(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
<両面粘着テープ>
本発明の電子機器部材固定用両面粘着テープ(単に、両面粘着テープ、又は、粘着テープという場合がある。)は、バイオマス度が、50重量%以上である粘着剤層を有するものであれば、特に制限されないが、例えば、前記両面粘着テープの一例として、
図2には、粘着剤層の両表面に剥離ライナーを貼付したもの(支持体なし)が挙げられる。また、
図3には、支持体の両表面に粘着剤層を有し、粘着剤層の表面に剥離ライナーを貼付したもの(支持体有)が挙げられる。なお、前記粘着剤層としては、原料の同一、又は、異なる2層以上の粘着剤層を貼り合わせて1層の粘着剤層としたもの(積層体)を使用してもよいし、支持体が2層以上有するとともに、粘着剤層を3層以上有する構成の両面粘着テープであってもよい。
【0017】
本発明の両面粘着テープは、バイオマス度が、50重量%以上である粘着剤層を有するものであり、好ましくは60重量%以上であり、より好ましくは70重量%以上である。前記バイオマス度が50重量%以上と高いことにより、地球環境にやさしく、環境対応型の粘着剤を得ることができ、好ましい態様となる。なお、ここでの「バイオマス度」とは、粘着剤層の総重量(粘着剤組成物を構成する使用原料全体の重量)に対し、前記粘着剤層を製造する際に使用する植物由来の原料の重量割合を計算したものを意味する。
【0018】
本発明において、「電子機器」とは、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC、携帯音楽プレイヤー、及び、PDA等の持ち運び可能な携帯用電子(電気)機器や、デジタルカメラ、ビデオ、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、テレビ、ゲーム機などを指す。また、「電子機器部材固定用」とは、例えば、携帯用電子機器においては、筐体と外装レンズの固定などの外装固定用、LCDユニットや反射シート、バックライトユニット、そのフレーム、FPCなどの内装部材固定用、バッテリーや放熱シート、電磁波シールと部材、アンテナ部材等の機能性部材固定用などが挙げられる。
【0019】
前記粘着剤層を形成する粘着剤として、特に制限なく、各種の粘着剤を用いることができ、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、フッ素系粘着剤などが挙げられる。中でも、植物由来の原料から製造できるゴム系粘着剤(天然ゴムなど)やポリウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ポリエステル系粘着剤などが有用である。
【0020】
前記粘着剤のなかでも、特に、有用なものとしては、高価なシリコーン系の粘着剤や、石油系のアクリル系の粘着剤等を使用することなく、化石資源の枯渇や二酸化炭素排出の問題のない、地球環境にやさしい植物由来の原料を用いたバイオマス度の高い、接着性、保持性、及び、耐反発性に優れた粘着剤が得られる点から、ポリエステル系粘着剤を用いることが好ましい態様である。
【0021】
<ポリエステル系粘着剤>
前記ポリエステル系粘着剤に用いられるポリエステルとしては、少なくとも、カルボン酸成分と、ジオール成分とを重縮合して得られるポリエステルを用いることが好ましい態様である。なお、ポリエステルの合成方法としては、特に限定されるものではなく、公知の重合方法を用いることができる。
【0022】
前記ポリエステルは、植物由来の原料により製造されることが好ましい態様である。その理由としては、植物由来の原料は、カーボンニュートラルであるといわれており、地球環境にやさしく、環境対応型の粘着剤を得ることができるからである。
【0023】
前記ポリエステルは、カルボン酸成分を含み、前記カルボン酸成分としては、少なくとも、カルボキシル基を2個含むジカルボン酸を含有することが好ましい。
【0024】
前記ジカルボン酸として、具体的には、植物由来のジカルボン酸であれば、たとえば、ヒマシ油由来のセバシン酸や、オレイン酸や、エルカ酸などから誘導されるダイマー酸などが挙げられ、その他としては、アジピン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ドデセニル無水琥珀酸、フマル酸、琥珀酸、ドデカン二酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の脂肪族や脂環族ジカルボン酸等や、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等が挙げられる。中でも特に、ダイマー酸等は、植物由来で、地球環境にやさしいなどの観点から、好ましい。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0025】
また、前記ジカルボン酸に加えて、カルボキシル基を3個以上含むトリカルボン酸等を使用することもできる。ただし、トリカルボン酸等の多官能のカルボン酸を使用すると、ネットワーク構造(3次元架橋構造)が形成され、粘着剤層(粘着テープ)の接着力(粘着力)が低く抑えられてしまうため、高い接着性が要求される場合には、使用を差し控えることが好ましい。
【0026】
また、前記ポリエステルは、ジオール成分を含み、前記ジオール成分としては、少なくとも、ヒドロキシル基を分子中に2個有するものを含有することが好ましい。
