特許第6343387号(P6343387)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6343387センサ素子、センサ装置、及びセンサ素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343387
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】センサ素子、センサ装置、及びセンサ素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/22 20060101AFI20180604BHJP
   H01C 7/04 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   G01K7/22 N
   H01C7/04
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-504027(P2017-504027)
(86)(22)【出願日】2015年7月14日
(65)【公表番号】特表2017-522567(P2017-522567A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】EP2015066075
(87)【国際公開番号】WO2016012310
(87)【国際公開日】20160128
【審査請求日】2017年3月17日
(31)【優先権主張番号】102014110553.2
(32)【優先日】2014年7月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】エプコス アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】ストラールホファー,ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】キルステン,ルッツ
(72)【発明者】
【氏名】クロイバー,ゲラルド
(72)【発明者】
【氏名】ノイバー,ダニーロ
(72)【発明者】
【氏名】イーレ,ヤン
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−340699(JP,A)
【文献】 特開2002−305102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 7/22
H01C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのセラミック製の本体と、前記本体に配置される少なくとも1つの電極とを有するセンサ素子であって、
前記電極は、ニッケルを含む少なくとも1つの層をし、
前記電極は焼き付けられたペーストを含まないことを特徴とするセンサ素子。
【請求項2】
前記層は前記本体のセラミックに直接つけられることを特徴とする請求項1に記載のセンサ素子。
【請求項3】
前記層はスパッタリングされることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサ素子
【請求項4】
層は付加的にわずかな割合のバナジウムを含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のセンサ素子。
【請求項5】
前記電極は、直接重なりあって配置される複数の層を備え、下部層はクロムを含み、上部層はニッケルを含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のセンサ素子。
【請求項6】
前記電極は酸化抑止性の金属を含む被覆層を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のセンサ素子。
【請求項7】
前記被覆層は、銀、金、銅、アルミニウム及び錫からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むことを特徴とする請求項に記載のセンサ素子。
【請求項8】
前記被覆層はニッケルを含む層の上に取り付けられることを特徴とする請求項または請求項に記載のセンサ素子。
【請求項9】
前記電極に溶接、ボンディング、または半田付けによって固定される少なくとも1つの接触片を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のセンサ素子。
【請求項10】
1つのセラミック製の本体と、前記本体に配置される少なくとも1つの電極とを有するセンサ素子であって、
前記電極はニッケルを含む少なくとも1つの層をし、
