特許第6343520号(P6343520)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6343520液体容器及び当該液体容器を備えた作業機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343520
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】液体容器及び当該液体容器を備えた作業機
(51)【国際特許分類】
   F01M 11/06 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
   F01M11/06 D
   F01M11/06 F
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-162772(P2014-162772)
(22)【出願日】2014年8月8日
(65)【公開番号】特開2016-37934(P2016-37934A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浦 祐太
【審査官】 齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−128310(JP,U)
【文献】 特開2004−340635(JP,A)
【文献】 特開2002−195432(JP,A)
【文献】 特開2012−006548(JP,A)
【文献】 特開平09−088542(JP,A)
【文献】 特開2008−247158(JP,A)
【文献】 特開2005−147088(JP,A)
【文献】 特開2009−222214(JP,A)
【文献】 実開昭55−036162(JP,U)
【文献】 特開2002−030997(JP,A)
【文献】 米国特許第5327861(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0097482(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 11/04−06
F16K 31/18−34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端開口部を有する筒状部が上方に突出し、液体を収容可能な液体収容部と、
前記筒状部の内部に配置され、液面の高さに応じて開閉する弁部材と、
前記筒状部の内面と前記弁部材との間に設けられる前記液体の流通路と、
前記先端開口部を閉塞可能な蓋部と、を備え、
前記弁部材は、凸部を有し、
前記弁部材が液面上昇によって閉弁すると、前記流通路が閉塞され、前記凸部が前記先端開口部から突出して目視可能になり
前記蓋部が前記先端開口部を閉塞すると、前記先端開口部から突出する前記凸部を前記蓋部が前記筒状部内に押し込む、
液体容器。
【請求項2】
前記先端開口部と前記弁部材との間に設けられ、前記液体が流通する液体流通口を備え、
前記弁部材は、前記液体よりも密度が小さいフロートであり、
前記フロートは、液面上昇に従って前記筒状部内を浮上し、前記液体流通口を閉塞することにより閉弁する、
請求項1に記載の液体容器。
【請求項3】
前記先端開口部と前記弁部材との間に設けられるガイド部材を備え、
前記弁部材が液面上昇によって前記ガイド部材に当接して閉弁すると、前記ガイド部材と前記先端開口部との間に溜まる前記液体が目視可能となる、
請求項1又は2に記載の液体容器。
【請求項4】
前記ガイド部材は、前記弁部材側に延在する延在部を有し、
前記延在部は、前記筒状部の内面と前記弁部材の外面との間に配置され、溝又は切欠を有し、
前記流通路は、前記弁部材の外面と前記延在部の前記溝とによって形成され、又は、前記弁部材の外面と前記延在部の前記切欠と前記筒状部の内面とによって形成される、
請求項に記載の液体容器。
【請求項5】
前記弁部材は、外面に溝を有し、
前記流通路は、前記弁部材の前記溝と前記筒状部の内面とによって形成される、
請求項1〜のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項6】
前記液体は、エンジンオイルである、
請求項1〜のいずれか1項に記載の液体容器。
【請求項7】
エンジンオイルを収容する液体容器を備えた作業機であって、
前記液体容器は、先端開口部を有する筒状部が上方に突出し、液体を収容可能な液体収容部と、
前記筒状部の内部に配置され、液面の高さに応じて開閉する弁部材と、
前記筒状部の内面と前記弁部材との間に設けられる前記液体の流通路と、
前記先端開口部を閉塞可能な蓋部と、を備え、
前記弁部材は、凸部を有し、
前記弁部材液面上昇によって閉弁すると、前記流通路が閉塞され、前記凸部が前記先端開口部から突出して目視可能になり
前記蓋部が前記先端開口部を閉塞すると、前記先端開口部から突出する前記凸部を前記蓋部が前記筒状部内に押し込む、
作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体容器及び当該液体容器を備えた作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来においては、オイル等の液体を貯留する容器であって、例えば外面の一部を透明又は半透明に形成して更に目盛を付すことによって、外側から液面を目視可能とした容器があった。
