(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エンジンにより駆動されて油圧を発生する油圧ポンプと、当該油圧により駆動される作業装置と、エンジンにより駆動される発電機により充電される第1電源装置と、エンジンまたはトランスミッションに設けられたPTO軸から前記油圧ポンプの駆動軸との間に順次連結された第1クラッチおよびアシストモータ/発電機ならびに第2クラッチと、アシストモータ/発電機により充電、給電される第2電源装置と、第1クラッチ、アシストモータ/発電機、第2クラッチおよび第2電源装置を選択的に操作するアシストコントローラと、を具備したフォークリフトのハイブリット式駆動装置であって、
アシストコントローラは、荷役時に、車両コントローラのデータに対応して、アシストモータ/発電機によるエンジンまたは油圧ポンプへの動力アシストと、アシストモータ/発電機から第2電源装置への電力回生と、を選択的に行い、
第1クラッチとアシストモータ/発電機と第2クラッチとがユニットケース内に一体に組み込まれたアシスト用ユニットを、PTO軸に連結してエンジンユニットに着脱可能に組み込み、アシスト用ユニットのアシストモータ/発電機から第2クラッチが介在された回転軸を油圧ポンプの駆動軸に連結した
ことを特徴とするフォークリフトのハイブリット式駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成において、クラッチを分離(オフ)した状態で、PTO軸により発電機を駆動してバッテリに充電する。またバッテリの電力により、発電機を駆動しPTO軸を介してエンジンをアシストして走行する。さらに、エンジンをアイドリング状態に保持したまま、エンジンによりモータ兼用発電機を駆動してバッテリに充電した状態で、バッテリから発電機兼用モータに給電してポンプを駆動し、作業装置を駆動する。
【0005】
またクラッチを接続(オン)した状態で、モータ兼用発電機および発電機兼用モータを空転させて、エンジンによりポンプを駆動し、作業装置を駆動する。また、バッテリからの給電により、モータ兼用発電機および発電機兼用モータを駆動してポンプを駆動する。
【0006】
しかし、上記構成では、PTO軸に、モータ兼用発電機および発電機兼用モータからなる2台のモータ/発電機を装備しなければならず、トランスミッションを具備した駆動装置の占有容積が広く必要で、限られた駆動装置の収容空間を有効利用できないという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点を解決して、駆動装置をコンパクトにできる
フォークリフトのハイブリット式駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、エンジンにより駆動されて油圧を発生する油圧ポンプと、当該油圧により駆動される作業装置と、エンジンにより駆動される発電機により充電される第1電源装置と、エンジンまたはトランスミッションに設けられたPTO軸から前記油圧ポンプの駆動軸との間に順次連結された第1クラッチおよびアシストモータ/発電機ならびに第2クラッチと、アシストモータ/発電機により充電、給電される第2電源装置と、第1クラッチ、アシストモータ/発電機、第2クラッチおよび第2電源装置を選択的に操作するアシストコントローラと、を具備した
フォークリフトのハイブリット式駆動装置であって、
アシストコントローラは、
荷役時に、車両コントローラのデータに対応して、アシストモータ/発電機によるエンジン
または油圧ポンプへの動力アシスト
と、アシストモータ/発電機から
第2電源装置への電力回生と、を選択的に行い、
第1クラッチとアシストモータ/発電機と第2クラッチとがユニットケース内に一体に組み込まれたアシスト用ユニットを、PTO軸に連結してエンジンユニットに着脱可能に組み込み、アシスト用ユニットのアシストモータ/発電機から第2クラッチが介在された回転軸を油圧ポンプの駆動軸に連結したことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の
フォークリフトのハイブリット式駆動装置であって、
