(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発泡性粒子が、発泡剤を含浸させた樹脂粒子であり、前記樹脂粒子が、スチレン、α−メチルスチレン及び架橋剤を含む単量体混合物に由来する請求項4に記載のポリスチレン系発泡成形体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(ポリスチレン系発泡成形体)
本発明のポリスチレン系発泡成形体(以下、単に発泡成形体とも称する)は、スチレン系樹脂を基材樹脂とする融着した複数の発泡粒子(以下、融着発泡粒子とも称する)から構成される。
融着発泡粒子は、特定の範囲の表面と全体のZ平均分子量(Mz)、平均気泡径及び隣接する融着発泡粒子同士の複数の最外壁から構成される粒界壁の厚さを有する。
【0014】
(1)Z平均分子量
融着発泡粒子は、表面のMzが115万〜250万であり、全体のMzが85万〜110万であるスチレン系樹脂から構成される。
表面のMzが115万未満の場合、成形体強度が低下することがある。表面のMzが250万より大きい場合、成形性が低下することがある。表面のMzは120万〜230万が好ましく、150万〜230万がより好ましい。
全体のMzが85万未満の場合、成形体強度が低下することがある。全体のMzが110万より大きい場合、発泡性が低下し、軽量性に劣ることがある。全体のMzは90万〜110万が好ましく、95万〜110万がより好ましい。
全体のMzと表面のMzとの比は、1:1.03〜2.90であることが好ましい。
【0015】
なお、以下の実施例の欄で詳説するが、融着発泡粒子の表面のMzは、発泡成形体の表面から測定されたMzに代えている。発泡成形体の表面は、融着発泡粒子の表面の集合体からなるため、測定されたMzは、融着発泡粒子の表面のMzにほぼ対応する。測定された発泡成形体の表面のMzは、融着発泡粒子の表面から半径の約30%未満の領域に対応する。一方、融着発泡粒子の全体のMzは、発泡成形体から切り出した任意の直方体試料から測定されたMzに代えている。方形試料は融着発泡粒子の集合体であるので、測定されたMzは、融着粒子全体のMzにほぼ対応する。
【0016】
(2)平均気泡径
融着発泡粒子を構成する気泡の平均径(平均気泡径)は、150〜300μmである。平均気泡径が150μm未満の場合、断熱性が低下することがある。平均気泡径が300μmより大きい場合、成形体強度が低下することがある。平均気泡径は180〜280μmが好ましく、200〜280μmがより好ましい。
【0017】
(3)粒界壁の厚さ
粒界壁は、隣接する融着発泡粒子同士の粒界を区画する複数の最外壁から構成される。粒界壁の厚さは2.0〜10.0μmである。粒径壁の厚さが2.0μm未満の場合、成形品強度が低下することがある。粒径壁の厚さが10.0μmより大きい場合、成形性が低下することがある。粒径壁の厚さは2.0〜9.0μmが好ましく、3.0〜9.0μmがより好ましい。
粒界壁の厚さは、平均気泡径と特定の関係を有していることが好ましい。具体的には、粒界壁の厚さと平均気泡径との比が、1:15〜150であることが好ましい。平均気泡径の比が15未満の場合、断熱性が低下することがある。平均気泡径の比が150より大きい場合、成形体強度が低下することがある。粒界壁の厚さと平均気泡径との比は1:15〜140がより好ましく、1:20〜140が更に好ましい。
【0018】
(4)基材樹脂
発泡成形体を構成する基材樹脂は、スチレン系樹脂である。スチレン系樹脂は、上記Mz、平均気泡径及び粒界壁の厚さの範囲を達成するために妨げとならない樹脂であれば特に限定されない。スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体、もしくは、これらの単量体の混合物に由来する樹脂が挙げられる。スチレン系樹脂は、耐熱性及び断熱性を更に向上させる観点から、スチレンとα−メチルスチレンとの混合物に由来する樹脂であることが好ましい。
スチレン系樹脂には、架橋剤に由来する成分が含まれていてもよい。架橋剤に由来する成分を融着発泡粒子の表面に存在させれば、表面のMzを大きくすることができる。
【0019】
架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ビス(ビニルフェニル)メタン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ビス(ビニルフェニル)プロパン、ビス(ビニルフェニル)ブタン、ジビニルナフタレン、ジビニルアントラセン、ジビニルビフェニル等の多官能のベンゼン環に直接ビニル基が結合した化合物、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0020】
