(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
【0016】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、トナー粒子とシリカ粒子と樹脂粒子とを含む第1のトナーを含有する二成分現像剤を収容し、二成分現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、像保持体の表面に残留した第1のトナーをクリーニングするクリーニングブレードを有するクリーニング手段と、少なくともトナー粒子とシリカ粒子とを含む第2のトナーを含有する補給用現像剤を現像手段に補給する現像剤補給手段と、を備える。
また、画像形成前の初期状態において、第2のトナーが樹脂粒子を含まないか、又は、第2のトナーが樹脂粒子を含む場合は、第2のトナー全体に対する第2のトナーに含まれる樹脂粒子の含有量が、質量基準で第1のトナー全体に対する第1のトナーに含まれる樹脂粒子の含有量の0.05倍以下であり、かつ、画像形成前の初期状態において、第2のトナー全体に対する第2のトナーに含まれるシリカ粒子の含有量は、質量基準で第1のトナー全体に対する第1のトナーに含まれるシリカ粒子の含有量よりも少ない。
【0017】
ここで、「第1のトナー」とは、現像手段に収容された現像剤に含まれるトナーを意味し、「第2のトナー」とは、現像剤補給手段に収容された補給用現像剤に含まれるトナーを意味する。すなわち、補給用現像剤に含まれる「第2のトナー」は、補給用現像剤が現像剤補給手段により現像手段に補給された後、すでに現像手段内に収容されていた現像剤と混合され、「第1のトナー」となる。
【0018】
また、「初期状態」とは、現像手段によって像保持体にトナー像が一度も形成されていない状態を言い、具体的には、新品の像保持体及び新品の現像手段を備えた状態であり、像保持体とクリーニングブレードとの間にトナーダムが形成されていない状態である。よって、画像形成装置によって画像の形成が行われた後であっても、例えば像保持体及び現像手段を新品のものに交換することで、再度、上記「初期状態」となる。
すなわち、初期状態において、新品の現像手段にあらかじめ充填されている現像剤(以下「初期充填現像剤」と称する場合がある)に含まれるトナーは、「初期状態における第1のトナー(以下「初期トナー」と称する場合がある)」である。また、「初期状態における第2のトナー」を「補給トナー」と称する場合がある。
なお、本明細書において、単に「トナー」又は「本実施形態に係るトナー」と称する場合は、初期トナー、補給トナー、第1のトナー、及び第2のトナーを区別せず、これらすべてのトナーを含む概念である。
【0019】
なお、本明細書において、初期トナー全体の質量に対する初期トナーに含まれるシリカ粒子の質量の割合を「初期シリカ含有量」と称する場合がある。また、補給トナー全体の質量に対する補給トナーに含まれるシリカ粒子の質量の割合を「補給シリカ含有量」と称する場合がある。さらに、初期シリカ含有量に対する補給シリカ含有量の比(補給シリカ含有量/初期シリカ含有量)を「シリカ含有比」と称する場合がある。
同様に、初期トナー全体の質量に対する初期トナーに含まれる樹脂粒子の質量の割合を「初期樹脂粒子含有量」と称する場合がある。また、補給トナーが樹脂粒子を含む場合における補給トナー全体の質量に対する補給トナーに含まれる樹脂粒子の質量の割合を「補給樹脂粒子含有量」と称する場合がある。さらに、初期樹脂粒子含有量に対する補給樹脂粒子含有量の比(補給樹脂粒子含有量/初期樹脂粒子含有量)を「樹脂粒子含有比」と称する場合がある。
【0020】
本実施形態では、上記構成であることにより、樹脂粒子含有比が前記範囲よりも多い場合、又は補給シリカ含有量が初期シリカ含有量以上である場合に比べ、像保持体の摩耗が抑制される。具体的には、低温低湿下において高画像密度の画像を繰り返し形成した後に低画像密度の画像を繰り返し形成した場合における像保持体の摩耗が抑制される。
【0021】
ここで、本明細書において「低温低湿下」は、温度10℃、かつ、湿度10%の環境下である。
また、「高画像密度の画像」は、ベタ画像であり、具体的には、画像密度70%以上のトナー画像である。また「低画像密度の画像」は、文字主体の文書であり、具体的には、画像密度7%以下のトナー画像である。
なお、「画像密度」とは、記録媒体の記録面全体の面積に対する画像が形成された領域の面積の割合(面積率)である。
【0022】
本実施形態の画像形成装置において像保持体の摩耗が抑制される理由は定かではないが、以下のように推測される。
クリーニングブレードを有するクリーニング手段を備えた画像形成装置を用いて画像を形成すると、像保持体上のトナー画像が転写された後に像保持体に残留した残留トナーが、クリーニングブレードによってかき取られ、像保持体の表面が清掃される。
そして、シリカ粒子を外添剤として含むトナーを用いた場合、残留トナーがクリーニングブレードに到達すると、つぶれたトナー粒子の成分とシリカ粒子とを含む滞留物(以下「ダム」と称する場合がある)が形成される。像保持体の表面とクリーニングブレードの先端との間にダムが形成されることで、クリーニング性は向上するが、シリカ粒子の一部が像保持体の表面とクリーニングブレードの先端との間をすり抜ける場合もある。このシリカ粒子のすり抜けが起こると、すり抜けたシリカ粒子が帯電手段に到達することで、シリカ粒子に起因する画像欠陥が発生する。
【0023】
一方、トナーの外添剤としてシリカ粒子と樹脂粒子とを併用すると、像保持体の表面とクリーニングブレードの先端との間に、さらに樹脂粒子を含むダムが形成される。そのため、樹脂粒子を用いない場合に比べ、より大きく、かつ、崩れにくい安定したダムが形成され、シリカ粒子のすり抜けが起こりにくくなる。よって、シリカ粒子のすり抜けに起因する画像欠陥を抑制しつつ、ダムの形成によるクリーニングブレードのクリーニング性の向上も実現される。
【0024】
しかしながら、シリカ粒子及び樹脂粒子を含むトナーを現像手段に補給しながら画像形成を繰り返すと、特に低温低湿下において高画像密度の画像を繰り返し形成した後に低画像密度の画像を繰り返し形成した場合、像保持体の摩耗が促進されることが分かった。
この像保持体の摩耗は、画像形成を繰り返すことで、像保持体の表面とクリーニングブレードの先端との間に形成されたダムに、さらにシリカ粒子及び樹脂粒子が供給され続け、ダムが成長しすぎた結果、促進されていると推測される。特に、外添剤の中でも樹脂粒子が多量に供給され続けることで、ダムの成長が促進され、成長しすぎたダムによる像保持体表面の摩耗も促進されていると推測される。
【0025】
これに対して本実施形態では、樹脂粒子含有比が前記範囲であり、かつ、補給シリカ含有量が初期シリカ含有量よりも少ない。すなわち、初期状態からの画像形成開始時に用いる初期トナーにはシリカ粒子及び樹脂粒子が含まれ、かつ、現像手段に補給されるトナーには、樹脂粒子を全く含まないか又はほとんど含まない。そのため、像保持体の表面とクリーニングブレードの先端との間にダムが形成されていない初期状態から画像形成を開始することで、適度なダムが形成され、かつ、画像形成を繰り返してもダムが成長しにくいため適度な大きさのダムが維持されやすくなる。よって、適度なクリーニング性を得つつ、成長しすぎたダムによる像保持体表面の摩耗が抑制されると推測される。
【0026】
