(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜
図8を参照して、車両のサイドドアに装着される昇降装置について説明する。
図1に、車両のサイドドア1の模式図を示す。
図1は、内側(座席側)から見たサイドドア1の図である。
【0018】
車両のサイドドア1(すなわち車両用ドア)は、サイドドア1の外側を構成するアウターパネル2と、サイドドア1の内側を構成するインナーパネル3と、アウターパネル2とインナーパネル3との間に配置される昇降装置4と、昇降装置4により昇降する窓ガラス5とを備える。昇降装置4には、昇降装置4を駆動するためのモータユニット6が取り付けられている。
【0019】
インナーパネル3の中央部には部品組付け用の開口部3eが設けられている。
インナーパネル3の外面には昇降装置4が取り付けられている。具体的には、昇降装置4の上部がインナーパネル3の上辺部3a(開口部3eの上側部分)にボルト等の締結部材により締結される。昇降装置4の下部がインナーパネル3の下辺部3b(開口部3eの下側部分)にボルト等の締結部材により締結される。なお、インナーパネル3と昇降装置4とを備える構造体を「ドア構造体1A」というものとする。
【0020】
また、以降の説明において、昇降装置4の「内面」または「内側」とは、昇降装置4を車両のサイドドア1に装着した場合において座席側に配置される「面」または「側」を示す。昇降装置4の「外面」または「外側」とは、昇降装置4を車両のサイドドア1に装着した場合において外側に配置される「面」または「側」を示す。
【0021】
また、昇降装置4の「前側」とは、昇降装置4を車両のサイドドア1に装着した場合において車両の前側に配置される「側」を示す。また、昇降装置4の「後側」とは、昇降装置4を車両のサイドドア1に装着した場合において車両の後側に配置される「側」を示す。また、「前方」とは、昇降装置4を車両のサイドドア1に装着した場合において車両が前進する方向と一致する方向をいい、「後方」とは、昇降装置4を車両のサイドドア1に装着した場合において車両が後進する方向と一致する方向をいう。
【0022】
また、昇降装置4の「上側」または「上部」とは、昇降装置4を車両のサイドドア1に装着した場合において上側に配置される「側」または「部分」を示す。また、昇降装置4の「下側」または「下部」とは、昇降装置4を車両のサイドドア1に装着した場合において下側に配置される「側」または「部分」を示す。
【0023】
図2に、外側から見た昇降装置4の模式図を示す。
図3に、昇降装置4の側面(
図2の矢印X方向からみた側面)の模式図を示す。
図2に示すように、昇降装置4は、窓ガラス5を昇降させるための駆動機構20と、駆動機構20を支持する支持板10と、支持板10に摺動可能に取り付けられて駆動機構20の動力により昇降する2個のキャリア31,32とを備えている。以下、昇降装置4の前側に配置されるキャリアを「第1キャリア31」といい、昇降装置4の後側に配置されるキャリアを「第2キャリア32」というものとする。
【0024】
支持板10は、窓ガラス5に沿うように構成されている。
例えば、窓ガラス5が外側に膨らむように湾曲する場合には、
図3に示すように、支持板10は、外側に膨らむように構成される。すなわち、支持板10は、湾曲した窓ガラス5が上下移動するときに窓ガラス5と支持板10との間の間隙距離が一定に保たれるように、構成される。このような支持板10は、例えば、樹脂により形成される。樹脂製の支持板10では、成形性の向上のために幾つかの開口部14が設けられている。
【0025】
支持板10は、前方に配置されて上下方向に延びる前側部10dと、後方に配置されて上下方向に延びる後側部10eと、前側部10dと後側部10eとの間に配置される中央部10cとを有する。
【0026】
支持板10の前方側端(前側部10dの前側)には、第1キャリア31を案内する第1ガイドレール11が設けられ、支持板10の後方側端(後側部10eの後側)には、第2キャリア32を案内する第2ガイドレール12が設けられている。
【0027】
第1及び第2ガイドレール11,12は、支持板10と一体成形される。
第1及び第2ガイドレール11,12は互いに平行(または略平行)に、かつ窓ガラス5の昇降方向に合うように両ガイドレール11,12が斜めに構成される。「斜め」とは、昇降装置4を車両のサイドドア1に装着した場合における鉛直方向に対して斜めであることを示す。
【0028】
支持板10の外面10a側には、駆動機構20が設けられている。
