(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343441
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】ハイブリッド自動車のフェイルセーフ制御装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B60W 10/30 20060101AFI20180604BHJP
B60W 20/50 20160101ALI20180604BHJP
B60K 6/442 20071001ALI20180604BHJP
B60K 6/547 20071001ALI20180604BHJP
B60L 11/14 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
B60W10/30 900
B60W20/50
B60K6/442ZHV
B60K6/547
B60L11/14
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-248947(P2013-248947)
(22)【出願日】2013年12月2日
(65)【公開番号】特開2015-718(P2015-718A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年10月14日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0067342
(32)【優先日】2013年6月12日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 將 美
(72)【発明者】
【氏名】宋 相 録
(72)【発明者】
【氏名】李 学 成
(72)【発明者】
【氏名】金 慶 哲
【審査官】
塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−134605(JP,A)
【文献】
特開2007−145050(JP,A)
【文献】
特開2012−121549(JP,A)
【文献】
特開2003−204606(JP,A)
【文献】
特開2008−168754(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0124022(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 − 6/547
B60W 10/00 − 10/30
B60W 20/00 − 20/50
B60L 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源としてエンジンと駆動モータを含むハイブリッド自動車において、
電動機で動作してエンジンの始動オン、オフを実行し、エンジン始動オンの状態では発電機で動作するHSG(Hybrid Starter and Generator)と、
変速機及びエンジンクラッチにオイルを供給する電動式オイルポンプと、
ハイブリッド自動車の運転情報を検出する運転情報検出部と、
前記運転情報検出部から伝達された運転情報に基づいて前記ハイブリッド自動車の動作を制御し、高電圧部品の故障でメインリレーがオープンされると、フェイルセーフモードで走行を制御するハイブリッド制御器と、
前記電動式オイルポンプを駆動させて運転条件に応じたオイル圧を変速機及びクラッチに供給するオイルポンプ制御器と、
を含み、
前記オイルポンプ制御器は、前記ハイブリッド制御器から高電圧部品の故障によるフェイルセーフモードの進入が認知されると、HSGまたは駆動モータの発電量により電動式オイルポンプの駆動を段階別に制御してオイル圧を生成させ、
前記オイルポンプ制御器は、フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で変速制御圧の生成が可能な状態であれば、アップ/ダウン変速要求により電動式オイルポンプの駆動を制御して変速制御圧を生成させ、
前記オイルポンプ制御器は、フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で変速制御圧生成が不可能であるが、走行制御圧生成は可能な状態であれば、発電量で電動式オイルポンプを駆動させて走行制御圧を生成させ、
前記オイルポンプ制御器は、フェイルセーフモードの停車において、HSGまたは駆動モータの発電量で発進制御圧生成が可能な状態であり、発進要求が検出されると、発電量で電動式オイルポンプを駆動させて発進制御圧を生成させることを特徴とするハイブリッド自動車のフェイルセーフ制御装置。
【請求項2】
前記オイルポンプ制御器は、フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で電動式オイルポンプを駆動させて変速制御圧を生成する過程で、目標変速段の結合が完了すると、電動式オイルポンプを駆動させて走行制御圧を生成することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車のフェイルセーフ制御装置。