また本実施形態では、前記の通り、あらかじめ現像手段に充填されたトナー(初期充填現像剤に含有される初期トナー)に樹脂粒子が含まれているため、シリカ粒子のすり抜けが起こりにくい。そして、現像手段に補給されるトナーに含まれるシリカ粒子の量が相対的に少ない(すなわち補給シリカ含有量が初期シリカ含有量よりも少ない)ため、画像形成を繰り返しても、シリカ粒子のすり抜けが起こりにくい状態が維持される。
【0027】
特に本実施形態では、シリカ含有比が0.75倍以上0.90倍以下であることが望ましく、シリカ含有比が上記範囲よりも高い場合に比べて、シリカ粒子のすり抜けが起こりにくい状態が維持されやすいため、シリカ粒子に起因する画像欠陥が抑制される。
また、シリカ含有比が上記範囲であると、上記範囲よりも低い場合に比べて、トナー間の帯電特性差やトナー流動性の悪化等に起因する画像濃度ムラが抑制される。
さらに、像保持体の摩耗抑制の観点からは、シリカ含有比が0.75倍以上0.85倍以下であることがより望ましい。
また、樹脂粒子含有比については、像保持体の摩耗抑制の観点から、0倍以上0.05倍以下であることがより望ましい。
【0028】
また本実施形態では、少なくとも初期トナーに含まれるシリカ粒子の体積平均粒径が80nm以上200nm以下であり、かつ、初期シリカ含有量が1.0質量%以上4.0質量%以下であることが望ましい。シリカ粒子の体積平均粒径及び初期シリカ含有量がそれぞれ上記範囲であることにより、初期シリカ含有量が上記範囲よりも多い場合に比べて、シリカ粒子のすり抜けに起因する画像欠陥が抑制される。また、シリカ粒子の体積平均粒径及び初期シリカ含有量がそれぞれ上記範囲であることにより、初期シリカ含有量が上記範囲よりも少ない場合に比べて、トナー流動性の悪化に起因する画像濃度ムラが抑制される。
【0029】
また、体積平均粒径が上記範囲であるシリカ粒子を用いることで、体積平均粒径が上記範囲よりも小さいシリカ粒子を用いる場合に比べて、像保持体に形成されたトナー像の転写特性が良好となる(すなわち転写効率が向上する)。また、体積平均粒径が上記範囲であるシリカ粒子は、体積平均粒径が上記範囲よりも大きいシリカ粒子に比べて、トナー粒子に外添されたシリカ粒子が遊離しにくい。そのため体積平均粒径が上記範囲であるシリカ粒子を用いることで、シリカ粒子が像保持体の表面とクリーニングブレードの先端との間に到達してダムを形成し、クリーニング性が向上しやすくなる。
【0030】
なお、初期トナーに含まれるシリカ粒子の体積平均粒径は、上記観点から80nm以上180nm以下がより好ましく、80nm以上160nm以下がさらに好ましい。補給トナーに含まれるシリカ粒子の体積平均粒径の好ましい範囲も同様である。
また、初期シリカ含有量は、上記観点から1.0質量%以上4.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以上3.0質量%以下がさらに好ましい。
【0031】
本実施形態では、少なくとも初期トナーに含まれる樹脂粒子の体積平均粒径が50nm以上500nm以下であり、かつ、初期樹脂粒子含有量が0.5質量%以上2.5質量%以下であることが望ましい。樹脂粒子の体積平均粒径及び初期樹脂粒子含有量がそれぞれ上記範囲であることにより、初期樹脂粒子含有量が上記範囲よりも少ない場合に比べて、シリカ粒子のすり抜けに起因する画像欠陥が抑制される。また、樹脂粒子の体積平均粒径及び初期樹脂粒子含有量がそれぞれ上記範囲であることにより、初期樹脂粒子含有量が上記範囲よりも多い場合に比べて、像保持体の摩耗が抑制される。
【0032】
また、体積平均粒径が上記範囲である樹脂粒子を用いることで、体積平均粒径が上記範囲よりも小さいシリカ粒子を用いる場合や、体積平均粒径が上記範囲よりも大きいシリカ粒子を用いる場合に比べて、上記ダムが形成されやすくなる。
なお、初期トナーに含まれる樹脂粒子の体積平均粒径は、上記観点から50nm以上500nm以下がより好ましく、100nm以上300nm以下がさらに好ましい。補給トナーが樹脂粒子を含む場合、補給トナーに含まれる樹脂粒子の体積平均粒径の好ましい範囲も同様である。
また、初期樹脂粒子含有量は、上記観点から0.5質量%以上2.5質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下がさらに好ましい。
【0033】
なお、シリカ粒子の体積平均粒径の測定方法は、以下の通りである。
具体的には、まず、シリカ粒子をトナー粒子に外添させた後のシリカ粒子の一次粒子100個をSEM(Scanning Electron Microscope)装置により観察する。そして、シリカ粒子の画像解析によって粒子ごとの最長径、最短径を測定し、この中間値から球相当径を算出する。得られた球相当径の累積頻度における50%径(D50v)をシリカ粒子の平均粒径(つまり体積平均粒径)とする。
また、樹脂粒子の体積平均粒径の測定方法についても、シリカ粒子の体積平均粒径の測定方法と同様である。
【0034】
本実施形態の画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電された像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、トナー粒子とシリカ粒子と樹脂粒子とを含む第1のトナーを含有し現像手段に収容された二成分現像剤により像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、像保持体の表面に残留した前記第1のトナーをクリーニングブレードによりクリーニングするクリーニング工程と、少なくともトナー粒子とシリカ粒子とを含む第2のトナーを含有する補給用現像剤を現像手段に補給する現像剤補給工程と、を備えた画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
【0035】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0036】
以下、本実施形態の画像形成装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0037】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置101は、
図1に示すように、例えば、矢印aで示すように、時計回り方向に回転する電子写真感光体10(像保持体の一例)と、電子写真感光体10の上方に、電子写真感光体10に相対して設けられ、電子写真感光体10の表面を帯電させる帯電装置20(帯電手段の一例)と、帯電装置20により帯電した電子写真感光体10の表面に露光して、静電潜像を形成する露光装置30(潜像形成手段の一例)と、露光装置30により形成された静電潜像に、現像剤に含まれるトナーを付着させて電子写真感光体10の表面にトナー像を形成する現像装置40(現像手段の一例)と、電子写真感光体10に接触しつつ矢印bで示す方向に走行するとともに、電子写真感光体10の表面に形成されたトナー像を転写するベルト状の中間転写体50と、電子写真感光体10の表面をクリーニングするクリーニング装置70(クリーニング手段の一例)とを備える。
ここで、現像装置40へ補給用現像剤を補給するための補給用現像剤収容容器47(現像剤補給手段の一例)が、補給搬送路46を介して、現像装置40に連結されている。
【0038】
帯電装置20、露光装置30、現像装置40、中間転写体50、及びクリーニング装置70は、電子写真感光体10を囲む円周上に、時計周り方向に配置されている。
