(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記演算制御部は、前記実測血圧値が所定の高血圧基準値未満であり、かつ、前記実測血圧値から前記予測血圧値を差し引いた値が第1閾値以上である場合、前記被測定者は高血圧の発症リスクが高いと判定する、請求項1に記載の血圧値処理装置。
前記関係情報は、前記予測血圧値を目的変数とし、少なくとも前記年齢関連情報及び前記体格情報を説明変数として、前記性別情報を加味した、予測式である、請求項1又は2に記載の血圧値処理装置。
前記演算制御部は、前記予測血圧値及び前記実測血圧値の両方が所定の高血圧基準値以上であり、かつ、前記実測血圧値から予測血圧値を差し引いた値の絶対値が第2閾値未満である場合、試算用体重情報が入力されると、少なくとも前記試算用体重情報と前記被測定者の性別情報、年齢関連情報、及び身長値とに基づき、前記関係情報を用いて、予測血圧値を新たに算出し、前記新たに算出した予測血圧値を試算結果血圧値として出力する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の血圧値処理装置。
前記演算制御部は、前記予測血圧値及び前記実測血圧値の両方が所定の高血圧基準値以上であり、かつ、前記実測血圧値から予測血圧値を差し引いた値の絶対値が第2閾値未満である場合、試算用血圧情報が入力されると、少なくとも前記試算用血圧情報と前記被測定者の性別情報、年連関連情報、及び身長値とに基づき、体重値を算出し、前記算出した体重値を試算結果体重値として出力する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の血圧値処理装置。
前記被測定者の体重値を前記取得部へ出力する体重計、前記被測定者の身長値を前記取得部へ出力する身長計、及び前記被測定者の実測血圧値を前記取得部へ出力する血圧計のうち、少なくともいずれか1つをさらに備えた、請求項1〜5のいずれか一項に記載の血圧値処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような基準血圧値は、被測定者の性別や年齢や体格を考慮しない、一律に用いられるものであるため、的確かつ充分に、被測定者の血圧に関する情報を提供することができない。
例えば、被測定者の実測血圧値が予め定められた高血圧の基準値未満である場合、上記の技術では、高血圧ではないとの判定結果を提供できるにすぎず、仮に被測定者の性別、年齢及び体格を考慮すれば高血圧の発症リスクが高いといえる場合であっても、被測定者にそのことを知らせることができない。このため、被測定者は、高血圧を未然に防ぐための対策を取ることができない。
【0005】
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の課題は、被測定者の性別、年齢及び体格を考慮して、被測定者の高血圧の発症リスクを判定できる、血圧値処理装置、血圧値処理方法及び血圧値処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の血圧値処理装置は、
少なくとも性別情報、年齢関連情報、並びに、体重値及び身長値から算出される体格情報に基づいて、予測血圧値を求めるための、関係情報を予め記憶する、記憶部と、
被測定者の性別情報、年齢関連情報、体重値、身長値、及び実測血圧値を取得する、取得部と、
前記被測定者の性別情報、年齢関連情報、体重値、及び身長値に基づき、前記関係情報を用いて、前記予測血圧値を求め、求めた前記予測血圧値と前記実測血圧値とに基づいて、前記被測定者の高血圧の発症リスクを判定する、演算制御部と、
を備えたことを特徴とする。
本発明の血圧値処理装置によれば、被測定者の性別、年齢及び体格を考慮して、被測定者の高血圧の発症リスクを判定できる。
【0007】
本発明の血圧値処理装置において、
前記演算制御部は、前記実測血圧値が所定の高血圧基準値未満であり、かつ、前記実測血圧値から前記予測血圧値を差し引いた値が第1閾値以上である場合、前記被測定者は高血圧の発症リスクが高いと判定すると、好適である。
これにより、より適切に、被測定者の高血圧の発症リスクを判定できる。
【0008】
本発明の血圧値処理装置において、
前記関係情報は、前記予測血圧値を目的変数とし、少なくとも前記年齢関連情報及び前記体格情報を説明変数として、前記性別情報を加味した、予測式であると、好適である。
これにより、精度よく、予測血圧値を得ることができるので、より適切に、被測定者の高血圧の発症リスクを判定できる。
【0009】
本発明の血圧値処理装置において、
前記演算制御部は、前記予測血圧値及び前記実測血圧値の両方が所定の高血圧基準値以上であり、かつ、前記実測血圧値から予測血圧値を差し引いた値の絶対値が第2閾値未満である場合、試算用体重情報が入力されると、少なくとも前記試算用体重情報と前記被測定者の性別情報、年齢関連情報、及び身長値とに基づき、前記関係情報を用いて、予測血圧値を新たに算出し、前記新たに算出した予測血圧値を試算結果血圧値として出力すると、好適である。
これにより、被測定者は、自身の体重をどの程度変化させれば血圧がどの程度変化するかを、シミュレーションできる。
【0010】
本発明の血圧値処理装置において、