【請求項3】
前記オイルポンプ制御器は、フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で走行制御圧生成が不可能な状態であれば、車両シャットダウンと判定し、電動式オイルポンプの駆動を停止することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車のフェイルセーフ制御装置。
【請求項4】
前記オイルポンプ制御器は、フェイルセーフモードの停車において、HSGまたは駆動モータの発電量で発進制御圧生成が可能な状態であるが、発進要求が検出されないと、発電量で電動式オイルポンプを駆動させて停車制御圧を生成させることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車のフェイルセーフ制御装置。
【請求項5】
前記オイルポンプ制御器は、フェイルセーフモードの停車において、HSGまたは駆動モータの発電量で発進制御圧生成が不可能な状態であれば、車両シャットダウンと判定し、電動式オイルポンプの駆動を停止することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車のフェイルセーフ制御装置。
【請求項6】
前記オイルポンプ制御器は、フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で変速制御圧生成が可能であれば、運転条件に応じて電動式オイルポンプを駆動させて変速制御圧、発進制御圧、走行制御圧、停車制御圧を生成させることを特徴する請求項1に記載のハイブリッド自動車のフェイルセーフ制御装置。
【請求項7】
ハイブリッド自動車の運行において、高電圧部品の故障によるメインリレーのオープンによってフェイルセーフモードに進入するのかを判定する過程と、
前記フェイルセーフモードへの進入が判定されると、HSGあるいは駆動モータの発電電圧を検出する過程と、
前記フェイルセーフモードの走行あるいは停車状態で、HSGあるいは駆動モータの発電量により電動式オイルポンプの駆動を制御してオイル圧を生成させる過程と、
を含み、
前記フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で変速制御圧の生成が可能な状態であれば、車速及び加速ペダルの位置によって判定されるアップ/ダウン変速要求に応じ、変速制御圧生成に電動式オイルポンプの駆動を制御し、
前記フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で変速制御圧は生成できないが、走行制御圧生成が可能な状態であれば、走行制御圧生成に電動式オイルポンプの駆動を制御し、
前記フェイルセーフモードの停車において、HSGまたは駆動モータの発電量で発進制御圧生成が可能な状態であり、加速ペダルのチップイン及びブレーキペダルのオフで発進要求が検出されると、発進制御圧生成に電動式オイルポンプの駆動を制御することを特徴とするハイブリッド自動車のフェイルセーフ制御方法。
【請求項8】
前記フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で変速制御圧を生成する過程で、目標変速段の結合が完了すると、電動式オイルポンプの駆動を走行制御圧生成に制御することを特徴とする請求項7に記載のハイブリッド自動車のフェイルセーフ制御方法。
【請求項9】
前記フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で変速制御圧の生成が可能な状態であるが、車速及び加速ペダルの位置によって判定されるアップ/ダウン変速が検出されないと、電動式オイルポンプの駆動を走行制御圧生成に制御することを特徴とする請求項7に記載のハイブリッド自動車のフェイルセーフ制御方法。
【請求項10】
前記フェイルセーフモードの停車において、HSGまたは駆動モータの発電量で発進制御圧生成が可能な状態であるが、発進要求が検出されないと、停車制御圧生成に電動式オイルポンプの駆動を制御することを特徴とする請求項7に記載のハイブリッド自動車のフェイルセーフ制御方法。
【請求項11】
前記フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で走行制御圧生成が不可能であるか、またはフェイルセーフモードの停車において、HSGまたは駆動モータの発電量で発進制御圧生成が不可能な状態であれば、車両シャットダウンと判定し、電動式オイルポンプの駆動を停止することを特徴とする請求項7に記載のハイブリッド自動車のフェイルセーフ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車のフェイルセーフ制御装置及び方法に係り、より詳しくは、高電圧部品の故障でメインリレーが遮断される場合、HSG(Hybrid Starter and Generator)または駆動モータの発電電圧で電動式オイルポンプの駆動を制御して、フェイルセーフ(Fail Safe)走行が提供されるようにするハイブリッド自動車のフェイルセーフ制御装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車は狭い意味で、燃料電池自動車、電気自動車と区別されるが、本明細書におけるハイブリッド自動車は、純粋電気自動車と燃料電池自動車を包括するものであって、一つ以上のバッテリが備えられ、バッテリに貯蔵されたエネルギーが自動車の駆動力として使用される自動車を言う。
