【実施例】
【0045】
実施例1−4 フィリリン/フィリゲニン組成物の調製
2つの単量体成分の粉末、すなわち、フィリリン及びフィリゲニン、は別々に測定され表1に示す重量比に従って混合され、フィリリン/フィリゲニン組成物を調製された。フィリリン単量体は、Dalian Fusheng Natural Drug Development Co., Ltd.によって製造された。2つの高速液体クロマトグラフィー検出器、すなわち、紫外線検出器及び蒸発光散乱検出器(ELSD)で面積正規化法により純度は99.5%と測定され、その含有量は、含有量定量のために中国薬物生物製品(China Pharmaceutical and Biological Product)から入手可能なフィリリン標準物質によって99.5%であると校正・確認された。フィリゲニンは、Dalian Fusheng Natural Drug Development Co., Ltd.によって製造され、紫外線検出器及び蒸発光散乱検出器(ELSD)で面積正規化法により、その純度は99.1%と測定された。
【0046】
【表1】
【0047】
実施例5−24 フィリリン/フィリゲニン組成物の調製
実施例1−4で調製されたフィリリン/フィリゲニン組成物は、表2に示された重量比に従って、以下の方法を使用して、シクロデキストリンを含む組成物に調製された。(1)シクロデキストリン溶液に直接添加する、(2)シクロデキストリン溶液に直接添加して、1-24時間よく撹拌する、(3)シクロデキストリン溶液に直接添加して、10-120分間加温する、(4)シクロデキストリン溶液に直接添加して、120分間超音波処理する、(5)シクロデキストリン粉末とともに10-120分間直接砕く、(6)フィリリン/フィリゲニン組成物とシクロデキストリン粉末とをよく混ぜて、混合物を篩う、(7)シクロデキストリン誘導体溶液に直接添加する、(8)シクロデキストリン誘導体溶液に直接添加して、1-24時間よく撹拌する、(9)シクロデキストリン誘導体溶液に直接添加して、10-120分間加温する、(10)シクロデキストリン誘導体溶液に直接添加して、10-120分間超音波処理する、(11)シクロデキストリン誘導体粉末とともに10-120分間直接砕く、(12)シクロデキストリン誘導体粉末とよく混ぜて、混合物を篩う。
【0048】
【表2】
【0049】
実施例5−24で使用された賦形剤は、β-シクロデキストリンを例として使用して説明され、1)β-ヒドロキシエチル-シクロデキストリン、2)ヒドロエチル-β-シクロデキストリン、3)2,6-ジメチル-β-シクロデキストリン、4)2,3,6-トリメチル-β-シクロデキストリン、5)2,6-ジエチル-β-シクロデキストリン、6)2,3,6-トリエチル-β-シクロデキストリン、7)マルトシル-β-シクロデキストリン、8)スルホブチルエーテル β-シクロデキストリン、9)塩化パラトルエンスルホニル(p-TsCl)基置換β-シクロデキストリン、10)6位置換パラトルエンスルホン酸β-CDエステル(β-シクロデキストリン-6-OTs)、11)、2-オキシ-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、12)2位一置換p-トルエンスルホン酸エステル(β-シクロデキストリン-2-OTs)、13)p-トルエンスルホン酸β-シクロデキストリンエステル(Tosyl-β-CD)、15)β-シクロデキストリンの星型巨大分子(star-shaped macromolecule)であるPCL-(Tos)7-β-CD等、他のシクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体、も本発明に応用できる。
【0050】
実施例25 フィリリン/フィリゲニン組成物の調製
95%(m/m)エタノール10kgが連翹の乾燥葉1kgに添加され、混合物は2回、2時間/回ずつ加温下で還流抽出され、抽出液が濾過され、濾液が真空下で元の体積の1/2まで濃縮され、25℃で1時間放置されて沈殿物が分離された。沈殿が再結晶化のため、メタノールに溶解され、沈殿が分離された。再結晶化のためにメタノールによる前記処理が繰り返され、フィリリン/フィリゲニン組成物の非晶質粉末が得られ、フィリリン及びフィリゲニンの含有量は、HPLCで測定したところ、それぞれ98%及び2%であった。
【0051】
実施例26 フィリリン/フィリゲニン組成物の調製
メタノール 10kgが連翹の乾燥果実1kgに添加され、混合物は3回、4時間/回ずつ加温下で還流抽出され、抽出液が濾過され、濾液が真空下で元の体積の1/10まで濃縮され、20℃で48時間放置されて沈殿物が分離された。沈殿が再結晶化のため、エタノールに溶解され、沈殿が分離された。再結晶化のためにエタノールによる前記処理が繰り返され、フィリリン/フィリゲニン組成物の非晶質粉末が得られ、フィリリン及びフィリゲニンの含有量はそれぞれ95%及び4%であった。
【0052】
実施例27 フィリリン/フィリゲニン組成物の調製
70%(m/m) メタノール 10kgが連翹の乾燥葉1kgに添加され、混合物が3回、3時間/回ずつ加温下で還流抽出された。抽出液が濾過され、濾液が真空下で元の体積の1/3まで濃縮され、室温で2時間放置されて沈殿物が分離された。沈殿が再結晶化のため、90% メタノールに溶解され、沈殿が分離された。再結晶化のためにメタノールによる前記処理が繰り返され、フィリリン/フィリゲニン組成物の非晶質粉末が得られ、フィリリン及びフィリゲニンの含有量はそれぞれ88% 及び2%であった。
【0053】
実施例28 フィリリン/フィリゲニン組成物の調製
無水エタノール10kgが連翹の乾燥果実1kgに添加され、混合物が2回、4時間/回ずつ加温下で還流抽出された。抽出液が濾過され、濾液が真空下で元の体積の1/4まで濃縮され、室温で24時間放置されて沈殿物が分離されて沈殿物が分離された。沈殿が再結晶化のため、アセトンに溶解され、沈殿が分離された。再結晶化のためにアセトンによる前記処理が繰り返され、フィリリン/フィリゲニン組成物の非晶質粉末が得られ、フィリリン及びフィリゲニンの含有量はそれぞれ90%及び6%であった。
