(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343861
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】複数種類のワイヤレス充電および近距離無線通信に対応する多重コイル構造
(51)【国際特許分類】
H01F 38/14 20060101AFI20180611BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20180611BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20180611BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20180611BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20180611BHJP
H04B 5/02 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
H01F38/14
H02J7/00 301D
H02J50/10
H01F17/00 B
H01F17/04 A
H04B5/02
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-163293(P2016-163293)
(22)【出願日】2016年8月24日
(65)【公開番号】特開2017-45988(P2017-45988A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2016年8月24日
(31)【優先権主張番号】14/835,149
(32)【優先日】2015年8月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510284071
【氏名又は名称】モトローラ モビリティ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】MOTOROLA MOBILITY LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ エイ.ヴァン ボッシュ
(72)【発明者】
【氏名】パヴェル ショスタク
【審査官】
右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】
特表2015−500622(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/038265(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0210406(US,A1)
【文献】
特開2013−169122(JP,A)
【文献】
特開2010−283263(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/157191(WO,A1)
【文献】
国際公開第2015/147133(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 38/14
H01F 17/00
H01F 17/04
H02J 7/00
H02J 50/10
H04B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の充電および近距離無線通信に対応する多重コイル構造であって、
1つまたは複数のループを形成した第1の導体経路を含む内側充電コイルであって、前記第1の導体経路の端点からの前記第1の導体経路の進行方向が、実質的に時計回りの方向または実質的に反時計回りの方向の一方であり、前記内側充電コイルは、内側境界および外側境界を有する、前記内側充電コイルと、
前記内側充電コイルの外側境界の周りに延びる1つまたは複数のループを形成した第2の導体経路を含む外側充電コイルであって、前記第2の導体経路の端点からの前記第2の導体経路の進行方向が、実質的に時計回りの方向または実質的に反時計回りの方向の一方であり、前記外側充電コイルは、内側境界および外側境界を有する、前記外側充電コイルと、
前記内側充電コイルの内側境界内に1つまたは複数のループを形成した第3の導体経路を含む近距離無線通信コイルであって、前記第3の導体経路の端点からの前記第3の導体経路の進行方向が、実質的に時計回りの方向または実質的に反時計回りの方向の一方である、前記近距離無線通信コイルと、を備え、
前記第3の導体経路が、前記内側充電コイルの内側境界内に1つまたは複数のループを形成することに加えて、前記内側充電コイルの外側境界の外側および前記外側充電コイルの内側境界の内側の領域に遷移する導体経路部を含み、
前記第3の導体経路が、該第3の導体経路によって前記内側充電コイルの内側境界内に形成されたループと実質的に同じ方向の1つまたは複数の付加的なループを含む、多重コイル構造。
【請求項2】
前記第3の導体経路が、前記内側充電コイルの内側境界内に1つまたは複数のループを形成することに加えて、前記外側充電コイルの外側境界の外側の領域に遷移する導体経路部を含み、
前記第3の導体経路が、該第3の導体経路によって前記内側充電コイルの内側境界内に形成されたループと実質的に同じ方向の1つまたは複数の付加的なループを含む、請求項1に記載の多重コイル構造。