【0027】
前記ジオール成分としては、たとえば、植物由来のジオールであれば、ヒマシ油から誘導される脂肪酸エステルや、オレイン酸や、エルカ酸などから誘導されるダイマージオール、グリセロールモノステアレートなどが挙げられ、その他としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族グリコールや、前記脂肪族グリコール以外のものとして、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリカーボネートグリコール等が挙げられる。中でも、特に、植物由来の脂肪族ジオールは、地球環境にやさしいなどの観点から、好ましい。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0028】
前記カルボン酸成分と前記ジオール成分のモル比は、1:1.04〜2.10であることがこの好ましく、1:1.06〜1.70がより好ましくは、1.07〜1.30が更に好ましい。前記モル比が1:1.04より小さくなると、得られるポリエステルの分子量が大きくなり、官能基となるヒドロキシル基が少なくなり、架橋剤(たとえば、多官能性イソシアネート)を使用しても、架橋反応を促進させることが困難となり、所望のゲル分率を有する粘着剤層を得られなくなる。また、粘着剤(層)の保持力(凝集力)が十分に得られなくなる恐れがある。一方、前記モル比が、1:2.10を超えると、所望の分子量より小さなポリエステルしか得られない傾向にあり、架橋剤を使用しても、ゲル化を促進することができず、所望のゲル分率を有する粘着剤層が得られず、好ましくない。
【0029】
また、本発明の両面粘着テープ(粘着剤組成物)に用いられるポリエステルとしては、重量平均分子量(Mw)が、5000〜60000であることが好ましく、8000〜50000であることがより好ましく、15000〜45000であることが更に好ましい。重量平均分子量が5000未満の場合は、前記ポリエステルを用いた粘着剤の接着力(粘着力)の低下の原因となり、電子機器部材などの被着体に対して、粘着テープ(粘着剤層)自体を固定できなくなる場合がある。また、重量平均分子量が60000を超えると、官能基となるヒドロキシル基が少なくなり、架橋剤(たとえば、多官能性イソシアネート)を使用しても、架橋反応を促進させることが困難となり、所望のゲル分率を有する粘着剤層を得られにくくなり、好ましくない。
【0030】
なお、本発明の両面粘着テープに用いられるポリエステルの特性を損なわない程度であれば、前記カルボン酸成分や前記ジオール成分以外のその他の成分を重合したり、また、重合後に添加したりすることも可能である。
【0031】
本発明において、前記カルボン酸成分と前記ジオール成分との重合(縮合重合)反応は、溶剤を使用して行ってもよいし、無溶剤で行ってもよく、従来公知の方法が使用できる。
【0032】
前記重合(縮合重合)反応で生成する水を除去する方法としては、トルエンやキシレンを用いて共沸脱水させる方法や、反応系内に不活性ガスを吹き込み、不活性ガスと共に、生成した水や、モノアルコールを反応系外に排出する方法、減圧下で溜出する方法等が挙げられる。
【0033】
前記重合(縮合重合)反応に用いられる重合触媒としては、通常のポリエステルの重合触媒に用いられるものを使用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、チタン系、錫系、アンチモン系、亜鉛系、ゲルマニウム系等の種々の金属化合物や、p−トルエンスルホン酸や硫酸などの強酸化合物を用いることができる。
【0034】
<ゴム系粘着剤>
前記ゴム系粘着剤に用いられるゴム系ポリマーとしては、たとえば、天然ゴム、天然ゴムとメチルメタクリレートなどのアクリル成分との共重合物、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ポリイソブチレンゴム(PBI)、スチレン−インプレン一スチレンブロック共重合体(SIS)およびその水素添加物(SEPS)、水素添加スチレン−ブタジエンゴム(HSBR)、ならびに、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)およびその水素添加物(SEBS)などを用いたものが挙げられる。なかでも、天然ゴムは、植物由来の原料であり、バイオマス度を高くできる点から、特に好ましい。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0035】
<架橋剤>
本発明の両面粘着テープ(粘着剤組成物)は、架橋剤を含有することができる。架橋剤を用いて粘着剤組成物を架橋反応させることにより、粘着剤層を形成することができる。前記架橋剤として、特に限定されるものではなく、従来公知のものを使用することができ、例えば、多価イソシアヌレート、多官能性イソシアネート、多官能性メラミン化合物、多官能性エポキシ化合物、多官能性オキサゾリン化合物、多官能性アジリジン化合物、金属キレート化合物などを用いることができ、特に汎用性という観点から、多価イソシアヌレートや多官能性イソシアネート化合物を用いることが好ましい態様である。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0036】