また、例えば特許文献1には、ガイド管と、オイルの液面に追従してガイド管内を移動可能な昇降体と、昇降体の一部が目視可能なように透明に形成される目印表示領域とを備え、ガイド管内を浮上する昇降体が目印表示領域を通じて視認されると十分量のオイルが注入されたと確認することができる発明が記載されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−111403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来において特許文献1に記載の発明を採用しても、液体容器に上限量を超えた液体を注入し続けることが可能であった。
【0005】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、上限量の液体を注入すると、強制的に液体の液体収容部へ流入を防止する液体容器及び当該液体容器を備えた作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するための手段として、液体容器は、先端開口部を有する筒状部が上方に突出し、液体を収容可能な液体収容部と、筒状部の内部に配置され、液面の高さに応じて開閉する弁部材と、筒状部の内面と弁部材との間に設けられる液体の流通路と、先端開口部を閉塞可能な蓋部と、を備え、弁部材は、凸部を有し、弁部材が液面上昇によって閉弁すると、流通路が閉塞され、凸部が先端開口部から突出して目視可能になり蓋部が先端開口部を閉塞すると、先端開口部から突出する凸部を蓋部が筒状部内に押し込む
【0007】
液体容器において、先端開口部と弁部材との間に設けられ、液体が流通する液体流通口を備え、弁部材は、液体よりも密度が小さいフロートであり、フロートは、液面上昇に従って筒状部内を浮上し、液体流通口を閉塞することにより閉弁することが好ましい。
【0010】
液体容器において、先端開口部と弁部材との間に設けられるガイド部材を備え、弁部材が液面上昇によってガイド部材に当接して閉弁すると、ガイド部材と先端開口部との間に溜まる液体が目視可能となることが好ましい。
【0011】
液体容器において、ガイド部材は、弁部材側に延在する延在部を有し、延在部は、筒状部の内面と弁部材の外面との間に配置され、溝又は切欠を有し、流通路は、弁部材の外面と延在部の溝とによって形成され、又は、弁部材の外面と延在部の切欠と筒状部の内面とによって形成されることが好ましい。
【0012】
液体容器において、弁部材は、外面に溝を有し、流通路は、弁部材の溝と筒状部の内面とによって形成されることが好ましい。
【0013】
液体容器において、液体は、エンジンオイルであることが好ましい。
【0014】
課題を解決するための別の手段として、作業機は、エンジンオイルを収容する液体容器を備えた作業機であって、液体容器は、先端開口部を有する筒状部が上方に突出し、液体を収容可能な液体収容部と、筒状部の内部に配置され、液面の高さに応じて開閉する弁部材と、筒状部の内面と弁部材との間に設けられる液体の流通路と、先端開口部を閉塞可能な蓋部と、を備え、弁部材は、凸部を有し、弁部材液面上昇によって閉弁すると、流通路が閉塞され、凸部が先端開口部から突出して目視可能になり蓋部が先端開口部を閉塞すると、先端開口部から突出する凸部を蓋部が筒状部内に押し込む
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、上限量の液体が液体収容部に注入されると、液面上昇によって弁部材が閉弁し、液体の流通路が閉塞されるので、液体が液体収容部へ流入することを強制的に防止可能な液体容器及び当該液体容器を備えた作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明に係る液体容器の一実施形態を示す図である。
図2図2は、図1に示した液体容器のオイルケースの概略図である。
図3図3(A)は、図2に示したオイルケースにおける筒状部の一部を拡大した断面概略図である。図3(B)は、図3(A)のX−X線における断面概略図である。
図4図4は、蓋部を取り外したオイルケースの一部を拡大した斜視断面図である。
図5図5は、上限量までエンジンオイルが注入されたオイルケースの一部を拡大した断面概略図である。
図6図6は、エンジンオイルが上限量まで注入され、更に蓋部を装着されたオイルケースの一部を拡大した断面概略図である。
図7図7(A)及び図7(B)は、本発明における液体容器における流通路の変形例の一部を拡大した断面概略図である。
図8図8は、本発明に係る作業機の一実施形態を示す斜視図である。
図9図9は、図8に示した刈払機の使用状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る液体容器は、上限量の液体が注入されたことを使用者が目視によって確認することのできる液体の容器に適用することができる。本発明に係る液体容器として具体的には、例えば4ストローク型のエンジンにおけるオイルケース、及び、ガソリンケースとオイルケースとが分割して設けられて成る2ストローク型のエンジンにおけるオイルケース等を挙げることができる。
