(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態におけるサポータ1に関して、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同じ機能を有する部材、部位については、同一の符号が付され、同一の符号が付されている部材、部位について、繰り返しの説明は省略される。
【0011】
(第1の実施形態)
図1乃至
図6を参照して第1の実施形態におけるサポータ1Aについて説明する。
図1は、第1の実施形態におけるサポータ1Aを模式的に示す概略平面図である。
図2は、第1の実施形態におけるサポータを模式的に示す概略斜視図であるで。なお、
図2は、サポータ1Aを略背面側から見た図である。
図3は、
図1のA−A矢視断面図である。
図4は、ベルト係合領域AR1における第1層3および第2層4の配置の一例を模式的に示す概略断面図である。
図5は、第1フック部51を模式的に示す概略平面図である。
図6A乃至
図6Dは、第1フック部51のいくつかの例を模式的に示す概略斜視図である。
【0012】
第1の実施形態におけるサポータ1Aは、身体に装着するサポータ本体2と、ベルト5とを具備する。第1の実施形態におけるベルト5は、伸縮性を有する。なお、伸縮性を有するとは、手で引っ張ることにより、元の長さ(無負荷時における長さ)を、例えば、1.1倍以上、あるいは、1.2倍以上の長さにできることを意味する。なお、ベルト5は、全体が伸縮性を有していてもよいし、一部(例えば、中間部)が伸縮性を有していてもよい。
【0013】
サポータ本体2は、ベルト係合領域AR1を備える。ベルト係合領域AR1は、ベルト5の第1端部5aを係合可能な領域である。ベルト係合領域AR1の大きさに特に制限はない。
図1に記載の例では、ベルト係合領域AR1の形状が四角形形状(例えば、長方形形状)であるが、ベルト係合領域AR1の形状は、円形状等の非四角形形状であってもよい。なお、本明細書において、四角形形状は、厳密な意味での四角形形状に限定されず、四角形形状には、略四角形形状が包含される。
【0014】
図2に示されるように、サポータ本体2は、四肢の少なくとも一部を囲むように配置される筒状部24を備えることが好ましい。また、サポータ本体2(特に、筒状部24)は、伸縮性を有することが好ましい。サポータ本体2が伸縮性を有している場合、サポータ本体2は肌に密着配置されることとなる。このため、サポータ本体2自体により、関節の運動に制限を加えたり、関節の可動方向に制限を加えたりすることができる。また、サポータ本体2の筒状部24が伸縮性を有する場合、サポータ本体2を身体に装着した状態(ベルト5の第1フック部51をベルト係合部41に装着する前の状態)で、サポータ本体2が身体からずり落ちない。
【0015】
ベルト5は、例えば、関節の運動に制限を加えたり、関節の可動方向に制限を加えたりするための部材である。ベルト5に、関節の運動(または関節の可動方向)に制限を加える機能を持たせる場合には、ベルト5およびサポータ本体2は、関節を跨ぐように配置されることが好ましい(換言すれば、ベルト5およびサポータ本体2は、関節よりも体幹側に配置される部分と、関節よりも身体先端側に配置される部分とを備えることが好ましい)。
【0016】
図1に記載の例では、ベルト5は、全体形状が帯状の部材である。ベルト5は、その第1端部5aに、第1フック部51を有する。第1フック部51は、ベルト係合領域AR1に配置されるベルト係合部41に係脱自在である。
図1に記載の例では、第1フック部51は、例えば、硬質樹脂または金属等の硬質部材(形状維持可能な剛性部材)によって構成される。第1フック部51が、硬質部材によって構成される場合には、第1フック部51が、意図せずして大きく変形して、ベルト係合部41から外れる可能性が低減される。
【0017】
第1の実施形態では、ベルト5をサポータ本体2から取り外す際に、第1フック部51をベルト係合部41から離脱させればよい。第1の実施形態では、第1フック部51をベルト係合部41から離脱させる際に大きな音が発生しない。よって、サポータ1の使用者は、サポータ1の着脱時の音を気にする必要がなくなり、使用者の精神的負担が軽減される。
【0018】
なお、
図1に記載の例では、第1フック部51が備えるフックの数が1個であるが、第1フック部51が備えるフックの数は、複数(例えば、2個以上10個以下)であってもよい。
【0019】
図3を参照して、ベルト係合領域AR1の一例についてより詳細に説明する。
図3は、
図1のA−A矢視断面図である。
【0020】
(ベルト係合領域AR1)
