特許第6343362号(P6343362)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニチユ三菱フォークリフト株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6343362-有人無人兼用車および配車システム 図000002
  • 特許6343362-有人無人兼用車および配車システム 図000003
  • 特許6343362-有人無人兼用車および配車システム 図000004
  • 特許6343362-有人無人兼用車および配車システム 図000005
  • 特許6343362-有人無人兼用車および配車システム 図000006
  • 特許6343362-有人無人兼用車および配車システム 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6343362
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】有人無人兼用車および配車システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
   G05D1/02 K
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-54714(P2017-54714)
(22)【出願日】2017年3月21日
【審査請求日】2017年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 絢介
【審査官】 黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−115364(JP,A)
【文献】 特開2017−004158(JP,A)
【文献】 特開2016−012257(JP,A)
【文献】 特開2011−110644(JP,A)
【文献】 特開2005−212023(JP,A)
【文献】 特開2012−078950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
G08G 1/00
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面上を走行する車両本体と、
前記車両本体に設けられ、当該車両本体の周囲を撮影して画像データを生成するカメラと、
前記画像データに基づいて、利用者の存在を認識するとともに当該利用者の顔または目の向きを検知し、当該顔または目の向きが前記車両本体に向けられているか否かを判定し、前記利用者が予め定められた適格者であるか否かを認証し、前記利用者の位置を検知するとともに当該位置が予め定められた特定位置であるか否かを判定する画像解析装置と、
前記画像解析装置によって前記顔または目の向きが前記車両本体に向けられていると判定され、かつ、前記画像解析装置によって前記位置が前記特定位置であると判定され、かつ、前記画像解析装置によって前記利用者が前記適格者であると認証されたとき、当該利用者の元へ当該車両本体を走行させる制御装置とを備える
ことを特徴とする有人無人兼用車。
【請求項2】
前記画像解析装置は、
前記画像データから前記利用者の顔に係る顔データを抽出する顔データ抽出部と、
前記適格者の顔に係る特定顔データを記憶している特定顔データ記憶部と、
前記顔データと前記特定顔データとの比較を行って前記利用者が前記適格者であることを認証する認証部とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の有人無人兼用車。
【請求項3】
前記画像解析装置は、前記画像データに基づいて前記利用者の動作を検知するとともに、当該動作が予め定められた特定挙動であるか否かを判定し、
前記制御装置は、前記画像解析装置によって前記顔または目の向きが前記車両本体に向けられていると判定され、かつ、前記画像解析装置によって前記動作が前記特定挙動であると判定され、かつ、前記画像解析装置によって前記利用者が前記適格者であると認証されたとき、当該利用者の元へ当該車両本体を走行させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の有人無人兼用車。
【請求項4】
前記画像解析装置は、
前記画像データから前記利用者の上肢の少なくとも一部の動作を検知する上肢動作検知部と、
検知された前記動作が手または腕を上げる挙手動作であるとき、当該動作を前記特定挙動として判定する特定挙動判定部とを備える
ことを特徴とする請求項3に記載の有人無人兼用車。
【請求項5】
有人運転モードと無人運転モードとを切り替え可能な有人無人兼用車と、
所定の配車要求場所を撮影するように設けられ、当該配車要求場所を撮影して画像データを生成するカメラと、
前記画像データに基づいて、利用者および前記有人無人兼用車の存在を認識するとともに当該利用者の位置と顔または目の向きと当該有人無人兼用車の位置とを検知し、当該顔または目の向きが当該有人無人兼用車に向けられているか否かを判定する画像解析装置と、
