(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6343730
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】装飾ボタン
(51)【国際特許分類】
A44B 1/14 20060101AFI20180604BHJP
A44B 1/02 20060101ALI20180604BHJP
A44B 1/04 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
A44B1/14
A44B1/02 J
A44B1/04 U
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-30008(P2018-30008)
(22)【出願日】2018年2月22日
【審査請求日】2018年2月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595153354
【氏名又は名称】株式会社江商
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】樋口 三男
【審査官】
北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】
特開平9−238710(JP,A)
【文献】
実開昭63−175909(JP,U)
【文献】
実開昭50−107302(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 1/02
1/04
1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状の衣服用ボタンと、前記衣服用ボタンの表面を覆う円盤状の装飾カバーと、前記衣服用ボタンに収納されて保持された平板状でかつ環状の衣服用ボタン側磁石と、前記装飾カバーに収納されて保持された平板状でかつ環状の装飾カバー側磁石と、を備え、
前記衣服用ボタンが平坦な裏面を有し、
前記衣服用ボタン側磁石の内側で衣服用ボタンの中央部に前記中央部を貫通する少なくとも2つの糸通し孔が形成され、
前記衣服用ボタンが、前記衣服用ボタンの周縁部に形成された円筒状の衣服用ボタン側周縁突起部を有し、前記装飾カバーが、前記衣服用ボタンの前記衣服用ボタン側周縁突起部に係合するようその周縁部に形成された円筒状の装飾カバー側周縁突起部を有し、前記衣服用ボタン側周縁突起部の高さが前記衣服用ボタン側磁石の厚さより大きくなるよう前記衣服用ボタン側周縁突起部および前記衣服用ボタン側磁石を形成して配置したことを特徴とする装飾ボタン。
【請求項2】
前記衣服用ボタンが、前記衣服用ボタンの中央部に突出して形成された円筒状の衣服用ボタン側係止部を有し、
前記装飾カバーが、前記衣服用ボタン側係止部を係止するようその中央部に突出して形成された円筒状の装飾カバー側係止部を有し、
前記衣服用ボタンが、前記衣服用ボタン側係止部と前記衣服用ボタン側周縁突起部の間に形成され、前記衣服用ボタン側磁石を収納する環状の衣服用ボタン側磁石収納溝を有し、前記装飾用カバーが、前記装飾カバー側係止部と前記装飾カバー側周縁突起部の間に形成され、前記装飾カバー側磁石を収納する環状の装飾カバー側磁石収納溝を有し、
前記装飾カバーが前記衣服用ボタンを覆い前記衣服用ボタンに結合されるとき、前記衣服用ボタン側係止部と前記装飾カバー側係止部が互いに結合するとともに前記衣服用ボタン側磁石と前記装飾カバー側磁石との間で作用する磁力によって前記衣服用ボタン側磁石と前記装飾カバー側磁石を互いに吸着させることにより、前記装飾カバーと前記衣服用ボタンを結合するようにした請求項1に記載の装飾ボタン。
【請求項3】
前記衣服用ボタン側係止部の高さが、前記衣服用ボタン側周縁突起部の高さとほぼ等しくなるよう前記衣服用ボタン側係止部と前記衣服用ボタン側周縁突起部を形成した請求項2に記載された装飾ボタン。
【請求項4】
前記衣服用ボタン側係止部の内径が前記装飾カバー側係止部の外径よりも僅かに大きく、前記装飾カバーが前記衣服用ボタンを覆い前記衣服用ボタンに結合されたとき、前記装飾カバー側係止部の外周面が前記衣服用ボタン側係止部の内周面に係合して前記衣服用ボタン側係止部と前記装飾カバー側係止部が結合する請求項2又は3に記載の装飾ボタン。