ハイブリッド自動車は、動力源としてエンジンとモータが適用され、走行状況に応じてエンジンとモータの特性が発揮されて燃費向上と排気ガスの節減を提供する。
ハイブリッド自動車は、通常、自動変速機が装着されており、エンジンの駆動軸に連結されて駆動される機械式オイルポンプによって、自動変速機で潤滑が必要な低圧部と、結合要素を作動させる高圧部とにオイルを供給している。
【0003】
そして、エンジンの動作が中止されると機械式オイルポンプも停止して、自動変速機内の低圧部及び高圧部にオイルを供給できなくなるので、遊星ギヤで前進1速を維持させる摩擦要素(クラッチ及びブレーキ)の結合が解除される。
ハイブリッド自動車ではこのような現象に備えて、機械式オイルポンプと並列にバッテリの電圧で駆動される電動式オイルポンプを追加装着して、エンジンとは別個に駆動されるようにしている。
機械式オイルポンプは、エンジン駆動軸と連結されて、エンジンが始動オンを維持する状態で常時的に駆動されて動力損失を発生させ、そのために燃費低下を招く短所がある。
【0004】
したがって、ハイブリッド自動車では機械式オイルポンプを削除し、電動式オイルポンプの単独駆動で自動変速機にオイルを供給する構造が開発されている。
電動式オイルポンプは、バッテリの電圧を供給して駆動されるので、高電圧部品の故障でバッテリの電圧出力を断続するメインリレーが開放(Open)されると、電源供給の遮断によって電動式オイルポンプ及びオイルポンプ制御器の動作が中断される。
したがって、自動変速機にオイルを供給できない状態になるので、それ以上運行できないシャットダウン(Shut Down)が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−168754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ハイブリッド自動車において、高電圧部品の故障でメインリレーが遮断される場合、HSGまたは駆動モータの発電電圧で電動式オイルポンプの駆動を制御して、フェイルセーフ走行を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ハイブリッド自動車において、高電圧部品の故障でメインリレーが遮断される場合、HSGまたは駆動モータの発電量により電動式オイルポンプの駆動を変速圧力制御、走行圧力制御、発進圧力制御、停車圧力制御に区分して、フェイルセーフ走行を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、駆動源としてエンジンと駆動モータを含むハイブリッド自動車において、
電動機で動作してエンジンの始動オン、オフを実行し、エンジン始動オンの状態では発電機で動作するHSG(Hybrid Starter and Generator)と、
変速機及びエンジンクラッチにオイルを供給する電動式オイルポンプと、
ハイブリッド自動車の運転情報を検出する運転情報検出部と、
前記運転情報検出部から伝達された運転情報に基づいて前記ハイブリッド自動車の動作を制御し、高電圧部品の故障でメインリレーがオープンされると、フェイルセーフモードで走行を制御するハイブリッド制御器と、
前記電動式オイルポンプを駆動させて運転条件に応じたオイル圧を変速機及びクラッチに供給するオイルポンプ制御器と、
を含み、
前記オイルポンプ制御器は、前記ハイブリッド制御器から高電圧部品の故障によるフェイルセーフモードの進入が認知されると、HSGまたは駆動モータの発電量により電動式オイルポンプの駆動を段階別に制御してオイル圧を生成させ、
前記オイルポンプ制御器は、フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で変速制御圧の生成が可能な状態であれば、アップ/ダウン変速要求により電動式オイルポンプの駆動を制御して変速制御圧を生成させ、
前記オイルポンプ制御器は、フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で変速制御圧生成が不可能であるが、走行制御圧生成は可能な状態であれば、発電量で電動式オイルポンプを駆動させて走行制御圧を生成させ、
前記オイルポンプ制御器は、フェイルセーフモードの停車において、HSGまたは駆動モータの発電量で発進制御圧生成が可能な状態であり、発進要求が検出されると、発電量で電動式オイルポンプを駆動させて発進制御圧を生成させることを特徴とする。
【0011】
前記オイルポンプ制御器は、フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で電動式オイルポンプを駆動させて変速制御圧を生成する過程で、目標変速段の結合が完了すると、電動式オイルポンプを駆動させて走行制御圧を生成することを特徴とする。