前記演算制御部は、前記予測血圧値及び前記実測血圧値の両方が所定の高血圧基準値以上であり、かつ、前記実測血圧値から予測血圧値を差し引いた値の絶対値が第2閾値未満である場合、試算用血圧情報が入力されると、少なくとも前記試算用血圧情報と前記被測定者の性別情報、年連関連情報、及び身長値とに基づき、体重値を算出し、前記算出した体重値を試算結果体重値として出力すると、好適である。
これにより、被測定者は、自身の血圧を所望の値へ変化させるために、自身の体重をどの程度変化させるべきかを、シミュレーションできる。
【0011】
本発明の血圧値処理装置は、
前記被測定者の体重値を前記取得部へ出力する体重計、前記被測定者の身長値を前記取得部へ出力する身長計、及び前記被測定者の実測血圧値を前記取得部へ出力する血圧計のうち、少なくともいずれか1つをさらに備えてもよい。
【0012】
本発明の血圧値処理方法は、
記憶部、取得部及び演算制御部を備える血圧値処理装置において、前記演算制御部が所定プログラムに従って行う、血圧値処理方法であって、
少なくとも性別情報、年齢関連情報、並びに、体重値及び身長値から算出される体格情報に基づいて、予測血圧値を求めるための、関係情報を、予め前記記憶部に記憶させる、記憶ステップと、
被測定者の性別情報、年齢関連情報、体重値、身長値、及び実測血圧値を、前記取得部により取得する、取得ステップと、
前記被測定者の性別情報、年齢関連情報、体重値、及び身長値に基づき、前記関係情報を用いて、前記予測血圧値を求め、求めた前記予測血圧値と前記実測血圧値とに基づいて、前記被測定者の高血圧の発症リスクを判定する、演算制御ステップと、
を含むことを特徴とする。
本発明の血圧値処理方法によれば、被測定者の性別、年齢及び体格を考慮して、被測定者の高血圧の発症リスクを判定できる。
【0013】
本発明の血圧値処理プログラムは、
記憶部、取得部及び演算制御部を備える血圧値処理装置において、前記演算制御部に実行させるための血圧値処理プログラムであって、
少なくとも性別情報、年齢関連情報、並びに、体重値及び身長値から算出される体格情報に基づいて、予測血圧値を求めるための、関係情報を、予め前記記憶部に記憶させる、記憶ステップと、
被測定者の性別情報、年齢関連情報、体重値、身長値、及び実測血圧値を、前記取得部により取得する、取得ステップと、
前記被測定者の性別情報、年齢関連情報、体重値、及び身長値に基づき、前記関係情報を用いて、前記予測血圧値を求め、求めた前記予測血圧値と前記実測血圧値とに基づいて、前記被測定者の高血圧の発症リスクを判定する、演算制御ステップと、
を前記演算制御部に実行させるための、血圧値処理プログラムである。
本発明の血圧値処理プログラムによれば、被測定者の性別、年齢及び体格を考慮して、被測定者の高血圧の発症リスクを判定できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被測定者の性別、年齢及び体格を考慮して、被測定者の高血圧の発症リスクを判定できる、血圧値処理装置、血圧値処理方法及び血圧値処理プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して例示説明する。
【0017】
〔血圧値処理装置〕
まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る血圧値処理装置1の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る血圧値処理装置1と、この血圧値処理装置1と併せて使用される生体情報測定装置60とを、示している。
図1に示す体組成計20と、身長計30と、体組成計20及び身長計30を備える身長計付き体組成計40と、血圧計50とのそれぞれが、生体情報測定装置60である。本例の血圧値処理装置1は、電子機器10として構成されている。電子機器10としては、例えばコンピュータ又は通信端末(例えばスマートフォン、携帯電話、又はタブレット端末)等、任意の電子機器を用いてよい。血圧値処理装置1は、生体情報測定装置60を用いて被測定者から測定された各測定データを用いて、血圧値に関連する所定の処理を行う。
【0018】
本例では、生体情報測定装置60から出力される測定データに基づく測定値は、電子機器10の操作者(被測定者又は被測定者以外の者)により、電子機器10に入力されることによって、電子機器10の内部に格納される。なお、生体情報測定装置60から出力される測定データは、アナログデータ及びデジタルデータのいずれでもよい。
【0019】
身長計付き体組成計40は、身長計30によって被測定者の身長を測定し、体組成計20によって被測定者の体重及び体組成指標(体脂肪率、内臓脂肪レベル、脂肪量、除脂肪量、筋肉量、体水分率、骨量等)を測定し、これら測定した身長、体重、及び体組成指標のデータを出力する。なお、体組成計20と身長計30とは別体に構成されてもよい。
血圧計50は、被測定者の血圧を測定し、測定した血圧値を出力する。
身長計付き体組成計40及び血圧計50による測定データの出力方法は、それぞれ、例えば、ディスプレイ(図示せず)での表示、印刷機(図示せず)による紙への印刷、スピーカー(図示せず)からの音声の出力等、任意の出力方法を用いてよい。なお、これらのディスプレイ、印刷器、及びスピーカーは、身長計付き体組成計40及び血圧計50のそれぞれに一体的に備えられるものでもよいし、あるいは、身長計付き体組成計40及び血圧計50のそれぞれとは別体に設けられて、身長計付き体組成計40及び血圧計50のそれぞれと電気ケーブルを介して接続されたものでもよい。