【請求項5】
前記衣服用ボタン側係止部と前記装飾カバー側係止部が結合手段により連結され、前記結合手段が、前記装飾カバー側係止部の外周部に形成された係合溝と、前記係合溝に係合するよう前記衣服用ボタン側係止部の内周部に形成された突起部と、から構成される請求項2から4までのいずれか一項に記載の装飾ボタン。
【請求項6】
前記衣服用ボタン側係止部の内径が、前記装飾カバー側係止部の外径よりも大きく、前記衣服用ボタン側係止部の高さが、前記装飾カバー側係止部の高さよりも高くなるよう前記衣服用ボタン側係止部と前記装飾カバー側係止部を形成し、前記装飾カバーが前記衣服用ボタンを覆い前記衣服用ボタンに結合され、前記装飾カバー側係止部が記衣服用ボタン側係止部内に位置したとき、布地に前記衣服用ボタンを留める糸が占める糸空間を確保するようにした請求項2から5までのいずれか一項に記載の装飾ボタン。
【請求項7】
前記衣服用ボタンの外側面と、前記装飾カバーの外側面にそれぞれ目印を付け、前記装飾カバーが前記衣服用ボタンを覆い前記衣服用ボタンに結合されるとき、前記目印を合わせた後前記装飾カバーおよび前記衣服用ボタンを相互に回転させることにより、前記装飾カバーと前記衣服用ボタンを結合する動作が円滑に行われるようにした請求項2から6までのいずれか一項に記載された装飾ボタン。
【請求項8】
前記糸通し孔が4つである請求項1から7までのいずれか一項に記載された装飾ボタン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服用ボタンに装飾カバーが装着された装飾ボタン(以下、単に「装飾ボタン」ともいう)に関する。
【背景技術】
【0002】
衣服用ボタンに装飾カバーを被せて装飾ボタンを構成することは既に知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1には、衣服に縫い付けられたボタンに被覆される装飾カバーが開示されている。この装飾カバーは、袋状のカバー本体と、カバー本体の表面に施された装飾部と、カバー本体の裏側に形成された開口部とを備えて構成されている。カバー本体は伸縮性のある樹脂材料より製造されている。開口部の径は、カバー本体が伸縮していない状態においてはボタンの径よりも小さくなっており、カバー本体が弾性変形して開口部が広げられた状態においてボタンの径よりも大きくすることができる。使用時には、ボタンに装飾カバーが取り付けられた状態で、衣服のボタンホールに通して衣服の重なり部分を留める。
【0004】
特許文献2には、装飾が施された表層部材(装飾カバー)を取替え可能な装飾ボタンが開示されている。この装飾ボタンは、衣服への取付部を有する基板部材と、装飾が施されかつ基板部材に着脱可能に取り付けられる表層部材と、を備えている。表層部材には永久磁石が設けられ、基板部材には磁性部材が設けられている。基板部材と表層部材は磁力により結合し装飾ボタンが形成されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3194329号公報
【特許文献2】特開平9−238710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の装飾ボタンにあっては、ボタンに装飾カバーを装着する際にカバー本体の開口部を指で広げながらボタンに被せなければならず、装着が容易でなかった。また、金属など剛性の高い材料からなる装飾カバーを装着することはできなかった。
【0007】
また、特許文献2に記載の装飾ボタンにあっては、表層部材の永久磁石と基板部材に設けられた薄い鉄板とが磁力により結合される構成であり、結合力が十分ではなく、装飾カバーが脱落する懸念があった。特に、装飾カバーに高価な宝石などが取り付けられている場合には、装飾カバーの脱落を確実に防止する必要があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の装飾ボタンにあっては、衣服にアイロン掛けする場合に磁石が割れたり、損傷する恐れがあることから、基板部材から装飾カバーおよび永久磁石を取り外さなければならなかった。永久磁石が装飾カバーと別部品として構成されている場合には、永久磁石を装飾カバーから取り外すと共に、基板部材からも取り外す必要があり、特に、磁力の強い永久磁石の場合には取り外し作業が容易ではなかった。