【0039】
中間転写体50は、内側から、支持ローラ50A、50B、背面ローラ50C、及び駆動ローラ50Dによって張力を付与されつつ保持されるとともに、駆動ローラ50Dの回転に伴い矢印bの方向に駆動される。中間転写体50の内側における電子写真感光体10に相対する位置には、中間転写体50をトナーの帯電極性とは異なる極性に帯電させて中間転写体50の外側の面に電子写真感光体10上のトナーを吸着させる一次転写装置51が設けられている。中間転写体50の下方における外側には、記録紙P(記録媒体の一例)をトナーの帯電極性とは異なる極性に帯電させて、中間転写体50に形成されたトナー像を記録紙P上に転写する二次転写装置52が背面ローラ50Cに対向して設けられている。
なお、これら、電子写真感光体10に形成されたトナー像を記録紙Pへ転写するための部材が転写手段の一例に相当する。
【0040】
中間転写体50の下方には、さらに、二次転写装置52に記録紙Pを供給する記録紙供給装置53と、二次転写装置52においてトナー像が形成された記録紙Pを搬送しつつ、トナー像を定着させる定着装置80とが設けられている。
【0041】
記録紙供給装置53は、1対の搬送ローラ53Aと、搬送ローラ53Aで搬送される記録紙Pを二次転写装置52に向かって誘導する誘導板53Bと、を備える。一方、定着装置80は、二次転写装置52によってトナー像が転写された記録紙Pを加熱及び押圧することにより、トナー像の定着を行う1対の熱ローラである定着ローラ81と、定着ローラ81に向かって記録紙Pを搬送する搬送帯82とを有する。
【0042】
記録紙Pは、記録紙供給装置53と二次転写装置52と定着装置80とにより、矢印cで示す方向に搬送される。
【0043】
中間転写体50には、さらに、二次転写装置52において記録紙Pにトナー像を転写した後に中間転写体50に残ったトナーを除去するクリーニングブレードを有する中間転写体クリーニング装置54が設けられている。
【0044】
以下、本実施形態に係る画像形成装置101における主な構成部材の詳細について説明する。
【0045】
[現像剤]
本実施形態では、現像剤として、画像形成前の初期状態においてあらかじめ現像手段に充填される初期充填現像剤と、繰り返し画像形成を行う際に現像剤補給手段によって現像手段に補給される補給用現像剤と、を用いる。
【0046】
初期充填現像剤は、二成分現像剤であり、トナー粒子とシリカ粒子と樹脂粒子とを含む初期トナー(すなわち画像形成前の初期状態における第1のトナー)と、キャリアと、を含有する。
また補給用現像剤は、少なくともトナー粒子とシリカ粒子とを含む補給トナーを含有し、必要に応じてキャリアを含有する。
なお、補給用現像剤がキャリアを含有する場合、補給用現像剤に含有されるキャリアの種類や特性は、初期充填現像剤に含有されるキャリアの種類や特性と、同じであってもよく、異なってもよいが、同じであることが望ましい。
【0047】
初期充填現像剤における初期トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、例えば、初期トナー:キャリア=1:100から30:100程度の範囲(すなわち、キャリア100質量部に対し、初期トナーが1質量部以上30質量部以下の範囲)が挙げられる。また、補給用現像剤における補給トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、例えば、補給トナー:キャリア=100:0から100:20程度の範囲(すなわち、トナー100質量部に対し、キャリアが0質量部以上20質量部以下の範囲)が挙げられる。
【0048】
<トナー>
まず、トナーについて説明する。
初期トナーは、前記の通りトナー粒子と、シリカ粒子と、樹脂粒子と、を含有し、必要に応じてその他の外添剤を含んでもよい。
また補給トナーは、前記の通り、少なくともトナー粒子と、シリカ粒子と、を含有し、樹脂粒子含有比が前記範囲内であれば樹脂粒子を含んでもよく、必要に応じてその他の外添剤を含んでもよい。
【0049】
そして前記の通り本実施形態では、補給シリカ含有量は初期シリカ含有量よりも少なく、かつ、樹脂粒子含有比が前記範囲である。また、シリカ含有比及び樹脂粒子含有比の好ましい範囲については前記の通りである。
このように本実施形態では、シリカ粒子の含有量及び樹脂粒子の含有量の異なる2種類のトナー(初期トナー及び補給トナー)を用いることで、像保持体の摩耗を抑制するという目的が達成される。
【0050】
補給トナーに含まれるトナー粒子及びシリカ粒子の種類及び特性(粒径等)は、初期トナーに含まれるトナー粒子及びシリカ粒子の種類及び特性と、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよいが、同じであることが望ましい。
また、補給トナーが樹脂粒子を含む場合、補給トナーに含まれる樹脂粒子の種類及び特性は、初期トナーに含まれる樹脂粒子の種類及び特性と、同じであってもよく、異なっていてもよいが、同じであることが望ましい。
トナー粒子、シリカ粒子、及び樹脂粒子の種類及び特性を同じとすることで、初期トナーと補給トナーとが混合された後に形成された画像においても、画像濃度ムラ等が起こりにくくなる。
以下、トナーを構成する各成分について説明する。
【0051】
(トナー粒子)
トナー粒子は、例えば、結着樹脂と、必要に応じて、着色剤と、離型剤と、その他添加剤と、を含んで構成される。
【0052】
−結着樹脂−
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好適である。
ポリエステル樹脂としては、例えば、公知のポリエステル樹脂が挙げられる。
【0054】
ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。なお、ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
【0055】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0056】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0057】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
【0058】
ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下より好ましい。
ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
【0059】
ポリエステル樹脂は、周知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
【0060】
結着樹脂の含有量としては、例えば,トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。
【0061】
−着色剤−
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0062】
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
【0063】
着色剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0064】
