特許第6343756号(P6343756)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343756
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】レリースワイヤと機器部の連結構造
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20180611BHJP
【FI】
   E03C1/22 C
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-116461(P2013-116461)
(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公開番号】特開2014-234626(P2014-234626A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】櫻 健一
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−152777(JP,A)
【文献】 特開2006−183422(JP,A)
【文献】 特開2003−193529(JP,A)
【文献】 特開2006−342668(JP,A)
【文献】 特開2012−233343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/22−1/298
A47K 1/14
F16K 31/44−31/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナーワイヤ11と、
前記インナーワイヤ11が内部に進退自在に配置される円筒状のアウターチューブ12と、
アウターチューブ12端部に構成された外側方向に向かって突出するフランジ部121と、
から成るレリースワイヤ1と、
レリースワイヤ1端部が接続される機器部4と、
アウターチューブ12端部と機器部4を連結させるアウターエンド2と、
から構成されるレリースワイヤと機器部の連結構造において、
前記レリースワイヤ1のフランジ部121をアウターエンド2に弾性係合で係合する係合部6によって連結させ、更にアウターエンド2と機器部4を連結させたことを特徴とするレリースワイヤと機器部の連結構造。
【請求項2】
前記係合部6を、アウターエンド2に構成したツメ部62と、フランジ部121終端に構成したツメ受け部61と、
から構成したことを特徴とする前記請求項1に記載のレリースワイヤと機器部の連結構造。
【請求項3】
前記アウターエンド2と機器部4を弾性係合で係合する連結部7によって連結したことを特徴とする前記請求項1又は請求項2に記載のレリースワイヤと機器部の連結構造。
【請求項4】
前記連結部7を、アウターエンド2に構成したツメ状部材と、機器部4に構成した切り溝又は凹溝と、から構成したことを特徴とする前記請求項3に記載のレリースワイヤと機器部の連結構造。
【請求項5】
前記連結部7を、機器部4の外周面に構成したことを特徴とする前記請求項3又は請求項4に記載のレリースワイヤと機器部の連結構造。
【請求項6】
前記機器部4が、遠隔操作式排水栓装置の操作部41であることを特徴とする前記請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載のレリースワイヤと機器部の連結構造。
【請求項7】
前記機器部4が、遠隔操作式排水栓装置の排水栓昇降機構部45であることを特徴とする前記請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載のレリースワイヤと機器部の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面台や浴槽の排水口の弁体を遠隔的に操作して開閉する遠隔操作式排水栓装置の、レリースワイヤと機器部の連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よく知られたレリースワイヤと機器部の連結構造は、例えば図8に示した物がある。このレリースワイヤは、本従来例では図6に示すような洗面台のボウルに取り付けられる。
本従来例のレリースワイヤと機器部の連結構造は、図8に示すように、槽体と、排水口と、機器部としての操作部と、排水管と、弁体と、レリースワイヤと、アウターエンドと、から構成される。
槽体は、底部に排水口を開口した箱体であって、本従来例では洗面ボウルを指して槽体という。
排水口は、槽体底面に構成した開口であって、槽体内に発生した排水を下水側へと排水するための開口である。後述する排水管が接続される。
機器部としての操作部は、操作軸と、本体部と、保持機構部と、から構成される。
操作軸は、槽体の上縁部に配置構成される部材であって、先端にツマミを有した軸棒から成り、当該操作軸は、槽体上縁部分を介して槽体の裏面に上下動自在に貫通し、さらに操作軸下端は後記する本体部内に収納される。操作部の操作軸を使用者が上下動させることにより、レリースワイヤが進行/後退して弁体を上下動させることができ、遠隔的に操作することができる。
本体部は、槽体表面から裏面にかけて貫通して構成される筒体であって、操作軸と上下動自在に連結して配置される。本体部の上端は操作軸が進退自在に配置される。また、本体部の外周には雄ねじが螺設されている。
保持機構部は、本体部内部に収納される後記連結上部内に構成され、インナーワイヤの進退を保持/保持解除する部材である。本実施例では、ボールペンなどに用いられるスラストロック機構を備える。以上の構成要素で機器部としての操作部を構成する。
排水管は、排水口に接続された管体であって、途中に管体を屈曲して構成した排水トラップを配置構成している。
