【実施例】
【0066】
<ポリウレタン多孔質膜の作製>
[サンプル1,2]
図8は、サンプル1および2のポリウレタン膜の原料の組成および硬化条件を表わす説明図である。サンプル1のポリウレタン膜は、
図4に示した製造方法に従って作製した。サンプル2のポリウレタン膜は、後述するように、
図4のステップS120に対応する工程で水蒸気を供給していない点だけが異なっている。サンプル1および2のポリウレタン膜を作製する際には、ステップS100において
図8に示す組成の原料を用意した。
図8に示すように、サンプル1および2のポリウレタン膜の作製のためには、ポリオールとして、ポリエーテルポリオールを用いた。具体的には、数平均分子量が約4000、水酸基価が37のポリプロピレン
グリコール(PPG)を用いた。また、イソシアネートとしては、28.0質量%のイソシアネート基(NCO)を分子末端に含有するジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)のポリオール
変性体を用いた。架橋剤としては、ジエチレングリコール(DEG)を用いた。また、希釈溶剤としてはテトラヒドロフラン(THF)を用いた。さらに、改質剤として水、具体的には超純水(ミリQ水)を用いた。
図8では、原料中の各成分の組成を、ポリオールを100質量部としたときの各成分の質量割合として示すと共に、混合した各成分の重さも併せて記載している。なお、テトラヒドロフランについては、添加した溶剤の容積を併せて記載している。テトラヒドロフランの質量割合は、溶剤中のテトラヒドロフランの濃度を0.89g/mLとして計算した。
【0067】
ステップS110では、
図5に示すスピンコート法によって基板44上にポリウレタン原料の層40を形成した。ステップS110では、まず、
図8に示す組成のうちのイソシアネート以外の成分を密閉式サンプル容器に加え、ボルテックス(IKA社製のGENIUS3、以下同じ)を用いて30秒間攪拌した。その後、上記試料の入ったサンプル容器を氷浴上で冷却した。さらに、
図8に示す所定量のイソシアネートを添加してボルテックスを用いて30秒間攪拌し、その後、反応を抑えるために上記試料の入ったサンプル容器を氷浴上で冷却した。スピンコートする直前に上記試料をボルテックスを用いて再び1分間攪拌し、スピンコーターに取り付けた基板44上に1mL塗布してスピンコートを行なった。スピンコーターは、ミカサ株式会社製のMS−A100を用いた。基板44としてはポリプロピレン(PP)フィルムを用い、基板44は、スピンコーターのターンテーブル上に配置したガラス板の上に粘着テープで固定して使用した。スピンコートは、室温で、回転数5000rpmにて60秒間行なった。
【0068】
ステップS120では、
図6に示す密閉容器54として岩崎工業株式会社製のAIR KEEPER A−032(容積1.35L)を用いた。サンプル1を製造する際には、上記密閉容器54内に100mLの水を入れ、硬化温度である40℃に設定した恒温槽に配置して、密閉容器54内の水の温度が硬化温度に達するまで加温した。硬化反応を開始する直前に密閉容器54を恒温槽から取り出し、密閉容器54の蓋体52の裏側の水分をキムタオル(日本製紙クレシア社製)で拭き取って、硬化反応時における水滴の影響を抑えた。そして、スピンコーターを用いてポリウレタン原料の層40を形成した基板44を、両面テープを用いて蓋体52に固定した。ポリウレタン原料の層40を固定した蓋体52を閉じ、密閉容器54を恒温槽に配置して一晩のあいだ加温した。このようにして、40℃の飽和水蒸気圧に曝された状態で、40℃にてサンプル1の硬化反応を行なった。以下の説明では、ポリウレタンの硬化時の雰囲気が硬化温度における飽和水蒸気圧であることを、水蒸気雰囲気と呼ぶ。
【0069】
サンプル2は、ステップS120に代えて、水蒸気の供給を行なわない硬化の工程を行なった。具体的には、密閉容器内に水を入れなかったこと、および、恒温槽の設定温度が60℃であったこと以外は上記サンプル1と同じ方法によって製造した。したがって、サンプル2について硬化反応を行なった際の密閉容器内の水蒸気圧は、密閉容器を密閉する前の空気中の水蒸気圧である。以下の説明では、ポリウレタンの硬化時の雰囲気が、積極的な水蒸気供給を行なわない水蒸気圧であることを、ドライ雰囲気と呼ぶ。
【0070】
図9は、サンプル1および2のポリウレタン膜を観察した結果を示す説明図である。観察には走査型電子顕微鏡(SEM、日立製作所製のS−800)を用い、加速電圧は15kVとして、200〜10000倍にて観察を行なった。