【0009】
本発明は、前述のような課題を解決するためになされたものであり、磁装飾カバーを衣服用ボタンに容易に装着できるとともに使用中に装飾カバーが衣服用ボタンから脱落し難く、しかも、衣服用ボタンと装飾カバーを吸着する磁石が割れたり、傷付いたりするなど、磁石を損傷させることなく衣服のアイロン掛けを容易に行うことができ、また、衣服用ボタンが衣服の布地に対して安定した姿勢で取り付けることができる装飾ボタンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る装飾ボタンは、上記目的達成のため、(1)円盤状の衣服用ボタンと、前記衣服用ボタンの表面を覆う円盤状の装飾カバーと、前記衣服用ボタンに収納されて保持された平板状でかつ環状の衣服用ボタン側磁石と、前記装飾カバーに収納されて保持された平板状でかつ環状の装飾カバー側磁石と、を備え、前記衣服用ボタンが平坦な裏面を有し、前記衣服用ボタン側磁石の内側で衣服用ボタンの中央部に前記中央部を貫通する少なくとも2つの糸通し孔が形成され、前記衣服用ボタンが、前記衣服用ボタンの周縁部に形成された円筒状の衣服用ボタン側周縁突起部を有し、前記装飾カバーが、前記衣服用ボタンの前記衣服用ボタン側周縁突起部に係合するようその周縁部に形成された円筒状の装飾カバー側周縁突起部を有し、前記衣服用ボタン側周縁突起部の高さが前記衣服用ボタン側磁石の厚さより大きくなるよう前記衣服用ボタン側周縁突起部および前記衣服用ボタン側磁石を形成して配置した構成である。
【0011】
この構成により、装飾カバーを容易に装着できるとともに、使用中に装飾カバーが脱落し難く、しかも、衣服用ボタンと装飾カバーを吸着する磁石を損傷させることなく、衣服のアイロン掛けを容易に行うことができる。また、磁石が割れたり、傷付いたりするなど、磁石を損傷させることなく衣服のアイロン掛けを容易に行うことができる。衣服用ボタンが平坦な裏面を有しているので、衣服用ボタンを衣服の布地に取り付けたとき、衣服用ボタンと衣服の布地が面接触できるので、衣服用ボタンが衣服の布地に対して安定した姿勢で取り付けることができる。
【0012】
また、本発明に係る装飾ボタンは、上記(1)の構成に加え、(2)前記衣服用ボタンが、前記衣服用ボタンの中央部に突出して形成された円筒状の衣服用ボタン側係止部を有し、前記装飾カバーが、前記衣服用ボタン側係止部を係止するようその中央部に突出して形成された円筒状の装飾カバー側係止部を有し、前記衣服用ボタンが、前記衣服用ボタン側係止部と前記衣服用ボタン側周縁突起部の間に形成され、前記衣服用ボタン側磁石を収納する環状の衣服用ボタン側磁石収納溝を有し、前記装飾用カバーが、前記装飾カバー側係止部と前記装飾カバー側周縁突起部の間に形成され、前記装飾カバー側磁石を収納する環状の装飾カバー側磁石収納溝を有し、前記装飾カバーが前記衣服用ボタンを覆い前記衣服用ボタンに結合されるとき、前記衣服用ボタン側係止部と前記装飾カバー側係止部が互いに結合するとともに前記衣服用ボタン側磁石と前記装飾カバー側磁石との間で作用する磁力によって前記衣服用ボタン側磁石と前記装飾カバー側磁石を互いに吸着させることにより、前記装飾カバーと前記衣服用ボタンを結合するようにした構成である。
【0013】
この構成により、磁石が割れたり、傷付いたりするなど、磁石を損傷させることなく衣服のアイロン掛けを容易に行うことができ、前記衣服用ボタンを衣服の布地に取り付けたとき、前記衣服用ボタンを安定した姿勢をとらせることができるだけでなく、前記衣服用ボタン側磁石および前記衣服用ボタン側磁石を、それぞれ前記衣服用ボタン側磁石収納溝および前記装飾カバー側磁石収納溝に収納させているとき、前記衣服用ボタン側磁石および前記衣服用ボタン側磁石を安定して保持することができる。
【0014】
また、本発明に係る装飾ボタンは、上記(2)の構成に加え、(3)前記衣服用ボタン側係止部の高さが、前記衣服用ボタン側周縁突起部の高さとほぼ等しくなるよう前記衣服用ボタン側係止部と前記衣服用ボタン側周縁突起部を形成した構成である。
