特許第6343648号(P6343648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6343648円検出方法、円検出装置、プログラム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343648
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】円検出方法、円検出装置、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/60 20170101AFI20180604BHJP
【FI】
   G06T7/60 200C
   G06T7/60 300A
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-231975(P2016-231975)
(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-88206(P2018-88206A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2016年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】508268654
【氏名又は名称】株式会社イノテック
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 善光
(74)【代理人】
【識別番号】100062328
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 剛啓
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 賢治
(72)【発明者】
【氏名】藤村 嶺
【審査官】 佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−111817(JP,A)
【文献】 特開2015−060299(JP,A)
【文献】 原井 孝輔,外3名,認識処理に向けた円形道路標識の高精度な抽出手法,映像情報メディア学会技術報告,日本,社団法人映像情報メディア学会,2002年 1月29日,第26巻第8号,第61頁−第66頁,ISSN 1342−6893
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて画像内の円を検出する円検出方法であって、
前記画像に対して、検出対象領域と検出対象外領域の2値化画像を生成する2値化工程と、
前記2値化した前記検出対象領域ごとにラベル付けを行うラベリング工程と、
前記2値化した前記検出対象領域ごとに前記検出対象領域の図形の輪郭を抽出する輪郭抽出工程と、
前記抽出した輪郭データにおいて、前記輪郭データのy軸の1画素ごとにx軸方向の一方から又はx軸の1画素ごとにy軸方向の一方から走査して輪郭を形成する輪郭画素を検出するごとに、前記輪郭画素を円の円周部分に位置する点として、円の存在を検出する所定の方向でかつ検出したい所定の円の半径の長さ相当分離れた画素位置を前記検出したい円の中心とし、前記半径で囲まれた範囲内の同一ラベルか否かを確認するに適する所定の位置の複数の座標がすべて同一のラベルである場合に円として判定し、前記検出したい円の中心が既に確保された円の領域内に存しない場合に新たな円の領域として確保する円領域確保工程と、を備えることを特徴とする円検出方法。
【請求項2】
複数の大きさの円を検出する場合には、前記複数の円のうちで半径の大きさを最大値から順次縮小させて最小値まで前記円領域確保工程を繰り返して行わせ、順次縮小された円を判定し順次縮小された円の領域を確保していくことを特徴とする請求項1に記載の円検出方法。
【請求項3】
画像データに基づいて画像内の円を検出する円検出装置であって、
前記画像に対して、検出対象領域と検出対象外領域の2値化画像を生成する2値化手段と、
前記2値化した前記検出対象領域ごとにラベル付けを行うラベリング手段と、
前記2値化した前記検出対象領域ごとに前記検出対象領域の図形の輪郭を抽出する輪郭抽出手段と、
前記抽出した輪郭データにおいて、前記輪郭データのy軸の1画素ごとにx軸方向の一方から又はx軸の1画素ごとにy軸方向の一方から走査して輪郭を形成する輪郭画素を検出するごとに、前記輪郭画素を円の円周部分に位置する点として、円の存在を検出する所定の方向でかつ検出したい所定の円の半径の長さ相当分離れた画素位置を前記検出したい円の中心とし、前記半径で囲まれた範囲内の同一ラベルか否かを確認するに適する所定の位置の複数の座標がすべて同一のラベルである場合に円として判定し、前記検出したい円の中心が既に確保された円の領域内に存しない場合に新たな円の領域として確保する円領域確保手段と、を備えることを特徴とする円検出装置。
