(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1.製造装置により製造される蓄電材料)
本実施形態による蓄電材料の製造装置は、例えば、リチウムイオン二次電池の電極(正極および負極)を製造するための装置を構成する。リチウムイオン二次電池の電極は、アルミニウム箔や銅箔等の基材に蓄電材料として活物質材料のスラリを塗布して乾燥することにより製造される。本実施形態の蓄電材料の製造装置は、活物質材料のスラリを製造する装置である。
【0013】
活物質材料の具体例としては、正極の電極の場合、活物質としてリチウムニッケル酸化物等(固形分)、溶媒としてN−メチルピロリドン等(液体分)、導電助材としてアセチレンブラック等およびバインダとしてポリフッ化ビニリデン等がある。負極の電極の場合、活物質としてグラファイト等(固形分)、溶媒として水(液体分)、増粘材としてカルボキシメチルセルロース等およびバインダとしてSBRゴムやポリアクリル酸等がある。
【0014】
(2.蓄電材料の製造装置の構成)
本実施形態の蓄電材料の製造装置について、
図1を参照して説明する。蓄電材料の製造装置1は、溶解装置2と、粘度調整装置3と、混練装置4と、製造制御装置5等とを備えて構成される。
【0015】
溶解装置2は、増粘剤を溶媒に溶解する装置であり、ハウジング21と、マイクロ波装置22と、ホッパ23と、供給管路24と、溶解度判定装置25(本発明の「溶解度判定手段」に相当)等とを備えている。ハウジング21は、中空円筒形状に形成されている。マイクロ波装置22は、マグネトロンを備え、ハウジング21の上面上部に配置されている。ホッパ23は、増粘剤を収容してハウジング21内に供給可能なように、ハウジング21の上面に突設されている。供給管路24は、溶媒をハウジング21内に供給可能なように、ハウジング21の下面に配管されている。溶解度判定装置25は、導電率計を備え、ハウジング21の上面から内部に差し込まれている。
【0016】
粘度調整装置3は、増粘剤の溶解液の粘度を調整する装置であり、ハウジング31と、超音波装置32と、導入管路33等とを備えている。ハウジング31は、中空円筒形状に形成されている。超音波装置32は、ハウジング31の外周に配置され、圧電素子等の超音波発生素子がハウジング31の外周面に密着固定されている。導入管路33は、溶解装置2のハウジング21内の増粘剤の溶解液をハウジング31内に導入可能なように、溶解装置2のハウジング21の周壁とハウジング31の上面との間に配管されている。
【0017】
混練装置4は、粘度が調整された増粘剤の溶解液および活物質を混練する装置であり、ハウジング41と、撹拌羽根42と、駆動モータ43と、ホッパ44と、導入管路45と、排液管路46等とを備えている。ハウジング41は、中空円筒形状に形成されている。撹拌羽根42は、ハウジング41の内部において回転可能なように、撹拌羽根42の回転軸が、ハウジング41の上面の中心部に軸支持されている。駆動モータ43は、ハウジング41の上面上部に固定され、駆動モータ43のモータ軸が、撹拌羽根42の回転軸に連結されている。
【0018】
ホッパ44は、活物質の粉末等を収容してハウジング41内に供給可能なように、ハウジング41の上面に突設されている。導入管路45は、粘度調整装置3のハウジング31内の増粘剤の溶解液をハウジング41内に導入可能なように、粘度調整装置3のハウジング31の下面とハウジング41の下面との間に配管されている。排液管路46は、活物質材料のスラリを外部に排液可能なように、ハウジング41の周面に配管されている。
【0019】
製造制御装置5は、記憶部51と、溶解制御部52と、粘度調整部53と、混練制御部54と、溶解度判定部55(本発明の「溶解度判定手段」に相当)と、粘度推定部56(本発明の「粘度推定手段」に相当)等とを備えている。