【0015】
この構成により、アイロンが直接磁石に当たることを回避することができ、磁石が割れたり、傷付いたりするなど、磁石を損傷させることなく衣服のアイロン掛けをさらに容易に行うことができ、前記衣服用ボタンを衣服の布地に取り付けたとき、前記衣服用ボタンを安定した姿勢をとらせることができる。
【0016】
また、本発明に係る装飾ボタンは、上記(2)又は(3)の構成に加え、(4)前記衣服用ボタン側係止部の内径が前記装飾カバー側係止部の外径よりも僅かに大きく、前記装飾カバーが前記衣服用ボタンを覆い前記衣服用ボタンに結合されたとき、前記装飾カバー側係止部の外周面が前記衣服用ボタン側係止部の内周面に係合して前記衣服用ボタン側係止部と前記装飾カバー側係止部が結合する構成である。
【0017】
この構成により、磁石が割れたり、傷付いたりするなど、磁石を損傷させることなく衣服のアイロン掛けを容易に行うことができ、衣服の布地に取り付けたとき、前記衣服用ボタン側磁石および前記衣服用ボタン側磁石を安定して保持できるだけでなく、前記衣服用ボタン側係止部と前記装飾カバー側係止部を強固に結合することができる。
【0018】
また、本発明に係る装飾ボタンは、上記(2)乃至(4)の構成に加え、(5)前記衣服用ボタン側係止部と前記装飾カバー側係止部が結合手段により連結され、前記結合手段が、前記装飾カバー側係止部の外周部に形成された係合溝と、前記係合溝に係合するよう前記衣服用ボタン側係止部の内周部に形成された突起部と、から構成される。
【0019】
この構成により、磁石が割れたり、傷付いたりするなど、磁石を損傷させることなく衣服のアイロン掛けを容易に行うことができ、前記衣服用ボタンを衣服の布地に取り付けたとき、前記衣服用ボタンを安定した姿勢をとらせることができるだけでなく、簡単な構造で前記衣服用ボタン側係止部と前記装飾カバー側係止部を結合することができる。
【0020】
また、本発明に係る装飾ボタンは、上記(2)乃至(4)の構成に加え、(6)前記衣服用ボタン側係止部の内径が、前記装飾カバー側係止部の外径よりも大きく、前記衣服用ボタン側係止部の高さが、前記装飾カバー側係止部の高さよりも高くなるよう前記衣服用ボタン側係止部と前記装飾カバー側係止部を形成し、前記装飾カバーが前記衣服用ボタンを覆い前記衣服用ボタンに結合され、前記装飾カバー側係止部が記衣服用ボタン側係止部内に位置したとき、布地に前記衣服用ボタンを留める糸が占める糸空間を確保するようにした構成である。
【0021】
この構成により、磁石が割れたり、傷付いたりするなど、磁石を損傷させることなく衣服のアイロン掛けを容易に行うことができ、前記衣服用ボタンを衣服の布地に取り付けたとき、前記衣服用ボタンを安定した姿勢をとらせることができるだけでなく、前記糸空間内で糸が損傷されることがない。
【0022】
また、本発明に係る装飾ボタンは、上記(2)乃至(6)の構成に加え、(7)前記衣服用ボタンの外側面と、前記装飾カバーの外側面にそれぞれ目印を付け、前記装飾カバーが前記衣服用ボタンを覆い前記衣服用ボタンに結合されるとき、前記目印を合わせた後前記装飾カバーおよび前記衣服用ボタンを相互に回転させることにより、前記装飾カバーと前記衣服用ボタンを結合する動作が円滑に行われる構成である。
【0023】
この構成により、磁石が割れたり、傷付いたりするなど、磁石を損傷させることなく衣服のアイロン掛けを容易に行うことができ、前記衣服用ボタンを衣服の布地に取り付けたとき、前記衣服用ボタンを安定した姿勢をとらせることができるだけでなく、前記目印を合わせた後前記装飾カバーおよび前記衣服用ボタンを相互に回転させることができるので、前記装飾カバーと前記衣服用ボタンを結合する動作を円滑にかつ短時間に行うことができる。
【0024】
また、本発明に係る装飾ボタンは、上記(1)乃至(7)の構成に加え、(8)前記糸通し孔が4つである請求項1から7までのいずれか一項に記載された装飾ボタン。
【0025】
この構成により、磁石が割れたり、傷付いたりするなど、磁石を損傷させることなく衣服のアイロン掛けを容易に行うことができ、前記衣服用ボタンを衣服の布地に取り付けたとき、前記衣服用ボタンを安定した姿勢をとらせることができるだけでなく、糸通し孔が増えたので、糸通し作業を円滑にかつ短時間に行うことができる。
