特許第6343733号(P6343733)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 奥山 聡の特許一覧

<>
  • 特許6343733-汚れがつきにくいシート 図000002
  • 特許6343733-汚れがつきにくいシート 図000003
  • 特許6343733-汚れがつきにくいシート 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343733
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】汚れがつきにくいシート
(51)【国際特許分類】
   B32B 23/08 20060101AFI20180604BHJP
   B32B 23/06 20060101ALI20180604BHJP
   E04F 13/07 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   B32B23/08
   B32B23/06
   E04F13/07 C
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-11677(P2015-11677)
(22)【出願日】2015年1月23日
(65)【公開番号】特開2016-135568(P2016-135568A)
(43)【公開日】2016年7月28日
【審査請求日】2015年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】714006761
【氏名又は名称】奥山 聡
(72)【発明者】
【氏名】奥山 聡
【審査官】 市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−168381(JP,A)
【文献】 特開2002−038396(JP,A)
【文献】 実開昭55−057421(JP,U)
【文献】 特開平01−133737(JP,A)
【文献】 特開昭60−137639(JP,A)
【文献】 実開平06−036831(JP,U)
【文献】 特開2002−225953(JP,A)
【文献】 特開2009−019293(JP,A)
【文献】 特開昭49−32047(JP,A)
【文献】 特開昭53−109907(JP,A)
【文献】 特開昭47−23622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00−43/00
B41M1/00−3/18
B41M7/00−9/04
C08J7/04−7/06
C09J7/00−7/04
E04F13/00−13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状基体の表面側にセロファンフイルムが接着部を介して接着されている汚れがつきにくいシートであって、シート状の基体が壁紙、障子紙、その他の、室内で用いる家具、器具の表面を覆うシートのいずれかである汚れがつきにくいシート
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚れが付きにくいシートに関する。特に、室内におけるタバコの煙等の汚染物質による汚れが付きにくい壁紙や室内の清浄性を確保するためのシートに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、タバコの煙による壁紙、家具の汚れに対しては、有効な手段はない。付着した汚れは薬品により除去することが可能な場合もあるが、対象物を傷つけることになり、実用性に乏しい。一方、光触媒を用い汚れを分解する技術はいくつか提案されているが、コストが高いためか、広く実用化するには至っていない。
このような状態であり、現在のところの唯一の方法は、汚れが付かないようにすることとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3186142号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
室内の雰囲気を汚染する代表的なものとして、タバコの煙がある。タバコの煙はガスと微粒子よりなり、壁紙、障子紙、襖紙、電気器具、家具等に強固に付着する。この黄茶色の汚れの除去は極めて困難であり、壁紙、障子紙、襖紙についた場合は、薬品によりある程度除去できる場合もあるが、多くは取り替えることになる。取り替えは、壁紙、襖においては、費用と工数を必要とする。なお、一度付着した汚れを分解する機能を持つものとして、光触媒を用いた技術があるが、強力は紫外線を必要とし、また高価である。このような状態であり、優れたガスや微粒子の付着防止機能をもった壁紙、障子紙、襖紙、電気器具等の表面を覆うシートは開発されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決する第一の発明は、
シート状の基体とセロファンフイルムからなる複合層よりなる汚れのつきにくいシートである。このシートではセロファンフィルムがガス中の汚れを吸着しにくいため、対象物を汚染から守ることができる。
