特許第6343414号(P6343414)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343414
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】屋根用足場及びその設置構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 15/00 20060101AFI20180604BHJP
   E04D 13/00 20060101ALI20180604BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20180604BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20180604BHJP
   E04G 3/26 20060101ALI20180604BHJP
   E04D 15/02 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   E04D15/00 V
   E04D13/00 JETD
   E04D13/18
   H02S20/23 Z
   E04G3/26
   E04D15/02 V
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-218665(P2014-218665)
(22)【出願日】2014年10月27日
(65)【公開番号】特開2016-84637(P2016-84637A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592230380
【氏名又は名称】株式会社エバー商会
(74)【代理人】
【識別番号】100081385
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 修治
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 宏俊
(72)【発明者】
【氏名】安部 和広
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−266498(JP,A)
【文献】 特開2001−115617(JP,A)
【文献】 特開平11−062142(JP,A)
【文献】 特開2014−001560(JP,A)
【文献】 実開昭60−031444(JP,U)
【文献】 特開2000−274035(JP,A)
【文献】 特表2014−503724(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0326488(US,A1)
【文献】 特開2015−203232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 15/00
E04D 13/00
E04D 13/18
E04D 13/12
E04D 15/02
E04G 3/26
E04G 3/22
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
勾配屋根の上に固定された太陽エネルギー収集パネルの上に設置される屋根用足場であって、
足場本体に索状つなぎ材によりつながれた飛散防止金具を有し、
飛散防止金具は、把持部と板状頭部とが軸状首部により連結されてなり、勾配屋根の勾配方向で相隣る軒側太陽エネルギー収集パネルの棟側端部と棟側太陽エネルギー収集パネルの軒側端部の間隙部に着脱自在にされ、該間隙部の上部に把持部を位置し、該間隙部に軸状首部を位置し、該間隙部の下部に板状頭部を位置した状態で、把持部に加える回転操作により回動される把持部と板状頭部によって軒側太陽エネルギー収集パネルの棟側端部及び棟側太陽エネルギー収集パネルの軒側端部を上下から挟み、それらの相隣る太陽エネルギー収集パネルに係止される屋根用足場。
【請求項2】
前記太陽エネルギー収集パネルが、パネル本体と該パネル本体の対向する少なくとも2辺に設けられるフレームを有し、それらの2辺に設けられたフレームが勾配屋根の棟側と軒側に配置されて該勾配屋根の上に固定され、
前記足場本体が、太陽エネルギー収集パネルのパネル本体との間に隙間を介する状態で、そのフレームの上面に載置され、
足場本体の一端部に設けられた引っ掛け部が、該足場本体が載置された太陽エネルギー収集パネルの棟側のフレームの棟側を向く側面に係合する請求項1に記載の屋根用足場。