前記画像解析装置によって前記顔または目の向きが前記有人無人兼用車に向けられていると判定されたとき、前記利用者に対して当該有人無人兼用車を配車する配車装置とを備える
ことを特徴とする配車システム。
【請求項6】
前記画像解析装置は、前記画像データに基づいて前記利用者が予め定められた適格者であるか否かを認証し、
前記配車装置は、前記画像解析装置によって前記顔または目の向きが前記有人無人兼用車に向けられていると判定され、かつ、前記画像解析装置によって前記利用者が前記適格者であると認証されたとき、当該利用者に対して当該有人無人兼用車を配車する
ことを特徴とする請求項5に記載の配車システム。
【請求項7】
前記有人無人兼用車に前記利用者の元へ移動させるための配車信号を無線で送信する無線通信装置をさらに備える
ことを特徴とする請求項5または6に記載の配車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有人運転モードと無人運転モードとを切り替え可能な有人無人兼用車、および、利用者の元へ有人無人兼用車を配車する配車システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
利用者の手動操作により動作する有人運転モードと、利用者の手動操作によらず自律して動作する無人運転モードとを切り替え可能な有人無人兼用車が知られている(例えば特許文献1参照)。有人無人兼用車に利用者が搭乗する際には、利便性の観点から、その利用者による配車の要求に応じて、無人運転モードで動作している有人無人兼用車が利用者の元へ移動してくることが好ましい。
【0003】
利用者が配車を要求する構成としては、例えば特許文献2に記載されるように、利用者が携帯端末を操作することで、その携帯端末から車または配車管理センターに配車を要求し、携帯端末から配車要求を直接受け付けた車、または配車管理サーバから配車の指示を受け付けた車が、自律走行して利用者の元へ移動する構成を採用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−222108号公報
【特許文献2】特開2016−210417号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、利用者が携帯端末を操作して配車を要求する構成では、携帯端末を操作することが煩わしいという問題や、利用者が携帯端末を紛失した場合には配車を要求することができないという問題がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、利用者が配車を簡単に要求することができる有人無人兼用車および配車システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の有人無人兼用車は、路面上を走行する車両本体と、前記車両本体に設けられ、当該車両本体の周囲を撮影して画像データを生成するカメラと、前記画像データに基づいて、利用者の存在を認識するとともに当該利用者の顔または目の向きを検知し、当該顔または目の向きが前記車両本体に向けられているか否かを判定し、前記利用者が予め定められた適格者であるか否かを認証し、前記利用者の位置を検知するとともに当該位置が予め定められた特定位置であるか否かを判定する画像解析装置と、前記画像解析装置によって前記顔または目の向きが前記車両本体に向けられていると判定され、かつ、前記画像解析装置によって前記位置が前記特定位置であると判定され、かつ、前記画像解析装置によって前記利用者が前記適格者であると認証されたとき、当該利用者の元へ当該車両本体を走行させる制御装置とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の有人無人兼用車は、請求項1に記載の有人無人兼用車において、前記画像解析装置は、前記画像データから前記利用者の顔に係る顔データを抽出する顔データ抽出部と、前記適格者の顔に係る特定顔データを記憶している特定顔データ記憶部と、前記顔データと前記特定顔データとの比較を行って前記利用者が前記適格者であることを認証する認証部とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の有人無人兼用車は、請求項1または2に記載の有人無人兼用車において、前記画像解析装置は、前記画像データに基づいて前記利用者の動作を検知するとともに、当該動作が予め定められた特定挙動であるか否かを判定し、前記制御装置は、前記画像解析装置によって前記顔または目の向きが前記車両本体に向けられていると判定され、かつ、前記画像解析装置によって前記動作が前記特定挙動であると判定され、かつ、前記画像解析装置によって前記利用者が前記適格者であると認証されたとき、当該利用者の元へ当該車両本体を走行させることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に記載の有人無人兼用車は、請求項3に記載の有人無人兼用車において、前記画像解析装置は、前記画像データから前記利用者の上肢の少なくとも一部の動作を検知する上肢動作検知部と、検知された前記動作が手または腕を上げる挙手動作であるとき、当該動作を前記特定挙動として判定する特定挙動判定部とを備えることを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するため、請求項5に記載の本発明の配車システムは、有人運転モードと無人運転モードとを切り替え可能な有人無人兼用車と、所定の配車要求場所を撮影するように設けられ、当該配車要求場所を撮影して画像データを生成するカメラと、前記画像データに基づいて、利用者および前記有人無人兼用車の存在を認識するとともに当該利用者の位置と顔または目の向きと当該有人無人兼用車の位置とを検知し、当該顔または目の向きが当該有人無人兼用車に向けられているか否かを判定する画像解析装置と、前記画像解析装置によって前記顔または目の向きが前記有人無人兼用車に向けられていると判定されたとき、前記利用者に対して当該有人無人兼用車を配車する配車装置とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に記載の配車システムは、請求項5に記載の配車システムにおいて、前記画像解析装置は、前記画像データに基づいて前記利用者が予め定められた適格者であるか否かを認証し、前記配車装置は、前記画像解析装置によって前記顔または目の向きが前記有人無人兼用車に向けられていると判定され、かつ、前記画像解析装置によって前記利用者が前記適格者であると認証されたとき、当該利用者に対して当該有人無人兼用車を配車することを特徴とする。
【0015】
また、請求項7に記載の配車システムは、請求項5または6に記載の配車システムにおいて、前記有人無人兼用車に前記利用者の元へ移動させるための配車信号を無線で送信する無線通信装置をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、利用者が配車を簡単に要求することができる有人無人兼用車および配車システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る配車システムの概要図である。
図2】(A)・(B)同実施形態に係る配車要求場所の一例を示す斜視図である。
図3】同実施形態に係る有人無人兼用車の概略構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る配車システムの概要図である。
図5】同実施形態に係る配車システムの概略構成を示すブロック図である。
図6】変形例に係る有人無人兼用車の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
図1〜3を参照しながら、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、第1実施形態に係る配車システムSは、複数のフォークリフト1を備えており、本実施形態に係る配車システムSにおいては、利用者Hからの配車の要求をフォークリフト1が直接受け付ける。
【0019】
フォークリフト1は、搭乗者(すなわちフォークリフト1に搭乗している利用者)の手動操作により動作する有人運転モードと、手動操作によらずに自律して動作する無人運転モードとを切り替え可能な有人無人兼用車である。配車の要求を受け付けたフォークリフト1は、荷役作業中であれば当該作業終了後に、荷役作業中でなければ直ちに、利用者Hの迎車のために利用者Hの元(利用者H近傍の迎車位置Q)へ移動する。
【0020】
フォークリフト1は、路面上を走行する車両本体10と、車両本体10に設けられたカメラ20A,20Bとを備えている。カメラ20A,20Bは、車両本体10の周囲を撮影して画像データを生成するビデオカメラであって、カメラ20Aは車両本体10の前方を撮影し、カメラ20Bは車両本体10の後方を撮影する。カメラ20A,20Bの少なくとも一方は、配車要求場所Pに存在する利用者Hを撮影することで、利用者Hの画像データを生成する。
【0021】
図2(A)および(B)は、利用者Hが配車要求場所Pの特定位置Rに立っている状態を示す斜視図であり、特定位置Rの目印であるマークMの一例を示している。
図2に示すように、例えば、特定位置Rは、所定の径を有する円形領域内の位置であり、路面には、利用者Hに対して特定位置Rを示すマークMが設けられている。図2(A)に示すように、例えば、マークMが特定位置Rの外周に沿った形状(すなわち閉じた形状)を有している場合は、利用者Hは、マークMの内方に立つことで特定位置Rに位置することができる。また、図2(B)に示すように、例えば、マークMが特定位置Rの中央を示す形状を有している場合は、利用者Hは、マークMの近傍に立つことで特定位置Rに位置することができる。
【0022】