前記多価イソシアヌレートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのポリイソシアヌレート体などが挙げられる。これらを用いることにより、得られる粘着剤層の透明性や、高いゲル分率を得るという目的を達成することができ、有効である。前記多価イソシアヌレートの市販品を使用することもでき、具体的には、商品名「デュラネートTPA−100」(旭化成ケミカルズ社製)、商品名「コロネートHK」、「コロネートHX」、「コロネート2096」(日本ポリウレタン工業社製)等が挙げられる。
【0037】
前記多官能性イソシアネート化合物としては、例えば、分子中に少なくとも2個以上のイソシアネート基を有する化合物であることが好ましく、より好ましくは3個以上であれば、特に制限されず、具体的には、脂肪族ポリイソシアネート類、脂環族ポリイソシアネート類、芳香族ポリイソシアネート類などを挙げることができる。
【0038】
前記脂肪族ポリイソシアネート類としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネートや、1,2−テトラメチレンジイソシアネート、1,3−テトラメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネートなどのテトラメチレンジイソシアネート、1,2−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,5−ヘキサメチレンジイソシアネートなどのヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0039】
前記脂環族ポリイソシアネート類としては、例えば、イソホロンジイソシアネートや、1,2−シクロヘキシルジイソシアネート、1,3−シクロヘキシルジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネートなどのシクロヘキシルジイソシアネート、1,2−シクロペンチルジイソシアネート、1,3−シクロペンチルジイソシアネートなどのシクロペンチルジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート、4,4’−ジシクヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0040】
前記芳香族ポリイソシアネート類としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2, 2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2, 2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3, 3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0041】
また、前記多官能性イソシアネート化合物として、前記脂肪族ポリイソシアネート類や脂環族ポリイソシアネート類、芳香族ポリイソシアネート類以外に、芳香脂肪族ポリイソシアネート類による二量体や三量体を用いることができ、具体的には、ジフェニルメタンジイソシアネートの二量体や三量体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネートなどの重合物などが挙げられる。
【0042】
前記多官能性イソシアネート化合物として、市販品を使用することもでき、具体的には、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートの三量体付加物として、商品名「コロネートL」(日本ポリウレタン工業社製)や、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートの三量体付加物として、商品名「コロネートHL」(日本ポリウレタン工業社製)等が挙げられる。
【0043】
前記多官能性メラミン化合物としては、メチル化メチロールメラミン、ブチル化ヘキサメチロールメラミンなどが挙げられ、前記多官能性エポキシ化合物としては、ジグリシジルアニリン、グリセリンジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0044】
特に、前記ゴム系粘着剤において、使用される架橋剤(加硫剤)としては、たとえば、硫黄系、チラウム系、過酸化物系、キノイド系、樹脂系、アミン系、金属酸化物系、イソシアネート系、フェノール樹脂系などを適宜使用することができる。中でも、フェノール樹脂系は、耐熱性に優れている点で、好ましい態様となる。前記フェノール樹脂系としては、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシンなどの各種フェノール類と、ホルムアルデヒドとの縮合物を使用することができ、粘着付与剤としても機能することから、アルキルフェノール樹脂が好ましい。
【0045】
前記架橋剤の種類や配合量は、特に限定されないが、両面粘着テープとしては、形成した粘着剤層のゲル分率が、40重量%未満であることが好ましく、より好ましくは、20〜40重量%未満であり、更に好ましくは、20〜39.8重量%未満であり、特に好ましくは、30〜39.6重量%未満である。ゲル分率が40重量%を超えると、耐反発性が得られず、電子機器部材の固定用途に適していないため、好ましくない。
【0046】
