(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
香料中にClogPowが3.0以上7.0以下の香料成分を20質量%以上100質量%以下含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
界面活性剤が1)HLB8以上18以下のノニオン界面活性剤,及び2)両性界面活性剤の群から選択される少なくとも1種以上を有する請求項5又は6に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の香料内包吸水性樹脂は、吸水量が20g/g以上、2kPa加圧下で吸収量が20g/g以上である吸水性樹脂に香料が内包されたものである。この香料内包吸水性樹脂は、吸収性物品に組み込こまれ排泄液等を吸収すると、香料を放って吸液前よりも香りが強くなることを特徴とする。前記「2kPa加圧下」とは、香料内包吸水性樹脂を組み込んだ吸収性物品を装着したときに体圧などで通常加わる平均的な圧力を示している。上記の吸水量及び2kPa加圧下吸収量とは生理食塩水に換算した量であり、例えば、次の方法により測定される。
【0012】
(吸水量の測定方法)
吸水量の測定は、吸水性樹脂1.00gを生理食塩水(0.9%NaCl水溶液、大塚製薬株式会社製)150mLで30分間膨潤させた後、250メッシュの不織布袋に入れ、遠心分離機にて143Gで10分間脱水し、脱水後の総質量(全体質量)を測定する。そして、次式(1)に従って、遠心脱水後の生理食塩水の保持量を測定し、この値を吸水量とする。
【0013】
【数1】
ここで、不織布袋液残り量=(遠心脱水後の不織布袋質量)−(不織布袋質量)である。
【0014】
吸水量は、製品の液体の吸収性を考慮し、生理食塩水に換算して、20g/g以上であり、23g/g以上が好ましく、25g/g以上がより好ましい。これにより、液体を十分に吸収することができ、液戻り量を抑えることができる。またその上限は、50g/g以下が好ましく、45g/g以下がより好ましく、40g/g以下がさらに好ましい。これにより、吸水によるゲルブロッキングを防止でき、ゲル間の通液性が保持され、吸収体の吸収速度の低下を防ぐ。
【0015】
(2kPa加圧下吸収量の測定方法)
2kPa加圧下吸収量は、
図1に示すような測定装置を用いて測定される。
図1(1)に示すように、垂直に立てた円筒211(内径30mm)の下端開口部212にメッシュ213(250メッシュ)を貼ったカラム210を用意する。その中に吸水性樹脂22(粒子)0.500gを均一な厚みになる様に入れる。次いで、外径30mmよりやや小さい錘221(2.0kPaの圧力を加えられる錘)を香料内包吸水性樹脂22の上に載せる。
100mLビーカー230に、生理食塩水231(0.9質量%塩化ナトリウム水)100mLを注ぐ。そしてメッシュ213がビーカー230の底に着かない様にして、生理食塩水231中にカラム210を浸漬させ、この状態で1時間放置する。
その後、ビーカー130からカラム210を取り出し、
図1(2)に示すように、香料内包吸水性樹脂22上に錘221を載せた状態で15分間水切りする。
そして、次式(2)に従って、加圧下吸収量を算出する。
【0017】
さらに、本発明の香料内包吸水性樹脂の2kPa加圧下吸収量は、吸収体での液吸収と液拡散の観点から、20g/g以上であり、22g/g以上が好ましく、25g/g以上がより好ましい。またその上限は、高吸収量との両立の観点から、40g/g以下が好ましく、35g/g以下がより好ましく、30g/g以下がさらに好ましい。
【0018】
上記の加圧下での吸収量が少なくなるケースとして、一般に(1)ポリマーの架橋が非常に強くゲル強度が高すぎる場合と、(2)ポリマーの架橋が非常に弱くゲル強度が低すぎる場合がある。(1)の場合、加圧下では吸水性樹脂自体は潰れ難いが、吸水性樹脂の液体を吸収するという能力が不十分であるため、加圧下での吸収量が少なくなり、液体は中に吸収されず広がって漏れることになる。(2)の場合、加圧下では吸水性樹脂は潰れやすく、程度を越えてゲルブロッキングを引き起こすと、吸収体10の吸収速度は遅く液戻り量が多く、吸収容量が少なくなる。
上記の加圧下吸収量とする本発明の香料内包吸水性樹脂は、吸水性樹脂形成時の重合ないしこれとともにされる通常の架橋(同時架橋)とは別に、表面架橋の密度(架橋網目サイズ)が適度に高くされている。すなわち本発明の香料内包吸水性樹脂は、表面架橋された吸水性樹脂(以下、表面架橋吸水性樹脂ともいい、単に吸水性樹脂ということもある。)に香料が内包されたものである。この表面架橋は、製造工程で述べるように、重合とともにされる架橋がある場合は、二次架橋に相当する。前記表面架橋により、液吸収による膨潤時のゲル強度が液の加圧下吸収量を抑えることなく適度に高められている。そのため本発明の香料内包吸水性樹脂は、着用者の荷重がかけられた加圧下において潰れ難い。同時に、表面架橋により膨潤ゲル弾性率が高くなって吸水性樹脂内部の空間と膨潤性が確保されている。その結果、吸水時のゲルブロッキングが抑えられ、加圧下での個々の吸水性樹脂の吸水力が高くなる。これらのことから、本発明の香料内包吸水性樹脂は、組み込まれた吸収性物品において、多量の排泄にも十分対応できる吸収性能を備える。また、これにより排泄液の漏れ防止性や着用者の肌側への液戻り防止性が高い。このことが吸収性物品や肌とのべたつきを抑え、漏れた液や液戻りした液に起因するニオイ(悪臭)を抑制する。
【0019】
本発明の香料内包吸水性樹脂における「内包」とは、香料が表面架橋吸水性樹脂の内部に存在することを意味し、表面架橋吸水性樹脂の表面に香料が付着していることとは異なる。香料内包吸収性樹脂は、少なくとも香料が内包されていれば良く、表面に香料が付着していることを除外しない。しかし、後述するように、排泄前において芳香効果を抑制するため、表面架橋吸水性樹脂の表面には香料が付着していないことが好ましい。
香料が香料内包吸水性樹脂の内部にのみ含まれているか否かは、下記の手段によって測定することができる。まず、対象となる香料内包吸水性樹脂を、ビーカーに入れ、そこに溶剤を注ぐ。溶剤は後述する工程(7)で使用されるものと同じものを用いることができる。その後、ビーカー中の香料内包吸水性樹脂と溶剤を撹拌する。そして、該溶剤をシリンジで取り出し、ガスクロマトグラフィーにより分析する。ここで、内部にのみの「のみ」とは香料内包吸水性樹脂の表面に香料が全く存在しない状態に限らず、添加された香料の質量に対し香料内包吸水性樹脂の表面に香料が3%以下、好ましくは2%以下、更に好ましくは1%以下残存した状態をも含む。
【0020】
後述の工程(4)を行う状態において、本発明の表面架橋吸水性樹脂は、網目構造とされた表面の内側に、ミセル状態として架橋網目サイズよりも小さな香料を内包させたものである。ここで、香料をミセル状態としたものに代えて、香料を乳化させたものを使用することもできる。しかし、一般に乳化させたものはミセルよりも大きく、表面架橋吸水性樹脂の架橋網目を通りにくくなる。そのため、香料内包吸水性樹脂の表面に香料を残さず、内部に含ませるためには、香料をミセル状態として用いることが好ましい。架橋網目サイズは、製造時の膨潤状態で数百ナノメートル程度と非常に小さい。前記香料は、この架橋網目に対し、後述の製造方法のとおり、ミセル状態の可溶化溶液又は架橋網目サイズ以下の香料乳化滴が存在する微細乳化液として注入され架橋網目構造を透過して吸水性樹脂内部に内包されたものである。これは、特許文献2のように吸収性樹脂に乳化分散させた香料を混錬、破砕して得られたものとは異なるものである。
【0021】
内包された香料は、吸水前の乾燥状態では、吸水性樹脂表面の架橋網目構造のさらなる縮小と樹脂自体のガラス化で内部に封じ込められており容易には外部に放出されない。しかし吸水によって、架橋網目の拡大又は樹脂自体の可塑化が生じ、樹脂が所定の膨潤度に達したとき、前記香料が初めて外部へ放出される。なお、吸水前の「乾燥状態」とは、水分が全く存在しない状態に限らず、大気中の水分等などを吸収した状態、吸収性物品として液吸収性能を保持する程度に液が残る状態をも含む。
これにより、本発明の香料内包吸水性樹脂は、吸収性物品に組み込まれた場合に、排泄液を吸収(吸液)して膨潤すると香料が周囲に発散されて芳香するようにされている。その結果、たとえ尿等の悪臭が周囲に漏れても、これと同時ないしは随伴して香料が放出してマスキングが行われる。他方、排泄前は香料の外部への放出が抑えられているので、排泄時に放出される香料の香りが強く印象づけられ、よりマスキング効果が高められる。この排出前の香料の放出抑制は、従来の吸水性樹脂に比べて、表面架橋による架橋網目でさらに高められている。しかも、本発明の香料内包吸水性樹脂がゲルブロッキングを起こし難いため、排泄液と樹脂との接触性がより高くなり、多量の排泄にも十分対応した効果的な芳香ができる。また、臭いのマスキングには、前述のように、香料自体がヒトの嗅覚により認識されるもののほか、ヒトの嗅覚受容体の活性化を阻害することにより、悪臭が認識されなくする物質も含まれる。後者の機能を有し、かつ、揮発性である物質も、本発明の香料として使用することができる。具体的な物質としては、特開2012−250958号などに記載されたものを用いることができる。また、臭い(悪臭)を低減させる目的で抗菌剤や酵素(β−グルクロニダーゼ)阻害剤を使用しても良い。抗菌剤としては、例えば抗菌香料(スパイス(月桂樹、シナモン、タイムなど)、ワサビ、トウガラシ等の由来の香り成分、ヒノキチオール)などを用いることができる。酵素阻害剤としては、例えば、特開2010−220641号や特開2010−227130号などに記載されたものや、分解酵素阻害剤(ピメント、バジル、ペパーミント、タイム、ローズマリー、ジンジャー、セージ及びセロリ等の植物からの抽出物)などを用いることができる。
【0022】