図3に記載の例では、ベルト係合領域AR1には、第1層3と、第1層3に重なるように配置される第2層4とが配置される。第1層3と第2層4とは、編み加工により形成された1つの布材の表層および裏層であってもよいし、それぞれが独立して形成された2つの層であってもよい。第1層3は、繊維材料によって構成されていてもよいし、合成樹脂シート等のシート材料によって構成されていてもよい。同様に、第2層4は、繊維材料によって構成されていてもよいし、合成樹脂シート等のシート材料によって構成されていてもよい。
【0021】
図3に記載の例では、第1層3は、身体に接触配置される層である。第1層3の素材は、ベルト係合領域AR1以外の領域における身体接触層と同一の素材によって構成されていてもよいし、ベルト係合領域AR1以外の領域における身体接触層とは異なる素材によって構成されていてもよい。第1層3は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
【0022】
第2層4は、サポータ本体2を身体に装着した際に、外部に露出する表層に対応する。
図3に記載の例では、第2層4には、第1貫通孔43aおよび第2貫通孔43bを含む複数の貫通孔43が設けられている。第1貫通孔43aおよび第2貫通孔43bの各々は、第1フック部51の先端部513(必要であれば、
図1を参照)が挿通され得る大きさを有する。第1貫通孔43aの縁(孔を規定する縁)は、第1フック部51に係合可能なベルト係合部41として機能する。同様に、第2貫通孔43bの縁(孔を規定する縁)は、第1フック部51に係合可能なベルト係合部41として機能する。
【0023】
ベルト5の第1フック部51と、サポータ本体2との間の係合が、第1フック部51と、貫通孔43の縁との間の係合である場合、第1フック部51をサポータ本体2から取り外す際に生じる音量が低減される。
【0024】
また、ベルト係合領域AR1が、複数の貫通孔43を有する第2層4と、身体に接触配置される第1層3とを備える場合には、第1フック部51と身体との間に第1層3が介在することとなる。このため、第1フック部51が、直接身体に触れることが防止または抑制される。よって、サポータ1Aの使用者が不快に感じることはない。加えて、使用者は、第1フック部51の先端部513を貫通孔43に徐々に挿入していくに際して、第1フック部51の先端部513を第1層3に対して摺動させることが可能である。換言すれば、第1層3が、第1フック部51の先端部513を挿入する際のガイドとして機能する。よって、第1層3の存在により、貫通孔43への先端部513の挿入が容易となる。特に、第1層3が、身体に接触配置される場合には、第1層3の形状が安定化する。よって、第1層3による先端部513のガイド効果が大きくなる。
【0025】
なお、貫通孔43への第1フック部51の挿入を容易にする観点から、サポータ本体2を身体に装着した際に、第1層3の表面3aと第2層4の裏面4bとの間に、空間SP(換言すれば、隙間)が存在することが好ましい。
【0026】
図3に例示されるように、第1層3の表面3aと第2層4の裏面4bとの間の空間SPは、全体が空洞であってもよい。代替的に、
図4に例示されるように、第1層3の表面3aと第2層4の裏面4bとの間にスペーサ部7が配置され、当該スペーサ部7によって、空間SPが形成されていてもよい。
【0027】
例えば、ベルト係合領域AR1を、ダブルラッセル編みにより形成すれば、第1層3(ダブルラッセル編み布の第1層)と第2層4(ダブルラッセル編み布の第2層)との間に、スペーサ部(ダブルラッセル編み布の中間層)が配置される。このため、第1層3と第2層4との間に空間SPが形成される。
【0028】
また、貫通孔43への第1フック部51の挿入を容易にする観点から、第1層3の色(より具体的には、第1層3の表面3aの色)と、第2層4の色(より具体的には、第2層4の表側の表面4aの色)とが異なっていてもよい。第1層3の色と、第2層4の色とが異なることにより、使用者は、貫通孔43の位置を容易に把握することができる。
【0029】
図1に記載の例において、複数の貫通孔43は、第2層4に孔あけ加工を施すことにより形成されてもよい。代替的に、複数の貫通孔43は、第2層4を編み込む際に、自然に形成されてもよい(例えば、第2層4は、メッシュシートであってもよい)。なお、第2層4が、網目状の層である場合には、網目の開口部の各々が貫通孔43に対応し、第2層4が、メッシュ状の層である場合には、メッシュの開口部の各々が貫通孔43に対応する。
【0030】
貫通孔43の形状は、円形であってもよいし、楕円形であってもよいし、その他の形状であってもよい。貫通孔43の長径(換言すれば、無負荷時における孔の縁上の任意の2点間の距離の最大値)は、第1フック部51の先端部513の挿入を容易にする観点から、例えば、1.5mm以上、2mm以上、または、3mm以上である。
【0031】
図1および