【請求項4】
複数の大きさの円を検出する場合には、前記複数の円のうちで半径の大きさを最大値から順次縮小させて最小値まで前記円領域確保手段を繰り返して行わせ、順次縮小された円を判定し順次縮小された円の領域を確保していくことを特徴とする請求項3に記載の円検出装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の円検出方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記憶したコンピュータに読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理技術のうちの画像中の円検出方法、円検出装置、円検出プログラム及び円検出プログラムを記憶した記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像データで表示される、他の円と大きさが異なる円を含む複数の円に対して、各円の中心位置を検出する画像処理方法であって、複数の円のうち最も大きな円である大円を含む領域を特定する大円領域特定ステップと、大円領域内のエッジ画素を検出し、検出したエッジ画素を大円の円周を構成する大円周候補画素として検出する大円周候補画素検出ステップと、検出された大円周候補画素に対して多段階の円近似を行い、大円の中心位置および半径を検出する大円検出ステップと、検出された中心位置および半径に基づき大円エッジを含まないよう大円内でラベリングし、1つの小円を含む領域を1または複数特定する小円領域特定ステップと、小円領域内のエッジ画素を検出し、検出したエッジ画素を小円の円周を構成する小円周候補点画素として検出する小円周候補画素検出ステップと、検出された小円周候補画素に対して多段階の円近似を行い、小円の中心位置および半径を出する小円検出ステップとを有する画像処理方法が開示されている。
【0003】
特許文献2には、画像撮影手段によって撮影された計器の画像を処理して前記計器を分類する画像処理方法であって、前記計器の画像を入力する画像入力ステップと、前記入力された計器の画像からエッジを抽出し、エッジが抽出された画像に対して2値化処理を行い、2値化処理された画像に対して細線化処理を行って、前記計器の表示盤の輪郭線を抽出する輪郭線抽出ステップと、前記抽出された輪郭線に基づいて、ハフ変換を用いて、円形状の仮想輪郭線を作成する仮想輪郭線作成ステップと、前記輪郭線抽出ステップによって抽出された輪郭線の画像を膨張処理し、膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成ステップによって作成された仮想輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きい場合に、前記計器を丸型計器に分類する計器分類ステップとを有し、前記輪郭線抽出ステップは、前記計器分類ステップによって前記計器が丸型計器に分類されない場合に、前記画像入力ステップにおいて入力された計器の画像に対して、前記計器の表示盤領域の外部の画像を黒画素に変更する背景除去処理を行い、背景除去処理後の前記表示盤領域の画像に対して平滑化処理、2値化処理を順次行い、2値化処理された画像中の図形画素の各連結成分の中で面積が最大な領域を最大領域として選択し、前記選択された最大領域の輪郭線を、前記計器の表示盤の輪郭線として抽出し、前記仮想輪郭線作成ステップは、前記輪郭線抽出ステップによって抽出された輪郭線の画像を膨張処理し、膨張処理された前記輪郭線の画像から、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線を仮想輪郭線として抽出し、前記計器分類ステップは、前記膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成ステップによって作成された、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きい場合に、前記計器を角型計器に分類する画像処理方法が開示されている。
【0004】
特許文献3には、車両に搭載される撮像装置で前記車両の前方を撮像した撮像画像から円を検出する円検出部を備える画像認識装置であって、前記撮像画像のうち、前記円検出部で検出した円に内接する内接四角形の内部領域、および前記内接四角形と前記円検出部で検出した円に外接する外接四角形との間の所定領域のうちの少なくともいずれかの領域である比率判断領域の色の比率をもとに、円形標識を認識する標識認識手段を備える画像認識装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−220370号公報