【0013】
前記オイルポンプ制御器は、フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で走行制御圧生成が不可能な状態であれば、車両シャットダウンと判定し、電動式オイルポンプの駆動を停止することを特徴とする。
【0015】
前記オイルポンプ制御器は、フェイルセーフモードの停車において、HSGまたは駆動モータの発電量で発進制御圧生成が可能な状態であるが、発進要求が検出されないと、発電量で電動式オイルポンプを駆動させて停車制御圧を生成させることを特徴とする。
【0016】
前記オイルポンプ制御器は、フェイルセーフモードの停車において、HSGまたは駆動モータの発電量で発進制御圧生成が不可能な状態であれば、車両シャットダウンと判定し、電動式オイルポンプの駆動を停止することを特徴とする。
【0017】
前記オイルポンプ制御器は、フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で変速制御圧生成が可能であれば、運転条件に応じて電動式オイルポンプを駆動させて変速制御圧、発進制御圧、走行制御圧、停車制御圧を生成させることを特徴する。
【0018】
また、本発明は、ハイブリッド自動車の運行において、高電圧部品の故障によるメインリレーのオープンによってフェイルセーフモードに進入するのかを判定する過程と、
前記フェイルセーフモードへの進入が判定されると、HSGあるいは駆動モータの発電電圧を検出する過程と、
前記フェイルセーフモードの走行あるいは停車状態で、HSGあるいは駆動モータの発電量により電動式オイルポンプの駆動を制御してオイル圧を生成させる過程と、
を含み、
前記フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で変速制御圧の生成が可能な状態であれば、車速及び加速ペダルの位置によって判定されるアップ/ダウン変速要求に応じ、変速制御圧生成に電動式オイルポンプの駆動を制御し、
前記フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で変速制御圧は生成できないが、走行制御圧生成が可能な状態であれば、走行制御圧生成に電動式オイルポンプの駆動を制御し、
前記フェイルセーフモードの停車において、HSGまたは駆動モータの発電量で発進制御圧生成が可能な状態であり、加速ペダルのチップイン及びブレーキペダルのオフで発進要求が検出されると、発進制御圧生成に電動式オイルポンプの駆動を制御することを特徴とする。
【0021】
前記フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で変速制御圧を生成する過程で、目標変速段の結合が完了すると、電動式オイルポンプの駆動を走行制御圧生成に制御することを特徴とする。
【0022】
前記フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で変速制御圧の生成が可能な状態であるが、車速及び加速ペダルの位置によって判定されるアップ/ダウン変速が検出されないと、電動式オイルポンプの駆動を走行制御圧生成に制御することを特徴とする。
【0025】
前記フェイルセーフモードの停車において、HSGまたは駆動モータの発電量で発進制御圧生成が可能な状態であるが、発進要求が検出されないと、停車制御圧生成に電動式オイルポンプの駆動を制御することを特徴とする。
【0026】
前記フェイルセーフモードの走行において、HSGまたは駆動モータの発電量で走行制御圧生成が不可能であるか、またはフェイルセーフモードの停車において、HSGまたは駆動モータの発電量で発進制御圧生成が不可能な状態であれば、車両シャットダウンと判定し、電動式オイルポンプの駆動を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ハイブリッド自動車において、メインリレーが遮断されたフェイルセーフ走行モードで、HSGあるいは駆動モータの発電電圧で電動式オイルポンプを駆動させて、自動変速機の作動に必要な圧力を形成することができるので、走行の安全性及び信頼性を提供する効果がある。
また、HSGまたは駆動モータの発電量によって電動式オイルポンプの駆動を予め設定された3段階駆動条件に制限することにより、HSGあるいは駆動モータで発電する限定的な電圧を効率的に利用する効果がある。
さらに、電動式オイルポンプ及びオイルポンプ制御器に別のハードウェアを追加装着しない状態において、ソフトウェアのアルゴリズムでフェイルセーフモードを安定するように実現するので、原価低減及び値段競争力を向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施例によるハイブリッド自動車のフェイルセーフ制御装置の概略図である。
【
図2】本発明の実施例によるハイブリッド自動車のフェイルセーフ制御方法を示したフローチャートである。
【