図3に記載の例では、第1層3と第2層4とは、接合領域C1において、接合されている。なお、第1層3と第2層4とは、直接的に接合されていてもよいし、他の層(中間層)を介して間接的に接合されていてもよい。第1層3と第2層4との間の接合は、編み加工または縫合による接合であってもよいし、接着または融着による接合であってもよい。
【0032】
接合領域C1は、ベルト係合領域AR1の1/2周以上あるいは2/3周以上を囲んでいることが好ましい。
図1に記載の例では、接合領域C1が、ベルト係合領域AR1の全周を囲んでいる。
【0033】
接合領域C1が、ベルト係合領域AR1の1/2周以上を囲んでいる場合には、ベルト係合領域AR1における第2層4の形状が、第1層3により安定化される。このため、第2層4がベルト5によって引っ張られた場合であっても、第2層4の変形量が抑制される。このため、第2層4から第1フック部51が意図せずして外れる可能性が低減され、かつ、見栄えがよい。特に、第1層3が、身体に接触配置される場合には、第1層3の形状が安定化され、第1層3の形状が安定化されることにより第2層4の形状も安定化される。
【0034】
なお、ベルト係合領域AR1の伸縮性は、サポータ本体2のベルト係合領域AR1以外の領域の伸縮性よりも低くてもよい。ベルト係合領域AR1は、実質的に非伸縮性であってもよい。
【0035】
(任意付加的な構成例)
図1乃至
図6Dを参照して、第1の実施形態において採用可能な任意付加的な構成例について説明する。
【0036】
(構成例1)
構成例1は、貫通孔43の形状、および、複数の貫通孔43の配置に関する構成例である。
【0037】
図1に記載の例では、貫通孔43の形状は楕円形状である。貫通孔43の形状が楕円形状である場合、第1フック部51の先端部513を楕円の短軸に沿って移動させると、第1フック部51を貫通孔43に挿入しやすい。なお、貫通孔43は、貫通孔43の長軸がベルト5の延在方向(
図1の左右方向)に平行となるように配置されてもよいし、貫通孔43の長軸がベルト5の延在方向に垂直となるように配置されてもよい。なお、本明細書において、「平行」、「垂直」とは厳密な意味での平行、垂直に限定されない。本明細書において、2本の直線のなす角度が、15度以下である場合には、当該2本の直線は平行であるとみなされる。他方、2本の直線のなす角度が、75度以上105度以下である場合には、当該2本の直線は垂直であるとみなされる。
【0038】
図1に記載の例において、隣接する2つの貫通孔43の間には、ブリッジ部42が配置されている。当該ブリッジ部42は、第2層4の構成材料によって形成される。当該ブリッジ部42により、第2層4の形状が維持される。
【0039】
図1に記載の例では、複数の貫通孔43が2次元的に配置されている。より具体的には、複数の貫通孔43が、複数の平行な線(
図1では、6本の線)に沿って配置されている。
【0040】
図1に記載の例では、ベルト5の締め付け力が変化する方向に垂直な方向(
図1の略上下方向)に沿って並ぶ貫通孔43の列が、ベルト5の締め付け力が変化する方向(
図1の左右方向)に沿って、複数列並んでいる。貫通孔43が、複数列に並んでいることにより、第1フック部51を係合させる貫通孔43を選択して、ベルト5の締め付け力の調整を行うことができる。
【0041】
(構成例2)
構成例2は、第1フック部51の形状に関する構成例である。
【0042】
図5に記載の例では、第1フック部51は、基部511と、先端部513と、基部511と先端部513との間に配置される折り返し部512とを具備する。そして、第1フック部51の基部511と先端部513との間に、上述のブリッジ部42(貫通孔43間のブリッジ部)が配置される。その結果、第1フック部51を、サポータ本体2のベルト係合領域AR1に係合させることができる。換言すれば、ブリッジ部42は、ベルト係合部41として機能し得る。
【0043】
先端部513の長さは、2つの隣接する貫通孔43の間隔(換言すれば、ブリッジ部42の長さ)よりも長いことが好ましい。この場合、先端部513を、2つの隣接する貫通孔43に跨って配置することが可能となる。よって、1つの貫通孔43の縁に作用する応力が低減され、第2層4の一部に負荷が集中することが抑制される。先端部513の長さは、例えば、5mm以上、10mm以上、あるいは、15mm以上である。
【0044】
図5に記載の例では、基部511は、平面視で、リング形状(なお、リング形状のリングは、真円であることに限定されない)を有する。代替的に、基部511は、平面視で、U字形状を有していてもよい。換言すれば、第1フック部51の全体は、平面視でZ字形状またはS字形状を有していてもよい。
【0045】
