特許第6343601号(P6343601)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343601
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/00 20180101AFI20180604BHJP
   F21V 3/06 20180101ALI20180604BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20180604BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180604BHJP
【FI】
   F21S41/00
   F21V3/06 130
   F21V8/00 310
   F21Y115:10
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-505255(P2015-505255)
(86)(22)【出願日】2014年2月21日
(86)【国際出願番号】JP2014000896
(87)【国際公開番号】WO2014141597
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2016年12月1日
(31)【優先権主張番号】特願2013-52421(P2013-52421)
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】白須 久代志
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 辰雄
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−097925(JP,A)
【文献】 特開2007−180027(JP,A)
【文献】 特開2012−109082(JP,A)
【文献】 特開2009−099454(JP,A)
【文献】 特開2007−280924(JP,A)
【文献】 特開2010−146818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21V 3/06
F21V 8/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を制御して灯具前方に向けて出射する光制御部材と、
前記光制御部材の少なくとも前面側を覆うように設けられ、前記光制御部材から出射された光を散乱させる光学部材と、を備え、
前記光制御部材は、
前記光源からの光を一端側から入射させて、内部を導光させながら延出方向に沿った出射面から灯具前方に向けて出射する導光部と、
前記一端側に形成され、前記光源からの光を屈折させて灯具前方に向けて出射する屈折部と、を含み、
前記導光部は、前記一端側から他端側に近づくほど厚みが薄くなるように形成されており、
前記導光部の上面と対向する上側反射部を有する反射部材をさらに備え、
前記上側反射部は、前記導光部の上面と対向する面積が、前記一端側から前記他端側に近づくにつれて小さくなるよう形成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記導光部と前記屈折部とは一体成形されることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記屈折部には、前記光制御部材を固定する固定部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記光学部材は、拡散剤を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記導光部は、前記一端側から前記他端側に近づくほど、前記光学部材と近接することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記屈折部は、前記導光部の前記一端側の端部から灯具前方側に突出する第1の屈折部と、当該第1の屈折部の前記導光部とは反対側の端部から前記導光部の前記一端側から離れる方向に突出する第2の屈折部と、を有し、
前記第1の屈折部に拡散部が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用灯具に関し、特に、導光体を備えた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用前照灯に搭載されるクリアランスランプや、車両後方に設けられるテールランプとして、LED等の光源からの光を棒状の導光体にその一端側から入射させ、内部を導光させながら周面から前方へ出射させるように構成されたものが知られている。従来では、例えば特許文献1に記載されるような車両用灯具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−174641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の車両用灯具では、光源からの光の一部が、導光体に入射せずに直接灯具前方に照射されるのを抑止するため、光源を取り囲むように遮光部材が設けられている。逆にいえば、この遮光部材によって光源から灯具前方に向かう光の一部が遮られ、光源からの光を有効に利用できていない。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、導光体を備えた車両用灯具において、光源からの光の利用効率を向上できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用灯具は、光源からの光を制御して灯具前方に向けて出射する光制御部材と、光制御部材の少なくとも前面側を覆うように設けられ、光制御部材から出射された光を散乱させる光学部材と、を備える。光制御部材は、光源からの光を一端側から入射させて、内部を導光させながら延出方向に沿った出射面から灯具前方に向けて出射する導光部と、一端側に形成され、光源からの光を屈折させて灯具前方に向けて出射する屈折部と、を含む。