アシストコントローラは、
作業装置の操作状態において、アクセルからの入力値が規定値以上の時に、第1クラッチおよび第2クラッチをそれぞれ接続するとともに、第2電源装置からアシストモータ/発電機に給電して駆動しエンジンおよび油圧ポンプを駆動して動力アシストする
荷役・動力アシストモードを選択し、
作業装置の操作状態において、アクセルからの入力値が規定値未満で、
かつブレーキが作動状態
であるとともに、アシストモータ/発電機が規定回転数以上の時に、第1クラッチおよび第2クラッチを
それぞれ接続して、アシストモータ/発電機により発電された回生電力を第2電源装置に蓄電する
荷役・電力回生モードを選択し、
作業装置の操作状態において、アクセル
からの入力値が規定値未満で、ブレーキが非作動状態の時に、第1クラッチを分離することによりエンジンの負荷を軽減するとともに、第2クラッチを接続して第2電源装置によりアシストモータ/発電機を駆動し油圧ポンプを動力アシスト
する荷役・負荷軽減モードを選択すること特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、PTO軸と油圧ポンプの間にアシストモータ/発電機を介在させ、PTO軸とアシストモータ/発電機の間に第1クラッチを介在させるとともに、アシストモータ/発電機と油圧ポンプの間に第2クラッチを介在させたので、第1クラッチと第2クラッチとにより、エンジンからアシストモータ/発電機に伝達される動力を接続、分離することができ、またアシストモータ/発電機と油圧ポンプに伝達される動力を接続、分離することができる。これにより、
フォークリフトの起動、走行、荷役状態で環境に応じたアシストモードを設定することができ、単数のアシストモータ/発電機ですむので、駆動装置をコンパクトに構成することができる。
さらに、第1クラッチとアシストモータ/発電機と第2クラッチとを一体としてユニットケースに組み込むことにより、組立性能やメンテナンス性能を向上させることができ、安価に提供することができる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、荷役・動力アシストモードにより、エンジンの動力アシストを効果的に行うことができる。また荷役・負荷軽減モードにより、従来ではエンジンの回転数が低い状態で、荷役操作すると、トルク不足からエンストする場合があったが、アクセルオフのアイドリング状態でも、エンストさせることなく荷役操作を可能とすることができる。そして、第2電源装置によりアシストモータ/発電機を駆動して油圧ポンプを動力アシストするので、エンジンの負荷が軽減される。さらに荷役・電力回生モードにより、アシストモータ/発電機による回生電力を効果的に回収することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る
実施例1は、フォークリフトに駆動/回生アシスト機構(アシスト機構)を設けたものである。
【0029】
このフォークリフトは、エンジンEの動力がトルクコンバータTCおよびトランスミッションTMを介して伝達され、ドライブデフDDを介して駆動輪である左右の後輪RWを駆動する走行装置13と、エンジンEのPTO軸12を介して連結された油圧ポンプGPと、この油圧ポンプGPの油圧により駆動される荷役装置14と、エンジンEにより駆動される発電機EGを介して充電される第1電源装置(たとえば鉛バッテリ)16とを具備している。
【0030】
油圧ポンプGPにより発生された油圧の一部は、作業装置の一例である荷役装置14を構成する荷役コントロールバルブ17Aを介して、荷役用フォーク17Bを昇降するリフト装置17Gのリフトシリンダ17Cや、荷役用フォーク17Bの案内用マスト装置17Dを傾動させるチルトシリンダ17E、各種アタッチメントシリンダ17Fに供給される。また油圧ポンプGPの油圧の一部は、ステアリング装置を構成するステアリングバルブ(たとえばオービットロール)18Aを介して操舵輪である左右の前輪FWのステアシリンダ18Bに供給される。さらに油圧ポンプGPの油圧の一部は、油圧式アキュムレータ19Aに蓄圧され、ブレーキバルブ19Bから油圧式のブレーキ装置(たとえばディスクブレーキ)の制動用シリンダ19Cに供給される。