図9では、一例として、ポリウレタン膜の表面(基板から離間した面である露出面)および裏面(基板を剥離した面)を3000倍で観察した様子と、断面を1000倍で観察した様子を示している。断面を観察するための試料は、基板44ごと膜厚方向に剃刀刃を用いて切り出して作製した。なお、サンプル2については後述するように孔形成が認められなかったため、基板44を剥離しての裏面観察は行なわなかった。
【0071】
図9では、サンプルにおける山部の膜厚(膜の表面に形成された凹凸における凸部の最も高い位置と基板44との距離)を「膜厚−山部」として示している。また、孔が形成されたサンプルでは、谷部の膜厚(膜の表面に形成された凹凸における凹部の最も深い位置と基板44との距離)を「膜厚−谷部」として示している。また、孔が形成されたサンプルでは、膜の表面22(
図1〜3を参照)における孔の開口部の径を「表面孔の大きさ」として示し、裏面24(
図1〜3を参照)における孔の開口部の径の最大値を「裏面最大孔の大きさ」として示している。さらに
図9では、「膜厚−山部」、「膜厚−谷部」および「表面孔の大きさ」について、標準偏差も併せて示している。
【0072】
上記「膜厚−山部」、「膜厚−谷部」およびそれらの標準偏差は、サンプルの断面の像の中で3つの視野を選択し、各視野ごとに平均値を算出し、各視野ごとの平均値の平均値を算出することにより求めた。なお、後述する他のサンプルについての「膜厚−山部」等の膜厚、およびその標準偏差についても、同様にして求めた。
【0073】
また、上記「表面孔の大きさ」「裏面最大孔の大きさ」、および「表面孔の大きさの標準偏差」は、画像解析ソフトMac−View(株式会社マウンテック製)を用いて画像解析することにより求めた。具体的には、各サンプルの表面または裏面の特定の視野内(ここでは、1000倍に拡大した視野)における全ての孔について最大長(孔に外接する四角形の辺の長さの最大値)を測定し、測定した最大長の値を用いて、平均値としての「表面孔の大きさ」や、標準偏差や最大値を求めた。
図9では、「表面孔の大きさ」の標準偏差は、「表面孔の大きさ」の平均値の下に記載している。なお、後述する他のサンプルについての「表面孔の大きさ」や「裏面孔の大きさ」およびそれらの標準偏差の値、さらに、表面と裏面の各々における孔の大きさの最大値や最小値についても、上記した画像解析ソフトを用いて同様にして求めた。
【0074】
図9に示すように、水蒸気雰囲気下にて硬化反応を行なうことにより、サンプル1として、裏面まで貫通する多数の細孔(発泡孔)を有するポリウレタン多孔質膜が得られた。これに対し、ドライ雰囲気下にて硬化反応を行なったサンプル2では、孔の形成は認められなかった。
図8に示すようにサンプル1と2とは原料の組成が同じであるため、硬化反応前の原料の層の厚さはほぼ等しくなる。しかしながら、硬化後の膜厚は、発泡したサンプル1の方が厚かった(
図9の「膜厚−山部」参照)。また、サンプル1では、表面22側の開口部の孔径の方が裏面24側の開口部の孔径よりも大きく、表面22側から裏面24側へと孔形成が進行した様子が観察された。
【0075】
なお、サンプル1,2は、
図8に示すように、ポリオール100質量部に対して7質量部の水を原料中に含有している。この含有割合は、発泡ウレタンを製造する際に発泡剤として水を用いる場合に、原料中に混合する水の割合の一般的な値よりも多い。しかしながら、サンプル2では孔の形成が認められない。これは、原料中の水はスピンコートの際に失われており、原料中に混合した水は発泡剤として実質的にはほとんど機能しないためと考えられる。したがって、発泡孔が形成されたサンプル1では、露出面に供給された水蒸気のみが実質的に発泡剤として機能したと考えられる。
【0076】
[サンプル3〜8]
図10は、サンプル3〜8のポリウレタン膜の原料の組成および硬化条件を表わす説明図である。サンプル3〜8のポリウレタン膜は、
図4に示した製造方法に従って作製した。すなわち、サンプル3〜8のポリウレタン膜を作製する際には、ステップS100において
図10に示す組成の原料を用意した。
図10に示すように、サンプル3〜5のポリウレタン膜の作製のためには、ポリオールとして、サンプル1と同じポリエーテルポリオール(水酸基価37、分子量約4000)を用いた。これに対してサンプル6〜8のポリウレタン膜の作製のためには、ポリオールとして、ポリマーポリオール(水酸基価27、分子量約5000、ポリエーテルポリオール中でスチレンとアクリルニトリルをグラフト共重合させたポリマー)を用いた。原料中のその他の構成成分の種類、および成膜条件は、サンプル1と同様である。
図10では、各構成成分の組成を
図8と同様に示している。
【0077】
