本発明で用いられた用語「アルコキシル基」は、他の説明がない限り、1ないし60の炭素数を有し、これに制限されるものではない。
【0014】
本発明で用いられた用語「アリール基」及び「アリーレン基」は、他の説明がない限り、それぞれ6ないし60の炭素数を有し、これに制限されるものではない。
本発明において、「アリール基」又は「アリーレン基」は、単一環又は多環の芳香族を意味し、隣り合う置換基が結合又は反応に加わって形成された芳香族環を含む。例えば、アリール基はフェニル基、ビフェニル基、フルオレン基、スピロフルオレン基、スピロビフルオレン基であり得る。
【0015】
本明細書で用いられた用語「ヘテロアルキル」は、他の説明がない限り、1つ以上のヘテロ原子を含むアルキルを意味する。本発明で用いられた用語「ヘテロアリール基」又は「ヘテロアリーレン基」は、他の説明がない限り、それぞれ1つ以上のヘテロ原子を含む炭素数2ないし60のアリール基又はアリーレン基を意味し、ここに制限されるものではなく、単一環のみならず、多環を含み、隣り合う基が結合して形成されることもできる。
本発明に用いられた用語「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロ環基」は、他の説明がない限り、1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含み、2ないし60の炭素数を有し、単一環だけでなく多環を含み、隣り合う基が結合して形成されることもできる。また、「ヘテロ環基」は、ヘテロ原子を含む脂環族及び/又は芳香族を意味し得る。
本明細書で用いられた用語「ヘテロ原子」は、他の説明がない限り、N、O、S、P又はSiを示す。
【0016】
他の説明がない限り、本発明で用いられた用語「脂肪族」は、炭素数1ないし60の脂肪族炭化水素を意味し、「脂環族環」は炭素数3ないし60の脂肪族炭化水素環を意味する。
他の説明がない限り、本発明で用いられた用語「飽和又は不飽和環」は飽和又は不飽和の脂肪族環又は炭素数6ないし60の芳香族環又はヘテロ環を意味する。
前述したヘテロ化合物以外のその他のヘテロ化合物又はヘテロラジカルは、1つ以上のヘテロ原子を含み、これに制限されるものではない。
【0017】
また、明示的な説明がない限り、本発明で用いられた用語「置換又は非置換の」における「置換」は、重水素、ハロゲン、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、C-C20のアルキル基、C-C20のアルコキシル基、C-C20のアルキルアミン基、C-C20のアルキルチオフェン基、C-C20のアリールチオフェン基、C-C20のアルケニル基、C-C20のアルキニル基、C-C20のシクロアルキル基、C-C20のアリール基、重水素で置換されたC-C20のアリール基、C-C20のアリールアルケニル基、シラン基、ホウ素基、ゲルマニウム基、及びC-C20のヘテロ環基からなる群より選択される1つ以上の置換基で置換されることを意味し、これらの置換基に制限されるものではない。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る有機電子素子に対する例示図である。
図1を参照すれば、本発明に係る有機電子素子100は、基板110上に形成された第1電極120、第2電極180及び第1電極120と第2電極180との間に本発明に係る化合物を含む有機物層を備える。このとき、第1電極120はアノード(正極)であり、第2電極180はカソード(負極)であり得、インバート型の場合には、第1電極がカソードであり、第2電極がアノードであり得る。
【0019】
有機物層は、第1電極120上に順次、正孔注入層130、正孔輸送層140、発光層150、電子輸送層160及び電子注入層170を含むことができる。このとき、発光層150を除いた残りの層が形成されないこともあり得る。正孔阻止層、電子阻止層、発光補助層151、バッファ層141などを更に含んでもよく、電子輸送層160などが正孔阻止層の機能を行ってもよい。
また、図示していないが、本発明に係る有機電子素子は、第1電極と第2電極のうち、少なくとも一面のうち前記有機物層と反対の一面に形成された保護層を更に含むことができる。
【0020】
