(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の垂直平板状の非金属製の側面フレーム(11,12)と、前記両側面フレームの後方下部に横方向の車軸を介して取り付けられた一対の車輪(11a,12a)と、前記両側面フレームの前方下部に取り付けられた一対のキャスター(11b,12b)と、前記両側面フレームの上端を連結するように取り付けられた非金属製の着座部(13)と、前記着座部の後方上側に配置された非金属製の背当て部(16)と、
前記背当て部の両側から前方に延びる一対の非金属製の肘掛け部(17,18)と、前記車輪に圧接される制動手段(24)と、を有し、前記背当て部は、前記両側面フレームの後部から上方に延びる非金属製の支持部材(14,15)に取り付けられていて、前記支持部材の下端が、対応する側面フレームに対して、横方向に延びる回転軸の周りに揺動可能に枢支されており、前記支持部材が、その使用位置で後倒を規制するための非金属製の係止手段(32)を備え、
前記係止手段は、前記側面フレーム側に設けられた係止ピン(33)と、前記支持部材側に設けられた係合部(34)と、から成り、
前記係合部は、前記回転軸を中心とする円弧状の溝として形成され、後方に向かって開放しており、
前記背当て部を、前記側面フレームの後部から上方に延びる使用位置から、ほぼ水平な折り畳み位置まで揺動可能であるとともに、前記使用位置においては前記係止ピンが前記係合部の最奥に当接することにより、前記背当て部のそれ以上の後傾が規制され、
前記肘掛け部(17,18)はこれと一体に設けられた規制手段(31)を有し、この規制手段は前方に延びる押圧部(31a)を備え、この押圧部は、前記肘掛け部が前記支持部材に保持された状態において、前記係止ピンの先端の拡大部(33a)の上面に係合するように形成された、
車椅子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、木製部品を使用した車椅子においても、基本的な構造を成すフレーム部分については、金属製のフレーム部品が使用されており、同様の問題があった。
また、木製のフレームを使用した車椅子も市販されてはいるが、フレームに必要な強度を得るためには、比較的太い木材を使用し、ボルト等により締結しており、部品点数が多くなると共に、重量が増大して、操作性に悪くなってしまう。
さらに、これらの車椅子の肘掛け部に関して、必要な強度を得るために、肘掛け部が固定式であったり、あるいは肘掛け部を跳ね上げ式にするためには、複雑な機構を採用する必要があることから、部品点数が多くなってしまう等の問題があった。
また、車椅子の車輪の不用意な回転を防止するための制動機構については、何れも金属製の部品から構成されており、同様の問題があった。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、簡単な構成により、できるだけ非金属部品により構成した車椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1
上記目的は、本発明によれば、一対の垂直平板状の側面フレームと、両側面フレームの後方下部に横方向の車軸を介して取り付けられた一対の車輪と、両側面フレームの前方下部に取り付けられた一対のキャスターと、両側面フレームの上端を連結するように取り付けられた着座部と、着座部の後方上側に配置された背当て部と、背当て部の両側から前方に延びる一対の肘掛け部と、車輪に圧接される制動手段と、を有し、背当て部は、両側面フレームの後部から上方に延びる支持部材に取り付けられていて、肘掛け部は、それぞれ対応する支持部材に支持されている車椅子により、達成される。
【0008】
本発明による車椅子は、好ましくは、一対の肘掛け部は、後端で横方向に延びる支持軸により互いに一体に連結されており、背当て部を支持する支持部材には、支持軸の非円形の断面形状に対応した形状の係合切欠部が設けられ、この係合切欠部に支持軸が係合することにより、肘掛け部が支持軸の周りに揺動しないように、支持部材に着脱可能に固定保持される。
【0009】
本発明による車椅子は、好ましくは、支持部材の係合切欠部は、後方斜め上向きに開放し、この係合切欠部に支持部材が後方斜め上側から係合する。
【0010】
本発明による車椅子は、好ましくは、支持軸の係合切欠部からの脱落を防止する脱落防止部材を備えている。
