(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343693
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】巻き取りブラインドが組み込まれた自動車の屋根
(51)【国際特許分類】
B60J 7/00 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
B60J7/00 E
【請求項の数】21
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-13854(P2017-13854)
(22)【出願日】2017年1月30日
(62)【分割の表示】特願2013-506589(P2013-506589)の分割
【原出願日】2011年4月20日
(65)【公開番号】特開2017-95101(P2017-95101A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2017年1月31日
(31)【優先権主張番号】10161240.6
(32)【優先日】2010年4月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ルツクス
【審査官】
高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−520859(JP,A)
【文献】
特開2007−131208(JP,A)
【文献】
特開2008−308166(JP,A)
【文献】
特開2009−234432(JP,A)
【文献】
特開2009−113549(JP,A)
【文献】
特開2008−279802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き取りブラインドが組み込まれた自動車の屋根であって、
a.屋根の開口(2)を有する自動車の屋根(1)と、
b.屋根の開口(2)の車両前後方向に延びる縁に沿って開口(2)の両側に夫々取り付けられたガイド(3a、3b)、リブ(4a、4b)およびドーム(9)であって、ガイド(3a、3b)、リブ(4a、4b)およびドーム(9)はそれぞれ、車両横方向に車両中心からこの順に配置され、ガイド(3a、3b)はそれぞれ、リブ(4a、4b)と隣接する、ガイド(3a、3b)、リブ(4a、4b)およびドーム(9)と、
c.車両前後方向の一側における開口(2)の縁に位置する巻き取りブラインドシャフトホルダ(5a、5b)および巻き取りブラインドシャフトホルダ(5a、5b)に位置する巻き取りブラインドローラ(6)と、
d.巻き取りブラインドローラ(6)に巻き付けられ、ガイド(3a、3b)に沿って、リブ(4a、4b)によって境界付けられつつ、車両前後方向に変位可能である巻き取りブラインド(7)と、
e.巻き取りブラインドシャフトホルダ(5a、5b)の少なくとも一部分、ガイド(3a、3b)、リブ(4a、4b)およびドーム(9)を覆うカバー(8a、8b)と、
を備え、
自動車の屋根(1)、ガイド(3a、3b)、リブ(4a、4b)、ドーム(9)および巻き取りブラインドシャフトホルダ(5a、5b)が、ポリマー材料で製作された単一の構造要素(13)を形成しており、
カバー(8a、8b)が、ねじおよび/またはくぎによってドーム(9)へと取り付けられていることを特徴とする、自動車の屋根。
【請求項2】
ポリマー材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ならびに/あるいはこれらの混合物または共重合体を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の自動車の屋根。
【請求項3】
ポリマー材料が、ポリカーボネートまたはポリカーボネート混合物を含んでいることを特徴とする、請求項2に記載の自動車の屋根。
【請求項4】
ポリカーボネート混合物が、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレンまたはポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレートを含んでいることを特徴とする、請求項3に記載の自動車の屋根。
【請求項5】
屋根の開口(2)が、屋根の面積の30%〜80%を構成していることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の自動車の屋根。
【請求項6】
屋根の開口(2)が、屋根の面積の40%〜70%を構成していることを特徴とする、請求項5に記載の自動車の屋根。
【請求項7】
屋根の開口(2)が、透明または不透明な窓ガラスによって閉じられることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の自動車の屋根。
【請求項8】
透明または不透明な窓ガラスを、開くことができることを特徴とする、請求項7に記載の自動車の屋根。
【請求項9】
窓ガラスが、ガラスまたはポリマーを含んでいることを特徴とする、請求項7または8に記載の自動車の屋根。
【請求項10】