【0020】
本実施形態の血圧値処理装置1を構成する電子機器10は、演算制御部101と、記憶部102と、表示部104と、取得部70とを、備えている。
【0021】
演算制御部101は、例えばCPU(Central Processing Unit)等で構成されており、記憶部102に予め記憶されたプログラム103を実行して、後述する血圧値処理方法を行うとともに、記憶部102、表示部104、及び取得部70を含む、電子機器10の全体を制御する。
【0022】
記憶部102は、例えばRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を有している。記憶部102は、演算制御部101が実行するためのプログラム103と、関係情報106とを、予め記憶する。また、記憶部102は、取得部70が取得する情報を随時記憶する。記憶部102に記憶されるプログラム103には、後述する血圧値処理プログラムが含まれる。血圧値処理プログラムは、例えば、CD−ROMを介して記憶部102に格納されてもよいし、又は、電気通信ネットワーク(インターネット又は携帯電話通信網等)を介して記憶部102にダウンロードされてもよい。関係情報106は、後述するように、少なくとも性別情報、年齢関連情報、並びに、体重値及び身長値から算出される体格情報に基づいて、予測血圧値を求めるための情報である。
【0023】
取得部70は、被測定者の生体情報(少なくとも被測定者の性別情報、年齢関連情報、体重値、身長値、及び実測血圧値)を取得する。本例において、取得部70は、入力部105を含んで構成されており、電子機器10の操作者が入力部105を介して入力する被測定者の生体情報を、取得し、記憶部102に格納する。被測定者の生体情報のうち、体重値、身長値、及び実測血圧値は、それぞれ、体組成計20、身長計30、及び血圧計50から出力される体重値、身長値、及び血圧値である。
ただし、本例に限られず、取得部70は、被測定者の生体情報を、他の方法で取得してもよい。
例えば、取得部70は、USB(Universal Serial Bus)メモリ(図示せず)またはSDメモリーカード等の外部メモリが接続されるための、電子機器10のコネクタ部を含んで構成されてもよい。この場合、各生体情報測定装置60から出力される測定データは、いったん生体情報測定装置60に接続された外部メモリへ記録され、その後、その外部メモリが電子機器10のコネクタ部に接続されると、取得部70は、外部メモリに記録された測定データに基づく測定値を取得する。
あるいは、取得部70は、有線又は無線による通信が可能な、電子機器10の通信部を含んで構成してもよい。この場合、例えば、生体情報測定装置60から、通信により測定データが電子機器10の通信部へ出力されると、取得部70は、測定データに基づき得られる測定値を取得する。なお、その場合、電子機器10と、電子機器10との間で通信可能な生体情報測定装置60とが、血圧値処理装置1を構成する。または、取得部70は、図示しない遠隔にある他の電子機器から電気通信ネットワーク(インターネット又は携帯電話通信網等)を介して、被測定者の生体情報を受信するようにしてもよい。
または、電子機器10と少なくとも1つの生体情報測定装置60とを一体に構成して、この生体情報測定装置60から出力される測定データが、配線を介して電子機器10へ出力されるようにしてもよい。その場合、取得部70は、生体情報測定装置60からの配線が接続される、電子機器10のコネクタ部を含んで構成する。生体情報測定装置60から出力される測定データが、配線を介して、電子機器10のコネクタ部へ出力されると、取得部70は、測定データに基づき得られる測定値を取得する。なお、この場合、電子機器10と、電子機器10と一体に構成された生体情報測定装置60とが、血圧値処理装置1を構成する。
また、電子機器10と生体情報測定装置60とは、それぞれ別個の演算制御部を有していてもよいし、共通の演算制御部を有していてもよい。
【0024】
表示部104は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等で構成される。本例において、表示部104は、操作者に情報の入力を促す画面(例えば、後述する被測定者情報入力画面200や目標設定画面210)を表示したり、演算制御部101による演算結果を出力する画面(例えば、後述する目標設定画面210)を表示したりする。
入力部105は、例えばキーボード、マウス、押しボタン等により構成される。本例において、電子機器10の操作者は、入力部105を操作することにより、被測定者の生体情報等を入力する。
また、表示部104及び入力部105がタッチパネルで構成されていてもよい。
【0025】
〔血圧値処理方法、血圧値処理プログラム〕
つぎに、本発明の一実施形態に係る血圧値処理方法及び血圧値処理プログラムについて説明する。本実施形態に係る血圧値処理方法は、
図1を参照して説明した実施形態の血圧値処理装置1を用いて行うものであり、
図1の演算制御部101が、プログラム103(血圧値処理プログラム)に従って行うものである。