【0011】
本発明による車椅子は、好ましくは、脱落防止部材は、係合切欠部に隣接して支持部材に揺動可能に枢支されたフック部であり、支持軸が係合切欠部に係合した状態で、このフック部が揺動して支持軸に嵌合して支持軸の係合切欠部からの脱落を防止する。
【0012】
本発明による車椅子は、好ましくは、制動手段は、側面フレームの少なくとも一方に揺動可能に枢支され、制動位置において対応する車輪の外周表面に圧接する制動部材と、制動部材を制動位置まで押動する操作レバーと、から構成されている。
【0013】
本発明による車椅子は、好ましくは、操作レバーに設けられた係合部が、制動部材に設けられた係合溝に係合しており、操作レバーが操作されたとき、係合部が係合溝に沿って移動することにより、制動部材が制動位置に向かって揺動する。
【0014】
本発明による車椅子は、好ましくは、操作レバーが、制動手段の揺動軸より上側で側面フレームに揺動可能に枢支されると共に、その操作部が下方に移動することにより、制動部材を前記制動位置まで押動する。
【0015】
本発明による車椅子は、好ましくは、支持部材の下端が、対応する側面フレームに対して、横方向に延びる回転軸の周りに揺動可能に枢支されており、支持部材が、側面フレームの後部から上方に延びる使用位置から、前倒して着座部の直上でほぼ水平な折り畳み位置まで揺動可能である。
【0016】
本発明による車椅子は、好ましくは、支持部材が使用位置で後倒を規制するための係止手段を備えている。
【0017】
本発明による車椅子は、好ましくは、係止手段が、側面フレーム側に設けられた係止ピンと、支持部材側に設けられた係合部と、から成る。
【0018】
本発明による車椅子は、好ましくは、支持軸の軸方向の移動を規制する規制手段を備えている。
【0019】
本発明による車椅子は、好ましくは、規制手段が、肘掛け部と支持部材との間に配置されていて、その厚さにより支持軸を軸方向に位置決めする。
【0020】
本発明による車椅子は、好ましくは、支持部材が、その使用位置で、係止ピンに当接する押圧部を備えている。
【0021】
本発明による車椅子は、好ましくは、押圧部が規制手段と一体に構成されている。
【発明の効果】
【0022】
上記構成によれば、一対の側面フレームが着座部により連結されると共に、両側面フレームにそれぞれ車輪及びキャスターが取り付けられることにより、基本的なフレーム構造が構成されている。従って、複雑な構造を用いることなく、簡単な構成によって、平板状の側面フレームにより強度が確保されると共に、少なくとも側面フレーム及び肘掛け部が木材などの非金属材料により構成され得るので、外観の主要部分を非金属材料により構成することが可能である。
これにより、金属探知ゲートに使用可能であると共に、廃棄時には、側面フレーム及び肘掛け部は環境に影響を与えることなく、廃棄可能である。さらに、部品点数が少ないことから、全体として軽量に構成することが可能であり、組み立てが容易になる。
【0023】
一対の肘掛け部は、後端で横方向に延びる支持軸により互いに一体に連結されており、背当て部を支持する支持部材には、支持軸の非円形の断面形状に対応した形状の係合切欠部が設けられ、この係合切欠部に支持軸が係合することにより、肘掛け部が支持軸の周りに揺動しないように、支持部材に着脱可能に固定保持される場合には、簡単な構成により、金属部品を使用することなく、容易に且つ確実に支持軸そして肘掛け部が支持部材を介して側面フレームに対して固定保持され得る。
【0024】
支持部材の係合切欠部は、後方斜め上向きに開放し、この係合切欠部に支持軸が後方斜め上側から係合する場合には、支持軸自体及び肘掛け部の自重により、支持軸が容易に係合切欠部内に進入するので、組立が容易になる。また、係合後は、支持軸自体及肘掛け部の自重により、支持軸が係合切欠部内に安定的に収容されることになり、肘掛け部が確実に支持部材に対して保持されることになる。
【0025】
支持軸の係合切欠部からの脱落を防止する脱落防止部材を備えている場合には、支持軸が係合切欠部から脱落する方向への移動が、脱落防止部材により阻止されるので、支持軸そして肘掛け部が確実に支持部材に対して保持されることになる。
【0026】
脱落防止部材が、係合切欠部に隣接して支持部材に揺動可能に枢支されたフック部であり、支持軸が係合切欠部に係合した状態で、このフック部が揺動して支持軸に嵌合して支持軸の係合切欠部からの脱落を防止する場合には、フック部が支持軸に嵌合することにより、支持軸の係合切欠部からの脱落が確実に防止され得る。