前記電極は酸化抑止性の金属を含む被覆層を有することを特徴とするセンサ素子。
【請求項11】
上記請求項1〜1のいずれか1項に記載の1つのセンサ素子と、前記本体を支持するための1つの支持体とを有することを特徴とするセンサ装置。
【請求項12】
センサ素子を有するセンサ装置であって、前記センサ素子が、1つのセラミック製の本体と、前記本体に配置される少なくとも1つの電極とを有し、前記電極は、ニッケルを含む少なくとも1つの層を有するものにおいて、
前記本体を支持するための1つの支持体を有し、
前記電極は焼結によって前記支持体に接続されることを特徴とするセンサ装置。
【請求項13】
前記センサ素子は、第1電極及び第2電極を備え、
前記第1電極に1つの接触片がボンディング、溶接または半田付けによって固定され、
前記第2電極は前記支持体に結されることを特徴とする請求項12に記載のセンサ装置。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか1項記載のセンサ素子を製造する製造方法であって、
セラミック製の本体を備え、該本体上に1つの電極を形成するための少なくとも1つの層がスパッタリングされることを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
セラミック製の本体を有するセンサ素子について記載する。センサ素子は特に温度の測定に利用される。例えば、センサ素子はNTC(負の温度係数)センサ素子、すなわちサーミスタである。
【背景技術】
【0002】
センサ素子、特に温度センサに対して、攻撃的な媒体(aggressive media)と使用温度で長期安定性を確保しなければならないために、高いレベルの堅牢性が要求される。同時にセンサ素子は低コストで製造できなければならない。
【0003】
セラミックの電気的接触に対して本体の上に金属の電極が取り付けられる。通常、主に銀ペーストまたは金ペーストから成る厚膜電極がスクリーン印刷工程によって塗布され、引き続き焼き付けによってつけられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
改良されたセンサ素子、改良されたセンサ装置、及びセンサ素子に対する改良された製造方法について記載することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、セラミック製の本体を有するセンサ素子について記載される。その場合、NTCセラミックが関係することが望ましい。例えばセラミックはY、Ca、Cr、Al、O元素を含むペロフスカイト型構造、またはNi、Co、Mn、O元素を含むスピネル構造を有する。センサ素子は特に温度測定用として設計される。
【0006】
センサ素子は少なくとも1つの電極を有する。電極は本体に、特に本体の側面に配置される。2つの電極が本体に配置されることが望ましい。例えば、1つの別の電極は本体の、特に反対側にある別の側面に配置される。センサ素子は例えば立方体様に形成される。電極は例えば本体の上側と下側に配置される。以下において、一方の電極を詳細に説明するが、その説明は別の電極に対しても同様に当てはまる。
【0007】
望ましくは、電極全体は層状に形成される。電極は複数の層を有する。
【0008】
電極はニッケルを含む少なくとも1つの層を有する。層はニッケルによって構成することもできる。
【0009】
ニッケル含有層は、特にセラミックへの特に良好な機械的及び電気的接続(結合)を可能にする。例えばセラミックへの低抵抗接触を達成することができる。さらにニッケル含有層は、異なる材料から成る接触片によるセンサ素子の確かな接触を可能にする。それによって用途における高い適応性が実現できる。例えばこのような電極は、金含有の、銀含有の、アルミニウム含有の、または銅含有の接触片の接続を可能にする。望ましくは、接触片の材料及び電極の材料は、例えば被覆層の材料に互いに適応させられる。例えば、金含有の接触片において金含有の被覆層が、及びアルミニウム含有の接触片においてアルミニウム含有の被覆層が使用される。
【0010】
例えば、ニッケル含有層はスパッタリングされる。例えばニッケル含有層は本体のセラミックに直接つけられ、従ってセラミックに直接接触する。
【0011】
一実施形態において、ニッケル含有層は付加的にわずかな割合のバナジウム(a vanadium fraction)を含む。わずかな割合のバナジウムは、特にスパッタリングによる製造技術上の理由から有利である。例えば、バナジウムはニッケル含有層に7%の重量割合で存在する。ニッケルは例えば93%の重量割合で存在する。
【0012】