なお、前記架橋剤の配合量としては、たとえば、粘着剤の主成分であるポリマー(たとえば、ポリエステルやゴム系ポリマーなど)100重量部に対して、0.5〜30重量部が好ましく、より好ましくは1〜20重量部である。配合量が0.5重量部未満であると、粘着剤層とした場合に、保持力(凝集力)の向上を図ることができず、耐熱性の低下などを招く恐れがあり、30重量部を超えると、架橋反応が進行しすぎてしまい、接着力の低下を伴うため、電子機器部材の固定用途に適さず、好ましくない。
【0047】
また、本発明の両面粘着テープに用いられる粘着剤層のゲル分率を効率よく調整するため、架橋触媒を適宜使用することができる。前記触媒としては、たとえば、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ブチルスズオキシド、ジオクチルスズジウラレート等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0048】
前記触媒の配合量としては、特に制限されないが、粘着剤の主成分であるポリマー(たとえば、ポリエステル)100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜0.5重量部である。配合量が0.01重量部未満であると、触媒添加の効果が得られない場合があり、1重量部を超えると、シェルフライフが著しく短くなり、塗布の安定性が低下する場合があり、好ましくない。
【0049】
また、シェルフライフを延長するため、遅延剤として、アセチルアセトンやメタノール、オルト酢酸メチルなど適宜、配合することも可能である。
【0050】
<粘着付与剤>
また、本発明の両面粘着テープに用いられる粘着剤層を形成するため、粘着剤の主成分であるポリマー(たとえば、ポリエステルやゴム系ポリマーなど)に、前記架橋剤と共に、粘着付与剤を組み合わせることで、所望の特性を有する粘着剤層を得ることができ、特に接着性(粘着性)や耐反発性の向上が期待できる。
【0051】
前記粘着付与剤としては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを使用することができ、例えば、テルペン系粘着付与剤、フェノール系粘着付与剤、ロジン系粘着付与剤、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、キシレン樹脂、エポキシ系粘着付与剤、ポリアミド系粘着付与剤、ケトン系粘着付与剤、エラストマー系粘着付与剤などが挙げられ、特にバイオマス度を向上させるため、植物由来の原料により製造されるロジン系やテルペン系粘着付与剤を用いることが好ましい。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0052】
前記テルペン系粘着付与剤として、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、及び、芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられ、具体的には、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体や、これらをフェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性したテルペン系樹脂を使用することができる。
【0053】
前記フェノール系粘着付与剤としては、具体的には、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシンなどの各種フェノール類と、ホルムアルデヒドとの縮合物を使用することができる。更に、詳しくは、前記フェノール類とホルムアルデヒドとを、アルカリ触媒下で付加反応させて得られるレゾールや、前記フェノール類とホルムアルデヒドとを、酸触媒下で縮合反応させて得られるノボラック、未変性または変性ロジンやこれらの誘導体などのロジン類に、フェノールを酸触媒下で付加させ、熱重合することにより得られるロジン変性フェノール樹脂などを使用することができる。
【0054】
前記ロジン系粘着付与剤としては、ロジン樹脂、重合ロジン樹脂、水添ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、水添ロジンエステル樹脂、ロジンフェノール樹脂などが挙げられ、具体的には、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの未変性ロジン(生ロジン)や、これらを水添化、不均化、重合、その他の化学的に修飾された変性ロジン、これらの誘導体を使用することができる。
【0055】
前記粘着付与剤としては、中でも、環球法によって測定される軟化点が、100〜170℃のものが好ましく、より好ましくは、110〜165℃であり、更に好ましくは、120〜165℃である。前記軟化点が、前記範囲内にあると、接着性と耐反発性の両立を図ることができ、好ましい。
【0056】
前記粘着付与剤の配合量は、粘着剤の主成分であるポリマー(たとえば、ポリエステルやゴム系ポリマーなど)100重量部に対して、0〜150重量部が好ましく、より好ましくは25〜120重量部であり、特に好ましくは35〜100重量部である。配合量が150重量部を超えると、粘着剤層のゲル分率が所望の範囲で得られなかったり、接着力の低下を伴う恐れがあるため、好ましくない。
【0057】
