(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343840
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】注射針および電極針
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20180611BHJP
A61B 5/0492 20060101ALI20180611BHJP
A61B 5/0478 20060101ALI20180611BHJP
A61B 5/0408 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
A61M5/32 520
A61B5/04 300H
A61B5/04 300J
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-143411(P2012-143411)
(22)【出願日】2012年6月26日
(65)【公開番号】特開2014-4249(P2014-4249A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】502212844
【氏名又は名称】株式会社ユニークメディカル
(74)【代理人】
【識別番号】100095485
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 千賀志
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 利章
【審査官】
和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−296444(JP,A)
【文献】
特開2008−154843(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/084139(WO,A2)
【文献】
特開昭56−145863(JP,A)
【文献】
特表2009−518117(JP,A)
【文献】
特表2005−508232(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/071294(WO,A1)
【文献】
特開2008−188123(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0318946(US,A1)
【文献】
特開2004−105216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
A61B 5/0408
A61B 5/0478
A61B 5/0492
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端が斜めにカットされてなる第1カット面と、先端が尖るように前記第1カット面の先端両サイドが正面側からカットされてなる第2カット面とを有し、
針管の先端の前記第2カット面を含む軸方向の位置より先端側の外面にはコーティング膜が形成されておらず、前記針管の内面が樹脂でコーティングされている注射針の製造方法において、
前記針管の外周面および内面を、塗布、ディッピングまたは蒸着によりコーティングした後、前記第2カット面を含む軸方向の位置より先端側の外面にコーティングされている樹脂をピーリングすることを特徴とする注射針の製造方法。
【請求項2】
先端が斜めにカットされてなる第1カット面と、先端が尖るように前記第1カット面の先端両サイドが正面側からカットされてなる第2カット面と、先端の両サイドを背面側からカットすることで形成される第3カット面とを有し、
針管の先端の前記第2カット面および前記第3カット面を含む軸方向の位置より先端側の外面にはコーティング膜が形成されておらず、前記針管の内面が樹脂でコーティングされている注射針の製造方法において、
前記針管の外周面および内面を、塗布、ディッピングまたは蒸着によりコーティングした後、前記第2カット面および前記第3カット面を含む軸方向の位置より先端側の外面にコーティングされている樹脂をピーリングすることを特徴とする注射針の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端が鋭利に形成され、刺入時および刺通時の抵抗が小さい樹脂コーティングされた注射針および人または動物に刺入して使用される電極針に関し、樹脂コーティングされていない針の利点と樹脂コーティングされた針の利点を兼ね備えた注射針および電極針に関する。