【特許文献2】特許第3799407号公報
【特許文献3】特許第5370375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の発明は、大円の中心位置および半径を検出するときに大円周候補画素に対して多段階の円近似を行い、さらに小円の中心位置および半径を検出するときに小円周候補画素に対して多段階の円近似を行い、円の中心位置及び半径を検出する技術であり、画面中から短時間で早く円を検出する技術ではないため、画面中に多数の円が存する場合には円検出後にさらに円の中心位置と半径を求めることにより画像中の円検出の処理時間が長くなるという問題があった。
【0007】
特許文献2に記載の発明は、細線化処理、膨張化処理、ハフ変換を用いるために、画像中の円を検索する処理時間を多大に要するという問題があった。
【0008】
特許文献3の発明は、引用文献3の段落[0028]や[0029]に記載されているように円検出にハフ変換を用いるために、画像中の円を検索する処理時間を多大に要するという問題があった。
【0009】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、一般的に円検出に用いられているハフ変換を用いずに、極めて短時間で円検出可能な円検出方法、円検出装置、そのプログラム及び記憶媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の円検出方法1は、画像データに基づいて画像3内の円を検出する円検出方法1であって、前記画像3に対して、検出対象領域4と検出対象外領域5の2値化画像を生成する2値化工程11と、前記2値化した前記検出対象領域4ごとにラベル付けを行うラベリング工程12と、前記2値化した前記検出対象領域4ごとに前記検出対象領域の図形の輪郭9を抽出する輪郭抽出工程13と、前記抽出した輪郭データにおいて、前記輪郭データのy軸の1画素ごとにx軸方向7の一方から又はx軸の1画素ごとにy軸方向8の一方から走査して輪郭9を形成する輪郭画素6を検出するごとに、前記輪郭画素6を円の円周部分に位置する点として、円の存在を検出する所定の方向でかつ検出したい所定の円の半径の長さ相当分離れた画素位置を前記検出したい円の中心とし、前記半径で囲まれた範囲内の同一ラベルか否かを確認するに適する所定の位置40の複数の座標がすべて同一のラベルである場合に円として判定し、前記検出したい円の中心41が既に確保された円の領域内に存しない場合に新たな円の領域として確保する円領域確保工程14と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の円検出方法1は、請求項1において、複数の大きさの円を検出する場合には、前記複数の円のうちで半径の大きさを最大値から順次縮小させて最小値まで前記円領域確保工程14を繰り返して行わせ、順次縮小された円を判定し順次縮小された円の領域を確保していくことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の円検出装置2は、画像データに基づいて画像3内の円を検出する円検出装置2であって、前記画像3に対して、検出対象領域4と検出対象外領域5の2値化画像を生成する2値化手段と、前記2値化した前記検出対象領域4ごとにラベル付けを行うラベリング手段と、前記2値化した前記検出対象領域4ごとに前記検出対象領域の図形の輪郭9を抽出する輪郭抽出手段と、前記抽出した輪郭データにおいて、前記輪郭データのy軸の1画素ごとにx軸方向7の一方から又はx軸の1画素ごとにy軸方向8の一方から走査して輪郭9を形成する輪郭画素6を検出するごとに、前記輪郭画素6を円の円周部分に位置する点として、円の存在を検出する所定の方向でかつ検出したい所定の円の半径の長さ相当分離れた画素位置を前記検出したい円の中心とし、前記半径で囲まれた範囲内の同一ラベルか否かを確認するに適する所定の位置40の複数の座標がすべて同一のラベルである場合に円として判定し、前記検出したい円の中心41が既に確保された円の領域内に存しない場合に新たな円の領域として確保する円領域確保手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の円検出装置2は、請求項3において、複数の大きさの円を検出する場合には、前記複数の円のうちで半径の大きさを最大値から順次縮小させて最小値まで前記円領域確保手段を繰り返して行わせ、順次縮小された円を判定し順次縮小された円の領域を確保していくことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載のプログラムは、請求項1又は2に記載の円検出方法1をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0015】
