(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2導体が、前記ワークの溝部の開口に向けて配置され該ワークの溝部の断面形状に沿った形状を有する前記突出部と、前記第1導体の周回部に沿って配置される湾曲部と、前記突出部と上記湾曲部とを連結する連結部と、を備える、請求項1に記載の誘導加熱コイル。
前記第2導体の突出部を前記ワーク溝部の加熱始点に挿入すると共に、前記ワーク溝部の加熱終点まで前記第2導体を相対移動させ、該加熱終点において前記第2導体の突出部を前記ワークの溝部から引き出す、請求項4乃至6の何れかに記載の誘導加熱方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0012】
〔誘導加熱コイル〕
図1は本発明の実施形態に係る誘導加熱コイル1の平面図であり、
図2は
図1に示す誘導加熱コイル1の正面図である。本発明の実施形態に係る誘導加熱コイル1は、溝部31が長手方向の軸に沿って設けられて成るワーク30を加熱する際に用いられる。誘導加熱コイル1は、第1導体10と第2導体20とで構成される。
【0013】
第1導体10は、同軸に間隔をおいて配置される周回部11,12同士を接続して構成され、各周回部11,12はワーク30の軸回りにワーク30を周回する。第2導体20は、ワーク30の溝部31に向い合うように突出部21を有し、周回部11と周回部12の間に配置される。第1導体10の周回部11,12の中空にワーク30を挿通して、ワーク30の溝部31に第2導体20の突出部21を出し入れすることができる。そして、第1導体10に電流を流してワーク30を誘導加熱するが、その際、第1導体10から第2導体20に誘導電流が流れ、さらにこの誘導電流により溝部31及びその近傍に誘導磁場を発生させることができる。以上のように、突出部21をワーク30の溝部31に挿入して突出部21が溝部31に対向する状態にすることで、ワーク30の溝部31にも誘導電流が流れ易くなる。
【0014】
第1導体10は、
図1に二点鎖線で示すワーク30を周回可能な寸法を有している。よって、ワーク30の軸方向に溝部31の深さが変化している場合であっても、更には部分的に溝部31が形成されていない場合であっても、ワーク30の軸方向全長にわたってワーク30を第1導体10に貫通させることができる。
図3を参照して後述するように、例えば、ワーク30の両端部に溝部31が形成されていないようなワーク30を誘導加熱する場合であっても、第1導体10がワーク30を周回した状態のまま第2導体20の突出部21を溝部31に挿入したり突出部21を溝部31から出したりすることができる。
【0015】
ここで、
図1及び
図2に示す誘導加熱コイル1を詳細に説明する前に、誘導加熱コイル1により加熱されるワーク30の一例を説明する。
図3は、ワーク30の一例を模式的に示し、(a)は斜視図、(b)はX−X線に沿う端面図、(c)は
図3(b)に示すX−X線に沿う端面と異なる別の形態を示す端面図である。
【0016】
ワーク30は、
図3(a)に示すように、例えば、断面が円又は楕円或いは多角形等の中空の管体又は中実の長尺体で成り、軸方向、すなわち長手方向に沿って溝部又は凹部(本出願では、これらを総称して溝部と称する。)31を有しており、溝部31が形成されている領域の両端部を除く部分X1が加熱すべき領域として設定されている。ワーク30の一方の端部36と他方の端部37には溝部が形成されていない。
【0017】
ワーク30の溝部31について詳細に説明する。ワーク30は、長手方向に沿う溝部31を有している。一方の内側部32aと他方の内側部32bとが鋭角に曲げられて溝底部33が形成されている。一方の内側部32aに沿って一方の外側部34aが配置され、他方の内側部32bに沿って他方の外側部34bが配置されている。一方の内側部32aと一方の外側部34aとがつながって一方の開口縁部35aが形成され、他方の内側部32bと他方の外側部34bとがつながって他方の開口縁部35bが形成されている。このようなワーク30は、素材となる中空管体の両端部を除いて中空管体の周壁の一部が中空管体の内部に向って陥没するように、中空管体をプレス成形することによって製造することができる。ワーク30の開口縁部35a、35bは