弁体は、排水口内に配置されて、弁体の上昇/下降によって排水口の開口/閉口を行うものである。本従来例では、弁体下端にレリースワイヤの先端が当接する当接部を構成し、当該当接部にレリースワイヤ先端が当接する事により弁体が上昇し、逆にレリースワイヤが後退することにより当接が解除されて弁体は自重で下降することになる。
レリースワイヤは、一方を操作部に、他方の端部を弁体側に連結接続して成り、インナーワイヤと、アウターチューブと、から構成される。
インナーワイヤは、金属の圧縮コイル状からなり、後記アウターチューブ内に進退自在に内包されている。
アウターチューブは、円筒状の可撓性を有した例えば四フッ化エチレンなどを用いた樹脂製の管体からなり、内部にインナーワイヤを内包している。
また、アウターチューブ端部には、外側方向に向かって突出して構成されるフランジ部を構成している。
アウターエンドは、本体部外周の雄ねじに螺合する雌ねじを内周に螺設した袋ナットであって、内部にレリースワイヤが挿通する穴を構成している。(特許文献1)
【0003】
前記した従来のレリースワイヤと機器部の連結構造は以下のように施工される。
予め、工場等でアウターエンドはレリースワイヤのフランジ部に係止するように取り付けておく。
槽体上縁部に機器部である操作部を取付け、また、排水口に排水管や排水トラップを取付け、その後、排水管側にレリースワイヤを接続する。その後、槽体に予め取り付けておいた機器部である操作部に、レリースワイヤの操作部側端部を仮固定し、レリースワイヤに挿通しておいたアウターエンドの雌ねじをレリースワイヤのフランジ部を係止させた状態で本体部外周の雄ねじに螺合する。そして、フランジ部を介在させた状態でアウターエンドを機器部にねじ螺合することによって、レリースワイヤと機器部である操作部の取付が完了する。その後、排水口に弁体を配置することで、レリースワイヤと機器部の連結構造を採用した従来の遠隔操作式排水栓装置の取り付けが完了する。
【0004】
上記従来例のレリースワイヤと機器部の連結構造は以下のような排水の流れとなる。
槽体の排水口の弁体が下降している際に、操作部を押動すると、レリースワイヤのインナーワイヤが操作部の押動に対応し前進する。そうすると、レリースワイヤはロッド部を介して弁体に当接しているので、インナーワイヤの前進に伴い弁体が押し上げられ上昇する。この状態時に、保持機構部が働き、インナーワイヤの前進量を保持することとなり、弁体の上昇が保持されることによって槽体の排水口が開口され、槽体内の排水が排水口から排水管、排水トラップを介して下水管へと排水される。また、この状態から操作部をさらに押動すると、インナーワイヤが少量前進し、保持機構部のインナーワイヤの保持が解除され、圧縮された付勢スプリングが保持機構部の解除に伴い圧縮が解除され、当該圧縮解除の付勢力によりインナーワイヤが後退する。そうすると、インナーワイヤの後退に併せてロッド部も後退し弁体との当接が解除され、弁体が下降して排水口に着座し、排水口を閉口することができる。この状態においては、排水口が閉口される為、槽体内部に水を貯水することができる。尚、これ以降は操作部の押動操作により上記の弁体の開閉作用が繰り返されることとなる。
【0005】
従来よく知られたレリースワイヤと機器部の連結構造は、例えば図9に示したものがある。本従来例のレリースワイヤと機器部の連結構造は、図7に示すような浴室の浴槽排水口に取り付けられる。
本従来例のレリースワイヤと機器部の連結構造は、図9に示すように、槽体と、排水口と、機器部としてのワイヤー受け部材と、排水管と、弁体と、操作部と、レリースワイヤと、から構成される。
槽体は、箱体であって、底部に後記する排水口が開口される。又、本従来例では、浴室の浴槽が槽体である。
排水口は、槽体の底部に開口された孔であって、排水口には、最終的には下水管と接続される排水管が接続されていて、内部に封水を構成して下水からの臭気や異臭を室内側へ逆流させないように排水トラップなどを介して配管し、槽体内部の排水を下水管へと排水するよう配管されている。また、排水口には、後記するレリースワイヤを排水口中心に固定されるよう、ワイヤー受け部材を配置構成している。
弁体は、排水口に配置され、弁体が上下動する毎に排水が排水/止水できるように成っている。弁体が排水口に降下して着座すれば排水口は閉口されて、排水は下水へと排水されず槽体内に貯水され、弁体が上昇した際は排水口が開口される。また、後記する操作部の操作により弁体が上昇/下降し、排水口の開閉を行うことが出来る。
機器部としてのワイヤー受け部材は、図8に示すように排水口に着脱可能に取り付けられる部材であって、排水口内周面に沿う形状のリング体、リング体から中央部分に架設される架橋部と、架橋部中心に構成される、前記レリースワイヤを配置固定するための軸受け部と、から構成される。当該ワイヤー受け部材の軸受け部は、レリースワイヤが配置された際に拡径して固定するスリットを先端に構成し、レリースワイヤを軸受け部に配置後に、軸受け部の拡径をそれ以上防止するためのキャップ部を構成する。
操作部は、ボタン部と、操作軸と、保持機構部と、から構成される。
ボタン部は、槽体の上縁部に配置構成される部材であって、使用者が押し操作する毎に弁体が上昇・下降する為の部材で、押しボタン状になっている。
操作軸は、ボタン部に接続される軸棒から成り、保持機構部に連結されて、ボタン部の押し操作を保持機構部に作用させるようにしている。
保持機構部は、操作部側に構成され、インナーワイヤの進退を保持/保持解除する部材である。本実施例では、ボールペンなどに用いられるスラストロック機構を備える。以上の構成要素で操作部を構成する。
レリースワイヤは、レリースワイヤは一方を操作部に、他方の端部を弁体側に連結接続して成り、インナーワイヤと、アウターチューブと、付勢スプリングと、ロッド部と、から構成される。
