(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343341
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】加速度計制御
(51)【国際特許分類】
G01P 15/125 20060101AFI20180604BHJP
G01P 15/13 20060101ALI20180604BHJP
G01P 15/08 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
G01P15/125 V
G01P15/125 Z
G01P15/13 B
G01P15/08 101A
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-521679(P2016-521679)
(86)(22)【出願日】2014年9月22日
(65)【公表番号】特表2016-532854(P2016-532854A)
(43)【公表日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】GB2014052867
(87)【国際公開番号】WO2015052487
(87)【国際公開日】20150416
【審査請求日】2017年3月23日
(31)【優先権主張番号】1317859.5
(32)【優先日】2013年10月9日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508296554
【氏名又は名称】アトランティック・イナーシャル・システムズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Atlantic Inertial Systems Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】マルヴァーン,アラン リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ハリシュ,キラン
【審査官】
森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
特許第5184880(JP,B2)
【文献】
特開2001−66323(JP,A)
【文献】
特許第4603685(JP,B2)
【文献】
特開2002−340928(JP,A)
【文献】
特表2010−534823(JP,A)
【文献】
米国特許第5672949(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P15
G01C19
H01L29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の固定コンデンサ電極に対して移動可能なプルーフマスを備える静電容量型加速度計を制御する閉ループ方法であって、
調整可能なマーク/スペース比を用いて前記第1および第2の固定コンデンサ電極に同相および逆位相のパルス幅変調(PWM)駆動信号を印加することと、
前記プルーフマスの動作点をヌル位置に維持するよう機械慣性力と静電力とが釣り合うように閉ループで動作することと、
前記ヌル位置からの前記プルーフマスの変位を表す前記加速度計からの出力信号を検出して誤差信号を提供することと、
前記加速度計の出力信号が加速度と比例するよう前記PWM駆動信号のマーク/スペース比を変更するように前記誤差信号を用いることと、
前記誤差信号を提供する前に前記プルーフマスからの前記出力信号に周波数fで正弦波変調を加えることと、
前記ヌル位置を表す臨界の駆動信号の大きさVcritを認識するように前記周波数fでの前記正弦波変調によって生じる位相シフトをさらに検出することと、
前記第1および第2の固定コンデンサ電極に印加する前記PWM駆動信号の大きさを調整するようにVcrit制御信号を提供すること、または、別個の調整可能な駆動信号を少なくとも1つの追加の固定コンデンサ電極に印加することによって、Vcritに固定して、開ループゲインを最適化することと、
を含むことを特徴とする、閉ループ方法。
【請求項2】
前記第1および第2の固定コンデンサ電極に印加する前記PWM駆動信号の前記大きさを直接調整して、Vcritに固定することを含むことを特徴とする請求項1に記載の閉ループ方法。
【請求項3】
少なくとも1つの追加の固定コンデンサ電極に印加する前記駆動信号の前記大きさを調整して、Vcritに固定することを含むことを特徴とする請求項1に記載の閉ループ方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの追加の固定コンデンサ電極は、前記第1および第2の固定コンデンサ電極から独立していることを特徴とする請求項3に記載の閉ループ方法。
【請求項5】
前記誤差信号を提供した後に変調信号S1に対して90°逆位相の直交信号S3を加えることをさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の閉ループ方法。