支持板10の内面10b側には、駆動機構20を駆動するためのモータユニット6が配置されている。モータユニット6は、減速機やギア機構を有する。減速機(またはギア機構)の出力軸(以下、「モータ出力軸」という。)から出力される動力は、駆動機構20に伝達される。モータ出力軸は、支持板10を貫通する孔を挿通して支持板10の外面10a側は突出する。
【0029】
また、支持板10において第1キャリア31の移動範囲における下死点を含む領域には、後述のストッパ3s(
図4参照)を挿通するための貫通孔13が設けられている。
貫通孔13は、第1ガイドレール11に沿うように矩形(または長円)に形成されている。貫通孔13の長さ(第1ガイドレール11に沿う方向の長さ)については後述する。
【0030】
第1キャリア31及び第2キャリア32は次のように構成される。
第1キャリア31は、第1ガイドレール11に摺動可能に取り付けられている。第2キャリア32は、第2ガイドレール12に摺動可能に取り付けられている。
【0031】
第1キャリア31は、第1ガイドレール11に取り付けられるキャリアブラケット33と、キャリアブラケット33に取り付けられて窓ガラス5を保持するホルダ34と、ストッパ3sに当接する当接部35とを備えている。当接部35は樹脂またはゴム製の緩衝部材により形成されている。第2キャリア32は、当接部35が設けられていない点を除いて、第1キャリア31に準じた構造を有する。
【0032】
駆動機構20は、3本のケーブル(以下、それぞれを「第1ケーブル25」、「第2ケーブル26」、「第3ケーブル27」という。)と、第1及び第2ケーブル25,26を引っ張るドラム28と、第1〜第3ケーブル25〜27を案内する4個のプーリ(以下、それぞれ「第1プーリ21」〜「第4プーリ24」という。)とを備えている。
【0033】
ドラム28は、支持板10の中央部に配置された収容部29に収容されている。ドラム28は、モータユニット6のモータ出力軸に接続され、モータユニット6の駆動により回転する。
【0034】
第1〜第4プーリ21〜24は次に示すように支持板10に回転可能に取り付けられている。第1プーリ21は、支持板10の前側部10dの下部に取り付けられている。第2プーリ22は、支持板10の前側部10dの上部に取り付けられている。第3プーリ23は、支持板10の後側部10eの下部に取り付けられている。第4プーリ24は、支持板10の後側部10eの上部に取り付けられている。
【0035】
第1ケーブル25は、第1キャリア31の下端部とドラム28とを互いに接続する。
具体的には、第1ケーブル25は、一端部で第1キャリア31の下端部に接続されて下方に引っ張られ、中間部(一端部と他端部との間の部分。以下、同じ。)で第1プーリ21を介して上方に折り返され、他端部でドラム28に接続される。
【0036】
第2ケーブル26は、第2キャリア32の上端部とドラム28とを互いに接続する。
具体的には、第2ケーブル26は、一端部で第2キャリア32の上端部に接続されて上方に引っ張られ、中間部で第4プーリ24を介して下方に折り返され、他端部でドラム28に接続される。
【0037】
第3ケーブル27は、第1キャリア31と第2キャリア32とを接続する。
具体的には、第3ケーブル27は、一端部で第1キャリア31の上端部に接続されて上方に引っ張られ、一端寄り部分で第2プーリ22を介して下方に折り返され、他端寄り部分で第3プーリ23を介して上方に折り返され、他端部で第2キャリア32の下端部に接続される。
【0038】
駆動機構20の作用を説明する。
ドラム28が、第1ケーブル25をドラム28自身に巻き込むように回転すると(以下、この回転方向を「第1方向」という。)、第1キャリア31は下方に移動する。すると、第1キャリア31の下方への移動に伴い第3ケーブル27が引っ張られるため、第2キャリア32が第1キャリア31の移動とともに下方に移動する。すなわち、ドラム28の第1方向の回転に基づいて第1キャリア31と第2キャリア32とが同じ距離だけ下方に移動する。
【0039】
ドラム28が、第2ケーブル26をドラム28自身に巻き込むように回転すると(以下、この回転方向を「第2方向」という。)、第2キャリア32は上方に移動する。すると、第2キャリア32の上方への移動に伴い第3ケーブル27が引っ張られるため、第1キャリア31が第2キャリア32の移動とともに上方に移動する。すなわち、ドラム28の第2方向の回転に基づいて第1キャリア31と第2キャリア32とが同じ距離だけ上方に移動する。
【0040】
次に、第1キャリア31及び第2キャリア32の移動を制限する移動制限機構について説明する。
第1キャリア31の下方への移動は、インナーパネル3に設けられたストッパ3sにより制限される。
【0041】
図4に、ドア構造体1Aにおいて、ストッパ3sが配置されている部分の図を示す。なお、