【0007】
この態様によると、光源からの光が導光部を導光し、その出射面から灯具前方に向けて出射されるのに加え、光源からの光が屈折部で屈折されて灯具前方に向けて出射される。導光部および屈折部から出射された光は光学部材により散乱光になる。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を装置、方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、導光体を備えた車両用灯具において、光源からの光の利用効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る車両用灯具の概略正面図である。
図2図1のA−A線断面図である。
図3図1のA−A線に沿った断面の第2灯具ユニット周辺を拡大して示す拡大断面図である。
図4図1のB−B線断面図である。
図5】実施の形態に係る車両用灯具の光制御部材の斜視図である。
図6図4の屈折部周辺を拡大して示す拡大断面図である。
図7図7(a)、(b)は反射部材および光制御部材を示す上面図および底面図である。
図8】変形例に係る車両用灯具の第2灯具ユニットの断面図である。
図9】変形例に係る車両用灯具の光制御部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
図1は、実施の形態に係る車両用灯具10の概略正面図である。ここでは車両用灯具10は、車両後方に設けられるテールランプである。図2は、図1のA−A線に沿った断面図である。車両用灯具10は、ランプボディ20と、透光カバー30と、それぞれテールランプ配光を形成する第1灯具ユニット40と第2灯具ユニット50と、を備える。
以降、透光カバー30側を前側、ランプボディ20側を後側として説明する。
【0013】
ランプボディ20は開口を有する箱状に形成される。透光カバー30は透光性を有する樹脂またはガラスによって椀状に形成される。透光カバー30はランプボディ20の開口部に取り付けられる。
【0014】
第1灯具ユニット40は、ランプボディ20に形成された光源固定用貫通孔21に挿通され、ランプボディ20に対して固定されている。図2では、第1灯具ユニット40として反射型の灯具ユニットが示される。反射型の第1灯具ユニット40は公知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。なお、第1灯具ユニット40の種類は特に限定されず、例えばプロジェクタ型の灯具ユニットであってもよい。第2灯具ユニット50は、ランプボディ20と透光カバー30とによって形成される灯室12内に配置される。第2灯具ユニット50は、ここでは第1灯具ユニット40の下方に配置されている。以下、第2灯具ユニット50について詳述する。
【0015】
図3は、図1のA−A線に沿った断面の第2灯具ユニット50周辺を拡大して示す拡大断面図である。図4は、図1のB−B線に沿った断面図である。図5は、図3および図4の光制御部材の斜視図である。第2灯具ユニット50は、LED51と、基板52と、光制御部材53と、反射部材54と、インナーレンズ55と、を有する。LED51は、光制御部材53に光を供給する光源である。基板52はLED51を搭載する。すなわち、基板52は、LED51を搭載するための光源搭載部として機能する。
【0016】
光制御部材53は、導光部61と、屈折部62と、第1固定部65と、第2固定部66とを有する。これらは、アクリルやポリカーボネート等の透明な樹脂を用いて、射出成形により一体成形される。一体成形すると、両者を結合する工程が不要となるため、加工コストを低減できる。なお、これらは、別々に形成された後に結合されてもよい。
【0017】
導光部61は、断面が略矩形状の棒状の部材である。図4に示すように、導光部61はわずかに湾曲した形状を有する。なお、導光部61は、直線形状、その他の形状であってもよい。導光部61は、その一端側の端面61aがLED51の近傍に位置するよう配置される。この端面61aは、LED51からの光を入射する入射面として機能する。端面61aから入射した光は、他端側の端面61gに向けて導光部61内を進む。
【0018】
導光部61の後面61cには、導光部61内を進む光の一部を、前面61bに向けて反射する複数のステップ61fが導光部61の延出方向に沿って形成されている。ステップ61fによって前面61bに向けて反射された光は、前面61bから導光部61の外部に出射される。すなわち、導光部61の前面61bは、光を灯具前方に出射する出射面として機能する。ステップ61fの形状、大きさ、配列ピッチ等は、テールランプとして要求される強度の光が前面61bから前方に出射されるように設計される。一例としては、端面61aから他端側の端面61gに向かうにつれて、配列ピッチを狭くしてもよい。
【0019】
また、端面61aから入射した光の一部は、平面上の上面61dと下面61eとの間で反射を繰り返しながら導光部61内を進む。このとき、一部の光は上面61dまたは下面61eにより反射されることなく、導光部61の外部に出射される。つまり、断面が矩形状を有することにより、前面61bから光が出射されるのに加え、上面61dおよび下面61eからも光が出射される。これにより、導光部61を比較的太い帯状に発光させることができる。
【0020】