【請求項6】
前記Vcrit制御信号を提供する前に変調信号S1に対して90°逆位相の直交信号S3を加えることをさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の閉ループ方法。
【請求項7】
前記出力信号を抽出し、前記変調信号S1と同相の信号S4を減算することを含むことを特徴とする請求項5または6に記載の閉ループ方法。
【請求項8】
前記抽出した出力信号を前記プルーフマスに作用する前記加速度の測定値として提供することをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の閉ループ方法。
【請求項9】
加速度計の閉ループ制御システムであって、
第1および第2の固定コンデンサ電極に対して移動可能なプルーフマスを備える静電容量型加速度計と、
調整可能なマーク/スペース比を用いて前記第1および第2の固定コンデンサ電極に同相および逆位相のパルス幅変調(PWM)駆動信号を印加するように構成されたPWMジェネレータと、
前記プルーフマスの動作点をヌル位置に維持するよう機械慣性力と静電力とが釣り合うように閉ループで動作するPWMサーボと、
前記ヌル位置からの前記プルーフマスの変位を表す前記加速度計からの出力信号を検出して誤差信号を提供するように構成された出力信号検出器であって、前記PWMサーボは、前記加速度計の出力信号が加速度に比例するよう前記PWM駆動信号の前記マーク/スペース比を変更するように前記誤差信号を用いる、出力信号検出器と、
前記PWMサーボに前記誤差信号を提供する前に前記出力信号に周波数fで正弦波変調を加えるように構成された変調器と、
Vcritサーボと、
を備え、前記Vcritサーボは、
(i)前記ヌル位置を表す臨界の駆動信号の大きさVcritを認識するように前記周波数fでの前記正弦波変調によって生じる位相シフトを検出し、
(ii)前記第1および第2の固定コンデンサ電極に印加する前記PWM駆動信号の大きさを調整するようにVcrit制御信号を提供すること、または、別個の駆動信号を追加の固定コンデンサ電極に印加することによって、Vcritに固定して、開ループゲインを最適化する、
ように構成されることを特徴とする、加速度計の閉ループ制御システム。
【請求項10】
前記Vcritサーボは、少なくとも1つの追加の固定コンデンサ電極に印加する1つまたは複数の前記駆動信号の前記大きさを調整するように構成されることを特徴とする請求項9に記載の閉ループ制御システム。
【請求項11】
前記第1および第2の固定コンデンサ電極のそれぞれは、前記プルーフマスから延びている横方向に間隔を置いた可動静電容量電極指のセットと相互に嵌入するように配置された複数の横方向に間隔を置いた固定静電容量電極指を備え、
前記少なくとも1つの追加の固定コンデンサ電極は、前記可動静電容量電極指と相互に嵌入していない複数の横方向に間隔を置いた固定静電容量電極指を備える、
ことを特徴とする請求項10に記載の閉ループ制御システム。
【請求項12】
前記誤差信号を提供した後に前記変調信号S1に対して90°逆位相の直交信号S3を加えるように構成された復調器をさらに備えることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の閉ループ制御システム。
【請求項13】
前記Vcrit制御信号を提供する前に前記変調信号S1に対して90°逆位相の直交信号S3を加えるように構成された復調器をさらに備えることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の閉ループ制御システム。
【請求項14】
前記変調信号S1と同相の信号S4を減算するように構成された出力信号抽出器をさらに備えることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の閉ループ制御システム。
【請求項15】
前記出力信号抽出器は、前記プルーフマスに作用する前記加速度の測定値を提供することを特徴とする請求項14に記載の閉ループ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加速度計、特に、静電容量型加速度計を制御するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量型加速度計は、一般的には、微小電気機械システム(micro−electromechanical system)(MEMS)装置として、シリコンから製造される。これらの小型の装置は、プルーフマスを備える。プルーフマスは、サポートに対して移動可能に取り付けられ、加速度が印加されたことに応答してプルーフマスが感知方向に動くと装置内に捕捉された気体媒質がプルーフマスに減衰を提供するように密封されている。静電容量型加速度計においては、一般的には、プルーフマスに取り付けられた固定電極のセットおよび可動電極のセットが備えられ、プルーフマスの偏位を検出するように電極間の差動静電容量が測定される。
【0003】