【0031】
車両コントローラ31は、エンジンコントロールユニット32を介してエンジンEおよび車両補機機器を制御するもので、少なくとも、走行シフトレバーの中立、前進、後進操作位置を検出する走行シフトレバー検出器33、アクセルペダルの踏込量を検出するアクセルセンサ34、ステアリングハンドルの操作角を検出するステアリングセンサ35、リフトシリンダ17Cやチルトシリンダ17E、アタッチメントシリンダ17Fの操作信号を出力する荷役操作スイッチ36、ブレーキペダルの操作量を出力するブレーキスイッチ37、エンジンEを起動するスタータモータEsを操作するエンジンスタートスイッチ38、第1電源装置16の電圧を出力する第1電源電圧センサ39、エンジン冷却用のラジエータの冷却水の液温を出力するラジエータ液温センサ40からそれぞれ検出信号、操作信号が入力されている。
【0032】
(駆動/回生アシスト機構)
前記駆動/回生アシスト機構11は、エンジンEに設けられたPTO軸12と油圧ポンプGPの間に介在されたアシストモータ/発電機21と、PTO軸12とアシストモータ/発電機21の回転軸の間に介在された電磁式または油圧式の第1クラッチ22と、アシストモータ/発電機21の回転軸と油圧ポンプGPの駆動軸の間に介在された電磁式または油圧式の第2クラッチ23と、アシストモータ/発電機21にインバータ24を介して充電/給電可能な第2電源装置(リチウム電池/キャパシタ)25と、車両コントローラ31の出力データに対応して、第1クラッチ22および第2クラッチ23の操作や、第2電源装置25に対する充電/給電および他の装置への給電、ならびにアシストモータ/発電機21の操作を選択的に行うアシスト/回生コントローラ(アシストコントローラ)20と、第2電源装置25の電圧を検出してアシスト/回生コントローラ20に出力する第2電源電圧センサ27とを具備している。
【0033】
このアシスト/回生コントローラ20は、起動時および走行時ならびに荷役時の少なくとも1つで、アシストモータ/発電機21によるエンジンEや油圧ポンプGPへの動力アシストや回生電力の蓄電、第2給電装置25による電力アシストなどを行う。
【0034】
上記構成によれば、PTO軸12と油圧ポンプGPの間にアシストモータ/発電機21を介在させ、PTO軸12とアシストモータ/発電機21の間に第1クラッチ22を介在させるとともに、アシストモータ/発電機21と油圧ポンプGPの間に第2クラッチ23を介在させたので、第1クラッチ22と第2クラッチ23とにより、エンジンEからアシストモータ/発電機21に伝達される動力を接続、分離することができ、またアシストモータ/発電機21と油圧ポンプGPに伝達される動力を接続、分離することができる。これにより、フォークリフトの起動、走行、荷役状態での環境に応じた複数のアシスト/電力回生モードを設定することができ、単数のアシストモータ/発電機21ですむので、駆動装置をコンパクトに構成することができる。
【0035】
図7に示すように、これら第1クラッチ22とアシストモータ/発電機21と第2クラッチ23は、ユニットケース26aに一体に組み込まれてそれぞれの軸が互いに連結されたアシスト用ユニット26が形成されている。そして、エンジンユニットで、PTO軸12と油圧ポンプGPの駆動軸との間に、アシスト用ユニット26が着脱可能に組み込まれる。
【0036】
このように第1クラッチ22とアシストモータ/発電機21と第2クラッチ23とを一体にユニットケース26aに組み込む
アシスト用ユニット26により、新規車両はもとより、現状使用車両に駆動/回生アシスト機構11を追加装備可能となる。またメンテナンス時にユニットケース26aごとアシスト用ユニット26を取り外したり、故障時にユニットケース26aごとアシスト用ユニット26を交換することもできる。したがって、このような駆動/回生アシスト機構11のユニット化により、組立性能やメンテナンス性能を向上させることができ、安価に提供することができる。
【0037】
次に
図3〜
図6のフロー図を参照して、起動時、走行時、荷役時の各モードを説明する。
(起動モード)