インナーワイヤは、金属の圧縮コイル状からなり、後記アウターチューブ内に進退自在に内包されている。
アウターチューブは、円筒状の可撓性を有した例えば四フッ化エチレンなどを用いた樹脂製の管体からなり、内部にインナーワイヤを内包している。
付勢スプリングは、アウターチューブ内に内蔵されるバネ体であり、前記保持機構部によって保持されたインナーワイヤが、保持機構部の解除の際に、進行した分だけバネの弾発力により元の箇所に後退するようになっている。
ロッド部は、インナーワイヤの弁側端部にカシメ固定される部分であり、インナーワイヤの進退動作を弁に伝達するように先端が弁体に着脱自在に取り付けられている。また、ロッド部はワイヤー受け部材によって排水口内に配置されるように成っている。(特許文献2)
【0006】
本従来例の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤと機器部の連結構造は以下のように施工される。
浴槽を設置後、若しくは設置前に、槽体の上縁部に操作部を取付け、その後操作部と排水口までホースなどの管体で連結し、操作部からレリースワイヤを挿入する。するとレリースワイヤはホースなどの管体内を通り排水口まで管体でガイドされ挿通される。
排水口に挿通されたレリースワイヤは、施工者により排水口から引き出される。排水口から引き出したレリースワイヤは、機器部としてのワイヤー受け部材の軸受け部に下方から差し込む。すると、レリースワイヤが軸受け部に挿通され、軸受け部のスリットが拡径し、軸受け部内にレリースワイヤの端部が配置される。その後、キャップ部をワイヤー受け部材の情報から軸受け部に嵌め込むことによって、軸受け部のスリットの拡径が防止され、レリースワイヤが機器部であるワイヤー受け部材の軸受け部に取り付けられる。その後、施工者によりワイヤー受け部材を排水口内にセットし、軸受け部内に配置されるレリースワイヤのロッド部に弁体を取付、施工が完了する。
【0007】
上記従来例のレリースワイヤと機器部の連結構造は以下のような排水の流れとなる。
槽体の排水口の弁体が下降している際に、操作部を押動すると、レリースワイヤのインナーワイヤが操作部の押動に対応し前進する。このとき、付勢スプリングは圧縮される。そうすると、レリースワイヤはロッド部を介して弁体に連結されているので、インナーワイヤの前進に伴い弁体が押し上げられ上昇する。この状態時に、保持機構部が働き、インナーワイヤの前進量を保持することとなり、弁体の上昇が保持されることによって槽体の排水口が開口され、槽体内の排水が排水口から排水管、排水トラップを介して下水管へと排水される。また、この状態から操作部をさらに押動すると、インナーワイヤが少量前進し、保持機構部のインナーワイヤの保持が解除され、圧縮された付勢スプリングが保持機構部の解除に伴い圧縮が解除され、当該圧縮解除の付勢力によりインナーワイヤが後退する。そうすると、インナーワイヤの後退に併せてロッド部も降下し弁体も下降するため、弁体が排水口に着座し、排水口を閉口することができる。この状態においては、排水口が閉口される為、槽体内部に水を貯水することができる。尚、これ以降は操作部の押動操作により上記の弁体の開閉作用が繰り返されることとなる。また、本従来例ではレリースワイヤはワイヤー受け部材により排水口内の中央部分にロッド部を配置することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−152777号
【特許文献2】特開2004−19112号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記した特許文献1である従来例のレリースワイヤと機器部の連結構造は、アウターエンドと機器部の接続をネジ螺合により接続している為、アウターエンドと機器部を螺合する際に、両者の間に介在しているレリースワイヤのフランジ部に、螺合による回転の応力が加わり、フランジ部上面と下面とが相対的に動く方向に力を加えられることでアウターワイヤ自身が捩れ・ねじれてしまう。このような捩れ・ねじれの応力がアウターチューブに加わると、アウターチューブの変形や破れが発生してしまう。また、アウターチューブに変形が発生すると、内部に進退自在に配置されているインナーワイヤに干渉してしまい、インナーワイヤの進退時に発生する摩擦でアウターチューブが破れたりするため、微細な変形でもアウターチューブに及ぼす影響は大きい為、アウターチューブにねじれ・捩れ応力は加わらないようにする方がよい。
また、施工前のレリースワイヤに輸送時に、アウターエンドが何に対しても固定されていないので、レリースワイヤを軸に上下動してしまい、アウターエンドが破損してしまうといった問題もある。
また、前記した特許文献2である従来例のレリースワイヤと機器部の連結構造は、アウターチューブと機器部の連結を、機器部の拡径とキャップ体によって行っていることから、キャップ体に加わる荷重が拡径の広がり防止及び、レリースワイヤの連結、という二つの応力を抑止しなければならないため、キャップ体の疲労破損が多発し、当該箇所が破損すると、遠隔操作式排水栓装置の機能をなさない為、非常に問題であった。また、当該従来例は、機器部又はアウターチューブに対してキャップ体を別部材として構成しないとならない為、施工時にキャップ体を紛失してしまうという問題が発生していた。また、現場での施工手順が「キャップ体を取り付ける」という工程が一つ増加するために作業者の手間が増え、施工性が悪かった。
【0010】
以上のことから、本願発明は以下の課題を解決する。
1.アウターエンドと機器部の接続時に、回転の応力がアウターチューブに伝わらないようにし、アウターチューブの破損を防止する。