本実施形態において、演算制御部101は、まず、少なくとも性別情報、年齢関連情報、並びに、体重値及び身長値から算出される体格情報に基づいて、予測血圧値を求めるための、関係情報106を、予め記憶部102に記憶させる(記憶ステップ)。その後、演算制御部101は、被測定者の性別情報、年齢関連情報、体重値、身長値、及び実測血圧値を、取得部70により取得する(取得ステップ)。その後、演算制御部101は、取得部70により取得される、被測定者の性別情報、年齢関連情報、体重値、身長値、及び実測血圧値に少なくとも基づいて、記憶部102に予め記憶された関係情報106を用いて、予測血圧値を求め、求めた予測血圧値と被測定者の実測血圧値とに基づいて、被測定者の高血圧の発症リスクを判定する(演算制御ステップ)。
関係情報106としては、本例では、少なくとも性別情報、年齢関連情報、並びに、体重値及び身長値から算出される体格情報に基づいて、予測血圧値を求めるための、予測式を用いる。
ただし、関係情報106として、少なくとも性別情報、年齢関連情報、体重値及び身長値から算出される体格情報、並びに、予測血圧値どうしの関係を表す、テーブルを用いてもよい。その場合、テーブルに格納される予測血圧値は、予め上記予測式を用いて求められたものを用いてもよい。
【0026】
(予測式)
本例において、演算制御ステップで予測血圧値の算出に用いる予測式(関係情報106)は、以下の式(1)のように、予測血圧値を目的変数とし、少なくとも年齢関連情報と、体重及び身長から算出される体格情報とを、それぞれ説明変数として、性別情報を加味して重回帰分析により予め求められるものである。
予測血圧値=a+b×年齢関連情報+c×体重及び身長から算出される体格情報 ・・・(1)
ここで、a、b、cは定数である。
本例の予測式は、重回帰分析により統計的に求められる。これにより、精度よく、予測血圧値を得ることができるので、より適切に、被測定者の高血圧の発症リスクを判定できる。
ただし、予測式としては、重回帰分析以外の統計的分析手法によって求められるものを用いても、同様に実施可能である。
【0027】
なお、本例において、予測式は、年齢関連情報及び体格情報に加えて、性別情報も加味したものである。
例えば、予測式は、以下の式(2)のように、説明変数として性別情報を有してもよい。
予測血圧値=a+b×年齢関連情報+c×体重及び身長から算出される体格情報+d×性別情報 ・・・(2)
ここで、a、b、c、dは定数である。
あるいは、予測式(2)を用いる代わりに、予測式(1)を性別毎に予め求めてもよい。その場合、演算制御ステップでは、取得ステップで取得する被測定者の性別情報に応じて、被測定者の性別に対応する予測式を用いる。
【0028】
重回帰分析を行うにあたっては、多数の人から、血圧値のデータと各説明変数のデータとを関連付けたサンプルデータを予め収集しておき、収集したサンプルデータを用いる。サンプルの母集団は、なるべく、血圧、性別、年齢及び体格の分布を、偏りなく、幅広くすることが好ましい。
【0029】
被測定者の性別情報、年齢関連情報、体重値、及び身長値に基づき、予測式を用いて算出される、予測血圧値は、性別、年齢及び体格が被測定者と同等である標準的な人の血圧値を示すものである。
【0030】
ここで、性別情報とは、男性か女性かを特定する情報である。
【0031】
年齢関連情報としては、年齢そのもの、又は、年齢との相関性がある生体情報を用いることができる。年齢との相関性がある生体情報としては、例えば、生体インピーダンスにおけるレジスタンス成分Rとリアクタンス成分Xとの比(X/R又はR/X)、2つの異なる周波数F、f(F≠f)の交流電流でそれぞれ測定したときの生体インピーダンスZ
F、Z
fの比(Z
F/Z
f)等がある。
【0032】
体重及び身長から算出される体格情報とは、その算出式に体重及び身長を含む情報であり、具体的には、下記のBMI、肥満度、ローレル指数、又はカウプ指数等がある。
BMI=体重[kg]/身長[cm]
2
肥満度={(体重[kg]−標準体重[kg])/標準体重[kg]}×100
(ここで、標準体重[kg]=22×身長[cm]×身長[cm])
ローレル指数=10
7×体重[kg]/身長[cm]
3
カウプ指数=10
4×体重[kg]/身長[cm]
2
【0033】
予測式の説明変数には、年齢関連情報、体重及び身長から算出される体格情報、並びに、性別情報とは異なる、その他の生体情報を、付加的に、1つ又は複数用いても良い。その他の生体情報としては、例えば、体組成情報(全身若しくは特定部位の体脂肪率若しくは体脂肪量、全身若しくは特定部位の筋肉率若しくは筋肉量、又は、筋質指標等)等を用いることができる。
例えば、その他の生体情報として、体脂肪率を用いる場合、予測式は、例えば予測式(2)の変形例として、以下の式(3)のようになる。
予測血圧値=a+b×年齢関連情報+c×体重及び身長から算出される体格情報+d×性別情報+e×体脂肪率 ・・・(3)
ここで、a、b、c、d、eは定数である。
【0034】
また、予測式は、収縮期血圧及び拡張期血圧のそれぞれについて予め求められてもよい。この場合、演算制御ステップにおいては、予測収縮期血圧値に対しては実測収縮期血圧値を使用し、予測拡張期血圧値に対しては実測拡張期血圧値を使用する。
例えば、予測式(3)の変形例として、収縮期血圧及び拡張期血圧のそれぞれについて予測式を予め求める場合、以下の式(4)、(5)のようになる。
予測収縮期血圧値=a
H+b
H×年齢関連情報+c
H×体重及び身長から算出される体格情報+d
H×性別情報+e
H×体脂肪率 ・・・(4)
予測拡張期血圧値=a
L+b
L×年齢関連情報+c