【0026】
また、本発明に係る装飾ボタンは、上記(2)乃至(7)の構成に加え、(9)前記衣服用ボタン側係止部の内径が、前記装飾カバー側係止部の外径よりも大きく、前記衣服用ボタン側係止部の高さが、前記装飾カバー側係止部の高さよりも高くなるよう前記衣服用ボタン側係止部と前記装飾カバー側係止部を形成し、前記装飾カバーが前記衣服用ボタンを覆い前記衣服用ボタンに結合され、前記装飾カバー側係止部が記衣服用ボタン側係止部内に位置したとき、布地に前記衣服用ボタンを留める糸が占める糸空間を確保するようにした構成でもよい。
【0027】
この構成により、磁石が割れたり、傷付いたりするなど、磁石を損傷させることなく衣服のアイロン掛けを容易に行うことができ、前記衣服用ボタンを衣服の布地に取り付けたとき、前記衣服用ボタンを安定した姿勢をとらせることができるだけでなく、前記糸空間内で糸が損傷されることがない。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、磁装飾カバーを衣服用ボタンに容易に装着できるとともに使用中に装飾カバーが衣服用ボタンから脱落し難く、しかも、衣服用ボタンと装飾カバーを吸着する磁石が割れたり、傷付いたりするなど、磁石を損傷させることなく衣服のアイロン掛けを容易に行うことができ、また、衣服用ボタンが衣服の布地に対して安定した姿勢で取り付けることができる装飾ボタンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態に係る装飾ボタンの側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る装飾ボタンの斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る装飾ボタンの平面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る装飾ボタンを構成する衣服用ボタンの斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る装飾ボタンを構成する衣服用ボタンの平面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る装飾ボタンを構成する衣服用ボタンの底面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る装飾ボタンを構成する装飾カバーの斜視図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る装飾ボタンを構成する装飾カバーの平面図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る装飾ボタンを構成する装飾カバーの平面図であり、装飾カバーを衣服用ボタンに対して垂直方向に移動させ、突起部を垂直溝に係合させた状態を示す。
【
図12】装飾カバーを衣服用ボタンに対して水平方向に移動させ、水平溝に係合させた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0031】
本発明の実施形態における装飾ボタン1は、
図1乃至
図4に示すように、衣服用ボタン21と、装飾カバー22とからなっている。装飾カバー22は、その表面にダイヤなど装飾物2を接着固定しており、後述するように衣服用ボタン21の表面を覆って結合される。装飾ボタン1は、ワイシャツ、スーツ、背広、各種上着などの衣服の重なる部分の一方にあけたボタンホールやループにくぐらせることで、衣服の重なる部分を留めるものである。
【0032】
図1乃至
図4に示すように、本実施形態における衣服用ボタン21は、平坦な裏面を有し、全体的に円盤状に形成されている。装飾カバー22は、衣服用ボタン21の表面を覆うものであり、全体として円盤状に形成されている。衣服用ボタン側磁石23は、衣服用ボタン21に収納されて保持されるものであり、平板状でかつ環状に形成されている。また、環状の装飾カバー側磁石24は、装飾カバー22に収納されて保持されるものであり、平板状でかつ環状に形成される。このように、衣服用ボタンが平坦な裏面を有しているので、衣服用ボタンを衣服の布地に取り付けたとき、衣服用ボタンと衣服の布地が面接触できるので、衣服用ボタンが衣服の布地に対して安定した姿勢で取り付けることができる。
