(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6343375
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】電力系統制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
H02J3/38 110
H02J3/38 130
H02J3/38 160
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-139693(P2017-139693)
(22)【出願日】2017年7月19日
【審査請求日】2017年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000195959
【氏名又は名称】西芝電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(72)【発明者】
【氏名】吉識 友雄
【審査官】
原 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−038479(JP,A)
【文献】
特開2005−328608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
常用発電設備と、自然エネルギーを利用した発電設備とを併用する電力系統制御システムであって、前記電力系統の安定化のためにシンクロナスコンデンサを含む設備をさらに具備し、前記常用発電設備と前記自然エネルギーを利用した発電設備の稼働状況に応じて前記シンクロナスコンデンサの発停制御を行うようにした電力系統制御システム。
【請求項2】
前記シンクロナスコンデンサの発停制御は、電力系統が必要とする時にのみ運転させ、不要時には停止させるものである、請求項1記載の電力系統制御システム。
【請求項3】
前記常用発電設備、自然エネルギーを利用した発電設備、及びシンクロナスコンデンサ設備は、少なくとも遮断器を介して電力系統に接続されるとともに、これらと接続されたトータル制御装置によって、それぞれの稼働状況がモニターされる、請求項2記載の電力系統制御システム。
【請求項4】
前記電力系統には、複数の負荷と各負荷毎に設けられた過電流継電器が遮断器を介してさらに設けられた、請求項3記載の電力系統制御装置。
【請求項5】
前記トータル制御装置は、前記常用発電設備及び前記自然エネルギーを利用した発電設備の供給可能な短絡電流値、及び前記過電流継電器の動作に必要な電流値を演算し、これら電流値の比較結果に基づいて前記シンクロナスコンデンサの発停制御を行う、請求項4記載の電力系統制御システム。
【請求項6】
前記トータル制御装置は、前記過電流継電器の動作に必要な電流値が前記供給可能な電流値と同じもしくは大きい場合はシンクロナスコンデンサの運転指令を出力し、小さい場合はシンクロナスコンデンサの停止指令を出力する請求項5記載の電力系統制御システム。
【請求項7】
前記トータル制御装置は、予め設定された負荷率と前記常用発電設備の稼働時の運転負荷率とを比較し、その比較結果に基づいて前記シンクロナスコンデンサの発停制御を行う、請求項3記載の電力系統制御システム。
【請求項8】
前記トータル制御装置は、前記運転負荷率が前記予め設定した負荷率と同じもしくは小さい場合はシンクロナスコンデンサの運転指令を出力し、大きい場合はシンクロナスコンデンサの停止指令を出力する請求項7記載の電力系統制御システム。
【請求項9】
前記シンクロナスコンデンサを含む設備はさらに起動用電動機を含む、請求項2記載の電力系統制御システム。
【請求項10】
前記シンクロナスコンデンサを含む設備はさらに原動機を含む、請求項2記載の電力系統制御システム。
【請求項11】
前記シンクロナスコンデンサを含む設備はさらに原動機と、この原動機とシンクロナスコンデンサとの間に設けられたクラッチを含む、請求項2記載の電力系統制御システム。
【請求項12】