L×体重及び身長から算出される体格情報+d
L×性別情報+e
L×体脂肪率 ・・・(5)
ここで、a
H、a
L、b
H、b
L、c
H、c
L、d
H、d
L、e
H、e
Lは定数である。
なお、同様にして、上記の予測式(1)又は予測式(2)の変形例として、収縮期血圧及び拡張期血圧のそれぞれについて予測式を予め求めておいてもよい。
ただし、収縮期血圧及び拡張期血圧のうちいずれか一方のみについて予測式を予め求めておき、演算制御ステップでは、実測血圧値として、収縮期血圧及び拡張期血圧のうち予測式で用いるほうの血圧の実測値を用いても良い。
【0035】
(演算制御部が演算制御ステップで行う血圧評価処理)
演算制御部101は、演算制御ステップにおいて、上述した予測式(関係情報106)から求められる予測血圧値と実測血圧値とに基づいて、被測定者の高血圧の発症リスクを判定する、血圧評価処理を行う。
このように、演算制御ステップでは、被測定者の性別、年齢及び体格を考慮した予測血圧値を用いて、被測定者の高血圧の発症リスクを判定する。よって、従来のように被測定者の性別、年齢及び体格を考慮しない、予め一律に決定された基準血圧値を用いて、被測定者が高血圧であるか否か判定する場合とは異なり、未だ高血圧でない被測定者に対しても、高血圧の発症リスクの程度を知らせることができる。これにより、被測定者は、必要に応じて、高血圧になる前から高血圧予防の対策を取ることができる。
【0036】
演算制御ステップで行うことのできる血圧評価処理では、予測血圧値と実測血圧値とに基づいて、被測定者の血圧を評価(判定)し、その評価結果を出力する。
図5は、血圧評価処理に用いられる血圧評価基準の一例を説明するための図である。
図5(a)は収縮期血圧の評価基準を示しており、x軸は被測定者の実測収縮期血圧値であり、y軸は上記予測式(4)を用いて得られる予測収縮期血圧値である。
図5(b)は拡張期血圧の評価基準を示しており、x軸は被測定者の実測拡張期血圧値であり、y軸は上記予測式(5)を用いて得られる予測拡張期血圧値である。
図5では、7人の被測定者A〜Gについて得られた、予測血圧値及び実測血圧値のデータが、プロットされている。
図5(a)及び
図5(b)の各プロット点に付された同一のアルファベットは、同一の被測定者から得られたデータを示している。
【0037】
血圧評価処理では、収縮期血圧及び拡張期血圧の両方について評価するのが好ましいが、いずれか一方のみについて評価してもよい。収縮期血圧の評価及び拡張期血圧の評価は、互いに同様の方法で行われるので、以下の血圧評価処理の説明では、特に断りがない限り、収縮期血圧及び拡張期血圧を区別せずに、包括的に説明する。
【0038】
図5の例では、予測血圧値に対する実測血圧値のずれ量と、実測血圧値及び所定の高血圧基準値どうしの大小関係とに基づいて、被測定者の血圧評価を行う。y=xのグラフに対するプロット点のx軸方向のずれ量は、予測血圧値に対する実測血圧値のずれ量に相当する。
より具体的に、
図5の例では、実測血圧値が所定の高血圧基準値以上である場合、被測定者が高血圧であると判定する。ここで、所定の高血圧基準値としては、例えば日本高血圧学会により定められた高血圧基準を用いることができる。
図5(a)における収縮期血圧の高血圧基準値は140mmHgであり、
図5(b)における拡張期血圧の高血圧基準値は90mmHgである。
一方、
図5の例では、実測血圧値が所定の高血圧基準値未満であり、かつ、実測血圧値から予測血圧値を差し引いた値(ずれ量)が所定の第1閾値(
図5の例では、5mmHg)未満である場合、被測定者の血圧が正常(すなわち、高血圧ではなく、高血圧の発症リスクも低い)であると判定する。
また、実測血圧値が所定の高血圧基準値未満であり、かつ、実測血圧値から予測血圧値を差し引いた値(ずれ量)が上記所定の第1閾値以上である場合、被測定者が高血圧傾向にある(すなわち、未だ高血圧ではないが、高血圧の発症リスクが高い)と判定する。
【0039】
なお、収縮期血圧及び拡張期血圧の両方について評価を行う場合、まず、収縮期血圧及び拡張期血圧のそれぞれについて上記の血圧評価を行い、つぎに、収縮期血圧の評価結果及び拡張期血圧の評価結果に基づき、最終的な血圧評価結果を得る。
例えば、収縮期血圧及び拡張期血圧のうち少なくともいずれか一方が高血圧である場合、最終的に高血圧と判定する。また、収縮期血圧及び拡張期血圧のいずれもが高血圧ではなく、かつ、収縮期血圧及び拡張期血圧のうち少なくともいずれか一方が高血圧傾向である場合、最終的に高血圧傾向と判定する。一方、収縮期血圧及び拡張期血圧の両方が正常血圧である場合、最終的に正常血圧と判定する。この場合、
図5の例では、被測定者F、Gが高血圧と判定され、被測定者Dが高血圧傾向と判定され、被測定者A、B、C、Eが正常血圧と判定される。
【0040】
なお、本例では、実測血圧値が所定の高血圧基準値未満であり、かつ、実測血圧値から予測血圧値を差し引いた値が所定閾値以上である場合、被測定者が高血圧傾向にある(すなわち、未だ高血圧ではないが、高血圧の発症リスクが高い)と判定するので、被測定者が実際に高血圧になる前に、高血圧の発症リスクが高いことを被測定者に知らせることができる。これにより、被測定者は、早期から高血圧防止のための対策を取ることが可能となる。
【0041】
