特許第6343498号(P6343498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343498
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
   B65G1/04 539A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-112793(P2014-112793)
(22)【出願日】2014年5月30日
(65)【公開番号】特開2015-227228(P2015-227228A)
(43)【公開日】2015年12月17日
【審査請求日】2017年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(72)【発明者】
【氏名】旭田 成邦
(72)【発明者】
【氏名】安武 一成
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−155199(JP,A)
【文献】 実開昭50−011278(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00− 1/133
B65G 1/14− 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載せるキャリッジを、該キャリッジに対する該物品の積み降ろしが行われる物品積み降ろし位置まで移動させて、該物品を搬送する搬送装置において、
先側に向かって上がる先上がり傾斜部が下側に設けられた差し込み片、及び、前記差し込み片の基側に連結された支持体を有し、前記キャリッジに進退可能に取り付けられたスライド部材と、前記先上がり傾斜部の傾きと同角度で傾いた下側傾斜部を有し、前記物品積み下ろし位置に設けられた受け部材とを備え、
前記スライド部材は、前進して、前記先上がり傾斜部を前記下側傾斜部に当接した状態で、前記差し込み片を前記受け部材に係止させ、前記キャリッジを前記物品積み降ろし位置にとどめ、前記差し込み片は、前記支持体に対して所定角度の範囲で傾動可能に接続されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
物品を載せるキャリッジを、該キャリッジに対する該物品の積み降ろしが行われる物品積み降ろし位置まで移動させて、該物品を搬送する搬送装置において、
先側に向かって上がる先上がり傾斜部が下側に設けられた差し込み片、及び、前記差し込み片の基側に連結された支持体を有し、前記キャリッジに進退可能に取り付けられたスライド部材と、前記先上がり傾斜部の傾きと同角度で傾いた下側傾斜部を有し、前記物品積み下ろし位置に設けられた受け部材とを備え、
前記スライド部材は、前進して、前記先上がり傾斜部を前記下側傾斜部に当接した状態で、前記差し込み片を前記受け部材に係止させ、前記キャリッジを前記物品積み降ろし位置にとどめ、前記差し込み片は、前記支持体に対して所定の範囲で平行移動可能に接続されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の搬送装置において、前記差し込み片は、先側に向かって下がる先下がり傾斜部を上側に備え、前記受け部材は、前記先下がり傾斜部の傾きと同角度に傾いた上側傾斜部を有し、前記スライド部材は、前記先下がり傾斜部を前記上側傾斜部に当接した状態で、前記差し込み片を前記受け部材に係止することを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項記載の搬送装置において、前記差し込み片は、先側に向かって縮径した円錐状に形成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の搬送装置において、前記スライド部材及び前記受け部材は、2組あって、一方の組の前記受け部材は、平面視して、前記キャリッジの中心から一側に距離を有して配置され、他方の組の前記受け部材は、平面視して、前記キャリッジの中心から他側に距離を有して配置され、一方の組の前記スライド部材は、一側に向かって前進し、他方の組の前記スライド部材は、他側に向かって前進することを特徴とする搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品をキャリッジに載せて搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の製造工場や、物流現場においては、物品をキャリッジに載せて搬送する搬送装置が用いられ、その具体例が特許文献1、2に記載されている。特許文献1、2に記載の搬送装置は、キャリッジを吊り下げたワイヤーロープの巻き上げ、巻き下げを行うモータを作動させて、キャリッジを昇降させ、キャリッジを所定の高さ位置に移動させた後、モータを停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−107732号公報