【請求項3】
前記飛散防止金具が、勾配屋根の勾配方向で相隣る軒側太陽エネルギー収集パネルの棟側のフレームと、棟側太陽エネルギー収集パネルの軒側のフレームの間隙部に着脱自在にされ、該間隙部の上部に把持部を位置し、該間隙部に軸状首部を位置し、該間隙部の下部に板状頭部を位置した状態で、把持部に加える回転操作により回動される把持部と板状頭部によって軒側太陽エネルギー収集パネルの棟側のフレーム及び棟側太陽エネルギー収集パネルの軒側のフレームを上下から挟む請求項2に記載の屋根用足場。
【請求項4】
前記足場本体が、
太陽エネルギー収集パネルと概ね同一長をなす2個の縦材を平行に配置し、
両縦材に跨って複数の踏板を設け、
相隣る踏板の間に開口を設けた請求項1〜3のいずれかに記載の屋根用足場。
【請求項5】
前記足場本体が、
太陽エネルギー収集パネルと概ね同一長をなす2個のコ型断面の縦材のコ型凹部を向い合せて配置し、
両縦材の両端部のそれぞれに接合される横桟を各縦材のコ型凹部に差し込み、
前記引っ掛け部を両縦材の一端部の下面に架け渡すようにその下面に設けてなり、
前記引っ掛け部と横桟との間で、各縦材のコ型断面の板厚が形成する隙間に、前記飛散防止金具が差し込み保管される請求項1〜4のいずれかに記載の屋根用足場。
【請求項6】
請求項1に記載の屋根用足場が勾配屋根の勾配方向に複数並置されてなる屋根用足場の設置構造であって、
軒側に設置される屋根用足場の引っ掛け部が、軒側太陽エネルギー収集パネルの棟側端部と棟側太陽エネルギー収集パネルの軒側端部の間隙部に差し込まれ、該軒側太陽エネルギー収集パネルの棟側端部の棟側を向く側面に係合してなるとともに、
飛散防止金具が上記間隙部に差し込まれ、該間隙部の上部に把持部を位置し、該間隙部に軸状首部を位置し、該間隙部の下部に板状頭部を位置した状態で、把持部に加える回転操作により回動される把持部と板状頭部によって軒側太陽エネルギー収集パネルの棟側端部及び棟側太陽エネルギー収集パネルの軒側端部を上下から挟んでなる屋根用足場の設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュール、太陽熱温水器等の太陽エネルギー収集パネルが固定された勾配屋根の上に設置される屋根用足場及びその設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽エネルギー収集パネルは、太陽光を電力に変換する等の機能を有し、太陽光を受光するために勾配屋根に固定される。この太陽エネルギー収集パネルは天候の変化、塵埃や飛来物の影響を受け、パネル本体における受光面の透明性を損なわせて発電出力等を低下したり、損傷や故障を生ずるおそれがある。従って、太陽エネルギー収集パネルは清掃、修理等のメンテナンスが必要とされる。
【0003】
このため、太陽エネルギー収集パネルが固定された屋根の上では、屋根自体のメンテナンスと、太陽エネルギー収集パネルのメンテナンスを行なうために、作業者のための特許文献1に記載の如くの屋根用足場が該太陽エネルギー収集パネルの上に設置されて用いられる。
【0004】
このとき、太陽エネルギー収集パネルは、パネル本体と該パネル本体の対向する少なくとも2辺に設けられる左右のフレームを有する。そして、屋根用足場は、太陽エネルギー収集パネルのパネル本体に対向して配置される天面部と、天面部の左右両側で該天面部から垂下される左右の側部と、左右の側部の下端に配置されて太陽エネルギー収集パネルの左右のフレームの上に載置される左右の載置部と、左右の側部の下端に配置されて上記左右のフレームの側面に係合する左右の係合部とを備える。
【0005】
これにより、屋根用足場は、勾配屋根に固定された太陽エネルギー収集パネルの左右のフレームの上に載置部を載置する状態で、左右の係合部を太陽エネルギー収集パネルの勾配方向に沿う左右のフレームの側面に係合し、太陽エネルギー収集パネルに対してパネル本体から上方に離れた位置に天面部を配置することができる。作業者は、太陽エネルギー収集パネルのパネル本体に影響を与えることなく、各種の作業を天面部の上で容易に、効率良く行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-1560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の屋根用足場は、太陽エネルギー収集パネルの左右のフレームの上に載置部を載置する状態で、左右の係合部を太陽エネルギー収集パネルの勾配方向に沿う左右のフレームの側面に単に係合して使用されるものであり、太陽エネルギー収集パネルが固定された屋根の上で簡易に取外して位置替えできるものの、突風等の風の吹き上げ力により持ち上げられ、吹飛ばされて周辺に飛散するおそれがある。