【0054】
実施例29 フィリリン/フィリゲニン組成物の調製
アセトン 10kgが連翹の乾燥葉1kgに添加され、混合物が3回、3時間/回ずつ還流抽出された。抽出液が濾過され、濾液が真空下で元の体積の1/5まで濃縮され、室温で10時間放置されて沈殿物が分離された。沈殿が再結晶化のため、70% エタノールに溶解され、沈殿が分離された。再結晶化のために70% エタノールによる前記処理が繰り返され、フィリリン/フィリゲニン組成物の非晶質粉末が得られ、フィリリン及びフィリゲニンの含有量はそれぞれ80%及び5%であった。
【0055】
実施例30 フィリリン/フィリゲニン組成物錠剤の調製
フィリリン/フィリゲニン組成物錠剤は下記の重量比で調製された。
フィリリン/フィリゲニン組成物 (重量比は 98:2) 500g
澱粉 480g
タルク粉末 1% (10g)
ステアリン酸マグネシウム 1% (10g)
【0056】
上記比率に従って、実施例1で調製されたフィリリン/フィリゲニン組成物が澱粉とよく混ぜられたのち、混合物は顆粒剤に調製された。タルク及びステアリン酸マグネシウムが添加されよく混合され、混合物は10000錠の錠剤に圧縮された。
【0057】
実施例31 フィリリン/フィリゲニン組成物顆粒剤の調製
フィリリン/フィリゲニン組成物 顆粒剤は下記の重量比で調製された。
フィリリン/フィリゲニン組成物 (重量比は 98:2) 100g
微結晶性セルロース 10000g
【0058】
上記比率に従って、実施例1で調製されたフィリリン/フィリゲニン組成物が微結晶性セルロースとよく混ぜられたのち、混合物は顆粒剤に調製された。顆粒剤は10000袋に詰められた。
【0059】
実施例32 フィリリン/フィリゲニン組成物カプセル剤の調製
フィリリン/フィリゲニン組成物カプセル剤は下記の重量比で調製された。
フィリリン/フィリゲニン組成物 (重量比は 98:2) 250g
澱粉 2500g
【0060】
上記比率に従って、実施例1で調製されたフィリリン/フィリゲニン組成物が澱粉とよく混ぜられたのち、混合物はカプセル剤に調製され、カプセル剤10000が形成された。
【0061】
実施例33−36 フィリリン/フィリゲニン組成物カプセル剤の調製
実施例33−36では、実施例1で調製されたフィリリン/フィリゲニン組成物が表3に示す重量比に従って澱粉ととよく混ぜられたのち、混合物はカプセル剤に調製され、各実施例のカプセル剤が10000錠ずつ形成された。
【0062】
【表3】
【0063】
表中の原料は、実施例5−29で調製されたフィリゲニン/フィリリン組成物と置き換えられる。
【0064】
実施例37−40 フィリリン/フィリゲニン組成物顆粒剤の調製
実施例37−30において、フィリリン/フィリゲニン組成物は、それぞれ表4に記載の重量比に従って微結晶性セルロースとよく混合されたのち、混合物は顆粒剤に調製され、顆粒剤は10000袋に詰められた。
【0065】
【表4】
【0066】
表中の原料は、実施例5−29で調製されたフィリゲニン/フィリリン組成物と置き換えられる。
【0067】
実施例41 フィリリン/フィリゲニン組成物錠剤の調製
フィリリン/フィリゲニン組成物 錠剤 は下記の重量比で調製された。
フィリリン/フィリゲニン組成物 (重量比は 98:2) 500g
澱粉 380g
蒲公英エキス 100g
タルク粉末 1% (10g)
ステアリン酸マグネシウム 1% (10g)
【0068】
上記比率に従って、フィリリン/フィリゲニン組成物は、エキス末と混合されたのち、澱粉とよく混合され、混合物は顆粒剤に調製され、タルク粉末及びステアリン酸マグネシウムが添加されよく混合されたのち、混合物は10000錠の錠剤に圧縮された。ここで、この実施例のフィリリン/フィリゲニン組成物は実施例5−29のフィリリン/フィリゲニン組成物と置き換えられる。
【0069】
実施例42 フィリリン/フィリゲニン組成物顆粒剤の調製
フィリリン/フィリゲニン組成物 顆粒剤は下記の重量比で調製された。
フィリリン/フィリゲニン組成物 (重量比は 98:2) 250g
板藍根エキス 250g
金銀花エキス 250g
微結晶性セルロース 24500g
【0070】
上記比率に従って、フィリリン/フィリゲニン組成物は、エキス末と混合されたのち、微結晶性セルロースとよく混合され、混合物は顆粒剤に調製された。顆粒剤は10000袋に詰められた。ここで、この実施例のフィリリン/フィリゲニン組成物は実施例5−29のフィリリン/フィリゲニン組成物と置き換えられる。
【0071】
実施例43 フィリリン/フィリゲニン組成物カプセル剤の調製
フィリリン/フィリゲニン組成物 顆粒剤 は下記の重量比で調製された。
フィリリン/フィリゲニン組成物 (重量比は 98:2) 250g
梔子エキス 250g
川貝エキス 250g
苦丁茶エキス 250g
澱粉 1000g
【0072】
上記比率に従って、フィリリン/フィリゲニン組成物 は、エキス末と混合されたのち、澱粉とよく混合され、混合物はカプセル剤に調製され、カプセル剤10000錠が形成された。 ここで、この実施例のフィリリン/フィリゲニン組成物は実施例5−29のフィリリン/フィリゲニン組成物と置き換えられる。
【0073】
実施例52 フィリリン/フィリゲニン組成物錠剤の調製
フィリリン/フィリゲニン組成物 錠剤 は下記の重量比で調製された。
フィリリン/フィリゲニン組成物 (重量比は 80:20) 500g
澱粉 480g
知母エキス 500g
タルク粉末 1% (10g)
ステアリン酸マグネシウム 1% (10g)
【0074】
上記比率に従って、フィリリン/フィリゲニン組成物 は、エキス末と混合されたのち、澱粉とよく混合され、混合物は顆粒剤に調製された。タルクとステアリン酸マグネシウム が添加されよく混合された。混合物は10000錠の錠剤に圧縮された。ここで、この実施例のフィリリン/フィリゲニン組成物は実施例5−29のフィリリン/フィリゲニン組成物と置き換えられる。
【0075】
実施例53 フィリリン/フィリゲニン組成物顆粒剤の調製
フィリリン/フィリゲニン組成物顆粒剤 は下記の重量比で調製された。
フィリリン/フィリゲニン組成物 (重量比は 90:10) 1000g