【特許文献2】特開2007−182277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、キャリッジに物品が載っていない状態とキャリッジに物品が載っている状態とでは、ワイヤーロープにかかる張力が異なり、ワイヤーロープの伸びに差が生じる。このため、物品が積み込まれたキャリッジは、物品が積み込まれる前に比べ、降下することになり、その降下距離によっては、物品の積み込みを安定的に行えないという課題があった。
そして、この課題は、キャリッジをワイヤーロープで吊り下げる搬送装置のみならず、キャリッジにかかる荷重に応じてキャリッジが高さ方向に変位する搬送装置全般で発生し得る。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、物品の積み込みによるキャリッジの降下を抑制する搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う第1の発明に係る搬送装置は、物品を載せるキャリッジを、該キャリッジに対する該物品の積み降ろしが行われる物品積み降ろし位置まで移動させて、該物品を搬送する搬送装置において、先側に向かって上がる先上がり傾斜部が下側に設けられた差し込み片、及び、前記差し込み片の基側に連結された支持体を有し、前記キャリッジに進退可能に取り付けられたスライド部材と、前記先上がり傾斜部の傾きと同角度で傾いた下側傾斜部を有し、前記物品積み下ろし位置に設けられた受け部材とを備え、前記スライド部材は、前進して、前記先上がり傾斜部を前記下側傾斜部に当接した状態で、前記差し込み片を前記受け部材に係止させ、前記キャリッジを前記物品積み降ろし位置にとどめ、前記差し込み片は、前記支持体に対して所定角度の範囲で傾動可能に接続されている。
【0006】
前記目的に沿う第2の発明に係る搬送装置は、物品を載せるキャリッジを、該キャリッジに対する該物品の積み降ろしが行われる物品積み降ろし位置まで移動させて、該物品を搬送する搬送装置において、先側に向かって上がる先上がり傾斜部が下側に設けられた差し込み片、及び、前記差し込み片の基側に連結された支持体を有し、前記キャリッジに進退可能に取り付けられたスライド部材と、前記先上がり傾斜部の傾きと同角度で傾いた下側傾斜部を有し、前記物品積み下ろし位置に設けられた受け部材とを備え、前記スライド部材は、前進して、前記先上がり傾斜部を前記下側傾斜部に当接した状態で、前記差し込み片を前記受け部材に係止させ、前記キャリッジを前記物品積み降ろし位置にとどめ、前記差し込み片は、前記支持体に対して所定の範囲で平行移動可能に接続されている。
第1、第2の発明に係る搬送装置において、前記差し込み片は、先側に向かって下がる先下がり傾斜部を上側に備え、前記受け部材は、前記先下がり傾斜部の傾きと同角度に傾いた上側傾斜部を有し、前記スライド部材は、前記先下がり傾斜部を前記上側傾斜部に当接した状態で、前記差し込み片を前記受け部材に係止するのが好ましい。
【0007】
第1、第2の発明に係る搬送装置において、前記差し込み片は、先側に向かって縮径した円錐状に形成されているのが好ましい。
【0008】
【0009】
【0010】
第1、第2の発明に係る搬送装置において、前記スライド部材及び前記受け部材は、2組あって、一方の組の前記受け部材は、平面視して、前記キャリッジの中心から一側に距離を有して配置され、他方の組の前記受け部材は、平面視して、前記キャリッジの中心から他側に距離を有して配置され、一方の組の前記スライド部材は、一側に向かって前進し、他方の組の前記スライド部材は、他側に向かって前進するのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
