(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような居眠り検出器では、脈波の計測中は、ハンドルに設けられたセンサ部をドライバが両手で握っている必要があるため、ドライバに煩わしさを感じさせる可能性がある。一方、脈波を用いて体調診断や健康管理などを行う種々のシステムにおいては、脈波計測器を手首、指、耳たぶ等に装着するタイプのものもあるが、装着の煩わしさがある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、脈波計測の煩わしさを軽減することに寄与する脈波計測機能を有するリモコン及び脈波計測機能を有する用具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る脈波計測機能を有するリモコンは、
長尺状に形成され、使用者が手で持つ持ち部が長手方向一端側に設けられ、操作対象を遠隔操作するための操作部が
長手方向他端側に設けられ、
前記持ち部と前記操作部との間の長手方向中間部に指挿入穴が形成されたリモコン本体と、前記
指挿入穴の周壁に取り付けられ、前記
持ち部を持つ手の指から脈波を計測する脈波センサと、を備え
、前記指挿入穴は、前記リモコン本体の表面で開口した開口部から奥側へ向かうほど前記持ち部から離れるように傾斜すると共に、前記リモコン本体を貫通している。
【0007】
請求項1に記載の脈波計測機能を有するリモコンでは、使用者は、リモコン本体の操作部によって操作対象を遠隔操作(リモコン操作)する際には、リモコン本体を手に持って使用することができる。この際には、リモコン本体に取り付けられた脈波センサによって、使用者の手の指から脈波を計測することができる。これにより、使用者は、リモコン操作を行いながら脈波計測を行うことができるので、脈波計測の煩わしさの軽減に寄与することができる。
【0009】
しかも、この脈波計測機能を有するリモコンでは、使用者がリモコン本体を持つ手の指をリモコン本体の指挿入穴に挿入すると、当該指挿入穴の周壁に取り付けられた脈波センサによって脈波が計測される。このように、指挿入穴の周壁に脈波センサが取り付けられるため、脈波センサを保護することができる。
また、この脈波計測機能を有するリモコンでは、リモコン本体に形成された指挿入穴が上記のように傾斜して形成されている。これにより、使用者が人差し指等を指挿入穴に挿入しながら持ち部を持つ際に、人差し指等の曲り角度が自然な角度になるようにすることができるので、使用者に違和感を与えないようにすることができる。
さらに、この脈波計測機能を有するリモコンでは、リモコン本体に形成された指挿入穴がリモコン本体を貫通しているため、当該指挿入穴の内部にゴミ等が溜まることを防止又は抑制できる。
【0010】
請求項
2に記載の発明に係る脈波計測機能を有するリモコンは、請求項
1において、前記リモコン本体には、前記指挿入穴内に挿入された指を前記脈波センサ側へ付勢する付勢部材が設けられている。
【0011】
請求項
2に記載の脈波計測機能を有するリモコンでは、リモコン本体に設けられた付勢部材が、指挿入穴に挿入された指を、当該指挿入穴の周壁に取り付けられた脈波センサ側へ付勢する。これにより、指が脈波センサに対して不用意に変位しないようにすることができるので、脈波の計測精度を良好にすることができる。
【0014】
請求項
3に記載の発明に係る脈波計測機能を有するリモコンは、請求項
1又は請求項2において
、前記指挿入穴は、前記リモコン本体の幅方向中央部に形成されている。
【0015】
請求項
3に記載の脈波計測機能を有するリモコンでは、長尺状に形成されたリモコン本体の幅方向中央部に指挿入穴が形成されているため、使用者がリモコン本体を右手及び左手のどちらで持つ場合でも、同じように指挿入穴に指を挿入することができる。
【0018】
請求項
4に記載の発明に係る脈波計測機能を有するリモコンは、請求項1〜請求項
3の何れか1項において、前記操作対象は、前記使用者が着座すると共に、前記脈波センサによって計測された脈波に基づいて前記使用者をマッサージ可能なマッサージシートである。
【0019】
請求項