前記自然エネルギーを利用した発電設備は、太陽光発電設備、風力発電設備、或いはバイオマス発電設備の少なくとも一つ又は、それらの組み合せからなる、請求項1記載の電力系統制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば、シンクロナスコンデンサを用いた電力系統制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、離島などの電力系統では自然エネルギーを利用した太陽光発電設備、風力発電設備といった再生可能エネルギー設備等の普及により十分な有効電力の確保が可能となってきている。
【0003】
一方で、その再生可能エネルギー設備を用いて有効電力を供給するようになると、常用(内燃力)発電設備は低負荷で効率の悪い運転となる可能性がある。例えば、再生可能エネルギー設備の出力変動に伴い、常用発電設備で運転と停止を頻繁に繰り返す場合が生じる。これにより、持続短絡電流の供給量が不足したり、系統電圧が不安定になったりすることが懸念される。
【0004】
また、前記再生可能エネルギー設備が導入されることに伴って、ベース運転として電力の安定供給をしていた常用発電設備の運転台数を減少させることもある。このような場合は、ますます持続短絡電流の供給量が不足する可能性がある。
【0005】
上記持続短絡電流の供給不足等の対策として、電力系統に無効電力調整のためのシンクロナスコンデンサを接続し、シンクロナスコンデンサを基本的に常時運転として、常用発電設備の運転台数減少時における系統側事故発生時等でも持続短絡電流を供給できるようにすることが行われている。
【0006】
しかしながら、前述したようにシンクロナスコンデンサは常時運転を行うため、運転の必要がない状況においても運転が継続され、無駄に電力を消費している場合がある。つまり、シンクロナスコンデンサを用いた電力系統全体として、効率の悪い運転となってしまっている場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017−38479
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本実施形態は、シンクロナスコンデンサを用いた電力系統において、効率的な電力制御を行えるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の電力制御システムは、常用発電設備と、自然エネルギーを利用した発電設備とを併用する電力系統制御システムであって、前記電力系統の安定化のためにシンクロナスコンデンサを含む設備をさらに具備し、前記常用発電設備と前記自然エネルギーを利用した発電設備の稼働状況に応じて前記シンクロナスコンデンサの発停制御を行うようにした。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る電力系統制御システムの全体構成を示す図。
【
図2】本発明の実施形態に係る電力系統制御システムのトータル制御装置における処理の一部(処理1)を説明するためのフローチャート。
【
図3】本発明の実施形態に係る電力系統制御システムのトータル制御装置における処理の一部(処理2)を説明するためのフローチャート。
【
図4】本発明の実施形態に係る電力系統制御システムのトータル制御装置における処理の一部(処理3)を説明するためのフローチャート。
【
図5】本発明の実施形態に係る電力系統制御システムのトータル制御装置における処理の一部(処理4)を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の電力系統制御システムについて、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態の電力系統制御システムの全体構成図を示す図である。
図1に示すように、電力系統8には、常用(内燃力)発電設備A1、A2、太陽光発電設備B、風力発電設備C、及びシンクロナスコンデンサ設備D1が、開閉用遮断器CBやパワーコンディショナーPCS等を介して接続されたものとなっている。
【0013】
ここで、シンクロナスコンデンサ設備D1は、電力系統を安定化させるためのものであり、前記遮断器CBを介して電力系統8に接続されたシンクロナスコンデンサ1と、このシンクロナスコンデンサ1(その機能については後述する)の起動用電動機4及び励磁調整装置2を備えたものとなっている。
【0014】
尚、
図1のシンクロナスコンデンサ設備D1の起動用電動機4に代り、同図のD2に示されるような原動機5を設けた構成としてもよいし、同図のD3に示されるような、原動機5とシンクロナスコンデンサ1の直結部を結合・離脱させるクラッチ6とを備えた構成としてもよい。