【背景技術】
【0002】
注射針に施される技術として、(1)刺通抵抗を小さくするための注射針に施される技術、(2)筋肉等から電気情報を取得するために注射針に施される技術が知られている。
注射針の先端は、斜めのフラット面にカットされる(カット面はベベルとも称される)。
図10の斜視図に示すように、注射針8の先端を単に斜めに形成したカット面CSの形状は、フラット・ベベル・ポイントと称されている。フラット・ベベル・ポイントは、注射針を刺したときの抵抗(刺通抵抗)が大きく、痛みが大きい。このため、先端を鋭利に形成した刺通抵抗が小さい注射針が使用される。
【0003】
この種の典型的な注射針の先端形状は、バックカット・ベベル・ポイント、ランセット・ベベル・ポイントと呼ばれている。
図11の斜視図に示すように、バックカット・ベベル・ポイントでは、フラットカット面(第1カット面CS0)とは反対側(背面側)に2段目のカット面(第2カット面CSB)が形成されている。
【0004】
図12の斜視図に示すように、ランセット・ベベル・ポイントでは、フラットカット面(第1カット面CS0)と同じ側(正面側)に2段目のカット面(第2カット面CSF)が形成されている(特許文献1等)。
上記したように、注射針8の刃先を2段にすることで先端が鋭くなり、その部分がメスで皮膚を切るような働きをする。これにより、先端が皮膚に刺さる瞬間の抵抗がほとんどないため、感じる痛みが小さくなる。
ところで、注射針8の針管81は金属からなり、側面は平滑ではない。このため、注射針の刺入時に、注射針の側面と皮膚組織とが擦過して痛みが大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−095571
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この不都合を解消するために、
図13(A)に示すように、針管81をフッ素樹脂等の樹脂100によりコーティングすることも行われる。
たとえば、フッ素樹脂のコーティングは、通常は、液状フッ素樹脂を注射針8に塗布することにより行われる。液状フッ素樹脂は、注射針の針管81の素材と馴染みにくいこと、および表面張力が大きいことから、コーティング膜にピンホールが生じやすくなる。このため、フッ素樹脂で針管81をコーティングする場合には、膜厚を大きくせざるをえない(たとえば、数十ミクロン)。このようなことから、フッ素樹脂でコーティングした注射針では、先端での皮膚を切る働きが低下する。
【0007】
一方、筋電図用電極として使用する注射針では、筋肉から電気情報を取得する必要がある。したがって、樹脂でコーティングした注射針は、通常、先端もコーティングされているので、筋電図用として不向きである。
このため、
図13(B)に示すように第1カット面CS0だけが樹脂コーティングされていない注射針(先端に金属露出面を有する注射針)を使用することも可能であろう。具体的には、第1カット面CS0に被覆されている樹脂をピーリングにより除去することで、注射針の先端に金属を露出させることができる。これにより、注射針8の先端の金属露出面が筋肉に直接接触できるので、筋肉から電気情報を取得することができるし、鋭い先端で皮膚を切ることもできる。
【0008】
しかし、第1カット面CS0だけが樹脂コーティングされていない注射針では、
図13(C)に示すように樹脂コーティングが注射針8の先端から剥離する可能性がある。
図13(C)では剥離部分をQで示す。
【0009】
なお、仮に、筋電図用電極として使用する注射針では、
図13(C)に示すような剥離が生じないとしても、塗布により樹脂コーティングを行う注射針では、針管81の液路を介した電気情報がノイズとして取得され、正確な測定ができないという問題がある。
【0010】
図14(A)に示すような電極針について被覆を行う場合にも、
図14(B)に示すように第1カット面CS0だけ樹脂コーティングを除去して使用することがある。この場合にも、注射針8と同様、
図14(C)に示すように樹脂コーティングが電極針9の先端から剥離する可能性がある。なお、
図14(A),(B),(C)において、第1カット面を符号CS0で示し、第1カット面(バックカット面)を符号CSBで示し、コーティング膜を符号100で示し、剥離部を符号Qで示してある。
【0011】
