(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、各図を参照して説明する。
【0016】
[遊技機]
遊技の進行を制御するメイン制御基板と、所定の演出を制御するサブ制御基板と、を備える遊技機には、スロットマシン、パチンコ機、玉スロなど様々な種類があるが、本実施形態では、本発明をスロットマシンに適用した場合について説明する。
【0017】
本実施形態のスロットマシンは、複数のリールを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得できる回胴式遊技機として構成されている。
具体的には、
図1、
図2に示すように、メダル投入口2から実際に投入されるメダルの数(例えば、3枚)、又は内部的に記憶されたクレジットメダルからベットボタン2aの操作によって信号形式で投入されるメダルの数(例えば、3枚)に応じてゲーム開始可能な状態となり、この状態でスタートレバー3が操作(始動操作)されると、複数のリール4(4a〜4c)が回転を開始するとともに、それぞれのリール4a〜4cに対応する停止ボタン5(5a〜5c)が押圧操作されると、スタートレバー3の操作タイミングで行われる抽選処理の抽選結果に応じた図柄の組合せで停止するように各リール4a〜4cが停止制御され、停止した図柄の組合せに基づいて入賞の有無が判定され、判定結果に応じてメダル払出装置6からメダルが払い出されるという、通常のスロットマシン遊技を実現可能な構成を備えている。
【0018】
このようなスロットマシン遊技を実現可能なスロットマシン1においては、遊技の進行を制御するメイン制御部10が、当該スロットマシン1を構成する各装置を収納する筐体1bの内側面などに取り付けられている。
また、このスロットマシン1においては、遊技の進行に伴って所定の演出を制御するサブ制御部20が、スロットマシン1の筐体1bの内側面、又は、当該スロットマシン1の正面側を構成する前扉1aの背面上部などに取り付けられている。
【0019】
サブ制御部20は、所定の演出、例えば大当りに入賞したときに、前扉1aの前面等に配設されたLEDランプ等を点灯させたり、あるいは、スピーカ7から所定の効果音を出力させたりするなどしてその入賞を祝福するといった演出を実行する。
また、サブ制御部20は、現在では、いわゆるアシストタイム(AT)と呼ばれる、停止ボタン5の押し順報知に関する制御を行っている。このAT中の押し順報知は、出玉に影響を与えることから、この押し順報知を制御するサブ制御部20は、不正行為の対象となりやすい。
【0020】
そこで、本実施形態のスロットマシン1においては、
図3に示すように、メイン制御部10のメイン制御基板11に、所定の制御コマンドを出力するメインCPU111と、この制御コマンドを中継してサブ制御部20のサブ制御基板21へ送る出力回路112とを備え、サブ制御部20のサブ制御基板21には、制御コマンドを受信するサブCPU211を備えた構成となっている。
そして、メインCPU111は、今回出力する制御コマンドと次回出力する制御コマンドとのそれぞれに同じ情報を付加情報として付加して出力し、サブCPU211は、受信した制御コマンドと次に受信した制御コマンドのそれぞれに付加されている付加情報を照合することにより、当該制御コマンドの正当性を判定する構成とした。
しかも、メイン制御基板11の出力回路112は、メイン制御部10とサブ制御部20とを接続する信号ケーブル30などに不正基板が取り付けられたことを不正行為の発生あるいは異常の発生として検出する機能を有しており、このような不正行為の発生あるいは異常の発生を検出すると、この検出後にメイン制御基板11から出力された制御コマンドのうちの一又は二以上の制御コマンドをサブ制御基板21へ送信しないように動作する構成とした。
【0021】
このような構成とすることにより、信号ケーブル30などに不正基板が取り付けられたことによる不正行為の発生あるいはこの不正行為を原因とする異常の発生が出力回路112にて検出されると、サブ制御基板21のサブCPU211では、本来受信すべき制御コマンドのうちの一又は二以上の制御コマンドを受信することができなくなるので、その後に受信した制御コマンドと前回受信した制御コマンドとのそれぞれに付加されていた付加情報の照合を行ったときに、これら付加情報が一致しなくなり、コマンドエラーとなる。
これにより、サブ制御基板21は、信号ケーブル30などに不正基板を取り付けるという不正行為を当該不正行為の発生あるいは異常の発生として検出できる。そして、この検出の結果にもとづいて遊技を停止し、あるいは、その検出の結果を遊技場の店員に報知するなどすることにより、遊技場が損害を蒙る事態を回避又は抑制できるようになっている。
以下、本実施形態のメイン制御部10及びサブ制御部20の構成及び動作の詳細について、
図3〜
図8を参照しつつ説明する。
【0023】
メイン制御部10は、遊技の進行を制御するメイン制御基板11が、例えば合成樹脂などで形成されたメイン基板ケース12に収納された状態で、スロットマシン1の筐体1bの内側面などに取り付けられている(
図2参照)。
メイン制御基板11は、中央演算処理装置であるメインCPU111、ROM及びRAMなどの記憶部113、I/OインターフェイスなどのIC部品、抵抗、コンデンサ、トランジスタなどの様々な電子部品などが実装されたプリント基板である。
【0024】
メインCPU111は、記憶部113に記憶されたプログラムを実行して、遊技の進行に関する処理を実行するとともに、メイン制御基板11に搭載された制御回路の各部あるいはスロットマシン1の前扉1a又は筐体1bに配設された各種装置を直接的又は間接的に制御してスロットマシン遊技を実現する。
記憶部113であるROMは、メインCPU111が実行するプログラムや各種テーブル等の固定的なデータを記憶する。記憶部113であるRAMは、メインCPU111がプログラムを実行する際のワーク領域等として使用される。
【0025】
また、メインCPU111には、所定の制御信号を入出力するための複数の端子t(例えば、
図3に示す端子t11、t12等)が接続されており、メイン制御基板11に搭載された制御回路の各部やサブ制御基板21に対して所定の制御信号をその端子tを通して出力可能となっている。