WO2005/083451は、装置の感知方向にほぼ垂直に延びる複数の相互に嵌入した(inter−digitated)電極指を備える静電容量型加速度計の実施例を提供する。2つの異なる固定電極指のセットは、感知コンデンサと駆動コンデンサ(forcing capacitor)を形成する。電圧が固定電極指に印加された時、電圧差の符号に応じて正味の引力があるように、感知コンデンサ指は駆動コンデンサ指に対してオフセットされる。装置は、プルーフマスの機械ばねの復元力がコンデンサ電極の静電引力より大きい正のばね定数領域において、または、静電力が機械的復元力を超える、例えば、より高い電圧が固定コンデンサ電極に印加される、負のばね定数領域で、動作させることができる。静電力が、機械ばねの復元力および慣性力と一致すると、プルーフマスはヌル位置になる。
【0004】
1つのアプローチにおいては、同じ電極指を駆動および感知の両方に用いることができる。例えば、プルーフマスの変位の感知に一定の時間を使い、残りの時間をコンデンサ電極の駆動に使う時分割多重を用いることができる。しかしながら、連続的に感知を行わなければ、ヌル条件は正確に計算されない場合があり、従って、ノイズは一般的に高くなる。
【0005】
別のアプローチにおいては、パルス幅変調(PWM)技術を用いて、駆動電極に印加される電圧波形を制御してよい。同相のPWM波形を第1の固定電極のセットに印加し、逆位相のPWM波形を第2の固定電極のセットに印加する。このようなPWM領域においては、マーク/スペース比は、印加される加速度に伴って変化し、加速度の線形尺度(linear measure)を提供する。プルーフマスに作用する正味の力がある場合、出力信号は、プルーフマスがどれだけヌル位置から離れているかを表す誤差バイアスを含む。PWMサーボは、この出力信号を用いて、PWMジェネレータによって適用されるマーク/スペース比を規定してよい。
【0006】
WO2005/083451において、PWMサーボは、電極指を駆動するPWM信号のマーク/スペース比の時間差を調整する。これによって、加速度計の出力を入力加速度と線形にする。PWMジェネレータによって電極に印加される同相および逆位相のPWM波形の大きさは、基準定電圧Vref、一般的には25Vに設定される。この電圧Vrefは、加速度計のゲイン精度を規定するので、変化しない固定電圧である。固定電圧Vrefによって、PWMのマーク/スペース比は印加された加速度の線形関数となることも確実になる、よって、Vrefを一定にすることは重要である。電圧Vrefが変動すると、Vref
2に応じた力を生み出すことになり、望ましくない非線形となる。実際には、Vrefの固定値は、加速度計の動作g範囲を決定する。
【0007】
PWMアプローチを用いることによって、感知と駆動(forcing)の両方を同時に行うことができる。感知は、プルーフマスへの電圧を検出することによって行われる。同相PWM駆動期間中、プルーフマスの電圧は、第1の電極のセットに関するギャップによって与えられ、第2の半サイクルの逆位相PWM駆動期間中、プルーフマスの電圧は、第2の電極のセットに関するギャップによって与えられる。第1の半サイクルと第2の半サイクルとの間の電圧の差によって、プルーフマスの位置のヌル位置に対するオフセットの測定値を与える。従って、1サイクルが完了すると、感知と駆動(forcing)の両方が行われる。
【0008】
加速度計の構成において温度変化および/または機械的変化等のシステムの変化によって、電極指とプルーフマスとの間の相互嵌入のギャップが変化することがある。従来、このような変化は、マーク/スペース比を変えることによって補正されて、プルーフマスを絶えずヌル位置に維持した。この動作点での電圧は、臨界電圧Vcritと考えてよい。しかしながら、開ループの加速度計は、Vcrit位置で不安定である。つまり、プルーフマスは、常にヌル位置から離れるように付勢される傾向がある。プルーフマスの共振周波数ωが加速度計の開ループゲインを決定することは知られている。開ループゲインは、加速度の単位当たりのプルーフマスの検出によって規定される。当該ゲインは、1/ω
2に比例する。開ループゲインは共振周波数ωを低減することによって増加させることができることは、知られているが、これによって検出可能な最大加速度gも制限される。これは、Vcritの値がω
2に従って変化するので、共振周波数が低くなると、Vcritも低くなり、従って、検出可能な最大加速度gも低くなるからである。ループは、条件付きで安定しているので、Vcritを超えると、ループの安定性を得ることが次第に難しくなる。よって、取得可能な有効な最大電圧、つまり、g範囲がある。多くの適用は、高いg範囲を検出する必要があるので、従来のアプローチは、実際の使用において限界がある。
【0009】
共振周波数を低減することなしに加速度計のヘッドゲインを向上させることができると望ましい。ヘッドゲインを最大化することは、プルーフマスがインパルスによってより大きく動くことを意味し、結果として、それに対抗してPWMサーボが動作する誤差信号として働くプルーフマスにかかる信号が大きくなる。このヘッドゲインの増加によって、最終的にはシステムのノイズによって決定されるループロック(loop lock)が改善され、より大きい信号対ノイズ比を取得し得る。