【0008】
本発明の課題は、太陽エネルギー収集パネルの上に設置された屋根用足場の風力による飛散を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、勾配屋根の上に固定された太陽エネルギー収集パネルの上に設置される屋根用足場であって、足場本体に索状つなぎ材によりつながれた飛散防止金具を有し、飛散防止金具は、把持部と板状頭部とが軸状首部により連結されてなり、勾配屋根の勾配方向で相隣る軒側太陽エネルギー収集パネルの棟側端部と棟側太陽エネルギー収集パネルの軒側端部の間隙部に着脱自在にされ、該間隙部の上部に把持部を位置し、該間隙部に軸状首部を位置し、該間隙部の下部に板状頭部を位置した状態で、把持部に加える回転操作により回動される把持部と板状頭部によって軒側太陽エネルギー収集パネルの棟側端部及び棟側太陽エネルギー収集パネルの軒側端部を上下から挟み、それらの相隣る太陽エネルギー収集パネルに係止されるようにしたものである。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記太陽エネルギー収集パネルが、パネル本体と該パネル本体の対向する少なくとも2辺に設けられるフレームを有し、それらの2辺に設けられたフレームが勾配屋根の棟側と軒側に配置されて該勾配屋根の上に固定され、前記足場本体が、太陽エネルギー収集パネルのパネル本体との間に隙間を介する状態で、そのフレームの上面に載置され、足場本体の一端部に設けられた引っ掛け部が、該足場本体が載置された太陽エネルギー収集パネルの棟側のフレームの棟側を向く側面に係合するようにしたものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において更に、前記飛散防止金具が、勾配屋根の勾配方向で相隣る軒側太陽エネルギー収集パネルの棟側のフレームと、棟側太陽エネルギー収集パネルの軒側のフレームの間隙部に着脱自在にされ、該間隙部の上部に把持部を位置し、該間隙部に軸状首部を位置し、該間隙部の下部に板状頭部を位置した状態で、把持部に加える回転操作により回動される把持部と板状頭部によって軒側太陽エネルギー収集パネルの棟側のフレーム及び棟側太陽エネルギー収集パネルの軒側のフレームを上下から挟むようにしたものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに係る発明において更に、前記足場本体が、太陽エネルギー収集パネルと概ね同一長をなす2個の縦材を平行に配置し、両縦材に跨って複数の踏板を設け、相隣る踏板の間に開口を設けたものである。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに係る発明において更に、前記足場本体が、太陽エネルギー収集パネルと概ね同一長をなす2個のコ型断面の縦材のコ型凹部を向い合せて配置し、両縦材の両端部のそれぞれに接合される横桟を各縦材のコ型凹部に差し込み、前記引っ掛け部を両縦材の一端部の下面に架け渡すようにその下面に設けてなり、前記引っ掛け部と横桟との間で、各縦材のコ型断面の板厚が形成する隙間に、前記飛散防止金具が差し込み保管されるようにしたものである。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項1に記載の屋根用足場が勾配屋根の勾配方向に複数並置されてなる屋根用足場の設置構造であって、軒側に設置される屋根用足場の引っ掛け部が、軒側太陽エネルギー収集パネルの棟側端部と棟側太陽エネルギー収集パネルの軒側端部の間隙部に差し込まれ、該軒側太陽エネルギー収集パネルの棟側端部の棟側を向く側面に係合してなるとともに、飛散防止金具が上記間隙部に差し込まれ、該間隙部の上部に把持部を位置し、該間隙部に軸状首部を位置し、該間隙部の下部に板状頭部を位置した状態で、把持部に加える回転操作により回動される把持部と板状頭部によって軒側太陽エネルギー収集パネルの棟側端部及び棟側太陽エネルギー収集パネルの軒側端部を上下から挟んでなるようにしたものである。
【発明の効果】
【0015】
(請求項1、3)