記憶部51には、増粘剤の溶解液の導電率と増粘剤の溶解液の溶解度との関係を示すデータ(
図3参照)、増粘剤の溶解液の溶解度と増粘剤の溶解液の粘度との関係を示すデータ(
図4参照)、活物質材料のスラリの粘度と増粘剤の溶解液の粘度との関係を示すデータ(
図6参照)、増粘剤の溶解液の粘度と超音波の付与時間との関係を示すデータ(
図7参照)、その他の溶解制御、粘度調整、混練制御等に関するデータが記憶されている。
【0020】
溶解制御部52は、溶解装置2の動作を制御する制御部であり、マイクロ波装置22を駆動してマイクロ波を発生させ、ハウジング21内に供給された溶媒にマイクロ波を付与して増粘剤を溶媒に溶解して増粘剤の溶解液を製造する。溶解度判定部55は、溶媒に増粘剤を溶解するときの増粘剤の溶解液の導電率を測定して溶解度を判定する。すなわち、溶解制御部52は、増粘剤が溶媒に例えば80%以上の溶解度で溶解したことが溶解度判定部55で判定されるまで、溶媒にマイクロ波を所定時間付与して増粘剤を溶解する制御を行う。そして、粘度推定部56は、溶解度判定部55で判定した増粘剤の溶解液の溶解度に基づいて、増粘剤の溶解液の粘度を推定する。
【0021】
粘度調整部53は、粘度調整装置3の動作を制御する制御部であり、超音波装置32を駆動して超音波を発生させ、ハウジング31内に供給された増粘剤の溶解液に超音波を付与して増粘剤の溶解液の粘度を調整する。すなわち、最終的な活物質材料のスラリの粘度に基づいて、増粘剤の溶解液の粘度を決定し、決定した増粘剤の溶解液の粘度となるように、超音波を所定時間付与する粘度調整を制御する。
【0022】
混練制御部54は、混練装置4の動作を制御する制御部であり、駆動モータ43を駆動して撹拌羽根42を回転させ、ハウジング41内に供給された増粘剤の溶解液および活物質等を撹拌して活物質材料のスラリを製造する。詳細は後述するが、活物質材料の粒子の運動エネルギ、活物質材料の粒子の平均自由行程および活物質材料の混練時間に基づいて、混練の指標を設定する。そして、設定した混練の指標が目標値以下となるように混練の条件を設定し、設定した混練の条件にしたがって活物質材料の混練を制御する。
【0023】
(3.製造制御装置による処理)
次に、製造制御装置5による処理について、
図2を参照して説明する。
図2に示すように、増粘剤の溶解に関するデータを読み込み(ステップS1)、増粘剤および溶媒を溶解装置2に投入する(ステップS2)。そして、溶解装置2を駆動し(ステップS3)、増粘剤の溶解液の溶解度が例えば80%以上になったか否かを、増粘剤の溶解液の導電率が所定値に達したか否かにより判断する(ステップS4)。そして、増粘剤の溶解液の導電率が所定値に達したら、溶解装置2の駆動を停止する(ステップS5)。
【0024】
具体的には、溶解制御部52は、記憶部51から増粘剤および溶媒の各質量のデータおよび増粘剤の溶解液の導電率と増粘剤の溶解液の溶解度との関係を示すデータを読み出す。そして、所定量の増粘剤をホッパ23を介してハウジング21内に投入するとともに、所定量の溶媒を供給管路24を介してハウジング21内に投入し、マイクロ波装置22を駆動しハウジング21内の溶媒にマイクロ波を付与して増粘剤を溶解する。溶解度判定部55は、溶解度判定装置25で増粘剤の溶解液の導電率を測定して増粘剤の溶解液の溶解度を判定する。そして、
図3に示すように、溶解制御部52は、増粘剤の溶解液の導電率がηgを超えて増粘剤の溶解液の溶解度が例えば80%以上になったことが溶解度判定部55で判定されたら、マイクロ波装置22の駆動を停止する。
【0025】
ここで、増粘剤の溶媒に対する溶解について説明する。