ニッケル含有層の厚さは、例えば0.3μm〜10μmの範囲内である。
【0013】
例えば全ての層がスパッタリングによって形成される。例えば、全ての層がスパッタリングで形成される。電極は焼き付けられた(burnt-in)ペーストを含まないことが望ましい。
【0014】
スパッタリングで形成される電極の場合、特に例えば700℃〜900℃の温度での金属被覆ペーストに対する焼き付け(burning-in)を省略できることにより、製造工程におけるセンサ素子に対する熱的負荷が小さいという利点が存在する。さらにスパッタリング工程は、例えばペースト塗布とペースト乾燥とその後の焼き付けのような、焼き付け電極のための加工コストを省くことができるので、特に低コストでの製造を可能にする。また、スパッタリング方式は電極用の広範な材料選択を可能にする。このように、接触要素の材料と固定に関する広範な自在性も達成される。
【0015】
例えば、電極とは薄膜電極である。例えば電極全体で0.3μm〜30μmの範囲の厚さを有する。一実施形態において、電極は直接重なりあって配置される複数の層を有する。
【0016】
例えば、電極は1つの上部層と1つの下部層とを有する。下部層は、望ましくは本体のセラミックに直接接触する。上部層は例えば下部層の上に直接形成される。望ましくは、両層はスパッタリングされる。電極は2つ以上の層を有することもできる。
【0017】
例えば、下部層はクロムを含む(comprise)か、またはクロムによって構成(composed of)される。クロム含有層は特にセラミックに対して接着促進の役割を果たすので有利である。
【0018】
例えば、上部層はニッケルを含むか、またはニッケルによって構成される。付加的に上部層はわずかな割合(fraction of)のバナジウムを含むことができる。
【0019】
一実施形態において、電極は付加的に被覆層を有する。被覆層は電極の最上層であり、したがって電極の上向き方向の最後を構成する。
【0020】
被覆層の下にある電極の部分も電極ベースと呼ぶことができる。その場合、それは特に1つまたは複数の層を含むことがある。
【0021】
例えば被覆層は酸化抑制金属を含む。特に被覆層は銀、金、銅及びアルミニウムから成る群から選択される少なくとも1つの材料を含むことができる。被覆層は、錫を含むこともできる。望ましくは、被覆層はスパッタリングで形成される。
【0022】
被覆層によって電極の腐食、特に被覆層の下にある電極の層の腐食は防止できる。さらに被覆層は電極の機械的な負荷能力も改良することができる。
【0023】
それの代りにまたはそれに付け加えて、被覆層は接触要素との接触に対して有利である。一実施形態において接触要素は被覆層に直接固定される。
【0024】
例えば、特に低温における圧力のかかった状態での焼結を用いる接触要素の結合のケースにおいて、銀含有の、または銀で構成される被覆層が有利である。接触要素はこのケースにおいて、望ましくは、被覆層に直接取り付けられる。接触要素の半田付け接続において、例えば金含有の、または金で構成される被覆層が有利である。特にそれによって移行抵抗性のある結合が達成できる。望ましくは、半田材料は無銀及び無鉛である。ボンディングにおいて、例えば金含有のまたは金で構成される被覆層に金線を固定することができる。
【0025】
一実施形態において、接触要素は部分的に被覆層によって被覆される電極の一部に固定される。例えば被覆層は電極ベースの一部へのみ取り付けられるので、電極ベースの一部には被覆層がない。この場合、電極の電気的接触は電極ベースに対して直接行われる。被覆層は例えば電極ベースの露出部分に対する酸化防止の役割を果たす。
【0026】
例えば被覆層は0.05μm〜20μmの範囲の厚さを有する。電極ベース、すなわち電極の残部は、例えば0.3μm〜10μmの範囲の厚さを有する。
【0027】
一実施形態において、センサ素子は、電極に固定される少なくとも1つの接触要素を有する。望ましくは、それぞれセンサ素子の2つの電極の一方に固定される2つの接触要素が存在する。望ましくは、接触要素は電極に直接固定される。
【0028】
例えば、接触要素は導線の形状である。導線は、断面を丸く形成することができ、あるいは接続位置において平坦な形状にすることができる。さらに、導線は矩形あるいは平坦な断面を有する線材も使用できる。その場合、導線は例えばセンサ素子の電気的接続のために接続要素として使用される短い導線ブリッジも含めることができる。特に、例えば電極に細線ボンディングで固定する細い導線も含めることができる。
【0029】
接続要素は例えば支持体に配置すること、支持体の一部にすること、または支持体としての形状を採ることができる。例えば接続要素は、回路基板上の導通路を含めることができ、またはそのような形式の支持体の金属被覆も含めることができる。