(a)屋根用足場の足場本体につながれた飛散防止金具が、勾配屋根の上で相隣る軒側と棟側の太陽エネルギー収集パネルに係止される。従って、屋根用足場は、突風等の風の吹き上げ力により持ち上げられても、飛散防止金具の存在により相隣る軒側と棟側の太陽エネルギー収集パネルに係止され続け、吹飛ばされて周辺に飛散することがない。
【0016】
(b)飛散防止金具は、相隣る軒側と棟側の太陽エネルギー収集パネルの間隙部に板状頭部の側を差し込み、該間隙部の上部に把持部を位置し、該間隙部に軸状首部を位置し、該間隙部の下部に板状頭部を位置した状態で、把持部に加える回転操作により回動される把持部と板状頭部によって軒側太陽エネルギー収集パネルの棟側端部及び棟側太陽エネルギー収集パネルの軒側端部を上下から挟むことにより、相隣る軒側と棟側の太陽エネルギー収集パネルに確実に係止される。屋根用足場の飛散防止手段が太陽エネルギー収集パネルにねじ止めされる等に比して、簡便である。
【0017】
(請求項2)
(c)屋根用足場は、足場本体の一端側に設けられた引っ掛け部を、該足場本体が載置された太陽エネルギー収集パネルの棟側のフレームの棟側を向く側面に係合することで、勾配屋根の上における滑落を防ぐものになる。
【0018】
足場本体の一端部に設けられた引っ掛け部が、太陽エネルギー収集パネルの棟側のフレームの棟側の一側面だけに係合するように設置すれば足り、設置作業性は簡易である。
【0019】
足場本体の一端部に設けられた引っ掛け部は、太陽エネルギー収集パネルの棟側のフレームの棟側を向く側面に係合して滑落阻止され、他の滑落防止用部材の存在を必要とせず、設置構造は簡素になる。
【0020】
(請求項4)
(d)屋根用足場が、相隣る踏板の間に開口を設けたから、突風等の風の吹き上げ力を上記開口から逃がすことにより、そのような吹き上げ力による持ち上がりを抑制し、ひいては周辺への飛散を一層防止できる。
【0021】
(請求項5)
(e)屋根用足場が、両縦材の両端部のそれぞれに接合される横桟を各縦材のコ型凹部に差し込み、前記引っ掛け部を両縦材の一端部の下面に架け渡すようにその下面に設けてなり、前記引っ掛け部と横桟との間で、各縦材のコ型断面の板厚が形成する隙間に、前記飛散防止金具が差し込み保管されるものとした。屋根用足場の移動時等に、足場本体と索状つなぎ材によりつながれた飛散防止金具が上記引っ掛け部と横桟との間の隙間に差し込み保管されるから、飛散防止金具が自由に揺れ動いて足場本体に当たって損傷を生じたり、異音を生ずることもない。
【0022】
(請求項6)
(f)軒側に設置される屋根用足場の引っ掛け部が、軒側太陽エネルギー収集パネルの棟側のフレームと棟側太陽エネルギー収集パネルの軒側のフレームとの間隙部に差し込まれ、該軒側太陽エネルギー収集パネルの棟側のフレームの棟側を向く側面に係合するように設置される。また、各屋根用足場につながれた飛散防止金具が上記間隙部に差し込まれ、それらの相隣る軒側と棟側の太陽エネルギー収集パネルに係止される。これにより、複数の屋根用足場を勾配屋根の上に固定された複数の太陽エネルギー収集パネルの上でそれらの勾配方向に整然と並置し、かつ各屋根用足場の風力による飛散を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は勾配屋根の上に並置された複数の太陽エネルギー収集パネルを示す模式図である。
図2図2は太陽エネルギー収集パネルの上に設置された屋根用足場を示す模式図である。
図3図3は屋根用足場の引っ掛け部が相隣る太陽エネルギー収集パネルの間隙部に差し込まれた状態を示す模式図である。
図4図4は飛散防止金具が相隣る太陽エネルギー収集パネルの間隙部に差し込まれた状態を示す模式図である。
図5図5は飛散防止金具が相隣る太陽エネルギー収集パネルの間隙部に差し込まれ、回転操作される状態を示す模式図である。
図6図6は屋根用足場を示す斜視図である。
図7図7は屋根用足場を示す平面図である。
図8図8は屋根用足場を示す正面図である。
図9図9は屋根用足場を示す側面図である。
図10図10は飛散防止金具が屋根用足場の足場本体に設けた隙間に差し込み保管される状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
屋根用足場10は、図1図2に示す如く、ユニット建物等の建物100の勾配屋根101の上に固定された太陽電池モジュールである太陽エネルギー収集パネル200の上に設置される。本実施例において、太陽エネルギー収集パネル200は、勾配屋根101の勾配方向(上下方向)に複数段、本実施例では上下5段をなして並置され、勾配屋根101の勾配方向に直交する方向(左右方向)に複数列、本実施例では例えば左右5列をなして並置され、結果として、全25個の太陽エネルギー収集パネル200が勾配屋根101の上に固定されている。