その後のステップS110における原料の層の形成の工程、および、ステップS120における硬化の工程も、サンプル1と同様に行なった。ただし、サンプル3とサンプル6は硬化温度を室温に設定し、サンプル4とサンプル7は硬化温度を60℃に設定し、サンプル5とサンプル8は硬化温度を80℃に設定した点が異なっている。
【0078】
図11は、サンプル3〜8のポリウレタン膜を、サンプル1と同様にしてSEMで観察した結果を示す説明図である。
図11では、一例として、ポリウレタン膜の表面(基板から離間した面である露出面)を1000倍および5000倍で観察した様子を示している。
図11では、各サンプルにおける全体の膜厚(山部の膜厚)も併せて示している。
【0079】
図11に示すように、サンプル3〜8では、水蒸気雰囲気下にて硬化反応を行なうことにより表面に凹凸形状が形成された。ただし、室温よりも高い温度条件の方が、より多くの凹凸形状、さらには発泡孔が形成された。これは、水蒸気を用いて膜の表面に凹凸形状(発泡孔)を形成する反応は、硬化反応と同様に化学反応であって、ある程度温度を高めることにより十分な活性が得られるためと考えられる。
【0080】
ポリオールとしてポリエーテルを用いた場合には、硬化温度が室温の場合には、表面に凹凸形状は形成されるものの、発泡孔と認められる孔は観察されなかった(サンプル3)。硬化温度が60℃および80℃の場合には、いずれも多くの発泡孔が観察された(サンプル4,5)。ただし、硬化温度がより低い60℃であるサンプル4の方が発泡孔の孔径が全体に細かく揃っており(表面
1000倍の像を参照)、膜厚も厚かった。ポリオールとしてポリマーポリオールを用いた場合には、硬化温度が室温および60℃の場合には、表面に凹凸形状は形成されるものの、発泡孔と認められる孔は観察されなかった(サンプル6,7)。硬化温度が80℃の場合には、多くの発泡孔が観察された(サンプル8)。以上より、用いるポリウレタン原料の種類に応じて、硬化温度を含む硬化条件を適宜設定することにより、膜表面に形成される凹凸形状あるいは発泡孔の態様を適宜調節できると考えられる。
【0081】
[サンプル9〜11]
図12は、サンプル9〜11のポリウレタン膜の原料の組成および硬化条件を表わす説明図である。サンプル9、10のポリウレタン膜は、
図4に示した製造方法に従って作製した。サンプル11のポリウレタン膜は、後述するように、ステップS120に対応する工程の雰囲気がドライ雰囲気である点が異なっている。サンプル9〜11のポリウレタン膜を作製する際には、ステップS100において
図12に示す組成の原料を用意した。
図12に示すように、サンプル9〜11のポリウレタン膜の作製で用いた原料の構成成分の種類、および成膜条件は、サンプル1と同様である。
図12では、各構成成分の組成を
図8と同様に示している。
【0082】
その後のステップS110における原料の層の形成の工程、および、ステップS120における硬化の工程も、サンプル1と同様に行なった。ただし、硬化温度は、サンプル9では50℃に設定し、サンプル10およびサンプル11では60℃に設定した。また、サンプル11のみ、ドライ雰囲気下にて硬化反応を行なった。
【0083】
図13は、サンプル9〜11のポリウレタン膜を、サンプル1と同様にしてSEMで観察した結果を示す説明図である。
図13では、一例として、ポリウレタン膜の表面、裏面、および断面を3000倍で観察した様子を示している。なお、サンプル11については後述するように孔形成が認められなかったため、基板を剥離しての裏面観察は行なわなかった。また、
図13では、各々のサンプルについての「膜厚−山部」、「膜厚−谷部」および各々の標準偏差、並びに表面と裏面のそれぞれについての平均細孔径、その標準偏差、孔径の最大値および最小値についても併せて示している。孔径の解析のためには、表面側については1000倍に拡大した像を用い、裏面側については200倍に拡大した像を用いた。
【0084】
図13に示すように、サンプル9,10では、水蒸気雰囲気下にて硬化反応を行なうことにより、裏面まで貫通する発泡孔が形成された。これに対して、ドライ雰囲気下で硬化反応を行なったサンプル11では、発泡孔あるいは凹凸形状の形成は認められなかった。
【0085】
サンプル9とサンプル10とを比較すると、原料組成が同じであるにもかかわらず、硬化温度が高いサンプル10の方が膜厚が厚かった。すなわち、ステップS110で形成される原料の層の厚みが同じであるにもかかわらず、硬化後の膜厚が厚かった。これは、硬化温度が高いサンプル10の方が、水蒸気を用いた発泡反応が活発に進行したためと考えられる。また、サンプル9とサンプル10とを比較すると、硬化温度が低いサンプル9の方が、発泡孔の表面側の開口部の孔径が小さく、孔径のバラツキも小さかった。さらに、裏面側の開口部の孔径を比較すると、硬化温度が低いサンプル9の方が平均孔径は大きいが、バラツキが小さいという結果が得られた。すなわち、発泡孔の形成に係る化学反応は硬化温度が高いほど活発に進行するが、発泡反応を伴う硬化時の温度を適宜調節することによって、孔径の大きさおよび孔径のバラツキがより小さく、裏面側にまで貫通する発泡孔を有するポリウレタン多孔質膜を製造可能であることが分かる。