第1、第2の発明に係る搬送装置は、先側に向かって上がる先上がり傾斜部が下側に設けられた差し込み片を有し、キャリッジに進退可能に取り付けられたスライド部材と、先上がり傾斜部の傾きと同角度で傾いた下側傾斜部を有し、物品積み降ろし位置に設けられた受け部材とを備え、スライド部材は、前進して、先上がり傾斜部を下側傾斜部に当接した状態で、差し込み片を受け部材に係止させ、キャリッジを物品積み降ろし位置にとどめるので、キャリッジにかかる荷重の変化によるキャリッジの高さ方向の変位を安定的に抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係る搬送装置の模式図である。
図2】同搬送装置の部分正断面図である。
図3】同搬送装置の部分平断面図である。
図4】(A)、(B)、(C)はそれぞれ、スライド部材が後退位置にある状態、スライド部材が前進中の状態、及び、スライド部材が前進位置にある状態を示す説明図である。
図5】(A)、(B)はそれぞれ、差し込み片が受け部材に対して離れている状態及び係止されている状態を示す説明図である。
図6】(A)、(B)はそれぞれ、差し込み片が受け部材から抜き取られる様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る搬送装置10は、物品11を載せるキャリッジ12を、キャリッジ12に対する物品11の積み降ろしが行われる物品積み降ろし位置まで移動させて、物品11を搬送する装置である。以下、詳細に説明する。
【0014】
搬送装置10は、図1に示すように、ベース部材13に支柱14、15及びモータ16が固定され、左右に間隔を空けて設けられた支柱14、15は、各上部が横架材17によって連結されている。なお、図1は、搬送装置10を正面から見た図であり、本実施の形態では、搬送装置10を背面から見て左側を左、右側を右とする。
モータ16には、モータ16から動力を与えられて回転するドラム18が連結され、ドラム18には、一端がドラム18に固定されたワイヤーロープ19が巻き付けられている。横架材17の右側には、ワイヤーロープ19が掛け渡されたドラム20と、ドラム20と共にドラム20と同軸上で回転するドラム21とが回転自在に取り付けられている。ドラム21には、一端がドラム21に固定されたワイヤーロープ22が巻き付けられ、ワイヤーロープ22は、横架材17の左側に回転自在に取り付けられたドラム23に掛け渡されている。
【0015】
ワイヤーロープ22、19の各他端は、キャリッジ12の左側(一側)及び右側(他側)にそれぞれ接続され、キャリッジ12の左側には、支柱14に当接する車輪24、24a、25、25aが取り付けられ、キャリッジ12の右側には、支柱15に当接する車輪26、26a、27、27aが取り付けられている。対となる車輪24、24aは、同一高さに配置され、支柱14の前側及び後側にそれぞれ当接し、対となる車輪25、25aは、車輪24、24aより低い位置で同一高さに配置され、支柱14の前側及び後側にそれぞれ当接している。
【0016】
そして、対となる車輪26、26aは、同一高さに配置され、支柱15の前側及び後側にそれぞれ当接し、対となる車輪27、27aは、車輪26、26aより低い位置で同一高さに配置され、支柱15の前側及び後側にそれぞれ当接している。
モータ16の作動によりドラム18が回転すると、車輪24、24a、25、25aが支柱14上を転動し、車輪26、26a、27、27aが支柱15上を転動して、キャリッジ12が、支柱14、15に沿って上昇あるいは下降する。
【0017】
キャリッジ12は、図2図3に示すように、左右方向に配置された棒材28を前側に備え、棒材28の後方には、棒材28に平行して配置された棒材29が設けられている。キャリッジ12には、棒材28、29に下から支持されて前後方向に沿う長尺の支持部材30、31がそれぞれ左端及び右端に設けられ、支持部材30、31の間に、棒材28、29に下から支持されて前後方向に沿う長尺のベース部材32、33が間隔を空けて配置されている。
【0018】
更に、キャリッジ12は、図2に示すように、ベース部材32、33にそれぞれ取り付けられた左コンベア34及び右コンベア35を備え、左コンベア34及び右コンベア35には、物品11を載せるパレット36が載置可能である。左コンベア34及び右コンベア35は、図示しないモータから駆動力を与えられて作動し、物品積み降ろし位置において、キャリッジ12からパレット36と共に物品11を降ろすことや、キャリッジ12にパレット36と共に物品11を積み込むことができる。
【0019】