図3は、フォークリフト1の機能ブロック図を示している。
図3に示すように、フォークリフト1は、カメラ20A,20Bで生成された画像データを解析する画像解析装置30と、画像解析装置30による解析結果に基づいて車両本体10の走行を制御する制御装置40とを備えている。
【0023】
画像解析装置30は、カメラ20A,20Bで生成された画像データに基づいて、利用者Hの存在を認識するとともに利用者Hの位置と顔または目の向きとを検知し、検知した利用者Hの顔または目の向きが車両本体10に向けられているか否かを判定するとともに、検知した利用者Hの位置が特定位置Rであるか否かを判定する。また、画像解析装置30は、検知した顔または目の向きが車両本体10に向けられていると判定し、かつ、検知した利用者Hの位置が特定位置Rであると判定したとき、画像データに基づいて利用者Hが予め定められた適格者(配車を要求することを許可された者)であるか否かを認証する。画像解析装置30は、位置検知部31と、特定位置判定部32と、視線検知部33と、凝視判定部34と、顔データ抽出部35と、特定顔データ記憶部36と、認証部37とを備えている。
【0024】
位置検知部31は、画像データから利用者Hの位置とマークMの位置とを検知する。特定位置判定部32は、位置検知部31によって検知された利用者Hの位置と、位置検知部31によって検知されたマークMの位置との比較を行って、利用者Hの位置が特定位置Rであることを判定する。具体的には、例えば、位置検知部31によって図2(A)に示すマークMの位置が検知された場合は、特定位置判定部32は、利用者Hの位置とマークMの位置とが重なっているとき、利用者Hの位置が特定位置Rであると判定する。また、例えば、位置検知部31によって図2(B)に示すマークMの位置が検知された場合は、特定位置判定部32は、マークMの位置から利用者Hの位置までの距離が所定距離未満であるとき、利用者Hの位置が特定位置Rであると判定する。
【0025】
視線検知部33は、画像データから利用者Hの顔または目の向きを検知することで利用者Hの視線を検知する。凝視判定部34は、視線検知部33によって検知された視線がカメラ20A,20Bに向けられているとき、利用者Hが車両本体10を凝視している(すなわち、利用者Hの顔または目の向きが車両本体10に向けられている)と判定する。
【0026】
顔データ抽出部35は、画像データから利用者Hの顔に係る顔データを抽出する。特定顔データ記憶部36は、適格者の顔に係る特定顔データを記憶している。認証部37は、顔データ抽出部35で抽出された顔データと、特定顔データ記憶部36に記憶されている特定顔データとの比較を行って、各データの一致度が高ければ利用者Hが適格者であることを認証する。
【0027】
制御装置40は、画像解析装置30の凝視判定部34によって利用者Hの顔または目の向きが車両本体10に向けられていると判定され、かつ、画像解析装置30の特定位置判定部32によって利用者Hの位置が特定位置Rであると判定され、かつ、画像解析装置30の認証部37によって利用者Hが適格者であると認証されたとき、利用者Hの元(迎車位置Q)へ車両本体10を走行させる。また、制御装置40は、フォークリフト1が荷役作業中である場合、すなわち車両本体10が荷物を支持している場合には、荷物の搬送完了後(荷置き後)に利用者Hの元へ車両本体10を走行させる。
【0028】
以上のように構成された配車システムSにおいては、配車を要求することが許可された適格者である利用者Hが特定位置Rに立った状態でフォークリフト1を凝視すると、そのフォークリフト1が利用者Hに対して配車される。そして、利用者Hは、迎車位置Qに到着したフォークリフト1に搭乗し、無人運転モードから有人運転モードに切り替えることによって、フォークリフト1を操作して荷役作業を行うことが可能である。
【0029】
上記実施形態では以下の効果が得られる。
(1)画像解析装置30によって検知された利用者Hの顔または目の向きが、車両本体10に向けられていると判定されたとき、利用者Hに対してフォークリフト1が配車される。このため、利用者Hは、携帯端末等を操作することなく、フォークリフト1を凝視するだけで配車を要求することができる。したがって、本発明の配車システムSにおいては、利用者Hがフォークリフト1の配車を簡単に要求することができる。
【0030】
(2)利用者Hの顔または目の向きが車両本体10に向けられていると判定され、かつ、利用者Hが適格者であると認証されたとき、利用者Hに対してフォークリフト1が配車される。このため、配車を要求することを許可された適格者でない者がフォークリフト1を凝視した場合には、フォークリフト1を配車しないようにすることができる。すなわち、関係者以外の者の配車の要求を受け付けないようにすることができる。
【0031】
(3)利用者Hの顔データと適格者の特定顔データとの比較を行って利用者Hが適格者であることが認証される。このため、利用者Hが適格者であるか否かの認証を詳細に行うことができる。
【0032】