【0015】
また、常用発電設備A1、A2はそれぞれ、前記遮断器CBを介して発電機(G)10と、この発電機10用の原動機(E)11及び常用発電設備の出力制御をつかさどるガバナ3並びに励磁調整装置2を備えたものとなっている。
【0016】
さらにまた、電力系統8には、複数の負荷7(ここでは、L1、L2、L3)が開閉用遮断器CBを介して接続されている。
【0017】
各負荷にそれぞれ接続される遮断器CBは、通常は閉状態となっているが、過電流継電器(OCR)12がフィーダ過電流を検出した場合に開状態となるように制御される。尚、過電流継電器12に付随して図示されているのは電流計Aである。
【0018】
本実施形態の電力系統制御システムでは、各設備A1、A2、B、C、D1は、トータル制御装置9と結ばれている。D1に代わるD2、D3の場合も同様であるので、D2、D3についての説明は以下省略する。
【0019】
各設備A1、A2、B、C、D1の運転状態(稼働状況)は、このトータル制御装置9によって継時的にモニタリングされ、D1は、各々の稼働状況が最適になるようにトータル制御装置9から伝送される制御指令によって制御される。
【0020】
尚、前記過電流継電器12の設定値は、フィーダ毎に設定される負荷により決定し、後述するOCR(Over Current Relay)設定値として、トータル制御装置9において設定される。
【0021】
ここで、シンクロナスコンデンサ1の機能について、以下説明する。
【0022】
シンクロナスコンデンサ1は、常時回転させることにより回転エネルギーを蓄え、この回転エネルギーを電気エネルギーに変換することで、瞬時に持続短絡電流を電力系統8に供給する機能を有する。また、シンクロナスコンデンサ1は、電力系統8内のどこかで短絡事故が発生した場合、短絡事故点を電力系統8から分離する遮断器CBを動作させるために、常用発電設備A1、A2、太陽光発電設備B、風力発電設備C等から供給される電流と共に必要な持続短絡電流を一定時間供給する機能を有する。
【0023】
すなわち、シンクロナスコンデンサ1は、各負荷7(L1、L2、L3)の各開閉遮断器CBより負荷7側において短絡が発生した場合、例えば、常用発電装置A1、A2と協調して動作し、各負荷7の開閉遮断器CBの開閉動作が可能な大きさの持続短絡電流を各遮断器CBに供給する手段として作用する。
【0024】
また、シンクロナスコンデンサ1は、励磁調整装置2を介して電圧調整を行い、電力系統8に出力する無効電力を制御する機能を有する。シンクロナスコンデンサ設備D1の遮断器CBは、電力系統8の運用に支障をきたす場合には、電力系統8から切り離される。
【0025】
シンクロナスコンデンサ1の稼働状況あるいは無効電力の出力の情報はトータル制御装置9に送られる。
【0026】
尚、
図1の本実施形態においては、常用(内燃力)発電設備をA1、A2と2基備えたものとなっているが、必ずしも2基に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0027】
また、太陽光発電設備Bと風力発電設備Cは、これらの両方が電力系統8に接続されている必要もなく、どちらか一方が接続されるものであってもよい。
【0028】
さらに、本実施形態の電力系統制御システムは常用(内燃力)発電設備に、自然エネルギーを利用した発電設備である太陽光発電設備Bと風力発電設備Cを組み合せて構成されたものであるが、バイオマス発電設備も含めた、所謂、再生可能エネルギー設備と組み合わせて構成することも勿論可能である
前述した本電力系統制御システムでは、前記シンクロナスコンデンサD1(或いはD2、D3)を用いることで無効電力の調整をしたり、持続短絡電流の供給量を確保したりすることが可能となっている。
【0029】
さらに、本実施形態ではシンクロナスコンデンサを、常時運転させるのではなく、必要時にのみ運転させ、不要時には停止させる発停制御を行えるようにして効率的な電力制御による省エネルギーの電力系統制御システムを実現することが可能である。
【0030】
本実施形態の電力系統制御システムの具体的な制御方法について、以下、図示の制御フローを用いながら、順次詳細に説明する。
【0031】
(第1の実施形態)
[A]供給可能な持続短絡電流値の演算フロー(処理1)