本発明の両面粘着テープに用いられる粘着剤層(粘着剤)の特性を損なわない程度であれば、シランカップリング剤、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、無機または有機の充填剤、顔料や染料などの着色剤、老化防止剤、界面活性剤、金属粉、粒子状、箔状物などの一般的な添加剤を使用することができる。
【0058】
前記粘着剤層の厚さ(乾燥後)としては、適宜選択することができるが、例えば、1〜150μm程度が好ましく、より好ましくは3〜100μm程度であり、更に好ましくは5〜60μm程度である。粘着剤層の厚さが1μm未満であると、十分な接着力(粘着力)を得にくく、電子機器部材などの被着体に対して、粘着テープ(粘着剤層)自体を固定できず、剥離しやすくなる場合があり、厚さが150μmを超えると、塗工時に厚みムラが出やすく、好ましくない。なお、粘着剤層としては、単層、積層体のいずれの形態であっても良い。
【0059】
また、本発明の電子機器部材固定用両面粘着テープは、前記粘着剤層が少なくとも2層あり、前記粘着剤層の少なくとも片面に、支持体を有することを有することが好ましい。両面粘着テープが、粘着剤層の少なくとも片面に支持体を有することにより、機械的強度の向上や、加工性の向上などが図れ、好ましい態様となる。
【0060】
<支持体>
前記支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、プラスチックフィルムや、紙、不織布などの多孔質材料など、各種の支持体(基材)を使用することができる。なお、電子(電気)機器部材の固定用途として使用する場合には、耐久性等の観点から、プラスチックフィルムを用いることが好ましい態様である。前記プラスチックフィルムとしては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリスチレンフィルム、また、ナイロン6、ナイロン6,6、部分芳香族ポリアミド等のポリアミドフィルム、ポリ塩化ビルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリカーボネートフィルム等を挙げることができる。また、植物由来の原料から得られるポリ乳酸やセルロースなどからなる支持体は、両面粘着テープ全体のバイオマス度を高くすることができるため、好適に用いられる。
【0061】
前記支持体には、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、充填剤、顔料や染料などの通常の粘着テープ用基材(支持体)に用いられる各種添加剤を使用することができる。
【0062】
前記支持体の表面は、必要に応じて、粘着剤層との密着性を高めるため、慣用の表面処理を施すことができ、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤によるコーティング処理等が施されていてもよい。また、シリカ粉などによる防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理もすることもできる。
【0063】
また、本発明の両面粘着テープに用いられる前記支持体の特性を損なわない範囲であれば、中間層や下塗り層などを有していても、問題ない。
【0064】
前記支持体の厚さとしては、その材質や形態などに応じて、適宜選択することができるが、例えば、1000μm以下が好ましく、1〜1000μm程度であることがより好ましく、2〜500μm程度が特に好ましくは、更に好ましくは3〜300μm程度であり、特に好ましくは5〜250μm程度である。
【0065】
前記粘着剤層の形成方法としては、従来公知の方法を採用することができるが、たとえば、粘着剤組成物(粘着剤組成物を溶剤に溶解した粘着剤組成物溶液や、熱溶融液)を、前記支持体に塗布・乾燥して粘着剤層を形成する方法や、前記粘着剤組成物を、前記支持体に塗布・乾燥して、粘着剤組成物層とし、更に架橋処理することにより粘着剤層を形成する方法、剥離ライナー上に塗布・形成した粘着剤層を支持体上に移着(転写)する方法、粘着剤層形成材を支持体上に押出し形成塗布する方法、支持体と、粘着剤層とを二層または多層にて押出しする方法、支持体上に粘着剤層を単層ラミネートする方法などの公知の粘着テープ(粘着シート)の製造方法に基づき、行うことができる。また、熱可塑性樹脂からなる支持体とともに、粘着剤層をインフレーション法やTダイ法による二層又は多層による共押出し成形する方法などを用いることができる。なお、本発明における両面粘着テープとは、粘着フィルムや粘着シート等を含むものであり、支持体のない両面粘着テープ(粘着剤層単独)や、支持体の存在する両面粘着テープも含むものである。
【0066】
前記粘着剤組成物(溶液)を塗布する方法としては、従来公知の方法を採用することができるが、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースロールコート、ロールブラッシュコート、エアーナイフコート、スプレーコート、ダイコーター等による押し出しコートなどが挙げられる。
【0067】
本発明の粘着剤層は、少なくとも片面に、剥離ライナーを有することが好ましい。粘着剤層の片面又は両面に剥離ライナーを有することにより、粘着剤層(両面粘着テープ)の使用時まで、粘着剤層の表面を保護して、保存することができ、作業性等においても、有用である。
【0068】
<剥離ライナー>