【請求項3】
前記第3の導体経路が、前記内側充電コイルの内側境界内に1つまたは複数のループを形成することに加えて、前記内側充電コイルの外側境界の外側および前記外側充電コイルの内側境界の内側の領域に遷移する導体経路部を含み、
前記第3の導体経路が、該第3の導体経路によって前記内側充電コイルの内側境界内に形成されたループと実質的に同じ方向の1つまたは複数の付加的なループを含み、
前記第3の導体経路が、前記外側充電コイルの外側境界の外側の領域に遷移する導体経路部を含み、
前記第3の導体経路が、該第3の導体経路によって前記内側充電コイルの内側境界内に形成されたループと実質的に同じ方向の1つまたは複数の付加的なループを含む、請求項1に記載の多重コイル構造。
【請求項4】
前記内側充電コイルを包含する領域に配置された各コイルおよび各コイルの一部分ならびに前記内側充電コイルの内側境界内に位置付けられた近距離無線通信コイルの部分の下に位置決めされた第1のフェライトと、
前記第1のフェライトと異なる種類の第2のフェライトであって、前記外側充電コイルを包含する領域に配置された各コイルおよび各コイルの一部分ならびに前記内側充電コイルの外側境界の外側に位置付けられた近距離無線通信コイルの部分の下に位置決めされた前記第2のフェライトと、をさらに備えた、請求項3に記載の多重コイル構造。
【請求項5】
前記内側充電コイルを包含する領域に配置された各コイルおよび各コイルの一部分ならびに前記内側充電コイルの内側境界内に位置付けられた近距離無線通信コイルの部分の下に位置決めされた第1のフェライトと、
前記第1のフェライトと異なる種類の第2のフェライトであって、前記外側充電コイルを包含する領域に配置された各コイルの下に位置決めされた前記第2のフェライトと、
前記第1のフェライトおよび前記第2のフェライトと異なる種類の第3のフェライトであって、前記内側充電コイルの外側境界の外側および前記外側充電コイルの内側境界の内側に位置付けられた近距離無線通信コイルの部分を包含する領域に配置された各コイルおよび各コイルの一部分の下に位置決めされた前記第3のフェライトと、
前記第3のフェライトと類似する種類の第4のフェライトであって、前記外側充電コイルの外側境界の外側に位置付けられた近距離無線通信コイルの部分を包含する領域に配置された各コイルおよび各コイルの一部分の下に位置決めされた前記第4のフェライトと、をさらに備えた、請求項3に記載の多重コイル構造。
【請求項6】
各領域それぞれにおける前記近距離無線通信コイルの部分が、異なる種類の通信を対象とするように構成された、請求項3に記載の多重コイル構造。
【請求項7】
前記内側充電コイルの内側境界内に位置付けられた近距離無線通信コイルの部分が、近距離無線通信タグと相互作用するように構成された、請求項6に記載の多重コイル構造。
【請求項8】
前記内側充電コイルの外側境界の外側および前記外側充電コイルの内側境界内に位置付けられた近距離無線通信コイルの部分が、近距離無線通信支払い端末と相互作用するように構成された、請求項6に記載の多重コイル構造。
【請求項9】
前記外側充電コイルの外側境界の外側に位置付けられた近距離無線通信コイルの部分が、近距離無線通信輸送リーダと相互作用するように構成された、請求項6に記載の多重コイル構造。
【請求項10】
前記内側充電コイルおよび前記外側充電コイルにそれぞれ対応する第1の導体経路および第2の導体経路の端点がそれぞれ、対応する充電回路と相互作用する端子を構成する、請求項1に記載の多重コイル構造。
【請求項11】
前記内側充電コイルが、誘導充電コイルである、請求項1に記載の多重コイル構造。
【請求項12】
前記外側充電コイルが、共鳴充電コイルである、請求項1に記載の多重コイル構造。
【請求項13】
前記内側充電コイルを包含する領域に配置された各コイルおよび各コイルの部分の下に位置決めされた第1のフェライトと、
前記第1のフェライトと異なる種類の第2のフェライトであって、前記内側充電コイルの内側境界内に位置付けられた近距離無線通信コイルの領域に配置された各コイルおよび各コイルの部分の下に位置決めされた前記第2のフェライトと、をさらに備えた、請求項1に記載の多重コイル構造。
【請求項14】
前記内側充電コイルを包含する領域に配置された各コイルおよび各コイルの部分ならびに前記内側充電コイルの内側境界内に位置付けられた近距離無線通信コイルの部分の下に位置決めされた第1のフェライトと、
前記第1のフェライトと異なる種類の第2のフェライトであって、前記内側充電コイルの内側境界内に位置付けられた近距離無線通信コイルの領域に配置された各コイルおよび各コイルの部分の下に位置決めされた前記第2のフェライトと、をさらに備えた、請求項1に記載の多重コイル構造。
【請求項15】
ワイヤレス充電機能および近距離無線通信機能を有する携帯用電子機器であって、
電力貯蔵要素と、
前記電力貯蔵要素に結合された1つまたは複数のワイヤレス充電回路と、
近距離無線通信送受信機と、
多重コイル構造と、を備え、該多重コイル構造は、
前記1つまたは複数のワイヤレス充電回路のうちの対応する1つに結合され、1つまたは複数のループを形成した第1の導体経路を含む内側充電コイルであって、前記第1の導体経路の端点からの前記第1の導体経路の進行方向が、実質的に時計回りの方向または実質的に反時計回りの方向の一方であり、前記内側充電コイルは、内側境界および外側境界を有する、前記内側充電コイルと、