図3に示すように、溶媒に増粘剤を投入した直後の溶媒に増粘剤が溶解していないとき、すなわち溶解度0%のときの増粘剤の溶解液の導電率をηoとすると、溶解度が80%になると増粘剤の溶解液の導電率はηg(>ηo)に上昇し、溶媒に増粘剤が完全に溶解したとき、すなわち溶解度100%のときの増粘剤の溶解液の導電率はηs(>ηg)まで上昇する。よって、増粘剤の溶媒に対する溶解度は、増粘剤の溶解液の導電率を監視することにより判定することができる。これにより、増粘剤を液体の溶媒に溶解している途中で溶解装置2を止めなくても、増粘剤の溶解度を判定することができるので、生産効率を大幅に向上することができる。また、溶解装置2の過剰な運転を防止することができるので、省エネルギ効果を得ることができる。
【0026】
増粘剤の溶媒に対する溶解度の判定は、溶解したときにイオン化する粉体の増粘剤を液体の溶媒に溶解する場合に適用可能である。例えば、溶媒として水を用いる場合、水単体ではイオン分を持っていないため電気が流れないが、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを用いると、カルボキシメチルセルロースがイオン化して水に溶けるため、その溶解液は電気が流れる。よって、カルボキシメチルセルロースの水に対する溶けた量により導電率は変化することになる。従って、増粘剤の溶解液の導電率を監視することにより、増粘剤の溶媒に対する溶解度を判定することができる。
【0027】
さらに、
図4に示すように、溶媒に増粘剤を投入した直後の溶媒に増粘剤が溶解していない溶解度0%のときの増粘剤の溶解液の粘度をμoとすると、溶解度が80%になると増粘剤の溶解液の導電率はμg(>μo)に上昇し、溶媒に増粘剤が完全に溶解した溶解度100%のときの増粘剤の溶解液の粘度はμs(>μg)まで上昇する。よって、増粘剤の溶媒に対する粘度は、増粘剤の溶解液の溶解度に基づいて推定することができる。これにより、増粘剤が良好に溶解した溶解液であるか否かを判断することができる。
【0028】
増粘剤の溶媒に対する溶解は、従来のように撹拌することにより行ってもよいが、本実施形態ではマイクロ波により溶媒を振動させて増粘剤を溶媒に溶解している。
図5に示すように、マイクロ波の振動による溶媒に対する増粘剤の溶解の方が、撹拌力による溶媒に対する増粘剤の溶解や加熱、例えば高温にした溶媒に対する増粘剤の溶解よりも効率よく行うことができるためである。すなわち、増粘剤の溶解液の目標値である粘度μsに調整する増粘剤溶解時間Tは、撹拌力による場合はT12、加熱による場合はT13(>T12)掛かるのに対し、マイクロ波による場合はT11(<T12<T13)に短縮することができる。よって、マイクロ波による溶解に必要な電力は、撹拌力による溶解に必要な電力よりも低減される。
【0029】
マイクロ波による溶解は、溶媒にマイクロ波を照射して振動させ、溶媒を増粘剤に浸透させることにより行っている。このマイクロ波の周波数帯域としては、溶媒がマイクロ波のエネルギを吸収し易い帯域が望ましく、例えば溶媒として水を使用する場合、0.9GHz〜400GHzの周波数帯域が使用される。
【0030】
次に、粘度調整に関するデータを読み込み(ステップS6)、増粘剤の溶解液を粘度調整装置3に導入する(ステップS7)。そして、粘度調整装置3を駆動し(ステップS8)、所定の粘度調整時間経過したか否かを判断する(ステップS9)。所定の粘度調整時間経過したら、粘度調整装置3の駆動を停止する(ステップS10)。具体的には、粘度調整部53は、溶解装置2のハウジング21内の増粘剤の溶解液を導入管路33を介してハウジング31内に導入する。そして、超音波装置32を駆動して超音波をハウジング31内の増粘剤の溶解液に所定の粘度調整時間付与する。
【0031】
ここで、増粘剤の溶解液の粘度調整について説明する。
図6に示すように、最終的な活物質材料のスラリの粘度νは、増粘剤の溶解液の粘度μと比例関係にある。よって、増粘剤の溶解液の粘度μを所定値に調整することにより、活物質材料のスラリの粘度νを電池の初期性能および塗布・乾燥工程の実行性の兼ね合いから定められる所定範囲内νa〜νbに調整することができる。