前記有機物層に適用される本発明に係る化合物は、正孔注入層130、正孔輸送層140、電子輸送層160、電子注入層170、発光層150のホスト又はドーパント又はキャッピング層の材料として使用され得る。
【0021】
本発明の一実施形態に係る有機電子発光素子は、PVD(physical vapor deposition)方法を利用して製造され得る。例えば、基板上に金属又は伝導性を有する金属酸化物又はこれらの合金を蒸着させて正極120を形成し、その上に正孔注入層130、正孔輸送層140、発光層150、電子輸送層160及び電子注入層170を含む有機物層を形成した後、その上に負極180として使用できる物質を蒸着させることによって製造され得る。
【0022】
また、有機物層は、多様な高分子素材を用いて蒸着法ではない溶液工程又はソルベントプロセス(solvent process)、例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、ドクターブレーディング、スクリーンプリンティング、インクジェットプリンティング、又は熱転写法などの方法によってより少ない数の層で製造できる。本発明に係る有機物層は、多様な方法で形成され得るので、その形成方法によって本発明の権利範囲が制限されるものではない。
【0023】
本発明に係る有機電子素子は、用いられる材料によって前面発光型、後面発光型又は両面発光型であり得る。
また、本発明に係る有機電子素子は、有機電子発光素子、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスタ、単色又は白色照明用素子のうちの1つであり得る。
【0024】
本発明の他の実施形態は、前述した本発明の有機電子素子を含むディスプレイ装置と、このディスプレイ装置を制御する制御部を含む電子装置を含むことができる。このとき、電子装置は、現在又は将来の有無線通信端末であり得、携帯電話などの移動通信端末、PDA、電子辞書、PMP、リモコン、ナビゲーション、ゲーム機、各種テレビ、各種コンピュータなどあらゆる電子装置を含む。
【0025】
以下、本発明の一側面に係る化合物について説明する。
本発明の一側面に係る化合物は、下記式1で表される。
<式1>
【化2】
【0026】
前記式において、m、n及びoはそれぞれ1〜4の整数である。
ないしRは互いに独立して、水素;重水素;三重水素;C−C60のアリール基;O、N、S、Si及びPのうちの少なくとも1つのヘテロ原子を含むC−C60のヘテロ環基;C−C50のアルキル基;フルオレニル基;及び−L−N(Ar)(Ar);からなる群より選択され得る。
【0027】
また、RないしRはそれぞれ隣り合う基同士で、互いに結合して、少なくとも1つの環を形成できる。このとき、環を形成しないRないしRはそれぞれ前記において定義されたものと同一に定義され得る。例えば、mとnが全て2である場合、隣り合うR同士は互いに結合して環を形成することができ、Rは隣り合うとしても互いに独立してアリール基又はヘテロ環基になり得る。
勿論、mが2以上の整数の場合、複数のRは互いに同一又は相異することができ、隣り合う基のうち、一部同士で互いに結合して環を形成し、残りの環を形成しない基は前記で定義された置換基のグループから選択され得る。n又はoが2以上の整数の場合も同一である。
一方、隣り合う基同士で互いに結合して形成された環はC−C60の脂環族環、C−C60の芳香族環、C−C60のヘテロ環又はこれらの組み合わせからなる融合環等であり得、単一環又は多環であり得るだけではなく、飽和又は不飽和環であり得る。
【0028】
XはNR又はO(酸素)であり、ここでRはC−C60のアリール基;O,N,S,Si及びPのうちの少なくとも1つのヘテロ原子を含むC−C60のヘテロ環基;C−C50のアルキル基;フルオレニル基;及び−L−N(Ar)(Ar);からなる群より選択され得る。
【0029】
ArはC−C60のアリール基;O、N、S、Si及びPのうちの少なくとも1つのヘテロ原子を含むC−C60のヘテロ環基;C−C50のアルキル基;フルオレニル基;及び−L−N(Ar)(Ar);からなる群より選択され得る。
このとき、前記Ar及びArは互いに独立して、C−C60のアリール基;O、N、S、Si及びPのうち、少なくとも1つのヘテロ原子を含むC−C60のヘテロ環基;C−C50のアルキル基;及びフルオレニル基;からなる群より選択され得る。