前記1つまたは複数のワイヤレス充電回路のうちの対応する1つに結合され、前記内側充電コイルの外側境界の周りに延びる1つまたは複数のループを形成した第2の導体経路を含む外側充電コイルであって、前記第2の導体経路の端点からの前記第2の導体経路の進行方向が、実質的に時計回りの方向または実質的に反時計回りの方向の一方であり、前記外側充電コイルは、内側境界および外側境界を有する、前記外側充電コイルと、
前記近距離無線通信送受信機に結合され、前記内側充電コイルの内側境界内に1つまたは複数のループを形成した第3の導体経路を含む近距離無線通信コイルであって、前記第3の導体経路の端点からの前記第3の導体経路の進行方向が、実質的に時計回りの方向または実質的に反時計回りの方向の一方である、前記近距離無線通信コイルと、を備え、
前記多重コイル構造の第3の導体経路が、前記内側充電コイルの内側境界内に1つまたは複数のループを形成することに加えて、前記内側充電コイルの外側境界の外側および前記外側充電コイルの内側境界の内側の領域に遷移する導体経路部を含み、
前記第3の導体経路が、該第3の導体経路によって前記内側充電コイルの内側境界内に形成されたループと実質的に同じ方向の1つまたは複数の付加的なループを含む、携帯用電子機器。
【請求項16】
前記携帯用電子機器は、
前側表面および後側表面を含み、
前記前側表面が、ディスプレイを含み、
前記多重コイル構造が、前記後側表面に近い、請求項15に記載の携帯用電子機器。
【請求項17】
前記多重コイル構造の前記第3の導体経路が、前記内側充電コイルの内側境界内に1つまたは複数のループを形成することに加えて、前記外側充電コイルの外側境界の外側の領域に遷移する導体経路部を含み、
前記第3の導体経路が、該第3の導体経路によって前記内側充電コイルの内側境界内に形成されたループと実質的に同じ方向の1つまたは複数の付加的なループを含む、請求項15に記載の携帯用電子機器。
【請求項18】
前記多重コイル構造の第3の導体経路が、前記内側充電コイルの内側境界内に1つまたは複数のループを形成することに加えて、前記内側充電コイルの外側境界の外側および前記外側充電コイルの内側境界の内側の領域に遷移する導体経路部を含み、
前記第3の導体経路が、該第3の導体経路によって前記内側充電コイルの内側境界内に形成されたループと実質的に同じ方向の1つまたは複数の付加的なループを含み、
前記第3の導体経路が、前記外側充電コイルの外側境界の外側の領域に遷移する導体経路部を含み、
前記第3の導体経路が、該第3の導体経路によって前記内側充電コイルの内側境界内に形成されたループと実質的に同じ方向の1つまたは複数の付加的なループを含む、請求項15に記載の携帯用電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には携帯用電子機器および類似空間における複数のコイルの統合様態に関し、より詳細には、複数種類のワイヤレス充電および近距離無線通信用のコイルをそれぞれ具備した携帯用電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯用電子機器のワイヤレス充電は、ますます対応が進んでいる機能である。この技術は、まだ広く採用されているわけではないが、各種のインターフェース要件を有する新たな技術形態の開発がすでに見え始めている。これにより、機器製造業者にとっては、特定の機能への対応方法を決定する必要が課題となっている。より具体的には、新しい技術に対応するか、古い技術に対応するか、または両者に対応するか、ということである。新しい技術への対応にシフトした場合、古い技術を採用している顧客は、充電に関する過去の投資への対応がなくなるかもしれないという不満を抱く可能性がある。場合により、顧客は、複数の技術が存在するとともに、自身の新しい機器が古い充電器では機能しないかもしれないし、その逆となるかもしれないという事実に気付いていない可能性がある。その結果、ワイヤレス充電ソリューションの製造業者には、ある技術の新旧両形態を含めて、ある機能の複数の形態に対応する動機付けが存在する可能性がある。
【0003】
さらに、ユーザは特定種類の作業に従って習慣を形成する傾向にあるため、上記技術のさまざまな形態を伴う可能性があるものの、同じ種類の活動と関連付けられた経験を可能な限り類似のものにしようとする誘因が存在する。これに対応して、使用する技術が異なっていても、類似活動に関連する動作およびインターフェースを含む異種ソリューションを共同配置しようとする動機付けが存在する可能性がある。
【0004】
別の要因は、さまざまな種類の機器相互作用への対応に利用できる制限された機器空間量である。このため、関連する種類の活動に対する異種ソリューションを共同配置できることが有益となり得る。さらに、制限された機器インターフェース空間を所与として、ワイヤレス充電ソリューションへの対応に近い近距離無線通信への対応等、さらに別の形態の機器相互作用を共同配置できることがさらに望ましい場合もある。少なくとも1つの比較的広く受け入れられているソリューションでは、近距離無線通信への対応を機器の後面の近くに配置している。同様に、少なくとも一部のワイヤレス充電形態では、機器の後面を介して、機器と相互作用する傾向にある。
【0005】