【0018】
本発明に係る液体容器に注入及び収容される液体としては、特に制限されず、例えば液体容器がオイルケースである場合はエンジンオイル等を用いることができる。
【0019】
本発明に係る液体容器の一実施形態について、図面を参照しつつ以下に説明する。なお、図1は、本発明に係る液体容器の一実施形態が設けられる4ストローク型のエンジン1の外観を示す概略図である。また、図2は、本発明に係る液体容器の一実施形態であるオイルケース2の外観を示す概略図である。
【0020】
図1に示すように、エンジン1は、オイルケース2と、シリンダ部3と、キャブレタ4と、エアクリーナ5と、マフラー6と、エンジンスタータ7と、ハウジング8と、ガソリンケース9とを有する。オイルケース2については、図2〜6を参照しつつ詳述する。
【0021】
シリンダ部3は、略円筒形状を有し、外面に外側に張り出す冷却フィンが設けられている。シリンダ部3の内部には、シリンダ部3の内周面を摺動可能なピストン(図示せず)が配置されている。また、シリンダ部3の図1における下方には、回転可能なクランクを内蔵するクランクケース(図示せず)が取付けられている。シリンダ部3と、ピストンと、クランクケースとによって、エンジンオイルによって潤滑な空間であるクランク室が形成される。
【0022】
エアクリーナ5とキャブレタ4とは、エンジン1の吸気系に設けられる。エアクリーナ5は、フィルタを内蔵し、外気をエンジン1内に取り込む。エアクリーナ5内のフィルタを外気が通過することによって、外気に含まれる粉塵及びゴミが濾し取られる。また、キャブレタ4は、エアクリーナ5に連結され、ガソリン等の液体燃料とエアクリーナ5から取り込まれた気体とを混合する。液体燃料と気体との混合物は、燃焼のためにシリンダ部3内に流入する。
【0023】
エンジン1は例えばガソリンを燃料とするガソリンエンジンであるので、ガソリンケース9にはガソリンが貯留されている。なお、本発明において、例えばエンジンがディーゼルエンジンである場合は、ガソリンケース9に代えて軽油又は重油等を収容する燃料ケースを用いることができる。
【0024】
マフラー6は、エンジン1の排気系に設けられる。マフラー6は、気体が流通可能な流通路、及び、流通路に配置され、有害物質等を除去可能な触媒を有する。燃料と気体との混合物がシリンダ部3内で燃焼済み気体と成って、マフラー6内を通過する。
【0025】
エンジンスタータ7は、エンジン1を始動することができる。ハウジング8の外側に突出しているエンジンスタータ7のレバーを引くと、強制的にクランクを回転させることができるので、結果としてエンジン1を強制的に始動することができる。
【0026】
ハウジング8は、使用者がエンジン1において加熱され易い部材に直接接触しないように設けられる。ハウジング8は、シリンダ部3、クランクケース、及びマフラー6等の一部又は全体を覆うように配置される。
【0027】
続いて示す図2は、オイルケース2のみを図1の右方から見た場合の概略図である。なお、以下の各図面の説明において、「オイル」はエンジンオイルである。
図2に示すように、オイルケース2は、オイル収容部10、蓋部11、及び窓部12を有する。
【0028】
オイル収容部10は、先端開口部13を有する筒状部14が上方に突出し、エンジンオイルを収容可能である。なお、オイル収容部10は、本発明に係る液体容器における液体収容部の一例である。
筒状部14は、円筒形状を成し、オイルケース2へのエンジンオイルの注入時にエンジンオイルが通過する部位である。
【0029】
図2に示す筒状部14の突出方向は、オイル収容部10の底面を水平にした場合に、斜め上方向である。本発明において筒状部の突出方向としては、エンジンをエンジンオイルが注入される際の通常の姿勢に静置した場合、つまり例えばエンジンを水平面又は略水平面に静置した場合、先端開口部を通じて筒状部内に注入されたエンジンオイルが自重でオイル収容部まで到達する方向であれば良い。すなわち、エンジンを上記姿勢に静置した場合、筒状部の突出方向が上方向を含む方向、例えば上方向又は斜め上方向であれば良い。
【0030】
更に、先端開口部13の開口する方向と、筒状部14の突出方向とが同方向であるのが好ましい。先端開口部13が上方に開口することによって、使用者が先端開口部13を介してエンジンオイルを注入する際に、先端開口部13及び筒状部14の内部が視認可能である。これにより、使用者は、エンジンオイルの注入状況等を確認しつつ、注入が可能であるので、エンジンオイルの過度の注入を防止することができる。また、先端開口部13が上方に開口することによって、エンジンオイルを注入し易く、注入後に先端開口部13からの液垂れが生じ難い。
【0031】
蓋部11は、筒状部14の先端開口部13を閉塞可能である。蓋部11は、エンジン1の使用時には先端開口部13に対して固定され、エンジンオイルのオイル収容部10内への注入時には先端開口部13から取り外される。蓋部11と先端開口部13との固定形態としては、エンジン1の使用によって固定状態が勝手に解除されない限り特に制限は無く、例えば螺合、嵌合又は係合等を採用することができる。
【0032】