図3に示すように、車両コントローラ31が始動条件を満たしている場合(STEP.S1)、走行シフトレバー検出器33の信号により、走行用シフトレバーが中立位置にあることを確認した(STEP.S2)後、エンジンスタートスイッチ38をオンする(STEP.S3)。
【0038】
次いで、第2電源電圧センサ27により検出された第2電源装置25の電圧が規定値以上かどうかを判断し(STEP.S4)、第2電源装置25の電圧が規定値未満の場合には、通常の起動モードに移行し、エンジンコントロールユニット32により第1電源装置16の電力をスタータモータEsに供給してエンジンEを起動する(STEP.S10)。
【0039】
第2電源装置25の電圧が規定値以上である場合、アシスト/回生コントローラ20により、ラジエータ液温センサ40から車両コントローラ31を介して入力されたラジエータの冷却水の液温が規定値未満か、どうかが判断される(STEP.S5)。そしてラジエータの冷却水の液温が規定値未満の場合、アシスト/回生コントローラ20は「起動・動力アシストモード」を選択する(STEP.S7)。
【0040】
ラジエータの冷却水の液温が規定値以上の場合、ついでアシスト/回生コントローラ20により、第1電源電圧センサ16sで検出された第1電源装置16の電圧が規定値未満かどうか、が判断される(STEP.S6)。第1電源装置16の電圧が規定値未満の場合、アシスト/回生コントローラ20は「起動・電力アシストモード」を選択し(STEP.S8)、第1電源装置16の電圧が規定値以上の場合、「起動・負荷軽減モード」を選択する(STEP.S9)。
【0041】
「起動・動力アシストモード」(STEP.S7)では、第1クラッチ22を接続(オン)するとともに、第2クラッチ23を分離(オフ)し(STEP.S7a)、第2電源装置25から給電してアシストモータ/発電機21を駆動し、エンジンEを動力アシストしつつ(STEP.S7b)、第1電源装置16の電力をスタータモータEsに供給してエンジンEを起動する(STEP.S10)。
【0042】
「起動・電力アシストモード」(STEP.S8)では、第1クラッチ22を分離(オフ)する(STEP.S8a)。この時の第2クラッチ23は任意位置にある。そしてエンジンスタートスイッチ38をオンすることにより、第2電源装置25と第1電源装置16の両電力をスタータモータEsにそれぞれ給電して電力アシストし(STEP.S8b)、エンジンEを起動する(STEP.S10)。
【0043】
「起動・負荷軽減モード」(STEP.S9)では、第1クラッチ22を分離(オフ)する(STEP.S9a)。この時第2クラッチ23は任意位置にある。これにより、エンジンEおよび油圧ポンプGPの負荷(回転抵抗)を軽減しつつ、第1電源装置16の電力をスタータモータEsに供給してエンジンEを起動する(STEP.S10)。
【0044】
なお、「起動・動力アシストモード」(STEP.S7)および「起動・電力アシストモード」(STEP.S8)において、第1電源装置16の充電量が低下している場合には、その後の走行モードおよび荷役モードで、エンジンEにより発電機15を駆動して第1電源装置16に充電しつつ、走行および荷役を行うことができる。なお、第2電源装置25により第1電源装置16に充電することもできる。
【0045】
上記起動モードによれば、エンジンEの起動に際して、第2電源装置25にアシスト可能な規定値の電圧が充電されているか、どうかを判断し、規定値未満の場合には、通常の起動動作を行うので、エンジンEの起動時の動力アシストや電力アシストを確実に行うことができる。
【0046】
第2電源装置25の電圧が規定値以上で、ラジエータの冷却水の液温が規定値未満の場合に選択される「起動・動力アシストモード」は、アシストモータ/発電機21によりエンジンEを駆動して動力アシストしつつ、第1電源装置16によりスタータモータEsを駆動してエンジンEを起動することにより、外気温の低い寒冷地や冬季であっても、エンジンEを確実に起動することができる。
【0047】
また、ラジエータの冷却水の液温が規定値以上で、第1電源装置16の電圧が規定値に満たない場合に選択される「起動・電力アシストモード」によれば、第2電源装置25により電力アシストして、第1電源装置16と第2電源装置25とでスタータモータEsを駆動することにより、エンジンEを確実に起動することができる。