メインCPU111から出力される制御信号には、制御コマンドを含むものがある。制御コマンドとは、メインCPU111がサブCPU211に対して、遊技に関する所定の状態を伝えるための情報をいう。この制御コマンドにより伝えられる状態には、例えば、内部抽選の結果(所定の遊技状態の当選など)、大当たりの入賞、所定の遊技状態の終了などがある。
この制御コマンドを含む制御信号は、メインCPU111の信号出力端子t11から出力されて、サブCPU211へ送られる。
【0026】
メインCPU111は、制御コマンドを含む制御信号を、次の手順で生成する。
メインCPU111は、遊技の進行にともなって、所定のタイミングで、進行する遊技の内容に応じた制御コマンドを生成する。
次いで、メインCPU111は、生成した制御コマンドに対して、所定の情報を第一の付加情報として付加する。
第一の付加情報は、当該第一の付加情報が付加される制御コマンドが出力される前に他の制御コマンドが一又は二以上出力されていた場合に、前回出力された制御コマンドに付加されていた第二の付加情報である(
図4における[メインCPU 111]の処理内容を参照)。
この第一の付加情報は、メインCPU111から今回出力される制御コマンドを現コマンドとしたときに、この現コマンドを特定する番号である現コマンド番号としての意味をもたせることができる。
【0027】
メインCPU111は、前回出力した制御信号を生成したときに記憶部113に記憶させておいた第二の付加情報を該記憶部113から取り出して、今回出力する制御コマンドに第一の付加情報として付加する。
なお、その記憶部113に第二の付加情報が記憶されていない場合、例えば、メインCPU111が初めて制御コマンドを出力する場合、あるいは、何らかの理由により記憶部113に記憶されていた第二の付加情報が消去(クリア)された場合には、メインCPU111は、サブCPU211が正規の第一の付加情報であるとして認識可能な既定のデータを第一の付加情報として制御コマンドに付加することができる。
【0028】
続いて、メインCPU111は、生成した制御コマンドに対して、他の所定の情報を第二の付加情報として付加する。
第二の付加情報は、乱数等を用いてランダムに発生させたデータであって、今回出力する制御コマンドの次に出力する制御コマンドに第一の付加情報として付加される情報である。
この第二の付加情報は、メインCPU111から今回出力される制御コマンドの次に出力される制御コマンドを次コマンドとしたときに、この次コマンドを特定する番号である次コマンド番号としての意味をもたせることができる。
また、第二の付加情報は、所定のデータ量(例えば、2byte=16bit)のデータであって、数値や文字など(具体例として「15」や「A3」など)で構成されたデータを用いることができる。
そして、メインCPU111は、第一の付加情報と第二の付加情報とを付加した制御コマンドを制御信号として、信号出力端子t11から出力する。
【0029】
また、メインCPU111は、メイン制御基板11に実装された出力回路112の中継回路114が制御コマンドの送信を停止しているときにこの停止を解除するための解除信号を、解除信号出力端子t12から出力して出力回路112へ送る。
メインCPU111は、その解除信号を、制御コマンドを出力した後に出力する。また、メインCPU111は、その解除信号を、制御コマンドを出力するたびに出力する。
なお、解除信号は、制御コマンドを出力するたびに出力することもできるが、二以上の制御コマンドを出力するたびに一つの解除信号を出力することもできる。例えば、メインCUP111が一定の期間内に制御コマンドを六つ出力するような場合において、これら制御コマンドを二つ出力するたびに一つの解除信号を出力することとしているとき、メインCPU111は、二つ目の制御コマンドを出力した後と、四つ目の制御コマンドを出力した後と、六つ目の制御コマンドを出力した後のそれぞれにおいて、解除信号を出力するようにし、一つ目の制御コマンドを出力した後と、三つ目の制御コマンドを出力した後と、五つ目の制御コマンドを出力した後には、解除信号を出力しないようにすることができる。
【0030】
メイン制御基板11には、メインCPU111の他に、このメインCPU111で生成された制御信号等を記憶する記憶部113と、メインCPU111から出力された制御信号を中継してサブ制御基板21へ送信するための出力回路112とを備えている。
記憶部113は、所定の記憶領域を有するROMやRAMなどの記憶手段であって、RAMには、少なくとも、メインCPU111で生成された制御信号が記憶される。ただし、制御信号に含まれている第一の付加情報は、前回出力された制御信号の第二の付加情報と同一のものであるため、RAMには、制御信号のすべてではなく、制御コマンドと第二の付加情報とを記憶させるようにしてもよい。
メインCPU111は、第二の付加情報を生成すると、制御コマンドに付加するとともに、記憶部113に記憶させる。そして、メインCPU111は、次に制御コマンドを生成したときに、記憶部113から第二の付加情報を取り出し、この第二の付加情報を第一の付加情報として、生成した制御コマンドに付加する。
【0031】
出力回路112は、例えば、
図3に示すように、中継回路114と、電源回路115と、電流検出回路116と、記憶回路117と、選択回路118とを備えている。
中継回路114は、メインCPU111から出力された制御信号(制御コマンド)を入力すると、この制御信号を中継してサブ制御基板21へ送信する。
また、中継回路114は、選択回路118による制御にもとづいて、自身の出力インピーダンスをハイインピーダンス(HiZ)にすることなどにより、信号ケーブル30への制御信号の送信を停止する。
【0032】
この中継回路114には、3ステートバッファ119を用いることができる。
3ステートバッファ119は、
図3、
図5に示すように、メインCPU111から出力された制御信号を入力する入力端子t21と、その制御信号を出力する出力端子t22と、出力端子t22における制御信号の出力とこの出力の停止とを選択制御するための選択信号を入力するイネーブル端子t23と、所定の電圧が印加される電圧端子t24と、接地される接地端子t25とを有している。
【0033】
3ステートバッファ119のイネーブル端子t23は、電位レベルがLow(ロー)を示す選択信号である送信停止信号と、電位レベルがHigh(ハイ)を示す選択信号である送信許可信号とを入力する。