【0033】
衣服用ボタン21は、
図5乃至
図8に詳示するように、その周縁部に形成された円筒状の衣服用ボタン側周縁突起部21aを有し、装飾カバー22は、
図9、
図10に詳示するように、衣服用ボタン21の衣服用ボタン側周縁突起部21aに係合するようその周縁部に形成された円筒状の装飾カバー側周縁突起部22aを有する。
【0034】
装飾カバー側周縁突起部22aの内径は、衣服用ボタン側周縁突起部21aの外径よりも僅かに大きく、装飾カバー22が衣服用ボタン21を覆い衣服用ボタン21に結合されたとき、装飾カバー側周縁突起部22aの内周面が、隙間26をもって、衣服用ボタン側周縁突起部21aの外周面に対向している(
図2参照)。
【0035】
図5乃至8に示すように、衣服用ボタン側周縁突起部21aの高さは、衣服用ボタン側磁石23の厚さより大きくて衣服用ボタン側周縁突起部21aおよび衣服用ボタン側磁石23を形成しており、このような厚さの衣服用ボタン側磁石23を衣服用ボタン側周縁突起部21aに対して配置している。このように、衣服用ボタン側周縁突起部21aの高さが衣服用ボタン側磁石23の厚さより大きくしているので、装飾カバー22を衣服用ボタン21から外した状態でアイロン掛けを行うとき、アイロンの一部が衣服用ボタン側磁石23に当たることなくアイロン掛け作業を円滑にすることできるとともに、アイロン掛け作業の間、その熱や直接接触することに起因した衣服用ボタン側磁石23が割れたり、傷付いたりするなど、損傷することがない。
【0036】
衣服用ボタン側磁石23の内側で衣服用ボタン21の中央部には、この中央部を貫通して4つの糸通し孔25が形成されている。本発明においては、衣服用ボタン21を衣服に縫い付け固定するためには、糸通し孔25は、少なくとも2つあればよい。なお、好ましくは、糸通し孔25は、4つである。
【0037】
衣服用ボタン21は、
図5乃至
図8に詳示するように、衣服用ボタン21の中央部に突出して形成された衣服用ボタン側係止部21bを有し、装飾カバー22は、
図9、
図10に詳示するように衣服用ボタン側係止部21bを係止するようその中央部に突出して形成された装飾カバー側係止部22bを有する。
【0038】
衣服用ボタン側係止部21bと衣服用ボタン側周縁突起部21aは、衣服用ボタン側係止部21bの高さが衣服用ボタン側周縁突起部21aの高さとほぼ等しくなるよう形成されている。このため、アイロン掛けをさらに円滑にすることできるとともに、アイロン掛けの間、その熱や直接接触することに起因した衣服用ボタン側磁石23が割れたり、傷付いたりするなど、損傷することがない。
【0039】
衣服用ボタン側係止部21bおよび装飾カバー側係止部22bは、衣服用ボタン側係止部21bの内径が装飾カバー側係止部22bの外径よりも大きくなるよう形成されている。このため、装飾カバー22が衣服用ボタン21を覆い衣服用ボタン21に結合されたとき、装飾カバー側係止部22bの外周面が衣服用ボタン側係止部21bの内周面に係合して衣服用ボタン側係止部21bと装飾カバー側係止部22bが結合する。
【0040】
本発明においては、装飾カバー側係止部22bの内径が衣服用ボタン側係止部21bの外径よりも大きくしてもよい。この場合も、装飾カバー22が衣服用ボタン21を覆い衣服用ボタン21に結合されたとき、衣服用ボタン側係止部21bの外周面が装飾カバー側係止部22bの内周面に係合して衣服用ボタン側係止部21bと装飾カバー側係止部22bが結合される。
【0041】
衣服用ボタン21は、衣服用ボタン側係止部21bと衣服用ボタン側周縁突起部21aの間に形成され、衣服用ボタン側磁石23を収納する環状の衣服用ボタン側磁石収納溝21cを有する。装飾カバー22は、装飾カバー側係止部22bと装飾カバー側周縁突起部22aの間に形成され、装飾カバー側磁石24を収納する環状の装飾カバー側磁石収納溝22cを有する。
【0042】
