【文献】
堤 幹宏,電子カルテ情報ネットワークシステムを用いた病診連携,医療情報学,日本医療情報学会,2004年 4月 1日,第24巻 第1号,p.11−14
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
診療に関する文書の種別を示す種別情報と該文書を作成した科を示す作成科情報と該文書の閲覧時を起点とする期間によって定められている保管期間を対応付けた第1の表に基づいて、対象となっている文書の種別情報及び作成科情報によって、該文書が保管期間を過ぎているか否かを判断する第1の判断手段と、
診療する科を示す診療科情報と診療に関する文書の閲覧時を起点とする期間によって定められている保管期間を対応付けた第2の表に基づいて、対象となっている文書を閲覧した診療科情報によって、該文書が保管期間を過ぎているか否かを判断する第2の判断手段と、
前記第1の判断手段及び前記第2の判断手段によって、対象となっている文書が保管期間を過ぎていると判断した場合は、該文書を保管している記憶手段から該文書を削除、圧縮、他の文書記憶装置に移動のいずれかの処理を行う削除手段
を具備することを特徴とする情報処理装置。
前記第2の判断手段は、前記第2の表に基づいて、対象となっている文書を閲覧した診療科情報及び予め定められた職種による閲覧であることを用いて、該文書が保管期間を過ぎているか否かを判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な一実施の形態の例を説明する。
図1は、本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、それらのモジュールとして機能させるためのコンピュータ・プログラム(コンピュータにそれぞれの手順を実行させるためのプログラム、コンピュータをそれぞれの手段として機能させるためのプログラム、コンピュータにそれぞれの機能を実現させるためのプログラム)、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)の場合にも用いる。「予め定められた」とは、対象としている処理の前に定まっていることをいい、本実施の形態による処理が始まる前はもちろんのこと、本実施の形態による処理が始まった後であっても、対象としている処理の前であれば、そのときの状況・状態に応じて、又はそれまでの状況・状態に応じて定まることの意を含めて用いる。「予め定められた値」が複数ある場合は、それぞれ異なった値であってもよいし、2以上の値(もちろんのことながら、全ての値も含む)が同じであってもよい。また、「Aである場合、Bをする」という意味を有する記載は、「Aであるか否かを判断し、Aであると判断した場合はBをする」の意味で用いる。ただし、Aであるか否かの判断が不要である場合を除く。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。もちろんのことながら、「システム」には、人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(社会システム)にすぎないものは含まない。
また、各モジュールによる処理毎に又はモジュール内で複数の処理を行う場合はその処理毎に、対象となる情報を記憶装置から読み込み、その処理を行った後に、処理結果を記憶装置に書き出すものである。したがって、処理前の記憶装置からの読み込み、処理後の記憶装置への書き出しについては、説明を省略する場合がある。なお、ここでの記憶装置としては、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、外部記憶媒体、通信回線を介した記憶装置、CPU(Central Processing Unit)内のレジスタ等を含んでいてもよい。
【0019】
本実施の形態である情報処理装置100は、バックアップした診療に関する文書を管理するものであって、
図1の例に示すように、登録(病院A)モジュール105、文書記憶A(平常時用)モジュール110、複写処理モジュール115、文書記憶B(緊急時用)モジュール130、薬処方情報(薬局)記憶モジュール135、薬情報インポートモジュール140、薬情報登録モジュール145、保管処理モジュール150、緊急時閲覧モジュール165を有している。
なお、情報処理装置100は、少なくとも保管管理モジュール155又は保管処理モジュール150を有していればよく、他のモジュールは、情報処理装置100と通信可能な他の情報処理装置に備えつけられていてもよい。
【0020】