イネーブル端子t23が送信許可信号を入力しているとき、3ステートバッファ119は、入力端子t21と出力端子t22が同じ電位レベルとなるように動作する。このため、入力端子t21に制御信号が入力されると、この制御信号が、そのまま出力端子t22から出力される。一方、入力端子t21に制御信号が入力されていないときは、出力端子t22からは制御信号が出力されない。
これに対し、イネーブル端子t23が送信停止信号を入力しているとき、出力端子t22のインピーダンスがハイインピーダンス(HiZ)になる。この場合、入力端子t21の電位レベルがHighであるかLowであるかに関係なく、出力端子t22からは信号が出力されない。このため、入力端子t21が制御信号を入力しても、この制御信号は、出力端子t22からは出力されないことになる。よって、この場合、3ステートバッファ119は、入力端子t21にて入力した制御信号のサブ制御部20への送信を停止する。
【0034】
電源回路115は、メイン制御部10の外部(例えば、スロットマシン1の筐体1bの内部に設置された電源装置9、
図2参照)から電圧の供給を受け、この電圧を所定の電圧に変換(例えば、DC12VからDC5Vに変換)して、メイン制御基板11に実装された回路や電子部品、例えば、中継回路114である3ステートバッファ119の電圧端子t24などに電源電圧として供給する。
この電源回路115には、例えば、レギュレータなどを用いることができる。
なお、電源回路115は、
図3においては、メイン制御基板11に実装されているが、メイン制御基板11に実装されることに限るものではなく、メイン制御部10の外部に設けることもできる。
【0035】
電流検出回路116は、信号ケーブル30に不正基板が接続されたことを不正行為の発生あるいは異常の発生として検出する。
具体的には、次の方法によって、その不正行為あるいは異常を検出する。
中継回路114には、この中継回路114を動作させるための電源電圧が電源回路115から供給されている。中継回路114が例えば3ステートバッファ119の場合には、この3ステートバッファ119の電圧端子t24に対して電源回路115から電源電圧が供給されている。
信号ケーブル30に不正基板が接続されていないとき、その電圧端子t24には、3ステートバッファ119を構成する論理回路の動作に応じた定常の電流が流れるので、電流検出回路116は、所定値以上の電流を検出せず、異常検出信号を出力しない。
一方、信号ケーブル30に不正基板が接続されたとき、中継回路114に所定値以上の電流が流れる。例えば、中継回路114として3ステートバッファ119が設けられている場合において、メインCPU111からの出力信号(メインCPU111が制御信号を出力していないときに信号出力端子t11から出力される信号)の電位レベルがHighであるにもかかわらずその不正基板が信号ケーブル30の電位レベルをHighからLowに変移させたとき、
図6に示すように、電源回路115から、3ステートバッファ119の電圧端子t24、この3ステートバッファ119の出力端子t22、そして信号ケーブル30を通して不正基板に所定値以上の電流Iuが流れる。電流検出回路116は、その電圧端子t24に流れる所定値以上の電流Iuを検出すると、この電流Iuを検出したことを示す異常検出信号を出力して記憶回路117へ送る。
なお、異常検出信号は、電流検出回路116が所定値以上の電流Iuを検出したときに当該電流検出回路116から出力されるものであるが、この異常検出信号は、所定値以上の電流Iuを検出したことを示すものであってもよく、この電流Iuの原因となった不正行為が発生したことを示すものであってもよく、あるいは、異常を検出したことを示すものであってもよい。
【0036】
この電流検出回路116には、例えば、電源回路115と3ステートバッファ119の電圧端子t24との間に挿入された抵抗の一端(抵抗と3ステートバッファ119の電圧端子t24との間)の電圧が所定値以下になったこと(あるいは抵抗の両端の電圧(電位差)が所定値以上になったこと)を検知することで当該抵抗及び3ステートバッファ119の電圧端子t24に所定値以上の電流Iuが流れたことを検出するコンパレータなどを用いることができる。
コンパレータは、一の入力端子において入力した電圧が他の入力端子において入力した基準電圧よりも大きい(又は小さい)ときにはLowの電位レベルを示す信号を出力し、一の入力端子において入力した電圧が他の入力端子において入力した基準電圧よりも小さい(又は大きい)ときに、Highの電位レベルを示す信号を出力する。
上記の抵抗の例で説明すれば、3ステートバッファ119の電圧端子t24に流れる電流が定常の電流であり、抵抗の一端(抵抗と3ステートバッファ119の電圧端子t24との間)の電圧が基準電圧以上であるときは、コンパレータは、Lowを示す信号を出力する。すなわち、Highを示す異常検出信号を出力しない。一方、3ステートバッファ119の電圧端子t24に所定値以上の電流Iuが流れて、抵抗の一端(抵抗と3ステートバッファ119の電圧端子t24との間)の電圧が基準電圧以下になったときには、コンパレータは、Highを示す異常検出信号を出力する。
なお、電流検出回路116としてコンパレータを用いた場合、「所定値以上の電流Iu」の「所定値」は、コンパレータの他の入力端子に入力される基準電圧と抵抗の抵抗値とを少なくとも用いて算出される電流の値となる。
【0037】
記憶回路117は、電流検出回路116から出力された異常検出信号を入力すると、この異常検出信号が示す情報、すなわち、電流Iuが流れたことを示す情報(あるいは、信号ケーブル30に不正基板を接続する不正行為が発生したことを示す情報、又は、異常が発生したことを示す情報でもよい)を異常検出情報として記憶する。
この記憶回路117には、例えば、ラッチ回路などを用いることができる。ラッチ回路は、異常検出情報を所定の電位として記憶する。
また、記憶回路117は、異常検出信号を入力している間は異常検出情報を記憶保持し、異常検出信号を入力していないときは異常検出情報を記憶保持しないようにすることができる。あるいは、記憶回路117は、異常検出信号を入力したときに異常検出情報の記憶保持を開始し、記憶の終了を指示する信号を入力したときに、その記憶保持を終了するようにすることもできる。
【0038】
選択回路118は、中継回路114に対して、サブ制御部20への制御信号(制御コマンド)の送信又は送信の停止のいずれを行わせるかを選択する回路である。