玄参エキス 500g
淡竹葉エキス 500g
微結晶性セルロース 10000g
【0076】
上記比率に従って、フィリリン/フィリゲニン組成物 は、エキス末と混合されたのち、微結晶性セルロースとよく混合され、混合物は顆粒剤に調製された。顆粒剤は10000袋に詰められた。ここで、この実施例のフィリリン/フィリゲニン組成物は実施例5−29のフィリリン/フィリゲニン組成物と置き換えられる。
【0077】
実施例54 フィリリン/フィリゲニン組成物カプセル剤の調製
フィリリン/フィリゲニン組成物カプセル剤は下記の重量比で調製された。
フィリリン/フィリゲニン組成物 (重量比は 94:6) 2000g
夏枯草エキス 250g
魚腥草エキス 500g
芦根エキス 250g
澱粉 1000g
【0078】
上記比率に従って、フィリリン/フィリゲニン組成物は、エキス末と混合されたのち、澱粉とよく混合され、混合物はカプセル剤に調製され、カプセル剤10000錠を形成した。 ここで、この実施例のフィリリン/フィリゲニン組成物は実施例5−29のフィリリン/フィリゲニン組成物と置き換えられる。
【0079】
試験例1 フィリリン/フィリゲニン 組成物の抗ウイルス活性試験
1 試験管内抗ウイルス試験
1.1 試験材料
【0080】
(1)薬物
1)フィリリンは、白い粉末であり、Dalian Fusheng Natural Drug Development Co., Ltd.によって製造され、2つの高速液体クロマトグラフィー検出器、すなわち、紫外線検出器及び蒸発光散乱検出器(ELSD)で面積正規化法により純度は99.5%と測定され、その含有量は、含有量定量のために中国薬物生物製品から入手可能なフィリリン標準物質によって99.5%であると校正・確認された。
【0081】
2)フィリゲニンは、白い粉末であり、Dalian Fusheng Natural Drug Development Co., Ltd.によって製造され、紫外線検出器及び蒸発光散乱検出器(ELSD)で面積正規化法により、その純度は99.1%と測定された。
【0082】
3) フィリリン/フィリゲニン組成物1は、白い粉末であり、Dalian Fusheng Natural Drug Development Co., Ltd.によって製造され、フィリリン及びフィリゲニンの2つの単量体によってある比率で形成された。99.5% フィリリン及び99.1% フィリゲニンを実験対照に使用する較正によれば、フィリリン/フィリゲニン組成物中の各単量体の含有量は98%だった。フィリリン/フィリゲニン組成物1中のフィリリンとフィリゲニンとの重量比は、98:2であった。フィリリン/フィリゲニン組成物2は、白い粉末であり、Dalian Fusheng Natural Drug Development Co., Ltd.によって製造され、フィリリン及びフィリゲニンの2つの単量体によって形成された。フィリリン/フィリゲニン組成物2におけるフィリリンとフィリゲニンの重量比は、80:20である。
【0083】
4)リバビリン注射剤、Henan Runhong Pharmaceutical Co.,Ltd.により製造された無色透明の液体である、製品ロット番号は1206261であり、中国医薬品許可番号はH19993553であり、その濃度は100mg/mlであり、本試験では陽性対照薬として使用される。
【0084】
5) リン酸オセルタミビル、中国薬品生物製品検定所(National Institute for the Control of Pharmaceutical and Biological Products)から入手可能である。製品ロット番号は101096-200901であり、100mg/注入量であり、本試験では陽性対照薬として使用される。
【0085】
上記の薬物は、すべて精製水に溶解され、濾過され、殺菌され、分注され、使用するまで4℃で保管された。これらの全ては、この試験で試験される薬物であった。
【0086】
(2)細胞株:
ベロ細胞(アフリカミドリザル腎細胞)の細胞株は、吉林大学(Jilin University)の基礎医学院(College of Basic Medical Sciences)に保管されていた。
【0087】
(3)ウイルス株:
1)インフルエンザウイルス株、パラインフルエンザウイルス株及び呼吸器合胞体ウイルス(RSV)株は、何れも中国予防医学科学院(Chinese Academy of Preventive Medicine)のウイルス研究所(Virology Institute)から購入した。
【0088】
2)コクサッキーウイルスB
3型(CVB
3)株は、アメリカから入可能であり、我々の教育及び研究オフィス(teaching and research office)に保管されていた。
【0089】
3)コクサッキーウイルスA16型(CoxA16)株及びエンテロウイルスEV71株は、日本の国立仙台病院により贈与され、我々の教育及び研究オフィスで保管されていた。
【0090】
4)アデノウイルス(AdV)は、吉林大学のノーマン・ベチューン医科大学の第一病院(The First Hospital of Norman Bethune Health Science Center)の小児科研究部から入手できた。
【0091】
5)単純ヘルペスウイルスI型(HSV-I)は、厚生省の薬品生物製品検定所(The Institute for the Control of Pharmaceutical and Biological Products, Ministry of Health)から購入した。
【0092】
(4)主な機器及び試薬
生物学的安全キャビネット BHC−1300IIA/B3,AIRTECH
炭酸ガスインキュベーター MCO−18AIC,三洋電機
倒立顕微鏡 CKX41, オリンパス
電子分析てんびん AR1140/C,DHAUS
培地 DMEM, HyClone
ウシ胎仔血清 HyClone
トリプシン Gibco
MTT Sigma
DMSO Tianjin Beilian Fine Chemicals Development Co., Ltd.