大規模災害などの緊急時に、医師が来院した患者の診療(診察、治療等を含む)を行うため、バックアップした全文書から、必要な文書を特定して閲覧する必要がある。ここでの文書とは、電子文書のことをいう。なお、文書とは、主にテキストデータ、場合によっては図形、画像、動画、音声等の電子データ、又はこれらの組み合わせであり、記憶、編集及び検索等の対象となり、システム又は利用者間で個別の単位として交換できるものをいい、これらに類似するものを含む。具体的には、文書作成プログラムによって作成された文書、Webページ等を含む。
現在の状況では、特定の医療施設(病院、診療所、福祉施設等を含む)の文書だけが閲覧可能であり、他の医療施設での診療結果に関する文書、治療を受けた際に処方されている薬情報を確認できない。
緊急時に来院する患者(特に、既に他の医療施設で診療を受けている患者)を診療するため、通常の診療(初診)で必要とされる文書と異なる文書が必要である場合が多い。例えば、来院患者の既往歴、服薬情報、アレルギー、かかりつけ医の情報の把握が必要であるので、それらの情報が記載された文書が必要である。
そのために、複数の医療施設における診療に関する文書を保管(バックアップ)している文書記憶装置が提案されている。バックアップ用の文書記憶装置を他拠点に(例えば、インターネット上のクラウドとして)設け、災害時にも文書をアクセス可能とするものである。
その文書記憶装置の容量には上限があること、又はその文書記憶装置に保管中の文書は古くなるため、緊急時において必要性が低くなったものを削除するべきである。なお、削除の他に、圧縮、他の文書記憶装置に移動してもよい。以下、削除、圧縮、他の文書記憶装置に移動のいずれかの処理を、削除等という。
【0021】
登録(病院A)モジュール105は、文書記憶A(平常時用)モジュール110と接続されている。登録(病院A)モジュール105は、病院Aで利用されている文書(患者の診療に関する文書)を登録する。
文書記憶A(平常時用)モジュール110は、登録(病院A)モジュール105、複写処理モジュール115と接続されている。文書記憶A(平常時用)モジュール110は、診療に関する文書を保管する。例えば、病院Aにおいて通常の診察時に利用する文書保管リポジトリである。文書記憶A(平常時用)モジュール110は、保管する個々の文書に、患者ID、文書種類、診療科等の情報を付加して記録している。また、文書記憶A(平常時用)モジュール110は、通常の診療時に利用されることを目的としており、各文書の法定保管期限(例えば、5年等)を遵守する。
登録(病院A)モジュール105、文書記憶A(平常時用)モジュール110は、例えば、病院Aで管理、利用されるものであるが、もちろんのことながら、病院Aに限定されることなく、医療施設で管理、利用されていればよく、複数あってもよい。
【0022】
複写処理モジュール115は、複写モジュール120、複写ルール記憶モジュール125を有しており、文書記憶A(平常時用)モジュール110、文書記憶B(緊急時用)モジュール130と接続されている。文書記憶A(平常時用)モジュール110内の文書を文書記憶B(緊急時用)モジュール130に複写するものであって、文書記憶A(平常時用)モジュール110は複数あってもよい。
複写モジュール120は、文書記憶A(平常時用)モジュール110から、文書記憶B(緊急時用)モジュール130に、複写ルール記憶モジュール125内の複写ルールにしたがって文書を複写する機能を提供する。いわゆるバックアップを行う。つまり、複写モジュール120は、予め定められた種別情報と作成科情報に係わる文書を、文書記憶A(平常時用)モジュール110から文書記憶B(緊急時用)モジュール130に複写する。また、複写モジュール120は、複写する際に、文書の内容以外に、個々の文書に付与されている患者ID(IDentification、本実施の形態においてその患者を一意に識別するための情報)、文書種類、診療科等の情報を併せて複写する。
図3に示すフローチャート例を用いて、複写モジュール120の処理内容を後述する。
複写ルール記憶モジュール125は、文書記憶A(平常時用)モジュール110内の患者の全文書を複写するのではなく、バックアップ対象の文書として、緊急時に必要となる文書を予め定義した定義ルールを記憶している。複写モジュール120は、その定義ルールにしたがって、文書記憶B(緊急時用)モジュール130への複写を行う。定義ルールとして、予め定められた種別情報と作成科情報を定めており、複写モジュール120は、それに合致する文書を複写する。具体的には、後述する
図5に示す複写ルールテーブル500内の文書種コード欄510、作成科欄540に記憶されている情報(又は、バックアップ対象欄550内に記憶されている情報)によって、バックアップ対象であるか否かを定める。