選択回路118には、電流検出回路116から出力された異常検出信号を入力する(又は、記憶回路117から異常検出情報を取り出して入力する)第一入力端子t31と、メインCPU111から出力された解除信号を入力する第二入力端子t32と、選択信号を出力する出力端子t33とを有している。
【0039】
これらの端子t31〜t33を備えた選択回路118は、次の内容で動作する。
第一入力端子t31において異常検出信号又は異常検出情報が入力されておらず、かつ、第二入力端子t32において解除信号が入力されていないとき、すなわち不正行為が発生していない正常状態であるとき、選択回路118は、電位レベルがHighを示す選択信号である送信許可信号を出力端子t33から出力して、中継回路114へ送る。中継回路114は、送信許可信号を入力すると、メインCPU111から送られてきた制御信号を中継してサブ制御基板21へ送信する。
第一入力端子t31に異常検出信号又は異常検出情報が入力されたとき、すなわち不正行為が発生したとき、選択回路118は、電位レベルがLowを示す選択信号である送信停止信号を出力端子t33から出力して、中継回路114へ送る。中継回路114は、送信停止信号を入力すると、メインCPU111から送られてきた制御信号のサブ制御基板21への送信を停止する。
そして、第一入力端子t31にて異常検出信号又は異常検出情報を入力した後に、第二入力端子t32にて解除信号を入力したとき、選択回路118は、電位レベルがHighを示す選択信号である送信許可信号を出力端子t33から出力して、中継回路114へ送る。中継回路114は、送信許可信号を入力すると、メインCPU111から送られてきた制御信号を中継してサブ制御基板21へ送信する。
【0040】
このように、選択回路118は、第一入力端子t31にて異常検出信号又は異常検出情報を入力すると、出力端子t33からの送信停止信号の出力を開始し、第二入力端子t32にて解除信号を入力すると、出力端子t33からの送信停止信号の出力を終了して、送信許可信号を出力する。
【0041】
サブ制御部20は、所定の演出を制御するサブ制御基板21が、例えば合成樹脂などで形成されたサブ基板ケース22に収納された状態で、スロットマシン1の筐体1bの内側面、あるいは、前扉1aの背面などに取り付けられている(
図2参照)。
サブ制御基板21は、中央演算処理装置であるサブCPU211、ROM及びRAMなどの記憶部212、I/OインターフェイスなどのIC部品、抵抗、コンデンサ、トランジスタなどの様々な電子部品などが実装されたプリント基板である。
【0042】
サブCPU211は、記憶部212に記憶されたプログラムを実行することにより、前扉1aの前面等に配設されたLEDランプ等を点灯させたり、あるいは、スピーカ7から所定の効果音を出力させたりするなどして所定の演出を実行する。
また、サブCPU211には、複数の端子tが接続されており、サブ制御基板21に搭載された制御回路の各部との間で、所定の制御信号をその端子tを通して送受信することにより、前述したLEDランプの点灯等の所定の演出を実行する。
【0043】
さらに、サブCPU211は、メインCPU111から送信されてきた制御信号を信号入力端子t41にて入力することにより受信する。そして、サブCPU211は、その受信した制御信号に含まれている制御コマンドを解析し、この解析結果にもとづいて、LEDランプやスピーカ7等の演出装置の出力パターンを決定し、この決定した出力パターンにもとづいてそれら演出装置の出力制御を実行する。
【0044】
また、サブCPU211は、制御信号を受信すると、この制御信号から制御コマンドと第一の付加情報と第二の付加情報とを抽出し、これら制御コマンドと第一の付加情報と第二の付加情報(あるいは、少なくとも第二の付加情報)を記憶部212に記憶させる。
さらに、サブCPU211は、制御信号から第一の付加情報を抽出すると、記憶部212から第二の付加情報(前回受信した制御信号に含まれていた第二の付加情報)を取り出し、これら第一の付加情報と第二の付加情報とを比較照合する。別言すると、サブCPU211は、受信した制御コマンドに付加されている第二の付加情報と、次いで受信した制御コマンドに付加されている第一の付加情報とを比較照合する。
比較照合の結果、当該第二の付加情報と当該第一の付加情報が一致しているとき、サブCPU211は、不正行為が行われておらず、異常が発生していないものと判定する。
一方、当該第二の付加情報と当該第一の付加情報が一致していないとき、サブCPU211は、異常が発生したものと判定する。
【0045】
サブCPU211は、異常が発生していないものと判定したときは、第一の付加情報が付加されていた制御コマンドにもとづいて、演出の制御を実行する。
一方、異常が発生したものと判定したときは、当該異常が発生したことを示す報知演出を実行する。例えば、当該スロットマシン1の前扉1aの上方に設けられた液晶表示器8(
図1参照)に、異常が発生したことを示すメッセージを表示させたり、所定の警報音をスピーカ7から出力させたりすることができる。また、異常が発生したことを示す信号を遊技場に設置された所定の装置、例えば、遊技に関する所定の情報を集計管理するホールコンピュータ(図示せず)などへ送信することができる。これらの報知を行うことにより、当該異常の発生を遊技場の店員に知らせることができる。そして、店員は、その異常の原因である不正行為に対して適切な措置を講じることができる。
【0046】
これらメイン制御基板11に実装されたメインCPU111及び出力回路112と、サブ制御基板21に実装されたサブCPU211は、次のような構成で接続されている。
メインCPU111は、信号出力端子t11が、出力回路112における3ステートバッファ119の入力端子t21に接続されている。
また、メインCPU111は、解除信号出力端子t12が、選択回路118の第二入力端子t32に接続されている。
【0047】
出力回路112に備えられた3ステートバッファ119は、出力端子t22が、信号ケーブル30を介してサブ制御基板21のサブCPU211の信号入力端子t41に接続されており、イネーブル端子t23が選択回路118の出力端子t33に接続されており、電圧端子t24が電流検出回路116を介して電源回路115に接続されており、接地端子t25が、グラウンド(GND)に接続されることで接地されている。