本発明の目的は、先端が鋭利に形成され刺入時および刺通時の抵抗が小さい注射針および人または動物に刺入して使用される電極針を提供することであり、具体的には、樹脂コーティングされていない針の利点と樹脂コーティングされた針の利点を兼ね備えた注射針および電極針を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の注射針は、以下を要旨とする。
(1) 先端が斜めにカットされてなる第1カット面と、先端が尖るように前記第1カット面の先端両サイドがカットされてなる第2カット面とを有し、少なくとも針管の外周面が樹脂でコーティングされてなる注射針において、
前記第2カット面を含む、軸方向の位置より先端側の外面にはコーティング膜が形成されていないことを特徴とする注射針。
(2)
前記第2カット面が、前記第1カット面の先端両サイドを正面側からカットすることで形成され、
さらに、第3カット面が、先端の両サイドを背面側からカットすることで形成されている(1)に記載の注射針。
(3) 前記コーティングが針管の内面に形成されていることを特徴とする(1)または(2)に記載の注射針。
(4) 前記樹脂がフッ素樹脂またはパラキシリレン樹脂であることを特徴とする(1)から(3)の何れかに記載の注射針。
本発明の注射針では、上述したように、コーティングのための樹脂としてフッ素樹脂またはパラキシリレン樹脂を使用することができる。これにより、刺入時の滑りの改善が図られる。
本発明の注射針を、筋電図等を取得する際の電極針として使用する場合には、先端側のコーティングされていない部分(金属露出部分)から、人や動物の筋肉の電気情報を取得することができる。
ところで、フッ素樹脂は表面張力が大き等の理由から、フッ素樹脂で塗布する場合にはピンホールが生じやすい。このような場合には、コーティングのための樹脂としてパラキシリレン樹脂が好ましく使用される。
【0013】
本発明の電極針は、以下を要旨とする。
(5)
先端が斜めにカットされてなる第1カット面と、先端が尖るように前記第1カット面の先端両サイドがカットされてなる第2カット面とを有し、少なくとも針身の外周面が樹脂でコーティングされてなる人または動物に刺入して使用される電極針において、
前記第2カット面を含む、軸方向の位置より先端側の外面にはコーティング膜が形成されていないことを特徴とする電極針。
(6)
前記第2カット面が、前記第1カット面の先端両サイドを正面側からカットすることで形成され、
さらに、第3カット面が、先端の両サイドを背面側からカットすることで形成されている(5)に記載の電極針。
(7)
前記樹脂がフッ素樹脂またはパラキシリレン樹脂であることを特徴とする(5)または(6)に記載の電極針。
本発明の電極では、上述したように、コーティングのための樹脂としてフッ素樹脂またはパラキシリレン樹脂を使用することができる。これにより、刺入時の滑りの改善が図られる。
本発明の電極針では、筋電図等を取得する際に、先端側のコーティングされていない部分(金属露出部分)から、人や動物の筋肉の電気情報を取得する。
ところで、フッ素樹脂は表面張力が大き等の理由から、フッ素樹脂で塗布する場合にはピンホールが生じやすい。このような場合には、コーティングのための樹脂としてパラキシリレン樹脂が好ましく使用される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の注射針および電極針は、樹脂コーティングされていない針の利点と樹脂コーティングされた針の利点を兼ね備えている。
すなわち、本発明の注射針および電極針では、先端が鋭利に形成されかつ先端の第2カット面を含む、軸方向の位置より先端側の外面にはコーティング膜が形成されていないので、先端が鋭利に形成され刺入時および刺通時の抵抗が小さい注射針および電極針を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は本発明の注射針の全体を示す図である。
【
図2】
図2は本発明の注射針の実施形態(バックカット・ベベル・ポイントタイプの注射針の一例)を示す斜視図である。
【
図4】
図4は本発明の注射針の実施形態(バックカット・ベベル・ポイントタイプの注射針の他の例)を示す斜視図である。
【
図6】
図6は本発明の注射針の実施形態(ランセット・ベベル・ポイントタイプの注射針)を示す斜視図である。
【
図8】