窓部12は、エンジンオイルの液面位置を視認可能にするためのオイル収容部10の一部位であり、透明材料又は半透明材料により形成される。また、窓部12には、目盛15が設けられており、上方の目盛15はエンジンオイルの上限量を示し、下方の目盛15は下限量を示している。例えば下方の目盛15よりも下方にエンジンオイルの液面が窓部12を通じて視認される場合は、エンジンオイルの追加時期、及び交換時期であるとエンジン1の使用者が判断することができる。
【0033】
ここで、軸線に沿って切断された筒状部14の断面概略図を、図3(A)に示す。また、図3(B)は、図3(A)のX−X線を通る切断面を示す断面概略図である。
なお、図3は概略図であるので、図1及び図2に示した筒状部14等の形状と、図3に示す筒状部14等の形状との詳細が異なることがある。
【0034】
図3(A)に示すように、オイルケース2は、上記筒状部14、フロート16、ガイド部材17、及び流通路18を備える。図3(A)に示すオイルケース2は、エンジンオイルが上記オイル収容部10内に収容されていない状態、又は、上限量よりも少ない量のエンジンオイルが収容されている状態で、かつ蓋部11が筒状部14の先端開口部13を閉塞している。
【0035】
先ず、フロート16は、本発明に係る液体容器における弁部材の一例である。フロート16は、筒状部14の内部に配置され、エンジンオイルよりも密度が小さい材料によって形成される。フロート16は、相対的に大経の胴部19と、胴部19の一端部から延在し、相対的に小径の凸部20とを有する。胴部19及び凸部20は、いずれも略円柱形状を成す。フロート16は、筒状部14の軸線に沿って移動可能である。フロート16において、胴部19の外面21から凸部20の周面にかけて縮径するテーパ面が流通規制部23として形成されている。更に、凸部20の周面には、径方向外側に突出するフランジ24が形成されている。胴部19の外面21と、筒状部14の内面22との間に流通路18が形成されている。なお、流通路18については後述する。
【0036】
フロート16の材料としては、例えばエンジン1において使用し得る最小の密度を有するエンジンオイルよりも小さい密度を有する材料を用いることができる。これにより、様々なエンジンオイルをオイルケース2に注入しても、フロート16はエンジンオイルに浮くので、本発明の目的を達成することができる。もっとも、エンジンオイルの種類を変更する度に、エンジンオイルの密度に応じて密度の異なるフロート16を使い分けても良い。
【0037】
ガイド部材17は、筒状部14の内部においてフロート16より先端開口部13側に配置され、オイル流通口25を有する。また、ガイド部材17は、略筒状を成し、フロート16の胴部19側に延在する延在部26を有する。図3(A)に示すように、ガイド部材17は、相対的に大経の張り出し部27と、相対的に小径の延在部26とを有する。筒状部14の内面22は、上記オイル収容部10側、つまり図3(A)における右下側が筒状部14の径方向内側に張り出して小径となるように形成されている。更に、該小径部分の先端開口部13側の端部が、肩部28として形成されている。
ガイド部材17は、大経の張り出し部27が小径の肩部28に引っかかることによって、筒状部14内においてオイル収容部10側に落ち込んでしまうことが無い。なお、好ましくは、張り出し部27が肩部28に引っかかった状態でガイド部材17が固定されていることによって、フロート16の可動範囲を一義的に決定することができる。フロート16の可動範囲については、エンジンオイルの注入の作用及び効果と共に後述する。
【0038】
ガイド部材17の延在部26は、筒状部14の内面22とフロート16の胴部19との間に配置されている。更に、延在部26には、筒状部14の軸線方向に沿って等間隔に切欠29が形成されている。これにより、延在部26は、図3(B)に示すように、胴部19の外面21を囲んで配置される棒状部材として形成されている。
【0039】
張り出し部27は、径方向内側に配置されるフロート規制部30を有する。フロート規制部30は、板状部材であり、先端開口部13とは反対側、つまりフロート16側の端面が流通規制部23の形状に合わせて形成されている。フロート規制部30は、略中央部に設けられる挿通口31と、該挿通口31の周囲に複数設けられるオイル流通口25と、を有する。オイル流通口25は、先端開口部13側とフロート16側とを連通する貫通孔である。挿通口31は、フロート16の凸部20が挿通する貫通孔である。
【0040】
挿通口31の径方向の大きさは、凸部20のフランジ24の径方向の大きさより小さく、凸部20の径方向の大きさより大きい。よって、フロート16は、フランジ24が挿通口31に引っかかることによって、筒状部14内においてオイル収容部10側に落ち込んでしまうことが無い。
【0041】
蓋部11は、先端開口部13を閉塞したときに筒状部14内に臨む端面において。凹部32を有する。凹部32は、蓋部11の径方向における略中央部で、かつ、筒状部14の径方向におけるフロート16の凸部20と略同位置に設けられる。
【0042】
流通路18はエンジンオイルが流通可能な空隙である。具体的には、フロート16における胴部19の外面21と、延在部26の切欠29と、筒状部14の内面22とによって形成される空隙が、流通路18である。
【0043】
上述したように、フロート16における胴部19の外面21がガイド部材17の延在部26により囲まれ、凸部20が挿通口31を挿通している。よって、ガイド部材17は、フロート16がその軸線方向に沿って移動可能とするための案内用部材である。