【0030】
接触片を、支持体上に配置することができ、支持体の一部にすることができ、または支持体としての形状を採ることもできる。一実施形態において、接触片は同時にセンサ素子の支持体を構成し、支持体の一体化された構造部材とすることもできる。この場合、センサ素子の電極は、望ましくは支持体に直接、すなわち、独立した別の接触要素なしに固定される。例えば接触片は、この場合、太線ボンディングによって電極に固定される。
【0031】
一実施形態において、接触片は独立した接触要素の形状である。特に接触片は支持体と一体の構成要素ではない。接触片は例えば溶接またはボンディングによって支持体に固定することができる。
【0032】
センサ素子の温度耐性は、これらの接続技術によって改良できることがわかった。特に接触要素と電極間の接触位置、すなわち接続位置は、良好な長期安定性を示す。半田のない、特に銀のない構造において、移行抵抗も改良される。
【0033】
本発明の別の一態様に基づいて、上記のようなセンサ素子を備えたセンサ装置が提示される。センサ装置は本体を支持するための支持体を有する。本体は、望ましくは支持体に固定される。支持体は、支持体の向きが変わったとしても、支持体の形状が変わることなく、あるいは、本体の位置の変更が発生することなく、本体を固定位置に支持する固有の安定性を有することが望ましい。
【0034】
支持体は本体を支持する機能の他に本体の電気的接続のための役割を果たす。支持体は導電性を有する形式であってもよく、導電性の部品を有していてもよい。特に、本体は支持体に導電性を有するような方式に接続することができる。
【0035】
センサ素子の電極は支持体に、例えば溶接またはボンディングによって、または焼結によって接続され、特に電気的に接続される。接続は直接的または間接的のいずれでもよい。
【0036】
一実施形態において、センサ素子の電極は支持体に電気的に直接接続される。この場合、上述した接触片は同時に支持体としての機能を果たすことができ、または支持体の一部を構成することができる。例えば、電極は支持体にボンディング、特に太線ボンディングによって、または焼結によって接続される。
【0037】
一実施形態において、電極は間接的に支持体に電気的に接続される。特に接触片は独立した接触要素として且つ支持体に一体化されていない構成要素として形成される。電極はこの場合は、接触要素を介して支持体に接続される。接触要素は溶接またはボンディングによって電極に接続される。例えばそれは接触要素において導線、例えば導線ブリッジ等導線が含まれる。
【0038】
一実施形態において、センサ装置はプローブの形式をとる。プローブは例えば流動媒体のパラメータ、特に温度を測定するために使用される。例えばプローブは管の壁の開口を通して差し込む。支持体は例えば電極に接続される太い、形状が安定した導線を有する。導線は例えば電極に太線ボンディングによって直接固定される。代替的に導線は導線ブリッジを介しても電極に接続することができる。
【0039】
一実施形態において、支持体は回路基板の形状を成している。特に回路基板はセンサ素子の電極に電気的に接続される導通路を有する。電極は導通路に接触要素、例えば導線ブリッジによって、溶接またはボンディングによって接続できる。センサ素子は導通路上の別の電極に装着し、導通路に固定できる。例えば別の電極は導通路に、例えば低温における圧力のかかった状態で焼結させることができる。
【0040】
センサ装置は、センサ素子を少なくとも部分的に取り囲むカバーを有することができる。支持体へのセンサ素子の機械的な固定はカバーを用いても行うことができる。
【0041】
本発明の別の態様によれば、セラミック製の本体を有するセンサ素子であって、少なくとも一つの電極が本体に配置され、電極は、少なくとも一つのスパッタリングされる層を有するセンサ素子が記載される。センサ素子は、上記した構造的、機能的特徴を全て備えていてもよい。
【0042】
本発明の更に別の一態様によれば、センサ素子の製造方法が記載される。セラミック製の本体が用意され、電極を形成するための少なくとも1つの層が本体上にスパッタリングされる。別の工程において、接触片がセンサ素子に固定される。例えば接触片は溶接またはボンディングによって固定される。
【0043】
本開示内容では、本発明の複数の態様が説明されている。センサ素子、センサ装置または方法に関して開示される全ての特徴は、対応するそれぞれ他の態様に関する開示でもあり、各特徴が各態様の個々の文脈で明示されていないとしても、開示されているものという扱いとする。
【0044】