【0010】
負のばね定数領域となるように、電圧を高くして固定電極を駆動することによって、g範囲を増加させることができる。しかしながら、負のばね定数領域で動作することは、全体としての綿密な(closely)周波数応答が不良となってループを安定させるのが難しくなる可能性があり、ループフィルタリングが、より重要となって、詳細なMEMS製作公差に依存することになる。
【0011】
開ループゲインを低下させずに加速度計の加速度g範囲を増加させ、ヘッドゲインを最大化することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の第1の態様によると、第1および第2の固定コンデンサ電極に対して移動可能なプルーフマスを備える静電容量型加速度計を制御する閉ループ方法が提供され、当該方法は、
調整可能なマーク/スペース比を用いて第1および第2の固定コンデンサ電極に同相および逆位相のパルス幅変調(PWM)駆動信号を印加することと、
プルーフマスの動作点をヌル位置に維持するよう機械慣性力と静電力とが釣り合うように閉ループで動作することと、
ヌル位置からのプルーフマスの変位を表す加速度計からの出力信号を検出して誤差信号を提供することと、
加速度計の出力信号が加速度と比例するようPWM駆動信号のマーク/スペース比を変更するように誤差信号を用いることと、
誤差信号を提供する前にプルーフマスからの出力信号に周波数fで正弦波変調を加えることと、
ヌル位置を表す臨界の駆動信号の大きさVcritを認識するように周波数fでの正弦波変調によって生じる位相シフトをさらに検出することと、
第1および第2の固定コンデンサ電極に印加するPWM駆動信号の大きさを調整するようにVcrit制御信号を提供すること、または、別個の調整可能な駆動信号を少なくとも1つの追加の固定コンデンサ電極に印加することによって、Vcritに固定(lock)して、開ループゲインを最適化することと、
を含む。
【0013】
このように、本開示によると、正のばね定数領域と負のばね定数領域との間で臨界遷移があることが認識され、この最適条件が確実に達成されるようにシステム内の固定コンデンサ電極を駆動することは有益であり得る。臨界遷移からのオフセットを感知するために、誤差信号を提供する前に、周波数f、例えば、低周波数信号(典型的には、10〜100Hz)で、追加の正弦波変調をプルーフマスからの出力信号に加える。この結果、PWM駆動信号を低周波数変調し、周波数fでプルーフマスの位置を摂動させる。
【0014】
通常、プルーフマスからの全体的な開ループ伝達関数(open loop transfer function)(OLTF)出力信号は、Vcritよって表されるヌル位置より大きい電圧(すなわち、負のばね定数領域)で、−270°の位相シフトを有する。変調信号を加えることによって、変調周波数で90°の位相シフトを感知することが可能になり、その結果、電圧信号の大きさVcritを認識するのに用い得るOLTFの検出可能な180°の位相シフトとなる。正弦波変調の結果生じる位相シフトの検出を助けるために、方法は、正弦波変調を追加した後、出力信号を積分することを含み得る。正のばね定数領域(Vcrit未満の電圧)においては、ループフィルタ関数において、積分器の存在によって提供される低周波数でOLTFの−90°の位相シフトがある。加速度計に関しては、低周波数および正のばね定数領域における伝達関数は、位相シフトは0°であり、負のばね定数領域においては、位相シフトは−180°に変わる。従って、加速度計の出力信号の90°の位相シフトは、Vcritに該当する。これは、ループフィルタ積分器(低周波数で)からの−90°の位相シフトに加えられると、−180°の位相シフトとなる。これによって、第2の閉ループ制御において、追加のVcritサーボを最適動作点に固定(lock)することができる。
【0015】
本明細書に開示の方法は、Vcrit制御信号を用いた追加の閉ループ制御を効果的に採用する。誤差信号を印加して、PWM駆動信号のマーク/スペース比を調整し、プルーフマスをヌル位置に安定させるPWMサーボに加えて、1つまたは複数の駆動信号の大きさをVcritに一致するように調整するVcritサーボを開示する。方法は、加速度計の伝達関数の−90°の位相シフトの検出を用いて、Vcritサーボを動作させる。
【0016】
固定コンデンサ電極を臨界電圧Vcritで駆動することによって、加速度計の開ループゲインが低周波数で最高となるので、これは、理想的な動作点である。プルーフマスの偏位は、外部摂動を適用することで最小化されるので、ノイズも低減される。追加のサーボモードを用いて、高い安定性および線形性を達成することができる。このような制御方法は、従って、特に低周波数範囲で優れた性能を提供する。特に、低周波数においてVcritで最大ヘッドゲインが得られる。
【0017】