請求項6に記載の記憶媒体は、請求項5に記載のプログラムを記憶したコンピュータに読み取り可能な記憶媒体である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は画像3中からの円検出処理時間を著しく短縮できるという効果を奏する。画面3中から円検出を完了するまでの検索数をハフ変換の場合と本発明の場合とで比較すると、ハフ変換による円検出は、エッジ検出した後にその画素位置で行う、該画素位置を円の中心として所定の半径rを有する円(画素数2πr)を円周上のすべての画素(画素数2πr)ごとに描いて円であるか否かの検索するために、その検索数は(2πr)となるのに対して、本発明の場合は、エッジ検出した後にその画素位置で行う、該画素位置を円の円周上の1位置として所定の方向において所定の半径rの範囲内に所定数の画素位置を検索するだけなので、検索数は(所定の方向数×所定の検索位置数)であるので大きく検索数を大幅に減少させることができ、円検出処理速度を高め、円検出処理時間を大幅に短縮できるという効果を奏する。
【0017】
また、本発明は、重なった円が存する場合の円検出を行う場合には、求めたい円の大きさいの中で最も大きい円から順次小さい円を検出することにより、検出したい大きさの円を重なっていてもすべて検出できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の円検出方法のフロー図である。
図2】本発明の円検出装置の構成を示すブロック図である。
図3】画像内の検出対象領域と検出対象外領域を説明する説明図である。
図4】画像内に存在する円を示す画像図である。
図5】2値化工程で画像の2値化を示す2値化図である。
図6】ラベリング工程で2値化後の検出対象領域のラベルデータ説明図である。
図7】輪郭抽出工程で2値化後の検出対象領域の輪郭を抽出した輪郭データ説明図である。
図8】3つの円の検出をするときの輪郭データ、ラベルデータ、領域確保データの説明図である。
図9】円領域確保工程で大円の検出の説明図である。
図10】大円抽出後の輪郭データ、ラベルデータ、領域確保データの説明図である。
図11】大円確保後の小円の検出の説明図である。
図12】大円検出後に小円を検出した後の輪郭データ、ラベルデータ、領域確保データの説明図である。
図13】3つの円の検出後の輪郭データ、ラベルデータ、領域確保データの説明図である。
図14】1つの円の検出をするときの輪郭データ、ラベルデータ、領域確保データの説明図である。
図15】1つの円を対象に輪郭画素検索の走査を説明する説明図である。
図16】1つの円の輪郭画素を基に円検出を行う円領域確保工程の説明図で、(a)が検索方向の説明図であり、(b)が検索領域範囲の説明図である。
図17】1つの円の輪郭画素を基に上方向の範囲の円検出の説明図である。
図18】1つの円の輪郭画素を基に右方向の範囲の円検出の説明図である。
図19】1つの円の輪郭画素を基に下方向の範囲の円検出の説明図である。
図20】1つの円を検出した後の輪郭データ、ラベルデータ、領域確保データの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の円検出方法1は、図1に示すように、画像データに基づいて画像3内の円を検出する円検出方法1であって、前記画像3に対して、検出対象領域4と検出対象外領域5の2値化画像を生成する2値化工程11と、前記2値化した前記検出対象領域4ごとにラベル付けを行うラベリング工程12と、前記2値化した前記検出対象領域4ごとに前記図形の輪郭9を抽出する輪郭抽出工程13と、前記抽出した輪郭データにおいて、前記輪郭データのy軸の1画素ごとにx軸方向7の一方から又はx軸の1画素ごとにy軸方向8の一方から走査して輪郭9を形成する輪郭画素6を検出するごとに、前記輪郭画素6を円の円周部分に位置する点として、円の存在を検出する所定の方向でかつ検出したい所定の円の半径の長さ相当分離れた画素位置を前記検出したい円の中心とし、前記半径で囲まれた範囲内の同一ラベルか否かを確認するに適する所定の位置40の複数の座標がすべて同一のラベルである場合に円として判定し、前記検出したい円の中心41が既に確保された円の領域内に存しない場合に新たな円の領域として確保する円領域確保工程14と、を備える。
【0020】
輪郭抽出工程13では輪郭データを記憶し、ラベリング工程12ではラベルデータを記憶し、円領域確保工程14では領域確保データを記憶する。
【0021】
前記画像データは、撮影又は画像読み込みにより画像データを取得する画像取得工程10において取得する。