図2は、実施形態の電力系統制御システムに係る、トータル制御装置9における処理の一部(処理1)を説明するためのフローチャートである。
【0032】
まず、常用発電設備A1、A2が供給可能な持続短絡電流を初期設定として入力(S1)し、太陽光発電設備B、風力発電設備Cは、持続短絡電流が供給できない(S4、S5)ものとする。
【0033】
トータル制御装置9は、常用発電設備A1、A2、及び太陽光発電設備B、風力発電設備Cの運転状態(稼働状況)を常時モニターし、その結果を前記トータル制御装置9に情報として入力する。例えば、
図2に示すように常用発電設備A1、A2の開閉遮断器CBが閉状態(Y)であり発電機として稼働しているのか、開閉遮断器CBが開状態(N)であり電力系統8から切り離されているのかを判断する(S2)。
【0034】
開閉遮断器CBが閉状態(Y)であると判断された場合には、常用発電設備A1、A2の使用電流値を求める(S3)。逆に、開閉遮断器CBが開状態(N)と判断された場合には、電力系統8への持続短絡電流の供給が不可であるので、開閉遮断器CBの開閉状態の判断ステップ(S2)に再び戻る。
【0035】
また、太陽光発電設備Bと風力発電設備Cも、運転状態(N/Y)又は開閉遮断器CBの開閉状態(N/Y)をモニター結果から判断し(S6、S7)、運転又は閉状態と判断された場合(Y)のみ、各設備B、Cの使用電流値を求める(S8、S9)。このようにして各設備A1、A2、B、Cからそれぞれ求めた電流値に基づいて電力系統8に供給可能な持続短絡電流値Icを演算する(S10)。前記太陽光発電設備B、風力発電設備Cの運転状態又は開閉遮断器CBが停止(N)又は開状態(N)と判断された場合は、判断ステップ(S6、S7)に再び戻る。
【0036】
[B]過電流継電器12の動作に必要な電流値の演算フロー(処理2)
図3は、トータル制御装置9における処理の一部(処理2)を説明するためのフローチャートである。
【0037】
まず、
図1の各負荷7(L1、L2、L3)毎の前記過電流継電器(OCR)12を動作させるための電流値であるOCR設定値がトータル制御装置9において初期設定として入力される(S11)。尚、このOCR設定値は、前記トータル制御装置9以外でローカルに設定されていてもよい。
【0038】
そして、各負荷7(L1、L2、L3)にそれぞれ接続された開閉遮断器CBの開閉状態(N/Y)をモニター結果から判断し(S12)、閉状態の場合(Y)は、各フィーダの電流値をトータル制御装置9へ入力することで、事故時に過電流継電器12を動作(OCR動作)させるのに必要な電流値Iocrを演算する(S13)。また、開閉遮断器CBが開状態(N)の場合は、その負荷7は電力系統8から切り離されているので、開閉状態の判断(S12)のステップに戻る。
【0039】
[C]シンクロナスコンデンサ設備D1の発停制御のフロー(処理3)
図4は、トータル制御装置9における処理の一部(処理3)を説明するためのフローチャートである。
【0040】
ここでは、前記処理1のS10で演算した供給可能な持続短絡電流値Icと
前記処理2のS13で演算したOCR動作に必要な電流値Iocrを取得し、これらの値の比較を行う(S14、S15)。すなわち、過電流継電器を動作させるのに必要な電流値Iocrが、持続短絡電流Icの供給能力よりも大きいかどうか(Iocr≧Ic)の比較を行い(S15)、シンクロナスコンデンサ設備D1の運転指令を出すか(S17)、停止指令を出すか(S19)を判断する。
【0041】
すなわち、トータル制御装置9は、S15の比較の結果、Iocr≧Icであれば(S15;Y)、シンクロナスコンデンサ設備D1が運転中でない場合(S16;N)にシンクロナスコンデンサ設備D1の運転指令を出力し、稼働させる(S17)。S16でもし運転中であれば(S16;Y)、シンクロナスコンデンサ設備D1の稼働を継続させる(S20)。
【0042】
一方、S15の電流値の比較の結果、Iocr<Icであれば(S15;N)、シンクロナスコンデンサ設備D1が運転中である場合(S18;Y)にシンクロナスコンデンサ設備D1の運転停止指令を出力し、稼働を停止させる(S19)。もし運転中でなければ(S18;N)、シンクロナスコンデンサ設備D1の稼働停止を継続させる(S21)。
【0043】
(第2の実施形態)
[D]シンクロナスコンデンサ設備D1の発停制御のフロー(処理4)