このような本発明の香料内包吸水性樹脂は、常温・常圧の条件下、含水率が50%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。これにより、本発明の香料内包吸水性樹脂は、吸収性物品として組み込まれたときの液吸収性能を十分確保することができる。また、その下限は、0%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、2%以上がさらに好ましい。これにより、本発明の香料内包吸水性樹脂は、吸収性物品に組み込まれた場合に、排泄液を吸収して膨潤すると香料が周囲に発散されて芳香するようになる。この含水率は下記の方法により測定される。
【0023】
(含水率の測定方法)
香料内包吸水性樹脂2gを容器に測り取り、105℃、3時間、常圧下で乾燥を行う。乾燥前後の差分を水分と考え、この値を香料内包吸水性樹脂の重量(2g)で除した値を含水率とする。
【0024】
本発明の香料内包吸水性樹脂に用いられる表面架橋吸水性樹脂は、後述の製造方法により得られるものであり、例えばカルボン酸(塩)基〔カルボン酸基及び/又はカルボン酸の中和基の意味である。〕を有する構成単位を有する樹脂の架橋体が好ましい。具体的には、デンプン−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、デンプン−アクリル酸エステル共重合体の(部分)中和物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物及び部分ケン化物、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物、ポリビニルアルコール変性物、部分中和ポリアクリル酸塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸塩、アクリル酸−アクリルアミド共重合物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合物等の架橋体が挙げられ、使用に際しては、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0025】
なお、本明細書において、「ポリ(メタ)アクリル酸塩」とは、ポリアクリル酸塩及びポリメタクリル酸塩のいずれか又は双方を意味する。このことは、「(メタ)アリロキシアルカン」、「(メタ)アリロイル」、「(メタ)アクリル」及び「(メタ)アクリレート」においても同様である。さらに「(ポリ)エチレン」とは、エチレン及びポリエチレンのいずれか又は双方を意味する。このことは、「(ポリ)プロピレン」においても同様である。
【0026】
本発明の香料内包吸水性樹脂の形状は、特に問わず、球状、塊状、ブドウ状、不定形状、多孔状、粉末状または繊維状であり得る。この吸水性樹脂の平均粒子径は、製品からの脱落、移動の抑制や使用感悪化(ざらつき感)の抑制のために、100μm以上であり、好ましくは150μm以上であり、より好ましくは200μm以上である。また、1000μm以下であり、好ましくは650μm以下であり、より好ましくは500μm以下である。
【0027】
次に、本発明の香料内包吸水性樹脂の好ましい製造方法について以下に詳述する。
まず吸水性樹脂は、吸収性物品の液吸収素材として採用される素材を用いて形成されるものであり、特にエチレン性不飽和単量体(以下、単にモノマーともいう。)を用いて形成される。具体的には、エチレン性不飽和単量体を重合する工程(工程(1))、表面架橋する工程(工程(2))、及び脱水する工程(工程(3))を経て表面架橋吸水性樹脂を得る。
前記工程(1)のにおいては、例えば、以下の単量体から選ばれる1種類以上を重合する。重合方法は、特に限定されるものではなく、逆相懸濁重合法や水溶液重合法などの一般的に用いられる種々の方法を採用することができる。その際、重合と同時に架橋(一次架橋)を行ってもよい。これは、粒子を形成するための工程であり、後述の表面架橋(前記一次架橋に対する二次架橋)とは異なり、分子量を高めることを重視している。この一次架橋の方法は、架橋性単量体を共存させる方法でもよく、自己架橋を誘発させる方法でもよい。その際の架橋性単量体とは、例えば、N,N−ジアリルアクリルアミド、ジアリルアミン、トリアリルアミン、ジアリルメタクリルアミド、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルテレフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、などのポリアリル化合物;ジビニルベンゼン、N,N′−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリビニル化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテルなどである。
【0028】
また、重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤を用いることが好ましく、例えば、モノマー成分中で均一に溶解する過酸化物、有機過酸化物及びその塩、無機過酸化物及びその塩、アゾビス系化合物の単独及びそれと還元剤との組み合わせによるレドックス系のものが挙げられる。
具体的には、重合開始剤としては、例えば、t−ブチルパーオキサイド、t−アミルパーオキサイド、クミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸化物、過酸化水素、過硫酸塩とトリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアニリンなどの第3級アミンとの組み合わせ等が挙げられる。これらのうちt−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)二塩酸塩、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸塩と第3級アミンとの組み合わせが特に好ましい。
重合開始剤は、単一種を用いてもよく、また、複数種を用いてもよい。重合開始剤の仕込量は、主鎖の重合度を高くすると共に架橋されない高分子鎖の割合を低くし、また、油性成分の疎水性溶媒や水に溶解しにくくし、重合反応の反応率を高くして残留モノマー量を少なくする観点から、全モノマー100質量部に対して0.01質量部以上とすることが好ましく、0.5質量部以上とすることがより好ましく、0.1質量部以上とすることが更に好ましく、また、5質量部以下とすることが好ましく、3質量部以下とすることがより好ましく、1質量部以下とすることがさらに好ましい。
【0029】
本発明の特に好ましい一実施態様において、吸水性樹脂の残留モノマー含有率は、好ましくは2000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは7500ppm以下、特に好ましくは500ppm未満、殊更好ましくは400ppm以下である。
残留モノマーが多いと、吸水性樹脂自体が臭うため、内包している香料の効果が十分に発揮されないおそれがある。そのため、吸水性樹脂自体の臭いを低減するため、残留モノマーは上述の上限以下であることが好ましい。
残留モノマー含有率は、下記の手段に準拠し、測定することができる。
「残留アクリル酸(residual acrylic acid(Res. AA))
EDANA標準試験方法:WSP 210.2(04)
超吸収性材料における残留モノマー量の測定−ポリアクリレート超吸収性ポリマー」
【0030】
表面架橋吸水性樹脂を製造する際に用いられる単量体は、水溶性で、重合性の不飽和基を有する単量体である。具体的には、エチレン性不飽和基を含有するカルボン酸またはその塩、エチレン性不飽和基を含有するカルボン酸エステル、エチレン性不飽和基を含有するスルホン酸またはその塩、エチレン性不飽和基を含有するリン酸またはその塩、エチレン性不飽和基を含有するリン酸エステル、エチレン性不飽和基を含有するアミン、エチレン性不飽和基を含有するアンモニウム塩、エチレン性不飽和基を含有するアミドなどの重合性不飽和基を有するビニル単量体が例示される。
【0031】
エチレン性不飽和基を含有するカルボン酸またはその塩としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸などの不飽和カルボン酸、これらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0032】
エチレン性不飽和基を含有するカルボン酸エステルとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0033】
エチレン性不飽和基を含有するスルホン酸またはその塩としては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸またはその塩等が挙げられる。
【0034】
エチレン性不飽和基を含有するリン酸またはその塩としては、(メタ)アクリロイル(ポリ)オキシエチレンリン酸エステルまたはその塩等が挙げられる。
【0035】
エチレン性不飽和基を含有するアミンとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0036】
エチレン性不飽和基を含有するアンモニウム塩としては、上記オレフィン系不飽和アミンの4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0037】
エチレン性不飽和基を含有するアミドとしては、(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体やビニルメチルアセトアミド等が挙げられる。
【0038】