(4)利用者Hの顔または目の向きが車両本体10に向けられていると判定され、かつ、利用者Hの位置が特定位置Rであると判定され、かつ、利用者Hが適格者であると認証されたとき、利用者Hに対してフォークリフト1が配車される。このため、利用者Hが特定位置R以外の位置でフォークリフト1を意図せずに凝視した場合には、フォークリフト1を配車しないようにすることができる。
【0033】
(第2実施形態)
図4および図5を参照しながら、本発明の第2実施形態について説明する。
図4に示すように、第2実施形態に係る配車システムSは、複数のフォークリフト1と、カメラ2と、画像解析装置3と、配車装置4と、無線通信装置5とを備えている。本実施形態においては、利用者Hからの配所の要求を配車装置4が受け付け、配車システムSは、配車装置4から配車信号をフォークリフト1に送信することで、所定の配車要求場所Pに居る利用者Hに対してフォークリフト1を配車する。
【0034】
フォークリフト1は、配車装置4から配車信号を受信したとき、荷役作業中であれば当該作業終了後に、荷役作業中でなければ直ちに、利用者Hの迎車のために利用者Hの元(利用者H近傍の迎車位置Q)へ移動する。
【0035】
カメラ2は、配車要求場所Pを撮影するように建屋の天井に設けられた全方位カメラであって、配車要求場所Pを撮影して画像データを生成する。カメラ2は、配車要求場所Pに存在する利用者Hと無人走行モードで動作しているフォークリフト1を撮影することで、利用者Hおよびフォークリフト1の画像データを生成する。
【0036】
画像解析装置3は、カメラ2で生成された画像データに基づいて、利用者Hおよびフォークリフト1の存在を認識するとともに利用者Hの位置と顔または目の向きとフォークリフト1の位置を検知し、検知した利用者Hの顔または目の向きがフォークリフト1に向けられているか否かを判定するとともに、検知した利用者Hの位置が特定位置Rであるか否かを判定する。また、画像解析装置3は、検知した顔または目の向きがフォークリフト1に向けられていると判定し、かつ、検知した利用者Hの位置が特定位置Rであると判定したとき、画像データに基づいて利用者Hが予め定められた適格者であるか否かを認証する。画像解析装置3は、第1実施形態の画像解析装置30と同様の構成を備えている。以下、第1実施形態と相違する構成を説明し、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0037】
位置検知部31は、画像データから利用者Hの位置とマークMの位置とフォークリフト1の位置とを検知する。視線検知部33は、画像データから利用者Hの顔または目の向きを検知することで利用者Hの視線を検知する。凝視判定部34は、位置検知部31によって検知された利用者Hおよびフォークリフト1の位置と、視線検知部33によって検知された視線とに基づいて、利用者Hがフォークリフト1を凝視していると判定する。具体的には、凝視判定部34は、検知された利用者Hの顔または目の向きが、検知された利用者Hの位置からフォークリフト1の位置への向きと一致するとき、利用者Hがフォークリフト1を凝視していると判定する。
【0038】
配車装置4は、画像解析装置3によって利用者Hの顔または目の向きがフォークリフト1に向けられていると判定され、かつ、画像解析装置3によって利用者Hの位置が特定位置Rであると判定され、かつ、画像解析装置3によって利用者Hが適格者であると認証されたとき、利用者Hの元(迎車位置Q)へフォークリフト1を配車する。すなわち、配車装置4は、利用者Hがフォークリフト1を凝視していない場合、利用者Hが特定位置Rに居ない場合、および、利用者Hが適格者であると認証されなかった場合には、フォークリフト1を配車しない。配車装置4は、フォークリフト1を配車する際に、利用者Hが凝視していると判定されたフォークリフト1、すなわち利用者Hの顔または目の向きによって選択されたフォークリフト1に、利用者Hの元へ移動されるための配車信号を送信する。
【0039】
無線通信装置5は、フォークリフト1と無線通信可能な場所に設けられており、配車装置4とフォークリフト1との通信を中継することで、配車装置4から送信された配車信号をフォークリフト1に無線で送信する。
【0040】
以上のように構成された配車システムSにおいても、配車を要求することが許可された適格者である利用者Hが特定位置Rに立った状態でフォークリフト1を凝視すると、そのフォークリフト1が利用者Hに対して配車される。したがって、上記(1)〜(4)に記載の効果が得られる。
【0041】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記構成を適宜変更することもできる。例えば、上記実施形態を、以下のように変更して実施してもよく、以下の変更を組み合わせて実施してもよい。
【0042】
・第1実施形態において、フォークリフト1は1台のカメラを備えていてもよい。この場合、1台のカメラは、広範囲を撮影するために全方位カメラであることが好ましい。また、第2実施形態において、配車システムSは、2台以上のカメラを備えてもよく、利用者Hを撮影するカメラとフォークリフト1を撮影するカメラが異なっていてもよい。