図3(b)に示すように、
図3(c)と比べて僅かに膨らんでいる点で異なるが、それ以外については
図3(b)と
図3(c)とのワーク30の形状はほぼ共通している。本発明の実施形態では、開口縁部35a,35bの形状については、
図3(b)に示すように膨らみを有していても、
図3(c)に示すように膨らみを有さないで湾曲していてもよく、さらには、溝部31が長手方向の軸に沿って設けられて成るワークであれば、本発明の実施形態は適用される。
【0018】
図1及び
図2に示す形態は、
図3に例示するワーク30を誘導加熱するために好適なように作製されており、具体的な構成としては次の通りである。第1導体10は、好ましくは二段の周回部11,12が間隔をおいて同軸に配置されて構成され、二段の周回部11,12が直列又は並列に接続されている。一方の周回部11の両端が接近しており、他方の周回部12の両端が接近している。一方の周回部11の一端にリード部13が接続され、一方の周回部11の他端に連結部14が鉛直方向に延びて他方の周回部12の一端に接続され、他方の周回部12の他端にリード部15が接続されている。これにより、周回部11と周回部12とが直列に接続されている。リード部13及び15は、整合器を経由して高周波電源に接続される。
【0019】
第2導体20は、第1導体10の周回部11と周回部12との隙間に配置され、図示しない移動機構が第2導体20に接続されており、移動機構により第2導体20の一部がワーク30の溝部31に出し入れされる。これにより、二段の周回部11,12に高周波電流が流れると、第2導体20に誘導磁界が生じ誘導電流が流れ、溝部31及びその周囲に誘導磁界を生じさせる。
【0020】
第2導体20は、ワーク30の溝部31の開口に向けて配置され、ワーク30の溝部31の断面形状に沿った形状を有する突出部21と、第1導体10の周回部11,12に沿って部分的に配置される湾曲部22と、突出部21と湾曲部22とを連結する連結部23と、を備える。これら突出部21と湾曲部22と連結部23とは別体でそれぞれ接合されて成るが、一体的に形成されていてもよい。第2導体20の突出部21がワーク30の溝部31の断面形状に沿った形状を有することにより、突出部21をワーク30の溝部31に挿入した状態にすれば、ワーク30の溝部31及びその近傍に誘導磁場を効率良く発生させることができる。
【0021】
図1に示すように、ワーク30の溝部31が断面V字状である場合には、突出部21は、ワーク30の溝部31に沿ってV字状の中空導体によって構成される。すなわち、突出部21は、ワーク30の溝部31の一方の内側部32aに沿って直線状に延びる一方の突出部21aと、ワーク30の他方の内側部32bに沿って直線状に延びる他方の突出部21bとを、鋭角で結合して形成され、その結果、平面視でV字状をなす。溝部31がU字状あれば突出部21はU字状の中空導体によって構成される。
【0022】
湾曲部22は、第1導体10の二段の周回部11,12よりも大きな曲率を有している。第2導体20の突出部21が溝部31に挿入されている状態では、周回部11,12よりも中心側である内側に、周回部11,12と平面視で重ならないように湾曲部22が配置される。これにより、第1導体10から第2導体20に誘導電流が効率良く流れる。
【0023】
連結部23は、一方の突出部21aの先端と他方の突出部21bの先端で接続している。よって、平面視でL字状をなす各連結部23a,23bの対でなる。湾曲部22は、対をなす連結部23a,23bの先端に接続されている。第2導体20の湾曲部22は、第2導体20を溝部31に挿入した状態において、ワーク30の溝部31の角度と同程度の中心角を有する。また、第2導体の円弧部が第1導体の周回部に沿って配置されることにより、第1導体の周回部から第2導体の円弧部に対して誘導電流を効率良く発生させることができる。
【0024】