スチレン系樹脂は、本発明の特性を阻害しない範囲の量で他の単量体と、上記スチレン系単量体との共重合体であってもよい。他の単量体としては例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸セチル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート等のアルキルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレート等のアルキルフマレート、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
【0021】
更に、基材樹脂には本発明の特徴である発泡成形体の耐熱性、断熱性を損なわない範囲で他の樹脂が含まれていてもよい。他の樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三次元共重合体等のジエン系のゴム状重合体を添加したゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリメタクリル酸メチル等、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これら他の樹脂が占める割合は、基材樹脂全量に対して、10質量%以下であることが好ましい。
【0022】
(5)その他の添加剤
基材樹脂には必要に応じて、樹脂以外に他の添加剤が含まれていてもよい。他の添加剤としては、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、展着剤、気泡調整剤、充填剤、着色剤、耐候剤、老化防止剤、滑剤、防曇剤、香料等が挙げられる。
可塑剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素等、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート等のグリセリン脂肪酸エステル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソブチル等のフタル酸エステル、流動パラフィン、ホワイトオイル等の高沸点化合物が挙げられる。
【0023】
難燃剤としてはテトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリスジブロモプロピルホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)等が挙げられる。
難燃助剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドの有機過酸化物が挙げられる。
帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセリド、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、グリセリン、シリコンオイル等が挙げられる。
【0024】
気泡調整剤としては、タルク、マイカ、シリカ、珪藻土、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、ガラスビーズ、ポリテトラフルオロエチレン、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等のビスアミド化合物、ステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のアミド化合物、ステアリン酸トリグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等の脂肪酸グリセライド等が挙げられる。
滑剤としてはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等のビスアミド化合物、ステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のアミド化合物、ステアリン酸トリグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等の脂肪酸グリセライド、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、ホワイトオイル等が挙げられる。
【0025】
(6)発泡成形体、用途例
発泡成形体の密度は、0.01〜0.40g/cm
3の範囲であることが好ましい。発泡成形体の密度が0.40cm
3より大きい場合、発泡成形体の軽量性が低下することがある。一方、密度が0.01g/cm
3より小さい場合、発泡成形体に収縮が発生して外観性が低下することがある。加えて発泡成形体の耐熱性及び断熱性が低下することがある。
発泡成形体は、耐熱性及び断熱性の要求される各種用途に使用できる。例えば、温水タンク用保温材、配管用保温材、屋根用断熱材、自動車用断熱材、ソーラーシステム用保温材、給湯器保温材、食品や工業製品等の容器、魚や農産物等の梱包材、床断熱用の断熱材、盛土材、畳の芯材等に使用できる。発泡成形体は、これら使用用途に応じた形状をとり得る。