第1の実施形態では、シンクロナスコンデンサ設備D1の発停制御を、処理1で演算した供給可能な持続短絡電流値Icと処理2で演算したOCR動作に必要な電流値Iocrとの比較に基づいて行ったが、第2の実施形態においては、常用発電設備A1、A2の負荷率に基づいて発停制御を行う。
【0044】
すなわち、太陽光発電設備Bや風力発電設備Cの出力が増大するようになると、ベース運転として電力の安定供給を担っている常用発電設備A1、A2の負荷率は低くなるが、同様に供給している無効電力はほとんど減少しない。そのため、運転力率が極端に遅れたり進んだりして不安定になる傾向がある。
【0045】
トータル制御装置9は、常用発電設備A1、A2の負荷率が設定値より低くなった場合は、電圧変動を抑制するために無効電力の調整を目的として、励磁調整装置2を備えたシンクロナスコンデンサ1の運転を開始するように指令を出力する。一方、常用発電設備A1、A2の負荷率が設定値より高くなった場合、トータル制御装置9は、シンクロナスコンデンサ1を停止するよう指令を出力する。
【0046】
図5は、上記トータル制御装置9における処理の一部(処理4)を説明するためのフローチャートである。
【0047】
まず、トータル制御装置9には各常用発電設備A1、A2毎の定格出力の負荷率の設定値LR0i(i=1または2)が初期設定として入力される(S30)。
【0048】
次に、常用発電設備A1、A2の開閉遮断器CBの開閉状態(N/Y)をモニター結果から判断する(S31)。開閉遮断器CBが閉状態(Y)である場合には、常用発電設備A1、A2の運転負荷率LR1i(i=1または2)を求め(S32)、この運転負荷率LR1iと前記設定された負荷率LR0iの比較を行う(S33)。尚、前記開閉遮断器CBが開状態(N)の場合には、判断ステップ(S31)に再び戻る。
【0049】
すなわち、トータル制御装置9は、S33の比較の結果、LR1i≦LR0iであれば(S33;Y)、シンクロナスコンデンサ設備D1が運転中でない場合(S34;N)にシンクロナスコンデンサ設備D1の運転指令を出力し、稼働させる(S35)。S34でもし運転中であれば(S34;Y)、シンクロナスコンデンサ設備D1の稼働を継続させる(S36)。
【0050】
一方、S33の負荷率の比較の結果、LR1i>LR0iであれば(S33;N)、シンクロナスコンデンサ設備D1が運転中である場合(S37;Y)にシンクロナスコンデンサ設備D1の運転停止指令を出力し、稼働を停止させる(S38)。もし運転中でなければ(S37;N)、シンクロナスコンデンサ設備D1の稼働停止を継続させる(S39)。
【0051】
以上述べたように、本発明の実施形態による電力系統制御システムによれば、
常用発電設備と、太陽光発電設備や風力発電設備など気象変動による出力変動が生じる自然エネルギーを利用した発電設備とを併用する場合においても各設備の運転状況をモニターしながら、必要に応じてシンクロナスコンデンサ発停制御するので、無駄に電力を消費することなく、電力系統全体を効率的かつ安定的に制御することが可能である。
【0052】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
【0053】
また、各実施形態の各構成要件は、各実施形態において、適宜、最適に設計されるものとする。
【0054】
これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
A1、A2 常用発電設備
B 太陽光発電設備
C 風力発電設備
D1、D2、D3 シンクロナスコンデンサ設備
1 シンクロナスコンデンサ
2 励磁調整装置
3 ガバナ
4 起動用電動機
5 原動機
6 クラッチ
7 負荷
8 電力系統
9 トータル制御装置
【要約】
【課題】
電力の送電系統の末端や離島等の独立した小規模の電力系統において、系統の安定化を目的とする。
【解決手段】
常用発電設備A1、A2と自然エネルギーを利用した発電設備B,Cとを併用する電力系統制御システムであって、前記電力系統8の安定化のためにシンクロナスコンデンサ1を含む設備D1をさらに具備し、前記常用発電設備A1、A2と前記自然エネルギーを利用した発電設備B、Cの稼働状況に応じて前記シンクロナスコンデンサ1の発停制御を行うようにした電力系統制御システム、を提供する。
【選択図】
図1