【0044】
なお、本発明においてフロート規制部30は、流通規制部23がオイル流通口25を閉塞可能である限り、流通規制部23の形状に合わせて形成されなくとも良い。また、オイル流通口25の数、形状、大きさ及び位置については、エンジンオイルがガイド部材17を通過して上記オイル収容部10へと流通可能である限り、特に制限は無い。
【0045】
続いて、オイルケース2へのエンジンオイルの注入について説明する。
先ず、従来の4ストローク型のエンジンにおけるオイルケースへのエンジンオイルの注入について説明する。
【0046】
例えば上述したシリンダ部3、クランクケース、マフラー6、ハウジング8、及びガソリンケース9等の部材が配置されて空いた領域に、オイルケースが配置されている。オイルケースは、この空いた領域に合わせた形状、大きさ及び配置が採用されることが多い。
【0047】
エンジンオイルの注入を行う場合、先ずエンジンを停止状態にし、エンジン毎にエンジンオイルを注入するために定められた姿勢又は推奨される姿勢にエンジンを静置する。このとき、例えば図1に示した状態のようにオイルケースがエンジンの下方に位置することが多い。これにより、使用者は、オイルケースを見下ろしつつエンジンオイルを注入していた。従来において、透明又は半透明に形成される上記窓部12等の視認用部位がオイルケースの側方に設けられていたとしても、上方からオイルケースの視認用部位を目視することがオイルケースの周辺部材によって妨げられることが多かった。また、視認用部位が目視できたとしても、視認用部位の色、エンジンオイル等の液体の色、及び注入環境の明るさ等の要因によって、エンジンオイルの液面が視認し難いこともあった。
【0048】
更に、従来においては、エンジンオイルの上限量を超えてもエンジンオイルを注入し続けることが可能であった。例えば、従来であれば図3(A)に示す筒状部14の蓋部11近傍までエンジンオイルを注入することが可能であった。よって、使用者は視認用部位の目視のし難さにより、上限量を超えたエンジンオイルを注入してしまい、注入口からエンジンオイルが溢れることもあった。
【0049】
なお、上限量を超えてエンジンオイルが注入されていると、シリンダ及びクランクの適切な潤滑が困難となること、エンジンの駆動中にエンジンオイルが吹き出すこと、及び、エンジンを傾斜させたときにエンジンオイルが漏出すること等が生じる可能性があった。
【0050】
上述した従来の問題点は、図1図3に示すエンジン1のオイルケース2においては生じない。オイルケース2にエンジンオイルを注入した場合の作用及び効果について、具体的に図4図6を参照しつつ以下に説明する。
【0051】
図4は、蓋部11を取り外したオイルケース2の一部を拡大した斜視断面図である。図4の太線矢印は、エンジンオイルが先端開口部13を介して注入された場合の、筒状部14内におけるエンジンオイルの流通経路の一例を示す。なお、破線矢印は、エンジンオイルが図4における胴部19の奥側に回り込む流通経路を示す。
【0052】
図4に示すオイルケース2は、エンジンオイルが上限量に達していない状態である。この状態においては、フロート16にエンジンオイルの液面が接触していない。よって、筒状部14内においてフロート16は自重で下限位置に位置している。フロート16の下限位置は、フランジ24が挿通口31の先端開口部13側に引っかかることによって、フロート16がガイド部材17から吊り下げ状態となる位置である。フロート16が下限位置に位置していると、フロート16の流通規制部23はオイル流通口25を閉塞しない。したがって、図4に示す流通経路のように、先端開口部13を介してエンジンオイルが注入可能となっている。
【0053】
エンジンオイルを注入し続けると、エンジンオイルの液面が上昇し、筒状部14内に進入する。エンジンオイルの液面が上昇し続けることによって液面がフロート16に接触すると、エンジンオイルよりも密度の小さいフロート16はエンジンオイルに浮く。更にエンジンオイルの液面が上昇すると、フロート16は筒状部14内においてエンジンオイルに押し上げられる。
【0054】
次に、上限量までエンジンオイルが注入されたオイルケース2の一部を拡大した断面概略図を、図5に示す。
【0055】
図5に示すフロート16は上限位置に位置している。フロート16の上限位置は、流通規制部23とフロート規制部30とが当接し、流通規制部23がオイル流通口25を閉塞する位置である。
【0056】
上述したように、フロート規制部30におけるフロート16側の端面が流通規制部23の形状に合わせて形成されている。よって、流通規制部23とフロート規制部30のオイル収容部10側の端面とが当接すると、流通規制部23とフロート規制部30の一端面とが面接触する。これにより、オイル流通口25が流通規制部23により閉塞される。
【0057】
フロート16とエンジンオイルの液面Sとが共に筒状部14内を上昇し、図5に示すように流通規制部23がオイル流通口25を閉塞すると、フロート16に対してエンジンオイルが接触している限り、フロート16に常に浮力が作用する。これにより、フロート16に対して浮力以外の外力が作用しない限り、流通規制部23がフロート規制部30に対して押し付けられた状態が維持される。