前記剥離ライナーとしては、特に限定されず、従来公知のものを適宜使用することができる。例えば、基材(剥離ライナー用基材)の少なくとも片面に、剥離性を付与するため、例えば、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤(剥離剤)などによるコーティング処理が施された剥離コート層を形成したものを用いることができる。なお、剥離ライナー用基材は、単層、複数層のいずれの形態も用いることができる。
【0069】
前記剥離ライナー用基材としては、プラスチックフィルム、紙、発泡体、金属箔等の各種薄葉体等を用いることができ、特に好ましくは、プラスチックフィルムである。また、プラスチックフィルムの原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルや、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、植物由来の原料から得られるポリ乳酸やポリエステル、ポリアミドなどからなるプラスチックフィルムを好適に用いることができる。
【0070】
前記剥離ライナー用基材の厚さは、目的に応じて、適宜選択することができる。
【0071】
また、本発明の両面粘着テープ全体(粘着剤層、支持体、及び剥離ライナーなど、すべての構成を含む)のバイオマス度としては、好ましくは、25重量%以上であり、より好ましくは、30重量%以上である。前記バイオマス度が両面粘着テープ全体として、25重量%以上と高いことにより、地球環境にやさしく、環境対応型の両面粘着テープを得ることができ、好ましい態様となる。なお、ここでの「バイオマス度」とは、両面粘着テープの総重量(粘着剤層や支持体など構成する使用原料全体の重量)に対し、前記両面粘着テープを製造する際に使用する植物由来の原料の重量割合を計算したものを意味する。
【実施例】
【0072】
以下に、本発明の実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。また、実施例中の「部」とは、「重量部」を示し、「%」とは、「重量%」を示す。また、粘着剤層(両面粘着テープ)の配合内容、及び評価結果については、表1に示した。
【0073】
<ポリエステルAの調製>
三つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計、真空ポンプを付し、これにダイマー酸(商品名「プリポール1009」、分子量567、クローダ社製)98.24g、ダイマージオール(商品名「プリポール2033」、分子量537、クローダ社製)101.76g、触媒として酸化ジブチルスズ(和光純薬工業社製)0.2gを仕込み、減圧雰囲気(2.0kPa以下)で撹拌しながら、200℃まで昇温し、この温度を保持した。約3時間反応を続けてポリエステルAを得た。重量平均分子量(Mw)は3.1万であった。
なお、上記のダイマー酸とダイマージオールとの使用量は、ダイマー酸に含まれるカルボキシル基1.00モルに対して、ダイマージオールに含まれる水酸基が1.09モルとなる割合であった。
【0074】
<ポリエステルBの調製>
ダイマー酸の使用量を93.02gに変更し、ダイマージオールの使用量を106.98gに変更した以外はポリエステルAと同様にしてポリエステルBを得た。重量平均分子量(Mw)は1.9万であった。
なお、上記のダイマー酸とダイマージオールとの使用量は、ダイマー酸に含まれるカルボキシル基1.00モルに対して、ダイマージオールに含まれる水酸基が1.21モルとなる割合であった。
【0075】
<実施例1>
ポリエステルA100部に、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート(商品名「TPA−100」、旭化成ケミカルズ社製)3.5部、粘着付与剤である、ロジンエステル(商品名「ペンセルD125」、荒川化学工業社製)40部を配合し、固形分が70%になるようトルエンを加え、粘着剤を調整した。これを乾燥後の厚みが30μmになるように剥離処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ダイアホイルMRF♯38」、三菱樹脂社製)の剥離処理面に塗工し、120℃で3分乾燥させ、粘着剤層を得た。その後、剥離処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ダイアホイルMRE♯38」、三菱樹脂社製)の剥離処理面に前記粘着剤層を貼り合わせて、さらに40℃3日間放置し、両面粘着テープを得た(
図2参照)。
【0076】
<実施例2>
粘着付与剤をロジンエステル(商品名「ペンセルD135」、荒川化学工業社製)に変更し、架橋剤を4部添加した以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0077】
<実施例3>
ポリエステルB100部に対し、粘着付与剤を80部添加し、架橋剤を7部添加した以外は、実施例2と同様にして両面粘着テープを得た。
【0078】
<実施例4>
粘着付与剤をロジンエステル(商品名「ペンセルD160」、荒川化学工業社製)に変更した以外は、実施例3と同様にして両面粘着テープを得た。
【0079】
<実施例5>
実施例2と同様にして粘着剤を得た。これを乾燥後の厚みが19μmになるように剥離処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ダイアホイルMRF♯38」、三菱樹脂社製)の剥離処理面に塗工し、120℃で3分乾燥させ、粘着剤層を得た。同様に、剥離処理したPETフィルム(商品名「ダイアホイルMRE♯38」、三菱樹脂社製)にも塗工し、2枚の粘着剤層を得た。これらの粘着面を、厚みが12μmの支持体であるPETフィルム(商品名「ルミラー12S10」、パナック社製)の両面に貼り合わせ、40℃で3日間放置し、両面粘着テープ(支持体有り)を得た(