また、複写ルール記憶モジュール125は、複数の情報、例えば、文書作成の科、患者の入院状態、疾患等を併用して、複写するか否かを判断するルールを記憶するようにしてもよい。そして、複写モジュール120は、そのルールにしたがって複写処理を行う。
【0023】
文書記憶B(緊急時用)モジュール130は、複写処理モジュール115、薬情報インポートモジュール140、薬情報登録モジュール145、保管処理モジュール150、緊急時閲覧モジュール165と接続されている。文書記憶B(緊急時用)モジュール130は、診療に関する文書が記憶されている。例えば、文書記憶B(緊急時用)モジュール130は、災害時、緊急時に利用する文書/薬情報の保管リポジトリである。文書記憶B(緊急時用)モジュール130は、各病院の文書と各薬局の薬情報を記録、管理している。文書記憶B(緊急時用)モジュール130は、緊急時に必要な文書を保管することが目的であり、各文書の法定保管期限より長く保管する場合もあるが、不要なデータを省くため、保管期限前に削除等されている場合もある。
以下の3つの方法で、文書記憶B(緊急時用)モジュール130に保管するデータは記録される。
1.文書記憶A(平常時用)モジュール110から複写される(複写モジュール120)
2.患者が自ら登録する薬情報(薬情報登録モジュール145)
3.薬局からインポートされる薬情報(薬情報インポートモジュール140)
【0024】
薬処方情報(薬局)記憶モジュール135は、薬情報インポートモジュール140と接続されている。薬処方情報(薬局)記憶モジュール135には、薬局に患者の各医療施設からの薬処方情報が蓄積されている。保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)の標準なデータフォーマットが存在する。例えば、JAHIS技術文書13−103等に規定されている。また、「電子版お薬手帳データフォーマット仕様書 Ver.1.1」については、「http://www.jahis.jp/jahishyojun13−103/」等に掲載されている。
薬情報インポートモジュール140は、文書記憶B(緊急時用)モジュール130、薬処方情報(薬局)記憶モジュール135と接続されている。薬情報インポートモジュール140は、文書に係わる患者の薬情報を薬局における薬処方情報から文書記憶B(緊急時用)モジュール130に記憶させる。例えば、具体的には、薬局で管理している薬処方情報(薬局)記憶モジュール135から電子版お薬手帳データを、文書記憶B(緊急時用)モジュール130にインポートする。他の医療施設における投薬情報を文書記憶B(緊急時用)モジュール130に保管できるようにするものである。
薬情報登録モジュール145は、文書記憶B(緊急時用)モジュール130と接続されている。薬情報登録モジュール145は、患者によって登録された薬情報を文書記憶B(緊急時用)モジュール130に記憶させる。例えば、患者自らが服用中の薬情報を登録できるようにするものである。具体的には、患者が医療施設に設置されている情報処理装置を用いて、他の医療施設で処方された薬情報を登録するようにしてもよい。また、患者が有している携帯電話(スマートフォンを含む)を用いて登録するようにしてもよい。ここで登録するデータは、情報システム工業会(JAHIS)の標準的なデータフォーマットに準拠する。
【0025】
保管処理モジュール150は、保管管理モジュール155、保管ポリシー記憶モジュール160を有しており、文書記憶B(緊急時用)モジュール130と接続されている。保管処理モジュール150は、文書記憶B(緊急時用)モジュール130内のデータ管理する機能を有する。
保管管理モジュール155は、保管期間を過ぎた不要文書を削除等するために、保管ポリシー記憶モジュール160に記憶されている保管ポリシーに基づき、文書記憶B(緊急時用)モジュール130に保管中の文書を削除等する。保管管理モジュール155は、保管ポリシー記憶モジュール160に記憶されている第1のテーブルに基づいて、対象となっている文書の種別情報及び作成科情報によって、その文書が保管期間を過ぎているか否かを判断する(第1の判断)。また、保管管理モジュール155は、保管ポリシー記憶モジュール160に記憶されている第2のテーブルに基づいて、対象となっている文書を閲覧した診療科情報によって、その文書が保管期間を過ぎているか否かを判断する(第2の判断)。そして、保管管理モジュール155は、前記第1の判断及び第2の判断によって、対象となっている文書が保管期間を過ぎていると判断した場合は、その文書を保管している文書記憶B(緊急時用)モジュール130からその文書を削除等する。ここで「第1のテーブルに基づいて」とは、第1のテーブルから、対象となっている文書の種別情報及び作成科情報を検索し、それに該当する保管期間を抽出することである。また、第1のテーブルにおける保管期間を、文書の作成時を起点とする期間によって定められている保管期間としてもよい。また、「第2のテーブルに基づいて」とは、第2のテーブルから、対象となっている文書を閲覧した診療科情報を検索し、それに該当する保管期間を抽出することである。