【0022】
まず、2値化工程11について説明する。検出対象領域4と検出対象外領域5は、例えば、図3において画像データ内に下地30の他に、円31、三角形32、四角形33の図形が存するときに、円31のみを検出した場合には、円31を検出対象領域4とし、下地30、三角形32及び四角形33を検出対象外領域5とし、検出対象領域4と検出対象外領域5を2値化する。また、例えば図4に示すように、円のみを検出対象領域4とした場合は、1つの小円の図形並びに小円と大円がともに一部が重なって欠けた図形が検出対象領域4となり、下地30部分が検出対象外領域5となった2値化が行われ、図5に示すような2値化画像を作成する。
【0023】
次に、2値化画像3に対して、ラベリング工程12及び輪郭抽出工程13を行う。ラベリング工程12について説明する。2値化画像3に示すように検出対象領域4が2ケ所検出された場合は、それぞれの領域別にA、Bのラベル付けを行い、座標との関連をとったラベルデータA、Bを記憶する。記憶されたラベルデータを図で示すと図6図8のラベルデータ説明図61に示すように記憶される。
【0024】
輪郭抽出工程13について説明する。2値化画像3に示すように検出対象領域4が2ケ所検出された場合は、それぞれの領域別に輪郭を検出する。座標との関連をとった輪郭データを記憶する。記憶された輪郭データを図で示すと図7図8の輪郭データ説明図60に示すように記憶される。
【0025】
次に、円領域確保工程14について、説明する。予め検出したい所定の円の半径や、特定の画素位置(輪郭画素位置)6を基に円の存在を検出する所定の方向を設定しておく。所定の円の半径は1つの半径でもよく、複数の半径でもよく、画像3内で求めたい円の考えられる半径すべてでもよい。また、特定の画素位置(輪郭画素位置)6を基に円の存在を検出する所定の方向は、例えば図16(a)又は(b)に示すように90°間隔のx軸方向7の左右方向とy軸方向8の上下方向の90°間隔の4方向に設定してもよく、45°間隔の8方向でもよく、30°間隔の12方向でもよく、さらにはそれぞれの間隔がそれぞれ異なる角度の間隔でもよい。設定した間隔は円の検索中は一定であることが望ましい。
【0026】
輪郭データにおいて、図15に示すように前記輪郭データのy軸の1画素ごとにx軸方向7の一方から、又は、x軸の1画素ごとにy軸方向8の一方から走査して輪郭9を形成する輪郭画素6を検出していく。
【0027】
検出した前記輪郭画素6において、前記輪郭画素6を円の円周部分に位置する点として、円の存在を検出する所定の方向でかつ検出したい所定の円の半径の長さ相当分離れた画素位置を前記検出したい円の中心41とし、前記半径で囲まれた範囲内の任意で設定した同一ラベルか否かを確認するに適する所定の位置40の複数画素がすべて同一ラベルか否かを確認する。所定の位置40は、円であるか否かを判断できるために確認のための適する数や位置を設定する。例えば、図17図19においては所定の位置40を6カ所設定しているが、円周縁付近に所定の位置を数か所設定してもいいし、上下左右の周縁や中心近傍に所定の位置を数か所設定してもいい。
【0028】
ここで、円領域確保の一つの方法をわかりやすく説明するために、画像3内に1つの円が存する場合を取り上げその円の領域をラベルCとした場合を示す図14図20に基づいて説明する。円検出に入るときのデータは、輪郭データ及びラベルデータが得られ領域確保データはまだ得られていない。これを図に示すと図14に示すようになる。
【0029】
まず、輪郭データを使用して、例えば、図15に示すように画面3内をx軸方向7に走査して輪郭9上の輪郭画素6を検出すると、図16(a)に示すように、輪郭画素6を円の円周部分に位置する点として、円の存在を検出する所定の方向として90°間隔の4方向で、かつ図16(b)に示すように、検出したい所定の円の半径の長さ相当分離れた画素位置を前記検出したい円の中心41とし、上方向の半径で囲まれた範囲50、右方向の半径で囲まれた範囲51、下方向の半径で囲まれた範囲52及び左方向の半径で囲まれた範囲53のそれぞれの範囲が求める円であるかを判定する。
【0030】
前記判定は、例えば図17に示すように、上方向の半径で囲まれた範囲50内の6カ所の×印の所定の位置40のすべての画素がすべて同一ラベルか否かを確認し、前記検出したい円の中心41が既に確保された円の領域内に存しないか否かを確認する。図17の場合は、すべての所定の位置40の画素がラベルC域の範囲外であるので円として判定しない。
【0031】