他の単量体の具体例としては、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン、N−ビニルアセトアミドなどの親水基含有不飽和単量体などが挙げられる。
【0039】
これら単量体の中では、エチレン性不飽和基を含有するカルボン酸またはその塩が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、それらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩がより好ましく、アクリル酸、アクリル酸アルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アクリル酸アンモニウム塩がさらに好ましい。
【0040】
次いで前記(2)の表面架橋工程を実施する。ここでは、重合架橋された樹脂の表面のみを架橋する。その際、樹脂の含水量によっては事前に脱水を行っていてもよい(すなわち前記(1)工程と(2)工程との間に脱水工程を設けてもよい。)。架橋反応が水分のある部分で生じるので、内部の水分を予め減らしておくことで表面のみを架橋させやすくなる。脱水方法としては、この種の物品に用いられる方法を特に制限なく採用でき、例えば共沸脱水や乾燥等の方法が挙げられる。工程(2)に供する重合物は、粒子状に成形されたものや、粒子状よりも大きな塊であっても良い。そして、粒子の表面全体が架橋された表面架橋吸水性樹脂、又は、表面全体が架橋された塊状の樹脂を得、それを砕いて表面架橋吸水性樹脂を得ることができる。後者の場合、破砕により生じた断面は表面架橋されていないので、吸収性能及び香料を内方する観点から、前者の方が好ましい。
【0041】
本発明における表面架橋としては、逆相懸濁重合の場合、重合後吸水性樹脂の含水量を共沸脱水により30〜100%(対吸水性樹脂固形分)に調節した後、共沸温度下で架橋剤溶液を0.01〜3%(対吸水性樹脂固形分)添加し、その後、30分以上かけて表面架橋反応する方法等が挙げられる。水溶液重合の場合、重合後の吸水性樹脂の含水量を0〜100%(対吸水性樹脂固形分)に調節した後、架橋剤を0.001〜3%(対吸水性樹脂固形分)添加し、その後、30分以上かけて室温〜100度で表面架橋反応する方法等が挙げられる。架橋剤は水溶液(水溶性有機溶媒を含む)又は分散液として噴霧する等して添加する方法等により添加することができる。用いる架橋剤は、例えば、ポリアリル化合物、ポリビニル化合物、ポリグリシジルエーテル、ハロエポキシ化合物、ポリアルデヒド、ポリオール、ポリアミン、ヒドロキシビニル化合物、またカルシウム、マグネシウム、亜鉛及びアルミニウムなどの多価イオンを生じる無機塩または有機金属塩などを挙げることができる。
【0042】
次いで前記工程(3)の脱水工程を実施する。脱水方法としては、この種の物品に用いられる方法を特に制限なく採用でき、例えば共沸脱水や乾燥等の方法が挙げられる。
この脱水工程は、次の香料可溶化溶液を表面架橋吸水性樹脂の内部に取り込むための準備である。表面架橋吸水性樹脂の含水率が低い程、内部に香料可溶化溶液を吸収し易くなる。そのため、この脱水工程を経て得られる吸水性樹脂の含水率は、50%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。またその下限は、含水率が低いほど静電気により周囲に飛散しやすいため、これを防いで製造上取扱いやすくする観点から、0%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、2%以上がさらに好ましい。
【0043】
その後、必要に応じて後処理、例えば分級などの操作を行って、所望の平均粒子径に調整し、必要に応じて無機微粒子処理して、表面架橋吸水性樹脂を得る。
【0044】
次いで、上記の工程(1)、工程(2)及び工程(3)を経て得られた表面架橋吸水性樹脂を用いて香料内包吸水性樹脂を得る。すなわち得られた表面架橋吸水性樹脂に対し、香料が可溶化状態である香料含有溶液を添加する工程(工程(4))、水を添加する工程(工程(5))、及び脱水する工程(工程(6))を行う。
【0045】
工程(4)では、まず、香料が可溶化状態である香料含有溶液を作製する。香料と界面活性剤と溶媒とを混合して可溶化溶液を得る。前記溶媒としては、例えば、水、アルコール等の水性溶媒、炭化水素やシリコーンオイル、ミネラルオイル等の非水性溶媒、または両者の混合物などが挙げられ、表面架橋吸水性樹脂への吸収性の観点から水等の水性溶媒を用いることが好ましく、可溶化水溶液として得ることが好ましい。香料を可溶化状態にすると、香料は、粒子状態で単に乳化させたものとは異なり、分子レベルの大きさで溶解していると推察される。これにより香料を、表面架橋吸水性樹脂の、膨潤状態にある数百μmオーダの架橋網目を通過させて内部に取り込むことができる。また、前述のとおり、前記(3)工程の脱水を経た状態で表面架橋吸水性樹脂が水分を含み、かつその含水率が50%以下であると、香料含有溶液が浸透し易く取り込まれ易い。また、前記表面架橋吸水性樹脂が水分を適度に含むことで表面の架橋網目の拡大ないし可塑化と内部の樹脂の膨潤が適度になされ、これに沿って香料含有溶液が内部へと取り込まれ易い。このように工程(1)及び(2)で重合及び架橋を行った後に香料含有溶液を添加することにより、重合開始剤によって香料成分に予期せぬ反応が生じることがない。
【0046】
香料含有溶液における香料の濃度としては、香料を可溶化させ、表面架橋吸水性樹脂の内部に効率的に取り込む観点から、0.05%以上が好ましく、0.5%以上がより好ましく、1%以上がさらに好ましい。またその上限は、香料を可溶化させる観点から、25%以下が好ましく、18%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。
【0047】
一方、香料含有溶液における界面活性剤の濃度としては、香料を可溶化させ、表面架橋吸水性樹脂の内部に効率的に取り込む観点から、0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、2%以上がさらに好ましい。またその上限は、香料内包吸水性樹脂の乾燥後における界面活性剤に起因するべた付き抑制の観点から、50%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。
【0048】
また、香料含有溶液の表面架橋吸水性樹脂への添加方法としては、香料含有溶液を噴霧したり、液滴を添加したりしてもよく、香料含有溶液の中に吸水性樹脂を浸漬させたりしてもよい。香料含有溶液が逆流せずに効率的に確実に吸水性樹脂の内部に取り込まれる観点から、香料含有溶液を噴霧する方法、液滴を添加する方法が好ましい。特に、表面架橋吸水性樹脂をニーダーやミキサー、ミル、スクリューフィーダー内で撹拌しながら、香料含有溶液を噴霧する方法、液滴を添加する方法が好ましい。
【0049】
工程(4)では、前記工程(3)で得られる吸水性樹脂100質量部に対し、香料含有溶液を1質量部以上添加することが好ましく、10質量部以上添加することがより好ましく、20質量部以上添加することがさらに好ましい。これにより、香料含有溶液を、集積させた樹脂全体に効率的に行きわたらせることができる。またその上限は、200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましく、100質量部以下がさらに好ましい。これにより、後の工程(6)の脱水工程の負担を軽減でき、良質な香料内包吸水性樹脂を効率よく生産することができる。また表面架橋吸水性樹脂に対して、香料分散液を、混錬するのではなく香料含有溶液を添加することで、表面よりも内部に香料を浸透させやすく、表面に香料が残り難くなる。
【0050】
用いる香料としては、悪臭をマスキングする効果を奏するものを制限なく用いることができ、特に香り立ちや香り持続性の観点から油溶性の香料が好ましい。用いる香料中、油溶性の香料、すなわちClogPowが3.0以上7.0以下の香料成分を20質量%以上100質量%以下含有することが好ましい。香料成分が水溶性である場合、排泄液との接触により、香料成分が一気に放出され、持続性が乏しいと考えられる。一方、香料成分が油溶性である場合、香料成分は排泄液中を徐々に拡散し、徐放されるため、香りが持続すると考えられる。
【0051】
用いる香料は、複数の香料成分の混合物であり、場合により非常に多数種類の香料成分からなることもある。混合物全体で、例えばローズの香りなどの特定の香りを得ることができる。この混合物から一部の成分だけでもなくなってしまうと、異なる香りとして認識されてしまう。そのため、香料を構成する香料成分の全てを失わずに、表面架橋吸水性樹脂に均等に内包させ、かつ、排泄後に揮発させる必要がある。一方、混合物の中には、水溶性のものも油溶性のものも含まれることがある。これらの性質が異なる場合も、均等に表面架橋吸水性樹脂に内包させる必要がある。これらの観点からも、本発明では、界面活性剤を用いて全ての香料成分を可溶化させることが効果的である。
【0052】
CLogPowとは化学物質の1−オクタノール/水分配係数で、f値法(疎水性フラグメント定数法)により計算で求められた値をいう。具体的には、化合物の化学構造を、その構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数(f値)を積算して求めることができ、CLOGP3 Reference Manual Daylight Software 4.34, Albert Leo, David Weininger, Version1, March 1994を参考にすることができる。
【0053】