4に記載の脈波計測機能を有するリモコンでは、マッサージシートに着座した使用者が、手に持ったリモコン本体の操作部によってマッサージシートを遠隔操作する。この際には、リモコン本体に取り付けられた脈波センサによって使用者の脈波が計測されるが、上記のマッサージシートは、計測された脈波に基づいて使用者をマッサージ可能とされている。これにより、使用者の疲労度などに応じて使用者を適切にマッサージすることが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明に係る脈波計測機能を有するリモコン及び脈波計測機能を有する用具では、脈波計測の煩わしさを軽減することに寄与する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1の実施形態>
以下、
図1〜
図10を用いて、本発明の第1実施形態に係る脈波計測機能を有するリモコン10(以下、単に「リモコン10」という)について説明する。
【0025】
図1〜
図5に示されるリモコン(リモートコントローラ)10は、
図6に示される車両用マッサージシート12を遠隔操作の操作対象としたものであり、リモコン本体としてのリモコンユニット14を備えている。なお、
図1〜
図5に適宜示される矢印L、矢印W及び矢印Tは、リモコンユニット14の長手方向、幅方向及び厚さ方向をそれぞれ示している。このリモコンユニット14には、車両用マッサージシート12に着座した乗員の脈波を計測するための脈波センサ16が取り付けられている。先ず、車両用マッサージシート12について説明する。
【0026】
(車両用マッサージシート12の構成)
車両用マッサージシート12は、使用者である乗員が着座するシートクッション18と、乗員の背凭れとなるシートバック20とを備えている。なお、本実施形態では、車両用マッサージシート12が、車両の後部座席とされているが、これに限らず、運転席や助手席等の前部座席とされた構成にしてもよい。
【0027】
この車両用マッサージシート12では、シートバック20及びシートクッション18のそれぞれに複数のエアバッグ24が設けられている。複数のエアバッグ24は、後述するエアバッグポンプユニット26によって膨張及び収縮されるようになっている。なお、本実施形態では、エアバッグ24がシートクッション18及びシートバック20のそれぞれに設けられているが、これに限らず、シートクッション18及びシートバック20の何れか一方のみに設ける構成にしてもよい。
【0028】
また、複数のエアバッグ24は、シートバック20及びシートクッション18における、乗員の静脈血管やリンパ管に対応する部分に設けられている。すなわち、エアバッグを膨張させることによって、静脈血管やリンパ管を圧迫するようになっている。なお、本実施形態では、エアバッグを用いて乗員(静脈血管やリンパ管)を圧迫する例を説明するが、乗員の圧迫はエアバッグに限るものではなく、例えば、カム機構などの機械的な構成を適用するようにしてもよいし、他の構成を適用するようにしてもよい。
【0029】
また、複数のエアバッグは、
図6では、乗員の静脈血管やリンパ管がある体側部分に対応する位置に設けられた例を示すが、他の位置に設けるようにしてもよい。例えば、シートクッション18では、足の大腿部の内側付近の静脈血管やリンパ管に対応する位置に設けるようにしてもよい。
【0030】
続いて、車両用マッサージシート12のエアバッグ24を駆動する制御系の構成について説明する。
図7は、車両用マッサージシート12及びリモコン10の制御系の構成を示すブロック図である。
【0031】
車両用マッサージシート12は、複数のエアバッグ24の駆動を制御するためのシート制御ECU(Electronic Control Unit)28を備えている。シート制御ECU28は、CPU28A、RAM28B、ROM28C、及びI/O28Dを含むマイクロコンピュータで構成されている。シート制御ECU28のROM28Cには、エアバッグ24の駆動制御を行うための情報や後述するマッサージ制御ルーチンを実行するためのプログラム等が記憶され、RAM28Bは、CPU28Aによって行われる各種演算等を行うメモリ等として使用される。
【0032】
I/O28Dには、各エアバッグ24を駆動するためのエアバッグポンプユニット26、及び各種情報を報知するための表示部34が接続されており、シート制御ECU28によってエアバッグポンプユニット26の駆動が制御されると共に、表示部34への表示が制御される。また、I/O28Dには、リモコン10のリモコンユニット14に設けられた送受信機30との間で無線通信を行うための無線通信機32が接続されている。このリモコン10については、後で詳述するが、脈波センサ16による脈波の計測結果が無線通信によってシート制御ECU28に入力されるようになっている。