屈折部62は、導光部61の端面61a側の外縁に連設され、LED51の灯具前方側を覆うように設けられる。図6は、図4の屈折部62周辺を拡大して示す拡大断面図である。図6における矢印は光線を示す。屈折部62は、導光部61の端面61a側の端部から灯具前方側に突出する第1の屈折部63と、第1の屈折部63の導光部61とは反対側の端部から導光部61の端面61gから離れる方向に突出する第2の屈折部64とを有する。第1の屈折部63は、LED51からの光が入射する入射面63aと、入射光を灯具前方に出射する出射面63bとを有する。同様に、第2の屈折部64は入射面64aと出射面64bとを有する。この入射面63a、64aと出射面63b、64bとによって、LED51からの直接光を屈折させ、導光部61の外縁から基板52の灯具前方側にかけて拡散させて出射させる。屈折部62から出射されたこの光と、導光部61から出射された光とによって、連なった一つの帯状の光が形成される。このように、屈折部62により、導光部61に入射されない光の一部を有効に利用することができる。
【0021】
また屈折部62に入射された光は、導光部61の外縁から基板52の灯具前方側にかけて拡散されて出射されるため、LED51近傍が極端に明るく光る輝度ムラが抑えられる。つまり、導光部61に入射されない光を遮るための遮光部材を設けなくともLED51近傍の輝度ムラを抑えられる。そのため、第2灯具ユニット50の部品点数を減らすことができる。図3図5に戻る。
【0022】
第1固定部65は、第2の屈折部64の第1の屈折部63とは反対側の端部から、後方に突出するよう形成される。第2固定部66は、導光部61の端面61g側の端部から後方に突出するよう形成される。この第1固定部65と第2固定部66とがランプボディ20に固定されることにより、光制御部材53全体がランプボディ20に固定される。ここでは、第2固定部66がランプボディ20に当接して位置決めされた状態で、第1固定部65がランス係合によりランプボディに固定される。もちろん、第1固定部65および/または第2固定部66は、ボルトやその他の手段によりランプボディ20に固定されてもよい。
【0023】
反射部材54は断面が略コ字状の部材であり、光制御部材53の後方に設けられる。反射部材54は、互いに対向する上側反射部54aおよび下側反射部54bと、上側反射部54aと下側反射部54bとの間に介在する基部54cとを有する。上側反射部54a、下側反射部54b、および基部54cは、乳白色に着色されたアクリル樹脂を用いて、射出成形により一体成形される。
【0024】
上側反射部54aは導光部61の上面61dに対向し、上面61dから漏れ出た光の一部を導光部61に向けて反射させる。同様に、下側反射部54bは導光部61の下面61eに対向し、下面61eから漏れ出た光の一部を導光部61に向けて反射させる。上側反射部54aおよび下側反射部54bにより反射された光は、導光部61内に戻り、再び導光部61内を導光する。これにより、光が導光部61内を端面61aから端面61gに向けて進むにつれて光量が減少するのを低減することができる。なお、上側反射部54aは、上面61dから漏れ出た光の少なくとも一部を導光部61に向けて反射できればよく、例えばアクリル樹脂の反射面をアルミ蒸着することにより形成されてもよい。下側反射部54bについても同様である。
【0025】
インナーレンズ55は、光制御部材53の前面全体、すなわち導光部61および屈折部62の前面全体を覆うように設けられる。インナーレンズ55は、延出方向に直交する断面が略コ字状を有する。インナーレンズ55は、互いに対向する上面部55aおよび下面部55bと、上面部55aと下面部55bとの間に介在する前面部55cとを有する。インナーレンズ55は、上面部55aが光制御部材53より上方に位置し、下面部55bが光制御部材53より下方に位置するよう構成される。導光部61および屈折部62から出射された光の一部は、前面部55cを通過して灯具前方に出射される。これに加え光の一部は、上面部55aまたは下面部55bを通過して灯具前方に出射される。これにより、車両用灯具10を上方または下方から見た場合も第2灯具ユニット50が帯状に発光して見えるため、車両用灯具10の被視認性が向上する。
【0026】
インナーレンズ55には、光を散乱させる拡散剤が配合されている。この拡散剤は、例えば白色樹脂片、金属粉、ガラスの微粒子などである。これにより、導光部61および屈折部62からの光がインナーレンズ55を通過することにより指向性の弱い散乱光になる。つまり、輝度ムラが少ない均一な光になる。なお、拡散剤はインナーレンズ55の表面に配置されてもよい。また、拡散剤の代わりに、または拡散剤とともに、インナーレンズ55の表面を粗面化したいわゆるシボ加工が施されてもよい。シボ加工によっても拡散剤と同様の効果が得られる。
【0027】
ここで、光源からの光を導光体に入射させ、内部を導光させながら周面から前方へ出射させる技術では、光源から離れるほど導光体から出射される光量が少なくなるという課題がある。これに対応するための第2灯具ユニット50の構成について説明する。なお、以下では各項目を(1)から(3)として説明するが、これらは任意に組み合わせて使用されればよい。
【0028】
(1)導光部61は、端面61aから端面61gに近づくほど前面61bと後面61cとが近接し、導光部61の厚みが薄くなるよう形成される。別の言い方をすると、導光部61は、端面61aから端面61gに近づくほどその延出方向に直交する断面の面積が減少するよう形成される。導光部61がこうした形状を有することで、端面61gに近づくにつれて光が出射しやすくなるため、導光部61を比較的一様に発光させることができる。
【0029】
(2)また導光部61は、端面61aから端面61gに近づくほど、インナーレンズ55と近接するよう配置される。別の言い方をすると、導光部61は、導光部61とインナーレンズ55との隙間が、端面61a側から端面61g側に近づくほど狭くなるよう配置される。これにより、導光部61から出射された光は、端面61gに近づくにつれインナーレンズ55に到達しやすくなるため、インナーレンズ55を通過して出射される光を、端面61a側から端面61g側にかけて一様にすることができる。