本発明者らは、同一または類似空間における近距離無線通信および複数のワイヤレス充電形態の両者への対応を統合するソリューションに適応したコイル構成が有益であろうことを相応に認識している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数種類のワイヤレス充電および近距離無線通信に対応する多重コイル構造を提供する。この多重コイル構造は、1つまたは複数のループを形成した第1の導体経路を含む内側充電コイルであり、第1の導体経路の端点からの第1の導体経路の進行方向が、実質的に時計回りの方向または実質的に反時計回りの方向の一方であって、内側境界および外側境界を有する、内側充電コイルを備える。この多重コイル構造は、内側充電コイルの外側境界の周りに延びる1つまたは複数のループを形成した第2の導体経路を含む外側充電コイルであり、第2の導体経路の端点からの第2の導体経路の進行方向が、実質的に時計回りの方向または実質的に反時計回りの方向の一方であって、内側境界および外側境界を有する、外側充電コイルをさらに備える。この多重コイル構造は、内側充電コイルの内側境界内に1つまたは複数のループを形成した第3の導体経路を含む近距離無線通信コイルであり、第3の導体経路の端点からの第3の導体経路の進行方向が、実質的に時計回りの方向または実質的に反時計回りの方向の一方である、近距離無線通信コイルをさらに備える。
【0007】
少なくとも1つの実施形態において、第3の導体経路は、内側充電コイルの内側境界内に1つまたは複数のループを形成することに加えて、内側充電コイルの外側境界の外側および外側充電コイルの内側境界の内側の領域に遷移する(transition)導体経路部を含み、第3の導体経路は、該第3の導体経路によって内側充電コイルの内側境界内に形成されたループと実質的に同じ方向の1つまたは複数の付加的なループを含む。
【0008】
少なくとも1つの別の実施形態において、第3の導体経路は、内側充電コイルの内側境界内に1つまたは複数のループを形成することに加えて、外側充電コイルの外側境界の外側の領域に遷移する導体経路部を含み、第3の導体経路は、該第3の導体経路によって内側充電コイルの内側境界内に形成されたループと実質的に同じ方向の1つまたは複数の付加的なループを含む。
【0009】
本発明は、ワイヤレス充電機能および近距離無線通信機能を有する携帯用電子機器をさらに提供する。この携帯用電子機器は、電力貯蔵要素と、電力貯蔵要素に結合された1つまたは複数のワイヤレス充電回路と、近距離無線通信送受信機とを備える。この携帯用電子機器は、多重コイル構造をさらに備える。多重コイル構造は、1つまたは複数のループを形成した第1の導体経路を含む内側充電コイルであり、第1の導体経路の端点からの第1の導体経路の進行方向が、実質的に時計回りの方向または実質的に反時計回りの方向の一方であって、内側境界および外側境界を有する、内側充電コイルを備える。多重コイル構造は、内側充電コイルの外側境界の周りに延びる1つまたは複数のループを形成した第2の導体経路を含む外側充電コイルであり、第2の導体経路の端点からの第2の導体経路の進行方向が、実質的に時計回りの方向または実質的に反時計回りの方向の一方であって、内側境界および外側境界を有する、外側充電コイルをさらに備える。多重コイル構造は、内側充電コイルの内側境界内に1つまたは複数のループを形成した第3の導体経路を含む近距離無線通信コイルであり、第3の導体経路の端点からの第3の導体経路の進行方向が、実質的に時計回りの方向または実質的に反時計回りの方向の一方である、近距離無線通信コイルをさらに備える。
【0010】
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点については、添付の図面を参照することにより、本発明の1つまたは複数の好適な実施形態に関する以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図1に示した手持ち電子機器に対応し得る例示的な手持ち電子機器の背面図である。
【
図3】少なくとも1つの実施形態に係る、手持ち電子機器のブロック図である。
【
図4】少なくとも1つの実施形態に係る、複数種類のワイヤレス充電および近距離無線通信に対応する複数のループアンテナ、充電コイル、およびフェライト構造を含む多重コイル構造の例示的なレイアウトを示した図である。
【
図5】少なくとも1つの別の実施形態に係る、複数種類のワイヤレス充電および近距離無線通信に対応する複数のループアンテナ、充電コイル、およびフェライト構造を含む多重コイル構造の例示的なレイアウトを示した図である。
【
図6】少なくとも1つの実施形態に係る、フェライト構造、近距離無線通信に対応する少なくとも1つのループアンテナ部、およびワイヤレス充電に対応する少なくとも1つの充電コイル部を含む多重コイル構造の例示的な部分レイアウトを示した図である。
【
図7】少なくとも1つの別の実施形態に係る、フェライト構造、近距離無線通信に対応する少なくとも1つのループアンテナ部、およびワイヤレス充電に対応する少なくとも1つの充電コイル部を含む多重コイル構造の例示的な部分レイアウトを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、さまざまな形態の実施形態が可能であるが、本開示が本発明の例示と考えられ、本発明を図示の具体的な実施形態に限定するものではないという了解の下、現時点で好適な実施形態を図面に示すとともに以下に説明する。当業者には当然のことと期待するが、図面中の要素は、簡略化および明瞭化を目的として示しており、必ずしも縮尺通りに描いてはいない。たとえば、図面中の要素の一部の寸法は、図示および説明している実施形態の態様の理解の向上に役立つように、他の要素に対して誇張している場合がある。