2.アウターエンドと機器部の取付けを簡易な方法で取り付けることが出来、作業工程を減少させて施工性の向上を図る。
3.部材点数を減少させるとともに、施工現場で部材が紛失するおそれがない。
4.輸送時等に、アウターチューブに対してアウターエンドが軸方向に事由に移動することを防止して、アウターエンドの施工前の破損を防ぐ。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載のレリースワイヤと機器部の連結構造は、インナーワイヤ11と、前記インナーワイヤ11が内部に進退自在に配置される円筒状のアウターチューブ12と、アウターチューブ12端部に構成された外側方向に向かって突出するフランジ部121と、から成るレリースワイヤ1と、レリースワイヤ1端部が接続される機器部4と、アウターチューブ12端部と機器部4を連結させるアウターエンド2と、から構成されるレリースワイヤと機器部の連結構造において、前記レリースワイヤ1のフランジ部121をアウターエンド2に弾性係合で係合する係合部6によって連結させ、更にアウターエンド2と機器部4を連結させたことを特徴とするレリースワイヤと機器部の連結構造である。
【0012】
請求項2に記載のレリースワイヤと機器部の連結構造は、前記係合部6を、アウターエンド2に構成したツメ部62と、フランジ部121終端に構成したツメ受け部61と、から構成したことを特徴とする前記段落0011に記載のレリースワイヤと機器部の連結構造である。

【0013】
請求項3に記載のレリースワイヤと機器部の連結構造は、前記アウターエンド2と機器部4を弾性係合で係合する連結部7によって連結したことを特徴とする前記段落0011又は段落0012に記載のレリースワイヤと機器部の連結構造である。

【0014】
請求項4に記載のレリースワイヤと機器部の連結構造は、前記連結部7を、アウターエンド2に構成したツメ状部材と、機器部4に構成した切り溝又は凹溝と、から構成したことを特徴とする前記段落0013に記載のレリースワイヤと機器部の連結構造である。

【0015】
請求項5に記載のレリースワイヤと機器部の連結構造は、前記連結部7を、機器部4の外周面に構成したことを特徴とする前記段落0013又は段落0014に記載のレリースワイヤと機器部の連結構造である。

【0016】
請求項6に記載のレリースワイヤと機器部の連結構造は、前記機器部4が、遠隔操作式排水栓装置の操作部41であることを特徴とする前記段落0011乃至段落0015のいずれか一つに記載のレリースワイヤと機器部の連結構造である。
【0017】
請求項7に記載のレリースワイヤと機器部の連結構造は、前記機器部4が、遠隔操作式排水栓装置の排水栓昇降機構部45であることを特徴とする前記段落0011乃至段落0015のいずれか一つに記載のレリースワイヤと機器部の連結構造である。
【発明の効果】
【0018】
請求項2に記載の本発明は、レリースワイヤ1のフランジ部121をアウターエンド2と機器部4との間に介在させ、アウターエンド2と機器部4を弾性係合で係合する係合部6によって連結したことから、アウターエンド2と機器部4と接続する際に従来のようにネジ螺合で回転によって取り付けずに弾性係合によって取り付けるので、アウターチューブ12に回転の力が付与されずに接続されるので、アウターチューブ12にねじれや捩れの応力が加わることが無くなるため、アウターチューブ12の故障や破れが無くなる。また、アウターエンド2と機器部4の接続後に、アウターチューブ12が捩れたりねじれたりすることでアウターエンド2に回転の応力が伝達することがなく、アウターエンド2のツメ部62に余計な負荷が加わったりすることがないので、係合部6の破損を防ぐことが出来る。また、機器部4に対してレリースワイヤ1のフランジ部121を突き当て、アウターエンド2を機器部4に差し込むだけで係合部6が係合し、ワンタッチで連結できる。従って、施工性が向上した。また、アウターエンド2と機器部4の接続後に、アウターチューブ12をアウターエンド2と機器部4に対し回転可能に接続させることも可能なため、連結後にアウターチューブ12が捩れたりねじれたりしてアウターエンド2に該アウターチューブ12の回転の応力が伝達することがなくなり、アウターエンド2のツメ部62に余計な負荷が加わったりすることがないので、係合部6の破損を防ぐことが出来る。
請求項1に記載の本発明は、レリースワイヤ1のフランジ部121をアウターエンド2に弾性係合で係合する係合部6によって連結させ、更にアウターエンド2と機器部4を連結させたことにより、アウターチューブ12とアウターエンド2は係合固定されるので、レリースワイヤ1と機器部4を連結する前のレリースワイヤ1でも係合されているので、従来のようにアウターエンド2が輸送時にレリースワイヤ1に対して軸方向に自由に移動してしまうことによる破損を防ぐ。また、現場施工時にアウターエンド2を機器部4側に移動させる作業工程が減少する。
請求項3に記載の本発明は、係合部6を、フランジ部121又はアウターエンド2のどちらか一方に構成したツメ部62と、フランジ部121又はアウターエンド2の他方に構成したツメ受け部61と、から構成したことにより、簡単な構造かつ、強固にフランジ部1213とアウターエンド2を連結することができるようになった。
請求項4に記載の本発明は、係合部6を、アウターエンド2又は機器部4のどちらか一方に構成したツメ部62と、アウターエンド2又は機器部4の他方に構成したツメ受け部61と、から構成したことにより、簡単な構造かつ、強固にアウターエンド2と機器部4を連結することができるようになった。
請求項5に記載の本発明は、レリースワイヤ1の連結を、機器部4の内周面若しくは外周面のいずれか一方又は両方に構成したことから、係合部6の構造や、機器部4の配置個所による形状変更に対応することが出来る。