【0093】
1.2 試験方法
(1)細胞の調製
ベロ細胞を1-2日間継代培養して製膜した。培養細胞は、その後、明瞭な境界線、強い立体感及び視度が示されたのち、膵酵素により処理された。消化は、細胞表面に針状の孔が生じたあとに停止され、その後、細胞は数ミリリットルの培養液に分散され、計数され、培養液(10%のウシ胎仔血清を含有するDMEM)で約5×10
7cells/Lまで希釈され、96ウェル培養プレートに播種されたのち、単層になるまで培養された。
【0094】
(2)薬物毒性の測定
細胞毒性試験:薬物は、細胞毒性を測定するために表1−1に示す濃度に従って希釈された。
【0095】
【表1-1】
【0096】
維持培地(2%のウシ胎仔血清を含有するDMEM)で異なる濃度に希釈された前記薬物が、各ウェルに0.2mlずつ、各濃度に対してそれぞれ6つの重複ウェルができるように、ベロ単層細胞に滴下された。加えて、正常対照(薬物の添加なし)の6つのウェル及びブランク対照(培地のみ)の6つのウェルを設けられた。細胞は、37℃、5%炭酸ガス中で培養された。CPEが、毎日、微鏡で観察され記録された。72時間後、20μL(5mg・mL
-1)のMTT溶液が各ウェルに添加され、4時間培養された。各ウェル内の培養液は吸引・廃棄され、100μLのDMSOが各ウェルに添加された。その後、培養液は5分間振盪され、492nmでのOD値が測定され、細胞生存率を算出された。細胞生存率がSPSS18.0統計ソフトウェアのプロビット回帰分析を使用して分析され、ベロ細胞に対する薬物の最大非毒性濃度(TC
0)及び50%細胞毒性濃度(TC
50)が算出された。
【0097】
(3)種々のウイルスのTCID
50の測定
各ウイルスは、10
-1、10
-2、10
-3、10
-4、10
-5、及び10
-6の異なる希釈度を有するように10倍段階で順次希釈され、単層ベロ細胞を含む96ウェル培養プレートの6つの重複ウェルは、正常細胞対照群とともに、100μLの順次希釈液で培養された。培養プレートは、5%炭酸ガス中、37℃で2時間培養されたのち、ウイルス液が廃棄され、100μLの細胞維持液が各ウェルに添加され、5%炭酸ガス中、37℃で培養された。細胞変性結果は、3日目から顕微鏡で観察され、結果は7日目から8日目に測定され記録された。ウイルス力価は、細胞ウェルの50%に陽性病変が起こるところを終点とする最高希釈度に基づいて、Karber法により算出された。
【0098】
【数1】
【0099】
(4)ウイルス誘発細胞変性への薬物の影響
単層細胞で覆われた培養プレートが選ばれ、その培養液が吸引されて廃棄され、100TCID
50となる量の攻撃ウィルスが細胞が細胞に接種され、5%炭酸ガス中、37℃で2時間培養器に置かれ、特定の濃度(およそ最大非毒性濃度)の種々の薬物液が添加され、濃度ごとに6つの重複ウェル、200μL/ウェルで試験された。リバビリン注射剤及びリン酸オセルタミビルが陽性薬物対照群、正常対照群(ウイルス及び薬物が添加されていない。)及びウイルス対照群(ウイルスは添加されているが、薬物は添加されていない。)も、薬物のウイルス誘発CPEに与える影響を調べるために、設けられた。72時間後、492nm波長下でのOD値が、MTT比色法を使用して測定され、薬物の抗ウイルス有効率(ER%)が算出された。SPSS18.0統計ソフトウェアの分散分析(ANOVA)法が、薬物間で抗ウイルス有効性に有意差があるかを否かを調べるために使用された。
【0100】
【数2】
【0101】
1.3 試験結果
(1)種々のウイルスのTCID
50
【0102】
【数3】
【0103】
(2)薬物毒性の測定
1)薬物の細胞毒性の測定
ベロ細胞における薬物の最大非毒性濃度(TC
0)、50%細胞毒性濃度(TC
50)及び薬物の抗ウイルス試験に使用される濃度は表1−2に見られる。
【0104】
【表1-2】
【0105】
2)ウイルス誘発性細胞障害における薬物保護効果の結果
種々のウイルスに抵抗する薬物の有効率及びANOVA法を使用する一元配置分散分析の結果は、その詳細について表1−3に示された。
【0106】
【表1-3】
【0107】
表1−3の結果に示されているように、フィリリン/フィリゲニン組成物は、8つのウイルス全てにおいて顕著な阻害効果 (P<0.01又はP<0.001)を備えており、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルスI型(HSV-I)、エンテロウイルスEV71及びアデノウイルス (ADV)においては100%の抗ウイルス有効率を備え、フィリリン及びフィリゲニンよりも顕著な治療効果を備えている。これは、フィリリン/フィリゲニン組成物が相乗効果を備えることを示す。 さらに、フィリリン/フィリゲニン組成物は、インフルエンザ、コクサッキーウイルスA16 (CoxA16)、呼吸器合胞体ウイルス (RSV)、単純ヘルペスウイルスI型(HSV-I)、アデノウイルス(ADV)、エンテロウイルスEV71 及びコクサッキーウイルスB
3(CVB
3)の阻害効果において、陽性薬物であるリバビリンよりも顕著に優れた治療効果を備えており(P<0.01又はP<0.001)、インフルエンザ、 コクサッキーウイルスA16 (CoxA16)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、単純ヘルペスウイルスI型 (HSV-I)、アデノウイルス (ADV)、 エンテロウイルスEV71 及びコクサッキーウイルスB
3 (CVB
3) の阻害効果において、リン酸オセルタミビルよりも顕著に優れた治療効果を備えている (P<0.05、P<0.01又はP<0.001)。
【0108】
2.生体内の抗ウイルス試験
2.1 実験材料
(1)実験動物
医薬用動物No.10-5219である昆明マウスは、吉林大学のノーマン・ベチューン健康科学センター(Norman Bethune Health Science Center)の実験動物センターにより提供された。
【0109】
(2)実験機器及び試薬
装置名 モデル 製造者
定量PCR装置 7300 ABI
PCR装置 ES-60J Shenyang Longteng Electronic
Weighing Instrument Co.,Ltd.
電子分析てんびん FA1004 Shenyang Longteng Co.,Ltd.
炭酸ガスインキュベーター HG303-5 Nanjing Experimental Instrument Factory
スーパークリーンベンチ SW-CJ-IF Suzhou Antai Air Tech Co.,Ltd.
倒立顕微鏡 CKX41 オリンパス
-80℃超低温フリーザー TECON-5082 オーストラリア
水浴振盪器 HZS-H Harbin Donglian Co., Ltd.