本開示によると、Vcrit条件は、第2の閉ループ制御を用いて、PWM駆動信号の大きさを調整することによって、または、別個の駆動信号を追加の固定コンデンサ電極に印加することによって、達成されてよい。
【0018】
実施例の第1のセットにおいて、方法は、第1および第2の固定コンデンサ電極に印加するPWM駆動信号の大きさを直接調整すること、例えば、PWM供給電圧を調整することを含む。
【0019】
実施例の別のセットにおいては、方法は、少なくとも1つの追加の固定コンデンサ電極に印加する駆動信号の大きさを調整することを含む。これは、追加の固定の、例えば、トリム電極に印加される「トリム」電圧Vtrimを別個に調整することを伴ってよい。理想的には、少なくとも1つの追加の固定コンデンサ電極は、第1および第2の固定コンデンサ電極から独立している。次に、Vcritに最適動作点を維持するように、例えば、サーボ制御の下、トリム電圧Vtrimを変化させてよい。調整可能な駆動信号を少なくとも1つの追加の固定コンデンサ電極に印加することの利点は、この「トリム」電極は、加速度計のスケールファクタに影響を与えることなく、付加的な静電ばね剛性(electrostatic spring stiffness)を与えて、機械ばね定数を電気ばね定数に一致させることができることである。スケールファクタはV^2に伴って変化するので、第2のサーボがVcritを求めるとき、VHTを調整すると、スケールファクタが変化する。よって、(トリム電極を用いない場合)このアプローチは、あまり好まれない。
【0020】
本開示の様々な実施例において、方法は、低周波の正弦波変調信号S1を注入することと、(例えば、加算点後)出力信号から90°の位相シフト、例えば、90°の逆位相を検出することと、を含んでよい。当然、変調信号S1は、正弦波形または余弦波形のいずれかを備えてよい。これによって、第2のフィードバックループで使用される制御信号を生成して第1および第2の固定コンデンサ電極に印加するPWM駆動信号の大きさを調整するように、または、少なくとも1つの追加の固定コンデンサ電極に印加する別個の駆動信号を調整するように、Vcrit動作点を決定することが可能になる。変調された信号を用いて、開ループ伝達関数(OLTF)を決定してよい。
【0021】
さらに、または、あるいは、方法は、例えば、正弦波変調信号S1と加算されて制御信号をPWMサーボループとVcritサーボループに提供する前に、デジタル出力信号を提供するように加速度計からの出力電圧を復調、デジタル化することを含んでよい。従って、当該両サーボは、デジタル領域で動作してよい。正弦波変調信号S1は、デジタル出力信号と加算されるデジタル信号であってよい。
【0022】
駆動信号を調整する前に正弦波変調の影響を取り除くために、方法は、Vcritサーボループ内で、正弦波変調信号S1に対して逆位相、従って、加速度出力信号に対して180°逆位相の直交信号S3を追加することをさらに含んでよい。従って、変調された信号は、誤差信号を提供した後、下流のVcritサーボループにおいて復調されてよい。直交信号S3は、Vcritサーボの一部としての復調器で出力信号と加算されるデジタル信号であってよい。S3信号を追加することによって、上流で注入された変調信号S1を出力信号から取り除く。次に、この復調された信号を用いて、Vcritサーボを駆動し、正確なVcrit動作点を設定する。
【0023】
Vcritサーボループに関して前述した復調に加えて、方法は、正弦波変調信号S1を加えた後、出力信号を抽出するように、サーボループ外で加速度計の出力信号を復調することを含んでよい。方法は、抽出した出力信号をプルーフマスに作用する加速度の測定値として提供することをさらに含んでよい。従って、出力信号は、正弦波変調を取り除くように、サーボループの外側で復調されてよい。方法は、従って、加速度を測定する前に、同相信号S4で変調された出力信号を減算して、変調信号S1を取り除くことを含んでよい。
【0024】
本開示の第2の態様によると、加速度計の閉ループ制御システムが提供され、当該システムは、
第1および第2の固定コンデンサ電極に対して移動可能なプルーフマスを備える静電容量型加速度計と、
調整可能なマーク/スペース比を用いて第1および第2の固定コンデンサ電極に同相および逆位相のPWM駆動信号を印加するように構成されたパルス幅変調(PWM)ジェネレータと、
プルーフマスの動作点をヌル位置に維持するよう機械慣性力と静電力とが釣り合うように閉ループで動作するPWMサーボと、
ヌル位置からのプルーフマスの変位を表す加速度計からの出力信号を検出して誤差信号を提供するように構成された出力信号検出器であって、該PWMサーボは、加速度計の出力信号が加速度と比例するようPWM駆動信号のマーク/スペース比を変更するように誤差信号を用いる、出力信号検出器と、
PWMサーボに誤差信号を提供する前に出力信号に周波数fで正弦波変調を加えるように構成された変調器と、
Vcritサーボと、
を備え、Vcritサーボは、
(i)ヌル位置を表す臨界の駆動信号の大きさVcritを認識するように周波数fでの正弦波変調によって生じる位相シフトを検出し、