【0027】
制動手段が、側面フレームの少なくとも一方に揺動可能に枢支され、制動位置において対応する車輪の外周表面に圧接する制動部材と、制動部材を制動位置まで押動する操作レバーと、から構成されている場合には、操作レバーの操作によって、制動部材が制動位置まで押動されることにより、制動部材が対応する車輪の外周表面に圧接して、車輪の回転が制動され得る。
【0028】
操作レバーに設けられた係合部が、制動部材に設けられた係合溝に係合しており、操作レバーが操作されたとき、係合部が係合溝に沿って移動することにより、制動部材が制動位置に向かって揺動する場合には、操作レバーの操作により、その係合部が制動部材の係合溝に沿って移動することにより、制動部材が制動位置に向かって揺動し、これにより制動部材が対応する車輪の外周表面に圧接して、車輪の回転が制動され得る。
【0029】
操作レバーが、制動手段の揺動軸より上側で側面フレームに揺動可能に枢支されると共に、その操作部が下方に移動することにより、制動部材を前記制動位置まで押動する場合には、操作レバーが下方に向かって操作されることにより、制動部材が制動位置まで押動されるので、操作レバーの操作部に下方に力を加えることにより、容易に操作レバーを操作することができる。
【0030】
支持部材の下端が、対応する側面フレームに対して、横方向に延びる回転軸の周りに揺動可能に枢支されており、支持部材が、側面フレームの後部から上方に延びる使用位置から、前倒して着座部の直上でほぼ水平な折り畳み位置まで揺動可能である場合には、支持部材が回転軸の周りに前倒されることにより、支持部材そして背当て部が着座部の直上で着座部とほぼ平行な折り畳み位置まで揺動することにより、車椅子全体を小さく折り畳むことができる。
【0031】
支持部材が使用位置で後倒を規制するための係止手段を備えている場合には、支持部材そして背当て部が係止手段により使用位置で後倒しないように確実に係止されるので、使用者は着座部の上に座って、安心して背当て部に凭れかかることができる。
【0032】
係止手段が、側面フレーム側に設けられた係止ピンと、支持部材側に設けられた係合部と、から成る場合には、係止ピンが係合部に係合することにより、支持部材そして背当て部が使用位置で確実に係止され得る。
【0033】
支持軸の軸方向の移動を規制する規制手段を備えている場合には、左右の肘掛け部を連結する支持軸が、規制手段によって、支持部材に対して横方向にずれないように保持されるので、肘掛け部が支持部材に対して安定して確実に保持され得る。
【0034】
規制手段が、肘掛け部と支持部材との間に配置されていて、その厚さにより支持軸を軸方向に位置決めする場合には、規制手段の厚さに基づいて支持軸の位置決めが行なわれるので、簡単な構成により、低コストで確実に支持軸の位置決めが可能である。
【0035】
支持部材が、その使用位置で、係止ピンに当接する押圧部を備えている場合には、支持部材の押圧部が係止ピンに当接することによって、支持部材が、その使用位置で位置決めされ支持される。
【0036】
押圧部が規制手段と一体に構成されている場合には、部品点数がより少なくて済み、さらに部品コスト及び組立コストが低減される。
【0037】
このようにして、本発明によれば、簡単な構成により、木材などの非金属部品により構成した車椅子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1〜
図3は、本発明による車椅子の第一の実施形態の構成を示している。
図1〜
図3において、木製車椅子10は、一対の側面フレーム11,12と、両側面フレーム11,12の上端を連結するように取り付けられた着座部13と、両側面フレーム11,12の上端後部から上方に延びる一対の支持部材14,15と、着座部13の後方上側に配置され且つ支持部材14,15の間に取り付けられた背当て部16と、背当て部14の両側から前方に延びる一対の肘掛け部17,18と、を備えている。
【0040】
各側面フレーム11,12は、それぞれ垂直な平板状の木製板から構成されており、その前端下部及び後端で連結部材19,20により互いに所定間隔に固定保持されている。
また、各側面フレーム11,12は、それぞれ後端下部の外側に大径の車輪(後輪)11a,12aを、そして前端下側に小径のキャスター11b,12bを備えている。