請求項6及び請求項7に記載の本発明は、本発明のレリースワイヤ1と機器部4の連結構造を、施工が難しい遠隔操作式排水栓装置に用いることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1の施工状態を示す一部断面斜視図である。
図2】実施例2の施工状態を示す一部断面斜視図である。
図3その他の実施例の施工状態を示す一部断面斜視図である。
図4その他の実施例の施工状態を示す断面図である。
図5(a)(d)その他の実施例を示す断面図である。
図6本発明品が施工される洗面ボウルを示す断面図である。
図7本発明品が施工される浴槽を示す断面図である。
図8従来例を示す断面図である。
図9従来例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0020】
本発明のレリースワイヤと機器部の連結構造は、例えば洗面ボウルや台所のキッチンシンク、浴室、などの槽体Sの排水口Kに備えられた弁体Bを、遠隔的に操作して開閉することができる遠隔操作式排水栓装置に用いられるものである。
本実施例の遠隔操作式排水栓装置に用いられるレリースワイヤと機器部の連結構造は、図6に示すような洗面ボウルに取り付けられる。
本実施例の遠隔操作式排水栓装置に用いられるレリースワイヤと機器部の連結構造は、図1の(a)(b)及び図6に示すように、槽体Sと、排水口Kと、排水管Hと、弁体Bと、機器部4としての操作部41と、レリースワイヤ1と、アウターエンド2と、係合部6と、から構成される。
槽体Sは、箱体であって、底部に後記する排水口Kが開口される。又、本実施例では、洗面ボウルが槽体Sである。
排水口Kは、槽体Sの底部に開口された孔であって、排水口Kには、最終的には下水管と接続される排水管Hが接続されていて、内部に封水を構成して下水からの臭気や異臭を室内側へ逆流させないように排水トラップなどを介して配管し、槽体S内部の排水を下水管へと排水するよう配管されている。
弁体Bは、排水口Kに配置され、弁体Bが上下動する毎に排水が排水/止水できるように成っている。弁体Bが排水口Kに降下して着座すれば排水口Kは閉口されて、排水は下水へと排水されず槽体S内に貯水され、弁体Bが上昇した際は排水口Kが開口される。また、後記する機器部4としての操作部41の操作により弁体Bが上昇/下降し、排水口Kの開閉を行うことが出来る。
操作部41は、図1に示すように機器部4として用いられ、操作軸42と、本体部43と、保持機構部44(図示せず)と、から構成される。
操作軸42は、槽体Sの上縁部に配置構成される部材であって、先端にツマミを有した軸棒から成り、当該操作軸42は、槽体S上縁部分を介して槽体Sの裏面に上下動自在に貫通し、さらに操作軸42下端は後記する本体部43内に収納される。操作部41の操作軸42を使用者が上下動させることにより、レリースワイヤ1が進行/後退して弁体Bを上下動させることができ、遠隔的に操作することができる。
本体部43は、槽体S表面から裏面にかけて貫通して構成される筒体であって、操作軸42と上下動自在に連結して配置される。本体部43の上端は操作軸42が進退自在に配置される。また、本体部43外周面には、後述するアウターエンド2の係合部6と係合するための係合部6としての凹状の切り溝がツメ受け部61として構成される。
保持機構部44は、図示しないが、本体部43内部に収納され、インナーワイヤ11の進退を保持/保持解除する部材である。本実施例では、ボールペンなどに用いられるスラストロック機構を備える。以上の構成要素で操作部41を構成する。
レリースワイヤ1は、一方を機器部4としての操作部41に、他方の端部を弁体B側に連結接続して成り、インナーワイヤ11と、アウターチューブ12と、フランジ部121と、ロッド部111と、から構成される。
インナーワイヤ11は、金属の圧縮コイル状からなり、後記アウターチューブ12内に進退自在に内包されている。
アウターチューブ12は、円筒状の可撓性を有した例えば四フッ化エチレンなどを用いた樹脂製の管体からなり、内部にインナーワイヤ11を進退自在に内包している。
フランジ部121は、機器部4側のアウターエンド2端部に、鍔状に外側方向に向けて凸出して構成される。当該フランジ部121は、アウターチューブ12に対して一体成形で構成されてもかまわないし、フランジ部121自体をアウターチューブ12に圧入固定若しくはインサート成形しても構わない。
ロッド部111は、インナーワイヤ11の操作部41側端部にカシメ固定される部分であり、インナーワイヤ11の進退動作を保持機構部44に作用させるように構成されている。ロッド部111は保持機構内に配置されるように成っている。
アウターエンド2は、図1に示すように、中央部分にレリースワイヤ1挿通用の孔が開口される円筒状の部材であって、内周面に係合部6を構成する。当該係合部6は、前記機器部4(操作部41)の本体部43外周に構成した係合部6であるツメ受け部61に係合するツメ部62から構成される。当該ツメ部62は、アウターエンド2の内周から内方向に向かって飛び出すツメであって、弾性を付与する為に、ツメの両サイドにはスリットが構成されている。また、アウターエンド2のレリースワイヤ1挿通用の孔はレリースワイヤ1が挿通され、レリースワイヤ1のフランジ部121が係止するように構成されている。
係合部6は、図1に示すように、前記機器部4としての本体部43とレリースワイヤ1を連結するために弾性係合させる構成要素であって、本実施例では、前述したように本体部43外周面に構成したツメ受け部61と、アウターエンド2内周に構成したツメ部62から成る。両者は、連結時に、ツメ部62がスリットにより弾性で拡径し、ツメ受け部61の凹溝部分で弾性により縮径する。このツメ部62が、ツメ受け部61で縮径することで、両者は弾性係合し、連結することが出来る。
【0021】