図3】本発明の実施例によるハイブリッド自動車のフェイルセーフ制御方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例によるハイブリッド自動車のフェイルセーフ制御装置の概略図である。
図1に示す通り、本発明の実施例は、エンジン100、HSG110、エンジンクラッチ130、駆動モータ200、変速機300、電動式オイルポンプ400、運転情報検出部410、ハイブリッド制御器420、オイルポンプ制御器430、インバータ440、メインバッテリ450、及びメインリレー460を含む。
エンジン100は、ハイブリッド自動車で第1駆動源として動作し、運転モード及び運転状況に応じて始動がオン/オフ制御される。
エンジン100は、EVモードで始動オフされ、HEVモードで始動オンされ、HSG(Hybrid Starter Generator)機能の実行で始動オン、オフが制御される。
【0030】
HSG110は、電動機(モータ)及び発電機(ゼネレータ)であって、
HSG機能の実行において電動機(モータ)で動作してエンジン100の
始動オンを実行させ、
エンジン100が始動オンを維持する状態で余剰出力が発生する場合、発電機(ゼネレータ)で動作して電圧を発電し、発電した電圧をインバータ440を通じてメインバッテリ450に充電する。
エンジンクラッチ130は、エンジン100とモータ200の間に装着されて、エンジン100とモータ200の動力伝達を断続する。
エンジンクラッチ130は、通常、湿式クラッチに適用されて、電動式オイルポンプ400から供給されるオイルによって動作する。
駆動モータ200は、ハイブリッド自動車で第2駆動源として動作し、インバータ440から供給される3相交流電流によって駆動されて出力トルクを変速機300に伝達し、
減速のとき回生エネルギーを回収して電圧を発電し、発電した電圧をインバータ440を通じてメインバッテリ450に充電する。
【0031】
変速機300は、自動変速機あるいは無段変速機で適用され、運転要求トルクと運転状況に応じて変速比が調整され、運転モードによりエンジンクラッチ130を通じて合算されて印加される出力トルクを、調整された変速比で出力して、駆動輪に伝達させて走行するようにする。
電動式オイルポンプ400は、変速機300及びエンジンクラッチ130にオイルを供給する。
運転情報検出部410は、ハイブリッド自動車の運行で加速ペダルのチップイン(Tip in)/チップアウト(Tip out)による位置、ブレーキペダルのオン/オフ、踏力、走行車速、変速段、及び駆動モータ200の速度などを含む諸般的な運転情報を検出して、それに対する情報をハイブリッド制御器420に提供する。
【0032】
ハイブリッド制御器420は、最上位制御器で、前記運転情報検出部410で検出される運転情報に基づいて諸般的な動作を制御し、高電圧部品の故障でメインリレー460がオープンされると、フェイルセーフモードに進入して走行を制御する。
オイルポンプ制御器430は、電動式オイルポンプ400を駆動させて、運転条件に合うオイルを変速機300に供給して、アップ(Up)/ダウン(Down)変速、発進、走行、及び停車維持が提供されるようにする。
オイルポンプ制御器430は、ハイブリッド制御器420から高電圧部品の故障によるメインリレー460のオープンによりフェイルセーフモードへの進入が認知されると、HSG110または駆動モータ200の発電量により電動式オイルポンプ400の駆動を変速制御圧生成、発進制御圧生成、走行制御圧生成、停車制御圧生成に区分して制御する。
【0033】
オイルポンプ制御器430は、HSG110または駆動モータ200の発電量により電動式オイルポンプ400の駆動を反復的で学習して、変速制御圧生成、発進制御圧生成、走行制御圧生成、停車制御圧生成に区分する。
前記の制御区分は、電動式オイルポンプ400の消費電力を基準に設定され、消費電力が大きい順序により1)変速制御圧生成、2)発進制御圧生成、3)走行制御圧生成、4)停車制御圧生成に区分することができる。
そして、オイルポンプ制御器430は、運転情報検出部410から提供される情報を分析して、現在走行中であるか、あるいは停車中であるかを判定し、HSG110または駆動モータ200の発電量を確認して電動式オイルポンプ400の駆動制御を決定する。
【0034】
オイルポンプ制御器430は、現在フェイルセーフモードで走行中であり、HSG110または駆動モータ200の発電量で変速制御圧生成が可能な状態であれば、車速と加速ペダルの位置を検出してアップ(Up)/ダウン(Down)変速要求が検出されるかを判断する。
オイルポンプ制御器430は、現在フェイルセーフモードで走行中であり、HSG110または駆動モータ200の発電量で変速制御圧生成が可能な状態で、車速と加速ペダルの条件がアップ/ダウン変速要求に検出されると、電動式オイルポンプ400を駆動して変速制御圧を生成させ、変速機300にオイルを供給することにより、目標変速段を結合することができる。
【0035】
オイルポンプ制御器430は、変速機300が目標変速段への変速が完了するまで、電動式オイルポンプ400の駆動を変速制御圧生成に制御し、目標変速段の変速が完了すると、電動式オイルポンプ400の駆動を走行制御圧生成に制御する。