【0048】
さらに第2電源装置25の電圧が規定値以上で、かつラジエータの冷却水の液温が規定値以上であり、さらに第1電源装置16の電圧が規定値以上の場合に選択される「起動・負荷軽減モード」によれば、第1クラッチ22を分離してアシストモータ/発電機21や油圧ポンプGPの回転抵抗によるエンジンEの負荷を軽減することにより、エンジンEをスムーズに起動することができる。
(走行モード)
図4に示すように、エンジンEが始動状態にあり(STEP.R1=S10)、アシスト/回生コントローラ20では、荷役操作スイッチ36により、リフト操作やチルト操作、アタッチメント操作などの荷役操作が非操作か、どうかが判断される(STEP.R2)。荷役操作が非操作の場合、アクセルセンサ34により検出されたアクセルの入力値が規定値未満か、どうかが判断され(STEP.R3)、アクセルの入力値が規定値以上の場合、アシスト/回生コントローラ20は「走行・動力アシストモード」を選択する(STEP.R4)。
【0049】
アクセルの入力値が規定値未満の場合、アシスト/回生コントローラ20では、ブレーキスイッチ37によりブレーキが操作されていないオフ状態か、どうかが判断される(STEP.R5)。ブレーキが操作されていないオフ状態の場合、アシスト/回生コントローラ20は「走行・負荷軽減モード」を選択する(STEP.R6)。
【0050】
ブレーキが操作されているオン状態の場合、アシスト/回生コントローラ20では、アシストモータ/発電機21に設けられたロータリエンコーダ20eにより、回転数が規定値以上か、どうかが判断される(STEP.R7)。そして、アシストモータ/発電機21の回転数が規定値以上の場合、アシスト/回生コントローラ20は「走行・電力回生モード」を選択し(STEP.R8)、アシストモータ/発電機21の回転数が規定値未満の場合、前記「走行・負荷軽減モード」を選択する(STEP.R6)。これは、アシストモータ/発電機21の回転数が規定値未満で「走行・電力回生モード」を選択した場合、エンジンEがアイドル回転数未満となって、エンストの原因となり、不適切な制御となるからである。またステアリング用の油圧も必要となるからである。
【0051】
「走行・動力アシストモード」(STEP.R4)では、第1クラッチ22および第2クラッチ23をそれぞれ接続(オン)する(STEP.R4a)。そして第2電源装置25からアシストモータ/発電機21に給電して駆動し、エンジンEを動力アシストする(STEP.R4b)。動力アシストの制御は、一定回転数で一定のトルクをアシストしてもよいし、回転トルクを変化させてもよい。そして、油圧ポンプGPにより発生する油圧は、ステアリングバルブ18Aからステアリングシリンダ18Bに供給され、パワーステアリングに使用される。
【0052】
「走行・負荷軽減モード」(STEP.R6)では、第1クラッチ22を分離(オフ)し(STEP.R6a)、PTO軸12とアシストモータ/発電機21の回転軸とを切り離すことにより、エンジンEにおけるアシストモータ/発電機21および油圧ポンプGPの回転抵抗を軽減する。そしてこの「走行・負荷軽減モード」で、
図6に示すパワーステアリングのデマンド制御が行われる(STEP.R6b)。すなわち、第2クラッチ23が接続(オン)され(STEP.R6a)、ステアリングハンドルが操作されてステアリングセンサ35によりステアリングバルブ18Aの作動が検出される(STEP.R6c)と、第2電源装置25からアシストモータ/発電機21に給電して駆動し(STEP.R6d)、油圧ポンプGPにより発生された圧油を、ステアリングに必要な量だけステアリングバルブ18Aからステアリングシリンダ18Bに供給する(STEP.R6e)。
【0053】
「走行・電力回生モード」(STEP.R8)では、第1クラッチ22および第2クラッチ23をそれぞれ接続(オン)する(STEP.R8a)。これにより、エンジンEの動力がアシストモータ/発電機21に伝達され、アシストモータ/発電機21の回転数が規定値以上であるため、エンストすることなく発電されて、その回生電力がインバータ24を介して第2電源装置25に蓄電される(STEP.R8b)。