−離型剤−
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
【0065】
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0066】
離型剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0067】
−その他の添加剤−
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
【0068】
−トナー粒子の特性等−
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
ここで、コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
【0069】
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)としては、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
【0070】
なお、トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマンーコールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)
1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)
1/2として算出される。
【0071】
トナー粒子の形状係数SF1としては、110以上150以下が好ましく、120以上140以下がより好ましい。
【0072】
なお、形状係数SF1は、下記式により求められる。
式:SF1=(ML
2/A)×(π/4)×100
上記式中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
具体的には、形状係数SF1は、主に顕微鏡画像又は走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、以下のようにして算出される。すなわち、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラによりルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
【0073】
(シリカ粒子)
シリカ粒子としては、フュームドシリカ粒子、ゾルゲルシリカ粒子、コロイダルシリカ粒子等の周知のシリカ粒子が挙げられる。これらの中でも、トナーの流動性及び帯電性の観点から、ゾルゲルシリカ粒子が、分散性、帯電制御性に優れることから望ましい。
【0074】
シリカ粒子の表面は、疎水化処理されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0075】
(樹脂粒子)
樹脂粒子としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、メラミン樹脂等の重縮合により得られる樹脂の粒子、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の不飽和結合を有する1種以上のモノマーの付加重合により得られる樹脂の粒子等が挙げられる。
これらの中でも、樹脂粒子の粒径を制御する観点から、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の不飽和結合を有する1種以上のモノマーの付加重合により得られる樹脂の粒子が好ましい。
【0076】
不飽和結合を有するモノマーとしては、例えば、ビニル芳香族化合物(例えばスチレン、クロロスチレン、ビニルナフタレン等)、(メタ)アクリル酸誘導体(例えばアクリル酸エステル、アクリロニトリル、アクリルアミド等)、オレフィン系炭化水素(例えばエチレン等)、ハロゲン化ビニル(例えば塩化ビニル等)、ビニルエステル類(例えば酢酸ビニル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル等)、ビニルケトン類(例えばビニルメチルケトン等)、N−ビニル化合物(例えばN−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデン等)等が挙げられる。
また、不飽和結合を有するモノマーとしては、上記単官能モノマーのほかに、芳香族ジビニル化合物、脂肪族ジビニル化合物、ジ(メタ)アクリレート等の多官能モノマーを併用してもよい。
なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル及びメタクリルの少なくとも1種」を意味する。
【0077】
(その他の外添剤)
トナーは、必要に応じて、上記シリカ粒子及び樹脂粒子以外に、その他の外添剤を含んでもよい。但し、初期トナーがその他の外添剤を含む場合、その他の外添剤の外添量(含有量)は、外添剤全体に対して40質量%以下(望ましくは30質量%以下)であることがよい。また、補給トナーは、ダムの成長に伴う像保持体の摩耗を抑制する観点からその他の外添剤を含まない方が望ましいが、その他の外添剤を含む場合の外添量は、外添剤全体に対して40質量%以下(望ましくは30質量%以下)であることがよい。
【0078】
その他の外添剤としては、例えば、シリカ粒子以外の無機粒子、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩の粒子等が挙げられる。
シリカ粒子以外の無機粒子としては、TiO
2、Al
2O
3、CuO、ZnO、SnO
2、CeO
2、Fe
2O
3、MgO、BaO、CaO、K
2O、Na
2O、ZrO
2、CaO・SiO
2、K
2O・(TiO
2)
n、Al
2O
3・2SiO
2、CaCO
3、MgCO
3、BaSO
4、MgSO
4等が挙げられる。
なお、シリカ粒子以外の無機粒子の表面は、疎水化処理されていることがよい。
【0079】
(トナーの製造方法)
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
【0080】
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。トナー粒子の製法は、これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
【0081】
具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、
結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と、樹脂粒子分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
【0082】
以下、各工程の詳細について説明する。
なお、以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
【0083】
−樹脂粒子分散液準備工程−
まず、結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
【0084】
ここで、樹脂粒子分散液は、例えば、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