例えば、変速制御圧生成は、電動式オイルポンプ400を第1基準速度(RPM)で駆動させて、第1基準圧力(BAR)を生成させ、第1基準トルク(Nm)を発生させる条件に設定することができる。
オイルポンプ制御器430は、HSG110または駆動モータ200の発電量で変速制御圧生成が可能な状態では、発進制御圧生成、走行制御圧生成、及び停車制御圧生成が全て可能であり、運転状況に応じて電動式オイルポンプ400の駆動を制御して、変速機300で必要な圧力を供給することができる。
【0036】
また、オイルポンプ制御器430は、HSG110または駆動モータ200の発電量で変速制御圧生成が不可能な状態であれば、走行制御圧生成が可能な状態であるかを判断し、走行制御圧生成が可能な状態であれば、電動式オイルポンプ400の駆動を走行制御圧生成に制御して、現在のフェイルセーフ走行を維持する。
しかし、オイルポンプ制御器430は、HSG110または駆動モータ200の発電量で走行制御圧生成が不可能な状態であれば、車両のシャットダウンと判定し、電動式オイルポンプ400の駆動を中止する。
オイルポンプ制御器430は、フェイルセーフモードで停車中であり、HSG110または駆動モータ200の発電量で発進制御圧生成が可能な状態であれば、加速ペダルの位置とブレーキペダルの作動を検出して発進要求を検出する。
【0037】
オイルポンプ制御器430は、加速ペダルの位置とブレーキペダルの作動により発進要求が検出されると、電動式オイルポンプ400を駆動して発進制御圧を生成させ、変速機300にオイルを供給することにより、車両の発進を可能にする。
オイルポンプ制御器430は、発進要求が検出されないと、電動式オイルポンプ400の駆動で停車制御圧を生成させて停車状態を維持する。
オイルポンプ制御器430は、HSG110または駆動モータ200の発電量で発進制御圧生成が不可能な状態であれば、車両のシャットダウンと判定し、電動式オイルポンプ400の駆動を中止する。
オイルポンプ制御器430は、例えば、電動式オイルポンプ400の駆動速度を第1基準速度(RPM)、吐出圧力を第1基準圧力(BAR)、トルクを第1基準トルク(Nm)に制御して、変速制御圧を生成することができる。
【0038】
そして、オイルポンプ制御器430は、例えば、電動式オイルポンプ400の駆動速度を第2基準速度(RPM)、吐出圧力を第2基準圧力(BAR)、トルクを第2基準トルク(Nm)に制御して、走行制御圧を生成することができる。
また、オイルポンプ制御器430は、例えば、電動式オイルポンプ400の駆動速度を第3基準速度(RPM)、吐出圧力を第3基準圧力(BAR)、トルクを第3基準トルク(Nm)に制御して、発進制御圧を生成することができる。
また、オイルポンプ制御器430は、例えば、電動式オイルポンプ400の駆動速度を第4基準速度(RPM)、吐出圧力を第4基準圧力(BAR)、トルクを第4基準トルク(Nm)に制御して、停車制御圧を生成することができる。
【0039】
基準速度、基準圧力、基準トルクは限定される数値ではなく、自動車の種類とプログラムの設計により多様に変更することができる。
インバータ440は、ハイブリッド制御器410から印加される制御信号によってメインバッテリ450から供給される直流電圧を3相交流電圧に変換させ、駆動モータ200のトルク及び速度を調整する。
インバータ440は、駆動モータ200が発電機として動作する場合、回生エネルギーに回収される電圧をメインバッテリ450に供給して充電させる。
インバータ440は、正常運転モードでメインバッテリ450から供給される直流電圧をダウンさせて、オイルポンプ制御器430及び電動式オイルポンプ400に駆動電圧として供給する。
【0040】
メインバッテリ450は、HEVモードでエンジン100の出力を補助するために駆動モータ200に電源を供給し、駆動モータ200の発電電圧を充電する。
メインリレー460は、メインバッテリ450の出力を断続し、高電圧部品の故障が発生する場合、ハイブリッド制御器420の制御によってオープンされて、高電圧が漏洩することを防止する。
上記機能を含む本発明によるハイブリッド自動車において、通常の動作は一般のハイブリッド自動車と同一乃至類似するように実行されるので、これに対する具体的な説明は省略する。
【0041】
本発明は、ハイブリッド自動車において、メインリレーがオープンされる場合、HSGまたは駆動モータの発電量で電動式オイルポンプを駆動させて、フェイルセーフモードの走行を維持する技術であり、これについて具体的に説明する。
図2及び
図3は、本発明の実施例によるハイブリッド自動車のフェイルセーフ制御方法を示したフローチャートである。
本発明が適用されるハイブリッド自動車が運行されると、ハイブリッド制御器420は運転情報検出部410から加速ペダルのチップイン/チップアウトによる位置、ブレーキペダルのオン/オフ、踏力、走行車速、変速段、及び駆動モータ200の速度などを含む諸般的な運転情報を検出する(S101)。
【0042】
ハイブリッド制御器420は、運転情報検出部410で検出される運転情報に基づいて諸般的な動作を制御し、高電圧部品の故障が検出されるかを判断する(S102)。