【0026】
本発明で得られる発泡体は特に、温水タンク用保温材に使用することが好ましい。例えば、燃料電池やヒートポンプユニットと、温水タンクとを組み合わせた、温水供給システムが、近年の省エネルギー化の観点から提供されている。燃料電池やヒートポンプユニットは、その構成上、高温水が発生するため、発生した高温水を貯えることで、食器の洗浄や風呂用の温水として所望時に使用できる。
上記貯湯タンクでは、貯められた高温水の温度の低下を抑制するために、貯湯部の周りを断熱材で覆っている。本発明の発泡成形体は、高い断熱性及び、高温水に長期間接しても寸法が変化しない耐熱性を有しているため、この断熱材に有用に使用できる。
【0027】
本発明の発泡成形体を温水タンクに使用した場合の一例を
図1に示す。
図1中、1は温水タンク、2は断熱材、3は貯湯部、4は高温水注入ライン、5は低温水排出ライン、6は水道栓、7は蓄電池、8は熱交換ユニット、9は給水弁を意味する。燃料電池やヒートポンプユニットで得られた高温水は、高温水注入ライン4から貯湯部3に注入される。貯湯部3中の温水の温度が低下すると、低温水排出ライン5から燃料電池やヒートポンプユニットに温水が送られ、その中で温度を高めた後、高温水注入ライン4を経由して、貯湯部3中に温水が注入される。また、貯湯部3の温水の量が減った場合、水道栓6から水が熱交換ユニット8に送られる。熱交換ユニット8は、蓄電池7の発熱を受け取って、水を温めることができるように設置されている。温まった水は、給水弁9を介して貯湯部3に注入される。
【0028】
(発泡成形体の製造方法)
発泡成形体の製造方法は、上記Mz、平均気泡径及び粒界壁の厚さの範囲を達成しうる方法であれば、特に限定されない。その一方法として、
(i)発泡性粒子と脂肪酸グリセライドとを混合することにより、脂肪酸グリセライドで被覆された発泡性粒子を得る工程(発泡性粒子被覆工程)と、
(ii)脂肪酸グリセライドで被覆された発泡性粒子を予備発泡させて予備発泡粒子を得る工程(予備発泡工程)と、
(iii)予備発泡粒子を発泡成形することにより発泡成形体を得る工程(発泡成形工程)と
を備えた発泡成形体の製造方法が挙げられる。この方法では、上記Mz、平均気泡径及び粒界壁の厚さの範囲の発泡成形体を得るために、発泡性粒子は、GPC測定において、表面のMzが115万〜250万であり、全体のMzが85万〜110万である粒子を使用し、脂肪酸グリセライドは、炭素数5〜20の脂肪酸のグリセライドが使用される。
【0029】
発泡性粒子が上記Mzを有することで、発泡成形体のMzを上記範囲にすることができる。ここで、発泡性粒子の表面のMzは、発泡性粒子自体から測定することが困難であるため、発泡性粒子に由来する発泡成形体の表面のMzに代えている。代替可能である理論は、上記融着発泡粒子の表面のMzを測定する理論と同様である。発泡性粒子が上記Mzの範囲を有することが望ましい理由は、融着発泡粒子のMzの範囲を規定した理由と同一である。
発明者は、脂肪酸グリセライドが、予備発泡時に予備発泡粒子の表面に位置する気泡を破ることで、発泡成形時の予備発泡粒子同士の融着を促進し、その結果として、成形時間を短縮することが可能になったと考えている。脂肪酸グリセライドは、発泡性粒子の一部を被覆していてもよく、全面を被覆していてもよい。
脂肪酸グリセライド中の脂肪酸の炭素数が5未満の場合、断熱性が低下しやすくなることがある。炭素数が20より大きい場合、成形サイクルの短縮効果が低くなることがある。
【0030】
脂肪酸グリセライドは、脂肪酸のモノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライドの単独、又は混合物を使用できる。この内、より耐熱性及び断熱性を向上させる観点から、脂肪酸トリグリセライドが好ましい。
具体的な脂肪酸トリグリセライドとしては、吉草酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のトリグリセライドが挙げられる。この内、ステアリン酸トリグリセライドが好ましい。
脂肪酸グリセライドの混合量は、発泡性粒子100質量部に対して0.05〜0.5質量部である。混合量が0.05質量部より少ない場合、成形サイクル短縮の効果が低くなることがある。混合量が0.5質量部より多い場合、成形体強度が低下することがある。混合量は0.05〜0.40質量部であることが好ましく、0.05〜0.30質量部であることがより好ましい。
【0031】
(1)発泡性粒子被覆工程
脂肪酸グリセライドでの発泡性粒子の被覆方法は、被覆できさえすれば、特に限定されず、例えば、公知の混合機内で、脂肪酸グリセライドと発泡性粒子とを撹拌する方法が挙げられる。この撹拌は、上記展着剤や滑剤の存在下で行ってもよい。
【0032】
(2)予備発泡工程
予備発泡粒子は、水蒸気等を用いて所望の嵩密度に発泡性粒子を発泡させることで得られる。