図4は、ドア構造体1Aを車両に配置した場合における内側から見た図である。
図5(a)にストッパ3sの斜視図を示す。
図5(b)に、
図5(a)のA−A線に沿う断面図を示す。
【0042】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、ストッパ3sは、インナーパネル3の下辺部3bの上端3tから支持板10側に向かった突出する。また、ストッパ3sは、支持板10の貫通孔13を挿通して、支持板10の外面10a側に突出し、第1キャリア31の移動方向に交わるように配置される。また、第1キャリア31の移動範囲における下死点に、ストッパ3sが配置される。
【0043】
この構成によれば、第1キャリア31が下方へ移動して、第1キャリア31に設けられた当接部35がストッパ3sに当接することにより、第1キャリア31の下方への移動が制限される。
【0044】
なお、第1キャリア31の上方への移動を制限する機構は、昇降装置4には設けられていない。これは、窓ガラス5が上方に移動して、サイドドア1の窓枠を全閉したときに窓ガラス5の上方への移動が制限され、これにより第1及び第2キャリア31,32の上昇が制限されるためである。ただし、このときモータユニット6の駆動停止制御が実行される。この駆動停止は、第1及び第2キャリア31,32の上昇制限に伴って生じるモータユニット6へのトルク増大に基づいて実行される。
【0045】
図6を参照して、ストッパ3sの別の例を説明する。
図6(a)に、別の例に係るストッパ103sの斜視図を示す。
図6(b)に、
図6(a)のB−B線に沿う断面図を示す。
【0046】
この例のストッパ103sは、インナーパネル3の下辺部3bの上端3tよりも下側に設けられている。
ストッパ103sは、インナーパネル3の切り曲げ部として構成されている。例えば、インナーパネル3に、ストッパ103sの外形を構成するスリットを形成し、切り残した部分を折り曲げることにより、ストッパ103sが形成される。
【0047】
このような構成のストッパ103sは、インナーパネル3が上下方向に長いことに起因して、インナーパネル3の下辺部3bの上端3tにストッパ103sを設けるとストッパ103sの位置が第1キャリア31の下死点よりも高くなってしまう場合に、特に、有効である。
【0048】
図7を参照して、ストッパ3sの更に別の例を説明する。
図7(a)に、別の例に係るストッパ203sの斜視図を示す。
図7(b)に、
図7(a)のC−C線に沿う断面図を示す。
【0049】
この例のストッパ203sは、インナーパネル3とは別部材として構成されている。ストッパ203sは、インナーパネル3に固定される固定部203aと、第1キャリア31の当接部35が当たる制止部203bとを有する。制止部203bは、固定部203aに対して垂直に突出する。固定部203aには、ストッパ203sをインナーパネル3に締結するための長円の締結用孔203cが設けられている。インナーパネル3には、ストッパ締結用の貫通孔3hが設けられている。ストッパ203sとインナーパネル3とは、ボルト210とナット211とにより互いに締結される。ボルト210は、ストッパ203sの締結用孔203cとインナーパネル3の貫通孔3hとを挿通して、ナット211にねじ入れられる。
【0050】
ストッパ203sの締結用孔203cは長円であるため、インナーパネル3に対してストッパ203sの移動が許容される。すなわち、ストッパ203sとインナーパネル3との締結の際に、ストッパ203sの位置を微調整することが可能である。
【0051】
次に、昇降装置4及びこの昇降装置4を備えるドア構造体1Aの作用を説明する。
上記したように、上記昇降装置4の支持板10は、ストッパ3s(103s,203s)が挿通する貫通孔13を有する。この構成は、支持板10には、ストッパ3sが設けられていないことを意味する。この構成により、同種のサイドドア1において、支持板10を共通に使用可能となる。以下、更にこの点について説明する。
【0052】
昇降装置4の支持板10はサイドドア1の構造に合せて構成される。例えば、支持板10の湾曲度合は、窓ガラス5の湾曲度合に対応するように構成される。また支持板10の大きさや形状は、サイドドア1の大きさやサイドドア1に内蔵される他の部品との関係で定められる。また、窓ガラス5の昇降方向に合わせて両ガイドレール11,12は斜めに構成される。このため、支持板10は、サイドドア1の種類毎に作成される。しかし、このような事情から、支持板10の品種が膨大となっており、管理上の煩雑さが増大し、結果的に、これが生産効率の低下を齎している。また、品種毎に、専用の金型が必要となるため初期費用が増大する。このような事情から、生産効率化の向上を目的として支持板10の共通化が課題となっている。