図4に示すフローチャート例を用いて、保管管理モジュール155の処理内容を後述する。
また保管管理モジュール155は、第2の判断として、第2のテーブルに基づいて、対象となっている文書を閲覧した診療科情報及び予め定められた職種による閲覧であることを用いて、その文書が保管期間を過ぎているか否かを判断するようにしてもよい。
なお、保管管理モジュール155による処理は、予め定められた期間毎(定期的)に行うようにしてもよいし、操作者による開始操作があった場合に行うようにしてもよい。
【0026】
保管ポリシー記憶モジュール160は、文書に付属する属性を利用し、保管期限を設定する。つまり、保管ポリシー記憶モジュール160は、診療に関する文書の種別を示す種別情報とその文書を作成した科を示す作成科情報とその文書の閲覧時を起点とする期間によって定められている保管期間を対応付けた第1のテーブルと、診療する科を示す診療科情報と診療に関する文書の閲覧時を起点とする期間によって定められている保管期間を対応付けた第2のテーブルを記憶している。例えば、具体的には、第1のテーブルとして複写ルールテーブル500があり、第2のテーブルとして保管ポリシーテーブル600がある。
【0027】
図5は、複写ルールテーブル500のデータ構造例を示す説明図である。複写ルールテーブル500は、各文書に紐付く文書の種別情報と作成科とに基づいて、バックアップ対象と保管期間を定義しているものである。診療に関する文書は、同じ文書の種別であっても、その文書を作成する科によって、重要度は変わるため、文書の種別だけでなく、作成科を勘案して、バックアップ対象を決定する。複写ルールテーブル500は、文書種コード欄510、タイトル欄520、診療科欄530、作成科欄540、バックアップ対象欄550、保管期間欄560、過去版保管欄570を有している。文書種コード欄510は、文書の種別を示す文書種コードを記憶している。タイトル欄520は、その文書の種別におけるタイトルを記憶している。診療科欄530は、その文書に用いる診療科を示す情報を記憶している。なお、診療科は、その文書の作成を指示する科でもある。つまり、診療科と作成科は異なる場合がある。もちろんのことながら、診療科と作成科が同じ場合もある。作成科欄540は、作成科を示す情報を記憶している。作成科は、診療科の指示にしたがってその文書を作成する科である。バックアップ対象欄550は、バックアップ対象であるか否かを示す情報を記憶している。なお、このバックアップ対象であるか否かを示す情報は、文書の文書種コードと作成科情報との組み合わせによって定まる。したがって、複写モジュール120は、文書の文書種コードと作成科情報との組み合わせに基づいて、対象としている文書を複写するか否かを判断することとなる。保管期間欄560は、その文書の保管期間(例えば、日で指定されている)を記憶している。なお、ここでの保管期間は、その文書の最近に閲覧された日を起点に計算するものであり、閲覧するユーザーの職種(医師や看護師)が
図7の例に示す閲覧記録テーブル700に記録されているため、予め定義した職種の閲覧イベントのみを更新対象にすることも可能である。過去版保管欄570は、その文書の過去版を保管するか否かを示す情報を記憶している。本実施の形態では、版管理をしており、過去の版をバックアップ対象とするか否かを示している。
なお、
図5の例に示す複写ルールテーブル500は、文書の種別情報と作成科情報の組み合わせで条件を定義しているが、文書の種別情報によるバックアップ対象と保管期間を定義するテーブルと、作成科情報によるバックアップ対象と保管期間を定義するテーブルを用意して、両方の条件(文書の種別と作成科)より判断するようにしてもよい。
また、
図5の例における保管期間欄560の「N/A」は「0」に、過去版保管欄570の「N/A」は「No」としてもよい。
【0028】
図6は、保管ポリシーテーブル600のデータ構造例を示す説明図である。保管ポリシーテーブル600は、診療科で保管期間を定義するものである。情報処理装置100の構成から、文書記憶B(緊急時用)モジュール130で保管中の文書は、文書記憶A(平常時用)モジュール110にも該当する文書が存在する。通常の診療時に、閲覧している文書は、緊急時にも使用される可能性が高い。文書記憶A(平常時用)モジュール110に各文書の閲覧時刻を