マイクロプレートリーダー TECAN A-5082 オーストラリア
分光光度計 7550モデル 日本
【0110】
2.2 実験方法
(1)インフルエンザウイルス及びパラインフルエンザウイルスに起因するマウス半数致死量の測定
インフルエンザウイルス及びパラインフルエンザウイルス(細胞溶解物)が、10
-1、10
-2、10
-3、10
-4及び10
-5の濃度に10倍段階で希釈された。120匹の昆明マウスが得られ、そのうちの60匹がインフルエンザウイルス群に供され、残りの60匹がパラインフルエンザウイルス群に供された。60匹のマウスがランダムに6群に分けられた。マウスはエーテルで軽く麻酔され、濃度の異なるウイルス液を0.03mL/鼻孔の量で経鼻的に感染させられた。ブランク対照群が設けられ、ウイルス懸濁液が生理食塩液によって置き換えられた。死亡及び生存が観察指標として使用され、観察は感染後の14日間毎日行われた。感染してから24時間以内に死亡したマウスは非特異的死亡であるため数には入れず、ウイルス液のLD50をKarber法を使用して算出した。
【0111】
【数4】
【0112】
(2)インフルエンザウイルス及びパラインフルエンザウイルスの感染により引き起こされる肺炎への抵抗力についてのフィリリン/フィリゲニン組成物の研究
1)試験動物及び群
2つの試験を行うため、540匹の4週齢昆明マウスが選ばれた。まず、270匹のマウスが選ばれ、インフルエンザウイルスに感染したマウスに対するフィリリン/フィリゲニン組成物の肺指数及び肺指数阻害率を測定する試験のために27群(各群10匹)にランダムに分けられた。試験は3回繰り返され、それぞれ90匹使用された。残りの270匹が選ばれ、フィリリン/フィリゲニン組成物塩の肺懸濁液のウイルス赤血球凝集価を測定する試験のために27群(各群10匹)にランダムに分けられた。実験は3回繰り返され、それぞれ90匹使用された。
【0113】
2)感染方法
脱脂綿を200-300mLビーカーに入れ、その中に適切な量のジエチルエーテル(単に綿を湿らせるため)が加えられ、脱脂綿が入ったビーカーは上下逆さまにされ、その中で麻酔をかけられた。マウスが極度に興奮し、明らかに弱ったときに、マウスの背を下にして横たわらせ、15LD
50のインフルエンザウイルス及びパラインフルエンザウイルスを0.03ml/鼻孔でマウスに鼻から吸わせて感染させた。正常対照群では、ウイルス懸濁液は生理食塩液によって置き換えられた。
【0114】
3)投与方法及び投与量
フィリリン/フィリゲニン組成物1群、フィリリン/フィリゲニン組成物2群、フィリゲニン群、フィリリン群、リバビリン対照群及びリン酸オセルタミビル対照群はそれぞれ感染1日前に経胃的に投与された。フィリリン/フィリゲニン組成物1及び2群の高濃度投与量、中濃度投与量及び低濃度投与量は、それぞれ13.0mg/kg、6.5mg/kg及び3.25mg/kgであり、フィリリン群の投与量は13mg/kgであり、フィリゲニン群の投与量は13mg/kgであり、陽性薬物であるリバビリン群の投与量は58.5mg/kg、リン酸オセルタミビル群の投与量は19.5mg/kgであり、投与は、連続した5日間、1日1回行われ、同量の生理食塩液のかん流が正常対照群とウイルス対照群に行われた。
【0115】
4)観察指標
(i)肺指数の測定
薬物がマウスに投与されてから5日後、まず、マウスは8時間水分を抑えられ、次に、マウスは秤量されたのち、眼球摘出による出血により殺された。マウスの胸腔を開いて肺全体が取り出され、肺は生理食塩液で2度洗浄され、濾紙を使用して肺の表面の水分が除去され、電子てんびんを使用して秤量された。肺指数及び肺指数阻害率は以下の式に従って算出された。
【0116】
【数5】
【0117】
(ii)肺懸濁液のウイルス赤血球凝集価の測定
各群のマウスの肺はそれぞれ処理後5日目に取り出され、ホモジナイザーにより低温でホモジネートされた。ホモジネートは生理食塩液によって10%の肺組織懸濁液に希釈された。遠心分離されて上清が得られ、上清は2倍希釈され、0.2ml/ウェルで滴定プレートに滴下された。0.2mlの1%ニワトリ赤血球懸濁液が各ウェルに加えられ均一に混ぜられた。滴定プレートは室温環境に30分間置かれ、赤血球凝集価が観察され記録された。赤血球が(++)まで凝集した時点で終点となり、その赤血球凝集価は懸濁液の希釈倍数により表された。
【0118】
2.3 試験結果及び分析
(1)インフルエンザウイルス及びパラインフルエンザウイルスによるマウスの半数致死量の測定結果
実験群の昆明マウスはそれぞれ、30μLの異なる濃度のインフルエンザウイルス液及びパラインフルエンザウイルス液を経鼻的に感染させられた。感染から3日目に、最初の3つの群のマウス(ウイルス濃度に基づき10
-1群、10
-2群、及び10
-3群)はすべて、異なる程度の病徴、すなわち、立毛、震え、食欲減退等を示した。5日目にマウスはよろけた。6日目に最高ウイルス濃度のマウスは死に始め、感染してから7日目に残りの群でも次々と死んだ。14日間の観察が完了すると、各群のマウスの死亡数が数えられ、その結果は下記の表1−4及び表1−5に示された。計算により、インフルエンザウイルスのLD
50は希釈度10
-2.9であり、パラインフルエンザウイルスのLD
50は希釈度10
-2.5であった。
【0119】
【表1-4】
【0120】
ウイルスのLD
50はKarber法により算出された。インフルエンザウイルスのLogLD
50は、次の通りであった。
【0121】
【数6】
【0122】
【表1-5】
【0123】
ウイルスのLD
50はKarber法により算出された。パラインフルエンザウイルスのLogLD
50は、次の通りであった。
【0124】
【数7】
【0125】
(2)インフルエンザウイルス及びパラインフルエンザウイルスの感染により引き起こされる肺炎への抵抗力についてのフィリリン/フィリゲニン組成物の効果の結果
(i)肺指数の測定
インフルエンザウイルス及びパラインフルエンザウイルスをマウスに感染したのち、平均肺指数は、感染モデル群と比較して、正常対照群、フィリリン群(13.0mg/kg/d)、フィリゲニン群(16.0mg/kg/d)、フィリリン/フィリゲニン組成物1及び2のそれぞれ3つの群(低用量群3.25mg/kg/d、中用量群6.5mg/kg/d、高用量群13.0mg/kd/d)、リバビリン群、リン酸オセルタミビル群の肺指数が顕著に低下し(P<0.05又はP<0.01)、フィリリン/フィリゲニン組成物が3.25-13.0mg/kg/dの濃度範囲で明らかな保護効果を備えて、全ての肺指数を顕著に低下させ、肺指数阻害率における治療効果がフィリリン群及びフィリゲニン群(P<0.05)よりも顕著に優れていたこと、が示された。その結果は、表1−6及び1−7を参照。