予備発泡粒子の嵩密度は、0.01〜0.40g/cm
3の範囲であることが好ましい。予備発泡粒子の嵩密度が0.40g/cm
3より大きい場合、発泡成形体の軽量性が低下することがある。一方、嵩密度が0.01g/cm
3より小さい場合、次に得られる発泡成形体に収縮が発生して外観性が低下することがある。加えて発泡成形体の断熱性能及び機械的強度が低下することがある。
予備発泡粒子は、続く発泡成形工程前に、例えば常圧で、熟成させてもよい。予備発泡粒子の熟成温度は、20〜60℃が好ましい。熟成温度が低いと、予備発泡粒子の熟成時間が長くなることがある。一方、高いと、予備発泡粒子中の発泡剤が散逸して成形性が低下することがある。
【0033】
(3)発泡成形工程
発泡成形体は、例えば、予備発泡粒子を多数の小孔を有する閉鎖金型内に充填し、熱媒体(例えば、加圧水蒸気等)で加熱発泡させ、予備発泡粒子間の空隙を埋めると共に、予備発泡粒子を相互に融着させることにより一体化させることで、発泡成形体を製造できる。その際、発泡成形体の密度は、例えば、金型内への予備発泡粒子の充填量を調整する等して調整できる。
【0034】
加熱発泡は、例えば、110〜150℃の熱媒体で5〜50秒加熱することにより行うことができる。この条件であれば、予備発泡粒子相互の良好な融着性を確保できる。より好ましくは、加熱発泡成形は、成形蒸気圧(ゲージ圧)0.06〜0.08MPa、90〜120℃の熱媒体(例えば、水蒸気)で、10〜50秒加熱することにより行うことができる。
【0035】
(4)その他
発泡性粒子は、上記表面と全体のMzの粒子を提供できさえすれば、特に限定されない。例えば、以下の方法により得ることができる。
発泡性粒子は、スチレン系樹脂からなる種粒子に、スチレン系単量体と任意に他の単量体とを含む単量体混合物を吸収させ、重合させることで樹脂粒子を得、樹脂粒子に発泡剤を含浸させることで得ることができる。
【0036】
(a)種粒子
種粒子は公知の方法で製造されたものを用いることができ、例えば、(i)スチレン系樹脂を押出機で溶融混練した後にストランド状に押出し、ストランドをカットすることにより種粒子を得る押出方法、(ii)水性媒体、スチレン系単量体及び重合開始剤をオートクレーブ内に供給し、オートクレーブ内において加熱、攪拌しながらスチレン系単量体を懸濁重合させて種粒子を製造する懸濁重合法、(iii)水性媒体及びスチレン系樹脂粒子をオートクレーブ内に供給し、スチレン系樹脂粒子を水性媒体中に分散させた後、オートクレーブ内を加熱、攪拌しながらスチレン系単量体を連続的にあるいは断続的に供給して、スチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を吸収させつつ重合開始剤の存在下にて重合させて種粒子を製造するシード重合法等が挙げられる。また、種粒子は一部、又は全部に樹脂回収品を用いることができる。回収品を使用する場合は、押出方法による種粒子の製造が向いている。
【0037】
種粒子の平均粒子径は、樹脂粒子の平均粒子径に応じて適宜調整できる。更に種粒子の重量平均分子量は特に限定されないが10万〜50万が好ましく、更に好ましくは15万〜40万である。
【0038】
(b)重合工程
種粒子を水性媒体中に分散させてなる分散液中に、単量体混合物を供給することで各単量体を種粒子に吸収させ、次いで各単量体を重合させることでスチレン系樹脂粒子を得ることができる。
水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、アルコール)との混合媒体が挙げられる。
【0039】
使用する各単量体には、重合開始剤を含ませてもよい。重合開始剤としては、従来から単量体の重合に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。これら開始剤の内、残存単量体を低減させるために、10時間の半減期を得るための分解温度が80〜120℃にある異なった二種以上の重合開始剤を併用してもよい。なお、重合開始剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0040】
水性媒体中には単量体の小滴及び種粒子の分散を安定させるために懸濁安定剤が含まれていてもよい。懸濁安定剤としては、従来から単量体の懸濁重合に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ハイドロキシアパタイト等の難溶性無機化合物等が挙げられる。そして、前記懸濁安定剤として難溶性無機化合物を用いる場合には、アニオン界面活性剤を併用するのが好ましく、このようなアニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸又はその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0041】