【0033】
ここで、シート制御ECU28によるエアバッグポンプユニット26の駆動制御について説明する。エアバッグポンプユニット26の駆動制御は、ROM28Cに記憶されたプログラムを起動してマッサージ制御ルーチンを実行することによって行われる。
【0034】
まず、マッサージ制御ルーチンの実行を開始すると、脈波センサ16によって乗員の脈波が計測され、計測結果が送受信機30から無線通信機32に送信されると共にI/O28Dを介してシート制御ECU28に入力される。シート制御ECU28は、脈波センサ16によって計測された乗員の脈波に基づいて、乗員の疲労度を算出する。
【0035】
乗員の疲労度の算出は、例えば、秋田大学工学資源学部研究報告、第30号、2009年10月、研究報告「心拍変動によるVDT作業者のストレス・疲労の知恵量的検討」に記載の技術を用いて疲労度を定量的に算出することができる。
【0036】
すなわち、脈波センサ16の検出結果に基づいて、脈波の波形におけるピーク間隔(R−R間隔)変動の解析を行った後に、R−R間隔変動を等時間間隔データに変換するため所定の再サンプリング周波数でスプライン補間を行って統計解析を行うことにより、心拍数、及びR−R間隔変動係数を算出すると共に、周波数スペクトル解析(FFT)によりR−R間隔変動のパワースペクトル密度を解析して、低周波成分(LF)、高周波成分(HF)、及びLF/HFを算出する。そして、これらの指標から疲労度を定量的に算出することができる。
【0037】
或いは、脈波センサ16の計測結果から脈拍を求めて、脈拍変化などから定量的に疲労度を算出するようにしてもよい。例えば、脈拍の変化度合いに応じて予め疲労度を定めて、疲労度を算出するようにしてもよいし、他の方法を用いるようにしてもよい。
【0038】
シート制御ECU28は、乗員の疲労度を算出すると、算出結果を表示部34に表示するように制御して乗員の疲労度を報知する。例えば、緑ランプ、黄色ランプ、及び赤ランプ等を表示部34としてリヤセンターアームレスト36(
図6参照)等に設けて、疲労度に応じて予め定めたランプを点灯する等によって報知してもよいし、音や振動等によって報知するようにしてもよい。
【0039】
また、シート制御ECU28は、算出した疲労度が所定疲労度以上か否かを判定し、所定疲労度以上の場合には、エアバッグポンプユニット26を駆動してエアバッグ24の駆動を制御する。このとき、脈波センサ16によって検出した乗員の脈波に同期して、乗員の心臓から遠い抹消部のエアバッグ24から順に膨張するように、エアバッグポンプユニット26を制御する。
【0040】
具体的には、エアバッグA、エアバッグB、エアバッグC、エアバッグD、エアバッグEの順に心臓から遠く配置されているとすると、
図8に示すように、乗員の脈波センサの計測結果(脈波トリガ)に同期して、遠いエアバッグAから順に膨張するようにエアバッグポンプユニット26を制御する。これによって、脈波に同期して、乗員の心臓から遠い抹消部に位置するエアバッグ24から順に膨張して乗員を圧迫するので、血液の心臓への環流を促すことができる。血の廻りが良くなることで長時間運転での着座疲労や、局部的痺れを緩和することができる。
【0041】
また、シート制御ECU28は、脈波に同期してエアバッグポンプユニット26を制御する際に、脈波トリガ信号とエアバッグポンプユニット26の駆動信号に、予め定めた一定のタイムラグdを設定して、エアバッグポンプユニット26の駆動を制御する。なお、一定のタイムラグdは、
図9に示すように、脈波のピーク値(脈波トリガ信号)からのタイムラグであり、血流を阻害しない予め定めた時間(例えば、0.3〜0.4S程度)が設定されている。これによって、エアバッグ24を順に膨張させることにより、血流を阻害せずに、血液の心臓への環流を確実に促すことができる。
【0042】
続いて、上述のように構成された車両用マッサージシート12のシート制御ECU28で行われる具体的な処理の流れについて説明する。
図10は、シート制御ECU28のROM28Cに記憶されたプログラムを起動してマッサージ制御ルーチンを実行した場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、マッサージ制御ルーチンは、例えば、マッサージモードボタン等によって当該制御の実行が設定された状態でイグニッションスイッチがオンした場合に開始する。