第1導体10が周回部11,12を直列接続して構成するのが好ましい理由について説明する。一方の周回部11はその両端が接近しており、他方の周回部12はその両端が接近している。つまり、各周回部11,12は必ずしも環状とはなっていない。各周回部11,12において各端は接近するが隙間を有し、その隙間には高周波電流が流れないことから、磁場が軸回りに生じない部分が生じる。また、本発明の実施形態では、ワーク30を回転させていない。そこで、第1導体10を一段の周回部とせず、好ましくは二段の周回部11,12で順巻の方向に電流が流れるように構成する。ワーク30を軸回りに回転しなくても、周回部11,12からワーク30の軸回りに出来るだけ一様に誘導磁場を生じさせることができる。
【0025】
第1導体10の周回部11,12と第2導体20との間、特に各周回部11,12と湾曲部22との間には、図示しない絶縁シートを介在してもよいし、又は、第1導体10と第2導体20とが対向し得る部分、例えば湾曲部22の周回部11,12との対向面に絶縁シート材26を固定するとよい。これにより、第1導体10と第2導体20との間でスパークの発生を抑制することができる。
【0026】
第1導体10において、非導電性の支持部16a,16bが、鉛直方向に延びて配置され、各周回部11,12に固定されている。これにより、一方の周回部11と他方の周回部12とを間隔をあけてその間隔を一定に保ちつつ水平に維持することができる。
【0027】
第1導体10及び第2導体20の何れも、所定の形状を有する中空導体部材をろう付け等で接続して形成されている。これにより、冷却液を外部から注入し、中空導体部材に流して冷却し、外部に排出することができる。第1導体10についての冷却液注入口、排出口については図示していないが、例えばリード部13,15に設けられている。
【0028】
第2導体20では、湾曲部22の中間に、仕切り部材24、好ましくは導電性の仕切り部材24が設けられ、仕切り部材24を挟んで両側の湾曲部22a,22bのそれぞれに配管接続部25a,25bが外側に向けて取り付けられている。
【0029】
第2導体20を用いず、第1導体10の周回部11,12の軸に沿ってワーク30を配置し、リード部13,15から高周波電流を流すことにより、ワーク30を誘導加熱することも考えられる。
【0030】
しかし、溝部31に突出部21を挿入しないと、突出部21とワーク30の溝部31とのギャップが大きいため、突出部21から溝部31への誘導電流が分散されて流れることになる。すると、ワーク30の溝部31と逆側、つまり、リード部13,15側の背面部38側に大きな誘導電流が流れるようになり、ワーク30の背面部38側だけが部分的に加熱される端面加熱の状態となる。
【0031】
そこで、本発明の実施形態のように突出部21を溝部31に挿入し、湾曲部22と周回部11,12とが電磁気的に結合し易い状態で、リード部13,15から周回部11,12へ電流を流す。すると、湾曲部22に誘導電流が流れ、連結部23を経由して突出部21にその誘導電流が流れる。ワーク30のうち内側部32a、32bには、突出部21a,21bによる誘導磁界の影響を受けて誘導電流が流れ、ワーク30のうち開口縁部35a,35bには連結部23a,23bによる誘導磁界の影響を受けて誘導電流が流れ、外側部34a,34bは、周回部11のうちリード部13,15側の部分、つまり、外側部34a、34bと対向する部分による誘導磁界の影響を受けて誘導電流が流れる。このように、周回部11,12により生じる磁界と突出部21などの第2導体20により生じる磁界とを重ね合わせることにより、ワーク30の部位によらず昇温させることができる。
【0032】
このように、溝部31に突出部21を挿入することにより、突出部21からワーク30の溝部31に誘導電流が分散することなく流れ、内側部32a,32bの溝部31と外側部34a、34bの背面部38とに環状に誘導電流を流すことができ、ワーク30の断面の周方向に均一に電流が流れ、ワーク30を均一に加熱することができる。
【0033】
〔誘導加熱方法〕
本発明の実施形態に係る誘導加熱方法は、
図3に示すように、溝部31が長手方向の軸に沿って設けられて成るワーク30を加熱する場合に用いられる。本発明の実施形態に係る誘導加熱コイル1にワーク30を挿通して、誘導加熱コイル1、ワーク30の何れかを軸方向へ移動する。これにより、誘導加熱コイル1がワーク30のうち加熱すべき領域と重なり合う際には誘導加熱コイル1に電流を流すことにより、ワーク30の溝部31及び背面部38に誘導電流を生じさせることができる。