【0043】
・利用者Hの位置が特定位置Rであるか否かが判定されることなく、フォークリフト1を配車することもできる。すなわち、利用者Hの顔または目の向きが車両本体10またはフォークリフト1に向けられていると判定され、かつ、利用者Hが適格者であると認証されたとき、利用者Hに対してフォークリフト1を配車することもできる。
【0044】
・画像解析装置30は、画像データに基づいて利用者Hの動作を検知するとともに、当該動作が予め定められた特定挙動であるか否かを判定してもよく、制御装置40は、画像解析装置30によって利用者Hの顔または目の向きが車両本体10に向けられていると判定され、かつ、画像解析装置30によって検知された利用者Hの動作が特定挙動であると判定され、かつ、画像解析装置3によって利用者Hが適格者であると認証されたとき、利用者Hの元へ車両本体10を走行させてもよい。同様に、画像解析装置3は、利用者Hの動作を検知するとともに当該動作が予め定められた特定挙動であるか否かを判定してもよく、配車装置4は、利用者Hの顔または目の向きが車両本体10に向けられていると判定され、かつ、利用者Hの動作が特定挙動であると判定され、かつ、利用者Hが適格者であると認証されたとき、フォークリフト1を配車してもよい。図6は、本変形例に係る画像解析装置30の機能ブロック図を示している。
【0045】
図6に示すように、上記変形例に係る画像解析装置30は、位置検知部31および特定位置判定部32に代えて、上肢動作検知部38と、特定挙動判定部39とを備えている。
上肢動作検知部38は、画像データから利用者Hの上肢の少なくとも一部の動作を検知する。特定挙動判定部39は、上肢動作検知部38によって検知された動作が手または腕を継続して頭よりも高く上げる挙手動作であるとき、その動作を配車要求のための特定挙動として判定する。同変形例では、制御装置40は、画像解析装置30の凝視判定部34によって利用者Hの顔または目の向きが車両本体10に向けられていると判定され、かつ、画像解析装置30の特定挙動判定部39によって利用者Hの動作が特定挙動として判定され、かつ、画像解析装置30の認証部37によって利用者Hが適格者であると認証されたとき、利用者Hの元へ車両本体10を走行させる。したがって、この変形例のように構成された配車システムSにおいては、配車を要求することが許可された適格者である利用者Hが配車要求場所Pで手または腕を上げた状態でフォークリフト1を凝視すると、そのフォークリフト1が利用者Hに対して配車される。
【0046】
上記変形例では以下の効果が得られる。
(5)利用者Hは、携帯端末等を操作することなく、カメラ2に写る任意の位置で手または腕を上げながらフォークリフト1を凝視することによって、フォークリフト1の配車を要求することができる。
【0047】
(6)利用者Hの動作が手または腕を上げる挙手動作であるとき、その動作が配車要求のための特定挙動として判定される。このため、利用者Hが配車要求のための動作を行っていることを容易に検出することができる。
【0048】
・顔データと特定顔データとを比較することなく、利用者Hが適格者であることを認証することもできる。例えば、利用者Hの服装の色、帽子の色、ヘルメットの色、または、これらの組み合わせを識別することで、利用者Hが適格者であることを認識することもできる。
【0049】
・利用者Hの顔または目の向きが車両本体10またはフォークリフト1に向けられていると判定されたとき、利用者Hが適格者であるか否かが認証されることなく、利用者Hに対してフォークリフト1を配車することもできる。
【符号の説明】
【0050】
1 フォークリフト(有人無人兼用車)
2 カメラ
3 画像解析装置
4 配車装置
5 無線通信装置
20A,20B カメラ
30 画像解析装置
31 位置検知部
32 特定位置判定部
33 視線検知部
34 凝視判定部
35 顔データ抽出部
36 特定顔データ記憶部
37 認証部
38 上肢動作検知部
39 特定挙動判定部
40 制御装置
H 利用者
P 配車要求場所
R 特定位置
Q 迎車位置
S 配車システム
【要約】
【課題】利用者が配車を簡単に要求することができる有人無人兼用車および配車システムを提供する。
【解決手段】有人無人兼用車であるフォークリフト1は、路面上を走行する車両本体と、車両本体の周囲を撮影して画像データを生成するカメラ20A,20Bと、画像データに基づいて、利用者の存在を認識するとともに利用者の顔または目の向きを検知し、その顔または目の向きが車両本体に向けられているか否かを判定する画像解析装置30と、画像解析装置30によって顔または目の向きが車両本体に向けられていると判定されたとき、利用者の元へ車両本体を走行させる制御装置40とを備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6