【0030】
前記Lは単結合;C−C60のアリーレン基;O、N、S、Si及びP のうち、少なくとも1つのヘテロ原子を含むC−C60のヘテロアリーレン基;及びフルオレニレン基;からなる群より選択され得、これらの(単結合を除き)それぞれは、ニトロ基;シアノ基;ハロゲン基;C−C20のアルキル基;C−C20のアリール基;C−C20のヘテロ環基;C−C20のアルコキシ基;及びアミノ基;からなる群より選択される1つ以上の置換基で置換され得る。
【0031】
また、前記式1は、下記式のうちの1つで表されることができる。
<式2> <式3> <式4>
【化3】
【0032】
このとき、前記式2ないし式4のRないしR、X、m、n及びoは前記式1で定義されたものと同一に定義され得る。
ArはC−C60のアリール基;O、N、S、Si及びPのうち、少なくとも1つのヘテロ原子を含むC−C60のヘテロ環基;C−C50のアルキル基;及びフルオレニル基;からなる群より選択され得る。
また、ZないしZは互いに独立して、CR又はNであり、ここでRは水素;C−C60のアリール基;O、N、S、Si及びPのうち、少なくとも1つのヘテロ原子を含むC−C60のヘテロ環基;C−C50のアルキル基;及びフルオレニル基;からなる群より選択され得る。
【0033】
前記アリール基、フルオレニル基、ヘテロ環基及びアルキル基のそれぞれは、重水素;ハロゲン;シラン基;ホウ素基;ゲルマニウム基;シアノ基;ニトロ基;C−C20のアルキルチオ基;C−C20のアルコキシ基;C−C20のアルキル基;C−C20のアルケニル基(alkenyl);C−C20のアルキニル基(alkynyl);C−C20のアリール基;重水素で置換されたC−C20のアリール基;C−C20のヘテロ環基;C−C20のシクロアルキル基;C−C20 アリールアルキル基;及びC−C20のアリールアルケニル基;からなる群より選択された1つ以上の置換基で置換され得る。
【0034】
ここで、前記アリール基である場合、炭素数は6-60、好ましくは炭素数6-30、より好ましくは炭素数6-20のアリール基であり得、前記ヘテロ環基である場合、炭素数は2-60、好ましくは炭素数2-30、より好ましくは炭素数2-20のヘテロ環であり得、前記アリーレン基である場合、炭素数は6-60、好ましくは炭素数6-30、より好ましくは炭素数6-20のアリーレン基であり得、前記アルキル基である場合、炭素数は1-50、好ましくは炭素数1-30、より好ましくは炭素数1-20、更に好ましくは炭素数1-10のアルキル基であり得る。
【0035】
一方、 前記式1は、 下記化合物のうち1つであり得る。
【化4】
【0036】
【化5】
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】
【化8】
【0040】
以下、本発明に係る式1で表される化合物の合成例及び有機電子素子の製造例に対して実施形態を挙げて具体的に説明するが、本発明が下記実施形態に限定されるものではない。
【0041】
合成例
例示的に本発明に係る化合物(Products)は、下記反応式1のようにSub1とSub2を反応させて製造され得る。
<反応式1>
【0042】
【化9】
【0043】
1.Sub1の合成例
前記反応式1のSub1は、下記反応式2と反応式3の反応経路により合成され得る。
<反応式2>
【化10】
【0044】
中間体Sub1−2の合成
Sub1−1(1当量)に2,2,6,6−tetramethylpiperidine(1.2当量)を入れ、THFに溶かした後、反応物の温度を−78℃に下げた。n−BuLi(2.5M in hexane)(1.1当量)を徐々に滴加し、反応物を30分間攪拌させた。その後、再び反応物の温度を−78℃に下げ、Triisopropylborate(1.5当量)を滴加した。常温で攪拌した後、水を入れて稀釈させ、2N HClを入れる。反応が終了すれば、ethyl acetateと水で抽出した後、有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮した後、生成された有機物をsilicagel column及び再結晶してSub1−2を得た。
【0045】
中間体Sub1−3の合成