【0058】
したがって、オイルケース2は、エンジンオイルを適宜に設定される上限量まで注入するだけで、筒状部14内に設けられるオイル流通口25を強制的に閉塞することができる。これにより、強制的にエンジンオイルのオイル収容部10への流入を防止することができる。
【0059】
好ましくは、使用者は、図2に示した窓部12を通じてエンジンオイルの液面Sと上限量を示す目盛15とを目視しつつ、エンジンオイルの注入を行うのが良い。これにより、オイル収容部10に収容されるエンジンオイルが上限量に達したことを使用者が視認可能であると共に、エンジンオイルのオイル収容部10への流入が強制的に防止されるので、エンジンオイルの過度の注入を二重に防止することができる。
【0060】
図5に示すように、凸部20の先端部は、流通規制部23がオイル流通口25を閉塞すると先端開口部13から突出する。つまり、凸部20の先端部がオイルケース2の外部に露出する。使用者は、オイルケース2の外部に露出した凸部20の先端部が、エンジンオイルの注入時に目視可能となる。使用者は、凸部20の先端部を視認することによって、エンジンオイルの注入完了を判別することができる。もっとも、使用者が凸部20の先端部を視認した時には、筒状部14内においてエンジンオイルのオイル収容部10への流入が強制的に防止されているので、上限量を超えた過度のエンジンオイルの流入が生じることはない。好ましくは、凸部20の先端部に蛍光色等の視認し易い色に着色しておくことによって、使用者がエンジンオイルの注入完了を判別し易くなる。
【0061】
図5に示すように、流通規制部23がオイル流通口25を閉塞し、かつ、凸部20の先端部が先端開口部13から突出した状態になった後に、更にエンジンオイルの注入を続けると、筒状部14の先端開口部13からガイド部材17の張り出し部27までの領域においてエンジンオイルが溜まることによって、液溜まりPが生じる。
なお、好ましくは、エンジンオイルの注入量を少量に抑え、流通規制部23がオイル流通口25を閉塞し、かつ、凸部20の先端部が先端開口部13から突出した状態になると同時にエンジンオイルの注入を停止するのが良い。これにより、液溜まりPが生じさせることなく、エンジンオイルを正確に上限量まで注入することができる。
【0062】
もっとも、液溜まりPが生じても、筒状部14からエンジンオイルが溢れる等の状況にならない限り、問題は無い。
【0063】
続いて示す図6は、エンジンオイルが上限量まで注入され、更に蓋部11を装着されたオイルケース2の一部を拡大した断面概略図である。
【0064】
エンジンオイルの注入が完了した状態のオイルケース2において、蓋部11を筒状部14に装着することによって、蓋部11が先端開口部13を閉塞する。エンジンオイルの注入が完了した時に凸部20の先端部が先端開口部13から突出していたので、凹部32が凸部20をフロート16の浮力に抗して押し込みつつ、蓋部11が筒状部14に装着される。これにより、先端開口部13は閉塞し、かつ、フロート16により閉塞していたオイル流通口25は強制的に開放される。オイル流通口25が開放されると、液溜まりPに溜まっていたエンジンオイルの一部がオイル流通口25を通じてオイル収容部10側に流入する。
【0065】
なお、この実施形態においては、既にオイル収容部10内で上限量に達しているエンジンオイルに対して、液溜まりPからエンジンオイルが更に追加されることになる。しかしながら、通常の4ストローク型のエンジンであれば筒状部14の径が大きくなり過ぎることは無いので、液溜まりPからのエンジンオイルの流入量は少量である。よって、液溜まりPからエンジンオイルがオイル収容部10側に流入したところで、例えばエンジン1を傾けたときにエンジンオイルが漏出すること、及び、エンジン1の駆動中にエンジンオイルの吹き出すこと等の不具合は、生じない又は生じ難い。
【0066】
また、本発明において、フロートに凸部を設けない実施形態又は軸線方向の大きさが小さい凸部を設ける実施形態を採用することができる。これらの実施形態は、凸部の突出によって液体の上限量への到達を使用者に対して可視化する必要は無く、かつ、液溜まりに溜まっている液体を液体収容部側に流入させることによって液溜まりの液体量を低減することに特化しても良い場合に有用である。液溜まりの形成過程を使用者が目視によって確認し、液体の注入を確実に停止することができるのであれば、先端開口部からフロートの凸部を突出させる必要は無い。仮に液体の注入を停止したとしても液溜まりが形成してしまった場合は、蓋部の筒状部内に臨む端面に上記凹部32に代えて凸状部材を設けてフロートを液体収容部側に押し込むことによって、液体流通口を強制的に開放状態にすることができる。これにより、液溜まりの液体量の低減を図ることができる。
【0067】
液溜まりPに溜まっているエンジンオイルの大部分又は全部をオイル収容部10側に流入させるには、例えばフロート規制部30と張り出し部27との接続部位近傍にオイル流通口25を設けるのが良い。
【0068】
本発明においては、液溜まりPに溜まっているエンジンオイルの全部を、例えば綿及び不織布等の繊維物、又はスポイト等の吸入器等の適宜の吸い上げ部材で除去することによって、先端開口部13から突出可能な凸部20、及び凸部20を押し込み可能な凹部32等を設けなくとも良い。