本実施の形態においては、異なる高さに物品積み降ろし位置が設けられ、左コンベア34及び右コンベア35は、キャリッジ12が一の物品積み降ろし位置に配されている状態で作動して、物品11の積み降ろしを行う。
なお、左コンベア34及び右コンベア35は、左右方向に沿って配された横架材37によって連結されている。
【0020】
また、キャリッジ12は、下端が支持部材31に固定され、連結体39を介してワイヤーロープ19に接続された縦長部材40と、下端が支持部材30に固定され、連結体41を介してワイヤーロープ22に接続された縦長部材42を備えている。
そして、同一高さに配置されたベース部材32、33(即ち、キャリッジ12の下部)には、図2図3に示すように、下側に、前後に間隔を空けて配された支持部材43、44が固定され、支持部材43、44には、モータ45が固定されている。なお、図3においては、モータ45を支持部材44に固定するモータ保持片44aは記載しているが、モータ45を支持部材43に固定するモータ保持片の記載は省略している。
【0021】
モータ45は、前後方向に沿った回転軸46に、図示しない動力伝達機構を介して、接続され、回転軸46は、支持部材43に固定された軸受けブロック47及び支持部材44に固定された軸受けブロック47aに回転自在に支持されている。回転軸46には、図3に示すように、軸受けブロック47から前側に突出した前端及び軸受けブロック47aから後側に突出した後端に、回転体48、49がそれぞれ固定されている。本実施の形態では、図2図3に示すように、回転体48、49が円形の板材であり、回転体48の中心及び回転体49の中心に回転軸46の前端及び後端がそれぞれ固定されている。
【0022】
そして、回転軸46と共に回転する回転体48、49には、平面視して左右方向に配された支持ロッド50、51がそれぞれ取り付けられている。
支持ロッド50は、基側が、回転体48の回転中心から離れた位置に回転自在に取り付けられ、先側に、支持ロッド50に対して傾動可能に取り付けられた棒材(支持体の一例)52が連結されている。
【0023】
基側が支持ロッド50に連結された棒材52は、支持部材30に固定された保持具53によって左右方向(水平)に配された状態が保たれ、先側に、フローティングジョイント53aを介して差し込み片54が連結されている(即ち、棒材52は、差し込み片54の基側に連結されている)。保持具53は、棒材52を進退自在に支持している。
【0024】
本実施の形態では、棒材52と共に進退する差し込み片54は、フローティングジョイント53aによって、棒材52に対して所定角度(本実施の形態では、10°以下)の範囲で傾動可能、かつ、棒材52に対して、差し込み片54の進退方向に直交する方向で、所定(本実施の形態では、3mm以下)の範囲で平行移動可能に接続されているが、フローティングジョイント53aは必ずしも必要ではない。
本実施の形態においては、主として、棒材52、フローティングジョイント53a、及び、差し込み片54によって、スライド部材55が構成され、棒材52(即ち、スライド部材55)は、保持具53によって、支持部材30(即ち、キャリッジ12)に進退可能に取り付けられている。
【0025】
また、本実施の形態では、右から左に向かって順に、支持ロッド50、棒材52、フローティングジョイント53a、及び、差し込み片54が並べられ、スライド部材55の左方向への移動(左への水平移動)が、スライド部材55の前進を意味し、スライド部材55の右方向への移動(右への水平移動)が、スライド部材55の後退をそれぞれ意味する。
【0026】
支持ロッド51も、支持ロッド50と同様に、基側が、回転体49の回転中心から離れた位置に回転自在に取り付けられ、先側に、支持ロッド51に対して傾動可能に取り付けられた棒材(支持体の一例)56が連結されている。
基側が支持ロッド51に連結された棒材56は、支持部材31に固定された保持具57によって左右方向(水平)に配された状態が保たれ、先側に、フローティングジョイント57aを介して差し込み片58が連結されている(即ち、棒材56は、差し込み片58の基側に連結されている)。保持具57は、棒材56を進退可能に支持している。
【0027】
本実施の形態では、棒材56と共に進退する差し込み片58は、フローティングジョイント57aによって、棒材56に対して所定角度(本実施の形態では10°以下)の範囲で傾動可能、かつ、棒材56に対して、スライド部材59の進退方向に直交する方向で、所定(本実施の形態では、3mm以下)の範囲で平行移動可能に接続されているが、フローティングジョイント57aは必ずしも必要ではない。