(ii)第1および第2の固定コンデンサ電極に印加するPWM駆動信号の大きさを調整するようにVcrit制御信号を提供すること、または、別個の駆動信号を追加の固定コンデンサ電極に印加することによって、Vcritに固定して、開ループゲインを最適化する、
ように構成される。
【0025】
実施例の1つのセットにおいては、Vcritサーボは、少なくとも1つの追加の固定コンデンサ電極に印加する1つまたは複数の駆動信号の大きさを調整する。1つまたは複数の追加の固定コンデンサ電極は、「トリム」電極と考えてよい。理想的には、1つまたは複数のトリム電極は、第1および第2の固定コンデンサ電極から独立している。トリム電極は、慣性力に類似した力を何も加えることなく、ばね剛性に影響を与えるように構成される。従って、トリム電極は、PWMサーボの動作に影響を与えることはないが、静電ばね定数が機械的復元ばね定数に等しいVcritに関する動作点に影響を与える。
【0026】
第1および第2の固定コンデンサ電極のそれぞれは、プルーフマスから延びている横方向に間隔を置いた可動静電容量電極指のセットと相互に嵌入するように配置された複数の横方向に間隔を置いた固定静電容量電極指を備えてよい。少なくとも1つの追加の固定コンデンサ電極は、可動静電容量電極指と相互に嵌入していない複数の横方向に間隔を置いた固定静電容量電極指を備えてよい。
【0027】
本明細書に開示の閉ループ制御システムは、上記の方法のステップの任意のステップを実行するように構成されてよい。例えば、変調器を配置して変調信号S1を注入してよい。これは、開ループ伝達関数(OLTF)を決定できることを意味する。さらに、変調された信号をループに加算した後、誤差信号を提供した後、および/または、Vcrit制御信号を提供する前に、変調信号S1に対して90°逆位相の直交信号を検出するように復調器を配置してよい。システムは、1つまたは複数のこのような復調器を備えてよい。復調器の出力によって、Vcritループフィルタへの入力として誤差信号を形成するVcritサーボを駆動する。Vcritループフィルタは、一般的には積分器である。Vcritループフィルタの出力は、トリム電圧をトリム電極に設定、または、PWM駆動電圧の大きさVHTを調整する電圧である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第1および第2の固定コンデンサ電極に印加される例示的なPWM電圧波形の対を示す図である。
【
図2】相互に嵌入する電極指と、追加の固定トリム電極を備える静電容量型加速度計の第1の実施例を示す図である。
【
図3】
図2の加速度計のサーボ制御の例示的なシステムの概略図である。
【
図4】
図3のサーボ制御をより詳細に示す図である。
【
図5】印加された電圧の関数としての開ループゲインと位相のグラスを示す図である。
【
図6】相互に嵌入する電極指を備え、トリム電極のない静電容量型加速度計の第2の実施例を示す図である。
【
図7】
図6の加速度計のサーボ制御の例示的なシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
添付の図面を参照して1つまたは複数の実施例を記載するが、これらの実施例は制限を意図するものではない。
【0030】
図1は、可変静電容量型の加速度計において(a)第1の固定電極指のセットに印加される電圧波形と、(b)第2の固定電極指のセットに印加される電圧波形の典型的な実施例を示す。2つの電圧波形は、方形波で逆位相になっており、電圧振幅は、0VとVHTとの間で変動する。パルス幅変調(PWM)を用いて、静電力が慣性力を無効にし、マーク/スペース比が印加された加速度と線形を保つように、マーク/スペース比を変更することができる。しかしながら、固定電極指が印加する静電力は、供給電圧の大きさVHTによって決まり、これは、先行技術では変わらない。
【0031】
図2は、外側フレームによって提供される可動プルーフマス2を備える静電容量型加速度計1の概略図である。プルーフマス2は、一対の中央アンカー4によって、底基板(図示せず)に取り付けられる。アンカー4は、例えば、底基板(ガラス基板等)に陽極接合等で、接合されてよい。矢印の方向、すなわち、感知方向の直線加速度に応答してプルーフマスが移動可能なように、撓み部6が、アンカー4と外側フレーム2との間に延びる。複数の横方向に間隔を置いた可動静電容量電極指8は、プルーフマス2から感知方向にほぼ垂直な方向に延びる。可動電極指8は、様々な固定電極指と相互に嵌入される。
【0032】
第1の固定電極指のセット10は、第1の中央サポート10aから可動電極指8と相互に嵌入するように延びる。第2の固定電極指のセット12は、第2の中央サポート12aから可動電極指8と相互に嵌入するように延びる。第1の固定電極指のセット10は、感知方向に平行な一方向に可動電極指8から第1の横方向オフセットを有し、第2の固定電極指のセット12は、反対方向に第2の横方向オフセットを有することが分かる。第1および第2の横方向オフセットは、等しい大きさである。
【0033】