【0126】
【表1-6】
【0127】
【表1-7】
【0128】
(ii)肺懸濁液のウイルス赤血球凝集価の測定
マウスがインフルエンザウイルス及びパラインフルエンザウイルスに感染させられたのち、感染モデルの肺組織赤血球凝集価(InX)は、それぞれ32.40及び33.11であった。異なる濃度のフィリリン/フィリゲニン組成物で5日間処理したのち、両ウイルスに対する肺組織赤血球凝集価はある程度低下し、感染モデル群と比較するとその違いは顕著であり(P<0.01)、フィリリン/フィリゲニン組成物1群及び2群は用量が異なっていても、インフルエンザ及びパラインフルエンザウイルスに対する赤血球凝集価がフィリリン群やフィリゲニン群と比べて顕著に低かった(P<0.05-P<0.001)。これは、フィリリン/フィリゲニン組成物は相乗効果を備えており、フィリリン群及びフィリゲニン群と比較してウイルス増殖に対して顕著に高い阻害効果を備える(P<0.05-P<0.001)こと、フィリリン/フィリゲニン組成物1及び2の高用量、中用量群及び低用量群が、インフルエンザウイルスに感染したマウスの肺懸濁液赤血球凝集価に対して、フィリリン群及びフィリゲニン群と比べて顕著に高い阻害効果率を備える(P<0.01-P<0.001)こと、を示している。その結果については、表1−8及び1−9を参照。
【0129】
【表1-8】
【0130】
【表1-9】
【0131】
試験例2 フィリリン/フィリゲニン組成物の解熱及び鎮痛の試験
1.1 試験材料
(1)試験動物
Wistarラットは、体重120-250g、雄及び雌の組み合わせであり、承認番号はMedicinal Animal No. 13-1225である。日本白色ウサギは、雄、体重1.5-2.0kg、承認番号はMedicinal Animal No.10-5115であった。これらは、全てChangchun Gaoxin Medical Animal Experimental Centerにより供給され、動物飼料は、吉林大学の実験動物部によって供給された。
【0132】
(2)試験薬物
1)フィリリンは、白い粉末であり、Dalian Fusheng Natural Drug Development Co., Ltd.によって製造され、2つの高速液体クロマトグラフィー検出器、すなわち、紫外線検出器及び蒸発光散乱検出器(ELSD)で面積正規化法により純度は99.5%と測定され、その含有量は、含有量定量のために中国薬物生物製品から入手可能なフィリリン標準物質によって99.5%であると校正・確認された。
【0133】
2)フィリゲニンは、白い粉末であり、Dalian Fusheng Natural Drug Development Co., Ltd.によって製造され、紫外線検出器及び蒸発光散乱検出器(ELSD)で面積正規化法により、その純度は99.1%と測定された。
【0134】
3)フィリリン/フィリゲニン組成物は、白い粉末であり、Dalian Fusheng Natural Drug Development Co., Ltd.によって、フィリリン及びフィリゲニンの2つの単量体によってある比率で形成された。99.5% フィリリン及び99.1% フィリゲニンを実験対照に使用する較正によれば、フィリリン/フィリゲニン組成物中の各単量体の含有量は98%だった。フィリリン/フィリゲニン組成物1中のフィリリンとフィリゲニンとの重量比は98:2であり、フィリリン/フィリゲニン組成物2におけるフィリリンとフィリゲニンの重量比は、80:20であった。
【0135】
1.2 主な機器及び試薬
YLS-7A ラット足指膨張測定装置(Equipment Station, Shandong Academy of Medical Sciences)
722 可視分光光度計: Shanghai(Shanghai Spectrum Instruments Ltd.により製造)
ポータブルデジタル温度計(モデルWSC-411P、the Third Company of Shanghai Pudong)
ピロカルピン(Tianjin People's Pharmaceutical Factory、バッチ番号20130112)
ヒスタミン(Institute of Biochemistry and Cell Biology, SIBS, CAS,バッチ番号0130115)
5-ヒドロキシトリプタミン(Institute of Biochemistry and Cell Biology, SIBS, CAS, バッチ番号0130623)
エバンスブルー(Shanghai Chemical Reagents Purchases-supply Station, バッチ番号0130217)
マレイン酸クロルフェニラミン錠剤(Changchun Economic Development Zone Pharmaceutical Co., Ltd., バッチ番号0130801)
カラギーナン(Medical Institute of Pharmacology in Jilin, バッチ番号0130502)
パラセタモール錠剤(Liaoyuan City Baikang Pharmaceutical Co., Ltd., バッチ番号0130512)
アスピリン錠剤(Baicheng Wanda Pharmaceutical Co., Ltd., バッチ番号0130305)
サッカロマイセス セレビシエ(Beijing AOBOXING Bio-tech Co., Ltd., バッチ番号013020)
腸チフス及びパラチフスワクチン(Changchun Institute of Biological Products Co., Ltd., バッチ番号0130216)
【0136】
1.3 統計処理
2つのサンプルの比較に、順位和検定(rank sum test)、カイ2乗(χ
2)検定及びt検定が、統計分析において使用された。
【0137】
2.1 フィリリン/フィリゲニン組成物のラット足肉球汗分泌への影響試験(着色法)
(1)材料及び方法
この試験は、汗腺がラットの肉球に分布しており、汗の分泌量とその変化がヨウ素と澱粉が接触すると紫色が生じるという仕組みを使用して観察できる、というメカニズムに基づいている。
【0138】
500匹のWistarラットが、雌雄同数、体重120-150gが使用された。これらのラットは、体重及び性別に応じてランダムに50群に分けられ、すなわち、対照(0.5% カルボキシメチルセルロース)群が5群、フィリリン群が5群、フィリゲニン群が5群、フィリリン/フィリゲニン組成物1及び2の低用量群、中用量群及び高用量群(2.5、5及び10mg/kg)が5群ずつ、陽性薬物であるピロカルピン(35mg/kg)群が5群、に分けられた。各群は10匹のラットを含み、試験ごとに10群が使用され、それぞれ5つ(1、5、10、15及び20分)の期間がある。