図5に記載の例では、第1フック部51(基部511)は、連結部56を介して、ベルト5のベルト本体部57に接続されている。代替的に、第1フック部51(基部511)は、ベルト本体部57に直接接続されていてもよい。
【0046】
図4に記載の例では、第1フック部51とサポータ本体2のベルト係合領域AR1とが係合した状態において、第1フック部51の主面(投影面積が最大となる面)が、第1層3(または第2層4、あるいはベルト本体部57の主面)と平行になる。このため、サポータ1Aの身体への装着時に、身体からの第1フック部51の突出量が小さくなる。よって、第1フック部51が、意図せずして、他の部材、物品、衣服等に引っ掛かる可能性が低減され、かつ、見栄えがよい。なお、第1フック部51の断面が扁平形状である場合には、身体からの第1フック部51の突出量が更に小さくなる。
【0047】
図5に記載の例では、先端部513は、基部511側に向けて突出する突出部514を備える。先端部513が突出部514を備える場合には、第1フック部51が、サポータ本体2のベルト係合部41から外れにくくなる。より具体的には、ベルト本体部57が伸縮性を有する場合には、先端部513は、ベルト本体部57側に引っ張られる。その結果、突出部514が、貫通孔43から先端部513が抜け出るのを防止する抜け防止部として機能する。
【0048】
図5に記載の例では、先端部513は、先端部の遠位端に配置された先端突出部514aと、先端部の中間部に配置された中間突出部514bとを備える。代替的に、先端部513が備える突出部514の数は、1個、あるいは、3個以上であってもよい。
【0049】
第1フック部51の貫通孔43への挿入端51eは、滑らかな湾曲形状を有することが好ましい。この場合、貫通孔43への第1フック部51の挿入時に、挿入端51eを第1層3に沿って摺動させることが容易となる。また、挿入端51eが、意図せずして、衣服に引っ掛かるリスクがないか、あるいは、当該リスクが低減される。
【0050】
図5に記載の第1フック部51をベルト係合部41に係合させるに際しては、例えば、
図3に例示される第2層4の表面4aから裏面4bに向かうように第1フック部51の挿入端51eを第1貫通孔43aに通し、かつ、第2層4の裏面4bから表面4aに向かうように第1フック部51の挿入端51eを第2貫通孔43bに通す。その結果、第1フック部51をベルト係合部41(例えば、ブリッジ部42)に係合することが可能である。
【0051】
(変形例)
図6A乃至
図6Dを参照して、第1フック部51の形状の変形例について説明する。
図6Aは、第1フック部51の形状の第1変形例を模式的に示す概略斜視図である。
図6Bは、第1フック部51の形状の第2変形例を模式的に示す概略斜視図である。
図6Cは、第1フック部51の形状の第3変形例を模式的に示す概略斜視図である。
図6Dは、第1フック部51の形状の第4変形例を模式的に示す概略斜視図である。なお、
図6A乃至
図6Dは、ベルト5の裏面側から、第1フック部51を見た時の斜視図である。
【0052】
図5に記載の例では、第1フック部51の先端部513がベルト5の幅方向と平行な方向に延在していたのに対し、変形例における第1フック部51は、第1フック部51の先端部513が、ベルト5の長手方向に沿って延在する。
【0053】
図6Aに記載の例では、第1フック部51Aは、基部511と、折り返し部512と、先端部513とを備える。
【0054】
基部511は、ベルト5に直接的または間接的に接続される。基部511とベルト5との間の接続は、ヒンジを介した接続であってもよいし、ヒンジを介さない接続であってもよい。
図6Aに記載の例では、基部511は、平板状である。折り返し部512は、基部511と先端部513との間に配置される部分である。
図6Aに記載の例では、折り返し部512は、湾曲板状である。
図6Aに記載の例では、折り返し部512の湾曲の中心軸AXは、ベルト5の主面に平行である。
【0055】
先端部513は、貫通孔43に挿入される部分である。先端部513のうち、貫通孔43に最初に挿入される部分、すなわち、挿入端51eは、滑らかな湾曲形状を有することが好ましい。挿入端51eが滑らかな湾曲形状を有することにより、挿入端51eによって、指先等が傷つけられることがない。
【0056】
図6Aに記載の例では、第1フック部51Aが、板状体によって形成されている。このため、第1フック部51Aが、衣類等に引っ掛かりにくい。また、第1フック部51Aが板状体によって形成されることにより、ベルト5の面外方向への第1フック部51Aの突出量が小さくて済む。代替的に、第1フック部51Aは、針金状の線状体によって構成されていても構わない。
【0057】
なお、
図6Aに記載の第1フック部51は、側面視で(ベルトの幅方向に沿って見た時に)、U字形状を有する。また、