窓ガラスが、板ガラス(フロートガラス)、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ならびに/あるいはこれらの混合物および/または共重合体を含んでいることを特徴とする、請求項9に記載の自動車の屋根。
【請求項11】
カバー(8a、8b)が、ねじ、リベット、クリップ、接着剤、膨張プラグおよび/または溶接によってドーム(9)に取り付けられることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の自動車の屋根。
【請求項12】
カバー(8a、8b)が、金属およびポリマーを含んでいることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の自動車の屋根。
【請求項13】
カバー(8a、8b)が、アルミニウム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ならびに/あるいはこれらの混合物または共重合体を含んでいることを特徴とする、請求項12に記載の自動車の屋根。
【請求項14】
巻き取りブラインド(7)が、皮革、合成皮革、織物繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ならびに/あるいはこれらの混合物または共重合体を含んでいることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の自動車の屋根。
【請求項15】
巻き取りブラインド(7)が、薄板状の構成要素からなることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の自動車の屋根。
【請求項16】
巻き取りブラインド(7)が、巻き取りブラインドラッチ(11)を有しており、自動車の屋根(1)が、ラッチ開口(12)を有していることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の自動車の屋根。
【請求項17】
巻き取りブラインドローラ(6)が、ポリマーおよび/または金属を含んでいることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の自動車の屋根。
【請求項18】
巻き取りブラインドローラ(6)が、鉄、クロム、アルミニウム、チタニウム、バナジウム、ニッケル、コバルト、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ならびに/あるいはこれらの混合物、共重合体、および/または複合材料を含んでいることを特徴とする、請求項17に記載の自動車の屋根。
【請求項19】
リブ(4a、4b)によって境界付けられ、ガイド(3a、3b)に挿入される巻き取りブラインド(7)の2つの縁に、摺動ブロックが取り付けられていることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の自動車の屋根。
【請求項20】
巻き取りブラインドが組み込まれた、請求項1から19のいずれか一項に記載の自動車の屋根を製造するための方法であって、
a.屋根の開口(2)と、ガイド(3a、3b)と、リブ(4a、4b)と、ドーム(9)と、巻き取りブラインドシャフトホルダ(5a、5b)とを有する自動車の屋根(1)を、射出成型するステップと、
b.巻き取りブラインド(7)を有する巻き取りブラインドローラ(6)を、巻き取りブラインドシャフトホルダ(5a、5b)へと挿入するステップと、
c.巻き取りブラインド(7)を、変位可能に、リブ(4a、4b)によって境界付けるステップと、
d.巻き取りブラインドシャフトホルダ(5a、5b)の少なくとも一部分、ガイド(3a、3b)、リブ(4a、4b)およびドーム(9)を、カバー(8a、8b)によって覆うステップと、
を含み、
ガイド(3a、3b)、リブ(4a、4b)およびドーム(9)はそれぞれ、車両横方向に車両中心からこの順に配置され、ガイド(3a、3b)はそれぞれ、リブ(4a、4b)と隣接し、
カバー(8a、8b)が、ねじおよび/またはくぎによってドーム(9)へと取り付けられている、方法。
【請求項21】
自動車の屋根が、車体の屋根の開口へと挿入されることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き取りブラインドが組み込まれた自動車の屋根、ならびにその製造および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のサンルーフが、ますます一般的になってきている。サンルーフは、一般に、透明な窓ガラスで覆われた自動車の屋根の開口で構成される。しかしながら、暑い夏および強力な太陽光において、客室が屋根の開口を通じて大いに加熱される可能性がある。さらに、走行時に散乱光によって運転者の視界が妨げられる可能性がある。また、客室が高温になると、運転者の集中および反応の能力に悪影響がある。考えられる1つの解決策は、入射する太陽光の強さおよび位置に応じて開閉することができる調節可能または変位可能な巻き取りブラインドまたはベネチアンブラインドである。特に、停止中の車両において、客室の加熱を大幅に軽減でき、したがって運転時の空調装置の使用を大幅に減らすことができる。寒い天候の際には、巻き取りブラインドが、一般に、透明な屋根を通しての熱の喪失を防止するために引き出される。