本実施の形態においては、主として、棒材56、フローティングジョイント57a、及び、差し込み片58によってスライド部材59が構成され、棒材56(即ち、スライド部材59)は、保持具57によって、支持部材31(即ち、キャリッジ12)に進退可能に取り付けられている。
【0028】
また、本実施の形態では、左から右に向かって順に、支持ロッド51、棒材56、フローティングジョイント57a、及び、差し込み片58が並べられ、スライド部材59の右方向への移動(右への水平移動)が、スライド部材59の前進を意味し、スライド部材59の左方向への移動(左への水平移動)が、スライド部材59の後退をそれぞれ意味する。
【0029】
回転体48、49の各外周部には、図3に示すように、スイッチドグ60、61が装着され、支持部材43、44にはそれぞれ、スイッチドグ60に対応したリミットスイッチ62及びスイッチドグ61に対応したリミットスイッチ63が取り付けられている。
モータ45の作動により回転体48、49が回動すると、回転体48、49が180°回動するごとに、スイッチドグ60がリミットスイッチ62に接触、あるいは、スイッチドグ61がリミットスイッチ63に接触する。
【0030】
モータ45は、スイッチドグ60のリミットスイッチ62への接触、又は、スイッチドグ61のリミットスイッチ63への接触によって停止するように設計されている。従って、回転体48、49は、180°回動するごとに停止する。
スライド部材55、59は、スイッチドグ61がリミットスイッチ63に接触した際に、図4(A)に示すように、後退位置に配され、スイッチドグ60がリミットスイッチ62に接触した際に、図4(C)に示すように、前進位置に配される。
【0031】
そして、スライド部材55、59が、前進位置又は後退位置に配された状態で、図4(A)、(C)に示すように、支持ロッド50、棒材52及び差し込み片54は、直線上に並び、支持ロッド51、棒材56及び差し込み片58も直線上に並ぶ。
一方、スライド部材55、59が、前進位置と後退位置の間に配されているときは、図4(B)に示すように、支持ロッド50が棒材52に対して傾き、支持ロッド51も棒材56に対して傾いた状態となる。
なお、図4(A)、(B)、(C)では、保持具53、57が、一部を省略して記載されている。
【0032】
支柱14には、図1図2図3に示すように、高さ位置が異なる複数の物品積み降ろし位置それぞれに、差し込み片54が掛止される受け部材64が固定して設けられ、支柱15にも、高さ位置が異なる複数の物品積み降ろし位置それぞれに、差し込み片58が掛止される受け部材64aが固定して設けられている。
各受け部材64は、支柱14の前側に固定され、各受け部材64aは支柱15の後側に固定されている。
【0033】
差し込み片54は、図5(A)、(B)に示すように、先側(搬送装置10全体では左側)に向かって縮径した円錐状に形成され、下部が、先側に上がって傾斜し、上部が、先側に下がって傾斜している。そして、差し込み片54の下部によって、先側に向かって上がる先上がり傾斜部65が形成され、差し込み片54の上部によって、先側に向かって下がる先下がり傾斜部66が形成されている。即ち、差し込み片54には、差し込み片54の先側に向かって上がる先上がり傾斜部65と、差し込み片54の先側に向かって下がる先下がり傾斜部66が設けられている。
先上がり傾斜部65は、先下がり傾斜部66の直下に位置し、水平面と先上がり傾斜部65のなす鋭角は、水平面と先下がり傾斜部66のなす鋭角と実質的に等しい。
そして、差し込み片54の先端には、平面部67が形成されている。
【0034】
受け部材64は、差し込み片54が嵌め込まれる窪み68を備え、窪み68は、先上がり傾斜部65の傾きと実質的に同角度で傾いた下側傾斜部69、先下がり傾斜部66の傾きと実質的に同角度で傾いた上側傾斜部70、及び、底側に配された平面底部71を有し、差し込み片54に合わせた形状を備えている。
スライド部材55は、前進位置まで前進して、先上がり傾斜部65を下側傾斜部69全体に当接し、先下がり傾斜部66を上側傾斜部70全体に当接し、平面部67を平面底部71に当接し、差し込み片54を、窪み68全体に接した状態で窪み68に嵌め込まれて、差し込み片54を受け部材64に係止(掛止)させる。差し込み片54が受け部材64に係止されるとは、スライド部材55が受け部材64に係止されることを意味する。