【0043】
マッサージ制御ルーチンが開始されると、ステップ100では、脈波センサ16によって乗員の脈波の検出が行われ、検出結果が順次取得されてステップ102へ移行する。すなわち、リモコン10に設けられた脈波センサ16によって乗員の脈波が検出され、検出結果が無線通信によってシート制御ECU28に取り込まれる。
【0044】
ステップ102では、脈波に基づく疲労度算出処理が行われてステップ104へ移行する。疲労度の算出方法は、上述したように、例えば、脈波センサ16の検出結果に基づいて、脈波の波形におけるピーク間隔(R−R間隔)変動の解析を行った後に、R−R間隔変動を等時間間隔データに変換するため所定の再サンプリング周波数でスプライン補間を行って統計解析を行うことにより、各指標を算出することによって行うようにしてもよいし、脈拍の変化度合いに応じて予め疲労度を定めて、疲労度を算出するようにしてもよいし、他の方法を用いるようにしてもよい。
【0045】
ステップ104では、エアバッグポンプユニット26が既に作動中であるか否か判定される。該判定は、後述処理が既に行われてエアバッグポンプユニット26が駆動されているか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ106へ移行し、肯定された場合にはステップ110へ移行する。
【0046】
ステップ106では、算出した疲労度が所定疲労度以上か否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ108へ移行し、否定された場合にはステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。
【0047】
ステップ108では、脈波センサ16によって計測された乗員の脈波に同期して心臓から遠いエアバッグ24から順に膨張されてステップ110へ移行する。すなわち、
図8に示すように、乗員の脈波センサの計測結果(脈波トリガ)に同期して、遠いエアバッグAから順に膨張するようにエアバッグポンプユニット26を制御する。
図8の例では、エアバッグAから順にエアバッグEまでのエアバッグ24をそれぞれ脈波に同期して駆動するようにエアバッグポンプユニット26を制御する。これによって、脈波に同期して、乗員の心臓から遠い抹消部に位置するエアバッグ24から順に膨張して乗員を圧迫するので、血液の心臓への環流を促すことができる。血の廻りが良くなることで長時間運転での着座疲労や、局部的痺れを緩和することができる。
【0048】
ステップ110では、脈波センサ16によって乗員の脈波の計測が再び行われてステップ112へ移行する。すなわち、リモコン10の脈波センサ16によって計測された乗員の脈波が無線通信によってシート制御ECU28に取り込まれる。
【0049】
ステップ112では、ステップ102と同様に、脈波に基づく疲労度算出処理が行われてステップ114へ移行する。
【0050】
ステップ114では、算出した疲労度が所定疲労度未満になったか否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ116へ移行し、否定された場合にはステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。
【0051】
ステップ116では、エアバッグポンプユニット26の駆動が停止されてステップ118へ移行する。
【0052】
ステップ118では、システムオフが指示されたか否か判定される。該判定は、例えば、マッサージ制御ルーチンの設定の解除等が指示されたか否かを判定したり、イグニッションスイッチがオフされたか否か等を判定し、該判定が否定された場合にはステップ100に戻って上述の処理が繰り返され、肯定された場合には一連のマッサージ制御ルーチンの処理を終了する。
【0053】
なお、エアバッグポンプユニット26の駆動は、同期する脈波に対して倍拍、1/2拍など乗員のボタン操作等によって選択可能としてもよい。
【0054】
(リモコン10の構成)
次に、
図1〜
図5及び