また、第2の発明は、第1の発明において、シート状の基体の表面にセロファンフイルムを接着させた汚れのつきにくいシートである。このようにすることにより、壁紙、障子紙等に使用する場合に適したものとなる。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、シート状の基体が樹脂製シート、紙シート、樹脂製シートと紙シートの複合体、または金属製シートである汚れのつきにくいシートである。基体の素材は、目的に応じて最適なものを使用する。
また、第4の発明は、第1〜第3いずれかの発明において、シート状の基体の裏面に接着剤層を持つ汚れのつきにくいシートである。このシートは壁紙や襖紙に最適である。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、壁紙、襖紙、障子紙の寿命を大幅に伸ばすことができる。付着が防止されることにより、そこからの排出も防止され、清浄な室内雰囲気を保つことができる。また、基体シート(樹脂製シート、紙シート、金属箔シート)や、セロファンフィルムのデザインを工夫することにより、意匠性に優れたシートとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明のシートの断面を示した図である。
図2】他の本発明のシートの断面を示した図である。
図3】他の本発明のシートの断面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、セロファンフィルム3と基体シート2よりなるシートに関する。本発明は、樹脂製、紙製、金属製等の基体シート2の表面をセロファンフィルム3で覆った壁紙、障子紙、その他の、室内で用いる家具、器具の表面を覆うシートに関する。このシートの最外面にはセロファンフィルムを配置している。セロファンは基体シート2の全体を覆うものであっても、一部を覆うものであっても良い。
【0009】
図1は、壁紙の場合の例である。樹脂製の基体は、高分子フィルムであり、厚さは0.1〜1.0mmである。外側にセロファンフィルム3を張り付けている。樹脂製の基体シート2とセロファンフィルム3は、全面にわたって接着したものであってもよく、また、部分的に接着していても良い。樹脂製の基体シート2の裏面側には、壁紙として使用するための接着剤層4がある。なお、樹脂製の基体シート2中には、樹脂中に、紙、金属箔、金属酸化物を含んでも良い。また、樹脂製シートに代わって、紙シート、金属箔シートを用いても良い。
【0010】
図2に示した例では、樹脂製の基体シート2の上に紙シート6を配し、最外装をセロファンフィルム3としている。樹脂製基体シート2、紙シート6、およびセロファンフィルム3は、接着剤層5、及び接着剤層7で接着されており、樹脂製基体シート2の裏面側には、壁紙として使用するための接着剤層4がある。これらのシート層に加えてさらに、金属箔シートを追加してもよい。
【0011】
図3は、セロファンフィルム3と樹脂製の基体シート2よりなるシートである。2枚のシート(フィルム)は、接着部8により一体にしている。この接着部8は、2枚のシート(フィルム)を一体化するための作用を持つ。このような形状にすることで、対象物を覆うことができ、汚れを防止することができる。この対象物には壁も含まれる。この場合は壁紙として使用できる。
【0012】
すなわち、基体シート2には、以下のような場合があるが、いずれもが、本発明の範囲である。
(1)樹脂シート(添加成分として、紙、金属、金属酸化物を含む)
(2)紙シート(添加成分として、樹脂、金属、金属酸化物を含む)
(3)金属箔シート
(4)複層シート(1)、(2)、(3)の2つ以上からなるシート
【0013】
セロファンフィルムの厚さは、いずれの例においても、0.03〜0.1mmの範囲であり、通常使用されているセロファンテープと同程度で良い。面積(縦、横)は、使用目的に応じて決めるが、広い面積の製品で、品質の維持が困難な場合や、製造コストが著しく高くなる場合は、面積の小さいセロファンフィルムを隙間なく配置することになる。
なお、市販されているセロファンフィルムには、50cm、あるいは1m程度のものがあり、これらの製品を使うとすきまのないシートを製造することができる。
【0014】
以上に述べてきた、汚れが付きにくいシートをタバコの煙に接する環境に1年〜2年間、設置したが、ヤニ等による汚れはほとんど認められなかった。これに対して、セロファンフィルムで覆っていない壁紙、襖紙は文字や模様の判別が困難になるほどに焦げ茶色に変色した。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明はセロファンの新規な市場を提供するものである。
【符号の説明】
【0016】
1 本発明品
2 基体シート(樹脂製シート)
3 セロファンフィルム
4 壁紙として使用する場合の接着剤層
5 基体シート(樹脂製シート)とセロファンフィルムの接着剤層
6 紙シート
7 樹脂シートと紙シートの接着剤層
8 接着部
図1
図2
図3