なお、図5(A)、(B)においては、保持具53が、一部を省略して記載されている。
【0035】
差し込み片58及び受け部材64aは、差し込み片54及び受け部材64とそれぞれ同様の形状を備えている(即ち、差し込み片58は、先側に向かって縮径した円錐状に形成され、先側に向かって上がる先上がり傾斜部が下側に設けられ、先側に向かって下がる先下がり傾斜部が上側に設けられ、受け部材64aは、差し込み片58の先上がり傾斜部と実質的に同角度で傾いた下側傾斜部、及び、差し込み片58の先下がり傾斜部と実質的に同角度で傾いた上側傾斜部を有する窪みを備える)。
また、スライド部材59と受け部材64aの関係は、スライド部材55と受け部材64の関係と同様であり、スライド部材59は、前進位置まで前進することによって、差し込み片58の先上がり傾斜部を受け部材64aの下側傾斜部に当接し、差し込み片58の先下がり傾斜部を受け部材64aの上側傾斜部に当接した状態で、差し込み片58を受け部材64aに係止(掛止)させる。差し込み片58が受け部材64aに係止されるとは、スライド部材59が受け部材64aに係止されることを意味する。
【0036】
そして、キャリッジ12は、一の物品積み降ろし位置において、差し込み片54が受け部材64に係止され、差し込み片58が受け部材64aに係止されることによって、その物品積み降ろし位置にとどめられる。
ここで、差し込み片54、58が受け部材64、64aにそれぞれ係止されていない状態では、物品積み降ろし位置で、物品11が新たにキャリッジ12に積み込まれる際、キャリッジ12にかかる荷重の増加により生じるワイヤーロープ19、22の伸びに合わせて、キャリッジ12が降下することになる。そして、キャリッジ12の降下程度によっては、物品11へのキャリッジ12の積み込みを安定的に完了することができなくなる。
【0037】
また、差し込み片54、58が受け部材64、64aにそれぞれ係止されていない状態で、物品積み降ろし位置において、キャリッジ12から物品11が降ろされると、キャリッジ12にかかる荷重が減少して、キャリッジ12が、ワイヤーロープ19、22の短縮により、上昇することになり、その上昇の程度によっては、キャリッジ12から物品11を降ろす作業を安定的に行うことができなくなる。
【0038】
そこで、本実施の形態では、キャリッジ12を、上昇させて、あるいは、降下させて、一の物品積み降ろし位置に移動させた後、その物品積み降ろし位置でキャリッジ12に対する物品11の積み降ろしが完了するまでの間、差し込み片54、58を受け部材64、64aにそれぞれ係止した状態が維持される。従って、キャリッジ12にかかる荷重の増減によるキャリッジ12の昇降が抑制され、キャリッジ12に対する物品11の積み降ろしを安定的になすことが可能となる。
そして、キャリッジ12に対する物品11の積み降ろしが完了した後、差し込み片54、58が受け部材64、64aからそれぞれ取り外されて、差し込み片54、58が受け部材64、64aにそれぞれ係止した状態は解除される。
【0039】
また、物品積み降ろし位置でキャリッジ12に物品11が積み込まれて、キャリッジ12にかかる負荷が増加した後、差し込み片54、58を受け部材64、64aにそれぞれ係止した状態を解除すると、キャリッジ12は降下する。逆に、物品積み降ろし位置でキャリッジ12から物品11が降ろされて、キャリッジ12にかかる負荷が減少した後、差し込み片54、58を受け部材64、64aにそれぞれ係止した状態を解除すると、キャリッジ12は上昇する。
【0040】
ここで、物品積み降ろし位置でキャリッジ12に物品11が積み込まれた後に、差し込み片54、58を受け部材64、64aからそれぞれ取り外す際、差し込み片54は、図6(A)に示すように、窪み68から離れるまで、先上がり傾斜部65が下側傾斜部69に接した状態を維持しながら後退し、これは、差し込み片58と受け部材64aの間でも同じである。従って、差し込み片54、58が受け部材64、64aからそれぞれ完全に取り外されるまで、キャリッジ12は、スライド部材55、59の後退に合わせて徐々に降下することになり、急激な降下が防止される。
【0041】
一方、物品積み降ろし位置でキャリッジ12から物品11が降ろされた後に、差し込み片54、58を受け部材64、64aからそれぞれ取り外す際、差し込み片54は、図6(B)に示すように、窪み68から離れるまで、先下がり傾斜部66が上側傾斜部70に接した状態を維持しながら後退し、これは、差し込み片58と受け部材64aとの間でも同じである。これによって、差し込み片54、58が受け部材64、64aからそれぞれ完全に取り外されるまで、キャリッジ12は、スライド部材55、59の後退に合わせて徐々に上昇することになり、急激な上昇が防止される。