図2に示す静電容量型加速度計1のさらなる特徴は、第1の固定電極指のセット10および第2の固定電極指のセット12は、追加の固定「トリム」電極のセット14によって横方向に分けられていることである。固定トリム電極14は、固定中央サポート14aとプルーフマス2である外側可動フレームとの間に延び、可動電極指8のいずれとも相互に嵌入していない、横方向に間隔を置いた電極指として示される。しかしながら、固定トリム電極14は、複数の電極指ではなく、1つの電極を備える等、任意の適切な形をとってよい。固定トリム電極14aは、第1および第2の固定電極指のセット10、12に印加されるPWM電圧波形に別個に調整可能な電圧を有してよい。プルーフマス上の固定電極14は、プルーフマス2に取り付けられた電荷増幅器によって設定された仮想接地(すなわち、実際上、0V)されている。追加のトリム電圧V
trimは、ゼロ剛性位置に、加速度計1の動作を維持するように調整されてよい。ゼロ剛性位置においては、固定電極10、12、14によって印加される正味の静電引力が、プルーフマス2の機械ばねの復元力と厳密に一致する。
【0034】
図2に示す加速度計1は、
図3に示すような2つのサーボループを備える制御システムによって制御されてよい。加速度計1からの出力信号は、プルーフマス2の変位によって検出される印加された加速度を表す。閉ループ条件下では、プルーフマス2は動かず、釣り合わせるための静電力を与えるマーク/スペース比は、印加された加速度の線形尺度(linear measure)である。出力信号は、プルーフマス2に物理的に接続された電荷増幅器18を通る。電荷増幅器18は、その等価入力インピーダンスが、低周波数で非常に高い値のインピーダンスを提供する静電容量である任意の回路である。次に、PWM周波数の出力信号は、デジタルループフィルタ24を通過する前に、第1のサーボループの復調器20によって復調され、ADC22によってデジタル化される。この電圧出力によって、PWMジェネレータ28を通るPWM比が設定されて、2つの固定指のセット10a、12aに印加される2つの逆位相のPWM駆動信号30a、30bが与えられる。これは、Vcritサーボ32を使用しない、加速度計1の通常の動作を表す。
【0035】
デジタルループフィルタ24の出力は、Vcritサーボループ32に送られる前に、デジタル正弦波変調信号S1と加算される。Vcrit条件からのオフセットを感知するために、追加の正弦波変調信号S1が、ループの加算点に追加される。これは、この周波数でプルーフマス2の位置を変調する効果を有する。Vcritを超えると、加速度計を通して180°の位相シフトがあり、Vcrit未満では、位相シフトは0°である。Vcritでは、90°の位相シフトがある。信号S1の変調周波数(一般的には、10〜100Hz)は、この位相のモニタである。よって、90°の位相となる点、すなわち、Vcritを検出することができる。
【0036】
変調された出力信号S2を用いて、この特定の周波数で、開ループ伝達関数(OLTF)を決定してよい。OLTFは、加算点後、出力信号の注入された信号S1との比から決定される。これは、加速度計1が閉ループで通常動作で動作される時、決定することができる。加算点後のデジタル出力S2は、出力26で抽出されてよい。図示していないが、出力26からの信号は、以下で
図7に関して記載するのと同じ方法でフィルタリングおよび/または復調されてよい。
【0037】
加算点の後、変調された出力信号S2を用いて、2つの異なる方法で閉ループフィードバックを提供する。一つの方法は、変調された出力信号S2をPWMジェネレータ28に供給して、PWMサーボ制御を行う。先行技術と同様、第1および第2の固定電極指のセット10、12に印加される同相のPWM電圧波形30aおよび逆位相のPWM電圧波形30bを用いて加速度計1を駆動する時、誤差信号を用いてPWMジェネレータ28によって与えられるマーク/スペース比を設定する。二つ目の方法は、変調された出力信号S2を追加のV
critサーボ32に供給する。サーボ32は、別個の調整可能な駆動信号を固定トリム電極14に印加する。固定トリム電極14に印加する電圧V
trimの大きさは、開ループゲインが最大化される臨界遷移電圧Vcritに固定(lock)するように調整される。
【0038】
図4は、Vcritサーボ32をより詳細に示す。変調信号S1に対して90°逆位相の直交信号S3が復調器36のために生成され、出力信号S2と加算される。Vcritサーボ32において、加算後信号S2は、復調器36および積分器38を通って、固定トリム電極14に印加する電圧V
trimを生成する。
【0039】
正のばね定数領域においては、OLTFは、低周波数で−90°の位相シフトを有する。負のばね定数領域においては、OLTFは、負のばね定数に対応する追加の180°によって、−270°の位相シフトを有する。従って、Vcritで、OLTFは180°の位相シフトを有し、よって、Vcritサーボ32は、OLTFの180°の位相シフトを保持する必要がある。
【0040】