以上のように構成されているので、装飾カバー22が衣服用ボタン21を覆い衣服用ボタン21に結合されるときには、衣服用ボタン側係止部21bと装飾カバー側係止部22bが互いに結合するとともに衣服用ボタン側磁石23と装飾カバー側磁石24との間で作用する磁力によって衣服用ボタン側磁石23と装飾カバー側磁石24を互いに吸着させることにより、装飾カバー22と衣服用ボタン21を結合するようになされている。
【0043】
ここで、前述のように磁力によって衣服用ボタン側磁石23と装飾カバー側磁石24を互いに吸着させるだけでなく、衣服用ボタン側係止部21bと装飾カバー側係止部22bを互いに強固に結合する結合手段は、以下の通りである。
【0044】
図5に示すように、結合手段30は、装飾カバー側係止部22bの外周部に形成された係合溝22baと、係合溝22baに係合するよう衣服用ボタン側係止部21bの内周部に形成された突起部21baと、から構成される。係合溝22baは、垂直方向の垂直溝22ba1と、これに直交する水平方向の水平溝22ba2からなっている。ここで言う垂直方向とは、衣服用ボタン21と装飾カバー22が互いに係合、離脱する方向、すなわち、開閉方向を指し、水平方向とは、衣服用ボタン21と装飾カバー22が互いに回転する方向を指す。
【0045】
図9又は
図10に示す装飾カバー22を衣服用ボタン21に結合させるときには、まず装飾カバー22を衣服用ボタン21に対して垂直方向、すなわち、閉方向に移動させ、突起部21baを垂直溝22ba1に係合し(
図11参照)、次いで装飾カバー22を衣服用ボタン21に対して水平方向、すなわち、回転方向に移動させ、水平溝22ba2に係合する(
図12参照)。このように、装飾カバー22を衣服用ボタン21に対して垂直方向および水平方向、すなわち開閉方向と回転方向に移動させるだけで装飾カバー22を衣服用ボタン21に強固に結合することができる。
【0046】
このように、磁力によって衣服用ボタン側磁石23と装飾カバー側磁石24を互いに吸着させるだけでなく、装飾カバー22を衣服用ボタン21に対して垂直方向と水平方向に移動させるだけで、衣服用ボタン側係止部21bと装飾カバー側係止部22bを互いに強固に結合することができるので、装飾カバー22が衣服用ボタン21から決して離脱することがない。
【0047】
前述した係合溝22baと、突起部21baは、図示したものでは、それぞれ2個設けているが、本発明においては、1個でも、また、3個以上でもよい。
【0048】
前述の例では、結合手段30は、装飾カバー側係止部22bの外周部に形成された係合溝22baと、係合溝22baに係合するよう衣服用ボタン側係止部21bの内周部に形成された突起部21baと、から構成されているが、本発明においては、結合手段30は以下のように構成されてもよい。すなわち、結合手段30は、衣服用ボタン側係止部21bの内周部に形成された係合溝と、この係合溝に係合するよう装飾カバー側係止部22bの外周部に形成された突起部と、から構成されてもよい。
【0049】
前述の例では、結合手段30は、装飾カバー側係止部22bの外周部に形成された係合溝22baと、係合溝22baに係合するよう衣服用ボタン側係止部21bの内周部に形成された突起部21baと、から構成されているが、本発明においては、衣服用ボタン側係止部21bの内周部と装飾カバー側係止部22bの外周部の双方に相互に係合するねじ山を形成してもよい。
【0050】
このため、装飾カバー22が衣服用ボタン21に対して正方向に回転するとき、ねじ効果により衣服用ボタン側係止部21bと装飾カバー側係止部22bが締まって強固に結合されるが、装飾カバー22が衣服用ボタン21に対して逆方向に回転するとき、ねじ効果から開放され衣服用ボタン側係止部21bと装飾カバー側係止部22bが緩み相互に離脱可能になる。
【0051】
また、本実施形態においては、衣服用ボタン側係止部21bと装飾カバー側係止部22bは、衣服用ボタン側係止部21bの内径が、装飾カバー側係止部22bの外径よりも大きい場合、衣服用ボタン側係止部21bの高さが、装飾カバー側係止部22bの高さよりも高くなるよう形成されている。
【0052】