【0069】
ここで、本発明に係る液体容器における流通路の変形例を示す。なお、図7(A)及び図7(B)に示す筒状部14は、図1図6に示した筒状部14と同一部材であるので、同一参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0070】
図7(A)に示す実施形態は、流通路がフロートの溝と筒状部の内面とによって形成されて成る。具体的に、図7(A)に示すオイルケース201の筒状部14の内部には、外面211に溝331を有するフロート161が配置されている。フロート161における胴部191の外面211には、フロート161の軸線に沿った溝331が形成されている。オイルケース201には、図1図6に示した延在部26が設けられていない。オイルケース201における流通路181は、フロート161の溝331と筒状部14の内面22とによって形成される。
【0071】
図7(B)に示す実施形態は、流通路がフロートの溝と筒状部の内面とによって形成されて成る。具体的に、図7(B)に示すオイルケース202の筒状部14の内部には、外面212に溝332を有するフロート162と、延在部内面34に延在部溝35を有するガイド部材172とが配置されている。なお、フロート162と、上記フロート161との相違点は胴部の径であり、その他の形状、及び溝の数等は共通しているので、フロート162についての詳細な説明は省略する。ガイド部材172の延在部262における延在部内面34には、ガイド部材172及びフロート162の軸線に沿った延在部溝35が形成されている。オイルケース202における流通路182は、フロート162の溝332と延在部262の延在部内面34とによって形成され、更にフロート162の外面212と延在部262の延在部溝35とによっても形成される。
【0072】
以上に説明した流通路181又は182は、筒状部14の先端開口部13から注入されるエンジンオイルが流通可能である。よって、筒状部14の先端開口部13を介してエンジンオイルが注入された場合に、フロート161又は162が液体流通口を閉塞するまではエンジンオイルが流通路181又は182を流通する。図7に示す実施形態は、いずれも適宜の溝等を設けることによって流通路181及び182を形成し、流通路内の液体の流通がフロート161及び162の浮上を妨げない。
【0073】
図7に示すオイルケース201及び202と、図1図6に示したオイルケース2とにおいて、エンジンオイルの流通方向の上流側に配置される各部材、つまり先端開口部、流通規制部、ガイド部材の張り出し部、及びフロート規制部等の形状は共通している。したがって、流通路181又は182をエンジンオイルが流通し、フロート161又は162が筒状部14内を浮上することによって、オイル流通口を強制的に閉塞することができる。
【0074】
図7(A)に示す実施形態は、ガイド部材が延在部を有していないので、部材製作に要する材料削減と、組付けの簡易化を図ることができる。図7(B)に示す実施形態は、流通路182の数が、図1図7(A)に示した実施形態の流通路18及び181の数に比べて多い。よって、仮にエンジンオイルなどの液体が流通路182の一部に対して固着して閉塞してしまった場合であっても、残りの流通路182が液体の流通を確保し易い。つまり、図7(B)に示す実施形態は流通路182における液体の目詰りを低減することができる。
【0075】
図1図7に示した実施形態は、筒状部14の先端開口部13が上方に向かって開口している。フロート16、161又は162が浮上することによって流通規制部23がオイル流通口25を強制的に閉塞した後に、エンジンオイルの注入が続いていると、液溜まりPが形成される。エンジンオイルを注入する使用者から先端開口部13を介して筒状部14内が視認可能であるので、液溜まりPの形成過程が視認可能である。これにより、使用者は、凸部20の先端部が先端開口部13から突出することだけでなく、液溜まりPの形成も視認することによって、エンジンオイルの注入完了を判別することができる。
【0076】
本発明においては、流通路を流通するエンジンオイル等の液体の粘度によらず、円滑に流通するのが好ましい。したがって、粘度が高い液体を用いる場合は、流通路の数を増やすことに比べて、流通路の断面積を大きくすることのほうが、液体の流通の円滑化をより一層図ることができる。
【0077】
また、本発明においてフロートの材料は、液溜まりが形成された場合に、液溜まりに溜まっている液体の重量によってフロートが押し下げられない材料を選択するのが好ましい。つまり、液溜まりに溜まっている液体が、その自重によってフロートの浮力に抗してフロートを押し下げることによって、液体流通口を開放状態にすると、使用者は上限量を超えて筒状部から溢れるまで液体を注入できてしまう。よって、フロートの材料は、液溜まりに貯めることのできる液体の重量程度では液体流通口が開放状態とならず、例えば上記蓋部11の凹部32で凸部20を強制的に押し下げる等の外力を加えない限りフロートが動かない密度を有する材料を採用するのが良い。フロートの材料は、液体容器に貯留される液体の密度、及び液溜まりに貯めることのできる液体量等に鑑みて決定することができる。
【0078】