図5の例に限られず、高血圧や高血圧傾向の評価基準を、それぞれ複数段階に分けて、さらに詳細な血圧評価をするようにしてもよい。例えば、高血圧の評価基準を3段階に分けてもよい。その場合、例えば、収縮期血圧についての高血圧の評価基準を、I度高血圧基準値(140mmHg)、II度高血圧基準値(160mmHg)、III度高血圧基準値(180mmHz)の3段階に分け、拡張期血圧についての高血圧の評価基準を、I度高血圧基準値(90mmHg)、II度高血圧基準値(100mmHg)、III度高血圧基準値(110mmHg)の3段階に分ける。
また、高血圧傾向の判定の際に、実測血圧値から予測血圧値を差し引いた値と比較される上記の第1閾値は、一律のものを用いる必要はなく、収縮期血圧と拡張期血圧とで異なるものを用いてもよい。例えば、収縮期血圧で用いられる第1閾値は5mmHgとして、拡張期血圧で用いられる第1閾値は3mmHgとしてもよい。
また、第1閾値は、実測血圧値に応じて異なるものを用いてもよい。例えば、収縮期血圧について、実測血圧値が130mmHg未満の場合、第1閾値として5mmHgを用い、実測血圧値が130mmHg以上の場合、第1閾値として3mmHgを用いてもよい。
【0042】
なお、上記の血圧評価結果を出力する際には、併せて、血圧値及び体格が被測定者と同等である標準的な人の年齢(すなわち、被測定者の血圧が、何歳相当の血圧であるか)を評価して、その評価結果も出力するようにしてもよい。血圧値及び体格が被測定者と同等である標準的な人の年齢を評価する方法としては、例えば、被測定者の実測血圧値を予測式(1)の予測血圧値に代入して、予測式(1)の試算を行い、年齢を算出する。試算を行う際、予測式(1)における、予測血圧値及び年齢以外の各変数(体重及び身長から算出される体格情報等)には、取得ステップで取得したのと同じ値を用いる。
【0043】
(演算制御部が演算制御ステップで行う、予測式を用いた試算処理)
予測血圧値及び実測血圧値の両方が前記した所定の高血圧基準値以上であり、かつ、実測血圧値から予測血圧値を差し引いた値の絶対値が所定の第2閾値未満である場合(
図5の例では、被測定者Gが該当。)、被測定者が高血圧となった原因の1つとして、体型に問題のある可能性がある。
そこで、演算制御部101は、演算制御ステップにおいて、上記のような高血圧の被測定者を対象として、予測式(関係情報106)を用いた試算処理を行うことができる。予測式を用いた試算処理では、予測血圧値と実測血圧値との両方が所定の高血圧基準値以上であり、かつ、実測血圧値から予測血圧値を差し引いた値の絶対値が所定の第2閾値(例えば5mmHg)未満である場合に、被測定者が体型面から高血圧改善の目標を立てられるように、操作者に予測式の試算に用いるための試算用情報を入力してもらい、入力された試算用情報に基づいて予測式の試算を行い、その試算結果を出力する。
このように、被測定者は、予測式を用いたシミュレーションを行うことで、高血圧を体型面から改善するための目標を具体的に立てることができる。
【0044】
例えば、試算処理の第1の例においては、まず、操作者に、被測定者の実際の体重値とは異なる、試算用体重値を特定する情報(試算用体重情報)を、上記試算用情報として入力してもらう。この試算用体重情報としては、例えば、被測定者の実際の体重値から試算用体重値までの変化量(どれだけ体重を変化させたいかを表す値)を用いても良いし、又は、試算用体重値そのものを用いてもよい。試算用体重情報が入力されると、演算制御部101は、その試算用体重情報から特定される試算用体重値を予測式の体重値に代入して、予測式の試算を行う。試算を行う際、予測式における、体重値及び予測血圧値以外の各変数(年齢関連情報や身長値等)には、取得ステップで取得したのと同じ値を用いる。このようにして、予測血圧値を新たに算出し、その新たに算出した予測血圧値を試算結果血圧値として出力する。
本例によれば、被測定者は、自身の体重をどの程度変化させれば予測血圧値がどの程度に変化するかを、シミュレーションできるので、高血圧を体型面から改善するための目標を具体的に立てることができる。
なお、例えば予測式(3)のように、重回帰分析により求められる予測式が、説明変数として体組成情報(体脂肪率等)を有する場合、試算用情報として、試算用体重情報に加えて、試算用体組成値を特定する情報(試算用体組成情報)を入力してもらい、新たに算出した予測血圧値を試算結果血圧値として出力するようにしてもよい。
【0045】
また、試算処理の第2の例においては、まず、操作者に、被測定者の実際の血圧値とは異なる、試算用血圧値を特定する情報(試算用血圧情報)を、上記試算用情報として入力してもらう。この試算用血圧情報としては、例えば、被測定者の実際の血圧値から試算用血圧値までの変化量(どれだけ血圧を変化させたいかを表す値)を用いても良いし、又は、試算用血圧値そのものを用いてもよい。試算用血圧情報が入力されると、演算制御部101は、その試算用血圧情報から特定される試算用血圧値を予測式の予測血圧値に代入して、予測式の試算を行う。試算を行う際、予測式における、予測血圧値及び体重値以外の各変数(年齢関連情報や身長値等)には、取得ステップで取得したのと同じ値を用いる。このようにして、体重値を新たに算出し、その新たに算出した体重値を試算結果体重値として出力する。
本例によれば、被測定者は、自身の血圧を所望の値へ変化させるためには、自身の体重をどの程度変化させるべきかを、シミュレーションできるので、高血圧を体型面から改善するための目標を具体的に立てることができる。