【0086】
なお、既述したサンプル4およびサンプル5では、それぞれ、60℃あるいは80℃の硬化温度にて水蒸気雰囲気下で硬化を行なったが、裏面にまで貫通する発泡孔は形成されなかった。これに対して、水蒸気雰囲気下で硬化を行なったサンプルであって、硬化温度が40℃であるサンプル1、硬化温度が50℃であるサンプル9、および硬化温度が60℃であるサンプル10は、裏面にまで貫通する発泡孔が形成された。これは、サンプル1、9および10は、サンプル4および5に比べて原料中の希釈溶剤の含有割合(ポリエーテルの量を100質量部としたときの希釈溶剤量)が高いため、硬化反応に供される原料の層の厚さが薄くなり、貫通孔が形成されやすくなるためと考えられる。
【0087】
[サンプル12〜14]
図14は、サンプル12〜14のポリウレタン膜の原料の組成および硬化条件を表わす説明図である。サンプル12、13のポリウレタン膜は、
図7に示した製造方法に従って作製した。サンプル14のポリウレタン膜は、後述するように、ステップS120およびステップS130に代えて、ドライ雰囲気下での一段階の硬化反応のみを行なった点が異なっている。サンプル12〜14のポリウレタン膜を作製する際には、ステップS100において
図14に示す組成の原料を用意した。
図14に示すように、サンプル12〜14のポリウレタン膜の作製で用いた原料の構成成分の種類、および成膜条件は、サンプル1と同様である。
図14では、各構成成分の組成を
図8と同様に示している。
【0088】
サンプル12および13では、その後のステップS110における原料の層の形成の工程、および、ステップS120における硬化の工程も、サンプル1と同様に行なった。ただし、ステップS120において、サンプル12は硬化温度40℃にて30分間硬化反応を行ない、サンプル13は硬化温度50℃にて30分間硬化反応を行なった点が異なっている。その後、サンプル12および13では、さらにステップS130として、ドライ雰囲気下にて硬化を促進する工程を行なった。具体的には、密閉容器から液水を除去してドライ雰囲気に変更し、60℃で一晩のあいだ硬化反応を続行させた。サンプル14では、ステップS120における水蒸気雰囲気下での硬化反応を行なうことなく、ドライ雰囲気下で硬化温度60℃にて一晩のあいだ硬化反応を行なった。
【0089】
図15は、サンプル12〜14のポリウレタン膜を、サンプル1と同様にしてSEMで観察した結果を示す説明図である。
図15では、一例として、各ポリウレタン膜の表面については500倍で観察し、断面については1000倍で観察した様子を示している。ただし、裏面については、サンプル12は200倍で観察した様子を示し、サンプル13は500倍で観察した様子を示している。なお、サンプル14については後述するように孔形成が認められなかったため、基板を剥離しての裏面観察は行なわなかった。また、
図15では、各々のサンプルについての「膜厚−山部」、「膜厚−谷部」および各々の標準偏差、並びに表面と裏面のそれぞれについての平均細孔径、その標準偏差、孔径の最大値および最小値についても併せて示している。孔径の解析のためには、表面側については500倍に拡大した像を用い、裏面側については200倍に拡大した像を用いた。
【0090】
図15に示すように、サンプル12,13では、水蒸気雰囲気下にて硬化反応を行なうことにより、裏面まで貫通する発泡孔が形成された。これに対して、ドライ雰囲気下でのみ硬化反応を行なったサンプル14では、発泡孔あるいは凹凸形状の形成は認められなかった。
【0091】
サンプル12とサンプル13とを比較すると、原料組成が同じであるにもかかわらず(原料の層の厚さが同じであるにもかかわらず)、硬化温度が高いサンプル13の方が膜厚が厚かった。これは、硬化温度が高いサンプル13の方が、水蒸気を用いた発泡反応が活発に進行したためと考えられる。また、サンプル12とサンプル13とを比較すると、水蒸気雰囲気における硬化温度が低いサンプル12の方が、表面側と裏面側の双方において、発泡孔の孔径(平均細孔径、最大値、最小値)が小さく、孔径のバラツキ(孔径の標準偏差)も小さかった。
【0092】