【0085】
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0086】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0087】
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、例えば転相乳化法を用いて樹脂粒子分散液中に樹脂粒子を分散させてもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
【0088】
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μmがさらに好ましい。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA−700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
【0089】
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
【0090】
なお、樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤粒子分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤粒子分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
【0091】
−凝集粒子形成工程−
次に、樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
【0092】
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度−30℃以上ガラス転移温度−10℃以下)の温度に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
【0093】
凝集剤としては、例えば、混合分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、例えば無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。特に、凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
【0094】
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等が挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
【0095】
−融合・合一工程−
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
【0096】
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
なお、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア/シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
【0097】
ここで、融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナー粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナー粒子を得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
【0098】
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レディーゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動師分機、風力師分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。また、トナー粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添してもよい。
【0099】
<キャリア>
次に、キャリアについて説明する。
【0100】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリア及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
【0101】
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
【0102】
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電材料等、その他添加剤を含ませてもよい。
【0103】
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
【0104】
キャリアの体積平均粒径D50vは、例えば、10μm以上32μm以下であり、望ましくは15以上32μm以下、より望ましくは20μm以上30μm以下である。キャリアの体積平均粒径D50vを上記範囲とすると、キャリアによるトナーへの機械的強度が低減され、トナー粒子に対するシリカ粒子の埋まり込みが抑制され易くなる。このため、回収トナーの回収効率向上の観点から、キャリアの体積平均粒径D50vは上記範囲にすることがよい。
【0105】
キャリアの体積平均粒径D50vは、レーザ散乱粒度測定装置(日機装(株)製、マイクロトラック)を用いて、100μmのアパーチャ径で測定することにより得られる。このとき、測定はキャリアを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行った。
レーザ散乱粒度測定装置(日機装(株)製、マイクロトラック)で測定されたキャリアの粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとした。
【0106】
[電子写真感光体]
電子写真感光体10としては、有機感光体、無機感光体が挙げられる。
電子写真感光体10として具体的には、例えば、1)導電性基体上に下引層が設けられ、その上に電荷発生層、電荷輸送層、及び保護層が順次形成された構造を有するもの、2)導電性基体上に下引層が設けられ、その上に、電荷輸送層、電荷発生層、及び保護層が順次形成された構造を有するもの、3)導電性基体上に下引層が設けられ、その上に単層型感光層、保護層が順次形成された構造を有するもの、等、周知のものが挙げられる。
なお、電荷発生層及び電荷輸送層は機能分離型の感光層である。また、電子写真感光体10において、下引層は設けてもよいし、設けなくてもよい。
【0107】
[帯電装置]
帯電装置20としては、例えば、導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が挙げられる。また、帯電装置20としては、例えば、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も挙げられる。帯電装置20としては、接触型帯電器がよい。