なお、例えば予測式(3)のように、重回帰分析により求められる予測式が、説明変数として体組成情報(体脂肪率等)を有する場合、試算用情報として、試算用血圧情報を入力してもらい、新たに算出した体重値及び体組成値を、それぞれ試算結果体重値及び試算結果体組成値として出力するようにしてもよい。
【0046】
なお、上述した試算処理の第1及び第2の例では、予測式の試算時に、年齢関連情報として、取得ステップで取得したのと同じ値を用いているが、これに限られない。例えば、被測定者の想定する目標達成時点が数年後である場合には、操作者に、目標達成時点での被測定者の年齢を特定する情報(年齢特定情報)をも入力してもらい、入力された年齢特定情報から特定される年齢を予測式の年齢関連情報に代入して、予測式の試算を行うようにしてもよい。
【0047】
(血圧値処理方法の一実施例)
つぎに、
図2〜
図4を参照して、
図1の演算制御部101がプログラム103(血圧値処理プログラム)に従って行う血圧値処理方法の一例を説明する。
図2は、演算制御部101が行う処理を示すフローチャートである。
予め、演算制御部101は、記憶ステップにて、関係情報106を、記憶部102に記憶させている。本例における関係情報106としては、収縮期血圧値及び拡張期血圧値のそれぞれについて予め求められた予測式(4)、(5)を用いるものとする。記憶ステップの後、演算制御部101は、上述した取得ステップ(S1)及び演算制御ステップ(S2〜S12)を行う。演算制御ステップでは、上述した血圧評価処理(S2〜S8、S10)と予測式を用いた試算処理(S11〜S12)とを行う。
【0048】
また、本例の血圧評価処理の血圧評価基準としては、
図5(a)に示す収縮期血圧の評価基準と
図5(b)に示す拡張期血圧の評価基準とを用いるものとする。
【0049】
まず、演算制御部101は、例えば表示部104に
図3の被測定者情報入力画面200を表示させる等して、操作者(被測定者又は被測定者以外の者)に、被測定者の収縮期血圧及び拡張期血圧の実測値と、予測式(4)、(5)における各変数に対応する被測定者の生体情報(性別、年齢、身長、体重、及び体脂肪率)との入力を促し、これらの各生体情報が入力されるまで待機する(ステップS1、No)。操作者は、入力部105を操作しながら、被測定者の該当する性別の選択を入力し、事前に血圧計50を用いて測定した被測定者の収縮期血圧値及び拡張期血圧値を、それぞれ被測定者情報入力画面200の入力欄200a、200bに入力し、被測定者の年齢を該入力画面200の入力欄200cに入力し、事前に身長計付き体組成計40を用いて測定した被測定者の身長、体重及び体脂肪率を、それぞれ該入力画面200の入力欄200d、200e、200fに入力する。
【0050】
被測定者の各生体情報が入力されると(ステップS1、Yes)、演算制御部101は、S1で入力された被測定者の性別、年齢、身長、体重、及び体脂肪率を予測式(4)、(5)に代入して、収縮期血圧及び拡張期血圧のそれぞれについて、予測血圧値を算出する(ステップS2)。
【0051】
つぎに、演算制御部101は、収縮期血圧及び拡張期血圧のそれぞれについて、被測定者の実測血圧値と所定の高血圧基準値とを比較する(ステップS3)。実測収縮期血圧値が収縮期血圧の高血圧基準値(本例では、140mmHg)未満であり、かつ、実測拡張期血圧値が拡張期血圧の高血圧基準値(本例では、90mmHg)未満である場合(ステップS3、No)、演算制御部101は、被測定者が高血圧ではないと判定し、つぎに、実測血圧値から予測血圧値を差し引いた値と所定の第1閾値とを比較する(ステップS4)。本例では、収縮期血圧及び拡張期血圧の両方について、第1閾値が5mmHgに設定されている。
【0052】
ステップS4において、演算制御部101は、収縮期血圧及び拡張期血圧の両方について、実測血圧値から予測血圧値を差し引いた値が第1閾値(5mmHg)未満の場合(ステップS4、No)、被測定者が正常血圧であると判定し(ステップS5)、正常血圧である旨の評価結果や、正常血圧を維持するためのアドバイス等を、表示部104に表示する等して出力し(ステップS6)、処理を終了する。
【0053】
一方、ステップS4において、収縮期血圧及び拡張期血圧のうち少なくともいずれか一方について、実測血圧値から予測血圧値を差し引いた値が第1閾値(5mmHg)以上である場合(ステップS4、Yes)、被測定者が高血圧傾向にある(すなわち、未だ高血圧ではないが、高血圧の発症リスクが高い)と判定し(ステップS7)、高血圧傾向にある旨の評価結果や、高血圧予防対策のためのアドバイス等を出力し(ステップS6)、処理を終了する。このようにして、被測定者に、実際に高血圧になる前に高血圧予防の対策を取るための機会を与えることができる。
【0054】
一方、ステップS3において、演算制御部101は、収縮期血圧及び拡張期血圧のうち少なくともいずれか一方について、実測血圧値が高血圧基準値以上である場合(ステップS3、Yes)、被測定者が高血圧であると判定する(ステップS8)。
【0055】