図3参照)。
【0080】
<実施例6>
天然ゴム(商品名「RSS1級」、野村貿易社製)100部に、粘着付与剤であるテルペン系樹脂(商品名「YSレジンPX1150」、ヤスハラケミカル社製)50部、架橋剤であるアルキルフェノール樹脂(商品名「タッキロール201」、田岡化学社製)10部、老化防止剤であるフェノール系酸化防止剤(商品名「イルガノックス1010」、チバガイギー社製)1部を配合し、粘着剤組成物を調製し、ここに、固形分が30%になるようトルエンを加え、粘着剤を調整した。これを乾燥後の厚みが30μmになるように剥離処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ダイアホイルMRF♯38」、三菱樹脂社製)の剥離処理面に塗工し、150℃で3分乾燥させ、粘着剤層(剥離処理したPET付き)を得た。その後、剥離処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ダイアホイルMRE♯38」、三菱樹脂社製)の剥離処理面に前記粘着剤層を貼り合わせて、両面粘着テープを得た(
図2参照)。
【0081】
<実施例7>
実施例6と同様にして粘着剤を得た。これを乾燥後の厚みが19μmになるように剥離処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ダイアホイルMRF♯38」、三菱樹脂社製)の剥離処理面に塗工し、150℃で3分乾燥させ、粘着剤層を得た。同様に、剥離処理したPETフィルム(商品名「ダイアホイルMRE♯38」、三菱樹脂社製)にも塗工し、2枚の粘着剤層を得た。これらの粘着面を、厚みが12μmの支持体であるPETフィルム(商品名「ルミラー12S10」、パナック社製)の両面に貼り合わせ、両面粘着テープ(支持体有り)を得た(
図3参照)。
【0082】
<比較例1>
n−ブチルアクリレート70部と、アクリル酸2エチルヘキシル27部と、アクリル酸3部と、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部とを、アゾビスイソブチロニトリル0.2部を重合開始剤として、トルエン及び酢酸エチルの混合溶液[トルエン/酢酸エチル(重量比)=1/1]中で、6時間溶液重合を行って、重量平均分子量(Mw)が、50万のアクリル系ポリマーを得た。前記アクリル系ポリマー100部に、架橋剤としてトリレンジイソシアネ−ト(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業社製)2部、粘着付与剤(商品名「ペンセル D125」、荒川化学工業株式会社製)30部とを配合し、固形分が35%になるようにトルエンを加え、粘着剤を調整した。これを乾燥後の厚みが13μmになるように、剥離処理したPETフィルム(商品名「ダイアホイルMRF♯38」、三菱樹脂社製)の剥離処理面に塗工し、120℃で3分乾燥させ、粘着剤層を得た。同様に、剥離処理したPETフィルム(商品名「ダイアホイルMRE♯38」、三菱樹脂社製)にも塗工し、粘着剤層を得た。続いて、厚みが4μmの支持体であるPETフィルムの両側からそれぞれを貼り合わせ、さらに40℃で3日間放置し、両面粘着テープ(支持体有り)を得た。
【0083】
(重量平均分子量)
重量平均分子量(Mw)は、ポリマーをテトラヒドロフラン(THF)で溶解した溶液をゲル・パーミエイション・クロマトグラフィ(GPC)法を用い、標準ポリスチレンにより作成した検量線から、それぞれのポリマーの分子量を測定した。
【0084】
(ポリエステルの重量平均分子量の測定条件)
装置名:東ソー社製、HLC−8220GPC
試験片濃度:0.1重量%(THF溶液)
試験片注入量:20μl
溶離液:THF
流速:0.300ml/min
測定(カラム)温度:40℃
カラム: 試験片カラム;TSKguardcolumn SuperHZ−L(1本)+TSKgel SuperHZM−M(2本)、リファレンスカラム;TSKgel
SuperH−RC(1本)、東ソー社製
検出器:示差屈折計(RI)
【0085】
(アクリル系ポリマーの重量平均分子量の測定条件)
装置名:東ソー社製、HLC−8220GPC
試験片濃度:0.2重量%(THF溶液)
試験片注入量:10μl
溶離液:THF
流速:0.600ml/min
測定(カラム)温度:40℃
カラム: 試験片カラム;TSKguardcolumn SuperHZ−H(1本)+TSKgel SuperHZM−M(2本)、リファレンスカラム;TSKgel
SuperH−RC(1本)、東ソー社製
検出器:示差屈折計(RI)
【0086】
(粘着剤層のゲル分率)
実施例及び比較例の粘着剤層の厚み(粘着剤組成物を乾燥させ、架橋後の厚み)が30μmになるように、粘着剤組成物(粘着剤溶液)を剥離ライナー上に塗工して、粘着剤層を作製した。続いて、得られた粘着剤層を5cm×5cm角に切り出し、剥離ライナーを取り除き、これを試験片とした。
この試験片を、重量を測定しているテフロン(登録商標)シート(下記式において、単に、「シート」と言う。)で包み、重量を秤量し、トルエン中に23℃で7日間放置して、試験片中のゾル分を抽出した。その後、120℃で2時間乾燥し、乾燥後の重量を秤量した。ゲル分率を下記の式にて算出した。