Sub1−2(1当量)とブロム化合物(1当量)、Pd(PPh(0.03当量)、NaOH(3当量)を無水THFと少量の水に溶かした後、24時間還流させた。反応が終了すれば、反応物の温度を常温で冷まし、CHClで抽出し、水で拭き取った。少量の水を無水MgSOで除去し、減圧ろ過した後、有機溶媒を濃縮して生成された生成物をカラムクロマトグラフィーを用いて分離して所望のSub1−3を得た。
【0046】
中間体Sub1−4の合成
Sub1−3とtriphenylphosphineをo−dichlorobenzeneに溶かし、24時間還流させた。反応が終了すれば、減圧蒸留を用いて溶媒を除去した後、濃縮された生成物をカラムクロマトグラフィーを用いて分離して所望のSub1−4を得た。
【0047】
中間体Sub1−6の合成
Sub1−4(1当量)とSub1−5(1.1当量)、Pd(dba) (0.3当量)、50%P(t−Bu)(9当量)、NaOt−Bu(3当量)を添加し、40℃で攪拌した。反応が終了すれば、CHClと水で抽出した後、有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮した後、生成された化合物をsilicagel column及び再結晶してSub1−6を得た。
【0048】
中間体Sub1−7の合成
Sub1−6(1当量)とブロム化合物(1当量)、Pd(PPh(0.03当量)、NaOH(3当量)を無水THFと少量の水に溶かした後、24時間還流させた。反応が終了すれば、反応物の温度を常温で冷まし、CHClで抽出し、水で拭き取った。少量の水を無水MgSOで除去し、減圧ろ過した後、有機溶媒を濃縮して生成された生成物をカラムクロマトグラフィーを用いて分離して所望のSub1−7を得た。
【0049】
Sub1(A)の合成
Sub1−7とtriphenylphosphineをo−dichlorobenzeneに溶かし、24時間還流させた。反応が終了すれば、減圧蒸留を用いて溶媒をで除去した後、濃縮された生成物をカラムクロマトグラフィーを用いて分離して所望のSub1(A)を得た。
<反応式3>
【化11】
【0050】
中間体Sub1−9の合成
Sub1−8(1当量)を丸底フラスコにDMFで溶かした後、Bis(pinacolato)diboron(1.1当量)、Pd(dppf)Cl(0.03当量)、KOAc(3当量)を添加し、90℃で攪拌した。反応が終了すれば、蒸留によってDMFを除去し、CHClと水で抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮した後、生成された化合物をsilicagel column及び再結晶してSub1−9を得た。
【0051】
中間体Sub1−10の合成
Sub1−9(1当量)とブロム化合物(1当量)、Pd(PPh(0.03当量)、KCO(3当量)を無水THFと少量の水に溶かした後、24時間還流させた。反応が終了すれば、反応物の温度を常温で冷まし、CHClで抽出し、水で拭き取った。少量の水を無水MgSOで除去し、減圧ろ過した後、有機溶媒を濃縮して生成された生成物をカラムクロマトグラフィーを用いて分離して所望のSub1−10を得た。
【0052】
Sub1(B)の合成
Sub1−10とtriphenylphosphineをo−dichlorobenzeneに溶かし、24時間還流させた。反応が終了すれば、減圧蒸留を用いて溶媒をで除去した後、濃縮された生成物をカラムクロマトグラフィーを用いて分離して所望のSub1(B)を得た。
【0053】
一方、Sub1の例は、以下の通りであるが、これに限定されるものではない。これらのFD−MSは下記表1の通りである。
【化12】
【0054】
【表1】
【0055】
2.Sub2の例
Sub2の例は下記の通りであるが、これに限定されるものではない。これらのFD−MSは下記表2の通りである。
【化13】
【0056】
【化14】
【0057】
【表2】
【0058】
3.Productsの合成例