図7の例に示す閲覧記録テーブル700のように記録する。保管期限を算出する際に、文書の登録日を基準にするのでなく、最近に閲覧した日を起点に計算する。閲覧するユーザーの職種(医師や看護師)が
図7の例に示す閲覧記録テーブル700に記録されているため、予め定義した職種の閲覧イベントのみを更新対象にすることも可能である。保管ポリシーテーブル600は、科コード欄610、診療科名欄620、保管期間欄630を有している。科コード欄610は、科コードを記憶している。診療科名欄620は、その科コードが示している診療科の名称を記憶している。保管期間欄630は、その診療科の者による文書の閲覧時を起点とする保管期間(例えば、日で指定されている)を記憶している。
【0029】
図7は、閲覧記録テーブル700のデータ構造例を示す説明図である。閲覧記録テーブル700は、文書に対する操作のログを記憶しているテーブルである。閲覧記録テーブル700は、文書ID欄710、版番号欄720、患者ID欄730、文書種コード欄740、登録日欄750、アクセス日時欄760、ユーザーID欄770、ユーザーの職種欄780を有している。文書ID欄710は、本実施の形態において、文書を一意に識別するための情報(文書ID:IDentification)を記憶している。版番号欄720は、その文書の版番号を記憶している。患者ID欄730は、本実施の形態において、その文書における患者を一意に識別するための情報(患者ID)を記憶している。文書種コード欄740は、その文書の文書種コードを記憶している。登録日欄750は、その文書の登録日を記憶している。アクセス日時欄760は、その文書に対するアクセス日時(閲覧日時)を記憶している。ユーザーID欄770は、本実施の形態において、その文書に対してアクセスを行ったユーザーを一意に識別するための情報(ユーザーID)を記憶している。ユーザーの職種欄780は、そのユーザーの職種を示す情報を記憶している。
【0030】
緊急時閲覧モジュール165は、文書記憶B(緊急時用)モジュール130と接続されている。緊急時閲覧モジュール165は、災害発生等の緊急時に文書を閲覧する機能を提供する。文書記憶B(緊急時用)モジュール130にアクセスして、受診患者の緊急時に必要な文書、薬情報を閲覧できるようにするものである。
【0031】
図2は、本実施の形態を実現した場合のシステム構成例を示す説明図である。
情報処理装置100、病院Aシステム210A、病院Bシステム210B、診療所Cシステム210C、薬局Aシステム220A、薬局Bシステム220B、薬局Cシステム220C、ユーザー端末230A、ユーザー端末230Bは、通信回線290を介してそれぞれ接続されている。通信回線290は、無線、有線、これらの組み合わせであってもよく、例えば、通信インフラとしてのインターネット等であってもよい。
図1の例に示した情報処理装置100内の登録(病院A)モジュール105、文書記憶A(平常時用)モジュール110が、病院Aシステム210A、病院Bシステム210B、診療所Cシステム210Cに備えつけられ、薬処方情報(薬局)記憶モジュール135が、薬局Aシステム220A、薬局Bシステム220B、薬局Cシステム220Cに備えつけられていてもよい。
情報処理装置100は、病院Aシステム210A、病院Bシステム210B、診療所Cシステム210C内の各文書記憶A(平常時用)モジュール110から文書を文書記憶B(緊急時用)モジュール130に複写し、薬局Aシステム220A、薬局Bシステム220B、薬局Cシステム220C内の薬処方情報(薬局)記憶モジュール135から文書を文書記憶B(緊急時用)モジュール130に複写する。
各ユーザー(患者)の操作によって、ユーザー端末230A、ユーザー端末230Bから各ユーザーの個人的な薬情報が薬情報登録モジュール145を介して文書記憶B(緊急時用)モジュール130に登録される。
また、病院Aシステム210A等(緊急時の医療施設)内の医師が使用する端末から緊急時閲覧モジュール165を介して文書記憶B(緊急時用)モジュール130内の情報にアクセスされる。
【0032】
図3は、複写モジュール120による処理例を示すフローチャートである。各医療施設で新規登録された文書を文書記憶B(緊急時用)モジュール130に複写する処理例を示している。
ステップS302では、新規登録文書があるか否かを判断し、ある場合はステップS304へ進み、それ以外の場合は処理を終了する(ステップS399)。
ステップS304では、バックアップ保管対象患者であるか否かを判断し、バックアップ保管対象患者である場合はステップS306へ進み、それ以外の場合は処理を終了する(ステップS399)。バックアップ保管対象患者は予めリストアップされており、そのリストにしたがって判断を行う。また、例えば、複写することに対して患者本人の同意があるか否かによって判断してもよい。