【0013】
図1は、例示的な手持ち電子機器(hand held electronic device)100の前面図である。図示の実施形態において示す手持ち電子機器の種類は、近距離無線通信機能およびワイヤレス充電機能を組み込んだ無線周波数携帯電話であるが、近距離無線通信機能およびワイヤレス充電機能を組み込んだ他の種類の機器についても、本願に関連する。言い換えると、本願は一般的に、具体的に示している種類以上の手持ち電子機器に適用可能である。手持ち電子機器での複数種類のワイヤレス充電および近距離無線通信の組み込みおよび管理において本願と付加的に関連し得る適当な手持ち電子機器のいくつかの別の例としては、タブレット、コードレス電話、選択呼び出し受信機、オーディオプレーヤ、ゲーム機、携帯情報端末(パーソナルデジタルアシスタント)のほか、ワイヤレス充電および1つもしくは複数の形態の近距離無線通信の両方または一方を行うのが望ましいと考えられる少なくとも時折携帯し得るその他任意の形態の手持ち電子機器が挙げられる。
【0014】
図示の実施形態において、無線周波数携帯電話は、前面の大部分を占有するディスプレイ102を具備する。少なくともいくつかの例において、ディスプレイは、該ディスプレイ102を介してユーザに提示されている視覚要素との相互作用等、ディスプレイの少なくとも一部の部分に対する1つまたは複数のユーザ入力の検出を容易化するタッチセンサ式マトリクスを内蔵し得る。いくつかの例において、視覚要素としては、ユーザが相互作用し得るオブジェクトも可能である。他の例において、視覚要素は、ユーザが相互作用および作動選択し得るかまたはユーザが相互作用もしくは作動選択し得る1つもしくは複数の仮想キーおよび1つもしくは複数のボタンの両方または一方を含むキーボードの視覚表示の一部を構成可能である。機器100は、1つまたは複数の仮想ユーザ作動可能ボタンまたはキーのほか、1つまたは複数の物理ユーザ作動可能ボタン104を具備し得る。図示の特定の実施形態において、機器は、その右側に沿って位置付けられた3つのこのようなボタンを有する。
【0015】
また、
図1に示す例示的な手持ち電子機器は、音声通信を支援するスピーカ106およびマイク108をさらに具備する。スピーカ106は、音声信号の再生に別途対応していてもよく、楽曲の再生に用いられるような独立した信号または少なくとも音声成分および視覚成分を有し得る映画の再生に用いられるようなマルチメディア提示の一部が可能である。また、スピーカは、振動効果を生じる機能も含み得る。ただし、いくつかの例において、振動効果の意図した生成は、機器内部の別個の要素(図示せず)と関連付けられていてもよい。一般的に、スピーカは、機器の頂部近くに位置付けられ、音声通信を支援する使用に際して上方を向く機器の各部に一致した配向に対応する。このような例において、スピーカ106は、ユーザの耳との合致を意図していてもよく、マイク108は、ユーザの口との合致を意図していてもよい。また、図示の実施形態においては、機器の頂部近くに前面カメラ110も位置付けられている。
【0016】
図2は、
図1に示した例示的な手持ち電子機器100の背面図である。例示的な手持ち電子機器の背面図においては、前面図でも視認可能な3つの物理ユーザ作動可能ボタン104が同様に見られる。例示的な手持ち電子機器は、フラッシュ204を備えた後面カメラ202のほか、データおよび電源信号またはデータもしくは電源信号の受信に使用可能なケーブル接続を受けるように大略構成されたシリアルバスポート206をさらに具備する。さらに、図示の実施形態には、後側表面に近い領域210を含んでおり、近距離無線通信およびワイヤレス充電または近距離無線通信もしくはワイヤレス充電といった機能に対応する1つまたは複数のループアンテナが含まれる。1つまたは複数のループアンテナは、機器内部に位置付け可能であり、機器100の後側表面の直下である場合が多い。
【0017】
図3は、少なくとも1つの実施形態に係る、手持ち電子機器100のブロック
図300である。図示の実施形態において、手持ち電子機器100は、該機器100の動作の少なくとも一部を管理するように構成されたコントローラ302を具備する。いくつかの実施形態において、コントローラ302は、1つまたは複数のコントローラモジュールの少なくとも一部の動作の構成または実行に使用可能な1つまたは複数の組の予め格納された命令(pre-stored instruction)304を実行するように構成された1つまたは複数のマイクロプロセッサの形態で実装することも可能である。1つまたは複数の組の予め格納された命令304は、記憶要素306に格納されていてもよく、これは、コントローラ302の一部として一体化されているように示しているが、この追加または代替として、コントローラ302に用いる予め格納された命令の少なくとも一部を格納する何らかのデータ格納機能を含んでいてもよく、コントローラ302に対して独立するとともに結合されている。
【0018】