ここで述べた主題は、以下に、模式的実施例を基に詳細に説明する。実施例は縮尺通りには記載されていない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】センサ素子を示す斜視図。
図2】センサ装置の第1実施形態を示す図。
図3A】センサ装置の第2実施形態を示す図。
図3B図3Aの拡大詳細図。
図4A】センサ装置の第3実施形態を示す図。
図4B図4Aの拡大詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下の図において同一符号は異なる実施形態の機能的または構造的に対応する部分を示す。
【0047】
図1はセンサ素子1、特にセンサチップを示す。センサ素子1は、望ましくは温度の測定用に設計されている。センサ素子はセラミック製の本体2を有する。特にセラミックはNTC(Negative-Temperature-Coefficient:負の温度係数)セラミックである。例えばセラミックはペロブスカイト構造を有する。特にセラミックは、Y−Ca−Cr−Al−(Sn)−O系に基づくものであり、括弧内に記入された元素はオプションで存在させることができる。このようなセンサ素子1は特に高温用途に適している。あるいは特にセンサ素子1の使用温度が低い場合には、スピネル構造を有するセラミックを使用することができる。例えばセラミックはNi−Co−Mn−(Al)−(Fe)−(Cu)−(Zn)−(Ca)−(Zr)−(Ti)−(Mg)−O系に基づくものである。
【0048】
センサ素子1は、本体2の側面3に配置される電極4を有する。別の対向する側面7に、別の電極8が配置される。以下において、電極4の構造を説明するが、その説明は別の電極8に対しても同様に当てはまる。
【0049】
電極4は複数の層5、6を有する層状の電極である。層5、6は例えばスパッタリングされる。望ましくは、電極4は、電極4の確実な電気的接触が可能なように、低温における圧力下での焼結によるか、ボンディングによるか、または溶接によって行うことができる構成にされる。
【0050】
電極4は、電極ベースとも呼ばれる層5を有する。層5は本体2のセラミックに直接取り付けられる。この層は、例えばわずかな割合(afraction)のバナジウムを含有するニッケルを含むか、またはこれらの金属で構成される。
【0051】
層5の上に被覆層6が取り付けられる。例えば被覆層6は、電極ベースに対する腐食防止用、特に酸化防止用の役割を果たす。被覆層6は、例えば銀、金、銅またはアルミニウムを含むか、これらの材料の一つで構成される。
【0052】
一実施形態において、電極ベースは多層の形状に形成してもよい。電極ベースの下部層は例えばセラミックに直接接触する。下部層は例えばクロムを含む(comprise)か、またはクロムで構成(composed of)される。加えて電極ベースは、下部層の上に取り付けられる上部層を有する。上部層は例えばわずかな割合のバナジウムを含有するニッケルを含むか、またはこれらの金属で構成される。
【0053】
層5は例えば0.3μm〜10μmの範囲の厚さを有する。望ましくは、厚さは0.5μm〜6μmの範囲内にする。この厚さは一層の電極ベースに対しても、複数層の電極ベースに対しても当てはまる。被覆層は例えば0.05μm〜20μmの範囲の厚さを有する。
【0054】
望ましくは、電極4の全ての層5、6をスパッタリングによって付ける。こうすることにより、温度耐性が増大し、長期安定性が改良された電極を提供できる。
【0055】
図2は、回路基板9に固定されたセンサ素子1を有するセンサ装置24を示す。この構成は特にパワーエレクトロニクスの分野において使用可能である。このセンサ素子1は図1に示すように形成される。
【0056】
回路基板9は、センサ素子1に対する支持体25としての、及びセンサ素子1の電気的接続のための役割を果たす。センサ素子1は上面10と下面11を有する。センサ素子1はその下面11によって回路基板9に固定される。上面10に配置される電極4は第1導通路12に、及び下面11に配置される別の電極8は回路基板9の別の導通路13に電気的に接続される。
【0057】
センサ素子1は例えばその下面11によって別の導通路13に半田付けされる。移動耐性のある、銀と鉛を含まない半田付け接続にとって、金を含むまたは金によって構成される被覆層6が有利である。代替的に別の電極8は別の導通路13に焼結処理される。そのために例えば細粒状の銀ペーストが導通路13及び/または別の電極8に塗布される。焼結は、例えば低温における圧力をかけた状態で行われる。この場合、別の電極8の被覆層は銀を含むか、または銀によって構成されることが望ましい。
【0058】