CLogPowが3.0以上7.0以下の香料成分としては、i)α−ピネン(4.18)、β−ピネン(4.18)、カンフェン(4.18)、リモネン(4.35)、テルピノーレン(4.35)、ミルセン(4.33)、p−サイメン(4.07)、β−カリオフィレン(6.45)から選ばれる炭化水素系香料、ii)サンダルマイソールコア(3.9)、サンタロール(3.9)、l−メントール(3.2)、シトロネロール(3.25)、ジヒドロミルセノール(3.03)、エチルリナルール(3.08)、ムゴール(3.03)、ネロリドール(4.58)から選ばれるアルコール系香料、iii)アルデヒドC−111(4.05)、グリーナール(3.13)、マンダリンアルデヒド(4.99)、シトラール(3.12)、シトロネラール(3.26)、アミルシンナミックアルデヒド(4.32)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(4.85)、リリアール(3.86)、シクラメンアルデヒド(3.5)、セトナール(4.86)、ボロナール(4.72)、マセアール(3.6)、ベルンアルデヒド(4.88)、マイラックアルデヒド(3.87)、ジヒドロジャスモン(3.13)、イオノンα(3.71)、メチルイオノンα(4.24)、メチルイオノンG(4.02)、トリメチルウンデセナール(5.16)から選ばれるアルデヒド、ケトン系香料、iv)ヘプチルアセテート(3.36)、シトロネリルアセテート(4.20)、ゲラニルアセテート(3.72)、リナリルアセテート(3.50)、ヘキシルサリシレート(5.09)、エチルシンナメート(3.0)、ベンジルサリシレート(4.2)、エチレンブラシレート(4.62)、イソブチルサリシレート(3.92)、ヘキシルサリシレート(5.09)、から選ばれるエステル系香料、v)チモール(3.40)、バニトロープ(3.11)から選ばれるフェノール系香料、vi)セドロキサイド(4.58)、シトロネリルエチルエーテル(4.36)、エトキシメチルシクロドデシルエーテル(5.48)、アネトール(3.31)、ネロリンヤラヤラ(3.24)、エステラゴール(3.1)、メチルイソオイゲノール(3.0)、アンブロキサン(5.27)から選ばれるエーテル系香料、テンタローム(5.7)、パールライド(5.7)、酢酸ベチベリル(5.87)などを挙げることができる。なお、かっこ内の数字はCLogPow値である(以下、香料成分について同様)。
上記の香料に対して用いる溶媒は、水性溶媒、油性溶媒のいずれでもよいが、表面架橋吸水性樹脂への吸収性の観点から、水性溶媒が好ましい。
【0054】
可溶化溶液として用いられる香料中に、上述のCLogPowが3.0以上7.0以下の香料成分を含有することが好ましく、3.0以上6.5以下の香料成分を含有することがより好ましく、CLogPowが3.0以上6.5以下の香料成分を含有することが更に好ましい。また、前記香料中に、前記CLogPowの値の香料成分を20質量%以上100質量%以下含有することが好ましく、20質量%以上80質量%以下含有することが好ましく、25質量%以上60質量%以下含有することが好ましい。このような香料成分を含む香料を用いることで、香りの持続性に優れる香料内包吸水性樹脂を得ることができる。
特に香りの持続性の観点から、前記香料中に、上述のCLogPowが3.0以上7.0以下の香料成分を全香料中20質量%以上100質量%以下含有することが好ましく、CLogPowが3.0以上6.5以下の香料成分を20質量%以上80質量%以下含有することがより好ましく、CLogPowが3.0以上6.5以下の香料成分を25質量%以上60質量%以下含有することが更に好ましい。
【0055】
また前記香料中に、CLogPow3.0未満の香料成分、CLogPowが7.0を超える香料成分を含有することもできる。CLogPowが3.0未満の香料成分としては、フェニルエチルアルコール(1.18)、テルピネオール(2.6)、ゲラニオール(2.77)、リナロール(2.55)、ミルセノール(2.61)、ネロール(2.77)、シス−ジャスモン(2.64)、フェニルエチルアセテート(2.13)、アリルアミルグリコレート(2.51)、リファローム(2.26)、シス−3−ヘキシルアセテート(2.34)、アセトアルデヒドエチルcis−3−ヘキセニルアセタール(2.57)、スチラリルアセテート(2.27)、o−t−ブチルシクロヘキサノン(2.27)、p−t−ブチルシクロヘキサノン(2.27)、サリチル酸メチル(2.45)、アセチルオイゲノール(2.83)、シンナミルアセテート(2.35)、オイゲノール(2.40)、イソオイゲノール(2.58)、モスシンス(2.94)、アニソール(2.06)、メチルオイゲノール(2.78)、を挙げることができ、これらは香り立ちに優れるため(a1)成分中に含有することが好ましく、含有量は前記香料中に好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である、またその下限は好ましくは5質量%以上である。
また、CLogPowが7.0を超える香料成分については、フィトール(8.28)、パルミチン酸エチル(8.12)、イソフィトール(8.06)などを挙げることができ、これらの香料成分の前記香料中の含有量は、溶解性、吸水性樹脂の内部への取り込みの観点から好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0056】
なお、本発明で用いた香料成分の名称は、「香料と調香の基礎知識」中島基貴著、産業図書(株)発行 第2刷(1996年5月30日)の記載に従った。
【0057】
前記香料には、香料成分の希釈剤、保留剤を含有することが出来る。希釈剤、保留剤の好適な例としては、ジプロピレングリコール、パルミチン酸イソプロピルエステル、ジエチルフタレート、ベンジルベンゾエート、流動パラフィン、イソパラフィン、3−メトキシブタノール、油脂等を挙げることができる。希釈剤及び/または保留剤の添加量は、香料成分に対して、0質量%以上400質量%以下が好ましい。
【0058】
(界面活性剤)
香料を可溶化させる界面活性剤としては、吸水性樹脂との反応を抑えて内部に香料を取り込ませる観点から、1)HLB(親水性−親油性バランス)8以上18以下のノニオン界面活性剤及び2)両性界面活性剤の群から選択される少なくとも1種以上を有することが好ましい。用いる界面活性剤は、前記1)及び2)のいずれか一方の群から選ばれたものであってもよく、前記1)及び2)のぞれぞれの群から選択される少なくとも1種類以上の剤を組み合わせたものであってもよい。特に、水を溶媒として油溶性の香料を可溶化させるのに、前記1)及び2)の剤の両方を含むことが好ましい。また前記1)及び2)の両方を含むと、界面活性剤の総量が少なくても香料を可溶化させることができ好ましい。
【0059】
前記1)について、イオン性でなくノニオンであることで油溶性の香料を吸水性樹脂に取り込ませやすくなる。さらに前記1)の剤について、界面活性剤の疎水性が適切となり香料成分を効率よく可溶化させる観点から、HLBは8以上が好ましく、9以上がより好ましく、10以上がさらに好ましい。その上限は、吸水性樹脂内部への取り込みを良好なものとする観点から、18以下が好ましく、17以下がより好ましく、16以下がさらに好ましい。一方、前記2)の両性界面活性剤を用いることで、第四級アンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤とは異なり、香料の可溶化が容易となり好ましい。
【0060】
前記1)及び2)のそれぞれの剤の組み合わせとする場合、1)の界面活性剤の質量(X)と2)の界面活性剤の質量(Y)との割合(X/Y)は、ごく少量の界面活性剤で香料を可溶化する観点から、1/100以上が好ましく、1/50以上がより好ましく、1/20以上がさらに好ましい。また、2/1以下が好ましく、1.5/1以下がより好ましく、1/1以下がさらに好ましい。
【0061】
特に、界面活性剤として、下記の1)HLB8以上18以下のノニオン界面活性剤及び2)両性界面活性剤の群から選択される少なくとも1種以上を有することが好ましいがこれに制限するものではない。
【0062】
前記1)のHLB8以上18以下のノニオン界面活性剤としては、表面架橋された吸水性樹脂への吸収性の観点から、下記一般式(1−1)、(1−2)及び(1−3)で表されるノニオン界面活性剤から成る群より選択される少なくとも1種のノニオン界面活性剤が好ましい。なかでも一般式(1−1)で表されるノニオン界面活性剤が香料の分散性の観点から好ましく、一般式(1−2)で表されるノニオン界面活性剤が香りの質の維持の観点から好ましい。また、一般式(1−3)で表されるノニオン界面活性剤も香りの質の維持の観点から好ましい。
【0064】
(式中、R
1は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルケニル基を示し、pは3以上50以下の整数であり、qは0以上10以下の整数であり、p及びqが3≦p+q≦50以下を満たす。)
【0066】
(式中、R
2は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルケニル基を示し、a1、b1及びc1は、1≦a1+b1+c1≦50を満たす整数である。)
【0068】
(式中、R
3は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルケニル基を示し、a2、b2及びc2は、1≦a2+b2+c2≦50を満たす整数である。)
【0069】
前記1)の剤のうち、一般式(1−1)で表されるノニオン性界面活性剤のR
1の炭素数は8以上22以下であり、前記1)成分の分散のしやすさの観点から炭素数10以上20以下が好ましく、炭素数12以上18以下が更に好ましい。またpは3以上50以下の整数であり、表面架橋された吸水性樹脂内への取り込みの観点から3以上40以下が好ましく、3以上30以下が更に好ましく、qは0以上10以下の整数であり、0以上8以下が好ましく、0以上5以下が更に好ましく、p+qは3以上50以下であり、3以上40以下が好ましく、3以上30以下が更に好ましい。なお、一般式(1−1)中のエチレンオキシ基〔CH