本実施例のレリースワイヤと機器部の連結構造は以下のように施工される。
予め、工場では以下のようにレリースワイヤ1を組みあげていく。
アウターチューブ12をアウターエンド2のレリースワイヤ1挿通用の孔に挿通しておき、アウターチューブ12にフランジ部121を圧入する。尚、本実施例ではプラスチック製のフランジ部121をアウターチューブ12に圧入してフランジ部121を構成しているが、例えば、アウターチューブ12とフランジ部121を、一体的に構成したり、インサート成形したり、また、フランジ部121を金属製にしたりなどの設計変更は可能である。
そして、インナーワイヤ11をアウターチューブ12内に挿通し、ロッド部111をインナーワイヤ11にカシメ固定する。そして、弁体B側のインナーワイヤ11の端部のロッド部111もカシメ固定しておき、レリースワイヤ1の工場での組立は完了する。
次に、施工現場での施工手順を説明する。
機器部4である操作部41を槽体Sに取付け、槽体Sの排水口Kに排水管H及び排水トラップを配管する。その後、排水口Kの、弁体B側に構成されている、遠隔操作式排水栓装置の弁体B部側端部にレリースワイヤ1を接続する。その後、図1(a)のように、レリースワイヤ1の操作部41側端部(つまり、アウターエンド2が接続されている端部側)を操作部41端部に突き当てる。このとき、インナーワイヤ11のロッド部111が操作部41内に配置されるよう操作部41の本体部43に挿入し、アウターチューブ12のフランジ部121が操作部41の本体部43端部に当接するように突き当てる。その後、アウターエンド2を機器部4である操作部41側へスライドさせ、図1(b)のように係合部6であるアウターエンド2のツメ部62を、これもまた係合部6である本体部43外周のツメ受け部61に弾性係合させる。そうすると、フランジ部121をアウターエンド2と機器部4(本体部43)の間に介在させて挟むように配置固定される。結果的に、レリースワイヤ1のフランジ部121は操作部41(機器部4)に接続されるが、接続する際に従来のようにネジ螺合で回転によって取り付けずに弾性係合によって取り付けるので、アウターチューブ12に回転の力が付与されずに接続されるので、アウターチューブ12の故障や破れが無くなる。
また、本実施例ではフランジ部121は機器部4とアウターエンド2に介在されている為、アウターチューブ12は機器部4に対して回転可能に接続されることとなる。従って、アウターエンド2と機器部4の接続後に、アウターチューブ12が捩れたりねじれたりすることでアウターエンド2に回転の応力が伝達することがなく、アウターエンド2のツメ部62に余計な負荷が加わったりすることがないので、係合部6の破損を防ぐことが出来る。
また、施工手順についても、機器部4に対してレリースワイヤ1のフランジ部121を突き当て、アウターエンド2を機器部4に差し込むだけで係合部6が弾性係合し、ワンタッチで連結できる。従って、施工性が向上した。
【0022】
上記実施例のレリースワイヤと機器部の連結構造は以下のような排水の流れとなる。
槽体Sの排水口Kの弁体Bが下降している際に、操作軸42を押動すると、レリースワイヤ1のインナーワイヤ11が操作軸42の押動に対応し前進する。このとき、レリースワイヤ1に内蔵された付勢スプリング5(図示せず)は圧縮される。そうすると、レリースワイヤ1は弁体B側に連絡されているので、インナーワイヤ11の前進に伴い弁体Bが押し上げられ上昇する。この状態時に、本体部43内の保持機構部44が働き、インナーワイヤ11の前進量を保持することとなり、弁体Bの上昇が保持されることによって槽体Sの排水口Kが開口され、槽体S内の排水が排水口Kから排水管H、排水トラップを介して下水管へと排水される。また、この状態から操作軸42を押動すると、インナーワイヤ11が少量前進し、本体部43内の保持機構部44のインナーワイヤ11の保持が解除され、インナーワイヤ11が前進した分だけ圧縮された付勢スプリング5が保持機構部44の解除に伴い圧縮が解除され、当該圧縮解除の付勢によりインナーワイヤ11が後退する。そうすると、インナーワイヤ11の後退に併せて弁体Bも自重により下降するため、弁体Bが排水口Kに着座し、排水口Kを閉口することができる。この状態においては、排水口Kが閉口される為、槽体S内部に水を貯水することができる。尚、これ以降は操作部41の押動操作により上記の弁体Bの開閉作用が繰り返されることとなる。
【実施例2】
【0023】
以下に第二実施例のレリースワイヤと機器部4連結構造の実施例を、図面を参照しつつ説明する。本発明のレリースワイヤと機器部の連結構造は、例えば洗面ボウルや台所のキッチンシンク、浴室、などの槽体Sの排水口Kに備えられた弁体Bを、遠隔的に操作して開閉することができる遠隔操作式排水栓装置に用いられるものである。
本実施例の遠隔操作式排水栓装置に用いられるレリースワイヤ1と機器部4の連結構造は、図6に示すような洗面ボウルに取り付けられる。
本実施例の遠隔操作式排水栓装置に用いられるレリースワイヤ1と機器部の連結構造は、図2(a)乃至(c)及び図6に示すように、槽体Sと、排水口Kと、排水管Hと、弁体Bと、機器部4としての操作部41と、レリースワイヤ1と、アウターエンド2と、係合部6と、連結部7と、から構成される。
槽体Sは、箱体であって、底部に後記する排水口Kが開口される。又、本実施例では、洗面ボウルが槽体Sである。
排水口Kは、槽体Sの底部に開口された孔であって、排水口Kには、最終的には下水管と接続される排水管Hが接続されていて、内部に封水を構成して下水からの臭気や異臭を室内側へ逆流させないように排水トラップなどを介して配管し、槽体S内部の排水を下水管へと排水するよう配管されている。
