特許第6343757号(P6343757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6343757
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】津波体験博物館
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/00 20060101AFI20180611BHJP
   G09B 25/04 20060101ALI20180611BHJP
   E04H 3/10 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   G09B9/00 M
   G09B9/00 Z
   G09B25/04
   E04H3/10 Z
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-60364(P2017-60364)
(22)【出願日】2017年3月27日
【審査請求日】2017年7月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512108717
【氏名又は名称】▲濱▼田 英外
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 英外
【審査官】 目黒 大地
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3182729(JP,U)
【文献】 特開2003−022001(JP,A)
【文献】 特開2013−238076(JP,A)
【文献】 気仙沼唐桑半島の津波体験館!その魅力を大公開!,[online],2016年 5月20日,2017年10月5日検索,URL,http://mittunattu.net/archives/328.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B1/00−9/56
17/00−19/26
E04H3/00−4/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モデルハウスと周辺の道路、避難階段を含む一般住宅環境の町並みを備えた津波体験設備と、
前記体験設備に疑似津波を作って送る造波設備と、
前記体験設備に入って疑似津波を体験することを許容するか否かを判断するための医師チェック室と、
前記体験希望者の救助をするために設置された防護柵と、
を有することを特徴とする疑似津波実水体験博物館
【請求項2】
前記医師チェック室において、疑似津波を実水で体験することを許容されないと判断された者に対し、津波をビデオで閲覧できるようにした津波ビデオ資料室を設けることを特徴とする請求項1に記載の疑似津波実水体験博物館
【請求項3】
前記医師チェック室において、津波をビデオで閲覧することを許容されないと判断された者に対し、津波を写真で閲覧できる津波写真資料室を設けることを特徴とする請求項2に記載の疑似津波実水体験博物館
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
津波や高波などは時々起こる自然災害であり頻度が少ないが、災害が大きく、災害時には緊急の対応を必要とすることから、そのような災害の起こり得る地域の住民は、津波災害時に必要な知識や対策を学んでおくことが必要である。そして、できればそれに加えて類似の疑似災害を体験しておくことが望ましい。災害対応の学習ができる施設であると共に、安全にそのような疑似津波の体験ができる津波体験博物館。
【背景技術】
【0002】
津波災害の被災地では、「津波てんでんこ」というような教えが伝達されて津波災害への対応が教育されてきたが、その頻度が100年に一度の大津波への対応となると、世代が1~2代以上経ってしまっていて、十分に伝わっていないことが多く、2011年の東日本大震災の時の大津波に対しては、津波の規模が甚大であったことと相まって甚大な被害をもたらせた。このような災害を少しでも低減するために、軽度の津波を体験できる設備を作り、そこで、疑似津波体験を与え、津波災害の怖しさや、初期対応の重要性を伝えることが望まれる。
一方、疑似津波を体験するとなると、大規模な造波装置でそれを作っているため、安全に十分な配慮がなされていないと、災害に繋がり易い。更に被体験時に起こり得る精神的なショックや肉体的なショックを考慮した対応がないと同様に危険であり、万一疑似体験時に事故が起きてしまうと、それこそ本末転倒となってしまう。しかしながら、そのような安全性やショックへの配慮については手法が確立されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公開2015−4258
【特許文献2】特許公開2004−145657
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
津波の怖ろしさを学習し、被災時の対応についての予備知識を得るために、軽度の疑似津波を体験させることは非常に役立つと思われるが、大きな危険が伴い、精神的や肉体的なショックを受けたり、軽度の疑似津波にも耐えられなくて、転倒したり、骨折したり、最悪の場合溺死してしまう危険性があるため、そのような危険を避け、安全に疑似体験させる必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
軽度の疑似津波体験であっても、それを体験し避難の難しさを学ばせようとすると、大規模な装置となり大きな危険が伴うので、精神的、肉体的なショックを受けたり、転倒したり、骨折したりする危険を避けるために、安全に疑似体験させる工夫を行う。特に精神的なショックに対しては、医師もしくは同等の知見を持つ者のチェックを経て、体験する内容(実モデルを使った疑似津波の体験か、ビデオ学習に止めるか、写真学習に限定するか)を決めて、その決定に基づき、的確に運用する。又、被験者の安全を守るために、防護柵を2重以上に設ける。更には、設備上部から提供されるハーネス等の補助器具も避難用に利用できるようにする。