ステップS8の後、演算制御部101は、収縮期血圧及び拡張期血圧のいずれについても、予測式(4)、(5)を用いて算出される予測血圧値が高血圧基準値未満である場合と、実測血圧値から予測血圧値を差し引いた値の絶対値が第2閾値以上である場合との、少なくともいずれか一方の場合(ステップS9、No)、高血圧である旨の評価結果や、高血圧を改善するためのアドバイス等を出力し(ステップS6)、処理を終了する。ここで、実測血圧値が高血圧基準値以上であって、予測血圧値が高血圧基準値未満である場合、高血圧となった原因として、体型以外の要因(生活習慣等)が考えられる。そこで、ステップS6で出力するアドバイスとしては、例えば、被測定者の体型に問題が無い場合、食事、運動習慣、飲酒、喫煙、睡眠等の生活習慣の見直しを勧めるものであると、好適である。
【0056】
一方、ステップS9において、演算制御部101は、収縮期血圧及び拡張期血圧のうち少なくともいずれか一方について、予測式(4)、(5)を用いて算出される予測血圧値が高血圧基準値以上であり、かつ、実測血圧値から予測血圧値を差し引いた値の絶対値が所定の第2閾値(例えば5mmHg)未満である場合(ステップS9、Yes)、高血圧である旨の評価結果や、高血圧を改善するためのアドバイス等を出力する(ステップS10)。ここで、実測血圧値及び予測血圧値の両方が高血圧基準値以上であり、かつ、実測血圧値から予測血圧値を差し引いた値の絶対値が所定の第2閾値(例えば5mmHg)未満である場合、高血圧となった原因の1つとして、体型が考えられる。そこで、ステップS10で出力するアドバイスとしては、例えば、被測定者の体重が適正であるが体脂肪率が適正よりも高い場合、運動により筋肉をつけることを勧めたり、被測定者の体重及び体脂肪率の両方が適正よりも高い場合、有酸素運動や食事の見直しを勧めるものであると、好適である。さらに、ステップS10では、体型面から高血圧改善を達成するための目標設定を、その後に続けて行うよう、被測定者に勧めると良い。
【0057】
ステップS10の後、演算制御部101は、例えば表示部104に
図4(a)の目標設定画面210を表示させる等して、操作者に、被測定者の実際の体重値とは異なる、試算用体重値を特定する情報(試算用体重情報)と、被測定者の実際の体脂肪率値とは異なる、試算用体脂肪率値を特定する情報(試算用体脂肪率情報)との入力を促し、これら試算用体重情報及び試算用体脂肪率情報(これらを包括的に試算用体型情報ともいう。)が入力されるまで待機する(ステップS11、No)。
図4(a)の目標設定画面210には、ステップS1で入力された被測定者の各生体情報が表示されている。操作者は、入力部105を操作しながら、試算用体重情報と試算用体脂肪率情報とを、それぞれ目標設定画面210の入力欄210a、210bに入力する。本例において、試算用体重情報としては、被測定者の実際の体重値から試算用体重値までの変化量が入力され、試算用体脂肪率情報としては、被測定者の実際の体脂肪率値から試算用体脂肪率値までの変化量が入力される。
【0058】
図4(b)に示すように、試算用体重情報と試算用体脂肪率情報とが入力されると(ステップS11、Yes)、演算制御部101は、ステップS1で入力された被測定者の実際の体重値及び体脂肪率値から、ステップS11で入力された試算用体重情報と試算用体脂肪率情報とをそれぞれ差し引くことにより、試算用体重値及び試算用体脂肪率値を求める。そして、求めた試算用体重値及び試算用体脂肪率値を、それぞれ予測式(4)、(5)の体重値及び体脂肪率値に代入して、予測式(4)、(5)をそれぞれ試算して、収縮期血圧及び拡張期血圧の予測血圧値を算出し、これらを試算結果血圧値として、目標設定画面210の出力欄210cに出力し(ステップS12)、処理を終了する。これにより、被測定者は、自身の体型をどの程度改善させれば自身の血圧がどの程度改善されるかをシミュレーションできるので、高血圧を体型面から改善するための目標を具体的に立てることができる。なお、ステップS12において、試算を行う際、予測式(4)、(5)における、体重値、体脂肪率値、及び予測血圧値以外の各変数(性別、年齢、及び身長)には、ステップS1で取得したのと同じ値を用いる。
【0059】
このように、S2〜S12の演算制御ステップでは、被測定者の性別、年齢及び体格の情報を用いて得られた予測血圧値に基づいて処理を行い、その処理により得られる情報を出力する。よって、従来のように被測定者の性別、年齢及び体格を考慮しない、予め一律に決定された基準血圧値を用いた処理により得られる情報を出力する場合に比べて、被測定者の性別や年齢や体格を考慮した、より的確かつ詳細な血圧関連情報を提供できる。
【0060】
なお、ステップS11では、試算用体型情報として、試算用体重情報又は試算用体脂肪率情報のいずれか一方のみが入力されるようにしてもよい。その場合、ステップS12における予測式(4)、(5)の試算を行う際には、ステップS11において入力されなかったほうの体型情報(体重値又は体脂肪率値)として、ステップS1で取得したのと同じ値を用いる。
【0061】
また、ステップS11では、操作者に、試算用血圧情報を入力してもらい、ステップS12において、入力された試算用血圧情報を用いて予測式(4)、(5)の試算を行い、体重値及び体脂肪率値をそれぞれ試算結果体重値及び試算結果体脂肪率値として出力するようにしてもよい。
【0062】
また、取得ステップ(S2)で用いる予測式は、上記式(4)、(5)以外のものでもよい。例えば、予測式の説明変数として体脂肪率を用いなくてもよく、また、体脂肪率以外の生体情報(筋肉率等)を用いてもよい。
【0063】
なお、演算制御部101は、ステップS10の後に、ステップS11〜S12を行わずに、処理を終了してもよい。