次に、同じ前記輪郭画素6において、図18に示すように、右方に検出したい所定の円の半径の長さ相当分離れた画素位置を前記検出したい円の中心41とし、図18において点線で示した前記半径で囲まれた範囲51内において、例えば6カ所の×印の所定の位置40のすべての画素がすべて同一ラベルか否かを確認し、前記検出したい円の中心41が既に確保された円の領域内に存しないか否かを確認する。図18の場合は、1か所の画素がラベルCであるが他の5か所の画素は所定の位置40の画素がラベル域の範囲外であるので円として判定しない。
【0032】
次に、同じ前記輪郭画素6において、図19に示すように、下方に検出したい所定の円の半径の長さ相当分離れた画素位置を前記検出したい円の中心41とし、図19において点線で示した前記半径で囲まれた範囲内(図15において点線は実線に重なっている。)において、例えば6カ所の×印の所定の位置40のすべての画素がすべて同一ラベルか否かを確認する。図19の場合は、すべての所定の位置40の座標がラベルCであるので円として判定する。
【0033】
そして、前記検出したい円の中心41が既に確保された円の領域内に存しない場合に新たな円の領域として確保し、前記検出したい円の中心41が既に確保された円の領域内に存する場合に円の領域として確保しない。図19の場合は、前記判定した円の中心41が既に確保された円の領域内に存しない場合に該当するので、領域確保データに新たな円の領域として確保して、該円の識別をするための記号を決定し、確保した円の中心と半径を決定し、中心と半径(直径)やラベルを領域確保データとして記憶する。円の識別をするための記号を図で示すと図20に示す領域確保データ説明図62に示すように表される。
【0034】
次に、更に画像3内を走査して輪郭データにおいて輪郭画素6を検出するたびに、所定の方向として90°間隔の4方向で、上方向の半径で囲まれた範囲50、右方向の半径で囲まれた範囲51、下方向の半径で囲まれた範囲52及び左方向の半径で囲まれた範囲53のそれぞれの範囲が求める円であるかを判定し、円として判定したときは前記検出したい円の中心41が既に確保された円の領域内に存しない場合には円の領域として確保し、前記検出したい円の中心41が既に確保された円の領域内に存する場合には円の領域として確保しないという方法を画面3内の全画素を走査して行う。以上により1つの円を検出する方法を説明した。
【0035】
次に、半径が異なる複数の円が重なっている場合を説明する。例えば、図4図13に示すように、1つの小円の図形の他に小円と大円の一部が重なった図形を検出対象領域4とした画像3の場合である。この場合の円領域確保の方法は、前記複数の円のうちで半径の大きさを最大値から順次縮小させて最小値まで前記円領域確保工程14を繰り返して、順次縮小された円を判定し順次縮小された円の領域を確保していく。すなわち、考えられる範囲内で最も大きい半径を有する円の検出を行い、順次半径の小さい円の検出を行う。
【0036】
円検出に入るときのデータは、輪郭データ及びラベルデータが得られ領域確保データはまだ得られていない。これを図に示すと図8に示すようになる。検出開始時には設定した半径を有する円が検出されなくても順次半径を小さくすることによって存在する円が検出される。円の検出は図9に示すように、例えば6カ所の×印の所定の位置40のすべての画素がすべて同一ラベルか否かを確認し、前記検出したい円の中心41が既に確保された円の領域内に存しないか否かを確認し、図9の場合は、6か所の画素がラベルAであり円の中心41が既に確保された円の領域内に存しないので円として領域確保をする。そして領域確保データに円の識別用記号A1、円の中心と半径(直径)を座標との関連をとって記憶する。これを図に示すと図10の領域確保データ説明図62にようになる。
【0037】
そして、図10に示す大円確保後に、小円の検索において前記円領域確保工程14を繰り返して円判定と円確保を行う。例えば、図11に示すように、輪郭データ上の輪郭画素6において、下方に検出したい所定の円の半径の長さ相当分離れた画素位置を前記検出したい円の中心41とし、図11において点線で示した前記半径で囲まれた範囲内(図11において点線の大部分が実線に重なっている。)において、例えば7カ所の×印の所定の位置40のすべての画素がすべて同一ラベルか否かを確認する。図11の場合は、すべての画素がラベルデータでラベルAであるので円として判定する。
【0038】
そして、前記検出したい円の中心41が既に確保された円の領域内に存しない場合に該当するため、新たな円の領域として確保する。そして、新たに確保された小円を識別記号A2とし、小円の中心と半径(直径)を決定し、座標との関連をとって前記小円の中心と半径(直径)及び識別記号A2を領域確保データとして記憶する。これを図に示すと図12の領域確保データ説明図62にようになる。
【0039】