車輪11a,12aは、両側面フレーム11,12を貫通して横方向に延びる車軸10aに取り付けられていると共に、この車軸10aが両側面フレーム11,12に対して軸受を介して回転可能に取り付けられている。
さらに、各側面フレーム11,12は、それぞれその前部下端にフットレスト21を備えている。
【0041】
着座部13は、木板から構成されており、両側面フレーム11、12の上端に載置され、適宜の手段により固定されている。
これにより、着座部13に使用者が着座した場合に、その重量が、側面フレーム11,12の上端から下方に向かって加えられることにより、着座部22が確実に支持されるようになっている。
【0042】
支持部材14,15は、図示の場合に、二部構成になっており、支持部材下部14a,15aは、それぞれ各側面フレーム11,12と一体に構成されていると共に、支持部材上部14b,15bは、それぞれ支持部材下部14a,15aの上端に対して適宜の手段により固定されている。
【0043】
さらに、支持部材14,15の間には、これら支持部材14,15を連結するように背当て部16が取り付けられている。
ここで、背当て部16は、着座部13と同様に透明材料から構成されていると共に、支持部材14,15の幅より広く形成されており、支持部材14,15の前側端面に適宜の手段により取り付けられている。
これにより、背当て部16の前側面には、支持部材14,15が露出しないように構成されており、背当て部16の前側面が全面に亘って背当ての機能を備えることになる。
【0044】
さらに、支持部材14,15の上端には、後方に向かって延びるハンドル14c,15cが備えられている。
これらのハンドル14c,15cは、支持部材14,15に対して例えば横方向に延びる揺動軸の周りに揺動可能に取り付けられていてもよい。これにより、不使用時に、木製車椅子10の占有面積が低減され、収納スペースが小さくて済む。
【0045】
ここで、支持部材14,15において、その支持部材下部14a,15aと支持部材上部14b,15bの連結部の領域には、
図4に示すように、肘掛け部17,18を保持するための係合切欠部14d,15dが設けられている。
これらの係合切欠部14d,15dは、後方上向きに向かって斜めに開放しており、図示の場合、一定の幅を有するほぼ方形の形状を有している。
【0046】
これに対して、肘掛け部17,18は、
図4に示すように、支持軸22により互いに所定間隔で連結されている。
支持軸22は、長方形の断面を有しており、肘掛け部17,18の後端に設けられた取付穴17a,18aに嵌合することにより、肘掛け部17,18が支持軸22の周りに回転しないように固定されている。
ここで、支持軸22の断面形状に対応して、係合切欠部14d,15dが形成されている。
【0047】
そして、
図4にて
矢印Aで示すように、支持軸22が支持部材14,15の係合切欠部14d,15dの開口端から係合切欠部14d,15d内に挿入されることにより、支持軸22が係合切欠部14d,15d内に完全に挿入された位置で、肘掛け部17,18が支持部材14,15に対して位置決めされ、保持される。
その際、支持軸22が支持部材14,15の係合切欠部14d,15dに対して形状的に係合することにより、支持軸22は、係合切欠部14d,15d内で揺動しないように保持される。これにより、肘掛け部17,18は、その上に使用者が腕,肘等を載せても、支持軸22の周りに揺動して下降することなく、その位置を保持することができる。
【0048】
さらに、支持軸22の係合切欠部14d,15dのからの脱落を防止する脱落防止部材23が、支持部材下部14a,15aに設けられている。
この脱落防止部材23は、
図4に示すように、支持部材下部14a,15aに設けられた揺動軸23aの周りに揺動可能に取り付けられたフック部23bから構成されており、
図4に示すロック位置から
図6に示すロック解除位置まで揺動し得る。
【0049】
これにより、脱落防止部材23がロック位置に在るとき、そのフック部23bが係合切欠部14d,15d内に挿入されている支持軸22に嵌合して、支持軸22の係合切欠部14d,15dからの脱落を阻止する。
また、脱落防止部材23がロック解除位置に在るときには、そのフック部23bが
図6に示すように、支持軸22付近から退避する。これにより、支持軸22は、支持部材14,15の係合切欠部14d,15dに対して、挿脱可能となる。