なお、硬化反応の前段であるステップS120における反応温度が40℃であるサンプル12では、ポリウレタン多孔質膜の表面に干渉縞が見られた。干渉縞が見られることからも、膜表面で開口する複数の孔の孔径のバラツキが非常に小さいことが分かる。これに対して、発泡反応を伴う硬化時の温度を40℃にする場合であっても、既述したサンプル1のように、ドライ雰囲気下で硬化促進するステップS130の工程を行なわない場合には、いずれのサンプルにおいてもポリウレタン多孔質膜の表面に干渉縞は観察されなかった(干渉縞についてはデータ示さず)。以上の結果より、水蒸気を用いた発泡反応を伴う硬化反応の時間をより短く設定して、その後さらにドライ雰囲気下での硬化促進反応を進行させることにより、平均細孔径をより小さくしつつ孔径のバラツキを小さくすることが可能であると考えられる。これは、硬化反応を2段階で行ない、1段目のみを水蒸気雰囲気下で行なうことにより、発泡反応が過剰に進行する前の孔径が小さく揃っている状態で発泡反応を停止させることができるためと考えられる。
【0093】
[サンプル15〜23]
図16は、サンプル15〜23のポリウレタン膜の原料の組成、硬化条件、および得られたポリウレタン多孔質膜の表面の形状に係る測定結果を示す説明図である。サンプル15〜23のポリウレタン膜は、
図7に示した製造方法に従って作製した。
図16では、原料中の各成分の組成を、ポリオールを100質量部としたときの各成分の質量割合として示している。
【0094】
図16に示すように、サンプル15〜23は、ポリウレタン膜の原料として用いたポリオールおよびイソシアネートの種類が、既述したサンプル1〜14とは異なっている。用いたポリオールは、以下の通りである。サンプル15では、水酸基価が397であるポリエーテルポリオール(ポリオキシプロピレングリセリルエーテル)を用いた。サンプル16では、水酸基価が27であるポリマーポリオール(グリセリンにプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを付加重合させたポリエーテルポリオール中で、スチレンとアクリロニトリルを ラジカル重合させたもの )を用いた。サンプル17では、水酸基価が56であるポリエステルポリオール(ポリ(エチレンアジペート)ジオール)を用いた。サンプル18では、水酸基価が55であるポリカーボネートジオールを用いた。
【0095】
イソシアネートとしては、サンプル19では33.6質量%のイソシアネート基(NCO)を分子末端に含有するモノメリックMDIを用い、サンプル20では23.1質量%のイソシアネート基(NCO)を分子末端に含有するMDIのポリオール
変性体を用い、サンプル21では30.7質量%のイソシアネート基(NCO)を分子末端に含有するポリメリックMDIを用い、サンプル22では28.7質量%のイソシアネート基(NCO)を分子末端に含有するMDIのカルボジイミド
変性体を用いた。架橋剤としては、サンプル23では、エチレングリコールを用いた。サンプル15〜23において、上記した成分以外は、サンプル1〜14と同じ種類の原料を用いた。
図16では、ポリウレタン膜の原料の組成は,ポリオール量を100質量部としたときの相対的な量によって表わしている。また、サンプル15〜23を製造する際には、ステップS110〜ステップS130の工程は、既述したサンプル12と同様の条件で行なった。
【0096】
図17〜
図25は、作製したサンプル15〜23のポリウレタン膜を、走査型電子顕微鏡(SEM、日立製作所製のS−800)を用い、加速電圧は15kVとし
て斜めから観察した様子を示す。
図17〜
図25に示すように、ポリオール、イソシアネート、あるいは架橋剤の種類を異ならせた場合にも、少なくとも表面22側で複数の細孔が開口するポリウレタン多孔質膜が得られることが確認された。なお、
図16には、サンプル15〜23の各ポリウレタン多孔質膜の、膜厚および表面22の平均細孔径(表面孔の大きさ)も記載している。
【0097】
<ポリウレタン多孔質膜を用いた細胞培養>
ポリウレタン多孔質膜(サンプル24、25)を作製し、これらのポリウレタン多孔質膜を用いて細胞培養を行なった結果を、以下に説明する。
【0098】
[サンプル24、25]
図26は、サンプル24、25のポリウレタン多孔質膜の原料の組成、硬化条件、および得られたポリウレタン多孔質膜の表面の形状に係る測定結果を示す説明図である。サンプル24、25のポリウレタン多孔質膜は、
図7に示した製造方法に従って作製した。サンプル24、25のポリウレタン多孔質膜の作製で用いた原料の構成成分の種類は、サンプル1と同様である。
図26では、各構成成分の組成を
図8と同様に示している。
【0099】
サンプル24および25では、ステップS110〜ステップS130の工程は、既述したサンプル12と同様の条件で行なった。なお、サンプル24とサンプル25とでは、ステップS100における原料の混合(混合工程)から、ステップS110におけるスピンコート(層形成工程)までの時間を異ならせた。サンプル24では、混合工程と層形成工程の間は、室温で12分放置し、サンプル25では、室温で30分放置した。