【0139】
ラットは、両後肢が露出した状態で、自作のラット固定袋に入れられた。右足肉球の不潔物が、無水エタノールを浸した綿棒で、優しく綺麗に洗浄された。皮下注射がピロカルピン溶液に使用されたことを除けば、他の群には胃内投与が使用された。
【0140】
投与1時間後(ピロカルピン群の投与から30分後)、全ての群れのラットの右足に元からある汗及びもがいたことにより生じた汗が、まず、乾燥した綿棒で拭われ、Hetian-Gao Yuan's A 試薬液 (ヨウ素2gが無水エタノール100mlに溶解された。)によって塗られ、その後、完全に乾燥したのち、Hetian-Gao Yuan's B 試薬液(可溶な澱粉50g及びヒマシ油100mlの均一混合物)の薄い層が塗られた。
【0141】
B液を塗ってから、それぞれ1,5,10,15及び20分後に、暗紫色の点(すなわち、汗点)の色と数を注意深く観察するため、拡大鏡が使用された。試験が完了すると、群同士の違いを比較するために、2つのサンプルを比較する順位和検定による統計処理が行われた。
【0142】
(2)結果
対照群と比較すると、フィリリン/フィリゲニン組成物の中用量群及び高用量群(5,10mg/kg)は、ラットの足肉球の汗分泌において、B液が塗られてから10、15及び20分後に顕著な促進効果を備え(p<0.05)、フィリリン/フィリゲニン組成物の2.5mg/kg群は、ラットの足肉球の汗分泌において、B液が塗られてから15及び20分分後に顕著な促進効果を備える(p<0.05)。それらの発汗機能は、陽性薬物であるピロカルピンとほぼ同等であり、これらの群は汗分泌をゆっくり促進するという特徴を備えていた。
【0143】
フィリリン/フィリゲニン組成物の高用量群は、ラットの足肉球の汗分泌において、B液が塗られてから10、15及び20分後に、フィリリン及びフィリゲニンと比べて顕著な促進効果を備えている(p<0.05)。
【0144】
フィリリン/フィリゲニン組成物の中用量群は、ラットの足肉球の汗分泌において、B液が塗られてから10及び15分後に、フィリリン及びフィリゲニンと比べて顕著な促進効果を備えている(p<0.05)。
【0145】
フィリリン/フィリゲニン組成物の低用量群は、ラットの足肉球の汗分泌において、B液が塗られてから15分後に、フィリリン及びフィリゲニンと比べて顕著な促進効果を備えている。
【0146】
以上の結果は、フィリリン/フィリゲニン組成物が ラットの足肉球の汗分泌の促進において、フィリリン及びフィリゲニンと比べて顕著な効果を備えることを、示した。詳細については表2−1、2−2、2−3、2−4、2−5を参照。
【0147】
【表2-1】
【0148】
【表2-2】
【0149】
【表2-3】
【0150】
【表2-4】
【0151】
【表2-5】
【0152】
2.2 ラット足肉球汗分泌へのフィリリン/フィリゲニン組成物の影響試験(組織形態観察法)
(1)材料と方法
この試験は、ラットの汗腺が存在すると、汗腺の汗分泌の増大に加えて、汗腺上皮細胞の形態も変わる、というメカニズムに基づいている。光学顕微鏡下で、汗腺上皮細胞の空細胞数の増加と拡張が見られる。電子顕微鏡下で、このような拡大された空胞は汗腺上皮細胞のミトコンドリアの膨張、破裂、融合及び分泌小胞の拡大が示され、ラット脚部汗腺上皮細胞の形態学的観察を通じて、汗腺の分泌活性が知られる。
【0153】
300匹のWistarラット、雌雄同数、体重120-160gが使用された。これらのラットは、体重及び性別に応じてランダムに30群に分けられた。すなわち、対照(0.5% カルボキシメチルセルロース)群、フィリリン群、フィリゲニン群、フィリリン/フィリゲニン組成物1及び2の低用量群、中用量群及び高用量群(2.5、5及び10mg/kg)、陽性薬物であるピロカルピン(35mg/kg)群に分けられた。各群は10匹のラットを含み、試験は各群に3回繰り返された。
【0154】
ピロカルピン溶液は皮下注射により投与され、他の群は胃内投与された。対照群では0.5% メチルセルロースの投与から1時間後、陽性薬物であるピロカルピンの投与から30分後、フィリリン、フィリゲニン及びフィリリン/フィリゲニン組成物の投与から1時間後、右後肢が足首の関節で瞬時に切断され、右後肢の肉球が直ぐに解体され、10% ホルムアルデヒド溶液溶液に漬けられ、固定のため、従来からある脱水、包埋、薄切、HE染色方法が使用された。
【0155】
各群のラットのつま先部分における汗腺上皮細胞の変化が光学顕微鏡下で観察され、空胞発生率が主に観察された。群間の違いがカイ2乗(χ
2)検定によって統計的に比較された。この試験は3回繰り返された。
【0156】
【数8】
【0157】
(2)結果
対照群と比較すると、ラットのつま先部分における汗分泌について、フィリリン/フィリゲニン組成物1及び2の2.5,5,10mg/kg群で、著しく顕著な促進効果が観測された(p<0.001)。フィリリン/フィリゲニン組成物の低用量群、中用量群及び高用量群(2.5,5,10mg/kg)は、フィリリン及びフィリゲニンと比べて、顕著に優れた治療効果を備えた(p<0.001又はp<0.01)。これは、フィリリン/フィリゲニン組成物が相乗効果を備えていることを示した。試験の詳細については、表2−6を参照。
【0158】
【表2-6】
【0159】
2.3 ビール酵母(サッカロマイセス セレビシエ)によって誘発されたラット熱(rat fever)へのフィリリン/フィリゲニン組成物の影響
(1)材料と方法
雄性Wistarラット、体重180-200gが使用された。全てのラットの平常の直腸温が、WSC-411P ポータブルデジタル温度計を使用して、2回測定(適当な間隔を開けて)され、2つの測定値の平均値がラットの平熱として扱われた。その後、体温が36.5℃から38℃の間の300匹のラットが選ばれ、体重によってランダムに30群に分けられ、すなわち、モデル(0.5% カルボキシメチルセルロース)群、フィリリン/フィリゲニン組成物1及び2、これらはそれぞれ低用量群、中用量群、高用量群(2.5、5、及び10mg/kg)群に分けられた、フィリリン(13mg/kg)群、フィリゲニン(13mg/kg)群及び陽性薬物であるパラセタモール(100mg/kg)群に分けられた。各群は10匹のラットを含み、試験は各群に3回繰り返された。
【0160】
新鮮なサッカロマイセス セレビシエ10% 懸濁液(10ml/kg)が、各群のラットの背部に皮下注射され、発熱を誘発された。新鮮なサッカロマイセス セレビシエ10% 懸濁液の投与から6.0時間後、フィリリン/フィリゲニン組成物及びパラセタモールが胃内投与され、モデル群は同体積の0.5% カルボキシメチルセルロースが胃内投与された。直腸温は、投与の1時間、2時間、3時間及び4時間後に測定された。体温の変化が観察され、群間の差異が、解熱百分率(antipyretic percentage)を介する群内のt検定処理によって、比較された。上記試験は合計3回繰り返された。