なお、本実施形態では、直流に交流を重畳した電圧を印加する方式の帯電器を採用しても、放電生成物が生じ易い方式であるが、このような方式を採用しても、電子写真感光体10に放電生成物の付着・堆積が抑制され、画像の白抜けが抑制される。
【0108】
[露光装置]
露光装置30としては、例えば、電子写真感光体10表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体10の分光感度領域にあるものがよい。半導体レーザの波長としては、例えば、780nm前後に発振波長を有する近赤外がよい。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、露光装置30としては、例えばカラー画像形成のためにはマルチビーム出力する面発光型のレーザ光源も有効である。
【0109】
[現像装置]
現像装置40は、例えば、現像領域で電子写真感光体10に対向して配置されており、例えば、第1のトナー及びキャリアを含む現像剤(二成分現像剤)を収容する現像容器41を有している。現像容器41は、現像容器本体41Aとその上端を塞ぐ現像容器カバー41Bとを有している。
【0110】
現像容器本体41Aは、例えば、その内側に、現像ロール(現像剤保持体の一例)42を収容する現像ロール室42Aを有しており、現像ロール室42Aに隣接して、第1攪拌室43Aと第1攪拌室43Aに隣接する第2攪拌室44Aとを有している。また、現像ロール室42A内には、例えば、現像容器カバー41Bが現像容器本体41Aに装着された時に現像ロール42表面の現像剤の層厚を規制するための層厚規制部材45が設けられている。
【0111】
第1攪拌室43Aと第2攪拌室44Aとの間は例えば仕切り壁41Cにより仕切られており、図示しないが、第1攪拌室43A及び第2攪拌室44Aは仕切り壁41Cの長手方向(現像装置長手方向)両端部に開口部が設けられて通じており、第1攪拌室43A及び第2攪拌室44Aによって循環攪拌室(43A+44A)を構成している。
【0112】
そして、現像ロール室42Aには、電子写真感光体10と対向するように現像ロール42が配置されている。現像ロール42は、図示しないが磁性を有する磁性ロール(固定磁石)の外側にスリーブを設けたものである。第1攪拌室43Aの現像剤は磁性ロールの磁力によって現像ロール42の表面上に吸着されて、現像領域に搬送される。また、現像ロール42はそのロール軸が現像容器本体41Aに回転自由に支持されている。ここで、現像ロール42と電子写真感光体10とは、同方向に回転し、対向部において、現像ロール42の表面上に吸着された現像剤は、電子写真感光体10の進行方向とは逆方向から現像領域に搬送するようにしている。
【0113】
また、現像ロール42のスリーブには、不図示のバイアス電源が接続され、現像バイアスが印加されるようになっている(本実施形態では、現像領域に交番電界が印加されるように、直流成分(AC)に交流成分(DC)を重畳したバイアスを印加)。
【0114】
第1攪拌室43A及び第2攪拌室44Aには現像剤を攪拌しながら搬送する第1攪拌部材43(攪拌・搬送部材)及び第2攪拌部材44(攪拌・搬送部材)が配置されている。第1攪拌部材43は、現像ロール42の軸方向に伸びる第1回転軸と、回転軸の外周に螺旋状に固定された攪拌搬送羽根(突起部)とで構成されている。また、第2攪拌部材44も、同様に、第2回転軸及び攪拌搬送羽根(突起部)とで構成されている。なお、攪拌部材は現像容器本体41Aに回転自由に支持されている。そして、第1攪拌部材43及び第2攪拌部材44は、その回転によって、第1攪拌室43A及び第2攪拌室44Aの中の現像剤は互いに逆方向に搬送されるように配設されている。
【0115】
そして、第2攪拌室44Aの長手方向一端側には、補給用現像剤を第2攪拌室44Aへ供給するための補給搬送路46の一端が連結されており、補給搬送路46の他端には、補給用現像剤を収容している補給用現像剤収容容器47が連結されている。なお、補給用現像剤収容容器47は、現像装置40と一体であってもよいが、画像形成装置101に着脱するカートリッジであってもよい。
【0116】
[転写装置]
一次転写装置51、及び二次転写装置52としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
【0117】
中間転写体50としては、導電剤を含んだポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外に円筒状のものが用いられる。
【0118】
[クリーニング装置]
クリーニング装置70は、筐体71と、筐体71から突出するように配設されるクリーニングブレード72と、を含んで構成されている。
なお、クリーニングブレード72は、筐体71の端部で支持された形態であってもよし、別途、支持部材(ホルダー)により支持される形態であってもよいが、本実施形態では、筐体71の端部で支持された形態を示している。
【0119】
クリーニングブレード72について説明する。
クリーニングブレード72は、電子写真感光体10の回転軸に沿った方向に延びた板状のものであって、電子写真感光体10の回転方向(矢印a)の上流側に、先端部が圧力を掛けつつ接触されるように設けられている。
【0120】
クリーニングブレード72を構成する材料としては、ウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、プロロピレンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。これらの中で、ウレタンゴムがよい。
ウレタンゴム(ポリウレタン)は、例えば、通常ポリウレタンの形成に用いられるものであれば特に限定されないが、例えばポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトンなどのポリエステルポリオールなどのポリオールとジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートとからなるウレタンプレポリマー及びたとえば1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコールやこれらの混合物などの架橋剤を原料とするものよい。
【0121】
次に、本実施形態に係る画像形成装置101の画像プロセス(画像形成方法)について説明する。
【0122】
本実施形態に係る画像形成装置101では、まず、電子写真感光体10が矢印aで示される方向に沿って回転すると同時に、帯電装置20により帯電する。
【0123】
帯電装置20によって表面が帯電した電子写真感光体10は、露光装置30により露光され、表面に潜像が形成される。
【0124】
電子写真感光体10における潜像の形成された部分が現像装置40に近づき、現像装置40において、現像ロール42の表面に形成した現像剤による磁気ブラシが電子写真感光体10に接触又は非接触で接近することで、潜像にトナーが付着し、トナー像が形成される。
【0125】
トナー像が形成された電子写真感光体10が矢印aに方向にさらに回転すると、トナー像は中間転写体50の外側の面に転写する。
【0126】
トナー像が中間転写体50に転写されたら、記録紙供給装置53により、二次転写装置52に記録紙Pが供給され、中間転写体50に転写されたトナー像が二次転写装置52により、記録紙P上に転写される。これにより、記録紙Pにトナー像が形成される。
【0127】
画像が形成された記録紙Pは、定着装置80でトナー像が定着される。