【0100】
上記のようにして作製したサンプル24は、裏面24まで貫通する孔を有する貫通膜であった。また、サンプル25は、非貫通膜であった。なお、膜が「非貫通」であるとは、膜の裏面24(製造時に基板と接していた面)を2000倍で観察した特定の視野内において、孔の面積の合計が、視野面積全体の5%未満であることをいう。裏面24側の孔の面積は、既述した「表面孔の大きさ」と同様に、画像解析ソフトMac−View(株式会社マウンテック製)を用いて画像解析により求められる。
【0101】
サンプル24のポリウレタン多孔質膜では、表面22の平均細孔径(表面孔の大きさ)は14μmであり、裏面24の平均細孔径(裏面孔の大きさ)は11μmであり、膜厚(山部の膜厚)は6μmであった。また、サンプル25の表面22の平均細孔径は3μmであり、膜厚は3μmであった。上記のように、混合工程から層形成工程までの時間がより短いサンプル24は貫通膜となり、混合工程から層形成工程までの時間がより長いサンプル25は、表面22の平均細孔径がより小さい非貫通膜となった。
【0102】
[細胞培養条件]
(i)細胞株
培養には、以下の2種の細胞株を用いた。
HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞):HUV−EC−C(独立行政法人 医薬基盤研究所 JCRB 細胞バンク:IFO50271)
AoSMC(ヒト大動脈平滑筋細胞):AoSMC(Lonza、CC−2571)
【0103】
(ii)使用培地
HUVEC用培地としては、DMEM/F−12(Gibco、11330−057)に、ペニシリン−ストレプトマイシン(Gibco、15140−122)、へパリンナトリウム塩(SIGMA−ALDRICH、H3149−100KU)、およびECGS(endothelial cell growth supplement) (SIGMA、E2759)を添加したものを用いた。AoSMC用培地としては、SmGM
TM−2 平滑筋増殖培地−2 BulletKit
TM(Lonza、CC−3182)を用いた。
【0104】
(iii)培養用器具
図27は、ポリウレタン多孔質膜の両面を用いて細胞培養を行なう際に用いた細胞培養器具60を模式的に表わす斜視図である。細胞培養器具60は、ガラス製であって、外径が13mmのリング状部材である。
【0105】
細胞を培養する際には、上記リング状の細胞培養器具60の一方の開口を覆うように、ポリウレタン多孔質膜を配置した。具体的には、細胞培養器具60の側面の2箇所に予め両面テープを配置し、エタノール中でポリウレタン多孔質膜を細胞培養器具60上に配置し、ポリウレタン多孔質膜の周辺部を上記両面テープに接着させた。その後、エタノールを除去してポリウレタン多孔質膜を乾燥させることにより、細胞培養器具60にポリウレタン多孔質膜を固着させた。その際、後述する両面培養、および、表面22に播種する片面培養のためには、リング状の細胞培養器具60の内部でポリウレタン多孔質膜の表面22が露出する向きとなるように、ポリウレタン多孔質膜を配置した。また、裏面24に播種する片面培養のためには、リング状の細胞培養器具60の内部でポリウレタン多孔質膜の裏面24が露出する向きとなるように、ポリウレタン多孔質膜を配置した。
【0106】
(iv)培養手順
(iv)−1:両面培養
図28は、細胞培養器具60を用いてポリウレタン多孔質膜の両面に細胞培養を行なう手順を示す説明図である。細胞培養の際には、細胞培養器具60に取り付けたポリウレタン多孔質膜を、UV滅菌後、まず、AoSMC用培地中で一晩プレコンディショニングした(
図28(A))。そして、ポリウレタン多孔質膜の表面22上にAoSMCを播種し(
図28(B))、37℃、5%CO
2の条件下で5日間培養した(
図28(C))。その後、細胞培養器具60を上下反転させ(
図28(D))、培地をHUVEC用培地に交換した(
図28(E))。そして、ポリウレタン多孔質膜の裏面24上にHUVECを播種し(
図28(F))、37℃、5%CO
2の条件下で3日間培養した(
図28(G))。
【0107】
(iv)−2:片面培養
片面培養の際には、細胞培養器具60に取り付けたポリウレタン多孔質膜の一方の面(リング状の細胞培養器具60の内部で露出する面)上のみに細胞を播種した。片側培養の際には、細胞培養器具60に取り付けたポリウレタン多孔質膜を、UV滅菌後、播種する細胞に応じた培地中で一晩プレコンディショニングした。その後、HUVECあるいはAoSMCを、ポリウレタン多孔質膜の表面22上または裏面24上に播種し、37℃、5%CO