2CH
2O〕とプロピレンオキシ基〔CH(CH
3)CH
2O〕はランダム付加でも、ブロック付加でも何れでもよい。
【0070】
前記1)の剤のうち、一般式(1−2)及び(1−3)で表されるノニオン界面活性剤のR
2及びR
3の炭素数はそれぞれ8以上22以下であり、前記1)成分の分散のしやすさの観点から炭素数10以上20以下が好ましく、炭素数12以上18以下が更に好ましい。また、a1+b1+c1及びa2+b2+c2はそれぞれ1以上50以下であり、表面架橋された吸水性樹脂内への取り込みの観点から、炭素数3以上40以下が好ましく、3以上30以下が更に好ましい。
【0071】
前記1)の剤の含有量は、香料の分散のしやすさ(可溶化のしやすさ)、表面架橋された吸水性樹脂内への取り込み性の観点から、香料含有溶液中、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、1質量%以上が特に好ましい。その上限は、表面架橋された吸水性樹脂内への取り込み性、香料内包吸水性樹脂のべたつきの観点から、香料含有溶液中、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好まし好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
【0072】
前記2)の両性界面活性剤としては、アミンオキサイド、カルボキシベタイン、スルホベタイン及びホスホベタインの少なくとも1種が好ましく、特にアミンオキサイドが好ましい。アミンオキサイドとして、さらに具体的には、下記一般式(2−1)、(2−2)、(2−3)及び(2−4)で表される界面活性剤から成る群より選択される少なくとも1種の両性界面活性剤が好ましい。なかでも一般式(2−1)で表される両性界面活性剤が香り持続、香料の分散のしやすさの観点から好ましく、一般式(2−2)で表される両性界面活性剤は香料の分散のしやすさの観点から好ましい。また、一般式(2−3)で表される両性界面活性剤は香料の分散のしやすさの観点から好ましく、一般式(2−4)で表される両性界面活性剤は香料の分散のしやすさの観点から好ましい。
【0074】
(式中、R
4は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルケニル基を示し、kは2以上5以下の整数を示す。)
【0076】
(式中、R
5は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルケニル基を示す。)
【0078】
(式中、R
6は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22のアルキル基又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22のアルケニル基を示す。l及びmは、2≦l+m≦10を満たす整数である。)
【0080】
(式中、R
7は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルケニル基を示す。nは1以上10以下の整数を表す。)
【0081】
前記2)の剤の含有量は、香料の分散のしやすさ(可溶化のしやすさ)、表面架橋された吸水性樹脂内への取り込み性の観点から、香料含有溶液中、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、特に1質量%以上が特に好ましい。その上限は、表面架橋された吸水性樹脂内への取り込み性、香料内包吸水性樹脂のべたつき抑制の観点から、香料含有溶液中、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、特に10質量%以下が特に好ましい。
【0082】
前記香料含有溶液に対し、必要により他の成分を添加してもよい。例えば、香料成分の希釈剤、保留剤を含有することが出来る。
【0083】
前記工程(4)の後、該工程(4)で香料含有溶液を表面架橋吸水性樹脂に添加して得た混合物に対し、工程(5)の水添加を行う。この工程は、吸水性樹脂の内部に取り込んだ香料成分ができるだけ吸水性樹脂の表面近くに残らないようにする工程である。すなわち、吸水性樹脂の吸水力で水が内部へと浸透し、その浸透力で香料成分がさらに内部へと押し込まれる。これにより、香料内包吸水性樹脂を吸収性物品に組み込んだときの排泄前の芳香を効果的に抑制でき、排泄時の芳香効果を際立出せることができる。
【0084】
水の添加量としては、前記工程(3)で得られる吸水性樹脂100質量部に対し、1質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上がさらに好ましく、30質量部以上が特に好ましい。これにより、水を、集積させた樹脂全体に効率的に行きわたらせることができる。またその上限は、200質量部以下が好ましく、175質量部以下がより好ましく、150質量部以下がさらに好ましい。これにより、水の逆流を防ぎ、効率的に香料含有溶液をさらに内部へと取り込むことができる。また、後の(6)脱水工程の負担を軽減でき、良質な香料内包吸水性樹脂を効率よく生産することができる。
【0085】
次いで、工程(6)の脱水を行う。脱水方法としては、この種の物品に用いられる方法を特に制限なく採用でき、例えば共沸脱水や乾燥等の方法が挙げられる。これにより香料内包吸水性樹脂が得られる。このとき、前述のとおり、含水率が50%であると吸収性物品に組み込んだときの吸収性能が保持され好ましい。
【0086】
さらに、前記工程(6)の後、溶剤で香料内包吸水性樹脂の表面に付着している香料を洗浄する工程(7)及び溶剤を除去する工程(8)を実施して香料内包吸水性樹脂としてもよい。
工程(7)及び工程(8)によって、吸水性樹脂内部の香料成分で表面近くに残留するものを取り除く。これにより、香料内包吸水性樹脂を吸収性物品に組み込んだときの排泄前の芳香をさらに効果的に抑制でき、排泄時の芳香効果を際立出せることができる。
工程(7)において用いる溶媒はアルコール類であることが好ましい。例えば、エタノールやイソプロピルアルコール、前記アルコールと水の混合物などである。前記工程(6)の脱水で水分が低減され樹脂がガラス状態になっているため、前記アルコール類は、樹脂内部に浸透し難くなっており吸水性樹脂の表面のみを洗浄するのに好ましい。一方、工程(8)の溶剤除去は、乾燥機を用い、常圧乾燥または減圧乾燥、温風乾燥等の方法で行うことができる。これにより、表面の溶媒のみを除去することができ好ましい。
【0087】
得られた香料内包吸水性樹脂の含水率は、50%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。またその下限は、含水率が低いほど静電気により周囲に飛散しやすいため、これを防いで製造上取扱いやすくする観点から、含水率が0%を越えるのが好ましく、1%以上がより好ましく、2%以上がさらに好ましい。
【0088】
本発明の香料内包吸水性樹脂の製造方法において、上記の工程のほか、必要により他の工程を含んでいてもよい。例えば、分級工程、破砕工程、紛体処理工程などが挙げられる。
【0089】
本発明の香料内包吸水性樹脂は、排泄液の吸収素材として吸収性物品に組み込んで使用される。該吸収性物品は、着用者の肌に当接する液透過性の表面シートと着衣側に配される防漏性の裏面シートと両シート間に配置される液保持性の吸収体とを基本構造とし、本発明の香料内包吸水性樹脂は吸収体の構成素材として配置される。吸収性物品において排泄前は、香料成分が吸水性樹脂に閉じ込められて発散せず芳香効果が抑制されている。一方、排泄により香料内包吸水性樹脂が膨潤した際に初めて香料成分が発散し芳香効果が発現する。その結果、たとえ尿等の悪臭が周囲に漏れても、これと同時ないしは随伴して香料が放出されてマスキングが行われる。したがって、排泄前は香料が放出されないので、排泄時に放出される香料の香りが強く印象づけられ、よりマスキング効果が高められる。しかも、本発明の香料内包吸水性樹脂がゲルブロッキングを起こし難いため、排泄液と樹脂との接触性がより高くなり、多量の排泄にも十分対応した効果的な芳香と吸収性が発揮される。
【0090】
前記吸収性物品は、前記の基本構造を有し、着用者の種々の排泄液を吸収保持するものを含む。例えば、展開型使い捨ておむつやパンツ型使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド、尿とりパッド等などが挙げられる。
【0091】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の吸収性物品及びその製造方法を開示する。
【0092】
<1>香料が内包されており、吸液して香料を放つことにより吸液前よりも香りが強く、吸水量が20g/g以上、2kPa加圧下吸収量が20g/g以上である香料内包吸水性樹脂。
【0093】
<2>前記香料が前記香料内包吸水性樹脂の内部にのみ含まれている前記<1>に記載の香料内包吸水性樹脂。
<3>含水率が50%以下である前記<1>又は<2>に記載の香料内包吸水性樹脂。
<4>吸液後の香りが吸液前の香りよりも強く、マスキング効果を有する前記<1>〜<3>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂。
<5>吸水性樹脂の残留モノマー含有率は、好ましくは2000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは700ppm未満、特に好ましくは500ppm以下、殊更好ましくは400ppm以下である、前記<1>〜<4>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂。