ゲル分率(重量%)=100×(乾燥後の重量−シート重量)/(乾燥前の重量−シート重量)
【0087】
前記粘着剤層のゲル分率としては、40重量%未満であることが好ましく、より好ましくは、20〜40重量%未満であり、更に好ましくは、20〜39.8重量%未満であり、特に好ましくは、30〜39.6重量%未満である。40重量%を超えると、保持性と耐反発性の両立が難しくなり、好ましくない。
【0088】
(粘着剤層のバイオマス度)
バイオマス度とは、粘着剤層の総重量に対し、前記粘着剤層を製造する際に使用する植物由来の原料の重量割合であり、以下の計算式により、算出した。
粘着剤層のバイオマス度(重量%)=100×[植物由来の原料の重量(g)]/[粘着剤層の総重量(g)]
【0089】
前記バイオマス度としては、50重量%以上であり、好ましくは、60重量%以上であり、より好ましくは、70重量%以上である。50重量%未満であると、化石資源の枯渇や二酸化炭素の排出量の観点より、好ましくない。
【0090】
(対ポリカーボネート(PC)板接着力)
得られた両面粘着テープから一方の剥離処理されたフィルムを剥離し、露出させた粘着面を厚さが25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラー25S10」、パナック社製)に貼り合わせて試験片を得た。
前記試験片を幅20mmにカットし、もう一方の剥離処理されたフィルムを剥離し、露出させた粘着面をポリカーボネート板(商品名「PC1600」、タキロン社製)に貼り合わせて、試験片とし、対PC接着力(N/20mm)を測定した。
なお、貼り合せの際の圧着は、2kgのローラーを1往復して行い、貼り合わせ30分後に引張圧縮試験機(装置名「TG−1kN」、ミネベア社製)にて、180°ピール接着力(粘着力)の測定を以下の条件下で行った。
引張り(剥離)速度:300mm/分
測定条件:温度:23±2℃、湿度:65±5%RH
【0091】
前記対PC板接着力(粘着力)としては、好ましくは、6N/20mm以上であり、より好ましくは、7N/20mm以上であり、更に好ましくは、8N/20mm以上である。前記接着力が6N/20mm未満であると、接着力が低くなりすぎて、電子機器部材の固定用途に適していないため、好ましくない。
【0092】
(保持力)
得られた両面粘着テープから一方の剥離処理されたフィルムを剥離し、露出させた粘着面を厚さが25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラー25S10」、パナック社製)に貼り合わせて試験片を得た。
前記試験片を幅10mm×長さ100mmにカットし、もう一方の剥離処理されたフィルムを剥離し、露出させた粘着面を幅25mm×長さ125mm×厚さ2mmのベークライト板に、幅方向および長さ方向をそれぞれ対応させて、ベークライト板の幅方向の中心部付近に、幅10mm×長さ20mmラップするように2kgのローラーで1往復して圧着して貼り合わせ、測定片とした。この測定片を用い、40℃の雰囲気下で30分放置した後、0.5kgの荷重を加えた状態で40℃の雰囲気下に1時間(60分)放置後の試験片のズレ長さ(mm/60分)を測定した。
【0093】
前記保持力としては、好ましくは、0.8mm/60分以下であり、より好ましくは、0.5mm/60分以下であり、更に好ましくは、0.4mm/60分以下である。前記保持力が0.8mm/60分を超えると、ズレが大きくなり、電子機器部材などを長時間、一定して固定することができず、好ましくない。
【0094】
(耐反発性)
ポリカーボネート(PC)板1(幅:10mm、長さ:30mm、厚み:2mm)、切断加工した粘着テープ2(幅:10mm、長さ:3mm)、及びポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)3(商品名「ルミラー100S10」、パナック社製、幅:10mm、長さ:100mm)を用いて、
図1に示す評価用サンプルを作製した。なお、PC板とPETフィルムは粘着剤により、接合した。
前記評価用サンプルを23℃で24時間エージングして、さらに80℃で24時間エージングした。その後、デジタルマイクロスコープ(商品名「VH−500」(株)キーエンス社製)を用いて、ポリカーボネート板表面とPETフィルムと粘着剤層の界面との最大距離を測定し、エージング前の距離とエージング後の距離の差を最終的な「浮き距離」(μm)として評価した。
【0095】
なお、前記「浮き距離」が小さいほど、耐反発性が良好と評価でき、好ましくは、180μm以下であり、より好ましくは、150μm以下であり、更に好ましくは、120μm以下である。前記耐反発性が、180μmを超えると、電子機器部材などを長時間、一定して固定することができず、好ましくない。
【0096】
【表1】
【0097】
表1の評価結果より、実施例1〜7においては、所望の接着性、保持性、及び、耐反発性を有する両面粘着テープを得られることが確認でき、電子機器部材の固定用途に好適であることが確認できた
【0098】
一方、比較例1においては、粘着剤層のバイオマス度が非常に低く、地球環境にやさしい環境対応型の粘着剤を得られないことが確認され、また、アクリル系粘着剤に使用されるアクリル系ポリマーは、通常、ポリエステル系粘着剤に使用されるポリエステルと比較して、分子量が大きいため、凝集性が低くなり、これが影響して、耐反発性が劣る結果となったものと推測される。