重合工程は使用する単量体種、重合開始剤種、重合雰囲気等により異なるが、通常70〜130℃の加熱を3〜10時間維持することにより行われる。重合工程は、単量体を含浸させつつ行ってもよい。重合工程は、使用する単量体全量を1段階で重合させてもよく、2段階以上に分けて重合させてもよい(種粒子の製造時の重合を含む)。
上記表面と全体のMzを有する発泡性粒子を得るために、単量体混合物に含まれる単量体種を変えて3段階で重合を行うことが好ましい。3段階の重合とは、例えば、種粒子の製造時の重合、スチレンとα−メチルスチレンとジビニルベンゼンの重合、スチレンとα−メチルスチレンの重合が挙げられる。この重合の例では、2段目の重合で得られたジビニルベンゼン由来の架橋体が、3段目のスチレンとα−メチルスチレンの粒子への吸収時に粒子の外側に移動することにより、発泡性粒子の表面のMzを全体のMzより大きくすることができる。
スチレン系樹脂粒子の製造に使用されるα−メチルスチレン及び架橋剤は、スチレン100質量部に対して、1〜10質量部及び0.03〜0.1質量部であることが好ましい。なお、単量体の使用量とその単量体に由来する粒子中の樹脂の含有量とはほぼ一致している。
【0042】
(c)発泡剤含浸工程
発泡性粒子は、上記スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させることで得ることができる。
発泡剤としては特に限定されず、公知のものをいずれも使用できる。特に、沸点がスチレン系樹脂の軟化点以下であり、常圧でガス状又は液状の有機化合物が適している。例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン、n−ヘキサン、石油エーテル等の炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン含有炭化水素、炭酸ガス、窒素、アンモニア等の無機ガス等が挙げられる。これらの発泡剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。この内、炭化水素を使用するのが、オゾン層の破壊を防止する観点、及び空気と速く置換し、発泡成形体の経時変化を抑制する観点で好ましい。炭化水素の内、沸点が−45〜40℃の炭化水素がより好ましく、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン等が更に好ましい。
【0043】
含浸は、重合と同時に湿式で行ってもよく、重合後に湿式又は乾式で行ってもよい。湿式で行う場合は、上記重合工程で例示した、懸濁安定剤及び界面活性剤の存在下で行ってもよい。発泡剤の含浸温度は、60〜120℃が好ましい。60℃より低いと、樹脂粒子に発泡剤を含浸させるのに要する時間が長くなって生産効率が低下することがある。また、120℃より高いと、樹脂粒子同士が融着して結合粒が発生することがある。より好ましい含浸温度は70〜110℃である。発泡助剤を発泡剤と併用してもよい。発泡助剤としてはアジピン酸イソブチル、トルエン、シクロヘキサン、エチルベンゼン等が挙げられる。
【0044】
発泡剤の含有量は2〜12質量%の範囲であることが好ましい。2質量%より少ないと、発泡性粒子から所望の密度の発泡成形体を得られないことがある。加えて、型内発泡成形時の二次発泡力を高める効果が小さくなるために、発泡成形体の外観が良好とならないことがある。12質量%より多いと、発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなって生産性が低下することがある。より好ましい発泡剤の含有量は、3〜10質量%である。
【実施例】
【0045】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<Z平均分子量>
Z平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したポリスチレン(PS)換算平均分子量を意味する。具体的には、試料3mgをテトラヒドロフラン(THF)10mLにて72時間静置して溶解させ(完全溶解)、得られた溶液を倉敷紡績社製の非水系0.45μmのクロマトディスク(13N)で濾過して測定する。予め測定し作成しておいた標準ポリスチレンの検量線から試料の平均分子量を求める。またクロマトグラフの条件は下記の通りとする。
【0046】
(測定条件)
使用装置:高速GPC装置:東ソー社製 HLC−8320GPC EcoSECシステム(RI検出器内蔵)
ガードカラム:東ソー社製 TSKguardcolumn SuperHZ−H(4.6mmID×2cmL)×1本
カラム:東ソー社製 TSKgel SuperHZM−H(4.6mmI.D×15cmL)×2本
カラム温度:40℃
システム温度:40℃
移動相:テトラヒドロフラン
移動相流量:試料側 0.175mL/分、リファレンス側 0.175mL/分
検出器:RI検出器
試料濃度:0.3g/L
注入量:50μL
測定時間:0−25分