【0094】
<6>
エチレン性不飽和単量体を重合する工程(1)、
前記工程(1)で得られた重合物を表面架橋する工程(2)、
前記工程(2)における水を脱水する工程(3)、
前記工程(3)で得られた表面架橋吸水性樹脂に、香料が可溶化状態である香料含有溶液を添加する工程(4)、
前記工程(4)で得られた混合物に水を添加する工程(5)、及び
前記工程(5)における水を脱水する工程(6)
を有する香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<7>前記工程(1)の重合と同時に一次架橋を行う、前記<6>に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<8>前記工程(1)と工程(2)との間に脱水工程を有する、前記<6>又は<7>に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<9>前記香料含有溶液の香料分子の濃度は、0.05%以上が好ましく、0.5%以上がより好ましく、1%以上がさらに好ましく、その上限は、25%以下が好ましく、18%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい、前記<6>〜<8>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<10>前記香料含有溶液が香料、界面活性剤及び水を含む前記<6>〜<9>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<11>前記界面活性剤の濃度は、0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、2%以上がさらに好ましく、その上限は、50%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい、前記<10>に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<12>前記香料含有溶液の添加方法は、該香料含有溶液を噴霧する方法、液滴を添加する方法、香料含有溶液の中に吸水性樹脂を浸漬させる方法のいずれかが好ましく、特に、吸水性樹脂をニーダーやミキサー、ミル、スクリューフィーダー内で撹拌しながら、香料含有溶液を噴霧する方法又は液滴を添加する方法が好ましい、前記<6>〜<11>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<13>
前記工程(6)の後、さらに
溶剤で、前記工程(6)で得られた香料内包吸水性樹脂を洗浄する工程(7)、及び
前記工程(7)における溶剤を除去する工程(8)
を有する、前記<6>〜<12>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<14>前記工程(7)において用いる溶媒はアルコール類であることが好ましく、エタノール、イソプロピルアルコール及び前記アルコールと水の混合物のいずれかである、前記<13>に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<15>前記工程(3)の後に得られる表面架橋吸水性樹脂100質量部に対し、前記工程(4)で香料含有溶液を1質量部以上添加することが好ましく、10質量部以上添加することがより好ましく、20質量部以上添加することがさらに好ましく、その上限は、200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましく、100質量部以下がさらに好ましい、前記<6>〜<14>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<16>前記工程(3)の後に得られる表面架橋吸水性樹脂100質量部に対し、
前記工程(5)で水を1質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上がさらに好ましく、30質量部以上が特に好ましく、その上限は、200質量部以下が好ましく、175質量部以下がより好ましく、150質量部以下がさらに好ましい、前記<6>〜<15>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<17>前記工程(3)の後に得られる表面架橋吸水性樹脂の含水率は、50%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましく、その下限は、0%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、2%以上がさらに好ましい、前記<6>〜<16>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<18>前記工程(4)で、香料含有溶液が可溶化水溶液として得えられる、前記<6>〜<17>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
【0095】
<19>全香料中に、ClogPowが3.0以上7.0以下の香料成分を含有し、好ましくは3.0以上6.5以下、より好ましくは3.0以上6.5以下の香料成分を含有する、前記<6>〜<18>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<20>全香料中に、前記ClogPowの値を有する香料成分を20質量%以上100質量%以下含有し、好ましくは20質量%以上80質量%以下、より好ましくは25質量%以上60質量%以下含有する、前記<19>に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<21>前記香料中に、CLogPow3.0未満の香料成分を含有する、前記<6>〜<20>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<22>前記CLogPow3.0未満の香料成分の含有量が、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは30質量%であり、その下限は5質量%以上である、前記<21>に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<23>前記香料中に、CLogPowが7.0を超える香料成分を含有する、前記<6>〜<22>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<24>前記CLogPowが7.0を超える香料成分の含有量が、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である、前記<23>に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
【0096】
<25>界面活性剤が、1)HLB8以上18以下のノニオン界面活性剤,及び2)両性界面活性剤の群から選択される少なくとも1種以上を有する、前記<10>〜<24>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<26>界面活性剤が、前記1)及び2)のそれぞれの群から選択される少なくとも1種以上を組み合わせて有する、前記<25>に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<27>界面活性剤が、前記1)及び2)のそれぞれの剤の組み合わせであり、前記1)の界面活性剤の質量Xと前記2)の界面活性剤の質量Yとの割合X/Yは、1/100以上が好ましく、1/50以上がより好ましく、1/20以上がさらに好ましく、2/1以下が好ましく、1.5/1以下がより好ましく、1/1以下がさらに好ましい、前記<25>又は<26>に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<28>前記1)の剤の含有量は、香料含有溶液中0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、1質量%以上が特に好ましく、その上限は、香料含有溶液中、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好まし好ましく、10質量%以下が特に好ましい、前記<25>〜<27>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<29>前記2)の剤の含有量は、香料含有溶液中0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、特に1質量%以上が特に好ましく、その上限は、香料含有溶液中、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、特に10質量%以下が特に好ましい、前記<25>〜<28>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<30>前記1)の剤におけるHLBは、8以上が好ましく、9以上がより好ましく、10以上がさらに好ましく、その上限は、18以下が好ましく、17以下がより好ましく、16以下がさらに好ましい、前記<25>〜<29>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
<31>前記2)の両性界面活性剤がアミンオキサイドである前記<25>〜<30>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
【0097】