丸底フラスコにSub1(1当量)、Sub2(1.2当量)、Pd(dba)(0.05当量)、P(t−Bu)(0.1当量)、NaOt−Bu(3当量)、toluene(10.5mL/1mmol)を入れた後、100℃で反応を進行させる。反応が終了すれば、etherと水で抽出した後、有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮した後、生成された有機物をsilicagel column及び再結晶して生成物Productを得た。
【0059】
(1)1−1の合成例
【化15】
【0060】
丸底フラスコに5−phenyl−5,10−dihydrobenzo[a]indolo[2,3−c]carbazole(7.6g、20mmol)、bromobenzene(3.7g、24mmol)、Pd(dba)(0.03〜0.05mmol)、P(t−Bu)(0.1当量)、NaOt−Bu(3当量)、toluene(10.5mL/1mmol)を入れた後、100℃で反応を進行させる。反応が終了すれば、etherと水で抽出した後、有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮した後、生成された有機物をsilicagel column及び再結晶して生成物6.2g(収率:68%)を得た。
【0061】
(2)1−29の合成例
【化16】
【0062】
丸底フラスコに10H−benzo[a]benzofuro[2,3−c]carbazole(6.1g、20mmol)、5−bromo−2,4−diphenylpyrimidine(7.5g、24mmol)、Pd(dba) (0.03〜0.05mmol)、P(t−Bu)(0.1当量)、NaOt−Bu(3当量)、toluene(10.5mL/1mmol)を入れた後、100℃で反応を進行させる。反応が終了すれば、etherと水で抽出した後、有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮した後、生成された有機物をsilicagel column及び再結晶して生成物6.6g(収率:61%)を得た。
【0063】
(3)2−1の合成例
【化17】
【0064】
丸底フラスコに5−phenyl−5,10−dihydrobenzo[a]indolo[2,3−c]carbazole(7.6g、20mmol)、2−chloro−4−phenylquinazoline(5.8g、24mmol)、Pd(dba)(0.03〜0.05mmol)、P(t−Bu)(0.1当量)、NaOt−Bu(3当量)、toluene(10.5mL/1mmol)を入れた後、100℃で反応を進行させる。反応が終了すれば、etherと水で抽出した後、有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮した後、生成された有機物をsilicagel column及び再結晶して生成物7.9g(収率:67%)を得た。
【0065】
(4)2−46の合成例
【化18】
【0066】
丸底フラスコに10H−benzo[a]benzofuro[2,3−c]carbazole(6.1g、20mmol)、2−chloro−4−phenylpyrido[3,2−d]pyrimidine(5.8g、24mmol)、Pd(dba)(0.03〜0.05mmol)、P(t−Bu)(0.1当量)、NaOt−Bu(3当量)、toluene(10.5mL/1mmol)を入れた後、100℃で反応を進行させる。反応が終了すれば、etherと水で抽出した後、有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮した後、生成された有機物をsilicagel column及び再結晶して生成物5.9g(収率:58%)を得た。
【0067】
【表3】

【表4】
【0068】
有機電子素子の製造評価
[実施形態1]グリーン有機発光素子(発光層燐光ホスト)