【0034】
その際、誘導加熱コイル1の突出部21とワーク30の溝部31とのギャップが一定の範囲内に収まるように、誘導加熱コイル1、ワーク30の何れかを相対的に移動することが好ましい。これにより、ワーク30の背面部38のみならず溝部31にも効率的に誘導電流を生じさせることができ、ワーク30を、例えば変態点温度以上で均一に加熱することができる。
【0035】
具体的に説明すると、誘導加熱コイル1には移動機構(図示せず)が取り付けられており、移動機構が誘導加熱コイル1を水平二軸方向に移動する。よって、突出部21をワーク30の溝部31に出し入れ自在に第2導体20を水平方向に移動することができる。ワーク30の各端部36,37を第1導体10に挿通している状態では、溝部31に突出部21を挿入せず、一方、ワーク30の中間部を第1導体10に挿通している状態では、溝部31に突出部21を挿入するようにすることができる。これにより、ワーク30の溝部31の深さが軸方向に変化していても、ワーク30の溝部31が直線的に延びておらず屈曲していても、ワーク30の溝部31の形状に応じてワーク30の溝部31を誘導加熱することができる。
【0036】
溝部31に突出部21を挿入し、好ましくは、溝部31の深さに応じて突出部21と溝部31のギャップを所定の一定範囲内とすることにより、突出部21からワーク30の溝部31に誘導電流が分散せずに流れ、ワーク30の溝部31とワーク30の背面部38とに環状に誘導電流を流すことができる。よって、ワーク30の断面の周方向に均一に電流が流れ、誘導加熱コイル1に流す電流の大きさを調整することによりワーク30を均一に加熱することができる。
【0037】
以下では、
図3に示すように、ワーク30の両端部36,37を除く中間部に溝部31が長手方向に沿って形成されているワーク30を誘導加熱する場合を例に挙げる。
図1及び
図2に示す誘導加熱コイル1を用いて、
図3に示すワーク30の溝部31の部位X1を誘導加熱する方法について説明する。
図4は、
図1に示す誘導加熱コイルを用いてワークを誘導加熱する工程を模式的に示す図である。
図4(a)〜(d)に順次示すように、ワークの溝部31の加熱処理を行うには、第2導体20の突出部21をワーク30の溝部31内の加熱始点Sに挿入し、この溝31内に沿ってワーク30の溝部31内の加熱終点Fまで第2導体20をスライド移動させる。そしてこの加熱終点Fにおいて第2導体20の突出部21をワークの溝部31から引き出すことで、溝31の所定個所の加熱が終了する。このとき、ワーク30と誘導加熱コイル1とは、何れを移動させてもよい。
【0038】
具体的に説明すると、先ず、本発明の実施形態に係る誘導加熱コイル1の中心軸が鉛直方向になるように誘導加熱コイル1を水平に配置し、第1導体10の周回部11,12にワーク30の一端部を挿通する。例えば
図4(a)に示すように、第1導体10の周回部11,12の下側に、焼入れ液を噴射するための中空のジャケット40が配置されており、ジャケット40の上方に同軸に二段の周回部11,12が配置されている。その際、第2導体20の突出部21は、周回部11,12の中空に挿入されていない。このような状態において、二段の周回部11,12に、同軸状にワーク30の下端側を挿入する。なお、ワーク30の上端部と下端部にはチャック機構41,41がそれぞれ取り付けられ、図示しない移動機構によりチャック機構41,41を上下方向に連動して移動する。
【0039】
次に、
図4(a)に示すように、第2導体20の突出部21をワーク30の溝部31に挿入しないで、ワーク30の長手方向への移動を開始する。そして、ワーク30の溝部31の一端が第1導体10の上側の周回部11を通過すると、第2導体20の突出部21をワーク30の溝部31に挿入する。これが、溝部31の加熱始点Sとなり、その状態を示したのが
図4(b)である。
【0040】
第2導体20を図示しない移動機構により相対移動して、突出部21を溝部31に挿入するのと同時に又はその前後において、第1導体10に高周波電流を流す。これにより、第1導体10及び第2導体20により、ワーク30のうち、誘導加熱コイル1の周回部11,12に挿入されて重なり合う部分が誘導加熱される。