なお、図6(A)、(B)において、保持具53は、一部が省略して記載されている。
【0042】
また、差し込み片54は、棒材52に対して、所定角度で傾動可能で、かつ、所定の範囲で平行移動可能に接続されているので、差し込み片54の軸心が受け部材64の窪み68の中心に一致していない状態で、差し込み片54が窪み68に挿入されても、差し込み片54を円滑に窪み68に嵌め込むことが可能である。なお、差し込み片54の棒材52に対する最大傾動角度、及び、差し込み片54の棒材52に対する最大平行移動幅は、キャリッジ12を物品積み降ろし位置に配した状態を維持する範囲に調整されている。これは、差し込み片58、棒材56及び受け部材64aの関係においても同様である。
【0043】
そして、スライド部材55、59及び受け部材64、64aは、スライド部材55と受け部材64の組、及び、スライド部材59と受け部材64aの組の2組があって、一方の組の受け部材64は、平面視して、キャリッジ12の中心から左側(一側)に距離を有して配置され、他方の組の受け部材64aは、平面視して、キャリッジ12の中心から右側(他側)に距離を有して配置され、一方の組のスライド部材55は、一側に向かって前進して一方の組の受け部材64に係止され、他方の組のスライド部材59は、他側に向かって前進して他方の組の受け部材64aに係止される。従って、一方の組の受け部材と他方の組の受け部材が共に、キャリッジ12の中心から同じ方向に距離を有して配置されているのに比べ、キャリッジ12を安定的に物品積み降ろし位置に固定することが可能である。
【0044】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、搬送装置は、スタッカークレーンであってもよく、パレットに載せることなく、直接、物品をキャリッジに載せるタイプであってもよい。
また、キャリッジは、昇降せず、横移動して物品を搬送してもよいし、ワイヤーロープによって吊下げられている必要もない。
そして、スライド部材は、水平に進退する必要はなく、例えば、斜め方向に進退してもよい。
【0045】
更に、スライド部材と受け部材の組は、1組、あるいは、3組以上であってもよく、受け部材は、支柱に固定されている必要はない。
また、差し込み片は、円錐状である必要はなく、例えば、板材をV字状に折り曲げて、折り曲げ位置を基準にして一側に先上がり傾斜部、他側に先下がり傾斜部をそれぞれ備えた形状であってもよい。そして、差し込み片は、支持体に対して、傾動可能である必要はなく、平行移動可能である必要もない。
【0046】
更に、差し込み片の受け部材への係止によって、物品の積み込みによるキャリッジの降下のみを抑制する場合(即ち、物品を降ろすことによるキャリッジの上昇は抑制しない場合)、差し込み片は先下がり傾斜部を備えている必要はなく、受け部材は上側傾斜部を有する必要がない。その場合、物品を降ろすことによるキャリッジの上昇は、スライド部材を受け部材に係止する機構以外の機構で抑制すればよい。
【符号の説明】
【0047】
10:搬送装置、11:物品、12:キャリッジ、13:ベース部材、14、15:支柱、16:モータ、17:横架材、18:ドラム、19:ワイヤーロープ、20、21:ドラム、22:ワイヤーロープ、23:ドラム、24、24a、25、25a、26、26a、27、27a:車輪、28、29:棒材、30、31:支持部材、32、33:ベース部材、34:左コンベア、35:右コンベア、36:パレット、37:横架材、39:連結体、40:縦長部材、41:連結体、42:縦長部材、43、44:支持部材、44a:モータ保持片、45:モータ、46:回転軸、47、47a:軸受けブロック、48、49:回転体、50、51:支持ロッド、52:棒材、53:保持具、53a:フローティングジョイント、54:差し込み片、55:スライド部材、56:棒材、57:保持具、57a:フローティングジョイント、58:差し込み片、59:スライド部材、60、61:スイッチドグ、62、63:リミットスイッチ、64、64a:受け部材、65:先上がり傾斜部、66:先下がり傾斜部、67:平面部、68:窪み、69:下側傾斜部、70:上側傾斜部、71:平面底部
図1
図2
図3
図4
図5
図6