弁体Bは、排水口Kに配置され、弁体Bが上下動する毎に排水が排水/止水できるように成っている。弁体Bが排水口Kに降下して着座すれば排水口Kは閉口されて、排水は下水へと排水されず槽体S内に貯水され、弁体Bが上昇した際は排水口Kが開口される。また、後記する機器部4としての操作部41の操作により弁体Bが上昇/下降し、排水口Kの開閉を行うことが出来る。
操作部41は、機器部4として用いられ、操作軸42と、本体部43と、保持機構部44(図示せず)と、から構成される。
操作軸42は、槽体Sの上縁部に配置構成される部材であって、先端にツマミを有した軸棒から成り、当該操作軸42は、槽体S上縁部分を介して槽体Sの裏面に上下動自在に貫通し、さらに操作軸42下端は後記する本体部43内に収納される。操作部41の操作軸42を使用者が上下動させることにより、レリースワイヤ1が進行/後退して弁体Bを上下動させることができ、遠隔的に操作することができる。
本体部43は、槽体S表面から裏面にかけて貫通して構成される筒体であって、操作軸42と上下動自在に連結して配置される。本体部43の上端は操作軸42が進退自在に配置される。また、本体部43外周面には、後述するアウターエンド2の連結部7と係合するための溝が凹状の切り溝状に連結部7として構成される。また、本実施例ではアウターエンド2と本体部43の連結を連結部7による弾性係合によって行っているが、本体部43外周に雄ねじを構成し、アウターエンド2内周に構成した雌ねじによるネジ接続で行ってもかまわない。
保持機構部44は、図示しないが、本体部43内部に収納され、インナーワイヤ11の進退を保持/保持解除する部材である。本実施例では、ボールペンなどに用いられるスラストロック機構を備える。以上の構成要素で操作部41を構成する。
レリースワイヤ1は、一方を機器部4としての操作部41に、他方の端部を弁体B側に連結接続して成り、インナーワイヤ11と、アウターチューブ12と、その終端がツメ受け部61として機能するフランジ部121と、ロッド部111と、から構成される。
インナーワイヤ11は、金属の圧縮コイル状からなり、後記アウターチューブ12内に進退自在に内包されている。
アウターチューブ12は、円筒状の可撓性を有した例えば四フッ化エチレンなどを用いた樹脂製の管体からなり、内部にインナーワイヤ11を進退自在に内包している。
フランジ部121は、機器部4側のアウターエンド2端部に、鍔状に外側方向に向けて凸出して構成される。当該フランジ部121は、アウターチューブ12に対して一体成形で構成されてもかまわないし、フランジ部121自体をアウターチューブ12に圧入固定若しくはインサート成形しても構わない。また、本実施例では、当該フランジ部121が後述するアウターエンド2の係合部6により弾性で係合して配置されるようになる。
ロッド部111は、インナーワイヤ11の操作部41側端部にカシメ固定される部分であり、インナーワイヤ11の進退動作を保持機構部44に作用させるように構成されている。ロッド部111は保持機構内に配置されるように成っている。
アウターエンド2は、図2に示すように、中央部分にレリースワイヤ1挿通用の孔が開口される円筒状の部材であって、内周面に係合部6を構成する。当該係合部6は、アウターチューブ12のフランジ部121に係合するツメ部62から構成される。当該ツメ部62は、アウターエンド2の内周から内方向に向かって飛び出すツメであって、弾性を付与する為に、ツメの両サイドにはスリットが構成されている。このツメ部62は、アウターチューブ12のフランジ部121と弾性係合するように構成されている。また、アウターエンド2のレリースワイヤ1挿通用の孔はレリースワイヤ1が挿通され、レリースワイヤ1
のフランジ部121がアウターエンド2の係合部6によって係止するように構成されている。また、アウターエンドには、上記本体部43外周に構成した連結部7に連結するために構成した、弾性的に拡径・縮径するツメ状部材を連結部7として構成している。
係合部6は、図2に示すように、前記アウターチューブ12とアウターエンド2を連結するために弾性係合させる部材であって、本実施例では、前述したようにアウターエンド2内周に構成したツメ部62と、アウターチューブ12に構成したフランジ部121自身から成る。両者は、連結時に、ツメ部62がフランジ部121により弾性で拡径し、フランジ部121終端で弾性により縮径する。このツメ部62がフランジ部121終端で縮径することで、両者は弾性係合し、連結することが出来る。
連結部7は、図2に示すように、前記機器部4としての本体部43とレリースワイヤ1を連結するために弾性係合させる部材であって、本実施例では、前述したように本体部43外周面に構成した切り溝と、アウターエンド2内周に構成したツメ状部材から成る。両者は、連結時に、ツメ状部材がスリットにより弾性で拡径し、切り溝の凹溝部分で弾性により縮径し両者は弾性係合し、連結することが出来る。尚、当該連結部7は本実施例では弾性係合しているが、ネジ接続等、他の接続方法で接続しても良い。

【0024】
本実施例のレリースワイヤと機器部の連結構造は以下のように施工される。
予め、工場では以下のようにレリースワイヤ1を組みあげていく。
アウターチューブ12にアウターエンド2のレリースワイヤ1挿通用の孔を挿通しておき、アウターチューブ12にフランジ部121を圧入する。尚、本実施例ではプラスチック製のフランジ部121をアウターチューブ12に圧入してフランジ部121を構成しているが、例えば、アウターチューブ12とフランジ部121を、一体的に構成したり、インサート成形したり、また、フランジ部121を金属製にしたりなどの設計変更は可能である。