【0032】
増粘剤の溶解液の粘度μは、
図6に示す所定の粘度範囲内μa〜μb又は当該所定の粘度範囲の上限値μbより所定値高い値μcに調整する。増粘剤の溶解液の粘度を最終的な活物質材料のスラリ粘度に近い所定の粘度範囲内μa〜μbに調整することで、活物質の粉末等との混練を行い最終的な活物質材料のスラリ粘度を得るための粘度調整時間を短縮することができる。よって、活物質がせん断力を受ける時間は短縮されるので、活物質の損傷を低くすることができる。また、増粘剤の溶解液の粘度μが、上限値μbより所定値高い値μcになっても、後で溶媒を加えることにより所定の粘度範囲内μa〜μbに調整可能だからである。
【0033】
増粘剤の溶解液の粘度調整は、従来のように撹拌力によるせん断エネルギで増粘剤の分子鎖を切断することにより行ってもよいが、本実施形態では超音波による衝突エネルギとせん断エネルギで増粘剤の分子鎖を切断することにより行っている。
図7に示すように、超音波による増粘剤の溶解液の粘度調整の方が、撹拌力による増粘剤の溶解液の粘度調整よりも効率よく調整できるためである。
【0034】
すなわち、増粘剤の溶解液の目標値である粘度μpに調整する時間Tは、撹拌力による場合はT2掛かるのに対し、超音波による場合はT1(<T2)に短縮することができる。よって、超音波による粘度調整に必要な電力は、撹拌力による粘度調整に必要な電力よりも低減される。なお、増粘剤の溶解液の粘度μは、粘度調整時間Tの経過とともに低下していき、最終的に水の粘度に収束する。
【0035】
次に、
図2に示すように、増粘剤の溶解液および活物質の粉末等の混練に関するデータを読み込み(ステップS11)、増粘剤の溶解液および活物質の粉末等を混練装置4に導入する(ステップS12)。そして、混練装置4を駆動し(ステップS13)、所定の混練時間経過したか否かを判断する(ステップS14)。所定の混練時間経過したら、混練装置4の駆動を停止し(ステップS15)、最終的な活物質材料のスラリを製造する。
【0036】
具体的には、混練制御部54は、記憶部51から増粘剤の溶解液および活物質の粉末等の各質量のデータおよび混練時間のデータを読み出し、所定量の活物質の粉末等をホッパ44を介してハウジング41内に投入するとともに、所定量の増粘剤の溶解液を導入管路45を介してハウジング41内に導入する。そして、駆動モータ43を駆動して撹拌羽根42を所定の混練時間回転する。
【0037】
ここで、混練の指標および条件の設定について説明する。
図8の実験結果に示すように、活物質材料のスラリの粘度νの上昇に伴って電池の容量維持率P、すなわち電池の耐久性(繰り返し充放電特性)は上昇する。ところが、混練装置の撹拌羽根の混練周速vを高めると(va<vb)、活物質材料のスラリの粘度νが同一になるように混練しても、電池の容量維持率Pは低下する。活物質材料の粒子は、撹拌羽根の混練周速vが速くなると混練中の衝突回数が多くなって損傷する確率が高くなる。そして、活物質材料の粒子が損傷して小さく分裂すると、表面積が増大し電解液の分解が促進される。以上のことから、電池の容量維持率Pは、活物質材料の粒子の損傷が大きく関わっていることが考えられる。
【0038】
活物質材料の粒子の損傷の要因としては、撹拌羽根の混練周速vの他に、活物質材料の混練時間tや活物質材料の固形分率(固形分/(固形分+液体分))ηが考えられる。そこで、既知の平均自由行程に基づいて、活物質材料の粒子が所定空間内を自由運動するモデルで活物質材料の粒子の衝突回数を求める。そして、次式(1)に示すように、活物質材料の粒子の運動エネルギmv
2/2と活物質材料の粒子の衝突回数√(2)・η・σ・vと活物質材料の混練時間tとを乗算することにより、混練の指標となる活物質材料の累積衝突エネルギDを求めることができる。これにより、混練する前の段階で混練での活物質材料の粒子の損傷状態を予測することができる。