2の条件下で、HUVECならば3日間、AoSMCならば4日間培養した。
【0108】
[評価方法]
細胞培養の後、ポリウレタン多孔質膜を、細胞培養器具60ごと、PBSを用いて1回洗浄した。その後、組織固定用4%パラホルムアルデヒド・リン酸緩衝液(和光純薬工業株式会社、163−20145)を用いて、37℃環境下で10分間処理して細胞を固定し、1%Triton−X100含有PBSおよび0.02%Tween20含有PBSで処理することで細胞膜に透過性を持たせ、各細胞を以下のようにして観察した。
【0109】
HUVECは、内皮細胞表面に集中して発現する細胞表面レセプターであるCD31に対するマウス抗体(SIGMA、P8590)を一次抗体として用い、抗マウスIgG抗体(Invitrogen、A−11004)を二次抗体として用いた。二次抗体で処理した細胞において蛍光物質を励起することにより、HUVECのCD31を赤色に発色させた。
【0110】
AoSMCは、平滑筋細胞の細胞骨格タンパクであるαSMAに対するウサギ抗体(abcam、ab32575)を一次抗体として用い、抗ウサギIgG抗体(Invitrogen、A−11008)を二次抗体として用いた。二次抗体で処理した細胞において蛍光物質を励起することにより、AoSMCのαSMAを緑色に発色させた(洗浄から染色までが
図28(H))。
【0111】
上記した処理の後、ポリウレタン多孔質膜を細胞培養器具60から剥離し、さらにプレパラート上に封入した。そして、ポリウレタン多孔質膜において細胞を培養した面を、レーザ共焦点顕微鏡を用いて観察した(
図28(I))。
【0112】
[細胞培養結果]
図29は、サンプル25のポリウレタン多孔質膜(非貫通膜)の表面22上にHUVECを播種して片面培養した結果を示す説明図である。また、
図30は、サンプル25のポリウレタン多孔質膜(非貫通膜)の裏面24上にHUVECを播種して片面培養した結果を示す説明図である。いずれも、HUVECの播種密度は、5.0×10
4cells/cm
2とした。
図29、
図30共に、400倍で観察した結果を示す。
【0113】
図29と
図30とを比較すると、ポリウレタン多孔質膜(非貫通膜)の表面22の方が裏面24よりも細胞の増殖が良好であった。この結果により、ポリウレタンの硬化時に水蒸気を供給することにより多孔質化(凹凸形成)したポリウレタン多孔質膜は、このような凹凸が形成されていないポリウレタン膜よりも、細胞培養膜として優れていることが確認された。
【0114】
図31は、サンプル24のポリウレタン多孔質膜(貫通膜)の表面22上にAoSMCを播種し、裏面24上にHUVECを播種して両面培養した結果を示す説明図である。
図32は、サンプル25のポリウレタン多孔質膜(非貫通膜)の表面22上にAoSMCを播種し、裏面24上にHUVECを播種して両面培養した結果を示す説明図である。いずれも、AoSMCの播種密度は1.0×10
4cells/cm
2としており、HUVECの播種密度は5.0×10
4cells/cm
2とした。
図31、
図32共に、400倍で観察した結果を示す。
【0115】
図31と
図32とを比較すると、サンプル24のポリウレタン多孔質膜(貫通膜)を用いた方が、サンプル25のポリウレタン多孔質膜(非貫通膜)を用いた場合よりも、AoSMCおよびHUVECの増殖が良好であった。これは、AoSMCとHUVECとが、ポリウレタン膜の細孔を介して相互作用した影響によるものと考えられる。したがって、サンプル24のような、貫通孔を有するポリウレタン多孔質膜の両面を用いて細胞培養を行なうことにより、例えば異なる細胞間の相互作用を解析することが可能になると考えられる。
【0116】
<ポリウレタン多孔質膜による癌細胞増殖抑制>
ポリウレタン膜(サンプル26、27、28)を作製し、これらのポリウレタン多孔質膜を用いて癌細胞増殖抑制効果を調べた結果を、以下に説明する。
【0117】
[サンプル26〜28]
図33は、サンプル26〜28のポリウレタン膜の原料の組成、硬化条件、および得られたポリウレタン膜の表面の形状に係る測定結果を表わす説明図である。サンプル26、27のポリウレタン多孔質膜は、
図7に示した製造方法に従って作製した。サンプル28のポリウレタン膜は、後述するように、ステップS120における水蒸気の供給を伴う硬化の工程を行なわずに製造した点が異なっている。
図33に示すように、サンプル26〜28のポリウレタン多孔質膜の作製で用いた原料の構成成分の種類は、サンプル1と同様である。
図33では、各構成成分の組成を
図8と同様に示している。
【0118】