【0003】
また、ますます厳しくなる自動車の二酸化炭素の排出についての規制を承けて、自動車の重量を軽減し、したがって燃料の消費を少なくする取り組みも、強力に進められている。プラスチックの分野における不断の革新が、金属製の自動車の車体のかなりの部分を、ポリマー材料で作られた相応に軽い構成要素で置き換えることを可能にしている。特に、屋根の領域の一部または全体を、ポリマー材料で作られた構成要素で置き換えることが可能である。多くの場合、これらは、鋼で作られた車体の屋根と比べ、大幅に軽い重量とともに、同程度の硬さ、安定性、および丈夫さを有している。さらに、屋根の領域の重量の軽減ゆえに、車両の重心がさらに下方へと移動し、操縦性に良い影響を有している。さらに、ポリマー材料は、金属と比べて大幅に低い温度で製造、加工、および成形が可能である。これが、必要なエネルギを少なくし、材料の加工時のコストを低くする。
【0004】
巻き取りブラインドの構成要素を自動車に設置するためには、たとえポリマー材料で作られた屋根の場合でも、案内レール、補強リブ、ラッチ部材、および巻き取りブラインド取り付け具などといった多数の個別の部品を接着またはねじ留めすることによって、巻き取りブラインドの枠を設置する必要がある。しかしながら、巻き取りブラインドの設置における多数の個別のステップは、設置に要する時間および費用を増し、製造をより高価にする。さらに、多数のプロセスステップにより、製造の遅れおよび不良品の増加につながりかねない混乱および欠陥の可能性が増大する。
【0005】
欧州特許出願公開第1285794号明細書が、自動車の透明な屋根領域の下方に配置される太陽光の巻き取りブラインド装置を開示している。太陽光の巻き取りブラインド装置を、巻き取りシャフトおよび車両の屋根の側方に取り付けられたガイドによって調節することができる。
【0006】
独国実用新案出願公開第202006015107号明細書が、スライディングルーフの巻き取りブラインドのための案内レール、案内レールを車両に取り付けるための保持部、および巻き取りブラインドを収容するための案内部を開示している。保持部および案内部が、可撓なばね部によって接続されている。
【0007】
欧州特許出願公開第0990544号明細書が、閉鎖可能な車両の屋根の開口を開示しており、案内レールが屋根に取り付けられ、閉鎖手段が案内レールに取り付けられている。案内レールが、特に、汚れの進入に対して保護されている。
【0008】
欧州特許出願公開第1285794号明細書が、自動車の屋根のための太陽光の巻き取りブラインド装置を開示している。太陽光の巻き取りブラインド装置が、車両の屋根の側方のガイドに変位可能に案内された巻き取りシャフトを有しており、格納位置と作動位置との間で調節可能である。
【0009】
欧州特許出願公開第1782985号明細書が、ガラス張りの車両の屋根のカバー装置を開示している。カバー装置が、モータによって駆動される巻き取りブラインドを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1285794号明細書
【特許文献2】独国実用新案出願公開第202006015107号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0990544号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1782985号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、巻き取り屋根が組み込まれた自動車の屋根であって、可能なかぎり少数の個別の部品から費用対効果に優れた製造が可能であり、かつ高い安定性を有している自動車の屋根を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、本発明によれば、巻き取りサンルーフが組み込まれた請求項1に記載の自動車の屋根によって達成される。好ましい実施の形態が、従属請求項から明らかになる。
【0013】
自動車の屋根の製造およびその使用のための本発明による方法が、他の協調した請求項から明らかになる。
【0014】
本発明による巻き取りサンルーフが組み込まれた自動車の屋根は、ポリマー材料で製作された屋根の開口を有する自動車の屋根を含む。本発明は、好ましくは、車体の屋根の一部分だけがポリマー材料で製作された車両の屋根によって置き換えられている車両の屋根をさらに含む。ガイド、リブ(帯)、ドーム、巻き取りブラインド係止手段、および巻き取りブラインドシャフトホルダが、車両の走行方向または走行方向と反対の方向の右側および左側に位置して互いに向かい合う屋根の開口の縁に取り付けられる。ドームおよびガイド、リブ(帯)、ドーム、巻き取りブラインド係止手段、ならびに巻き取りブラインドシャフトホルダの数は、指定されず、さまざまであってよい。好ましくは、少なくとも2つのガイド、2つのリブ、2つの巻き取りブラインドシャフトホルダ、および2つのドームが、自動車の屋根に取り付けられる。