従って、図
6にて矢印Bで示すように、支持軸22が係合切欠部14d,15dから引き抜かれると、
図7に示すように、支持部材14,15の係合切欠部14d,15dから支持軸22及び肘掛け部17,18が取り外される。
【0050】
さらに、支持部材14,15には、車輪11a,12aに隣接して、制動手段24が設けられている。
制動手段24は、
図8に示すように、支持部材下部14a,15aの外側面に取り付けられた制動部材25及び操作レバー26から構成されている。
【0051】
制動部材25は、
図9に示すように、車輪11a,12aの直上に配置されており、一端が支持部材下部14a,15aに対して横方向に延びる支持軸25aの周りに揺動可能に支持されていると共に、他端が後方に向かって延びており、その下面が、制動面25bとして形成されている。
この制動面25bは、好ましくは、制動効果を高めるために、凹凸形状を備えていてもよい。
【0052】
操作レバー26は、
図8に示すように、制動部材25の支持軸25aより後方上側に配置された支持軸26aの周りに揺動可能に支持されていると共に、一端が大きく上方に向かって延びて操作部26bを形成している。
操作レバー26の他端は、下方に向かって延びており、その下端に設けられた横方向の係止ピン26cを備えており、この係止ピン26cが、制動部材25に設けられた長手方向に延びる係合溝25cに係合している。
【0053】
ここで、制動部材25の支持軸25a及び係合溝25c,操作レバー26の支持軸26a及び係止ピン26cの配置及び形状は、操作レバー26が
図8にて矢印Cで示すように後側に操作されたとき、制動部材25の制動面25bが下方に移動して、車輪11a,12aの上端付近の外周表面に当接するように、構成されている。
【0054】
フットレスト21は、平板状の木製板から構成されており、
図1及び
図2に示すように、その後端が、側面フレーム11,12前端下部に対して、横方向に延びる揺動軸11c,12cの周りに揺動可能に取り付けられている。
さらに、フットレスト21は、その前端中央に一端が固定され且つ他端が着座部13の前端中央に固定された支持ベルト27により、
図1に示す使用位置に吊下されている。
これに対して、フットレスト21は、揺動軸11c,12cの周りに揺動して、上方に跳ね上げられて、
図12に示すように、折り畳み位置に移動され得る。
【0055】
本発明による木製車椅子は、以上のように構成されており、以下のように使用される。
まず、使用時には、
図1から
図3に示すように、木製車椅子10は、肘掛け部17,18が背当て部16に隣接して取り付けられていると共に、制動手段24は、操作レバー26により制動部材25の制動面25bが車輪11a,12aの上部の外周表面に押圧された状態で、制動状態に在る。
この状態から、使用者が自身であるいは介護者等の補助により着座部13上に要部を載せ、背当て部16に背中を当てた状態で着座する。その後、フットレスト21が前方に引き出され、使用者の足がフットレスト21上に載せられる。
【0056】
この着座状態から、介護者等は、制動手段24の操作レバー26を操作して、制動部材25の制動面25bを車輪11a,12aの外周表面から離反させて、車輪11a,12aをロック解除する。これにより、車輪11a,12aは自由に回転し得るようになり、介護者等がハンドル14c,15cを持って、木製車椅子10を移動することができる。
そして、目的とする場所まで木製車椅子10を移動させた後は、介護者等は、再び制動手段24の操作レバー26を操作して、制動部材25の制動面25bを車輪11a,12aの外周表面に当接させて、車輪11a,12aをロックする。このとき、操作レバー26の操作部26bを下方に向かって押動することにより、制動部材25が制動位置に移動されるので、操作性が良好で、楽に操作することができる。
この状態から、使用者は、足をフットレスト21から下ろして、フットレスト21が折り畳まれた後、立ち上がる。これにより、木製車椅子10の使用が終了する。
【0057】
尚、使用者が、木製車椅子10からベッドへの移動あるいはベッドから木製車椅子10への移動の際に、木製車椅子10の側方からのアクセスが必要とされる場合には、肘掛け部17,18が取り外される。その際、脱落防止部材23が