図6Aに記載の例では、ベルト5の第1端部5aに設けられるフックの数が1個である。
【0058】
図6Bに記載の第1フック部51Bは、側面視で(ベルトの幅方向に沿って見た時に)、J字形状を有している点で、
図6Aに記載の第1フック部51Aとは異なる。その他の点では、
図6Bに記載の第1フック部51Bは、
図6Aに記載の第1フック部51Aと同様である。第1フック部51Bが、側面視でJ字形状を有する場合、先端部513の長さが相対的に短くなるため、先端部513の貫通孔43への挿入が容易となる。他方、第1フック部51Aが、側面視でU字形状を有する場合、先端部513の長さが相対的に長くなるため、先端部513が、意図せずして、貫通孔43から外れるリスクが低減される。
【0059】
図6Cの記載の例では、ベルト5の第1端部5aに設けられる第1フック部51が有するフックの数が2個である点において、
図6Aに記載の第1フック部51Aとは異なる。その他の点では、
図6Cに記載の第1フック部51Cは、
図6Aに記載の第1フック部51Aと同様である。フックの数が、2個以上である場合、各フックに作用する力が低減される。このため、フックが損傷しにくい。また、フックの数が、2個以上である場合、各フックを異なる貫通孔43に挿入することが可能となる。この場合、各貫通孔43に作用する荷重が低減され、第2層4の一部に付加が集中することが抑制される。なお、ベルト5の第1端部5aに設けられるフックの数は、3個以上であってもよい。
【0060】
図6Dに記載の第1フック部51Dは、側面視で(ベルトの幅方向に沿って見た時に)、J字形状を有している点で、
図6Cに記載の第1フック部51Cとは異なる。その他の点では、
図6Dに記載の第1フック部51Dは、
図6Cに記載の第1フック部51Cと同様である。
【0061】
(構成例3)
構成例3は、ベルト係合領域(AR1、AR2・・・)の数および配置、並びに、ベルト(5、6・・・)の数および配置に関する構成例である。
【0062】
図1に記載の例において、サポータ本体2は、本体第1端部21と、本体中間部22と、本体第2端部23とを備える。本体第1端部21は、例えば、関節よりも体幹側に配置される側の端部であり、本体第2端部23は、関節よりも身体先端側に配置される側の端部である。本体中間部22は、本体第1端部21と本体第2端部23との間に配置される部分であり、例えば、関節および関節の周辺に配置される部分である。
【0063】
図1に記載の例では、サポータ本体2は、本体第1端部21に配置されるベルト係合領域AR1と、本体第2端部23に配置される第2ベルト係合領域AR2とを備える。第2ベルト係合領域AR2における貫通孔43、ベルト係合部41、第2層4、第1層、接合領域C1等の構成は、ベルト係合領域AR1における貫通孔43、ベルト係合部41、第2層4、第1層、接合領域C1等の構成と同様である。このため、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0064】
図1に記載の例では、ベルト係合領域AR1と、第2ベルト係合領域AR2とは、離間配置されている。サポータ本体2の全体がベルト係合領域である場合には、サポータ1Aの使用者にとって、第1フック部51等をどの位置に係合させれば、関節の運動(または、または関節の可動方向)が効果的に制限されるかが不明である。これに対して、ベルト係合領域AR1と、第2ベルト係合領域AR2とが離間配置されている場合には、サポータ1Aの使用者にとって、第1フック部51等をどの位置に係合させれば良いのかが明白となる。
【0065】
例えば、サポータ本体2を身体に装着した時に、ベルト係合領域AR1が、筋肉の起止部(筋肉が運動しても動かない点、すなわち、筋肉の端部のうち体幹に近い側の端部)、または、筋肉の停止部(筋肉の端部のうち体幹から遠い側の端部)に対応する位置に配置されるように、ベルト係合領域AR1の位置が設定されていてもよい。同様に、サポータ本体2を身体に装着した時に、第2ベルト係合領域AR2が、筋肉の起止部または筋肉の停止部に対応する位置に配置されるように、第2ベルト係合領域AR2の位置が設定されていてもよい。
【0066】
図1に記載の例では、ベルト係合領域(AR1、AR2・・・)の数が2個であるが、ベルト係合境域の数は、1個、あるいは、3個以上であってもよい。
【0067】
図1に記載の例では、サポータ1Aは、ベルト5に加え、ベルト5とは別体の第2ベルト6を備える。また、ベルト5の基端部(第2端部)は、サポータ本体2の本体中間部22に固着され、ベルト5の第1端部5aに第1フック部51が配置されている。第2ベルト6の基端部(第2端部)は、サポータ本体2の本体中間部22に固着され、第2ベルト6の第1端部6aに第2フック部61が配置されている。第2ベルト6および第2フック部61の構成は、ベルト5および第1フック部51の構成と同様である。よって、第2ベルト6、第2フック部61についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0068】