巻き取りブラインドローラが、2つの巻き取りブラインドシャフトホルダに位置する。巻き取りブラインドローラに巻き取りブラインドが巻き付けられており、巻き取りブラインドを、ガイドに沿って、リブによって境界付けられつつ、巻き取ることおよび繰り出すことができ、したがって自動車の屋根の開口を開放および閉鎖することができる。ガイドに挿入されてリブに当接する巻き取りブラインドの2つの縁に、好ましくは摺動ブロックが取り付けられる。摺動ブロックは、好ましくは、ガイドにおいてリブに当接しつつ位置を変えることができる巻き取りブラインドの柔軟な取り付けを可能にする。上述の構成は、巻き取りブラインドシャフトホルダ、ガイド、リブ、およびさまざまな数のドームについて、カバーによって閉じられる。ドームは、好ましくは、ねじ山またはセルフタップねじのための材料を内部に備えている。ドームは、ねじ、リベット、接着剤、膨張プラグ、またはクリップによってカバーをねじ留めし、取り付け、さらには/あるいは固定するように機能する。自動車の屋根、ガイド、リブ、ドーム、および巻き取りブラインドシャフトホルダが、ポリマー材料で製作された単一の構造要素を形成している。好ましくは、2〜15個のドームが、両側において各々のリブの近くに配置される。
【0015】
ポリマー材料は、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ならびに/あるいはこれらの混合物または共重合体を含み、特に好ましくはポリカーボネート、ならびにポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン、およびポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレートなどのポリカーボネート混合物を含む。
【0016】
ポリマー材料には、好ましくは、ガラス繊維、ガラス玉、ガラスビーズ、および/または鉱物粒子が充てんされる。
【0017】
好ましくは、屋根の開口は、自動車の屋根の面積の30%〜80%、好ましくは40%〜70%を構成する。
【0018】
屋根の開口は、好ましくは透明または(或る程度)不透明な窓ガラスによって覆われ、あるいは閉鎖され、特に好ましくは透明または不透明な窓ガラスを開くことが可能である。好ましくは、窓ガラスが、ガラスまたはポリマーを含み、好ましくは板ガラス(フロートガラス)、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ならびに/あるいはこれらの混合物および/または共重合体を含む。
【0019】
カバーは、好ましくは、ねじ、リベット、クリップ、溶接(例えば、超音波)、および/またはラッチ機構によってドームに取り付けられる。
【0020】
カバーは、好ましくは金属およびポリマーを含み、特に好ましくはアルミニウム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ならびに/あるいはこれらの混合物または共重合体を含む。
【0021】
カバー、ドーム、リブ、またはガイドを、ねじ、接着剤、吊り下げ、クリップ、またはリベットによるルーフライニングまたは室内照明の取り付けなど、これらの要素によって、さらなる機能を実行できるように実現することができる。
【0022】
巻き取りブラインドは、薄板状の構成要素を有し、好ましくは、皮革、合成皮革、織物繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ならびに/あるいはこれらの混合物または共重合体などのポリマーを含む。
【0023】
巻き取りブラインが、好ましくは巻き取りブラインドラッチを有し、自動車の屋根が、ラッチ開口を有する。巻き取りブラインドラッチおよびラッチ開口が、巻き取りブラインドのさらなる固定および閉鎖を可能にする。
【0024】
好ましくは、巻き取りブラインドローラが、ポリマーおよび/または金属を含み、好ましくは鉄、クロム、アルミニウム、チタニウム、バナジウム、ニッケル、コバルト、および上述の金属の合金、あるいはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ならびに/あるいはこれらの混合物または共重合体を含む。
【0025】
さらに本発明は、巻き取りブラインドが組み込まれた自動車の屋根を製造するための方法であって、第1のステップにおいて、屋根の開口または透明な領域を有し、どちらの場合も少なくとも2つのガイド、2つのリブ、ドーム、および2つの巻き取りブラインドシャフトホルダを有する自動車の屋根が、射出成型される方法を包含する。このために、熱可塑性樹脂の射出成型法など、当業者にとって公知の従来からの方法を、ポリマー材料の射出成型に使用することができる。好ましくは、2成分の射出成型法が使用される。自動車の屋根の射出成型用の金型に、屋根の開口、ガイド、リブ、およびドームが、屋根とともに形成される。次いで、射出成型用の金型が、液状のポリマー材料によって満たされる。ポリマー材料の硬化後に、自動車の屋根を、少なくとも屋根の開口、ガイド、リブ、ドーム、および巻き取りブラインドシャフトホルダが形成された状態で取り出すことができる。次いで、巻き取りブラインドを有する巻き取りブラインドローラが、巻き取りブラインドシャフトホルダへと挿入される。巻き取りブラインドは、好ましくは横方向の外側がリブによって境界付けられているガイドへと、摺動ブロックによって挿入される。巻き取りブラインドに取り付けられた巻き取りブラインドラッチおよび自動車の屋根のラッチ機構(開口)によって、屋根の開口を完全に閉じることができる。次いで、巻き取りブラインドシャフトホルダ、ガイド、リブ、およびドームが、カバーによって閉じられる。