サンプル26および27は、ステップS110における層形成工程も、サンプル1と同様に行なった。ステップS120では、水蒸気雰囲気下にて40℃で30分硬化反応を行ない、ステップS130では、ドライ雰囲気下にて60℃で一晩硬化反応を行なった。サンプル28は、ステップS110の層形成工程は、室温で、回転数2000rpmにて60秒間スピンコート処理を行なった。そして、水蒸気雰囲気下での硬化反応を行なうことなく、ドライ雰囲気下にて60℃で一晩硬化反応を行なった。
【0119】
上記のようにして作製したサンプル26および27は、孔が裏面にまで達していない非貫通膜であった。また、サンプル28は、実質的に孔が形成されていない無孔膜であった。ここで、「無孔膜」であるとは、膜の表面22(製造時に基板から離間していた面)を2000倍で観察した特定の視野内において、孔の面積の合計が、視野面積全体の5%未満であることをいう。
図33に示すように、サンプル26のポリウレタン多孔質膜では、表面の平均細孔径(表面孔の大きさ)は16.2μmであり、膜厚(山部の膜厚)は9μmであった。また、サンプル27の表面の平均細孔径は11.1μmであり、膜厚は14μmであった。また、サンプル28の膜厚は6μmであった。
【0120】
[細胞培養条件]
(i)細胞株
培養には、以下の2種の細胞株を用いた。
TOV21G(ヒト卵巣癌細胞):CRL−11730(ATCC、American Type Culture Collection)
Caov3(ヒト卵巣癌細胞):HTB−75(ATCC)
【0121】
(ii)使用培地
TOV21G用培地は、M199培地(Sigma、M4530)とM105培地(Sigma、M6395)とを1:1で混合した混合培地45mLと、FBS(Hyclone、SH30071.03)5mLとを混合し、さらにペニシリン(Thermo scientific、SV30010)500μLを加えて調製した。Caov3用培地は、DMEM培地(Sigma、D5921)45mLとFBS(Hyclone、SH30071.03)5mLとを混合した混合培地に、さらにペニシリン(Thermo scientific、SV30010)500μLとL−グルタミン溶液(Sigma、G7513)1mLとを加えて調製した。
【0122】
(iii)培養手順
TOV21Gは、サンプル26(ポリウレタン多孔質膜)、サンプル28(ポリウレタン平滑膜)、および細胞培養プレート(HTB−75、Falcon)の各々の上に播種して培養を行なった。Caov3は、サンプル27(ポリウレタン多孔質膜)、サンプル28(ポリウレタン平滑膜)、および細胞培養プレート(HTB−75、Falcon)の各々の上に播種して培養を行なった。サンプル26〜28上に細胞を播種する際には、基板上に成膜したポリウレタン膜を、基板から剥離せずに用いた。
【0123】
細胞培養の際には、まず、基板上に成膜したポリウレタン膜を、UV滅菌後、播種する細胞に応じた培地中で一晩プレコンディショニングした。その後、TOV21GあるいはCaov3を播種した。播種密度は、いずれの細胞も1.0×10
4cells/cm
2とした。播種した各細胞を、37℃、5%CO
2の条件下で48時間培養した。
【0124】
[評価方法]
培養後の細胞数(細胞密度)を測定し、各々のポリウレタン膜について細胞増殖率を求めた。具体的には、細胞増殖率は、培養後の細胞培養プレート上の細胞数(細胞密度)を100としたときの、培養後のポリウレタン膜上の細胞数(細胞密度)の相対的な値として求めた。上記細胞密度は、細胞培養プレートあるいはポリウレタン膜の各々について、蛍光顕微鏡(オリンパス製)を用いて100倍の倍率で観察する際に、ランダムに選択した5視野において計測した細胞密度の平均値として求めた。細胞増殖率の値が小さいほど、細胞増殖が抑制されていることを示す。
【0125】
[評価結果]
図34は、TOV21Gを、サンプル26、サンプル28、および培養プレートの各々の上に播種して培養を行なった結果を示す棒グラフである。また、
図35は、Caov3を、サンプル27、サンプル28、および培養プレートの各々の上に播種して培養を行なった結果を示す棒グラフである。なお、
図34および
図35の棒グラフには、標準偏差も併せて示している。
【0126】
図34,35に示すように、いずれの癌細胞を用いた場合にも、ポリウレタン平滑膜(サンプル28)を用いた場合には、培養プレート上で培養した場合に比べて細胞増殖率が高かった。これに対し、ポリウレタン多孔質膜(サンプル26またはサンプル27)を用いた場合には、培養プレート上で培養した場合に比べて細胞増殖率が低くなり、癌細胞増殖抑制効果が認められた。
【0127】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。