上面10の電極4は接触片14を介して導通路12に接続される。接触片14は例えばボンディングによって電極4及び/または回路基板9に接合される。特に接触片14は導線ブリッジによって構成される。導線はその末端において平坦にされる。特に接触片には細かい導線が使用され、この細かい導線は細導線ボンディングによって接合される。例えば金線、アルミニウム線、銅線が使用されることもある。電極4の被覆層6は例えば金を有する。
【0059】
接触片14は主として低い腐食傾向を有する温度安定性の高い金属を有することが望ましい。それは例えば、Pt、Au、Agのような貴金属、または例えばCuのような半貴金属、または例えばFe、Niもしくはそれらの合金である非貴金属を使用することができる。さらに接触片14は、異なる材料の小領域を備える構成にすることができる。例えば接触片14は、異なる材料の小領域を有する。接触片14は金属被覆された金属製の芯線を有し、1つまたは複数の別の金属によって被覆することができる。接触片14の表面は、付加的にさらに例えば錫メッキ、ニッケルメッキ等のような被覆を有する。
【0060】
図3Aは、センサ装置24の別の実施形態を示す。図3B図3Aの拡大詳細図を示す。センサ装置24は、センサ素子1を備えたプローブ15を含む。このプローブ15は例えば温度センサの形状をしている。センサ素子1は例えば図1におけるように形成される。
【0061】
プローブ15は棒状に形成される。プローブ15は例えば流動媒体の温度の測定のために使用される。例えばプローブ15は管壁の開口を通して差し込むことができる。
【0062】
センサ15は、2つの支持要素17、18を含む支持体25を有する。支持要素17、18は例えば、センサ素子1を支持することができ、且つ十分な形状安定性を備えた太い導線の形状を有する。支持要素17、18はそれぞれ棒状に形成される。
【0063】
センサ素子1はカバー16によって取り囲まれる。カバー16はプローブ15の十分な機械的安定性を確保することができる。さらにカバー16によって外部の影響に対する保護を行うことができ、例えば攻撃性の高い媒体によるセンサ素子1の腐食を阻止することができる。特にカバー16はポリマーまたはガラスを有する。支持要素17、18はカバー16の中へ突出する。特に支持要素17、18とセンサ素子1の間の接点はカバー16で取り囲まれる。
【0064】
支持要素17、18も、センサ素子1の電気的接触の役割を果たす。特に支持要素17、18は導電性である。支持要素17、18の末端は、電極4、8との直接的な電気的接触のための接触片19、20としての形状になっている。接触片19、20は支持要素17、18の一体的な構成要素を構成する。支持要素17、18の接触片19、20は例えば電極4、8に溶接されるか、または太線ボンディングを用いて接合される。
【0065】
主として支持要素17、18と電極4、8との間の接続は、半田を使用しないことが望ましい。溶接またはボンディングの場合には、移動が防止され、且つセンサ素子1の信頼性が高められる。
【0066】
支持要素17、18及び特に接触片19、20の材料と構造の点では、図2において説明した接触片14に類似したもので設計する。但し、接触片19、20は支持要素17、18のその他の部分と共に、センサ素子1を支持するための十分な固有安定性を有する。
【0067】
図4Aは、プローブ15として形成されるセンサ装置24の別の実施形態を示す。図4B図4Aの拡大詳細図を示す。センサ装置24は、図3Aによるセンサ装置24と同様に形成される。但し、ここで示された実施形態では、センサ素子1は支持要素17、18に直接固定されず、特に支持要素17、18と電気的に直接接続されない。実際にはカバー16が支持体25におけるセンサ素子1の機械的固定を提供する。
【0068】
代りにセンサ素子1は独立した接触片19、20を介して支持要素17、18に固定される。接触片19、20は導線の形状、特に結合線の形状である。
【0069】
接触片19、20は、図2において接触片14に対して説明したような材料を有することができる。特に接触片19、20は第1材料から成る芯と第2材料から成るカバーを有することができる。
【符号の説明】
【0070】
1…センサ素子、2…本体、3…側面、4…電極、5…層、6…被覆層、7…別の側面、8…別の電極、9…回路基板、10…上面、11…下面、12…導通路、13…別の導通路、14…接触片、15…プローブ、16…カバー、17…支持要素、18…支持要素、19…接触片、20…接触片、22…金属被覆、23…金属被覆、24…センサ装置、25…支持体。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B