【0161】
【数9】
【0162】
(2)結果
新鮮なサッカロマイセス セレビシエ10% 懸濁液を各群のラットに皮下注射してから6時間後、ラットの体温は約1.5℃上昇し、これは発熱を誘発する前の体温とは顕著な違いがあった(p<0.001)。これは、ビール酵母(サッカロマイセス セルビシエ)誘発ラット熱モデルが首尾よく確立できたことを示す。モデル群と比較すると、フィリリン/フィリゲニン組成物1及び2の中用量群及び高用量群(5,10mg/kg)では、投与の1時間、2時間、3時間及び4時間後に、サッカロマイセス セルビシエによって誘発されたラット熱において顕著な冷却効果が観察され(p<0.05-p<0.001)、低用量群でも投与の2時間、3時間及び4時間後に同様の冷却効果が観察された。
【0163】
一方、用量の異なるフィリリン/フィリゲニン組成物1及び2の冷却効果は、フィリリン及びフィリゲニンの効果より極めて優れており(p<0.0011又はp<0.01)、これはフィリリン/フィリゲニン組成物が明確な相乗効果を備えていることを示した。試験結果については表2−7を参照。
【0164】
【表2-7】
【0165】
2.4 腸チフス及びパラチフスワクチンによって誘発された野兎病へのフィリリン/フィリゲニン組成物の影響
(1) 材料と方法
体重1.5-2.0kgの雄性日本大耳白ウサギ(Japanese male big-ear white rabbits)が使用された。実験の前に、WSC-411P ポータブルデジタル温度計が、平常の直腸温を2回測定するために使用され(適当な間隔を開けて)、平均値がラットの平熱として扱われた。
【0166】
その後、体温38-39.6℃の日本大耳白ウサギ198匹が選ばれ、体重によりランダムに33に分けられ、すなわち、ブランク対照(生理食塩水)群、モデル対照(0.5% カルボキシメチルセルロース)群、フィリリン/フィリゲニン組成物1及び2の低用量、中用量群及び高用量群(1.25,2.5,5mg/kg)、フィリリン群、フィリゲニン群及び陽性薬物であるパラセタモール(50mg/kg)群に分けられた。各群は6匹のウサギを含み、試験は各群に3回繰り返された。
【0167】
ウサギは固定器に固定された。ブランク対照群は、耳の縁から1ml/kgとなるように生理食塩水を静脈注射された。モデル対照群及び各薬物群は、耳の縁から0.8ml/kgとなるように腸チフス及びパラチフスワクチンを静脈注射された。ウサギの体温上昇が1℃又はそれよりも大きくなったのち(約1-1.5時間が必要であり、この実験では1時間に限定された。)、ブランク対照群及びモデル群は1ml/kgとなるように0.5% カルボキシメチルセルロースを胃内投与され、薬物群はフィリリン/フィリゲニン組成物及びパラセタモールをそれぞれ胃内投与された。投与の30,60,90,120,180及び240分後に直腸温が測定されて体温の変化が観察され、群間の差異が、解熱百分率を介する群内のt検定処理によって、比較された。
【0168】
【数10】
【0169】
(2)結果
腸チフス及びパラチフスワクチンをウサギの耳の縁から静脈注射してから1時間後、体温上昇は約1℃であり、これは腸チフス及びパラチフスワクチンが野兎病モデルの作成に使用できることを示した。ブランク対照群と比較すると、モデル群の体温は、300分の観察期間の間、継続的に上昇した(p<0.05〜p<0.001)。モデル群と比較すると、フィリリン/フィリゲニン組成物1及び2の高用量群、中用量群及び低用量群は、投与後30-240分、60-240分、90-240分、腸チフス及びパラチフスワクチンによって誘発された野兎病に対して、顕著な解熱効果を備え(p<0.05〜p<0.001)、これらの解熱効果はフィリリン群及びフィリゲニン群よりも著しく優れ(p<0.01)ており、これらはフィリリン/フィリゲニン組成物が明確な相乗効果を備えていることを示した。上記結果については表2−8を参照。
【0170】
【表2-8】
【0171】
2.5 カラギーナンによって誘発されたラットの爪先の膨張へのフィリリン/フィリゲニン組成物の影響
(1)材料と方法
体重120-150gの70匹の雄性Wistarラットが選ばれて、体重によってランダムに7群に分けられ、すなわち、ブランク対照群(0.5% カルボキシメチルセルロース)群、フィリリン/フィリゲニン組成物1の低用量群、中用量群及び高用量群(2.5,5及び10mg/kg)、フィリリン群、フィリゲニン群及び陽性薬物であるアスピリン(200mg/kg)群に分けられた。各群10匹を含む。各群のラットは、舌下静脈注射(subcutaneous injection through the sublingual vein)によって投与された。実験の前に、各群のラットの右後肢の正常な体積が、毛細管拡大測定方法(capillary magnification measurement method)によって、測定された。間違いを避けるため、測定位置は固定され、投与の前後で同一の人物によって実施された。2つの測定値の平均体積が、投与前のラット右後肢の正常な体積として扱われた。投与後、1%カラギーナン 0.1mlが、ラット右後肢の甲に直ちに皮下注射され、炎症が誘発された。炎症の誘発から15,30,60,120,180,240,300及び360分後の右後肢の甲の体積が、測定された。群間の差異が、誘発されたラットの炎症前後の甲の体積の百分率(膨張率)の差異を介する群内のt検定処理によって、比較された。
【0172】
【数11】
【0173】
結果
ブランク対照群と比較すると、フィリリン/フィリゲニン組成物高用量群(10mg/kg)は、投与後15分から360分の間に、同じく、フィリリン/フィリゲニン組成物の中用量群(5mg/kg)及び低用量群(2.5mg/kg)は、投与後30〜360分の間に、カラギーナンによって誘発されたラット甲の膨張において、顕著な阻害効果を備え(p<0.05又はp<0.01)、これらの治療効果は、フィリリン群(10mg/kg)及びフィリゲニン群(10mg/kg)の治療効果よりも顕著に優れていた(p<0.05又はp<0.01)。さらに、投与後60分及び240分における組成物の全ての用量群の治療効果は、フィリゲニン群の治療効果よりも顕著に優れていた(p<0.01)。上記試験結果は、フィリリン/フィリゲニン組成物におけるフィリリン及びフィリゲニンの併用が相乗効果を明確に備えること、を示した。(詳細は表2−9を参照。)
【0174】
【表2-9】