ステップS306では、保管対象の該当文書であるか否かを判断し、保管対象の該当文書である場合はステップS308へ進み、それ以外の場合は処理を終了する(ステップS399)。保管対象の文書であるか否かは、前述したように、保管ポリシーテーブル600に基づいて判断する。
ステップS308では、文書記憶A(平常時用)モジュール110から文書記憶B(緊急時用)モジュール130に文書をバックアップ保管する。
【0033】
図4は、保管管理モジュール155による処理例を示すフローチャートである。
ステップS402では、文書記憶A(平常時用)モジュール110内の保管文書の全件リストを作成する。
ステップS404では、対象としている文書の最新閲覧日を取得する。例えば、
図7を用いて後述する閲覧記録テーブル700を用いて、最新閲覧日を取得する。
ステップS406では、複写ルールテーブル500による文書種コード/作成科による期限過ぎ判定を行い、文書種コード/作成科による期限(文書種コード欄510と作成科欄540で定まる保管期間欄560)過ぎである場合はステップS408へ進み、それ以外の場合は処理を終了する(ステップS499)。
ステップS408では、保管ポリシーテーブル600による診療科による期限(保管期間欄630)過ぎ判定を行い、診療科による期限過ぎである場合はステップS410へ進み、それ以外の場合は処理を終了する(ステップS499)。
ステップS410では、該当文書を削除等する。
例えば、文書の登録は古いが、頻繁に参照している文書は、削除するべきでない。登録日から経過した日数の代わりに、文書記憶A(平常時用)モジュール110に保管している同文書への最終アクセス(閲覧)した日時を利用する。具体的には、
図7の例に示す閲覧記録テーブル700の場合、D00001文書の登録日は2012/01/01であるが、2012/05/01にも医師による文書へのアクセスがあったため、2012/05/01を保管期限判断用の開始日に利用する。また、予め定められた職種(例えば、医師)であるユーザーによるアクセスを、保管期間の開始日としてもよい。したがって、予め定められた職種以外の職種(例えば、職員)であるユーザーによるアクセスは、保管期間の開始日とされない。
【0034】
例えば、病院で受けた診療以外に、患者は普段診療所からも診察を受け、投薬も行われている。患者の投薬情報を取得するため、2つのモジュール(薬情報インポートモジュール140、薬情報登録モジュール145)を設けている。患者自身が薬情報登録モジュール145を利用して、来院時に服用する薬を登録する。薬情報インポートモジュール140が、薬処方情報(薬局)記憶モジュール135内の薬局からの処方データを文書記憶B(緊急時用)モジュール130にインポートする。そして、各薬局で管理されている患者の基本情報(名前、住所、電話番号等)も、同時に登録する。緊急時閲覧モジュール165は、処方データに含まれる患者の基本情報に基づいて、病院の患者情報と突き合わせて、その患者に関する文書と処方データをまとめて表示する。薬局の処方データがJAHISの「電子版お薬手帳データフォーマット仕様書 Ver.1.1」に準拠する場合、「患者特記レコード」欄は、患者のアレルギー、薬の副作用や既往歴の記載に使用されている。このデータは
図8の例に示す患者特記レコード800の通りである。
図8は、患者特記レコード800のデータ構造例を示す説明図である。患者特記レコード800は、氏名欄805、生年月日欄810、住所欄815、電話番号欄820、血液型欄830、体重欄840、アレルギー歴欄845、副作用歴欄850、既往歴欄855、その他欄860を有している。氏名欄805は、患者の氏名を記憶している。生年月日欄810は、その患者の生年月日を記憶している。住所欄815は、その患者の住所を記憶している。電話番号欄820は、その患者の電話番号を記憶している。血液型欄830は、その患者の血液型を記憶している。体重欄840は、その患者の体重を記憶している。アレルギー歴欄845は、その患者のアレルギー歴を記憶している。副作用歴欄850は、その患者の副作用歴を記憶している。既往歴欄855は、その患者の既往歴を記憶している。その他欄860は、その患者に関するその他の情報を記憶している。
なお、これらの処方データは保管管理モジュール155の処理対象外とし、削除せずに全件保存するようにしてもよい。