【0054】
ここで、アシストモータ/発電機21の回転数が規定値未満となると、(B)⇒(STEP.R2)⇒(STEP.R3)⇒(STEP.R5)⇒(STEP.R7)を介して「走行・負荷軽減モード」(STEP.R6)に移行される。
【0055】
上記走行モードにおいて、アクセルの入力値が規定値未満で、ブレーキが操作されていないオフ状態の場合に選択される「走行・負荷軽減モード」によれば、フォークリフトの走行時に、第1クラッチ22を分離(オフ)してPTO軸12とアシストモータ/発電機21とを切り離し、パワーステアリングが操作された時に、アシストモータ/発電機により油圧ポンプを駆動して必要な量の圧油を、ステアリングバルブ18Aからステアシリンダ18Bに供給するデマンド制御により対処する。これにより、アシストモータ/発電機21や油圧ポンプGPの回転抵抗に起因するエンジンEの負荷を無くすことができ、効率良く走行することができる。
【0056】
また、アクセルが規定値以上踏み込まれてエンジンEの回転数が規定値以上十分に高い場合に選択される「走行・動力アシストモード」によれば、アシストモータ/発電機によりエンジンEが動力アシストされ、効率良く走行することができる。
【0057】
さらに、アクセルの踏込量が規定値未満でありエンジンEの回転数が高くない状態で、ブレーキが作動されず、かつアシストモータ/発電機21の回転数が規定値以上の場合に選択される「走行・電力回生モード」によれば、エンジンEにより駆動されるアシストモータ/発電機21の回生電力を第2電源装置25に蓄電することができ、効率よく走行することができる。
【0058】
(荷役モード)
図5に示すように、アシスト/回生コントローラ20では、荷役操作スイッチ36により、リフト操作やチルト操作、アタッチメント操作などがオンされて荷役操作状態であると判断される(STEP.R2)と、さらにアクセルセンサ34により検出されるアクセルの入力値が規定値未満か、どうかが判断される(STEP.W1)。このアクセルの入力値が規定値以上の場合、アシスト/回生コントローラ20は「荷役・動力アシストモード」を選択する(STEP.W2)。
【0059】
アクセルの入力値が規定値未満の場合(STEP.W1)、アシスト/回生コントローラ20では、ブレーキスイッチ37によりブレーキが操作されていないオフ状態か、どうかが判断される(STEP.W3)。ブレーキがオフ状態、たとえばエンジンEがアイドリングまたは低速回転状態でフォークリフトがゆっくりと前進、後進している場合、アシスト/回生コントローラ20は「荷役・負荷軽減モード」を選択する(STEP.W6)。
【0060】
ブレーキスイッチ37がオンされてフォークリフトが停止しようとしている場合(STEP.W3)、アシスト/回生コントローラ20では、ロータリエンコーダ21eによりアシストモータ/発電機21の回転数が規定値以上か、どうかが判断される(STEP.W5)。アシストモータ/発電機21の回転数が規定値以上の場合、アシスト/回生コントローラ20は「走行・電力回生モード」を選択する(STEP.W6)。反対にアシストモータ/発電機21が規定値未満の回転数である場合、アシスト/回生コントローラ20は前記「走行・負荷軽減モード」を選択する(STEP.W4)。ここで、アシストモータ/発電機21の回転数が規定値未満で「荷役・電力回生モード」を選択すると、エンジンEがアイドル回転数未満となって、エンストの原因となるからである。
【0061】
「荷役・動力アシストモード」(STEP.W2)では、第1クラッチ22および第2クラッチ23を接続(オン)する(STEP.W2a)。第2電源装置25から給電してアシストモータ/発電機21を駆動しエンジンEを動力アシストし、油圧ポンプGPを駆動する(STEP.W2b)。このアシストモータ/発電機21によるアシスト制御は、一定回転数で一定のトルクをエンジンEに供給してもよいし、回転トルクを変化させてもよい。
【0062】