ランタイム:25分
サンプリングピッチ:200msec
【0047】
(検量線の作成)
検量線用標準ポリスチレン試料としては、東ソー社製 商品名「TSK standard POLYSTYRENE」の重量平均分子量が、5,480,000、3,840,000、355,000、102,000、37,900、9,100、2,630、500のものと、昭和電工社製商品名「Shodex STANDARD」の重量平均分子量が1,030,000である標準ポリスチレン試料を用いる。
【0048】
検量線の作成方法は以下の通りである。上記検量線用標準ポリスチレン試料をグループA(重量平均分子量が1,030,000のもの)、グループB(重量平均分子量が3,840,000、102,000、9,100、500)及びグループC(重量平均分子量が5,480,000、355,000、37,900、2,630)にグループ分けする。グループAを5mg秤量した後にテトラヒドロフラン20mLに溶解し、グループBも各々5mg〜10mg秤量した後にテトラヒドロフラン50mLに溶解し、グループCも各々1mg〜5mg秤量した後にテトラヒドロフラン40mLに溶解した。標準ポリスチレン検量線は作成したA、B及びC溶液を50μLを注入して測定後に得られた保持時間から較正曲線(三次式)をHLC−8320GPC専用データ解析プログラムGPCワークステーション(EcoSEC−WS)にて作成することにより得られ、その検量線を用いて測定する。
【0049】
<予備発泡粒子の嵩密度>
予備発泡粒子の嵩密度は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定する。具体的は、まず、予備発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させる。メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積Vcm
3をJIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定する。Wg及びVcm
3を下記式に代入することで、予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
予備発泡粒子の嵩密度(g/cm
3)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
【0050】
<発泡成形体の密度>
発泡成形体(成形後、40℃で20時間以上乾燥させたもの)から切り出した試験片(例75×300×30mm)の質量(a)と体積(b)をそれぞれ有効数字3桁以上になるように測定し、式(a)/(b)により発泡成形体の密度(g/cm
3)を求める。
【0051】
<成形>
内寸300mm×400mm×30mmの直方体形状のキャビティを有する成形型を備えた発泡ビーズ自動成形機(積水工機製作所社製 商品名「ACE−3SP」)のキャビティ内に予備発泡粒子を充填し、ゲージ圧0.10MPaの水蒸気で、金型加熱3秒、一方加熱8秒、逆一方加熱5秒、両面加熱15秒間の加熱成形を行う。次に、前記金型のキャビティ内の発泡成形体を3秒間水冷した後、面圧が0.05MPaに低下した時点で発泡成形体を取り出す。金型加熱開始から発泡成形体の取り出しまでの時間を成形サイクルと称する。
【0052】
<融着発泡粒子及び発泡性粒子の表面及び全体のZ平均分子量測定用の試料作製法>
表皮付き表面をもつ発泡成形体を50℃で24時間乾燥後、ハムスライサー(富士島工機社製:FK−18N型)を用い、発泡成形体の表皮付きの表面から0.3mm深さでカットし、融着発泡粒子及び発泡性粒子の表面のZ平均分子量測定用の試料とする。前記0.3mm深さのカット面から更に1mm深さでカットし、融着発泡粒子及び発泡性粒子の全体のZ平均分子量測定用の試料とする。
【0053】
<平均気泡径>
平均気泡径についてはASTM D2842−69の試験方法に準拠して測定する。発泡成形体の任意の部分を、剃刀刃を用いて成形体断面を得る。この切断面を走査型電子顕微鏡(日本電気社製JSM−6360LV)を用いて、100倍に拡大した画像を作成する。
次に、切断面の画像上にある発泡粒子界面から発泡粒子半径方向の20%の範囲における任意の位置で60mmの直線を描く。直線上にある気泡の個数を数え、次式によりこの気泡の平均弦長(t)を算出する。
平均弦長t(μm)=60/(気泡数×画像の拡大倍数)
次の式により、この気泡の平均気泡径(D)を算出する。
平均気泡径D(μm)=t/0.616
以上の作業をN数10で行い、平均値を平均気泡径とする。
【0054】
<粒界壁の厚さ>