【0128】
ここで、トナー像が中間転写体50に転写された後、電子写真感光体10は、転写後、クリーニング装置70のクリーニングブレード72により、表面に残ったトナーや放電生成物が除去される。そして、クリーニング装置70において、転写残のトナーや放電生成物が除去された電子写真感光体10は、帯電装置20により、再び帯電せられ、露光装置30において露光されて潜像が形成される。
また、随時、補給用現像剤収容容器47から補給搬送路46を経て補給用現像剤を現像装置40(第2攪拌室44A)へ供給する。
【0129】
また、本実施形態に係る画像形成装置101は、例えば、
図2に示すように、筐体11内に、電子写真感光体10、帯電装置20、現像装置40、及びクリーニング装置70を一体に収容させたプロセスカートリッジ101Aを備えた形態であってもよい。このプロセスカートリッジ101Aは、複数の部材を一体的に収容し、画像形成装置101に脱着させるものである。なお、
図2に示す画像形成装置101では、補給用現像剤収容容器47を省略して示している。ただし補給用現像剤収容容器47は、プロセスカートリッジ101Aと一体である形態でもよく、プロセスカートリッジ101Aから独立したカートリッジである形態でもよい。
プロセスカートリッジ101Aの構成は、これに限られず、例えば、少なくとも、電子写真感光体10を備えてえればよく、その他、例えば、帯電装置20、露光装置30、現像装置40、一次転写装置51、及びクリーニング装置70から選択される少なくとも一つを備えていてもよい。
【0130】
また、本実施形態に係る画像形成装置101は、上記構成に限られず、例えば、電子写真感光体10の周囲であって、一次転写装置51よりも電子写真感光体10の回転方向下流側でクリーニング装置70よりも電子写真感光体の回転方向上流側に、残留したトナーの極性を揃え、クリーニングブラシ等で除去しやすくするための第1除電装置を設けた形態であってもよい。
また、本実施形態に係る画像形成装置101は、上記構成に限られず、周知の構成、例えばタンデム方式の画像形成装置を採用してもよい。
【実施例】
【0131】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、特に断りがない限り、以下の実施例において「部」は質量部を、「%」は質量%を意味する。
【0132】
<トナー粒子の作製>
(トナー粒子1の作製)
−ポリエステル樹脂分散液の調製−
・テレフタル酸 30mol%
・フマル酸 70mol%
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 20mol%
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 80mol%
攪拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えた内容量5リットルのフラスコに上記モノマーを仕込み、1時間を要して190℃まで上げ、反応系内が攪拌されていることを確認した後、ジブチル錫オキサイド1.2質量部を投入した。
さらに生成する水を留去しながら同温度から6時間を要して240℃まで温度を上げ、240℃でさらに3時間脱水縮合反応を継続し、酸価が12.0mg/KOH、重量平均分子量9700である非晶質ポリエステル樹脂を得た。
【0133】
次いで、これを溶融状態のまま、キャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)に毎分100gの速度で移送した。
別途準備した水性媒体タンクには試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37質量%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で、上記非晶質ポリエステル樹脂1溶融体と同時にキャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)に移送した。
回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cm
2の条件でキャビトロンを運転し、平均粒径0.16μm、固形分量30質量部のポリエステル樹脂を含むポリエステル樹脂分散液を得た。
【0134】
−着色剤分散液の調製−
・シアン顔料(銅フタロシアニンB15:3:大日精化社製) 45質量部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬社製) 5質量部
・イオン交換水 200質量部
上記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)により10分間分散し、中心粒径168nm、固形分量22.0質量部の着色剤分散液を得た。
【0135】
−離型剤分散液の調製−
・パラフィンワックス HNP9(融点75℃:日本精鑞社製) 45質量部
・カチオン性界面活性剤 ネオゲンRK(第一工業製薬社製) 5質量部
・イオン交換水 200質量部
上記成分を95℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、中心径200nm、固形分量20.0質量部の離型剤分散液を得た。
【0136】
−トナー粒子の作製−
・ポリエステル樹脂分散液 278.9質量部
・着色剤分散液 27.3質量部
・離型剤分散液 35質量部
【0137】
上記成分を丸型ステンレス製フラスコ中においてウルトラタラックスT50で混合及び分散した。次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.20質量部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら温度TE1として42℃まで加熱した。42℃で60分保持した後、ここにポリエステル樹脂分散液を70.0質量部追加した。
その後、0.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを9.0にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら温度TE2として85℃まで加熱し、時間TI2として3時間保持した。
反応終了後、冷却し、濾過、イオン交換水で洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に40℃のイオン交換水1Lに再分散し、15分300rpmで攪拌及び洗浄した。
これを更に5回繰り返し、濾液のpHが7.5、電気伝導度7.0μS/cmtとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続した。
【0138】
以上の工程を経て、トナー粒子1を得た。トナー粒子1の体積平均粒径D50は3.6μm、粒度分布係数GSDは1.14であった。また、トナー粒子1の円形度は0.973であった。
【0139】
<外添剤の作製>
(シリカ粒子1の作製)
−造粒工程−
・アルカリ触媒溶液準備工程〔アルカリ触媒溶液の調製〕
金属製攪拌棒、滴下ノズル(テフロン(登録商標)製マイクロチューブポンプ)、および温度計を有する容積3Lのガラス製反応容器にメタノール300部、10%アンモニア水49.5部を入れ、攪拌混合してアルカリ触媒溶液を得た。
【0140】
・粒子生成工程〔シリカ粒子懸濁液の調製〕