「荷役・負荷軽減モード」(STEP.W4)では、第1クラッチ22を分離(オフ)するとともに、第2クラッチ23を接続(オン)する(STEP.W4a)。そして第2電源装置25から給電してアシストモータ/発電機21を駆動し、油圧ポンプGPを動力アシストする(STEP.W4b)。従来では、エンジンEがアイドリング状態で、荷役装置14を作動すると、エンジンの回転数が低くトルク不足からエンストする場合があったが、これにより、エンジンEがアイドリング状態であっても、荷役装置14を作動してエンストさせることなく荷役作業を行うことができる。
【0063】
「荷役・電力回生モード」(STEP.W6)では、第1クラッチ22および第2クラッチ23をそれぞれ接続(オン)する(STEP.W6a)。これにより、エンジンEの動力によりアシストモータ/発電機21が駆動され、アシストモータ/発電機21の回転数が規定値以上の範囲で、回生電力をインバータ24を介して第2電源装置25に供給し蓄電する(STEP.W6b)。
【0064】
ここで、アシストモータ/発電機21の回転数が規定値未満となると、(B)⇒(STEP.R2)⇒(STEP.W1)⇒(STEP.W3)を介して「荷役・負荷軽減モード」(STEP.W4)に移行される。
アクセルの入力値が規定値以上の場合にアシスト/回生コントローラ20により選択される「荷役・動力アシストモード」によれば、第1クラッチ22および第2クラッチ23を接続した状態で、第2電源装置25から給電してアシストモータ/発電機21を駆動し油圧ポンプGPを動力アシストする。これにより、大きい動力で荷役装置14を駆動することができる。
【0065】
また、アクセルの入力値が規定値未満であるアイドリング状態で、ブレーキが非作動(オフ)である場合、またはブレーキが作動されてフォークリフトが停止されて、かつアシストモータ/発電機21の回転数が規定値未満の場合に、アシスト/回生コントローラ20により「荷役・負荷軽減モード」が選択される。この「荷役・負荷軽減モード」によれば、第1クラッチ22を分離(オフ)するとともに、第2クラッチ23が接続(オン)された状態で、アシストモータ/発電機21を駆動して油圧ポンプGPを動力アシストする。これにより、エンジンEの静粛状態を維持しつつ荷役作業を行うことができ、エンジンEからの騒音の発生を効果的に抑制できる。
【0066】
さらに、アクセル入力値が規定値未満のアイドリング状態で、かつブレーキが作動されてフォークリフトが停止しようとしており、かつアシストモータ/発電機21の回転数が規定値以下の場合に、アシスト/回生コントローラ20は「荷役・負荷軽減モード」を選択する。この「荷役・負荷軽減モード」によれば、第1クラッチ22が分離(オフ)されるとともに、第2クラッチ23が接続(オン)され、エンジンEの負荷を軽減するとともに、駆動アシストモータ/発電機21を駆動して油圧ポンプGPを動力アシストする。これにより、エンジンEが低速走行中に荷役作業を行う時に、エンジンが低速回転であったり、アイドリング状態であっても、エンストさせることなく、荷役装置14を作動して荷役作業を行うことができる。そして、第2電源装置によりアシストモータ/発電機を駆動して油圧ポンプを動力アシストするので、エンジンの負荷が軽減される。また、騒音を効果的に抑制できる。
「荷役・電力回生モード」によれば、第1クラッチ22および第2クラッチ23をそれぞれ接続(オン)することにより、エンジンEの動力によりアシストモータ/発電機21が駆動され、その回生電力をインバータ24を介して第2電源装置25に蓄電することができる。
【0067】
[実施例2]
上記実施例1は、PTO軸12がエンジンEに設けられたPTO軸12と、油圧ポンプGPの駆動軸との間に、第1,第2クラッチ22,23を介してアシストモータ/発電機21を設けたが、実施例2では、
図8に示すように、トランスミッションTMに設けられたPTO軸12と油圧ポンプGPの間に、第1,第2クラッチ22,23を介してアシストモータ/発電機21を設けたものである。なお、実施例1と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0068】
実施例2によれば、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。