電流検出回路116の出力端子は、記憶回路117の入力部に接続されており、記憶回路117の出力部が選択回路118の第一入力端子t31に接続されている。
サブ制御基板21のサブCPU211の信号入力端子t41は、3ステートバッファ119の出力端子t22に接続されている。
【0048】
また、3ステートバッファ119が
図5に示す回路構成となっているとき、この3ステートバッファ119のNAND回路の一の入力端子が入力端子t21に接続されており、NAND回路の他の入力端子がイネーブル端子t23に接続されており、NAND回路の出力端子がPチャネルのMOSFETのゲートに接続されている。
また、NOR回路の一の入力端子が入力端子t21に接続されており、NOR回路の他の入力端子がNOT回路の出力端子に接続されており、NOR回路の出力端子がNチャネルのMOSFETのゲートに接続されている。そして、NOT回路の入力端子がイネーブル端子t23に接続されている。
さらに、PチャネルのMOSFETのソースが電圧端子t24に接続されており、PチャネルのMOSFETのドレインがNチャネルのMOSFETのドレインに接続されるとともに出力端子t22に接続されており、NチャネルのMOSFETのソースが接地端子t25に接続されている。
【0049】
このような回路構成を備えたメイン制御基板11とサブ制御基板21においては、これらメイン制御基板11とサブ制御基板21との間を電気的に接続して、制御信号を送信可能とするための信号ケーブル30が接続されている。
具体的に、信号ケーブル30は、その一端が、メイン制御基板11に実装されたコネクタ(図示せず)を介して、出力回路112の3ステートバッファ119の出力端子t22に接続されており、他端が、サブ制御基板21に実装されたコネクタ(図示せず)を介して、サブCPU211の信号入力端子t41に接続されている。
【0050】
そして、これら信号ケーブル30やコネクタに対しては、スロットマシン1に対して不正に出玉を払い出させる等の不正行為を目的として製作された不正基板が取り付けられることがある。
ただし、この不正基板が動作して信号ケーブル30の電位をHighからLowに変移させると、メイン制御基板11に実装された出力回路112が、その変移に伴って流れる所定値以上の電流Iuを検出し、その後にメインCPU111から出力された一又は二以上の制御信号のサブ制御部20への送信を停止し、さらに、その後、サブ制御部20への制御信号の送信の停止を解除する。
【0051】
これにより、メイン制御基板11からサブ制御基板21へ送信されるべき制御コマンドのうち一又は二以上の制御コマンドがサブ制御基板21に到達しなくなるので、サブ制御基板21のサブCPU211においては、その後に受信した制御信号に含まれている付加情報と、その前に受信した制御信号に含まれている付加情報とを照合したときに、これら付加情報が一致しないことから、不正基板が取り付けられたことに起因する異常を検出することができるようになっている。
【0052】
このようなメイン制御部10及びサブ制御部20の動作の手順について、
図7、
図8を参照して説明する。
【0053】
(1)不正行為が発生していない場合
ここでは、不正行為が発生していない場合、すなわち、信号ケーブル30に不正基板が接続されていない場合の、メイン制御部10及びサブ制御部20の動作の手順について、
図7を参照して説明する。
【0054】
メイン制御部10の出力回路112に備えられた3ステートバッファ119は、出力側(出力端子t22)のインピーダンスが定常値(HiZでない値)になっている(S10)。
また、メイン制御部10の記憶部113には、メインCPU111が前回出力した制御信号の第二の付加情報が記憶されているものとする。
さらに、サブ制御部20の記憶部212には、サブCPU211が前回受信した制御信号の第二の付加情報が記憶されているものとする。
【0055】
メインCPU111は、所定のタイミングで制御コマンドを生成すると(S11)、記憶部113から第二の付加情報を取り出し、この第二の付加情報を第一の付加情報として、その生成した制御コマンドに付加する(S12、
図4の制御信号C2の第一付加情報「F2」)。
また、メインCPU111は、ランダムに発生させた第二の付加情報をその生成した制御コマンドに付加する(S12、
図4の制御信号C2の第二付加情報「F3」)。
そして、メインCPU111は、それら第一の付加情報と第二の付加情報とを付加した制御コマンドを制御信号として、信号出力端子t11から出力する(S13)。
なお、第二の付加情報は、記憶部113に記憶される。
【0056】
3ステートバッファ119は、その制御信号を入力端子t21にて入力する(S14)。
3ステートバッファ119は、出力側(出力端子t22)のインピーダンスが定常値になっていることから、入力端子t21にて入力した制御信号を、出力端子t22から出力して、サブ制御部20へ送信する(S14)。
制御信号は、信号ケーブル30を通してサブ制御部20へ送られ、サブCPU211の信号入力端子t41にて受信される(S15)。
【0057】
サブCPU211は、受信した制御信号から第一の付加情報を抽出する。なお、
図4においては、制御信号C2から第一付加情報「F2」が抽出されている。
次いで、サブCPU211は、記憶部212から第二の付加情報を取り出す。この第二の付加情報は、サブCPU211が前回受信した制御信号に含まれていた第二の付加情報であって記憶部212に記憶されたものである。なお、
図4においては、記憶部212から第二付加情報「F2」が取り出されている。
サブCPU211は、これら抽出した第一の付加情報と記憶部212から取り出した第二の付加情報とを照合する(S16)。
照合の結果、これら第一の付加情報と第二の付加情報が一致しているときは、異常が発生しておらず、正常であるものと判定する。
一方、第一の付加情報と第二の付加情報が一致していないときは、異常が発生したものと判定する。
【0058】
なお、
図4においては、制御信号C2から抽出された第一付加情報「F2」と、記憶部212から取り出された第二付加情報「F2」が照合されており、これら第一付加情報F2と第二付加情報F2とは、いずれも「F2」であって一致しているため、サブCPU211は、異常が発生しておらず、正常であるものと判定する。