発泡成形体の任意の部分を、剃刀刃を用いて成形体断面を得る。この切断面を走査型電子顕微鏡(日本電気社製JSM−6360LV)を用いて観察し、任意の融着発泡粒子を選択する。次いでこの融着発泡粒子断面の略中心部から、融着発泡粒子断面を30度ごとの角度で分割した12本の直線を、隣接する融着発泡粒子の最外壁に向かって引く。この直線が隣接する融着発泡粒子同士の複数の最外壁から構成される粒界壁を通過する部分を300倍に拡大し、画像写真を得て、粒界壁の厚みを測定する。この時、隣接する融着発泡粒子が2つの場合は、粒界壁の厚みは2つの融着発泡粒子の最外壁の厚みの合計となり、隣接する融着発泡粒子が3つ以上の場合は、粒界壁の厚みは3つ以上の融着発泡粒子の最外壁の厚みの合計となる。12本の直線についてそれぞれ粒界壁の厚みを測定し、その平均値を1つの融着発泡粒子の粒界壁の厚みとする。この測定を発泡成形体を構成する任意の融着発泡粒子20個について測定を行ない、その平均値を「粒界壁の厚さ」とする。なお、融着発泡粒子の最外壁とは、隣接する融着発泡粒子同士の粒界を区画する気泡膜である。
【0055】
<曲げ強度>
発泡体の曲げ強度をJIS K7221−2「硬質発泡プラスチック曲げ試験」に記載の方法に準拠して測定する。具体的には、発泡体から縦75mm×横300mm×厚さ30mmの直方体形状の試験片を切り出す。しかる後、この試験片を曲げ強度測定器(オリエンテック社製商品名「UCT−10T」)を用いて、試験速度10mm/分、支点間距離200mm、加圧くさび10R及び支持台10Rの条件下にて測定する。試験片を5個用意し、試験片ごとに試験片が破壊する最大荷重を測定し、曲げ強度を算出する。
曲げ強度測定条件:荷重(fs%)開始点=0.0、終了点=20.0、ピッチ=0.2(fs%)
曲げ強度が0.033MPa以上の場合を「良好:○」とし、0.033MPaより小さい場合を「不良:×」とする。
【0056】
<耐熱性>
発泡成形体から縦100mm×横100mm×厚さ30mmの直方体形状の試験片を切出し試験片とする。この試験片を90℃で168時間保持した前後の加熱寸法変化率をJIS K 6767:1999(高温時の寸法安定性:B法)に準拠して測定する。加熱寸法変化率が±0.5%以内の場合を耐熱性が「良好:○」とし、加熱寸法変化率が−0.5%を下回るか又は0.5%を上回っている場合を耐熱性が「不良:×」とする。
【0057】
<熱伝導率>
発泡成形体から、縦200mm×横200mm×厚み30mmの直方体形状の試験片を切り出し、JISA1412−2に準拠し、23℃の温度で測定を実施する。なお、熱伝導率は断熱性の指標である。熱伝導率が0.035W/mk以下の場合を断熱性が「良好:○」とし、熱伝導率が0.035W/mkより大きい場合を断熱性が「不良:×」とする。
【0058】
<総合評価>
前記の曲げ強度、耐熱性、熱伝導率の内、全て良好であれば総合評価「良好:○」、一つでも不良があれば総合評価「不良:×」とする。
【0059】
(実施例1)
内容積100リットルの攪拌機付オートクレーブに第三リン酸カルシウム(大平化学社製)150g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0g、ベンゾイルパーオキサイド160g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートを30g、イオン交換水40kg及びスチレン40kgを供給して攪拌翼にて攪拌して水性懸濁液を形成した。
次に、内容物を攪拌しながら30分かけて90℃まで昇温し、かつ90℃にて6時間に亘って保持し重合を進めた。更にオートクレーブ内の温度を120℃まで昇温し、120℃で2時間に亘って保持することによって、スチレンを懸濁重合した。内容物を25℃まで冷却し、オートクレーブ内からポリスチレン粒子を取り出して洗浄、脱水、乾燥を行った。得られたポリスチレン粒子を分級して、粒子径が0.4〜0.7mmでかつ重量平均分子量が29万のポリスチレン粒子(種粒子)を得た。
【0060】
次に100リットルの攪拌機付オートクレーブにイオン交換水35kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4g及びピロリン酸マグネシウム150gを供給した後、オートクレーブ内に種粒子8000gを供給し水中に分散させた分散液を得た。
また、イオン交換水5kgにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3gを溶解させた分散液を作製し、スチレン1990g、α−メチルスチレン500g、ジビニルベンゼン6g、重合開始剤である2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン100g及びジクミルパーオキサイド100gを溶解させてスチレン系単量体溶液を作製した。
上記スチレン系単量体溶液を上記分散液に添加後、ホモミキサーを用いて攪拌することで乳濁化させて乳濁液を得た。
【0061】