薬局のお薬手帳のデータを交換するサービスが既に市場に存在しており、このようなサービスと共通のデータフォーマットで、薬手帳のデータ交換サービスと同期を取り、薬情報を取り込むことが可能である。例えば、薬処方情報(薬局)記憶モジュール135からのデータ取り込みは、電子版お薬手帳データフォーマットに準拠したCSVファイルを対象とする。薬処方情報(薬局)記憶モジュール135に通信回線290を介して接続可能な場合、薬情報インポートモジュール140が薬処方情報(薬局)記憶モジュール135で蓄積している処方データを監視し、文書記憶B(緊急時用)モジュール130のデータベースを更新する。また、薬処方情報(薬局)記憶モジュール135が通信回線290での接続ができない場合、DVDなどの記録メディアに格納した処方データを一括してインポートすればよい。
【0035】
なお、本実施の形態としてのプログラムが実行されるコンピュータのハードウェア構成は、
図9に例示するように、一般的なコンピュータであり、具体的にはパーソナルコンピュータ、サーバーとなり得るコンピュータ等である。つまり、具体例として、処理部(演算部)としてCPU901を用い、記憶装置としてRAM902、ROM903、HD904を用いている。HD904として、例えばハードディスクを用いてもよい。登録(病院A)モジュール105、複写処理モジュール115、複写モジュール120、複写ルール記憶モジュール125、薬情報インポートモジュール140、薬情報登録モジュール145、保管処理モジュール150、保管管理モジュール155、保管ポリシー記憶モジュール160、緊急時閲覧モジュール165等のプログラムを実行するCPU901と、そのプログラムやデータを記憶するRAM902と、本コンピュータを起動するためのプログラム等が格納されているROM903と、補助記憶装置(フラッシュメモリ等であってもよい)であるHD904と、キーボード、マウス、タッチパネル等に対する利用者の操作に基づいてデータを受け付ける受付装置906と、CRT、液晶ディスプレイ等の出力装置905と、ネットワークインタフェースカード等の通信ネットワークと接続するための通信回線インタフェース907、そして、それらをつないでデータのやりとりをするためのバス908により構成されている。これらのコンピュータが複数台互いにネットワークによって接続されていてもよい。
【0036】
前述の実施の形態のうち、コンピュータ・プログラムによるものについては、本ハードウェア構成のシステムにソフトウェアであるコンピュータ・プログラムを読み込ませ、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働して、前述の実施の形態が実現される。
なお、
図9に示すハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、
図9に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えばASIC等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに
図9に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、特に、パーソナルコンピュータの他、情報家電、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機(スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等のいずれか2つ以上の機能を有している画像処理装置)などに組み込まれていてもよい。
なお、前述の説明において用いた「日」、「時」、「日時」等の用語は、年、月、日、時、分、秒、秒以下、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0037】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通等のために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読み出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray(登録商標) Disc)、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読み出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、SD(Secure Digital)メモリーカード等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して
記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化等、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。