記憶要素306としては、従来のROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、またはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)等、1つまたは複数の形態の揮発性および不揮発性メモリまたは揮発性もしくは不揮発性メモリが挙げられる。また、考え得る別のデータ格納機能としては、ハードドライブ、フロッピードライブ、またはメモリスティック等、固定または取り外し可能な1つまたは複数の形態の補助記憶装置が挙げられる。さらに、当業者には当然のことながら、本開示の教示内容から逸脱することなく、さらに別の形態の記憶要素を使用することも可能である。同じ例または他の例において、コントローラ302は、該コントローラ302と関連付けられたモジュールおよび機能またはモジュールもしくは機能のうちのいくつかを少なくとも部分的に実行するのに使用可能な状態機械および論理回路または状態機械もしくは論理回路を追加または代替として内蔵していてもよい。
【0019】
図示の実施形態において、機器は、コントローラ302に結合されるとともに、1つまたは複数の形態の通信を用いた無線通信を含む外部データ通信の管理に役立つ1つまたは複数の送受信機308をさらに具備する。このような例において、送受信機はそれぞれ一般的に、無線通信信号の放射および受信を行う対応アンテナ310に結合されることになる。たとえば、1つまたは複数の送受信機308としては、全地球測位システムとの通信に対応する受信機、セルラー無線周波数通信に対応する送受信機、Bluetooth(登録商標)型通信に対応する送受信機のほか、Wi−Fi(登録商標)型通信に対応する送受信機が挙げられる。この追加および代替または追加もしくは代替として、他の形態の通信用の送受信機も可能である。各送受信機は、別個のアンテナと関連付けられている場合が多いものの、いくつかのアンテナは、複数の形態の通信のほか、潜在的にいくつかの形態の近距離無線通信に対応可能であってもよい。たとえば、少なくともいくつかの例において、セルラー通信に対応するアンテナは、能動負荷変調に対応して利用し得る近距離無線通信等、いくつかの形態の近距離無線通信で用いる単一巻きループアンテナ(single turn loop antenna)の構成にも対応可能であることが想定される。
【0020】
機器100は、1つまたは複数の送受信機308のほか、近距離無線通信に対応する各アンテナ構造314に結合された近距離無線通信制御回路312をさらに具備する。少なくともいくつかの例においては、近距離無線通信に対応する制御回路312を与えるチップセットが利用可能であってもよい。
【0021】
さらに、手持ち電子機器は、その他の回路要素に電力を供給するために後で使用可能なバッテリ、キャパシタ、または他のエネルギー貯蔵装置等の電力貯蔵要素316をさらに具備する。他の回路要素に電力を供給可能であることと併せて、電力貯蔵要素は、受電も可能であり、受電電力の少なくとも一部を後で配分利用可能である。少なくともいくつかの例において、電力貯蔵要素が受電する電力は、1つまたは複数のワイヤレス充電回路318等の1つまたは複数の充電回路のほか、上述のシリアルバスポート206等の1つまたは複数の有線接続から受電されることになる。図示の実施形態において、機器100は、少なくとも一対のワイヤレス充電回路320および322を具備可能であり、これらはそれぞれ、充電ループ324および326に対応し得る。
【0022】
充電ループは、適正に調節された機器100外部の別の対応する関連コイルに対する誘導的または疎結合磁気共鳴(loosely coupled magnetic resonance)による結合が意図されているため、対応する関連コイルのうちの第1のコイルに生じる電流の変化は、電磁界によって他方の関連コイルと相互作用することにより、この他方の関連コイルの電流の変化を誘導することになる。対応する関連コイルに生じる電流の誘導変化は、対応するワイヤレス充電回路による使用によって、手持ち電子機器に含まれる電子回路への給電に利用可能な電力の生成、および、手持ち電子機器の電子回路へのその後の給電に利用可能な電力貯蔵要素316に対する給電もしくは充電に利用可能な電力の生成、の両方または一方を行うことができる。
【0023】
図示の実施形態において、充電ループ324および326は、近距離無線通信制御回路312と関連付けられたアンテナ314と併せて、多重コイル構造の一部である。少なくともいくつかの例において、充電ループ324および326ならびにアンテナ314は、機器の表面領域の単一共通部の近くで一般的に通信およびワイヤレス充電または通信もしくはワイヤレス充電に対応する同心ループを構成している。機器の表面領域の単一共通部には、機器の外部表面またはその近傍に位置付けられた1つまたは複数の関連する充電ループおよびアンテナを含み、図示の実施形態において、各ループ構造は、機器100の外部後面の部分210の直下に位置付けられている。
【0024】
図示の実施形態において、機器100は、ユーザインターフェース回路328をさらに具備し得る。たとえば、ユーザインターフェース回路328は、ディスプレイ102を具備可能であり、これはさらに、タッチセンサ式アレイ330に対応していてもよい。また、ユーザインターフェース回路は、スピーカ106、マイク108、1つまたは複数のユーザ作動可能スイッチ104、振動要素332、および1つまたは複数のカメラ110、202を具備していてもよい。さらには、本発明の教示内容から逸脱することなく、代替および追加形態のユーザインターフェース要素が可能であってもよい。
【0025】