図1に記載の例では、サポータ1Aが備えるベルト(5、6・・・)の数が2個であるが、サポータ1Aが備えるベルトの数は、1個、あるいは、3個以上であってもよい。また、
図1に記載の例では、ベルト5と第2ベルト6とが別体であるが、ベルト5と第2ベルト6とは、基端部が共通化された1本のベルトであってもよい。
【0069】
図1に記載の例において、サポータ本体2を身体(例えば、四肢のうちの一つ)に装着し、ベルト5を身体(例えば、四肢のうちの一つ)に螺旋状に巻き付け、第1フック部51をベルト係合領域AR1に係合させれば、身体(例えば、四肢のうちの一つ)に、捩じり拘束力を付与することができる。さらに、第2ベルト6を身体(例えば、四肢のうちの一つ)に螺旋状に巻き付け、第2フック部61を第2ベルト係合領域AR2に係合させれば、捩じり拘束力が強化される。サポータ本体2を関節および関節の周辺に配置する場合には、関節に捩じり拘束力が付与される。
【0070】
他方、
図1に記載の例において、サポータ本体2を身体(例えば、四肢のうちの一つ)に装着し、ベルト5を身体(例えば、四肢のうちの一つ)に螺旋状に巻き付け、第1フック部51を第2ベルト係合領域AR2に係合させれば、身体(例えば、四肢のうちの一つ)に、逆方向の捩じり拘束力を付与することができる。さらに、第2ベルト6を身体(例えば、四肢のうちの一つ)に螺旋状に巻き付け、第2フック部61をベルト係合領域AR1に係合させれば、逆方向の捩じり拘束力が強化される。サポータ本体2を関節および関節の周辺に配置する場合には、関節に逆方向の捩じり拘束力が付与される。
【0071】
以上のとおり、
図1に記載の例では、サポータ1Aが、ベルト係合領域AR1および第2ベルト係合領域AR2と、第1フック部51を備えるベルト5および第2フック部61を備える第2ベルト6とを備える。このため、第1フック部51が係合する係合領域、第2フック部61が係合する係合領域を切り換えるだけで、身体に付与する捩じり拘束力の方向を変更することが可能である。例えば、サポータ1Aが膝サポータである場合には、第1フック部51が係合する係合領域、第2フック部61が係合する係合領域を切り換えるだけで、膝蓋骨を外側に向ける拘束(ニーイン制限)と、膝蓋骨を内側に向ける拘束とを選択的に実行可能である。
【0072】
さらに、
図1に記載の例のサポータ1Aにおいて、第1フック部51および第2フック部61の両方を、ベルト係合領域AR1に係合させてもよい。この場合、関節の過伸展が制限される。よって、サポータ1Aが膝サポータである場合には、サポータ1Aは、膝蓋骨を外側に向ける拘束(ニーイン制限)と、膝蓋骨を内側に向ける拘束と、膝関節の過伸展を抑制する拘束とを選択的に実現することができる。
【0073】
なお、
図1に記載の例では、ベルト5の基端部が、本体中間部22に取り付けられて、ベルト5が本体中間部22から第1方向に延在している。また、第2ベルト6の基端部が、本体中間部22に取り付けられて、第2ベルト6が本体中間部22から第1方向とは反対の方向である第2方向に延在している。しかし、ベルト5または第2ベルト6の基端部の取り付け位置、あるいは、ベルト5または第2ベルト6の延在方向は、
図1に記載の例に限定されない。
【0074】
ベルト5の基端部が、サポータ本体2から分離不能に固着されている場合には、ベルト5の紛失リスクがない。また、膝サポータでは、サポータ本体2にベルト5の基端部が固着されている方が、使用者にとって使いやすい。
図1に記載の例では、ベルト5の基端部が、サポータ本体2の前面中央部に固着されている。
【0075】
第1の実施形態において、上述の構成例1乃至3のうちのいずれか1個の構成例が採用されてもよい。代替的に、第1の実施形態において、上述の構成例1乃至構成例3が、組み合わせられて採用されてもよい。例えば、実施形態において、(1)構成例1、2、(2)構成例1、3、(3)構成例2、3、(4)構成例1乃至3が採用されてもよい。
【0076】
(第2の実施形態)
図7乃至
図9を参照して、第2の実施形態におけるサポータ1Bについて説明する。
図7は、第2の実施形態におけるサポータ1Bを模式的に示す概略平面図である。
図8は、第2の実施形の変形例におけるサポータ1Cを模式的に示す概略平面図である。
図9は、ベルト5の一例を模式的に示す概略平面図である。
【0077】