【0039】
【数1】
ここで、D:活物質材料の粒子の累積衝突エネルギ、m:活物質材料の単粒子重量、v:撹拌羽根の混練周速、η:活物質材料の固形分率、σ:活物質材料の粒子の平均粒径、t:活物質材料の混練時間
【0040】
そして、
図9に示すように、電池の容量維持率Pと活物質材料の累積衝突エネルギDとの関係を求める。この関係は、活物質材料の粒子の損傷の要因となる撹拌羽根の混練周速v、活物質材料の固形分率η(固形分率は、固形分と液体分との比率を変化させる)および活物質材料の混練時間tを調整することにより求める。そして、このときの関係式P=f(D)を求め、必要最低限の電池の容量維持率Ppとなる活物質材料の累積衝突エネルギDpを求め、活物質材料の累積衝突エネルギがDp以下となる混練の条件、すなわち撹拌羽根の混練周速v、活物質材料の固形分率ηおよび活物質材料の混練時間tを設定する。
【0041】
上述したように、活物質材料の粒子の平均自由行程に基づいて、活物質材料の粒子が所定空間内を自由運動するモデルで活物質材料の粒子の衝突回数を求めている。よって、この活物質材料の粒子の衝突回数と活物質材料の運動エネルギと活物質材料の混練時間とを乗算することにより活物質材料の累積衝突エネルギを求めることができ、電池の耐久性の指標として用いることができる。そして、混練する前の段階で混練での活物質材料の粒子の損傷状態を予測することができるので、活物質材料の粒子が損傷し難い混練を行うことができる。よって、耐久性の高い電池の製造が可能となる。
【0042】
上述の蓄電材料の製造装置1によれば、以下の効果を得ることができる。すなわち、従来は、増粘剤、溶媒および活物質の粉末等を混練装置に一括投入して撹拌することにより、増粘剤の溶解、活物質の粉末等の分散およびこれらの粘度調整を1台の混練装置で行っており、活物質が長時間にわたってせん断力を受けるため、活物質の損傷を招くおそれがあった。しかし、本実施形態では、増粘剤を溶媒に溶解する溶解装置2と、増粘剤の溶解液の粘度を調整する粘度調整装置3と、粘度調整した増粘剤の溶解液に活物質の粉末等を分散・混練する混練装置4とにおいてそれぞれ行っており、活物質がせん断力を受ける時間は短縮されるので、活物質の損傷を抑制することができる。よって、良好な電池性能を得ることができる。また、特に時間が掛かる増粘剤の溶解、増粘剤の溶解液の粘度調整および活物質の粉末等の分散・混練を並行して行うことができるので、さらに生産効率を高めることができる。
【0043】
なお、上述の実施形態では、マイクロ波装置22を有する溶解装置2および超音波装置32を有する粘度調整装置3を備える構成の蓄電材料の製造装置1について説明したが、溶解装置2を撹拌羽根を有する溶解装置に置き換えた構成の蓄電材料の製造装置、または粘度調整装置3を撹拌羽根を有する粘度調整装置に置き換えた構成の蓄電材料の製造装置としてもよい。また、溶解および粘度調整を1台の装置で行う構成の蓄電材料の製造装置としてもよい。また、撹拌羽根42を備える構成の混練装置4について説明したが、スクリュウを備える構成の混練装置としてもよい。
【0044】
また、上述の実施形態では、リチウムイオン二次電池の負極用の活物質材料を製造する場合について説明したが、リチウムイオン二次電池の正極用の活物質材料を製造する場合も適用可能である。その場合、ポリフッ化ビニリデン等のバインダをN−メチルピロリドン等の溶媒に対して溶解するときにマイクロ波を照射するが、当該溶解液にアセチレンブラック等の導電助材を混ぜるときは超音波を照射しない。アセチレンブラック等の導電助材の混ぜる量により溶解液の粘度が調整可能なためである。また、本発明が適用される蓄電材料としては、リチウムイオン二次電池の電極用の活物質材料に限定されるものではなく、蓄電材料であれば例えばキャパシタの材料等にも適用可能である。