ハイブリッド制御器420は、高電圧部品の故障が検出されないと、運転情報検出部410で検出される運転情報に基づいて正常制御を実行する(S103)。
しかし、ハイブリッド制御器420は、高電圧部品の故障が検出されると、メインリレー460をオープンさせてメインバッテリ450の出力を遮断させ、フェイルセーフモードに進入しながらフェイルセーフモードの進入をオイルポンプ制御器430に通知する(S104)。
【0043】
したがって、オイルポンプ制御器430は、ハイブリッド制御器420から高電圧部品の故障によるメインリレー460のオープンによりフェイルセーフモードの進入が認知されると、ハイブリッド制御器420と連動して現在走行中であるか、あるいは停車中であるかを判定する(S106)。
オイルポンプ制御器430は、S106で現在フェイルセーフモードで走行中であれば、HSG110または駆動モータ200の発電量を検出し(S107)、HSG110または駆動モータ200の発電量で変速制御圧生成が可能な状態であるかを判定する(S108)。
オイルポンプ制御器430は、S108でHSG110または駆動モータ200の発電量で変速制御圧生成が可能な状態であれば、車速と加速ペダルの位置を検出して(S109)、アップ/ダウン変速要求が検出されるかを判定する(S110)。
【0044】
オイルポンプ制御器430は、S110でアップ/ダウン変速要求が検出されると、電動式オイルポンプ400の駆動を制御して変速制御圧を生成させて変速機300にオイルを供給することにより、目標変速段の結合が実行されるようにする(S111)。
オイルポンプ制御器430は、S111で変速機300が目標変速段への変速が完了するまで電動式オイルポンプ400の駆動を変速制御圧生成に制御し、目標変速段の変速が完了すると(S112)、電動式オイルポンプ400の駆動を走行制御圧生成に制御する(S113)。
オイルポンプ制御器430は、S110で変速要求が検出されないと、電動式オイルポンプ400の駆動を走行制御圧生成に制御して、フェイルセーフモードの走行を維持する(S113)。
【0045】
オイルポンプ制御器430は、HSG110または駆動モータ200の発電量で変速制御圧生成が可能な状態では、走行制御圧生成、発進制御圧生成、及び停車制御圧生成が全て可能であり、運転状況に応じて電動式オイルポンプ400の駆動を制御して、変速機300で必要なオイル圧を供給することができる。
また、オイルポンプ制御器430は、S108でHSG110または駆動モータ200の発電量で変速制御圧生成が不可能な状態であれば、HSG110または駆動モータ200の発電量で走行制御圧生成が可能な状態であるかを判断する(S114)。
オイルポンプ制御器430は、S114でHSG110または駆動モータ200の発電量で走行制御圧生成が可能な状態であれば、電動式オイルポンプ400の駆動を走行制御圧生成に制御して、現在のフェイルセーフモードの走行を維持する(S113)。
【0046】
オイルポンプ制御器430は、S114でHSG110または駆動モータ200の発電量で走行制御圧生成が不可能な状態であれば、車両のシャットダウンと判定し(S115)、電動式オイルポンプ400の駆動を中止する(S116)。
また、前記オイルポンプ制御器430は、S106でフェイルセーフモードの停車中であると判定されると、HSG110または駆動モータ200の発電量を検出して(S117)、HSG110または駆動モータ200の発電量で発進制御圧生成が可能な状態であるかを判定する(S118)。
オイルポンプ制御器430は、S118でHSG110または駆動モータ200の発電量で発進制御圧生成が可能な状態であれば、加速ペダルの位置とブレーキペダルの作動を検出して発進要求を検出する(S119)。
【0047】
オイルポンプ制御器430は加速ペダルの位置とブレーキペダルの作動で発進要求が検出されると(S120電動式オイルポンプ400の駆動を制御して発進制御圧を生成させて変速機300にオイルを供給することによってフェイルセーフモードで発進制御を可能にする(S121。
しかし、オイルポンプ制御器430は、S120で発進要求が検出されないと、電動式オイルポンプ400の駆動で停車制御圧を生成させて、フェイルセーフモードで停車状態を維持する(S122)。
また、オイルポンプ制御器430は、S118でHSG110または駆動モータ200の発電量で発進制御圧生成が不可能な状態であれば、車両のシャットダウンと判定し(S123)、電動式オイルポンプ400の駆動を中止する(S124)。
【0048】
以上、本発明は、たとえ限定された実施例と図面によって説明されたが、本発明はこれらによって限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって、本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
100 エンジン
200 モータ
300 変速機
400 電動式オイルポンプ
410 運転情報検出部
420 ハイブリッド制御器
430 オイルポンプ制御器
440 インバータ
450 メインバッテリ
460 メインリレー