第2の実施形態におけるサポータ1Bでは、ベルト5がサポータ本体2から完全に分離可能である点において、第1の実施形態におけるサポータ1Aとは異なる。その他の点では、第2の実施形態におけるサポータ1Bは、第1の実施形態におけるサポータ1Aと同様である。よって、第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0078】
第2の実施形態におけるサポータ1Bは、サポータ本体2とベルト5とを備える。サポータ本体2は、第1の実施形態におけるサポータ本体と同様であってもよいし、異なっていてもよい。ベルト5の第1端部5aには第1フック部51が設けられ、ベルト5の第2端部5bには、第2フック部52が設けられている。なお、第2フック部52の構造は、例えば、第1フック部51の構造と同様の構造である。
【0079】
第1フック部51は、ベルト係合領域AR1のベルト係合部41に係合可能であり、第2フック部52は、第2ベルト係合領域AR2のベルト係合部41に係合可能である。ベルト係合領域AR1、第2ベルト係合領域AR2、ベルト係合部41の構成は、第1の実施形態におけるベルト係合領域AR1、第2ベルト係合領域AR2、ベルト係合部41の構成と同様であってもよい。
【0080】
第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏する。加えて、第2の実施形態では、ベルト5がサポータ本体2から完全に分離可能である。このため、サポータ本体2に対する第1フック部51の係合位置、および、サポータ本体2に対する第2フック部52の係合位置を調整することにより、ベルト5による拘束力および拘束方向をより自由に設定することができる。また、例えば、サポータ1Bのうち、ベルト5のみが破損した場合には、ベルト5のみを交換すればよい。
【0081】
図7に記載の例では、1つのサポータ本体2と、1つのベルト5とにより、サポータ1Bが構成される。代替的に、
図8に示されるように、1つのサポータ本体2と、2つ以上のベルト5とにより、サポータ1Cが構成されていてもよい。なお、
図8に記載の例では、サポータ本体2は、本体第1端部21に配置されたベルト係合領域AR1と、本体第2端部23に配置された第2ベルト係合領域AR2と、本体中間部22に配置された第3ベルト係合領域AR3とを備える。第3ベルト係合領域AR3の構造は、ベルト係合領域AR1の構造と同様であってもよい。
【0082】
図7および
図8に記載の例では、ベルト5は、2つの端部を有する直線状のベルトである。代替的に、ベルト5は、3つ以上の端部を有するベルトであってもよい。
図9に記載の例では、ベルト5は、3つの端部を有する平面視Y字形状のベルトである。より具体的には、
図9に例示されたベルト5は、第1端部5aに第1フック部51を備え、第2端部5bに第2フック部52を備え、第3端部5cに第3フック部53を備える。この場合、例えば、第1フック部51を、サポータ本体の第1ベルト係合領域に係合させ、第2フック部52をサポータ本体の第2ベルト係合領域に係合させ、第3フック部53を第3ベルト係合領域に係合させることにより、ベルト5による拘束力が発揮されてもよい。なお、ベルト5は、4つの端部を有する平面視X字形状のベルトであってもよい。
【0083】
3個以上の端部を有するベルト5と、サポータ本体2との組み合わせは、ベルト5とサポータ本体2とが完全に分離された第2の実施形態におけるサポータ(1B、1C)に適用されてもよいし、ベルト5の少なくとも1つの端部とサポータ本体2とが分離不能な第1の実施形態におけるサポータ1Aに適用されてもよい。
【0084】
また、サポータが、複数のベルトを備える場合には、複数のベルトのうちの少なくとも1つがサポータ本体2から完全に分離可能であり、複数のベルトのうちの少なくとも1つがサポータ本体2から分離不能であってもよい。
【0085】
図10および
図11を参照して、実施形態におけるサポータ1の適用例について説明する。
図10は、身体に装着されたサポータ1の一例を模式的に示す図である。なお、
図10の左側には、正面図が記載され、
図10の右側には背面図が記載されている。
図11は、身体に装着されたサポータ1の他の一例を模式的に示す図である。なお、
図11の左側には、正面図が記載され、
図11の右側には背面図が記載されている。
【0086】
図10に示されるように、実施形態におけるサポータ1は、肩関節に適用される肩サポータ1Dであってもよい。肩サポータ1Dは、肩に装着されるサポータ本体2Dと、ベルト5Dとを備える。サポータ本体2Dは、肩関節の一方側に配置されるベルト係合領域AR1と、肩関節の他方側に配置される第2ベルト係合領域AR2とを備える。また、ベルト5Dは、ベルト係合領域AR1または第2ベルト係合領域AR2のうちの少なくとも一方に係合可能な第1フック部を備える。肩サポータ1Dにより、肩関節の運動(または肩関節の可動方向)が制限される。
【0087】