【0025】
太陽エネルギー収集パネル200は、平面視で矩形状とされるパネル本体201と、パネル本体201の外周の対向する少なくとも上下2辺、本実施例では全周の左右上下4辺に固定化されたフレーム202を有する。
【0026】
太陽エネルギー収集パネル200は、不図示の固定具により勾配屋根101の上に固定される。本実施例において、太陽エネルギー収集パネル200は、勾配屋根101の勾配方向の棟側と軒側に位置することとなる棟側フレーム202Uと軒側フレーム202Dのそれぞれが、不図示の固定具を介して勾配屋根101の棟側と軒側に配置され、勾配屋根101の上に固定される。太陽エネルギー収集パネル200は、不図示の固定具により勾配屋根101の上に固定されたとき、勾配屋根101の上面との間に一定の間隔を介する。
【0027】
屋根用足場10は、図6に示す如く、足場本体20と引っ掛け部30とを有する。足場本体20は、太陽エネルギー収集パネル200のパネル本体201の上面201Eとの間に後述する隙間Gを介する状態で、そのフレーム202の上面202Eに載置される。引っ掛け部30は、足場本体20の一端部に設けられ、該足場本体20が載置された太陽エネルギー収集パネル200の棟側フレーム202Uの棟側を向く側面202Fに、棟側から係合する(図2)。
【0028】
本実施例では、勾配屋根101の勾配方向に直交する方向において左右5列をなして並置されている各列で、勾配屋根101の勾配方向において上下5段をなして並置されている5個の太陽エネルギー収集パネル200のそれぞれに対し、各1個の屋根用足場10が設置される。作業者は、左右5列をなして並置されている太陽エネルギー収集パネル200の各列で、はしごを用いて勾配屋根101の軒先から最下段である1段目の太陽エネルギー収集パネル200の上に1段目となる屋根用足場10を設置し、1段目の屋根用足場10の上に乗って2段目の太陽エネルギー収集パネル200の上に2段目となる屋根用足場10を設置し、この繰り返しによって上下5段をなす全ての太陽エネルギー収集パネル200の上に各屋根用足場10を設置する。
【0029】
複数の屋根用足場10を、上述の如くに、勾配屋根101の勾配方向の棟側と軒側に配置されて該勾配屋根101の上に固定されている太陽エネルギー収集パネル200の上に並置するとき、軒側に設置される屋根用足場10の引っ掛け部30は以下の如くに配置される。即ち、軒側に設置される屋根用足場10の引っ掛け部30は、図3に示す如く、軒側の太陽エネルギー収集パネル200Lの棟側フレーム202Uと棟側の太陽エネルギー収集パネル200Hの軒側フレーム202Dとの間隙部Kに差し込まれ、該軒側の太陽エネルギー収集パネル200Lの棟側フレーム202Uの棟側を向く側面202Fに棟側から係合する。
【0030】
以下、屋根用足場10の詳細な構成について説明する(図3図10)。
屋根用足場10の足場本体20は、太陽エネルギー収集パネル200と概ね同一長をなす2個のコ型断面のアルミ型材からなる縦材21のコ型凹部21Aを向い合せて配置され、両縦材21、21の長手方向の両端部のそれぞれに接合される各1本のアルミ角パイプからなる横桟22の左右の端部を各縦材21のコ型凹部21Aに差し込んで構成される。横桟22は縦材21のコ型凹部21Aへの差し込み部で該縦材21に溶接される。
【0031】
足場本体20は、各縦材21、21の中間部の複数位置のそれぞれに溶接される広幅アルミ平板材からなる平板状踏板23の左右の端部を、各縦材21のコ型凹部21Aに差し込み、縦材21のコ型凹部21Aへの差し込み部で該縦材21に溶接して構成される。両縦材21、21の中間部の平板状踏板23が接合されない複数位置のそれぞれに接合されるアルミ等辺アングルからなる山型断面の山形踏板24の左右の端部が、各縦材21の中間部の上面に溶接される。山形踏板24は、二等辺アングルの山型断面の両端部を各縦材21の中間部の上面に載せて溶接され、両縦材21、21の上面から山型をなすように突出する(図6図8)。
【0032】
足場本体20は、両縦材21、21の両端部に各1本の横桟22を接合した四角枠内の平面視で、相隣る横桟22と平板状踏板23の間、相隣る平板状踏板23と平板状踏板23の間、相隣る平板状踏板23と山形踏板24の間のそれぞれに、上下に貫通する開口Fを設けている。開口Fは足場本体20に作用する突風等の風の吹き上げ力を逃がすものである。
【0033】