この場合、当該スロットマシン1においては、実行されている遊技が通常通り進行する。
【0059】
さらに、サブCPU211は、受信した制御信号を記憶部212に記憶させる(S17)。このとき、サブCPU211は、その制御信号に含まれている制御コマンドと第一の付加情報と第二の付加情報のすべてを記憶部212に記憶させてもよく、あるいは、少なくとも第二の付加情報のみを記憶部212に記憶させるようにしてもよい。
なお、
図4においては、制御信号C2の第二付加情報「F3」が記憶部212に記憶されている。
【0060】
また、メインCPU111は、制御信号を出力した後に、解除信号出力端子t12から解除信号を出力して選択回路118へ送る(S18)。
選択回路118は、その解除信号を第二入力端子t32にて入力する(S19)。
これに伴い、選択回路118は、送信許可信号を出力端子t33から出力して3ステートバッファ119へ送る(S20)。
3ステートバッファ119は、その送信許可信号をイネーブル端子t23にて入力する(S21)。
ただし、3ステートバッファ119においては、出力側(出力端子t22)のインピーダンスが定常値であり、入力端子t21で入力した制御信号を出力端子t22から出力してサブ制御部20へ送信する状態となっている。このため、選択回路118から送られてきた送信許可信号が3ステートバッファ119のイネーブル端子t23で入力されても、3ステートバッファ119の出力端子t22の状態は変化しない。
【0061】
(2)不正行為が発生した場合
ここでは、不正行為が行われた場合、すなわち、信号ケーブル30又はコネクタに不正基板が接続された場合の、メイン制御部10及びサブ制御部20の動作の手順について、
図8を参照して説明する。
【0062】
メイン制御部10の出力回路112に備えられている3ステートバッファ119は、出力側のインピーダンスが定常値になっている(S30)。
また、メイン制御部10の記憶部113には、メインCPU111が前回出力した制御信号の第二の付加情報が記憶されているものとする。
さらに、サブ制御部20の記憶部212には、サブCPU211が前回受信した制御信号の第二の付加情報が記憶されているものとする。
【0063】
信号ケーブル30に不正基板が接続されて、信号ケーブル30の電位がHighからLowに変移すると、メイン制御部10の3ステートバッファ119の電圧端子t24に所定値以上の電流Iuが流れる。
電流検出回路116は、その所定値以上の電流Iuを検出すると(S31)、異常検出信号を出力して記憶回路117へ送る(S32)。
記憶回路117は、異常検出信号を入力すると、この異常検出信号が示す情報、すなわち、異常が検出されたことなどを示す情報を異常検出情報として記憶する(S33)。
【0064】
選択回路118は、電流検出回路116から出力された異常検出信号(又は記憶回路117から取り出した異常検出情報)を入力すると(S34)、サブ制御部20への制御信号の送信を停止させることを示す選択信号を送信停止信号として、出力端子t33から出力して、3ステートバッファ119へ送る(S35)。具体的には、電位レベルがLowを示す送信停止信号を出力する。
3ステートバッファ119は、選択回路118から送られてきた送信停止信号をイネーブル端子t23にて入力する(S36)。これにより、3ステートバッファ119の出力側(出力端子t22)のインピーダンスがHiZになり、入力端子t21で入力した制御信号を出力端子t22から出力しない送信停止状態となる(S37)。
【0065】
メインCPU111は、3ステートバッファ119が送信停止状態となった後の所定のタイミングで制御コマンドを生成すると(S38)、記憶部113から第二の付加情報を取り出し、この第二の付加情報を第一の付加情報として、その生成した制御コマンドに付加する(S39、
図4の制御信号C3の第一付加情報「F3」)。
また、メインCPU111は、ランダムに発生させた第二の付加情報をその生成した制御コマンドに付加する(S39、
図4の制御信号C3の第二付加情報「F4」)。なお、第二の付加情報は、記憶部113に記憶される。
そして、メインCPU111は、それら第一の付加情報と第二の付加情報とを付加した制御コマンドを制御信号として、信号出力端子t11から出力する(S40)。
【0066】
3ステートバッファ119は、その制御信号を入力端子t21にて入力する(S41)。
ところが、3ステートバッファ119は、出力側(出力端子t22)のインピーダンスがHiZになっていることから、入力端子t21にて入力した制御信号を出力端子t22からは出力せず、この制御信号のサブ制御部20への送信を停止させる(S41)。
このため、サブ制御部20のサブCPU211は、その制御信号を受信することができない。
なお、
図4においては、サブCPU211に対する制御信号C3の送信を停止している状態を示している。
【0067】
メインCPU111は、制御信号を出力した後に、解除信号出力端子t12から解除信号を出力して選択回路118へ送る(S42)。
選択回路118は、第二入力端子t32にて解除信号を入力すると(S43)、送信許可信号を出力端子t33から出力して3ステートバッファ119へ送る(S44)。具体的には、電位レベルがHighの送信許可信号を出力する。
3ステートバッファ119は、選択回路118から送られてきた送信許可信号をイネーブル端子t23にて入力する(S45)。これにより、3ステートバッファ119の出力側(出力端子t22)のインピーダンスがHiZから定常値に変化する(S46)。
これにより、この3ステートバッファ119における制御信号のサブ制御基板21への送信の停止が解除される(S46)。このため、その後に入力端子t21に入力された制御信号は、出力端子t22から出力されてサブ制御部20へ送信される。
【0068】
メインCPU111は、その後、所定のタイミングで制御コマンドを生成すると(S47)、記憶部113から第二の付加情報を取り出し、この第二の付加情報を第一の付加情報として、その生成した制御コマンドに付加する(S48、
図4の制御信号C4の第一付加情報「F4」)。
また、メインCPU111は、ランダムに発生させた第二の付加情報をその生成した制御コマンドに付加する(S48、
図4の制御信号C4の第二付加情報「F5」)。なお、第二の付加情報は、記憶部113に記憶される。