本発明に係る液体容器がエンジンに適用される場合は、更にそのエンジンを例えば農作業、及び園芸作業等を行うための作業機に適用することができる。本発明に係る液体容器を備える作業機の一実施形態を、図8及び図9に示した。図8は、本発明に係る作業機の一実施形態である、刈払機101の斜視図である。図9は、図8の刈払機101の使用状態の説明図である。図9には、刈払機101と共に、作業者Xが図示されている。刈払機101の概要について、以下に簡単に説明する。
【0079】
図8に示す刈払機101は、地面に生えた雑草等を刈り取る作業機であり、携帯作業機の一例である。
図8に示す刈払機101は、例えば操作棹102、工具の装着部103、エンジンモジュール104、固定部105、防振ハウジング106、及びハンドル107を有する。エンジンモジュール104は、本発明に係るエンジンの一例である。
【0080】
操作棹102は、例えば長尺なパイプ部材で形成される。操作棹102は、複数のパイプ部材を連結する分割構造で良い。パイプ部材内には、図示外のドライブシャフトが配置される。
工具の装着部103は、長尺な操作棹102の一端に取り付けられる。装着部103は、たとえば工具チャック、工具カバー、を有する。装着部103の工具チャックは、操作棹102の長尺方向の一端において回転可能に取り付けられる。工具チャックには、例えば図9に示すように刈刃108などの工具が交換可能に取付けられる。工具カバーは、操作棹102に取り付けられ、工具チャックに取り付けられた工具の後側を覆う。
エンジンモジュール104は、長尺な操作棹102の他端に取り付けられる。エンジンモジュール104は、上述したエンジン1等の部材と、エンジン1を内部に収容する適宜のカバー部材を有する。操作棹102内に配置されるドライブシャフトの一端には、工具の装着部103の工具チャックが連結される。ドライブシャフトの他端には、エンジンのクラッチ機構を介してエンジンのクランクシャフト(図示せず)が連結される。これにより、エンジンの駆動力により、工具チャックに取り付けられた工具を回転駆動できる。
固定部105は、操作棹102の長尺方向の中央部に取り付けられる。
防振ハウジング106は、中空の円筒形状を有する。防振ハウジング106は、操作竿を通した状態で、図示外の弾性部材とともにエンジンモジュール104と固定部105との間に挟まれる。このように防振ハウジング106を操作棹102から浮かした状態で取り付けることにより、エンジンの振動が操作竿を通じて防振ハウジング106に伝わり難くなる。
ハンドル107は、たとえばU字形状のハンドルバー、グリップ、を有する。U字形状のハンドルバーの中央部は、防振ハウジング106の前側に取り付けられる。U字形状のハンドルバーの両端には、グリップが取り付けられる。グリップの周囲には、刈払機101を作動するためのアクセルレバー、スイッチ等の操作部材が配置される。
【0081】
続いて図9に示すように、刈払機101の防振ハウジング106の外周には、ハンガ109が取り付けられる。ハンガ109は、吊り具110のフックと連結される。作業者Xは、吊り具110を装着することにより、刈払機101を肩から吊り下げて携帯できる。
刈刃108作業を実施する場合、作業者Xは、刈払機101を肩から吊り下げ、ハンドル107を両手で持つ。そして、作業者Xは、刈刃108が地面から少し浮いた状態となるようにハンドル107を保持し、刈払機101を例えば左右に振りながら前進する。これにより、作業者Xの前方の地面に生えている草を刈り取ることができる。
【0082】
刈払機101は、上述したエンジン1を備えているので、ダイヤフラム式キャブレタにおけるダイヤフラムポンプのポンプ性能が高い。具体的には、エンジン1のダイヤフラム式キャブレタはエンジン1の回転数に応じたポンプ性能を発揮することができるので、いかなる回転数であっても燃料を吸い上げるために要求されるポンプ性能を確実に得ることのでき、燃料の吸い上げ不足に起因するストール等が生じない又は生じ難い刈払機101が得られる。
【0083】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により、本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0084】
1:エンジン、2、201、202:オイルケース、3:シリンダ部、4:キャブレタ、5:エアクリーナ、6:マフラー、7:エンジンスタータ、8:ハウジング、9:ガソリンケース、10:オイル収容部、11:蓋部、12:窓部、13:先端開口部、14:筒状部、15:目盛、16、161、162:フロート、17:ガイド部材、18、181、182:流通路、19、191、192:胴部、20:凸部、21、211、212:外面、22:内面、23:流通規制部、24:フランジ、25:オイル流通口、26、262:延在部、27:張り出し部、28:肩部、29:切欠、30:フロート規制部、31:挿通口、32:凹部、331、332:溝、34:延在部内面、35:延在部溝、101:刈払機、102:操作棹、103:装着部、104:エンジンモジュール、105:固定部、106:防振ハウジング、107:ハンドル、108:刈刃、109:ハンガ、110:吊り具、S:液面、P:液溜まり、X:作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9