図6に示すロック解除位置まで揺動されることにより、肘掛け部17,18を支持する支持軸22が、支持部材14,15の係合切欠部14d,15dから取り外される。
肘掛け部17,18を木製車椅子10に取り付ける際には、肘掛け部17,18を持って支持軸22を支持部材14,15の係合切欠部14d,15dの開口部付近に位置合わせし、
図4にて矢印Aで示すように、支持軸22を係合切欠部14d,15d内に挿入し、脱落防止部材23をロック位置まで揺動させることにより、肘掛け部17,18が正確に位置決めされ、確実に保持されることになる。
【0058】
このようにして、本発明実施形態による木製車椅子10は、フレームを含む大部分が木製であるので、温かい外観を呈すると共に、リサイクル時には廃棄が必要な部品が少なくて済む。
また、特に大きな荷重が印加される着座部13は、一対の縦に配置された側面フレーム11,12により安定して支持されると共に、簡単な構造で、大きな耐荷重を実現することが可能である。
【0059】
図13及び
図14は、本発明による木製車椅子の第二の実施形態の構成を示している。
図13及び
図14において、木製車椅子30は、基本的には
図1から
図3に示した木製車椅子10と同様の構成であるが、支持部材14,15が折り畳み可能に構成されていると共に、肘掛け部17,18を軸方向に位置決めするための規制手段31を備えている点で異なる構成になっている。
【0060】
この場合、支持部材14,15は、その支持部材下部14a,15aと支持部材上部14b,15bが一体に構成されていると共に、支持部材下部14a,15aが、
図15に示すように、それぞれ対応する側面フレーム11,12の後方上端部に対して、横方向に延びる揺動軸11d,12dの周りに揺動可能に支持されている。
これにより、支持部材14,15は、
図13に示した使用位置から、
図16に示すように、着座部13の直上でほぼ水平な折り畳み位置まで揺動可能である。
この使用位置において、支持部材14,15のさらなる後倒を規制するために、係止手段32が備えられている。
【0061】
係止手段32は、
図14及び
図15に示すように、それぞれ側面フレーム11,12に設けられた係止ピン33と、それぞれ支持部材14,15に設けられた係合部34と、から構成されている。
係止ピン33は、側面フレーム11,12の外側面から外側に向かって突出していると共に、先端に拡大部33aを備えている。
これに対して、係合部34は、揺動軸11d,12dを中心とする円弧状の溝として形成され、支持部材14,15の後方に向かって開放している。
これにより、支持部材14,15は、使用位置において、係止ピン33が係合部34の最奥に当接することにより、それ以上の後倒を規制される。
【0062】
ここで、規制手段31は、
図14に示すように、肘掛け部17と支持部材14の間、及肘掛け部18と支持部材15の間に、それぞれ配置されており、支持軸22に固定されている。
これらの規制手段31の支持軸22に対する取付位置は、
図14に示すように、肘掛け部17,18が支持部材14,15に対して正しく、即ち中心に対して左右対称になるように調整されている。これにより、支持軸22を支持部材14,15の係合切欠き部14d,15d内に挿入したとき、規制手段31の厚さに基づいて、支持軸22そして肘掛け部17,18が軸方向に正しく位置決めされ得ることになる。
【0063】
さらに、規制手段31は、
図13に示すように、一体に形成され且つ下に向かって斜め前方に延びる押圧部31aを備えている。この押圧部31aは、係止ピン33の先端の拡大部33aの周面に対して上方から当接し得るように形成されている。
これにより、肘掛け部17,18の自重等により、または肘掛け部17,18が下方に向かって押下されたとき、支持軸22が
図13にて反時計周りに回転しようとすると、押圧部31aが拡大部33aの周面に当接し、肘掛け部17,18の押下が抑制される。
【0064】
このような構成の木製車椅子30によれば、
図1から
図3に示した木製車椅子10と同様に作用すると共に、支持部材14,15を揺動軸14d,15dの周りに揺動させることにより、
図16に示す折り畳み位置まで前倒させる。これにより、木製車椅子30は、折り畳み状態となり、高さが低減されるので、不使用時における収納スペースが少なくなる。
なお、
図13においては、制動手段24は解除状態にあり、
図16においては、制動手段24が制動状態にある。