【0030】
(3)図7(a)、(b)は反射部材54および光制御部材53を示す上面図および底面図である。図7(a)に示すように、上側反射部54aは、導光部61の上面61dと対向する面積が、端面61aから端面61gに近づくにつれて小さくなるよう形成される。同様に、図7(b)に示すように、下側反射部54bは、下面61eと対向する面積が、端面61aから端面61gに近づくにつれて小さくなるよう形成される。これにより、端面61aから端面61gに近づくにつれて光量が減少するのを抑えつつ、上面61dまたは下面61eを端面61a側から端面61g側にかけて一様に発光させることができる。
【0031】
以上のように構成された第2灯具ユニット50の動作について説明する。LED51に電流が供給されると、LED51から光が出射される。LED51から出射された光の一部は、端面61aより導光部61内に入射する。導光部61に入射した光は、全反射を繰り返しながら導光部61内を進行する。導光部61を進行する間に導光部61の後面61cに設けられたステップ61fに入射した光は、前面61bに向けて反射され、前面61bから出射される。導光部61の延出方向に沿って設けられた各ステップ61fにおいて同様の反射が生じることにより、前面61bの略全領域から光が出射される。また、導光部61を進行する光の一部は、上面61dまたは下面61eから導光部61外に出射される。この光の一部は、反射部材54により導光部61に戻され、再び導光部61を導光する。このようにして、導光部61に入射した光は、前面61b、上面61dおよび下面61eから導光部61外に出射される。
【0032】
また、LED51から出射された光の一部は、第1の屈折部63または第2の屈折部64に入射する。第1の屈折部63および第2の屈折部64は、LED51からの直接光を屈折させ、導光部61の外縁から基板52の灯具前方側にかけて拡散させて出射させる。導光部61、第1の屈折部63および第2の屈折部64から出射された光はインナーレンズ55を介して車両用灯具10前方に照射される。
【0033】
以上説明した本実施の形態に係る車両用灯具10によると、導光部61に入射されない光の一部が、導光部61の外縁から基板52の灯具前方側にかけて拡散され、灯具前方に出射される。すなわち、LED51からの光を有効に利用することができる。また、本実施の形態に係る車両用灯具10によると、導光部61および屈折部62から出射された光が、拡散剤を有するインナーレンズ55を介して灯具前方に出射される。これにより、指向性の弱い散乱光になり、輝度ムラが少ない均一な帯状の光が形成される。また、導光部61は、断面が略矩形状の形状を有し、その前面61bに加え、上面61dおよび下面61eからも光が出射される。このため、比較的幅が広い帯状に発光させることができる。
【0034】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0035】
(変形例1)
実施の形態に係る車両用灯具10と変形例1に係る車両用灯具との主な違いは、光制御部材53の形状である。図8は、変形例1に係る車両用灯具の第2灯具ユニット50の断面図である。図8図4に対応する。また図9は、変形例に係る車両用灯具の光制御部材53の斜視図である。図9図5に対応する。本変形例では、第1の屈折部63の出射面63bにシリンドリカル状のステップ63cが形成されている。また第2の屈折部64の出射面64bにシリンドリカル状のステップ64cが形成されている。光の出射方向(灯具の前後方向)と比較的平行な出射面63bには、第1の屈折部63の延出方向に直交する方向(上下方向)に沿ってステップ63cが並べられている。一方、出射面64bには、第2の屈折部64の延出方向に沿ってステップ64cが並べられている。これにより、出射面63bを通過した光は上下方向に拡散され、出射面64bを通過した光は左右方向に拡散される。そのため、LED51近傍の輝度ムラがより一層抑えられる。
【0036】
(変形例2)
実施の形態では、インナーレンズ55の断面が略コ字状である場合について説明したが、これに限られない。インナーレンズ55は、例えば断面が略L字状、円弧状、その他の屈曲または湾曲した形状であってもよい。
【0037】
(変形例3)
実施の形態では、屈折部62が第1の屈折部63と第2の屈折部64とを有する場合について説明したが、これに限られない。屈折部62は、LED51の灯具前方側を覆い、LED51からの光を屈折させ、導光部61の外縁から基板52の灯具前方側にかけて拡散させて出射できればよい。したがって、例えば屈折部62は、第1の屈折部63を有さず、第2の屈折部64が導光部61に連設されてもよい。
【0038】
(変形例4)
実施の形態では、車両用灯具10がテールランプである場合について説明したが、これに限られず、例えばストップランプ、クリアランスランプ、ターンランプ、リアコンビネーションランプであってもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 車両用灯具、 20 ランプボディ、 30 透光カバー、 40 第1灯具ユニット、 50 第2灯具ユニット、 51 LED、 52 基板、 53 光制御部材、 54 反射部材、 55 インナーレンズ、 61 導光部、 62 屈折部、 63 第1の屈折部、 64 第2の屈折部、 65 第1固定部、 66 第2固定部。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、導光体を備えた車両用灯具に利用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9