屋根用足場10の引っ掛け部30は、足場本体20を構成する両縦材21、21の一端部の下面に架け渡すように、その下面に固定される。引っ掛け部30は、図3に示す如く、L型断面のアルミ型材からなり、L型断面の一辺からなる取付辺31の上面が足場本体20の一端部の下面、本実施例では足場本体20を構成している横桟22の下面に溶接され、L型断面の他辺からなる引っ掛け辺32が足場本体20の反対方向へ突き出るように配置される。この引っ掛け辺32が太陽エネルギー収集パネル200の棟側フレーム202Uの棟側を向く側面202Fに、棟側から係合するものになる。
【0034】
尚、足場本体20の他端部の下面、本実施例では足場本体20を構成している横桟22の下面に、例えばアルミ板からなる取付板33が溶接される。取付板33は引っ掛け部30の取付辺31と同一板厚をなす。
【0035】
屋根用足場10は、足場用本体20が緩衝材40を介して太陽エネルギー収集パネル200のフレーム202の上面に載置される。緩衝材40は、本実施例では、例えばゴム板からなり、引っ掛け部30の取付辺31の下面と取付板33の下面のそれぞれに接着される。この緩衝材40が、太陽エネルギー収集パネル200のフレーム202の上面202Eとの接触による太陽エネルギー収集パネル200のキズつきを防止する。
【0036】
従って、屋根用足場10が太陽エネルギー収集パネル200におけるフレーム202の上面202Eに設置されたとき、屋根用足場10における足場本体20の縦材21と太陽エネルギー収集パネル200のパネル本体201の上面201Eとの間には、図3に示す如く、フレーム202の上面202Eがパネル本体201の上面201Eとの間になす段差、緩衝材40の板厚、引っ掛け部30の取付辺31の板厚の合計寸法からなる隙間Gが形成され、パネル本体201を保護する。
【0037】
更に、屋根用足場10は、図4図5に示す如く、足場本体20にスチールワイヤ、プラスチックワイヤ等の索状つなぎ材60によりつながれた飛散防止金具50を有する。飛散防止金具50がつながれたつなぎ材60は、本実施例では、足場本体20の縦材21に取着されている。
【0038】
飛散防止金具50は、図4に示す如く、把持部51と板状頭部52とが軸状首部53により連結されて構成される。本実施例において、把持部51と板状頭部52は同一面上に位置する平板状をなす。
【0039】
飛散防止金具50は、勾配屋根101の勾配方向で相隣る軒側太陽エネルギー収集パネル200Lの棟側フレーム202U(棟側端部)と棟側太陽エネルギー収集パネル200Hの軒側フレーム202D(軒側端部)の間隙部K(前述の引っ掛け部30が差し込まれていない位置の間隙部K)に着脱自在にされる。そして、飛散防止金具50は、図4図5に示す如く、間隙部Kの上部に把持部51を位置し、間隙部Kに軸状首部53を位置し、間隙部Kの下部に板状頭部52を位置した状態で、把持部51に加える回転操作により回動される把持部51と板状頭部52によって軒側太陽エネルギー収集パネル200Lの棟側フレーム202Uと棟側太陽エネルギー収集パネル200Hの軒側フレーム202Dを上下から挟み、それらの相隣る太陽エネルギー収集パネル200L、200Hに係止される。
【0040】
ここで、屋根用足場10は、引っ掛け部30を前述の如くに足場本体20の両縦材21、21の一端部の下面に設けたとき、引っ掛け部30と足場本体20の横桟22との間に、各縦材21のコ型断面の板厚が形成する隙間Jを設ける(図9)。そして、飛散防止金具50は、図10に示す如く、上記隙間Jに差し込み保管される。
【0041】
従って、屋根用足場10が軒側太陽エネルギー収集パネル200Lの棟側フレーム202Uの上面202Eと棟側太陽エネルギー収集パネル200Hの軒側フレーム202Dの上面202Eに設置されたとき、飛散防止金具50が前記間隙部Kに差し込まれ、それらの相隣る太陽エネルギー収集パネル200L、200Hに係止される。このとき、屋根用足場10は索状つなぎ材60を介して上記飛散防止金具50につながれるものになる。
【0042】
従って、本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)屋根用足場10の足場本体20につながれた飛散防止金具50が、勾配屋根101の上で相隣る軒側と棟側の太陽エネルギー収集パネル200L、200Hに係止される。従って、屋根用足場10は、突風等の風の吹き上げ力により持ち上げられても、飛散防止金具50の存在により相隣る軒側と棟側の太陽エネルギー収集パネル200L、200Hに係止され続け、吹飛ばされて周辺に飛散することがない。