合成により得られた化合物を発光層の発光ホスト物質として用いて通常の方法によって有機電子発光素子を製造した。まず、ガラス基板に形成されたITO層(正極)上にN−(naphthalen−2−yl)−N,N−bis(4−(naphthalen−2−yl(phenyl)amino)phenyl)−N−phenylbenzene−1,4−diamine(以下、「2−TNATA」と略す)を真空蒸着して60nmの厚さの正孔注入層を形成した。次いで、前記正孔注入層上に、4,4−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下、「NPD」と略す)を20nmの厚さで真空蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、前記正孔輸送層の上部に本発明の化合物1−1をホスト物質として、tris(2−phenylpyridine)−iridium(以下、「Ir(ppy)」と略す)をドーパント物質として用いて95:5の重量でドーピングして30nmの厚さの発光層を蒸着した。その後、(1,1’−ビスフェニル)−4−オレート)ビス(2−メチル−8−キノリンオレート)アルミニウム(以下、「BAlq」と略す)を10nmの厚さで真空蒸着して正孔阻止層を形成し、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下、「Alq3」と略す)を40nmの厚さで成膜して電子輸送層を形成した。次に、前記電子輸送層上にハロゲン化アルカリ金属であるLiFを0.2nmの厚さで蒸着して電子注入層を形成し、Alを150nmの厚さで蒸着して負極を形成することで、有機電子発光素子を製造した。
【0069】
[実施形態2]ないし[実施形態40]グリーン有機発光素子(発光層燐光ホスト)
発光ホスト物質として本発明の化合物1−1の代わりに、下記表4に記載された本発明の化合物1−2ないし1−40を用いた点を除いては、前記実施形態1と同様の方法で有機電子発光素子を製造した。
【0070】
<比較例1>
発光層のホスト物質として本発明の化合物1−1の代わりに、下記比較化合物1を用いた点を除いては、前記実施形態1と同様の方法で有機電子発光素子を製造した。
【0071】
<比較化合物1>
【化19】
【0072】
<比較例2>
発光層のホスト物質として本発明の化合物1−1の代わりに、下記比較化合物2を用いた点を除いては、前記実施形態1と同様の方法で有機電子発光素子を製造した。
【0073】
<比較化合物2>
【化20】
【0074】
<比較例3>
発光層のホスト物質として本発明の化合物1−1の代わりに、下記比較化合物3を用いた点を除いては、前記実施形態1と同様の方法で有機電子発光素子を製造した。
【0075】
<比較化合物3>
【化21】
【0076】
前記実施形態1ないし実施形態40及び比較例1ないし比較例3により製造された有機電子発光素子に順バイアス直流電圧を加えてフォトリサーチ(photoresearch)社のPR−650で電気発光(EL)特性を測定した結果lを下記表4に表された。このとき、寿命は300cd/m2の基準輝度でマックサイエンス社で製造された寿命測定装置によってT90寿命を測定した。
【0077】
【表5】

【表6】
【0078】
前記表4の結果から分かるように、本発明の有機電子発光素子用材料を用いた有機電子発光素子は、グリーン発光層材料として用いられ、高い発光効率、低い駆動電圧及び寿命を顕著に改善され得る。
【0079】
特に、ビスカルバゾールタイプの比較化合物1であるCBPよりペンタヘテロ環を含み、5つの環が融合されたヘテロ環がコアである比較化合物2、比較化合物3がより好ましい効果を現し、ベンゼン環が更に1つ融合され、6つの環が融合されたヘテロ環からなる本発明の化合物が比較化合物より、更に低い駆動電圧、高い発光効率及び寿命を示したが、これはベンゼン環が追加に接合されることで、熱的安定性を高め、隣り合う層と適切なエネルギーレベルを有し、好ましいエネルギーバランスによる結果であると説明することができる。
【0080】
[実施形態41]レッド有機発光素子(発光層燐光ホスト)
合成により得られた本発明の化合物を発光層の発光ホスト物質として用いて通常の方法によって有機電子発光素子を製造した。まず、ガラス基板に形成されたITO層(正極)上に2−TNATAを真空蒸着して60nmの厚さの正孔注入層を形成した。次いで、前記正孔注入層上にNPDを20nmの厚さで真空蒸着して正孔輸送層を形成した。次いで、前記正孔輸送層の上部に本発明の化合物2−1をホスト物質として、bis−(1−phenylisoquinolyl)iridium(III)acetylacetonate(以下、「(piq)Ir(acac)」と略す)をドーパント物質として用いて95:5の重量比でドーピングして30nmの厚さで発光層を蒸着した。その後、BAlqを10nmの厚さで真空蒸着して正孔阻止層を形成し、Alq3を40nmの厚さで成膜して電子輸送層を形成した。次いで、前記電子輸送層上にハロゲン化アルカリ金属であるLiFを0.2nmの厚さで蒸着して電子注入層を形成した後、Alを150nmの厚さで蒸着して負極を形成することで、有機電子発光素子を製造した。