そして、メインCPU111は、それら第一の付加情報と第二の付加情報とを付加した制御コマンドを制御信号として、信号出力端子t11から出力する(S49)。
【0069】
3ステートバッファ119は、その制御信号を入力端子t21にて入力する(S50)。
3ステートバッファ119は、出力側(出力端子t22)のインピーダンスが定常値になっていることから、入力端子t21にて入力した制御信号を、出力端子t22から出力して、サブ制御部20へ送信する(S50)。
3ステートバッファ119の出力端子t22から出力された制御信号は、信号ケーブル30を通してサブ制御部20へ送られ、サブCPU211の信号入力端子t41にて受信される(S51)。
【0070】
サブCPU211は、受信した制御信号から第一の付加情報を抽出する。なお、
図4においては、制御信号C4から第一付加情報「F4」が抽出されている。
次いで、サブCPU211は、記憶部212から第二の付加情報を取り出す。この第二の付加情報は、サブCPU211が前回受信した制御信号に含まれていた第二の付加情報であって記憶部212に記憶されたものである。なお、
図4においては、記憶部212から第二付加情報「F3」が取り出されている。
サブCPU211は、これら抽出した第一の付加情報と記憶部212から取り出した第二の付加情報とを照合する(S52)。
照合の結果、これら第一の付加情報と第二の付加情報が一致しているときは、不正行為が行われておらず、正常であるものと判定する。一方、第一の付加情報と第二の付加情報が一致していないときは、異常が発生したものと判定する。
【0071】
図4においては、制御信号C4から抽出された第一付加情報「F4」と、記憶部212から取り出された第二付加情報「F3」が照合されており、これらは一致していないため、サブCPU211は、異常が発生したものと判定する。
この判定の結果にもとづいて、サブCPU211は、異常が発生したことを報知する(S53)。
【0072】
そして、サブCPU211は、受信した制御信号を記憶部212に記憶させる(S54)。このとき、その制御信号に含まれているもののうち、少なくとも第二の付加情報を記憶部212に記憶させる(
図4の制御信号C4の第二付加情報「F5」)。
【0073】
メインCPU111は、制御信号を出力した後に、解除信号出力端子t12から解除信号を出力して選択回路118へ送る(S55)。
選択回路118は、第二入力端子t32にて解除信号を入力する(S56)。
これに伴い、選択回路118は、送信許可信号を出力端子t33から出力して3ステートバッファ119へ送る(S57)。
3ステートバッファ119は、その送信許可信号をイネーブル端子t23にて入力する(S58)。
ただし、3ステートバッファ119においては、出力側(出力端子t22)のインピーダンスが定常値であり、入力端子t21で入力した制御信号を出力端子t22から出力してサブ制御部20へ送信する状態となっている。このため、選択回路118から送られてきた送信許可信号が3ステートバッファ119のイネーブル端子t23で入力されても、3ステートバッファ119の出力端子t22の状態は変化しない。
【0074】
以上説明したように、本実施形態の遊技機によれば、メイン制御部のメインCPUが、今回出力する制御コマンドと次回出力する制御コマンドとのそれぞれに同じ情報を付加情報として付加して出力し、サブCPUが、それら制御コマンドに付加されている付加情報を照合することにより、制御コマンドの正当性を判定する構成とし、この構成において、メイン制御基板の出力回路が、信号ケーブルなどに不正基板が取り付けられたことを当該不正行為の発生あるいは異常の発生として検出すると、その後にメイン制御基板から出力された一又は二以上の制御コマンドのサブ制御基板への送信を停止するように動作する構成とした。
このような構成としたことにより、サブCPUにて受信されるべき制御コマンドのうちの一又は二以上の制御コマンドが、不正行為の発生に伴って受信されなくなるので、このサブCPUにおいて行われる照合の結果が付加情報の不一致であるコマンドエラーとなり、これにより、この不正行為の発生に起因する異常の発生を検出することができる。そして、この検出の結果にもとづいて遊技を停止し、あるいは、その検出の結果を遊技場の店員に報知することにより、不正に出玉が払い出される事態を回避することができ、遊技場が多大な損害を蒙る事態を阻止できる。
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術(以下、文献技術という)においては、次のような問題があった。
文献技術は、不正行為を原因とする異常の発生の有無の判定をサブ制御基板で行っているが、その異常の原因となる不正行為は、メイン制御基板の不正な交換あるいはメイン制御基板に記憶されたプログラムの改ざんであった。
そして、このような異常の検出を可能とする理由は、次の通りであった。すなわち、それらメイン制御基板の不正な交換等を内容とする不正行為が実行されたとき、交換後の不正基板又は改ざんされたプログラムは、交換前の正規のメイン制御基板又は改ざん前のプログラムが送信したコマンドがわからないので、このコマンドの一部である認証データを特定できない。このため、交換後の不正基板等は、次のコマンドに正規の認証データを付加することができないことから、正規でない認証データを独自に生成してコマンドに付加し(又は、認証データをコマンドに付加することなく)、このコマンドをサブ制御基板へ送信することとなる。そうすると、サブ制御基板では、その認証データが照合データと一致しなくなるので、メイン制御基板が正当でないとの判定を行うことができる。
ところが、不正行為の内容がメイン制御基板の不正な交換やプログラムの改ざんでない場合、例えば、メイン制御基板とサブ制御基板とを接続する信号ケーブルに対して不正基板を接続するといった不正行為である場合には、文献技術を実施しても、この不正行為を原因とする異常の発生を検出できないという問題があった。
具体的に説明すると、信号ケーブルに接続される不正基板は、不正なコマンドを信号ケーブルへ出力し、この信号ケーブルを通してサブ制御基板へ送り込むことにより、このサブ制御基板を不正に動作させて、出玉を不正に払い出させるという動作を実行する。
この不正基板は、信号ケーブルに接続されることから、メイン制御基板から出力された正規のコマンドをその信号ケーブルから取り込むことが可能となっている。このため、不正基板は、メイン制御基板から前回出力されたコマンドの一部である認証データを容易に入手できるので、この認証データを不正コマンドに付加して信号ケーブルに送り込むことができる。