図7を用いて、リモコン10について説明する。リモコン10は、前述したように、リモコンユニット14と脈波センサ16とを備えている。リモコンユニット14は、長尺な箱状に形成されたケース38を有している。このケース38は、例えば樹脂材料によって別々に成形されたケース上部40とケース下部42とがビス止め等の手段によって結合されることにより形成されている。このケース38の長手方向両端部は、ケース38の厚さ方向(リモコンユニット14の厚さ方向)から見て円弧状に湾曲している。
【0055】
リモコンユニット14の長手方向一側には、乗員がリモコンユニット14を手に持つ(手で握る)ための持ち部(握り部)14Aが設定されており、乗員は、
図2に示されるように、リモコンユニット14を手Hに持って使用可能とされている。この持ち部14Aにおいてケース38の左側面38L及び右側面38Rには、滑り止め用の複数の突条46が形成されている。これらの突条46は、リモコンユニット14の厚さ方向に延びており、リモコンユニット14の長手方向に等間隔に並んでいる。
【0056】
一方、リモコンユニット14の長手方向他側には、車両用マッサージシート12を遠隔操作(リモコン操作)するための操作部14Bが設けられている。この操作部14Bには、
図4に示されるように制御回路47の基板48が配設されている。この基板48は、ケース38内に配置されており、ビス止め等の手段によってケース上部40に固定されている。この基板48には、前述した送受信機30(
図7参照)を構成する回路が設定されている。また、この基板48には、メインスイッチ50(
図1及び
図2参照)、エンコーダ52(
図4参照)、及びLEDディスプレイ54(
図1〜
図4参照)が実装されており、ケース38内に収容された図示しない電池から電力が供給される構成になっている。
【0057】
送受信機30は、前述したように、車両用マッサージシート12側に設けられた無線通信機32との間で無線通信を行うように構成されている。メインスイッチ50は、リモコン10及び車両用マッサージシート12のシステム電源をON/OFFするためのスイッチであり、ケース38の左側面38Lにおいて操作可能とされている。エンコーダ52は、プッシュスイッチ付きのロータリエンコーダであり、ケース38の表面38Fから突出した入力軸52Aを備えている。この入力軸52Aには、エンコーダノブ56が取り付けられている。LEDディスプレイ54は、エンコーダ52よりもケース38の長手方向他端側(持ち部14Aとは反対側)に配置されており、ケース38の表面38Fに設けられた表示部に2桁の数字を表示する。
【0058】
このリモコンユニット14の操作部14Bでは、エンコーダノブ56を回転させることにより、車両用マッサージシート12における各種マッサージモードの切り替え、及びマッサージの強弱レベルの切り替えを行う。そして、エンコーダノブ56を押してエンコーダ52のプッシュスイッチを操作することにより、選択したマッサージモード及び強弱レベルを確定する。選択されたマッサージモード及び強弱レベルはLEDディスプレイ54に2桁の数字により表示される。
【0059】
さらに、このリモコンユニット14では、持ち部14Aと操作部14Bとの間(持ち部14Aの一端側)でケース38の長手方向中間部には、指挿入穴58が形成されている。この指挿入穴58は、ケース38の幅方向中央部に形成されている。この指挿入穴58は、ケース38を厚さ方向に貫通しており、ケース38の表面38F及び裏面38Bで開口している。この指挿入穴58は、ケース38の表面38Fで開口した開口部から奥側(裏面38B側)へ向かうほど持ち部14Aから離れるように傾斜している。
【0060】
この指挿入穴58は、リモコンユニット14の持ち部14Aを乗員が手Hで持つ際に、当該手Hの人差し指F2又は中指F3が自然に挿入されるように位置や傾斜角度が設定されている。例えば、
図2に示されるように、親指F1と、中指F3、薬指F4及び小指F5との間で持ち部14Aが握られた場合に、人差し指F2が自然に延びる方向へ向けて指挿入穴58が穿設されている。また例えば、図示は省略するが、親指F1及び人差し指F2と、薬指F4及び小指F5との間で持ち部14Aが握られた場合に、中指F3が自然に延びる方向へ向けて指挿入穴58が穿設されている。
【0061】
この指挿入穴58の周壁60は、
図4に示されるように、ケース上部40に設けられた壁部とケース下部42に設けられた壁部とが組み合わされることにより傾斜円筒状に形成されている。この周壁60における持ち部14A側の部分は、表面38F側を向くように傾斜しており、当該部分には、センサ基板62が取り付けられている。このセンサ基板62は、ビス止め等の手段によってケース上部40に固定されたセンサ押さえ部材64によって周壁60に外側に固定されている。