【0081】
[実施形態42]ないし[実施形態88]レッド有機発光素子(発光層燐光ホスト)
発光層のホスト物質として本発明の化合物2−1の代わりに、下記表5に記載された本発明の化合物2−2ないし2−48を用いた点を除いては、前記実施形態 41と同様の方法で有機電子発光素子を製造した。
【0082】
<比較例4>
発光層のホスト物質として本発明の化合物2−1の代わりに、前記比較化合物 1を用いた点を除いては、前記実施形態41と同様の方法で有機電子発光素子を製造した。
【0083】
<比較例5>
発光層のホスト物質として本発明の化合物2−1の代わりに、前記比較化合物 2を用いた点を除いては、前記実施形態41と同様の方法で有機電子発光素子を製造した。
【0084】
<比較例6>
発光層のホスト物質として本発明の化合物2−1の代わりに、前記比較化合物 3を用いた点を除いては、前記実施形態41と同様の方法で有機電子発光素子を製造した。
【0085】
前記実施形態41ないし実施形態88及び比較例4ないし比較例6により製造された有機電子発光素子に順バイアス直流電圧を加えてフォトリサーチ(photoresearch)社のPR−650で電気発光(EL)特性を測定した結果を下記表5に表された。このとき、寿命は300cd/m2の基準輝度でマックサイエンス社で製造された寿命測定装置によってT90寿命を測定した。
【0086】
【表7】

【表8】
【0087】
前記表5の結果から分かるように、本発明の有機電子発光素子用材料を用いた有機電子発光素子は、レッド発光層材料として用いられ、高い発光効率、寿命及び色純度を顕著に改善され得る。
特に、ビスカルバゾールタイプの比較化合物1であるCBPよりペンタヘテロ環を含み、5つの環が融合されたヘテロ環がコアである比較化合物2と比較化合物 3がより好ましい結果を現し、ベンゼン環が更に1つ融合され、6つの環が融合されたヘテロ環にキナゾリン誘導体が置換されている本発明の化合物がレッドホストとして最も優れた結果を示した。これはグリーン発光層素子の結果で説明した理由と同一に説明することができる。
【0088】
本発明の化合物を有機電子発光素子の他の有機物層、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層などに用いても同様の効果が得られることは自明である。
【0089】
以上、本発明を例示的に説明し、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な変形が可能である。従って、本明細書に開示された実施形態は、本発明を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施形態によって本発明の思想と範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、下記の請求範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にあるあらゆる技術は、本発明の権利範囲に含むものとして解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0090】
100 有機電子素子
110 基板
120 第1電極
130 正孔注入層
140 正孔輸送層
141 バッファ層
150 発光層
151 発光補助層
160 電子輸送層
170 電子注入層
180 第2電極
【0091】
<関連出願の相互参照>
本特許出願は、2013年3月15日に韓国に出願した特許出願番号第10−2013−0027621号に対して米国特許法119(a)条(35U.S.C §119(a))によって優先権を主張し、そのあらゆる内容は参考文献として本特許出願に併合される。なお、本特許出願は米国以外に国に対しても上記のような理由で優先権を主張すれば、その全内容は参考文献として本特許出願に組み込まれる。
図1