そして、オートクレーブの内容物を80℃に加熱、保持した中に上記乳濁液を添加し、種粒子に、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン及び重合開始剤を吸収させた。その後、オートクレーブ内を80℃から118℃まで30分掛けて昇温した。118℃に到達した時点より、オートクレーブ内にスチレン22000g及びα−メチルスチレン7500gを480分かけて断続的に滴下した。滴下が終了してから60分118℃で維持した後、1℃/分の昇温速度で140℃まで昇温して120分間保持した。なお、α−メチルスチレン、スチレン及びジビニルベンゼンは全て重合に用いられていた。次に、内容物を1℃/分の降温速度にて90℃まで冷却した。
【0062】
更に、オートクレーブ内に難燃剤としてテトラブロモシクロオクタン600g、難燃助剤としてジクミルパーオキサイドを140g供給した。テトラブロモシクロオクタン及びジクミルパーオキサイドをオートクレーブ内に供給してから30分経過後にオートクレーブを密閉し、発泡剤としてブタン3600gとペンタン1600gをオートクレーブ内に20分間掛けて圧入した。その後、95℃まで内容物を昇温し、5時間保持した。
5時間保持後、内容物を25℃まで冷却し、オートクレーブ内から粒子を取出して、洗浄、脱水、乾燥を経ることで発泡性粒子を得た。
【0063】
得られた発泡性粒子10000質量部の表面にポリエチレングリコール4質量部、ステアリン酸亜鉛20質量部、ステアリン酸トリグリセライド8質量部をタンブラーミクサーを用いて被覆した。
次に、攪拌機付き予備発泡機に上記発泡性粒子500gを供給して水蒸気を用いて加熱することによって予備発泡させることで嵩密度0.020g/cm
3の予備発泡粒子を得た。
得られた予備発泡粒子を24時間、室温で保管した。保管後、予備発泡粒子を発泡成形機(積水工機社製 商品名「ACE−3SP」)の金型内に充填し、下記条件で水蒸気を用いて二次発泡させることによって、密度0.020g/cm
3の縦300mm×横400mm×厚み30mmの直方体形状の発泡成形体を得た。金型加熱開始から発泡成形体取り出しまでの成形サイクルは188秒であった。
図2に発泡成形体の断面の電子顕微鏡写真を示す。
【0064】
(実施例2)
ステアリン酸トリグリセライドを6質量部使用したこと以外は実施例1と同様に発泡成形体を得た。
【0065】
(実施例3)
ステアリン酸トリグリセライドを45質量部使用したこと以外は実施例1と同様に発泡成形体を得た。
【0066】
(実施例4)
乳濁液にスチレンを2240g、α−メチルスチレンを250g、ジビニルベンゼンを6g使用したこと以外は実施例1と同様に発泡成形体を得た。
【0067】
(実施例5)
乳濁液にスチレンを1740g、α−メチルスチレンを750g、ジビニルベンゼンを6g使用したこと以外は実施例1と同様に発泡成形体を得た。
【0068】
(実施例6)
乳濁液にジビニルベンゼンを4g使用したこと以外は実施例1と同様に発泡成形体を得た。
【0069】
(実施例7)
乳濁液にジビニルベンゼンを9g使用したこと以外は実施例1と同様に発泡成形体を得た。
【0070】
(比較例1)
乳濁液にα−メチルスチレンを使用せず、スチレンを2490g、ジビニルベンゼンを6g使用したこと以外は実施例1と同様に発泡成形体を得た。
図3に発泡成形体の断面の電子顕微鏡写真を示す。
図3から、実施例1の
図2より粒界壁の厚さが薄いことが分かる。
【0071】
(比較例2)
乳濁液にスチレンを1190g、α−メチルスチレンを1300g、ジビニルベンゼンを6g使用したこと以外は実施例1と同様に発泡成形体を得た。
【0072】
(比較例3)
乳濁液にスチレンを1990g、α−メチルスチレンを500g、ジビニルベンゼンを1g使用したこと以外は実施例1と同様に発泡成形体を得た。
【0073】
(比較例4)
乳濁液にジビニルベンゼンを使用しないこと以外は実施例1と同様に発泡成形体を得た。
【0074】
(比較例5)
乳濁液にスチレンを1990g、α−メチルスチレンを500g、ジビニルベンゼンを12g使用したこと以外は実施例1と同様に発泡成形体を得た。
【0075】
(比較例6)
ステアリン酸トリグリセライドを使用しないこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
なお、実施例及び比較例の発泡成形体を構成する融着発泡粒子の分子量は、発泡性粒子の分子量とほぼ同一であることを確認した。
表1に、成形サイクル、発泡成形体の表面及び全体の分子量、融着発泡粒子の平均気泡径及び粒径壁厚、発泡成形体の物性(曲げ強度、耐熱性及び熱伝導率)、物性の総合評価を示す。
【0076】
【表1】
【0077】
上記表1から特定の範囲の分子量、平均気泡径及び粒径壁厚を有する発泡成形体は、各種物性(曲げ強度、耐熱性及び断熱性)に優れていることが分かる。また、実施例の発泡成形体は、成形サイクルを短くしても、優れた物性を維持できていることが分かる。
【0078】
なお、参考のために、乳濁液に使用したスチレン、α−メチルスチレン及び架橋剤の量、発泡性粒子を被覆するために使用した脂肪酸グリセライドの量を表2に示す。
【0079】
【表2】