<32>界面活性剤が下記構造の界面活性剤の群から選択される少なくとも1種以上を有する前記<25>〜<31>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法。
1)HLB8以上18以下のノニオン界面活性剤
【化1】
(式中、R
1は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8〜22のアルキル基又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルケニル基を示し、pは3以上50以下の整数であり、qは0以上10以下の整数であり、p及びqは3≦p+q≦50を満たす。)
【化2】
(式中、R
2は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルケニル基を示し、a1、b1及びc1は、1≦a1+b1+c1≦50を満たす整数である。)
【化3】
(式中、R
3は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルケニル基を示し、a2、b2及びc2は、1≦a2+b2+c2≦50を満たす整数である。)
2)含窒素界面活性剤
【化4】
(式中、R
4は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルケニル基を示し、kは2以上5以下の整数を示す。)
【化5】
(式中、R
5は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルケニル基を示す。)
【化6】
(式中、R
6は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルケニル基を示す。l及びmは、2≦l+m≦10を満たす整数である。)
【化7】
(式中、R
7は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルケニル基を示す。nは1以上10以下の整数を表す。)
【0098】
<33>前記前記<6>〜<32>のいずれか1に記載の香料内包吸水性樹脂の製造方法により得られた香料内包吸水性樹脂。
【0099】
<34>前記<1>〜<5>のいずれか1、または前記<33>に記載の香料内包吸水性樹脂の吸水量は、20g/g以上であり、23g/g以上が好ましく、25g/g以上がより好ましく、その上限は、50g/g以下が好ましく、45g/g以下がより好ましく、40g/g以下がさらに好ましい、香料内包吸水性樹脂。
<35>前記<1>〜<5>のいずれか1、または前記<33>に記載の香料内包吸水性樹脂の2kPa加圧下吸収量は、20g/g以上であり、22g/g以上が好ましく、25g/g以上がより好ましく、その上限は、40g/g以下が好ましく、35g/g以下がより好ましく、30g/g以下がさらに好ましい、香料内包吸水性樹脂。
<36>前記<1>〜<5>のいずれか1、または前記<33>に記載の吸水性樹脂の含水率が50%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましく、その下限は、0%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、2%以上がさらに好ましい、香料内包吸水性樹脂。
<37>表面シート、裏面シート及び吸収体を備える吸収性物品であって、前記<1>〜<5>のいずれか1、または前記<33>に記載の香料内包吸水性樹脂を前記吸収体中に有する吸収性物品。
【実施例】
【0100】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において「部」および「%」とは特に断らない限りいずれも質量基準である。
【0101】
(香料及び香料含有溶液の調製)
下記表1に示す香料(ローズの香りを放つ香料)を調製し、これを基に下記表2に記載の成分比率で、界面活性剤のミセルに可溶化された香料含有溶液A1と、濁りのある乳化された香料含有溶液A2とを得た。香料含有溶液A1は、香料3.0%、界面活性剤5.5%(ノニオン性界面活性剤2.1%、両性界面活性剤3.4%)、残部がイオン交換水であった。香料含有溶液A1における界面活性剤の香料に対する割合は1.8倍であった。一方、香料含有溶液A2は、香料3.0%、界面活性剤として両性界面活性剤を含有せずノニオン性界面活性剤5.5%、残部がイオン交換水であった。香料含有溶液A2における界面活性剤の香料に対する割合は1.8倍であった。
この調整条件(温度、湿度など)や調製方法は次のとおりである。
三角フラスコに香料、界面活性剤、イオン交換水を加え、40℃で1時間、マグネチックスターラーで撹拌した。その後、室温(約25℃)に冷却し、香料が分散し可溶化している、または乳化している(濁りがある)ことを確認した。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
(吸水性樹脂の調製)
下記表3に示す吸水性樹脂B1〜B5を準備した。
(吸水性樹脂B1)
吸水性樹脂B1は、市販のポリアクリル酸系吸水性樹脂「サンウェットIM−930」(サンダイヤポリマー株式会社製、商品名)を用いた。この吸水性樹脂B1は、平均粒径400μmで、吸水量26g/g、2kPa加圧下吸収量27g/gであった。また含水率は、温度105℃、3時間、常圧下で乾燥し、乾燥前後の差分を水分と考え算出した結果、7%であった。この含水率の状態で後述の香料内包吸水性樹脂の調製を行った。
【0105】
(吸水性樹脂B2)
一方、吸水性樹脂B2は、前述の工程(1)〜(3)を経て合成した。
具体的には、まず前記工程(1)として以下に示す調製を行った。撹拌機、還流冷却管、単量体滴下口、窒素ガス導入管、温度計を取り付けたSUS304製5L容反応容器(アンカー翼使用)に分散剤として花王(株)製ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(商品名エマール20C)0.11%[対アクリル酸質量]を仕込み、シクロヘキサン1600mLを加えた。窒素雰囲気下で撹拌し、内温77℃まで昇温した。
【0106】
一方、2L容三つ口フラスコ中に、東亞合成(株)製80%アクリル酸、イオン交換水を仕込み、氷冷しながら旭硝子(株)製48%苛性ソーダ水溶液を滴下し、単量体水溶液としてのアクリル酸ナトリウム水溶液(72%中和品,濃度約48%)1054gを得た。この単量体水溶液に、味の素(株)製N−アシル化グルタミン酸ソーダ(商品名アミソフトGS−11F)0.18gをイオン交換水3gに溶解させたものを添加し、暫く撹拌した後、264g(以下、単量体水溶液A)、264g(以下、単量体水溶液B)、528g(以下、単量体水溶液C)に三分割した。
【0107】
その後、和光純薬工業(株)製2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(商品名V−50)0.12g、花王(株)製ポリエチレングリコール(商品名PEG6000)0.20g、イオン交換水14gを混合溶解し、開始剤(A)水溶液を調製した。また、和光純薬工業(株)製過硫酸ナトリウム0.49gをイオン交換水10gに溶解し、開始剤(B)水溶液を調製した。さらに、クエン酸チタン水溶液(50%クエン酸と硫酸チタニル水溶液を20/27の質量比で混合)を調製した。
単量体水溶液Aに開始剤(A)水溶液7.2gを加えて単量体Aを調製し、単量体水溶液Bに開始剤(A)水溶液7.2gとクエン酸チタン水溶液1.5gを加えて単量体Bを調製し、単量体水溶液Cに開始剤(B)水溶液10.5gとクエン酸チタン水溶液3gを加えて単量体Cを調製した。
【0108】
前述の5L容反応容器の単量体滴下口からマイクロチューブポンプを用いて、5分以上静置した単量体A、単量体B、単量体Cを順に約60分かけて滴下し重合した。単量体滴下終了後、脱水管を用いて共沸脱水を行い、吸水性ポリマー(ハイドロゲル)の含水量を60%に調整した。
【0109】
次いで、前記工程(2)を次のようにして実施した。すなわち、表面架橋の架橋剤としてナガセ化成工業(株)製エチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名デナコールEX−810)0.25gを水10gに溶解したものを添加した。
【0110】
次いで、前記工程(3)として、さらに共沸脱水を行った。その後、冷却し、シクロヘキサンを除き、減圧乾燥させることにより吸水性ポリマーを得た。850ミクロンの目開きの篩で粗大粒子を除去した後、この重合体粒子100部に対し日本アエロジル(株)製アエロジル200(商品名)の0.5部をドライブレンドすることにより吸水性樹脂を得た。この吸水性樹脂に、花王(株)製第四級アンモニウム塩(商品名コータミン86W)1%(吸水性ポリマーの重質量に対して)を水希釈して添加し乾燥した。850ミクロンの目開きの篩で粗大粒子を除去した後、この重合体粒子100部に対し日本アエロジル(株)製、商品名アエロジル200の0.5部をドライブレンドすることにより吸水性樹脂B2を得た。
【0111】
得られた吸水性樹脂B2は、粒径370μmで、吸水量36g/g、2kPa加圧下吸収量22g/gであった。また含水率は、温度105℃、3時間、常圧下で乾燥し、乾燥前後の差分を水分と考え算出した結果、2%であった。この含水率の状態で後述の香料内包吸水性樹脂の調製を行った。
【0112】
(吸水性樹脂B3)
吸水性樹脂B3は、前記工程(1)までを吸水性樹脂B2の合成例と同様にして行った。次いで、前記工程(2)を次のようにして実施した。すなわち、表面架橋の架橋剤としてナガセ化成工業(株)製エチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名デナコールEX−810)0.16gを水10gに溶解したものを添加した。