【発明の効果】
【0006】
軽度の津波を安全に疑似体験しておくことにより、実際に津波を被災した時に、より冷静に適切な判断をして避難したりすることができるようになって、災害を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、疑似津波体験博物館の配置図である。
図2図2は、疑似津波体験館設備図である。
図3図3は、疑似津波体験設備における防護柵設置図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
軽度な疑似津波としては、造波装置を使って、より実際の津波に近い長周期の波を発生させたものを使う。体験するモデルとして、通常の生活空間である複数のハウス(もしくはハウス相当の構造物)とその間の道路というモデルを採用し、その道路や家屋内にいる状態から軽度の疑似津波を体験させ、その状態からの避難を実践させる。そうすることによって、津波の危険を感じさせて、避難に移る時の難しさや注意すべきことを体験学習させる。モデルには引き波も経験できるようにスロープなどを加えて、その体験もできるようにする。
【0009】
疑似津波を実体験する時の精神的及び肉体的なショックを避けるために、医師もしくは同等の知見を持つ者(例えば医学5,6年生)によって、先ずは、通常生活時(学校や居住地の病院等で)の心拍数や精神的な安定性を確認しておき、更には、疑似津波を実体験する直前にも同様のチェック、つまり医師などによる心拍数や精神的な安定性の確認、を行う。
これによって、医師などが疑似体験する内容を決定する。具体的には、事前のチェックでも直前のチェックでも精神的に肉体的に安定しており、疑似体験に耐えられると判断された者のみが実モデルを使った疑似津波を体験することを許可され、更には本人の意思でも体験したいという確認書に本人が直前署名してから、それができるものとする。
上記のチェックの結果、軽度の疑似津波であっても実体験時に精神的ショックを受ける可能性があってそれを避けるべきである人に対しては、ショックをあまり与えないが、津波災害時に心がけるべき注意事項を網羅したビデオを閲覧できるビデオ資料室を設置しておき、該当する人はその資料室のみに出入室できるように運用する。
又、津波に関するショックをあまり与えないビデオであっても、精神的ショックを受ける可能性あってそれを避けるべきである人に対しては、ショックをあまり与えないが、津波災害時に心がけるべき注意事項を網羅した写真資料を閲覧できる津波写真資料室を併設し、該当する人はその資料室のみに出入室できるように運用する。
この写真資料館では、他の地域の津波資料館の設置場所や所有する主要情報を開示し、他の地域の津波資料館との連携及び情報交換の役割も果たすように配慮する。
一方、疑似津波の体験ができる者に対して、より津波の危険性や避難の難しさを学習するためのビデオや写真を提供する場合には、それらが健常者に与えうる精神面でのショックを医師が適正に考慮して監修し、それらを閲覧することが許可された者のみが閲覧できるように運用する。
【0010】
肉体的ショックもしくは支障が起こりそうな被体験者に対しては、ハーネス形状の補助器具を設備上部から提供し、これを利用して肉体的にあまり負担をかけることなく、避難体験できるように配慮する。
又、一般の被体験者も安全に津波を疑似体験できるように、津波流れに対して垂直方向に、防護柵を避難路に沿ってと最終排水側に設け、その防護柵に守られながら、疑似津波を体験できるように工夫する。

【符号の説明】
【0011】
1. 医師チェック室:入構者が精神的ショックを受けずに疑似津波を体験できるか、もしくは津波ビデオを見れるかを医師などがチェックする室
2. 疑似津波体験区分け室:医師などのチェック結果に基づき入構者の体験内容を区分けする室
3. 疑似津波体験館:疑似津波を体験学習できる館内設備
4. 津波ビデオ資料室:津波ビデオ資料を閲覧して学習できる室
5. 津波写真資料室:津波写真資料を閲覧して学習できる室
6. 疑似津波造波設備:疑似津波を発生させる設備
7. 疑似津波出力孔:疑似津波を送り出す孔
8. 第1次防護柵:疑似津波被体験者の避難ルート近くに設置された防護柵
9. 第2次防護柵:疑似津波排水口手前に置かれた防護柵
10. モデルハウス:通常の生活空間に近い一般のモデルハウス
11. 避難階段:体験時に避難する階段
12. 引き波形成スロープ:引き波を形成させるスロープ(避難路を併設する場合もある)
13. 疑似津波排水口:発生した疑似津波の排水回収する口
14. 入口ドア:疑似津波体験設備への入場を制限する入口ドア(体験地面より高く設置し、体験地面に降りるスロープを併設する。体験時は開状態で保持し、避難にも使われるし、疑似津波が高くなり過ぎないようにする排水口の役割も兼ねる)
【要約】      (修正有)
【課題】津波の怖ろしさを学習し、被災時の対応についての予備知識を得るために、軽度の疑似津波を体験させる津波体験博物館を提供する。
【解決手段】軽度の疑似津波体験であっても、それを体験し避難の難しさを学ばせようとすると、大規模な装置となり大きな危険が伴うので、精神的、肉体的なショックを受けたり、転倒したり、骨折したりする危険を避けるために、安全に疑似体験させる工夫を行う。特に精神的なショックに対しては、医師もしくは同等の知見を持つ者のチェックを経て、体験する内容(実モデルを使った疑似津波の体験か、ビデオ学習に止めるか、写真学習に限定するか)を決めて、その決定に基づき、的確に運用する。又、被験者の安全を守るために、防護柵を2重以上に設ける。更には、設備上部から提供されるハーネス等の補助器具も避難用に利用できるようにする。
【選択図】図1
図1
図2
図3