サブ制御基板では、不正コマンドに付加されている認証データと照合データとを照合するが、これら認証データと照合データが一致するため、この不正コマンドが不正であるとの判定を行うことができない。よって、当該不正基板が接続された遊技機では、その不正行為を原因とする異常を検出できず、不正に出玉が払い出されて、遊技場が損害を蒙る事態が生じる結果となってしまう。
このように、文献技術では、信号ケーブルに接続された不正基板に対応できず、遊技場が損害を受ける事態を回避できないという問題があった。
【0075】
また、信号ケーブルに不正基板を接続する不正行為が発生した場合において、この不正基板が信号ケーブルの電位レベルをHighからLowに変移させると、メイン制御基板の出力回路に所定値以上の電流が流れるので、出力回路は、この電流を検知することにより、当該不正行為に起因する異常の発生を検出することができる。そして、このように、出力回路における所定値以上の電流の検出は、不正基板が信号ケーブルの電位レベルをHighからLowに変移させた時点で可能となっており、この時点で出力回路に設けられた3ステートバッファの出力端子のインピーダンスがHiZになるので、不正基板は、信号ケーブルに不正信号を送り込むことができない。よって、不正に出玉が払い出される事態を未然に防ぐことができ、遊技場が損害を蒙る事態を回避できる。
【0076】
さらに、信号ケーブルに不正基板を接続する不正行為においては、メインCPUから出力された制御信号がその不正基板に取り込まれ、この制御信号の制御コマンドに付加されている付加情報をその不正基板が入手することが考えられるが、本発明は、メインCPUが第二の付加情報を乱数等によって発生させているため、不正基板がその第二の付加情報と同じ情報を発生させることができないようになっている。よって、不正基板は、次にメインCPUが制御コマンドに付加する第一の付加情報を入手できず、この第一の付加情報を第二の付加情報として今回の制御コマンドに付加して信号ケーブルに送り込むことができないことから、サブCPUは、制御信号の付加情報の認証を行うことでその不正基板を確実に検出することができる。
【0077】
また、メイン制御部の出力回路においては、信号ケーブルに接続された不正基板を検出していることから、この検出の結果を例えばメインCPUに伝えることにより、このメインCPUが遊技を停止させるなどの措置を講ずることも可能である。ただし、この場合は、その検出の結果がサブ制御部に伝わらないことも想定される。本発明は、出力回路が不正基板を検出して一又は二以上の制御信号のサブ制御部への送信を停止した後、この停止をその後に解除することにより、その不正基板の検出後において、サブ制御部にて制御信号の受信を可能とし、この制御信号を用いた照合を可能にして、このサブ制御部における不正行為の検出を実現するものである。
さらに、本実施形態におけるメイン制御基板とサブ制御基板の構成は、サブ制御基板からメイン制御基板へのデータ信号の送信を新たに追加するものではない。つまり、本発明は、メイン制御基板からサブ制御基板への単方向データ通信を遵守したものであることから、既存の遊技機の機種や新規の遊技機の機種においても、本発明を適用することができる。
【0078】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、本発明を適用する遊技機の例としてスロットマシンを挙げたが、本発明を適用可能な遊技機は、スロットマシンに限るものではなく、メイン制御基板とサブ制御基板とを備えた遊技機、例えば、パチンコ機、玉スロ、雀球機、アレンジボールなどの遊技機に本発明を適用することができる。
また、本発明は、いわゆる封入式の遊技機にも適用可能である。封入式の遊技機とは、一定数の遊技媒体を内部に封入して循環的に使用することで遊技を行い、入賞にもとづく景品玉については、遊技者側に払い出すことなくデータとして積算記憶し、遊技に使用した遊技媒体の数量をその積算記憶した値から減算して遊技を行う遊技機をいう。
【0079】
さらに、上述した実施形態では、一つのメイン制御基板にメインCPUと記憶部と出力回路とを実装することを想定しているが、このような実装に限るものではなく、例えば、メイン基板ケース内にメイン制御基板と追加基板とを設け、メインCPUと記憶部とをメイン制御基板に実装し、出力回路を追加基板に実装するといった構成とすることもできる。
また、
図5に示す回路は、3ステートバッファの回路構成の一例を示すものである。つまり、本発明の遊技機のメイン制御部に備えられる3ステートバッファは、
図5に示す回路構成とすることができるが、この回路構成に限るものではなく、当該3ステートバッファと同様の機能を有する他の構成の回路を当該3ステートバッファとして用いることもできる。
【0080】
さらに、メインCPUは、メイン制御基板に実装された出力回路の中継回路が制御コマンドの送信を停止しているときにこの停止を解除するための解除信号を出力するが、メインCPUは、制御コマンドを出力するたびに解除信号を出力することもでき、あるいは、二以上の制御コマンドを出力するたびに一つの解除信号を出力することもできる。前者の場合は、サブCPUで受信されない制御コマンドが一つのみとなるのに対し、後者の場合は、サブCPUで受信されない制御コマンドが二以上となる。ただし、いずれの場合も、解除信号がメインCPUから出力された後は、サブCPUが制御コマンドを受信可能となるので、この受信した制御コマンドに付加されている付加情報と前回受信した制御コマンドに付加されていた付加情報とを照合することにより、不正行為を検出することができる。
【0081】
また、上述した実施形態では、信号ケーブルに不正基板が接続されたことによりメイン制御部の中継回路に所定値以上の電流が流れたときに、この所定値以上の電流を電流検出回路が検出すると、この電流検出回路が異常検出信号を記憶回路と選択回路へ送る構成としたが、例えば、電流検出回路がその異常検出信号をメインCPUへ送る構成とすることもできる。このような構成とした場合、メインCPUは、異常検出信号を受けると、異常が発生したものと判定して、遊技の進行を停止する処理を実行することができる。これにより、遊技場が蒙る損害の発生を回避又は抑制できる。