Vcritで、プルーフマス出力で、変調信号S1の低周波数で180°の位相シフトがあり、よって、この値では、S1の周波数で直交位相信号S3はゼロである。これは、S1の周波数で電荷増幅器18の出力を復調することによって検出されてよい。S1は、加速度計内でデジタル的に生成されるので、S1の周波数で、直交位相の基準信号S3を作成することは可能である。これは、S1の周波数で、S1信号に対して直交位相の各半サイクルを連続的に加算および減算することによって行うことができる。そして、これは、Vcritサーボ32の復調された信号を形成する。この信号は、0°の位相点でVcritでゼロになる。従って、これは、積分器38への入力である誤差信号として働く。次に、積分器38の出力を用いて、サーボ32が直交位相信号に対してヌルで電荷増幅器18の出力を維持することをめざす(すなわち、OLTFから−180°の位相シフトがある)ようにトリム電極に電圧Vtrimを設定する。
【0041】
図5は、どのようにして、加速度計1の開ループゲインが臨界電圧Vcritで最大になるか(この例では、15V)を示す。臨界電圧で、全体的な静電ばね定数は機械ばね定数に一致する、すなわち、プルーフマスは、事実上、両方の力を受けていない。プルーフマスのヌル位置は、PWMのマーク/スペース比を調整することによって第1のサーボループによって別個に決定される。これは、−180°のOLTF位相と一致することが分かる。
【0042】
図6は、外側可動フレームの形態のプルーフマス102を備える別の静電容量型加速度計101を示す概略図である。前述同様に、プルーフマス102は、矢印の方向、すなわち、感知方向の直線加速度に応答して移動可能なように、横方向の撓み部6によって中央アンカー対104に取り付けられる。複数の横方向に間隔を置いた可動静電容量電極指108が、プルーフマス102から感知方向にほぼ垂直な方向に延びている。可動電極指108は、固定電極指の2つのセット110、112と相互に嵌入している。第1および第2の固定電極指のセット110、112はそれぞれ、第1中央サポート110aおよび第2中央サポート112aのそれぞれから、可動電極指108と横方向に反対側にオフセットされて延びている。
【0043】
加速度計101は、追加のトリム電極を備えていないことが分かる。しかしながら、
図7の概略システム図によって分かるようにサーボ制御を用いてVcritを達成することは可能である。この実施例においては、加速度計101からの出力信号は、正弦波変調信号S1を注入される前に、復調器120、ADC122、および、ループフィルタ124を通される。加算後出力S2は、変調信号S1と同相の信号S4を減算することによって復調を行って変調されていない最終出力を作成する前に、ローパスフィルタ126に通すことができる。また、加算後出力S2を用いて、2つの異なる方法で閉ループフィードバックも提供する。一つの方法は、変調された出力信号S2をPWMジェネレータ128に供給する。先行技術と同様、第1および第2の固定電極指のセット110、112に印加される同相のPWM電圧波形130aおよび逆位相のPWM電圧波形130bを用いて加速度計101を駆動する時、PWMジェネレータ128によって与えられるマーク/スペース比を出力信号S2を用いて設定する。2つ目の方法においては、変調された出力信号S2を追加のVcritサーボ132に供給する。サーボ132は、第1および第2の固定コンデンサ電極110、112に印加するPWM駆動信号の大きさVHTを調整する。トリム電極を用いなくても、サーボ132は、固定電極110、112の静電力が慣性力に一致し、プルーフマス102が開ループゲインが最大でヌル位置になる臨界遷移電圧Vcritに、加速度計101をチューニングすることができる。
【0044】
図7には示していないが、Vcritサーボ132は、任意で、
図4に示すサーボ32と同じように、復調器および積分器を備えてよいことは理解されよう。例えば、VHTで固定電極110、112を駆動する制御信号を生成する前に、変調信号S1と90°逆位相の直交信号S3を復調に用いてよい。
【0045】
比較として、
図8は、同相復調器を示す。連続した半サイクルの交互の+と−の信号は、正味のDC出力、すなわち、誤差信号を与える。
図9は、上記復調器36等の直交復調器を示す。交互の+と−の信号は、正味の出力すなわち誤差信号がゼロになるように、打ち消し合うことが分かる。
【0046】
上記に概略を述べた実施例において、低周波数でばね剛性がゼロになる臨界電圧Vcritちょうどでサーボ32、132を動作させることによって、開ループゲインは、共振周波数を低減することなく改良される。追加のVcritサーボ32、132は、閉ループ制御方法で駆動信号をVcritに固定(lock)する。このようにして低周波数でゲインを増加させることによって、バイアス安定性を向上させる。
【0047】
上記加速度計はいずれもMEMS装置として構成してよく、例えば、シリコンから製造されてよいことは理解されよう。
【0048】
上記記載は、限定を目的としない実施例を記載したものであり、請求項に明記する本開示の範囲を逸脱することなく、示した構成に様々な変更および修正を行ってよいことは理解されよう。