図4は、少なくとも1つの実施形態に係る、複数種類のワイヤレス充電および近距離無線通信に対応する複数のループアンテナ、充電コイル、およびフェライト構造を含む多重コイル構造400の例示的なレイアウトを示している。より具体的に、多重コイル構造400は、1つまたは複数のループを形成した導体経路を含む内側充電コイル402を具備する。一般的に、ループは、時計回り方向または反時計回り方向の一方で等しく、2つの端部の一方から2つの端部の他方まで延びることになる。たとえば、図示の実施形態において、内側充電コイルの対応するループは、最も内側のループに対応する端部404から最も外側のループに対応する端部406に向かって見た場合に、時計回り方向に延びているように見られる。内側充電コイル402のループは、独立した外部充電器構造と関連付けられたコイルに対して少なくとも1つの所望の共鳴度となるように構成および寸法規定されている。また、内側充電コイル402および独立した充電器構造と関連付けられたコイルが誘導結合することにより、独立した充電器構造と関連付けられたコイルを伝わる電流によって、機器100の内側充電コイル402に電流を誘導可能である。
【0026】
多重コイル構造400は、内側充電コイル402の外側境界の外側の領域に位置付けられた外側充電コイル408をさらに具備する。外側充電コイル408も同様に、時計回り方向または反時計周り方向の一方で2つの端部410の一方から延びている。3つのループ構造に一対の交差点412を有することにより、ループは、その両端410をループ構造の同じ外側に位置付けることができる。交差には、一対のビアおよび導体経路が位置付けられた基板の異なる層上に存在する接続導体を含み得る。また、基板の平面層から延出可能なワイヤ導体は、一対の貫通孔または搭載パッドと選択的に端部を結合可能であり、基板の層中の面内トレース導体を横断可能であるとともに、短絡なく面内トレース導体と交差可能である。内側充電コイル402と同様に、外側充電コイル408のループは、独立した外部充電器構造と関連付けられたコイルに対して少なくとも1つの所望の共鳴度となるように構成および寸法規定されている。また、外側充電コイル408および独立した充電器構造と関連付けられたコイルが磁気結合することにより、独立した充電器構造と関連付けられたコイルを伝わる電流によって、機器100の外側充電コイル408に電流を誘導可能である。
【0027】
図示の実施形態において、内側充電コイルは、WPC(Wireless Power Consortium:ワイヤレスパワーコンソーシアム)InductiveおよびPMA(Power Matters Alliance:パワーマターズアライアンス)Inductiveを含む少なくとも2つのワイヤレス規格のうちの1つまたは複数に従う誘導ワイヤレス充電と称することが多いワイヤレス充電形態と関連付け可能である。このような充電の種類は一般的に、100kHz〜300kHzで動作し、現在、約5Wのオーダの送信機出力に対応している。図示の実施形態において、外側充電コイルは、A4WP(Alliance for Wireless Power:アライアンスフォーワイヤレスパワー)Resonant等のワイヤレス充電規格に対する対応および包含または対応もしくは包含が可能な共鳴ワイヤレス充電と称することが多いワイヤレス充電形態と関連付け可能である。上記特定した共鳴ワイヤレス充電規格は、6MHz〜7MHzの周波数で動作し、現在、約16Wのオーダの送信機出力に対応している。共鳴ワイヤレス充電規格は、給電用の2つの誘導結合コイルの位置決めの自由度が高いという利益をさらに享受しており、適正に位置決めおよび整列された機器を受容可能な表面との対照または追加として、充電対象の機器を受容可能なボール型構造を含み得る場合がある。
【0028】
図示の実施形態において、多重コイル構造400は、近距離無線通信に対応するコイル構造414をさらに具備する。近距離無線通信に対応するコイル構造414は、1つまたは複数の部分を含み得る。図示の実施形態において、コイル構造414は、3つの部分を含む。第1の部分416には、内側充電コイル402の内側境界領域の内側の領域に位置付けられたコイル構造414の部分を含む。第2の部分418には、内側充電コイル402の外側境界領域の外側と外側充電コイル408の内側境界領域の内側との間の領域に位置付けられたコイル構造414の部分を含む。第3の部分420には、外側充電コイル408の外側境界領域の外側の領域に位置付けられたコイル構造414の部分を含む。内側充電コイル402および外側充電コイル408と同様に、コイル構造は一般的に、該コイル構造を構成する導体が2つの端部422間で延びる場合、開始する端部に応じて、時計回り方向または反時計周り方向の一方に従う。
【0029】
図4に示す近距離無線通信に対応するコイル構造414の3つの部分はそれぞれ、異なる種類の近距離無線通信を対象とするように構成されている。たとえば、第1の部分416すなわち内側部分は、Bluetooth(登録商標)ヘッドセット等のアクセサリ装置と関連付けられたタグを含む近距離無線通信タグとより良く相互作用するように構成されている。これにより、アクセサリと機器との間の対応する近距離無線通信は、アクセサリと機器100とのペアリングへの対応に役立ち得る。少なくともいくつかの例において、第1の部分416すなわち内側部分は、およそ10mm〜15mmの範囲に一致するコイル径を有することになる。第2の部分418すなわち中間部分は、支払い端末と関連付けられた近距離無線通信形態とより良く相互作用するように構成されている。少なくともいくつかの例において、第2の部分418は、およそ45mm〜50mmの範囲に一致するコイル径を有することになる。第3の部分420すなわち外側部分は、輸送システムのリーダと関連付けられた近距離無線通信とより良く相互作用するように構成されている。少なくともいくつかの例において、第3の部分420は、およそ60mm〜65mmの範囲に一致するコイル径を有することになる。