【0026】
カバーは、好ましくは、ねじ、リベット、膨張プラグ(エクスパンションアンカないし拡張アンカとしても知られている)、クリップ、接着剤、および/または溶接によってドームへと取り付けられる。
【0027】
本発明による自動車の屋根は、好ましくは車体の屋根の開口へと挿入される。
【0028】
さらに本発明は、自動車の屋根を、自動車および/またはトラック、トラクタにおいて、好ましくは自動車の調節可能なサンルーフとして使用することを包含する。
【0029】
以下で、本発明を、図面を参照して詳しく説明する。図面は、あくまでも概略図であり、縮尺に忠実ではない。図面は、決して本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】巻き取りブラインド(7)が挿入されておらず、カバー(8a、8b)も取り付けられていない状態の本発明による自動車の屋根の図である。
【
図2】完全に組み立てられた自動車の屋根の図である。
【
図3】自動車の屋根を製造するための本発明による方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1が、巻き取りブラインド(7)が挿入されておらず、カバー(8a、8b)も存在していない状態の本発明による自動車の屋根(1)の図を示している。自動車の屋根(1)が、屋根の開口(2)を備えるとともに、ガイド(3a、3b)、リブ(4a、4b)、ドーム(9)、および2つの巻き取りブラインドシャフトホルダ(5a、5b)を、互いに対向するように車両の走行方向の左側および右側に配置して備えている。自動車の屋根(1)、屋根の開口(2)、ガイド(3a、3b)、リブ(4a、4b)、ドーム(9)、および2つの巻き取りブラインドシャフトホルダ(5a、5b)は、例えばポリオレフィンなどのポリマー材料で製作された単一の構造要素(13)を形成している。巻き取りブラインドホルダ(6)が、巻き取りブラインドシャフトホルダ(5a、5b)へと挿入される。
【0032】
図2が、完全に据え付けられた自動車の屋根(1)の図を示している。自動車の屋根(1)の構造は、
図1において説明した構造に一致する。見て取ることができないガイド(3a、3b)、リブ(4a、4b)、ドーム(9)、および巻き取りブラインドシャフトホルダ(5a、5b)の一部分は、2つのカバー(8a、8b)によって覆われている。巻き取りブラインドカバー(8a、8b)は、ねじおよび/またはクリップによってドーム(9)に取り付けられている。あるいは、カバー(8a、8b)を、接着剤(好ましくは、水分によって硬化し、あるいは熱によって硬化する接着剤)を使用して取り付けることも可能である。カバー(8a、8b)を、リブ(4a、4b)またはドーム(9)へと貼り付けることができ、あるいは車両に直接貼り付けることができる。巻き取りブラインドローラ(6)に巻き付けられた巻き取りブラインド(7)が、屋根の開口(2)の一部を閉じている。巻き取りブラインドの巻き取りブラインドラッチ(11)および自動車の屋根のラッチ開口(12)によって、屋根の開口(2)を完全に閉じることができる。
【0033】
図3が、自動車の屋根を製造するための本発明による方法のフロー図を示している。第1のステップにおいて、屋根の開口(2)、ガイド(3a、3b)、リブ(4a、4b)、ドーム(9)、および巻き取りブラインドシャフトホルダ(5a、5b)を備える自動車の屋根(1)が、射出成型される。温度およびプロセス条件は、使用されるポリマー材料によって決定される。ポリマー材料の冷却および随意による硬化の後で、自動車の屋根(1)を取り出すことができる。次いで、巻き取りブラインド(7)を有する巻き取りブラインドローラ(6)が、巻き取りブラインドシャフトホルダ(5a、5b)に挿入される。巻き取りブラインド(7)が、リブ(4a、4b)によって外側において境界付けられてガイド(3a、3b)へと挿入される。次いで、巻き取りブラインドシャフトホルダ(5a、5b)、ガイド(3a、3b)、リブ(4a、4b)、およびドーム(9)が、2つのカバー(8a、8b)によって閉鎖される。カバー(8a、8b)の閉鎖は、好ましくは、カバー(8a、8b)をドーム(9)に位置するねじ山へと固定的に接続するねじの助けによって行なわれる。ドーム(9)の数は、屋根の開口(2)のサイズによって決定され、好ましくは片側につき3〜10個のドーム(9)になる。
【符号の説明】
【0034】
1 自動車の屋根
2 屋根の開口
3a、3b ガイド
4a、4b リブ
5a、5b 巻き取りブラインドシャフトホルダ
6 巻き取りブラインドローラ
7 巻き取りブラインド
8a、8b カバー
9 ドーム
10 窓ガラス
11 巻き取りブラインドのラッチ
12 ラッチ開口
13 構造要素