【0062】
このセンサ基板62には、脈波センサ16が実装されている。この脈波センサ16は、周壁60に形成された開口を介して指挿入穴58の内側に露出している。この脈波センサ16は、持ち部14Aを持つ手Hの人差し指F2又は中指F3が指挿入穴58に挿入された際に、当該人差し指F2又は中指F3の指掌と対向する位置に設けられている。この脈波センサ16は、LEDとフォトダイオードとを備えており、指掌の皮膚表面に向けてLEDから赤外光を照射し、毛細血管内の血流変化によって変化する反射光の変動をフォトダイオードで捉えることで指尖脈波を計測する。この脈波センサ16が実装されたセンサ基板62は、図示しない配線を介して基板48に接続されており、脈波センサ16によって計測された脈波信号は、基板48の制御回路47に設けられた信号処理回路で処理されると共に、送受信機30によって無線通信機32へと送信される。
【0063】
さらに、指挿入穴58内において、脈波センサ16と反対側には、付勢部材を構成する指押さえ板68及び板バネ70が設けられている。指押さえ板68は、例えば樹脂材料によって略板状に形成されており、板バネ70は、長尺帯状に形成されると共に略コの字状(略U字状)に曲げられている。この板バネ70は、長手方向一端部がケース38の表面38F側でケース38に固定される一方、自由端とされた長手方向他端部がケース38の裏面38B側で指挿入穴58の周壁60に当接している。
【0064】
指押さえ板68は、板バネ70の長手方向中間部に固定されており、指挿入穴58に人差し指F2又は中指F3が挿入されることにより、
図4に実線で示される位置から二点鎖線で示される位置側へと板バネ70を弾性変形させつつ移動される。それにより、人差し指F2又は中指F3が、板バネ70の付勢力によって周壁60の脈波センサ16側に押し付けられるようになっている。
【0065】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0066】
本実施形態では、車両用マッサージシート12に着座した乗員が、リモコンユニット14の操作部14Bによって車両用マッサージシート12をリモコン操作する際には、リモコンユニット14を手Hに持って使用することができる。この際には、リモコンユニット14に取り付けられた脈波センサ16によって、乗員の手Hの人差し指等から指尖脈波を計測することができる。これにより、乗員は、リモコン操作を行いながら自然な状態で脈波計測を行うことができるので、脈波計測の煩わしさの軽減に寄与することができる。
【0067】
なお、脈波(圧力)センサを車両用シートの座面に配設し、着座した乗員の脈波を計測するシステムもあるが、脈波センサが受ける圧力変動が極小のため、脈波情報の正確な収集が難しいと共に、車両の振動による影響を受けやすい。この点、本実施形態では、リモコンユニット14を持つ手Hの指掌から脈波を計測(検出)するため、車両の振動による影響を受け難く、脈波情報の正確な収集が可能になる。また、本実施形態では、背景技術の欄で説明した居眠り検出器のように脈波センサがハンドルに設けられているわけではないため、運転者以外の乗員の脈波を計測することが可能であり、脈波の計測対象を拡大することができる。
【0068】
さらに、本実施形態では、乗員がリモコンユニット14を持つ手Hの人差し指等をリモコンユニット14の指挿入穴58に挿入すると、当該指挿入穴58の周壁60に取り付けられた脈波センサ16によって脈波が計測される。このように、指挿入穴58の周壁60に脈波センサ16が取り付けられるため、脈波センサ16を保護することができる。
【0069】
また、本実施形態では、リモコンユニット14には、指押さえ板68及び板バネ70が設けられており、指挿入穴58に挿入された指が脈波センサ16側へ押し付けられる。これにより、指が脈波センサ16に対して不用意に変位しないようにすることができるので、脈波の計測精度を良好にすることができる。
【0070】