【0030】
多重コイル構造400は、該多重コイル構造の一部として含まれるさまざまなコイルのうちの1つまたは複数に近い1つまたは複数のフェライト要素をさらに具備し得る。誘導結合の一部としての複数のコイルは、関連する磁界を有することになる。フェライト要素は、対応する磁力線の位置および方向の誘導に役立つことを意図した調節戻り経路の提供を意図したものである。フェライト要素の性質の選択においては、さまざまな関心周波数におけるフェライト材料の透磁率に着目する。いくつかの例において、対応するフェライト要素は、複数のコイルと関連付け可能であり、関連付けられたコイルはそれぞれ、形状および動作周波数が異なることになる。このような例においては、フェライト要素の特徴を妥協することによって、関連する複数のコイルの潜在的に変動する動作特性に対応することが必要となり得る。
【0031】
図示の実施形態において、多重コイル構造400は、内側充電コイル402および近距離無線通信に対応するコイル構造414の第1の部分416と関連付けられた第1のフェライト要素424を具備する。この例示的な実施形態の第1のフェライト要素424は、第1のハッチング領域と関連付けられている。第2のフェライト要素426は、外側充電コイル408のほか、近距離無線通信に対応するコイル構造414の第2の部分418および第3の部分420と関連付けられている。第2のフェライト要素426は、第2のハッチング領域と関連付けられている。図示の実施形態において、第1のフェライト要素424は、使用する材料の種類のほか、材料のサイズおよび厚さの選択において、内側充電コイルと関連付けられた誘導充電の特徴を考慮に入れている。第2のフェライト要素426は、使用する材料の種類のほか、材料のサイズおよび厚さの選択において、共鳴充電のほか、近距離無線通信の少なくとも一部の態様と関連付けられた特徴を考慮に入れている。
【0032】
図5は、少なくとも1つの別の実施形態に係る、複数種類のワイヤレス充電および近距離無線通信に対応する複数のループアンテナ、充電コイル、およびフェライト構造を含む多重コイル構造500の例示的なレイアウトである。
図5に示す実施形態において、コイル構造は、
図4に示した構造と実質的に同じである。ただし、この別の実施形態は、補助的なフェライト要素を設けるさらに別の手法を提供している。
図4の構造では、2つのフェライト要素を有していたが、
図5は、4つのフェライト要素を含む実施形態を表している。この代替実施形態において、第1のフェライト要素424は、
図4にて論じた第1のフェライト要素に類似しており、内側充電コイル402および近距離無線通信に対応するコイル構造414の第1の部分416と関連付けられている。第2のフェライト要素502は、近距離無線通信に対応するコイル構造414の第2の部分418と関連付けられている。第3のフェライト要素504は、外側充電コイル408と関連付けられており、第4のフェライト要素506は、近距離無線通信に対応するコイル構造414の第3の部分420と関連付けられている。このように、共鳴充電および近距離無線通信の両者への対応に関連して、
図4に示す第2のフェライト要素426と関連付けられた妥協を最小化および回避可能であるかまたは最小化もしくは回避可能である。少なくともいくつかの例において、第2のフェライト要素502および第4のフェライト要素506の両者に選択する材料の種類は、同一または実質的に同様とすることができる。
【0033】
図6および
図7は、少なくとも1つの実施形態に係る、フェライト構造、近距離無線通信に対応する少なくとも1つのループアンテナ部、およびワイヤレス充電に対応する少なくとも1つの充電コイル部を含む多重コイル構造の例示的な部分レイアウトである。より具体的に、フェライト構造は、内側充電コイル402および近距離無線通信に対応するコイル構造414の第1の部分416と関連付けられている。各例においては、多重コイル構造のこの部分に対して、一対のフェライト構造602および604を示している。
図6において、第2のフェライト要素604は、第1のフェライト要素602の内部切り欠きまたは開口に差し込まれている。あるいは、
図7において、第2のフェライト要素704は、第1のフェライト要素702上に積み重ねられて示されており、
図7において、第2のフェライト要素は、第1のフェライト要素を受容可能な切り欠きまたは開口を有していない。これらのように、コイル構造414の第1の部分416の近距離無線通信に対して、内側充電コイルの誘導充電の別の動作要件に対応する、より高度にカスタマイズまたは調節されたフェライト構造を提供可能である。
【0034】
以上、本発明の好適な実施形態を図示および説明したが、本発明は、これらに限定されないことが了解されるものとする。当業者であれば、添付の特許請求の範囲が規定する本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、多くの改良、変更、変形、置換、および同等物に想到するであろう。