このため、装飾カバー22が衣服用ボタン21を覆い衣服用ボタン21に結合され、装飾カバー側係止部22bが衣服用ボタン側係止部21b内に位置したとき、衣服用ボタン側係止部21bの頂部が装飾カバー側係止部22bの裏面に当たるため、衣服用ボタン21の中央部の表面と装飾カバー側係止部22bの先端の間に衣服の布地に衣服用ボタン21を留める糸が占める糸空間を確保することができる。
【0053】
本発明においては、衣服用ボタン21と装飾カバー22を結合させる直前に突起部21baを係合溝22baに簡単で円滑に係合させることができるように、衣服用ボタン21の外周面と装飾カバー22の外周面に目印28,29(
図1参照)を付けている。これらの目印28,29を見ながら衣服用ボタン21と装飾カバー22を合わせることにより、衣服用ボタン21と装飾カバー22の開閉方向と回転方向の動作を円滑に行うことができ、その作業の迅速化を図ることができる。すなわち、衣服用ボタン21の外側面と、装飾カバー22の外側面にそれぞれ目印を付け、装飾カバー22が衣服用ボタン21を覆い衣服用ボタン21に結合されるとき、目印28,29を合わせた後装飾カバー22および衣服用ボタン21を相互に回転させることにより、装飾カバー22と衣服用ボタン21を結合する動作が円滑に行われるようになっている。これらの目印28,29は、線や点など認識し易いものであれば如何なるものでもよい。
【0054】
また、装飾カバー22を外した状態、すなわち、衣服用カバー21のみで、ワイシャツ、スーツ、背広、各種上着などの衣服の重なる部分の一方にあけたボタンホールやループにくぐらせることで、衣服の重なる部分を留めるものであってもよい。この場合、衣服用ボタン21をくぐらせた後に好みに応じて異なる装飾物が接着固定された装飾カバーを取り付けることになる。
【0055】
本発明においては、衣服用ボタン側係止部21bの高さが衣服用ボタン側周縁突起部21aの高さとほぼ等しくなるよう衣服用ボタン側係止部21bおよび衣服用ボタン側周縁突起部21aを形成している。このように、衣服用ボタン側係止部21bの高さと衣服用ボタン側周縁突起部21aの高さに段差がないので、アイロン掛けを円滑にすることできる。アイロン掛けの間、その熱や直接接触することに起因した衣服用ボタン側磁石23が割れたり、傷付いたりするなど、損傷することがない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明は、磁装飾カバーを衣服用ボタンに容易に装着できるとともに使用中に装飾カバーが衣服用ボタンから脱落し難く、しかも、衣服用ボタンと装飾カバーを吸着する磁石が割れたり、傷付いたりするなど、磁石を損傷させることなく衣服のアイロン掛けを容易に行うことができ、また、衣服用ボタンが衣服の布地に対して安定した姿勢で取り付けることができ、衣服用ボタンおよび衣服用ボタンに装飾カバーが装着された装飾ボタンに有用である。
【符号の説明】
【0057】
21 衣服用ボタン
21a 衣服用ボタン側周縁突起部
21b 衣服用ボタン側係止部
21ba 突起部
21c 衣服用ボタン側磁石収納溝
22 装飾カバー
22a 装飾カバー側周縁突起部
22b 装飾カバー側係止部
22ba 係合溝
22ba1 垂直溝
22ba2 水平溝
22c 装飾カバー側磁石収納溝
23 衣服用ボタン側磁石
24 装飾カバー側磁石
30 結合手段
28、29 目印
【要約】
【課題】衣服用ボタンに取り付けた磁石を損傷させることなく衣服のアイロン掛けを容易に行うことができ、衣服の布地に取り付けたとき安定した姿勢をとることができる装飾ボタンを提供する。
【解決手段】円盤状の衣服用ボタン21と、衣服用ボタン21の表面を覆う円盤状の装飾カバー22と、衣服用ボタン21に収納されて保持された平板状でかつ環状の衣服用ボタン側磁石23と、装飾カバー22に収納されて保持された平板状でかつ環状の装飾カバー側磁石24と、を備え、衣服用ボタン21が平坦な裏面を有し、衣服用ボタン側磁石23の内側で衣服用ボタン21の中央部に中央部を貫通する少なくとも2つの糸通し孔が形成され、衣服用ボタン21の円筒状の衣服用ボタン側周縁突起部21aの高さが衣服用ボタン側磁石の厚さより大きくなるよう衣服用ボタン側周縁突起部21aおよび衣服用ボタン側磁石を形成して配置する。
【選択図】
図2