次いで、前記工程(3)として、さらに共沸脱水を行った。その後、冷却し、シクロヘキサンを除き、減圧乾燥させることにより吸水性ポリマーを得た。850ミクロンの目開きの篩で粗大粒子を除去した後、この重合体粒子100部に対し日本アエロジル(株)製アエロジル200(商品名)の0.5部をドライブレンドすることにより吸水性樹脂B3を得た。
得られた吸水性樹脂B3は、粒径390μmで、吸水量41g/g、2kPa加圧下吸収量7g/gであった。また含水率は、105℃、3時間、常圧下で乾燥し、乾燥前後の差分を水分と考え算出した結果、2%であった。この含水率の状態で後述の香料内包吸水性樹脂の調製を行った。
【0113】
(吸水性樹脂B4)
吸水性樹脂B4は、吸水性樹脂B1(サンダイヤポリマー株式会社製、商品名「サンウェットIM−930」)100gを容反応容器に仕込み、ノルマルヘプタン300mLを加えた。窒素雰囲気下で昇温しながら撹拌し、還流させた。
表面架橋の架橋剤としてナガセ化成工業(株)製エチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名デナコールEX−810)1.5gを水60gに溶解したものを15分かけて添加した。2時間後、共沸により水を20g脱水した。その後、冷却し、ノルマルヘプタンを除き、減圧乾燥させることにより吸水性ポリマーを得た。850ミクロンの目開きの篩で粗大粒子を除去した後、この重合体粒子100部に対し日本アエロジル(株)製アエロジル200(商品名)の0.5部をドライブレンドすることにより吸水性樹脂B4を得た。
得られた吸水性樹脂B4は、粒径380μmで、吸水量19g/g、2kPa加圧下吸収量15g/gであった。また含水率は、105℃、3時間、常圧下で乾燥し、乾燥前後の差分を水分と考え算出した結果、2%であった。この含水率の状態で後述の香料内包吸水性樹脂の調製を行った。
【0114】
(吸水性樹脂B5)
吸水性樹脂B5は、撹拌機、還流冷却管、単量体滴下口、窒素ガス導入管、温度計を取り付けた5L容反応容器(アンカー翼使用)に分散剤として花王(株)製ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(商品名エマール20C)0.11%[対アクリル酸質量]を仕込み、シクロヘキサン1600mLを加えた。窒素雰囲気下で撹拌し、内温77℃まで昇温した。
一方、2L容三つ口フラスコ中に、東亞合成(株)製80%アクリル酸、イオン交換水を仕込み、氷冷しながら旭硝子(株)製48%苛性ソーダ水溶液を滴下し、単量体水溶液としてのアクリル酸ナトリウム水溶液(72%中和品,濃度約48%)1054gを得た。この単量体水溶液に、味の素(株)製N−アシル化グルタミン酸ソーダ(商品名アミソフトGS−11F)0.18gをイオン交換水3gに溶解させたものを添加し、暫く撹拌した。
その後、和光純薬工業(株)製2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(商品名V−50)0.24g、花王(株)製ポリエチレングリコール(PEG6000)0.40g、同時架橋剤としてナガセ化成工業(株)製エチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名デナコールEX−810)50ppm(対アクリル酸純分)、イオン交換水28gを混合溶解し、開始剤水溶液を調製した。
前記モノマー溶液と開始剤溶液を混合し5分以上静置した後、前述の5L容反応容器の単量体滴下口からマイクロチューブポンプを用いて、約60分かけて滴下し重合した。単量体滴下終了後、脱水管を用いて共沸脱水を行い、吸水性ポリマー(ハイドロゲル)の含水量を40%に調整した。
冷却し、シクロヘキサンを除き、減圧乾燥させることにより吸水性樹脂を得た。凝集物が多く存在したため、コーヒーミル(SIBATA製PERSONAL MILL SCM−40A(商品名))で10秒間程度粉砕した後、850ミクロンの目開きの篩で粗大粒子を除去した。その後、この重合体粒子100部に対し日本アエロジル(株)製アエロジル200(商品名)の0.5部をドライブレンドすることにより吸水性樹脂B5を得た。得られた吸水性樹脂B5は、粒径300μmで、吸水量51g/g(架橋が弱いため一部メッシュから流出)、2kPa加圧下吸収量4g/gであった。また含水率は、105℃、3時間、常圧下で乾燥し、乾燥前後の差分を水分と考え算出した結果、2%であった。この含水率の状態で後述の香料内包吸水性樹脂の調製を行った。
【0115】
【表3】
【0116】
(実施例1〜
7、
参考例1〜4、比較例1〜3)
上記の香料含有溶液A1及びA2と吸水性樹脂B1〜B5とを用いて、前述の工程(4)から工程(6)、または工程(4)から工程(8)を経て、下記表4に示す実施例1〜
7の試料S1〜S
7、
参考例1〜4の試料R1〜R4、比較例1〜3の試料C1〜C3を得た。実施例1〜
7の試料では、添加した香料が吸水性樹脂に内包された香料内包吸水性樹脂を得た。なお、表4中、「アルコール洗浄の有無」の項目について「有り」となっている試料は、工程(4)から工程(8)までを行った。
表4の「水」の項目には、前記工程(5)において添加された水の量を示した。なお、
参考例
3及び
4では工程(5)の水添加を行わなかった。また実施例
6の吸水性樹脂Bの「30g+水30g」とは吸水性樹脂と等量の水を加え、吸水性樹脂の含水率を115%(107/93=115%)にしたものを指す。つまり、吸収性樹脂B2の工程(3)後の含水率は2%であるが、これに水を加えた後に工程(4)を実施することにより、工程(3)により得られた吸収性樹脂の含水率を115%である場合と同様の検証を行ったものである。実施例
7についても同様に、工程(3)後の含水率に相当する含水率が43%になるように、水12gを添加して調整した。
【0117】
これらの試料S1〜S
7、
試料R1〜R4、試料C1〜C3の作製は次のとおりとした。
25℃、50%RHの恒温恒湿下で以下の操作を行った。
ステンレス製バットに吸水性樹脂30gを敷き詰めた。吸水性樹脂に香料含有溶液をピペットで滴下しながら撹拌した。香料含有溶液の滴下量は25gであった。その後、香料含有溶液を滴下した吸水性樹脂にイオン交換水をピペットで滴下しながら撹拌した。イオン交換水の滴下量は試料に応じて30g、15g、0gであった。なお、試料
R1や
R2に関しては、香料含有溶液を添加する前にイオン交換水30gと12gを各々添加混合し、バットをチャック付きの袋に入れて一昼夜放置した。
その後、105℃、8時間、常圧下で乾燥した。
アルコール洗浄を行う試料に関しては、濾紙を敷いた吸引漏斗の上に乾燥した前述のサンプルを置き、吸引しながらエタノールをピペットで滴下した。エタノール使用量は15gであった。その後、50℃、1時間、減圧下で乾燥した。
【0118】
作製した実施例1〜
7の試料S1〜S
7、
参考例1〜4の試料R1〜R4、比較例1〜3の試料C1〜C3それぞれを広口規格ビン(PS−Np.6)に入れフタを閉め、温度25℃、湿度50%RHの状態で1時間静置したものを吸液前の芳香評価に用いた。また、下記の漏れ性能の評価方法において、吸液させ、1時間静置した試料を、吸液後の芳香評価に用いた。
(漏れ性能の方法)
上記それぞれの試料に対し、温度25℃、湿度50%RHの状態で2kPaの加圧下で人工尿を30g添加して吸液させ、1時間静置した。吸収体から人工尿が漏れ出したか否かを目視で確認し、これによって漏れ性能を評価した。人工尿の組成は次の通りである。尿素1.94質量%、塩化ナトリウム0.80質量%、硫酸マグネシウム(七水和物)0.11質量%、塩化カルシウム(二水和物)0.06質量%、硫酸カリウム0.20質量%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル0.0035質量%及びイオン交換水(残量)。
【0119】
(芳香評価の方法)
上記それぞれの試料を入れた広口規格ビンについて、吸液前、吸液後において、フタを開け、フタを開けた直後、香料の香りの強さについて下記の基準で点数を付けた。点数が高いほど香りが強いことを示す。点数は、5人のパネラーがそれぞれ付け、その平均を各試料の香りの強さの評価とし、表4に示した。
0:無臭
1:わずかに感じる香り(やっと感知できる)
2:弱い香り(何の香りかわずかにわかる)
3:やや強い香り(楽に感知できる)
4:強い香り
吸液前の香りの強さは、排泄前の芳香を抑制する観点から、2.5未満が好ましく、2未満がより好ましく、1未満が更に好ましい。また、排泄時の芳香効果を際立出せる観点から、当然に吸液後の香りが吸液前の香りより強く、吸液後の香りの強さと吸液前の香りの強さの差は、1.5より大きいことが好ましく、2より大きいことがより好ましく、2.5以上がさらに好ましく、3以上が特に好ましい。
【0120】
【表4】
【0121】
上記の表4から明らかなように、実施例1〜11ではいずれも吸収体から人工尿は漏れず、比較例1〜3では漏れ出した。また、実施例1〜11ではいずれも吸液前と吸液後の香りの強さの差が1.5以上であり、特に実施例1〜5では2.5以上であった。これに対し比較例1〜3ではいずれも吸液前と吸液後の香りの強さの差が2以下であった。さらに実施例1〜5では、吸液前の香りの強さが1以下であり、比較例1〜3では2以上であった。特に実施例1〜5のなかでも、アルコール洗浄を実施した実施例1、3及び4では、吸液前の香りの強さが0.6と最も低く、吸液前と後との香りの強さの差が3又は3.2と最も高かった。このことから、実施例の香料内包吸水性樹脂は、吸液して香料を放つことにより吸液前よりも香りが強いことが分かった。すなわち、吸液後のこりの強さが、吸液前の香りの弱さによってより強く印象付けられることが分かった。
よって、本発明の香料内包吸水性樹脂は、吸収性物品に組み込まれると、吸収性能を好適に維持して、多量の排泄にも十分対応できる悪臭マスキング性能を有するこことが分かった。