代替的にあるいは付加的に、実施形態におけるサポータ1は、肘関節に適用される肘サポータ1Eであってもよい。肘サポータ1Eは、肘に装着されるサポータ本体2Eと、ベルト5Eとを備える。サポータ本体2Eは、肘関節の一方側に配置されるベルト係合領域AR1と、肘関節の他方側に配置される第2ベルト係合領域AR2とを備える。また、ベルト5Eは、ベルト係合領域AR1または第2ベルト係合領域AR2のうちの少なくとも一方に係合可能な第1フック部を備える。肘サポータ1Eにより、肘関節の運動(または肘関節の可動方向)が制限される。
【0088】
図10に記載の例では、肩サポータ1Dと肘サポータ1Eとが一体化されている。代替的に、肩サポータ1Dと、肘サポータ1Eとは、互いに分離されていてもよい。
【0089】
図10に示されるように、実施形態におけるサポータ1は、股関節に適用される股サポータ1Fであってもよい。股サポータ1Fは、股に装着されるサポータ本体2Fと、ベルト5Fとを備える。サポータ本体2Fは、股関節の一方側に配置されるベルト係合領域AR1と、股関節の他方側に配置される第2ベルト係合領域AR2とを備える。また、ベルト5Fは、ベルト係合領域AR1または第2ベルト係合領域AR2のうちの少なくとも一方に係合可能な第1フック部を備える。股サポータ1Fにより、股関節の運動(または股関節の可動方向)が制限される。
【0090】
代替的に、あるいは、付加的に、実施形態におけるサポータ1は、膝関節に適用される膝サポータ1Gであってもよい。膝サポータ1Gは、膝に装着されるサポータ本体2Gと、ベルト5Gとを備える。サポータ本体2Gは、膝関節の一方側に配置されるベルト係合領域AR1と、膝関節の他方側に配置される第2ベルト係合領域AR2とを備える。また、ベルト5Gは、ベルト係合領域AR1または第2ベルト係合領域AR2のうちの少なくとも一方に係合可能な第1フック部を備える。膝サポータ1Gにより、膝関節の運動(または膝関節の可動方向)が制限される。
【0091】
図10に記載の例では、股サポータ1Fと膝サポータ1Gとが一体化されている。代替的に、股サポータ1Fと、膝サポータ1Gとは、互いに分離されていてもよい。
図10に記載の例では、股サポータから分離された膝サポータ1H(股サポータの機能を有さない膝サポータ)が、左脚に装着されている。
【0092】
図10では、サポータ1が、関節の周囲のみに配置される関節サポータである例が説明された。代替的に、実施形態におけるサポータ1は、
図11に示されるように、上半身に装着されるシャツタイプのサポータ、あるいは、下半身に装着されるパンツタイプのサポータであってもよい。
【0093】
図11に示されるように、実施形態におけるサポータ1は、上半身に装着されるシャツ型サポータ1Jであってもよい。シャツ型サポータ1Jは、上半身に装着されるサポータ本体2J(シャツ本体)と、ベルト5Jとを備える。サポータ本体2Jは、少なくとも1つのベルト係合領域ARを備える。ベルト5Jは、ベルト係合領域ARに係合可能な第1フック部を備える。ベルト5Jは、上半身の姿勢矯正ベルト5J−1であってもよいし、関節を跨いで配置される関節拘束ベルト5J−2であってもよい。
【0094】
なお、
図11に記載の例では、サポータ本体2J(シャツ本体)は、長袖シャツであるが、サポータ本体2J(シャツ本体)は、半袖シャツであってもよい。
【0095】
図11に示されるように、実施形態におけるサポータ1は、下半身に装着されるパンツ型サポータ1Kであってもよい。パンツ型サポータ1Kは、下半身に装着されるサポータ本体2K(パンツ本体)と、ベルト5Kとを備える。サポータ本体2Kは、少なくとも1つのベルト係合領域ARを備える。ベルト5Kは、ベルト係合領域ARに係合可能な第1フック部を備える。ベルト5Kは、関節を跨いで配置される関節拘束ベルトであってもよい。
【0096】
なお、
図11に記載の例では、サポータ本体2K(パンツ本体)は、足首に達するロングパンツであるが、サポータ本体2K(パンツ本体)は、足首に達しないショートパンツであってもよい。
【0097】
本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態、各構成例または各変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態、構成例または変形例にも適用可能である。さらに、各実施形態、各構成例または各変形例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
サポータは、身体に装着するサポータ本体と、伸縮性を有するベルトとを具備する。サポータ本体は、ベルト係合領域を有する。ベルトの第1端部には、ベルト係合領域に配置されるベルト係合部に係脱自在な第1フック部が設けられている。