図8は本発明の電極針の実施形態(バックカット・ベベル・ポイントタイプの電極針)を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、従来の注射針(フラット・ベベル・ポイントタイプの注射針)を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、従来の注射針(バックカット・ベベル・ポイントタイプの注射針)を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、従来の注射針(ランセット・ベベル・ポイントタイプの注射針)を示す斜視図である。
【
図13】
図13(A)は針管をフッ素樹脂等の樹脂によりコーティングした従来の注射針を示す図、
図13(B)は第1カット面だけが樹脂コーティングされていない注射針(先端に金属露出面を有する注射針)を示す図、
図13(C)は
図13(B)の注射針の問題点を示す図である。
【
図14】
図14(A)は針身をフッ素樹脂等の樹脂によりコーティングした従来の生体用に使用される電極針を示す図、
図14(B)は第1カット面だけが樹脂コーティングされていない生体用の電極針を示す図、
図13(C)は
図13(B)の電極針の問題点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明の注射針および電極針の実施形態を説明する。なお、本発明の注射針および電極針は、医療用のみならず、試験・実験用としても使用できる。また、人体用として使用できることはもちろん、動物用としても使用できる。
【0017】
図1は本発明の注射針の全体を示す図である。
図1において、注射針1はハブ(針基2)と針管3とから構成されている。
本発明の注射針の実施形態を、
図2から
図7により説明する。なお、
図2から
図7においては針先部Tのみを図示する。
【0018】
図2は本発明の注射針の実施形態(バックカット・ベベル・ポイントタイプの注射針1A)を示す斜視図である。
図3(A)は
図1の注射針1Aの正面図、
図3(B)は同じく背面図である。
本実施形態において、注射針1Aは、先端が斜めにカットされてなる第1カット面CS0と、先端が尖るように第1カット面CS0(フラットカット面)の先端両サイドが背面側からカットされてなる第2カット面CSB(バックカット面)とを有している。
本実施形態の注射針1Aは、針管3の外周面がパラキシリレン樹脂(樹脂100)でコーティングされている。ただし、第2カット面CSB(バックカット面)を含む、軸方向の位置より先端側の外面にはコーティング膜が形成されていない。
本実施形態の注射針1Aでは、針管3の内壁INにも樹脂100によるコーティング膜が形成されている。
【0019】
樹脂100として、絶縁性のフッ素樹脂,パラキシリレン樹脂等が使用できる。
コーティングは、樹脂の種類に応じて、蒸着により行ってもよいし、塗布・ディッピング・吹付けにより行ってもよいし。
蒸着によるコーティングでは、たとえば、パラキシリレン樹脂の場合には、膜厚δを、1μm≦δ≦10μm、好ましくは、3μm≦δ≦5μmの範囲に調整することができる。
たとえば、パラキシリレン樹脂の蒸着によるコーティングの場合には、針管が針基に取り付けられた状態で注射針の蒸着を行う。針基および注射針の先端をマスキングフィルムによりマスキングしておく。
また、針基のみをマスキングしておき、注射針の先端に形成されたパラキシリレン樹脂の薄膜をカッターを用いて剥がす(ピーリングする)こともできる。本明細書の実施形態では、この方法を用いて樹脂がコーティングされない領域を注射針の先端に形成している。
【0020】
塗布(吹付け)によるコーティングでは、たとえば、フッ素樹脂の場合には、膜厚δを、30μm≦δ≦100μm、好ましくは、30μm≦δ≦40μmとすることができる。
この場合にも、パラキシリレン樹脂の蒸着の場合と同様、針基および注射針の先端をマスキングフィルムによりマスキングしておくこともできるし、針基のみをマスキングしておき、注射針の先端に形成されたフッ素樹脂の薄膜をカッターを用いて剥がす(ピーリングする)こともできる。
【0021】
図4は本発明の注射針の実施形態(バックカット・ベベル・ポイントタイプの注射針1B)を示す斜視図である。
図5(A)は
図4の注射針1Bの正面図、
図5(B)は同じく背面図である。
本実施形態の注射針1は、
図2および
図3(A),(B)で説明した注射針1Aと比べて、第2カット面CSB(バックカット面)は小さく形成されている。ただし、これ以外の構成は、
図2および
図3(A),(B)で説明した注射針1Aと概ね同じである。