【0043】
(b)飛散防止金具50は、相隣る軒側と棟側の太陽エネルギー収集パネル200L、200Hの間隙部Kに板状頭部52の側を差し込み、該間隙部Kの上部に把持部51を位置し、該間隙部Kに軸状首部53を位置し、該間隙部Kの下部に板状頭部52を位置した状態で、把持部51に加える回転操作により回動される把持部51と板状頭部52によって軒側太陽エネルギー収集パネル200Lの棟側フレーム202U及び棟側太陽エネルギー収集パネル200Hの軒側フレーム202Dを上下から挟むことにより、相隣る軒側と棟側の太陽エネルギー収集パネル200L、200Hに確実に係止される。屋根用足場10の飛散防止手段が太陽エネルギー収集パネル200にねじ止めされる等に比して、簡便である。
【0044】
(c)屋根用足場10は、足場本体20の一端側に設けられた引っ掛け部30を、該足場本体20が載置された太陽エネルギー収集パネル200の棟側フレーム202Uの棟側を向く側面に係合することで、勾配屋根101の上における滑落を防ぐものになる。
【0045】
足場本体20の一端部に設けられた引っ掛け部30が、太陽エネルギー収集パネル200の棟側フレーム202Uの棟側の一側面だけに係合するように設置すれば足り、設置作業性は簡易である。
【0046】
足場本体20の一端部に設けられた引っ掛け部30は、太陽エネルギー収集パネル200の棟側フレーム202Uの棟側を向く側面に係合して滑落阻止され、他の滑落防止用部材の存在を必要とせず、設置構造は簡素になる。
【0047】
(d)屋根用足場10が、相隣る横桟22と平板状踏板23の間、相隣る平板状踏板23と平板状踏板23の間、相隣る平板状踏板23と山形踏板24の間のそれぞれに開口Fを設けたから、突風等の風の吹き上げ力を上記開口Fから逃がすことにより、そのような吹き上げ力による持ち上がりを抑制し、ひいては周辺への飛散を一層防止できる。
【0048】
(e)屋根用足場10が、両縦材21の両端部のそれぞれに接合される横桟22を各縦材21のコ型凹部に差し込み、前記引っ掛け部30を両縦材21の一端部の下面に架け渡すようにその下面に設けてなり、前記引っ掛け部30と横桟22との間で、各縦材21のコ型断面の板厚が形成する隙間Jに、前記飛散防止金具50が差し込み保管されるものとした。屋根用足場10の移動時等に、足場本体20と索状つなぎ材60によりつながれた飛散防止金具50が上記引っ掛け部30と横桟22との間の隙間Jに差し込み保管されるから、飛散防止金具50が自由に揺れ動いて足場本体20に当たって損傷を生じたり、異音を生ずることもない。
【0049】
(f)軒側に設置される屋根用足場10の引っ掛け部30が、軒側太陽エネルギー収集パネル200Lの棟側フレーム202Uと棟側太陽エネルギー収集パネル200Hの軒側フレーム202Dとの間隙部Kに差し込まれ、該軒側太陽エネルギー収集パネル200Lの棟側フレーム202Uの棟側を向く側面に係合するように設置される。また、各屋根用足場10につながれた飛散防止金具50が上記間隙部Kに差し込まれ、それらの相隣る軒側と棟側の太陽エネルギー収集パネル200L、200Hに係止される。これにより、複数の屋根用足場10を勾配屋根101の上に固定された複数の太陽エネルギー収集パネル200の上でそれらの勾配方向に整然と並置し、かつ各屋根用足場10の風力による飛散を防止できる。
【0050】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明の屋根用足場が設置される太陽エネルギー収集パネルは、太陽熱温水器等であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、太陽エネルギー収集パネルの上に設置された屋根用足場の風力による飛散を防止することができる。
【符号の説明】
【0052】
10 屋根用足場
20 足場本体
21 縦材
21A コ型凹部
22 横桟
23、24 踏板
30 引っ掛け部
40 緩衝材
50 飛散防止金具
51 把持部
52 板状頭部
53 軸状首部
60 索状つなぎ材
101 勾配屋根
200 太陽エネルギー収集パネル
200L 軒側太陽エネルギー収集パネル
200U 棟側太陽エネルギー収集パネル
201 パネル本体
201E 上面
202 フレーム
202D 軒側フレーム
202U 棟側フレーム
202E 上面
K 間隙部
J 隙間
F 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10