次は、同じようにラベルBの小円について行い画像3中のすべての円の検出を完了させることができる。これにより、ラベルBの識別記号B、小円の中心と半径(直径)を座標との関連をとって領域確保データとして記憶する。これを図に示すと図13の領域確保データ説明図62のようになる。
【0040】
画面3中から円検出を完了するまでの検索数を、ハフ変換の場合に比べて本発明によって大幅に削減できたため、画像3からの円検出処理時間を著しく短縮できるという効果を奏する。
【0041】
円領域確保工程14においては、求めたい円の半径がわからないが画像3内の円をすべて求めたい場合には、予め半径として考えられる最大値と最小値を設定し、最大値の半径から最小値の半径まで順次縮小させて、それぞれの半径において前記円領域確保工程14を繰り返して行わせる。すべての半径について円判定及び円確保が完了すると、画像3内のすべての円検出が完了する。
【0042】
次に、本発明の円検出装置2は、図2に示すように、2直化部21、ラベリング部22、輪郭抽出部23及び円領域確保部24を備える画像処理部55と、画像取得部20と、記憶部25と、表示部56と、操作部27と、電源部29とを備えている。円検出装置2には撮像装置26や表示装置56が接続されている。
【0043】
画像取得部20は、被写体57をカメラ等の撮像装置26で撮像した画像データ、又は、画像データが記憶された記憶部25からの読み込まれた画像データを取得する。また、表示部28は画像処理部55で処理されている画像3をパソコン等の表示装置56に表示する。
【0044】
次に、本発明の円検出装置2の画像処理部55は、画像データに基づいて画像3内の円を検出する円検出の処置をする手段であって、前記画像3に対して、検出対象領域4と検出対象外領域5の2値化画像を生成する2値化手段である2値化部21と、前記2値化した前記検出対象領域4ごとにラベル付けを行うラベリング手段であるラベリング部22と、前記2値化した前記検出対象領域4ごとに前記図形の輪郭9を抽出する輪郭抽出手段である輪郭抽出部23と、前記抽出した輪郭データにおいて、前記輪郭データのy軸の1画素ごとにx軸方向7の一方から又はx軸の1画素ごとにy軸方向8の一方から走査して輪郭9を形成する輪郭画素6を検出するごとに、前記輪郭画素6を円の円周部分に位置する点として、円の存在を検出する所定の方向でかつ検出したい所定の円の半径の長さ相当分離れた画素位置を前記検出したい円の中心とし、前記半径で囲まれた範囲内の複数の同一ラベルか否かを確認する所定の位置40の画素がすべて同一のラベルである場合に円として判定し、前記検出したい円の中心が既に確保された円の領域内に存しない場合に新たな円の領域として確保する円領域確保手段である円領域確保部24と、を備える。
【0045】
そして、円検出装置2は、複数の大きさの円を検出する場合には、前記複数の円のうちで半径の大きさを最大値から順次縮小させて最小値まで前記円領域確保手段である円領域確保部24を繰り返して行わせ、順次縮小された円を判定し順次縮小された円の領域を確保していく。
【0046】
また、本発明は以下の処理を実行することによっても実現される。前記円検出方法1をコンピュータで実行可能なプログラムであって、前記プログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータが前記プログラムを呼び出して実行する処置である。
【0047】
また、前記円検出方法1をコンピュータに実行させるプログラムを記憶した記憶媒体であって、コンピュータ読み取り可能な前記円検出方法を実現するプログラムを記憶した記憶媒体に記憶した前記プログラムを呼び出して実行する処置である。前記記憶媒体としては、CD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、磁気テープ、光磁気ディスクなどがある。
【符号の説明】
【0048】
1 円検出方法
2 円検出装置
3 画像
4 検出対象領域
5 検出対象外領域
6 輪郭画素
7 x軸方向
8 y軸方向
9 輪郭
10 画像取得工程
11 2値化工程
12 ラベリング工程
13 輪郭抽出工程
14 円領域確保工程
20 画像取得部
21 2値化部
22 ラベリング部
23 輪郭抽出部
24 円領域確保部
25 記憶部
26 撮像装置
27 操作部
28 表示部
29 電源部
30 下地
31 円
32 三角形
33 四角形
40 所定の位置
41 中心
50 範囲
51 範囲
52 範囲
53 範囲
55 画像処理部
56 表示装置
57 被写体
60 輪郭データ説明図
61 ラベルデータ説明図
62 領域確保データ説明図
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
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