また、本実施形態では、リモコンユニット14には、乗員が手Hで持つ持ち部14Aが設定されており、指挿入穴58は、持ち部14Aの一端側に形成されると共に、奥側(ケース38の裏面38B側)へ向かうほど持ち部14Aから離れるように傾斜している。これにより、乗員が人差し指F2等を指挿入穴58に差し入れながら持ち部14Aを持つ際に、人差し指F2などの曲り角度が自然な角度になるようにすることができるので、乗員に違和感を与えないようにすることができる。しかも、乗員が手Hで持ち部14Aを握ることにより、人差し指F2等の指掌が周壁60における脈波センサ16側の部分に押し付けられるので、人差し指F2等の指掌と脈波センサ16との位置関係を安定させることができる。それにより、脈波の計測精度を一層良好にすることができる。
【0071】
また、本実施形態では、長尺状に形成されたリモコンユニット14の幅方向中央部に指挿入穴58が形成されているため、乗員がリモコンユニット14を右手H及び左手Hのどちらで持つ場合でも、同様に指挿入穴58に指を差し入れることができる。
【0072】
さらに、本実施形態では、リモコンユニット14に形成された指挿入穴58がリモコンユニット14を貫通しているため、当該指挿入穴58の内部にゴミ等が溜まることを防止又は抑制できる。
【0073】
また、本実施形態では、リモコン10の操作対象が車両用マッサージシート12とされており、脈波センサ16によって計測された脈波に基づいて車両用マッサージシート12が乗員をマッサージ可能とされている。これにより、乗員の疲労度などに応じて乗員を適切にマッサージすることが可能になる。
【0074】
なお、上記第1実施形態では、車両用マッサージシート12がリモコンユニット14(リモコン本体)の操作対象とされた構成にしたが、本発明はこれに限らず、車両に設置される様々な脈波(脈拍)管理システムや装置類をリモコン本体の操作対象とすることができる。また、車両以外で用いられる脈波(心拍)と同期したマッサージシステムをリモコン本体の操作対象としてもよい。
以下の第2〜第4の実施形態は、参考例とする。
【0075】
<第2の実施形態>
図11には、本発明の第2実施形態に係る脈波計測機能を有する用具としてのスマートフォン72が裏面側から見た斜視図にて示されている。このスマートフォン72は、用具本体としてのスマートフォン本体74と、該スマートフォン本体74に取り付けられた脈波センサ78とによって構成されている。スマートフォン本体74には、使用者が手に持って使用する複数の用途(携帯電話、デジタルカメラ、インターネットの閲覧など)が設定されている。脈波センサ78は、スマートフォン本体74におけるディスプレイ76とは反対側の裏面に取り付けられており、スマートフォン本体74を持つ(握る)使用者の手の指から脈波を計測する。これにより、使用者は、スマートフォン本体74を手に持って使用しながら脈波計測を行うことができるので、脈波計測の煩わしさの軽減に寄与することができる。
【0076】
<第3の実施形態>
図12には、本発明の第3実施形態に係る脈波計測機能を有する用具としてのゴルフクラブ80が斜視図にて示されている。このゴルフクラブ80は、用具本体としてのクラブ本体82と、該クラブ本体82に取り付けられた脈波センサ84とによって構成されている。クラブ本体82には、使用者が手に持って使用するゴルフクラブとしての用途が設定されている。脈波センサ84は、クラブ本体82のグリップ82Aに取り付けられており、グリップ82Aを持つ(握る)使用者の手の指から脈波を計測する。これにより、使用者は、クラブ本体82を手に持って使用しながら脈波計測を行うことができるので、脈波計測の煩わしさの軽減に寄与することができる。
【0077】
<第4の実施形態>
図13には、本発明の第4実施形態に係る脈波計測機能を有する用具としてのアタッシュケース86が斜視図にて示されている。このアタッシュケース86は、用具本体としてのケース本体88と、該ケース本体88に取り付けられた脈波センサ90とによって構成されている。ケース本体88には、使用者が手に持って使用する鞄としての用途が設定されている。脈波センサ90は、ケース本体88の取っ手88Aに取り付けられており、取っ手88Aを持つ(握る)使用者の手の指から脈波を計測する。これにより、使用者は、ケース本体88を手に持って使用しながら脈波計測を行うことができるので、脈波計測の煩わしさの軽減に寄与することができる。
【0078】
なお、前記第2〜第4実施形態では、脈波計測機能を有する用具の例としてスマートフォン72、ゴルフクラブ80及びアタッシュケース86を挙げたが、本発明の脈波計測機能を有する用具はこれらに限らず、脈波計測器が取り付けられる用具本体を使用者が手に持って(握って)使用するものであれば適用可能である。