次に、アルカリ触媒溶液の温度を25℃に調整し、アルカリ触媒溶液を窒素置換した。その後、アルカリ触媒溶液を攪拌しながら、テトラメトキシシラン(TMOS)450部と、触媒(NH
3)濃度が4.44%のアンモニア水270部と、を下記供給量で同時に滴下しシリカ粒子の懸濁液(シリカ粒子懸濁液)を得た。
ここで、テトラメトキシシランの供給量は7.6部/min、4.44%アンモニア水の供給量は4.5部/minとした。
得られたシリカ粒子懸濁液の粒子を測定したところ、体積平均粒子径(D50v)は145nmであった。
【0141】
−乾燥工程−
次に、得られた親水性シリカ粒子の懸濁液(親水性シリカ粒子分散液)を、スプレードライにより乾燥して溶媒を除去し、親水性シリカ粒子の粉末を得た。得られた親水性シリカ粒子を40℃90%の環境に24時間保管(放置)した。
【0142】
−疎水化処理工程−
得られた親水性シリカ粒子の粉末100部をミキサーに入れ、窒素雰囲気下で200℃に加熱しながら200rpmで攪拌し、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を親水性シリカ粒子の粉末に対し一時間当たり10部の滴下速度で合計30部滴下し、全量滴下後2時間反応させた。その後、冷却させ疎水化処理された疎水性シリカ粒子(1)の粉末を得た。
以上工程を経て得られた疎水性シリカ粒子(1)の粉末を、シリカ粒子1とした。シリカ粒子1の体積平均粒径は145nmであった。
【0143】
(樹脂粒子1)
樹脂粒子MP1451(綜研化学株式会社製、体積平均粒径150nm)を樹脂粒子1とした。
【0144】
<キャリアの作製>
(キャリア1の作製)
・綜研化学社製「ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂(Mw72,000、Mn36,000): 3質量部
・和光純薬工業株式会社 トルエン(特級): 30質量部
・芯材[パウダーテック社製磁性粉「Mn−Mgフェライトコア(平均粒径23μm、飽和磁化55A/m
2/kg(1kOe時)、真比重4.6g/cm
3)]: 100質量部
上記組成のうち、まず、PMMA樹脂をトルエンに溶解させPMMA樹脂のトルエン溶液を作製する。
次に、芯材であるフェライトコア(磁性粉)を80℃に加熱したニーダーに投入し、攪拌させる。
フェライトコアが50℃になった時点で、PMMAのトルエン溶液を投入し、密閉し10分攪拌させる。
次に、攪拌したまま、真空にし、トルエンを気化させる。30分後真空を解除し、取り出す。
そして、放置冷却させ30℃になった後、45μm篩分を実施し、平均粒径24μmのキャリア1を得た。
【0145】
<現像剤の作製>
(初期トナー1及び初期充填現像剤1の作製)
トナー粒子1: 100質量部に、外添剤としてシリカ粒子1及び樹脂粒子1を、初期シリカ含有量及び初期樹脂粒子含有量がそれぞれ表1に示す値となるように添加し、5リットルヘンシェルミキサーを用い、撹拌羽根回転数=3760rpm、撹拌羽根の直径=0.17mm、撹拌時間=15分間の外添条件で混合を行った後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去し、初期トナー1を作製した。
なお、トナー粒子及び外添剤の混合強度(以下「混合強度」)は、2.30E+10とした。但し、式:混合強度=[撹拌羽根回転数(rpm)]
3×[撹拌羽根の直径(m)]
2×[撹拌時間(分)]で算出される値である。
そして、初期トナー1: 10質量部とキャリア1: 90質量部とを、V型ブレンダーで、攪拌速度20rpmで15分間混合して、初期充填現像剤1を作製した。
【0146】
(初期トナー2〜4及び初期充填現像剤2〜4の作製)
シリカ粒子1及び樹脂粒子1を、初期シリカ含有量及び初期樹脂粒子含有量がそれぞれ表1に示す値となるように添加した以外は、初期トナー1と同様にして、それぞれ初期トナー2〜4を得た。
初期トナー1の代わりにそれぞれ初期トナー2〜4を用いた以外は、初期充填現像剤1と同様にして、それぞれ初期充填現像剤2〜4を得た。
【0147】
(補給トナー1〜8及び補充用現像剤1〜8の作製)
シリカ粒子1及び樹脂粒子1を、補給シリカ含有量及び補給樹脂粒子含有量がそれぞれ表1に示す値となるように添加した以外は、初期トナー1と同様にして、それぞれ補給トナー1〜8を得た。
補給トナー1〜8をそのまま、それぞれ補充用現像剤1〜8として用いた。
【0148】
<実施例1〜8、比較例1〜3>
表1に示す初期充填現像剤を、富士ゼロックス社製「ApeosPortIV C5575」改造機の現像装置に収容すると共に、表1に示す補充用現像剤(トナー)を、トナーカートリッジに充填して、以下の画像形成を行った。
具体的には、10℃10%の環境下にて、100%ソリッド画像、画像密度(エリアカバレッジ)100%のベタ画像を10,000枚形成した。その後、画像密度(エリアカバレッジ)1%の文書画像を10,000枚形成した。
【0149】
(感光体摩耗の評価)
以下のようにして感光体の摩耗量を測定した。
具体的には、画像形成を行う前に感光体の最表面層の膜厚を予め測定し、10℃10%の環境下にて、上記ベタ画像を10,000枚形成した後上記文書画像を20,000枚形成し、その後における感光体の最表面層の膜厚との差分を求め、表面保護層の摩耗量(nm)を算出した。結果を表1に示す。
なお、膜厚測定器として、フィッシャースコープ社製パーマスコープを用いた。
【0150】
感光体摩耗の評価基準は、以下の通りであり、結果を表1に示す。
G1:摩耗量が700nm未満
G2:摩耗量が700nm以上1200nm未満
G3:摩耗量が1200nm以上2000nm未満
G4:摩耗量が2000nm以上
【0151】
(シリカ粒子のすり抜けの評価)
以下のようにしてシリカ粒子のすり抜けを評価した。
具体的には、前記した評価後の感光体の表面について、顕微鏡で観察し、すり抜けたシリカ粒子の感光体へのフィルミングを観察した。また10000枚目の文書画像について画質を確認した。
【0152】
シリカ粒子のすり抜けの評価基準は、以下の通りであり、結果を表1に示す。
G1:感光体へのフィルミングなし
G2:感光体への軽微なフィルミングあり
G3:感光体への重度のフィルミングあり、文書画像に軽微な色筋が発生
G4:感光体への重度のフィルミングあり、文書画像に重度の色筋が発生
【0153】
(画像濃度ムラの評価)
以下のようにして画像濃度ムラを評価した。
具体的には、上記画像形成におけるベタ画像について、1000枚おきに画像濃度の確認を行った。ここで、画像濃度は、画像濃度計X−Rite938(X−Rite社製)にて測定して数値化した。画像濃度の測定は、各画像について100%ソリッド画像部分についてランダムに10箇所ずつ行い、測定された濃度の最大値と最小値の差である画像濃度差を求め、画像濃度ムラの結果とした。評価基準は以下の通りである。
【0154】
画像濃度ムラの評価基準は、以下の通りであり、結果を表1に示す。
G1:全ての画像において画像濃度差が0.2以下
G2:全ての画像において画像濃度差が0.3以下
G3:画像濃度差が0.3より大きい画像が1枚以上発生
【0155】
【表1】
【0156】
上記結果から、本実施例では、比較例1及び比較例3に比べ、感光体の摩耗量が少ないことがわかる。
また、本実施例では、比較例2及び比較例3に比べ、シリカ粒子のすり抜けによる画像欠陥が抑制されていることがわかる。