【0022】
図6は本発明の注射針の実施形態(ランセット・ベベル・ポイントタイプの注射針1C)を示す斜視図である。
図7(A)は
図1の注射針1Cの正面図、
図7(B)は同じく背面図である。
本実施形態において、注射針1Cは、先端が斜めにカットされてなる第1カット面CS0と、先端が尖るように第1カット面CS0(フラットカット面)の先端両サイドが正面側からカットされてなる第2カット面CSF(ランセットカット面)とを有している。
本実施形態の注射針1Cは、針管3の外周面がパラキシリレン樹脂(樹脂100)でコーティングされている。ただし、第2カット面CSF(ランセットカット面)を含む、軸方向の位置より先端側の外面にはコーティング膜が形成されていない。
本実施形態の注射針1Cでは、針管3の内壁INにも樹脂100によるコーティング膜が形成されている。
以上述べたように、注射針1A,1B,1Cは、先端が鋭利に形成されかつ先端の第2カット面(CSB,CSF)を含む、軸方向の位置より先端側の外面には樹脂100が形成されていない。したがって、先端が鋭利に形成され刺入時および刺通時の抵抗が小さい注射針1A,1B,1Cが提供できる。
【0023】
図1から
図7に示した注射針は、電極(たとえば、筋電図用電極)としても使用することができる。この場合には、針基(
図1の符号2参照)を金属により構成し、この針基に電気信号取得用のクリップを装着して電気信号を取得することができる。
【0024】
なお、図示はしないが、本発明の注射針は、第1カット面、第2カット面および第3カット面を持つように構成できる。第1カット面は、針の先端を斜めにカットすることで形成し、第2カット面を針の先端両サイドを正面側からカットすることで形成する。すなわち、第2カット面は
図6および
図7(A),(B)に示したランセットカット面である。この態様では、さらに、第3カット面を、先端の両サイドを背面側からカットすることで形成する。このように構成することで、刺通時の抵抗がより小さい注射針が提供される。
【0025】
本発明の電極針は、
図1から
図7のような針管を持たないが、外観は
図1から
図7において説明した注射針と同じである。本発明の電極針は、針身の金属が単一層により形成されていてもよいし、針身の金属が複数層により形成されていてもよい。
以下、本発明の電極針の実施形態を説明する。電極針は、本実施形態では図示を省略するが、
図1の注射針1と同様、ハブ(針基)と針身とから構成することができる。電極針でも、
図1の注射針1と同様、針基を金属により構成し、この針基に電気信号取得用のクリップを装着して電気信号を取得することができる。
【0026】
図8は電極針の実施形態(バックカット・ベベル・ポイントタイプの電極針4)を示す斜視図である。
図9(A)は
図8の電極針4の正面図、
図9(B)は同じく背面図である。
本実施形態において、電極針4は、先端が斜めにカットされてなる第1カット面CS0と、先端が尖るように第1カット面CS0(フラットカット面)の先端両サイドがカットされてなる第2カット面CSB(ランセットカット面)とを有している。
本実施形態の電極針4は、針身6の外周面が絶縁性樹脂、たとえばパラキシリレン樹脂(樹脂100)でコーティングされている。ただし、第2カット面CSB(バックカット面)を含む、軸方向の位置より先端側の外面にはコーティング膜が形成されていない。
以上述べたように、電極針4は、先端が鋭利に形成されかつ先端の第2カット面CS0を含む、軸方向の位置より先端側の外面には樹脂100が形成されていない。したがって、先端が鋭利に形成され刺入時および刺通時の抵抗が小さい電極針4が実現される。
【0027】
なお、図示はしないが、本発明の電極針は、第1カット面、第2カット面および第3カット面を持つように構成できる。第1カット面は、針の先端を斜めにカットすることで形成し、第2カット面を針の先端両サイドを正面側からカットすることで形成する。すなわち、第2カット面はランセットカット面である(注射針についての
図6および
図7(A),(B)参照)。この態様では、さらに、第3カット面を、先端の両サイドを背面側からカットすることで形成する。このように構成することで、刺通時の抵抗がより小さい電極針が提供される。
【符号の説明】
【0028】
1,8 注射針
1A,1B,1C 注射針
2 針基
3,81 針管
4,9 電極針
6 電極針の針身
100 樹脂
CS カット面
CS0 第1カット面
CSB,CSF 第2カット面
IN 内壁
δ 膜厚
T 針先部