【0041】
上下のチャック機構41,41が移動機構により下方に移動することにより、ワーク30が長手方向に沿って下降する。これにより、ワーク30の加熱すべき領域が中間部の下端から上端に移動することになる。
【0042】
さらに、ワーク30の溝部31の上端が第1導体10の上側の周回部11を通過する前に、すなわち溝部31の加熱終点Fにおいて第2導体20をワーク30の溝部31から取り出す。この取り出しと同時又はその前後において、第1導体10への通電を停止する。
【0043】
以上の手順により、ワーク30の溝部31のうち、例えば
図3(a)に示すX1の部分だけを焼入れすることができる。さらに突出部21が溝部31に挿入されているような状態のうち或る一定の状態だけ通電時間を調整することにより、ワーク30の溝部31及び背面部38の全長ではなく一部を熱処理することができる。
【0044】
上述のようにチャック機構を下方に移動してワーク30を下降させる場合のみならず、チャック機構を上方に移動してワーク30を上昇させてもよいし、さらには、チャック機構をワーク30の長手方向に沿って移動してもよい。
【実施例】
【0045】
ワーク30として、
図3(a)に示すように両端部36,37を除いてV溝が長手方向に形成された鋼材を用いた。その鋼材の開口縁部35a、35bは
図3(b)に示すように、
図3(c)に示すものと比べて僅かに膨らんでいるものを用いた。既に説明した誘導加熱方法を用い、次の手順により焼入れを行った。ワーク30を移動させながら、先ず溝部31の下端が他方の周回部12を通過した後に、突出部21を溝部31に挿入して第1導体10に高周波電流を流し、次に、溝部31の上端が一方の周回部11を通過する前に通電を停止し、突出部21を溝部31から取り出した。その際、
図3(b)で符号A,B,Cで示す部分に熱電対を配置して、温度を測定した。符号Aは溝底部33であり、符号Bは開口縁部35bであり、符号Cは背面部38である。
【0046】
(比較例)
比較例として、実施例において、第2導体20を用いないで第1導体10だけで焼入れを行った。
【0047】
図5(a)は実施例の結果を示す図であり、(b)は比較例の結果を示す図である。何れも縦軸は温度(℃)であり、横軸は時間である。実施例では、
図5(a)に示すように、ワーク30の部位Bと部位Cとはほぼ同じ温度プロファイルを描き、部位Aとの温度差が約200℃である。一方、比較例では、
図5(b)に示すように、ワーク30の部位Bと部位Cとで温度差がある。しかも、部位Bと部位Cとの温度差が約275℃ある。よって、実施例と比較例とを比べると、第2導体20を出し入れした方が、部位Bと部位Cの温度差が小さいことが分かった。
【0048】
本発明の実施形態に係る誘導加熱コイルは、
図1及び
図2に示す形態のみならず、ワーク30の溝部31の形状に応じて適宜変更することができる。以下では便宜上図示した符号を合わせて記載することにする。
ワーク30の溝部31は、その断面がV字状である場合に限らず、略凹字状、略U字状等、窪んでいればよく、誘導加熱コイル1の突出部21の形状はその窪みの形状に沿ったものでとしてもよい。
さらに、ワークの溝部の横断面形状が非対称であれば、突出部21はワーク30の溝部31の形状に対応して非対称でもよく、その場合には溝部31の各面と突出部21の外周面とが一定の距離を保つ形状であることが好ましい。
湾曲部22は
図1に示すように円弧状の円弧部である必要はなく、突出部21及び連結部23によりワーク30を環状に取り巻くものであればよい。
【0049】
本発明の実施形態に係る誘導加熱方法及び誘導加熱方法は、
図3に示すワーク30に限ることなく、溝部31がワーク30の全長に形成されていてもよく、溝部31の深さが軸方向に沿って変化していてもよい。この場合には誘導加熱コイル1の突出部21がワーク30の溝部31に挿入されている部位を調整すればよい。
さらには、ワーク30の軸方向に沿う形状が直線状である必要はなく、ワーク30の用途に応じて両端部だけが屈曲した形状を有していてもよい。この場合には、軸方向を法線とする面上で少なくとも二方向に誘導加熱コイル1を移動機構により移動させればよい。