そして、インナーワイヤ11をアウターチューブ12内に挿通し、図2(a)のようにロッド部111をインナーワイヤ11にカシメ固定する。そして、弁体B側のインナーワイヤ11の端部のロッド部111もカシメ固定する。そして、図2(b)の状態のように、レリースワイヤ1のフランジ部121をアウターエンド2の係合部6に弾性係合しておく。このときの弾性係合の流れとしては、アウターチューブ12に挿通していたアウターエンド2をフランジ部121方向に移動させ、フランジ部121より下流から上流へ向けてアウターエンド2を引っ張り上げると、アウターエンド2の係合部6が弾性的に拡径し、そのままフランジ部121終端までアウターエンド2を移動させると係合部6の拡径がもとの形に縮径し、係合部6とフランジ部121が弾性的に係合することとなる。これは、アウターチューブ12のフランジ部121をアウターエンド2のツメ部62に引っかけ係止させることで、アウターエンド2のツメ部62が弾性により拡径し、アウターチューブ12のフランジ部121を係合することができる。よってアウターチューブ12とアウターエンド2は係合固定されるので、レリースワイヤ1に輸送時に、アウターエンド2がレリースワイヤ1を軸に上下動することによる破損を防ぐ。また、現場施工時にアウターエンド2を機器部4側に移動させる作業工程が減少する。ここでレリースワイヤ1の工場での組立は完了する(つまり、図2(b)の状態)。
次に、施工現場での施工手順を説明する。
機器部4である操作部41を槽体Sに取付け、槽体Sの排水口Kに排水管H及び排水トラップを配管する。その後、排水口Kの、弁体B側に構成されている、遠隔操作式排水栓装置の弁体B部側端部にレリースワイヤ1を接続する。その後図2(b)のように、レリースワイヤ1の操作部41側端部(つまり、アウターエンド2が接続されている端部側)を操作部41端部に突き当てる。このとき、インナーワイヤ11のロッド部111が操作部41内に配置されるよう操作部41の本体部43に挿入し、アウターチューブ12のフランジ部121が操作部41の本体部43端部に当接するように突き当てる。そうすると、アウターチューブ12のフランジ部121にはアウターエンド2が予め係合固定されているので、自動的にフランジ部121がアウターエンド2と機器部4(本体部43)の間に介在させて挟むように配置固定される。そして、図2(c)のようにアウターエンド2に構成した連結部7が、本体部43外周に構成した連結部7に係合し、レリースワイヤ1と機器部4の接続が完了する。また、本実施例ではフランジ部121はアウターエンド2に係合されている為、機器部4に対してレリースワイヤ1のフランジ部121を突き当て、アウターエンド2を機器部4に差し込むだけで取付が完了し、ワンタッチで連結できる。従って、施工性が向上した。
【0025】
上記実施例のレリースワイヤと機器部の連結構造は以下のような排水の流れとなる。
槽体Sの排水口Kの弁体Bが下降している際に、操作軸42を押動すると、レリースワイヤ1のインナーワイヤ11が操作軸42の押動に対応し前進する。このとき、レリースワイヤ1に内蔵された付勢スプリング5(図示せず)は圧縮される。そうすると、レリースワイヤ1は弁体B側に連絡されているので、インナーワイヤ11の前進に伴い弁体Bが押し上げられ上昇する。この状態時に、本体部43内の保持機構部44が働き、インナーワイヤ11の前進量を保持することとなり、弁体Bの上昇が保持されることによって槽体Sの排水口Kが開口され、槽体S内の排水が排水口Kから排水管H、排水トラップを介して下水管へと排水される。また、この状態から操作軸42を押動すると、インナーワイヤ11が少量前進し、本体部43内の保持機構部44のインナーワイヤ11の保持が解除され、インナーワイヤ11が前進した分だけ圧縮された付勢スプリング5が保持機構部44の解除に伴い圧縮が解除され、当該圧縮解除の付勢によりインナーワイヤ11が後退する。そうすると、インナーワイヤ11の後退に併せて弁体Bも自重により下降するため、弁体Bが排水口Kに着座し、排水口Kを閉口することができる。この状態においては、排水口Kが閉口される為、槽体S内部に水を貯水することができる。尚、これ以降は操作部41の押動操作により上記の弁体Bの開閉作用が繰り返されることとなる。
【0026】
本発明は前記した実施例のほか、特許請求の範囲を越えない範囲で適宜変更は可能である。
例えば、上記実施例ではアウターエンド2をアウターチューブ12の端部に構成配置しているが、図4に示すように、機器部4側端部に構成しても良い
また、上記実施例ではアウターエンド2(又はストッパー部3)をメス部材、機器部4をオス部材として構成しているが、図5(b)に示すようにアウターエンド2(又はストッパー部3)をオス部材、機器部4をメス部材としても良い。
また、上記実施例では機器部4を遠隔操作式排水栓装置の操作部41としていたが、例えば、図7に示すような遠隔操作式排水栓装置の排水栓昇降機構部45を機器部4としてもかまわない。このときの排水栓昇降機構部45とは、例えば弁側の装置の事を指し、例えば排水栓内に設置されたワイヤー受け部材の軸受け部を機器部4としてもよい。また、操作部41及び排水栓昇降機構部45の両方を機器部4としても良いことはもちろんである。
また、前記実施例ではストッパー部3をインナーワイヤ11と付勢スプリング5の防護カバーとして使用しているが、図3図5(a)に示したように、スペーサーや接続用パーツを目的として構成・使用しても良い。また、図3においては(a)乃至(d)のように施工されることとなる。
【符号の説明】
【0027】
1 レリースワイヤ
11 インナーワイヤ
111 ロッド部
12 アウターチューブ
121 フランジ部
2 アウターエンド
3 ストッパー部
4 機器部
41 操作部
42 操作軸
43 本体部
44 保持機構部
45 排水栓昇降機構部
5 付勢スプリング
6 係合部
61 ツメ受け部
62 ツメ部
7 連結部
S 槽体
K 排水口
B 弁体
H 排水管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9