【0053】
サイドドア1には様々な形態のものがあるが、窓ガラス5の形態や窓ガラス5の収容方法等(例えば、窓ガラス5の昇降方向)により、サイドドア1を種別することができる。このように種別された群を「ドアシリーズ」と言うものとすると、ドアシリーズ毎に、共通の昇降装置4を適用することが可能となる。しかし、ここで、共通化の妨げとなる要因として、ドアシリーズ内においても窓ガラス5の移動範囲は一致していないことが挙げられる。窓ガラス5の移動範囲に応じて支持板10におけるストッパ3sの位置を異ならせる必要がある。このような事情から、ドアシリーズ内においてストッパ3sの位置が僅かに異なっているだけで、それぞれに対応した支持板10が必要となっている。
【0054】
このような課題を解決するために、上記昇降装置4の支持板10からストッパ3sが除去されている。これにより、ドアシリーズ内の各ドアについて、昇降装置4が共通して適用することが可能となっている。
【0055】
支持板10に設けられる貫通孔13の長さ(第1ガイドレール11に沿う長さ)は、ドアシリーズ内の各種サイドドア1のストッパ3sが挿通可能なように、所定の寸法に設定されている。具体的には、ドアシリーズ内の各ドアのストッパ3sが支持板10の貫通孔13に挿通可能なように、貫通孔13の長さ及び大きさが設定される。
【0056】
なお、ストッパ3sはインナーパネル3に設けられるが、このことに起因して、インナーパネル3の共通化が困難になるといった状況にはならない。インナーパネル3は、サイドドア1の種類毎にインナーパネル3が設計されるものであり、インナーパネル3の共通化はドアシリーズ内において実施することができないためである。すなわち、本技術では、ドアを構成するドア部品のうちで、共通化ができないドア部品(具体的にはインナーパネル3)に、各ドアの特徴的な構成要素(例えば、ストッパ3s)を集約させる。
【0057】
ところで、ストッパ3s(103s,203s)は、第1キャリア31と接触させるために昇降装置4の支持板10の貫通孔13に挿通させているが、このような貫通孔13を設けることによって支持板10に新たな問題が生じ得る。この点について説明する。
【0058】
上述したように、昇降装置4において、支持板10の両側端には、第1及び第2キャリア31,32の昇降を案内する一対の第1及び第2ガイドレール11,12が設けられている。第1及び第2ガイドレール11,12のそれぞれには第1及び第2キャリア31,32が摺動可能に取り付けられ、駆動機構20は、第1キャリア31及び第2キャリア32を移動させるための第1〜第3ケーブル25〜27を備える。このため、支持板10には、支持板10を変形させるような力が加わる。例えば、モータユニット6の駆動により、第1及び第2キャリア31,32が下方に移動して第1キャリア31がストッパ3sに当接するとき、第1ケーブル25に強い引っ張り力が加わる。この力は第1プーリ21を介して支持板10に伝達される。このとき、この力が支持板10を変形させる。このため、この力が過大であるとき、第1ガイドレール11が歪むおそれがある。特に、支持板10が薄い場合には、貫通孔13付近において、支持板10が曲がったり捻じれたりするおそれがある。このようなことから、支持板10において貫通孔13の周囲を補強することが好ましい。
【0059】
図8(a)に、リブ15が設けられた支持板10の一例を示す。
図8(b)に、
図8(a)のD−D線に沿う断面図を示す。
この例では、支持板10において、貫通孔13と第1ガイドレール11との間に、貫通孔13から第1ガイドレール11に向かう方向(以下、「横幅方向」という。)に延びるリブ15が設けられている。
【0060】
この構成によれば、このリブ15により、支持板10の第1プーリ21付近において横幅方向への変形が抑制されるようになるため、貫通孔13が広がったり、貫通孔13付近の部分が捻じれたりすることが抑制される。これによって、第1ガイドレール11の変形が抑制される。
【0061】
以上に説明したように、本実施形態に係る昇降装置4及びこの昇降装置4を備えるサイドドア1(車両用ドア)は、次の効果を奏する。
(1)上記実施形態に係る昇降装置4では、支持板10には、インナーパネル3に設けられたストッパ3s(103s,203s)が挿通する、貫通孔13が設けられている。
【0062】
この構成によれば、支持板10とは別の部材により構成されるストッパ3sが、支持板10の貫通孔13に挿通する。窓ガラス5は、このストッパ3sにより下方への移動が制限される。支持板10にはストッパ3sが存在しないため、支持板10は、ドアシリーズ内の各ドアについて共通して適用されうる。これにより、ドアシリーズの各サイドドア1に昇降装置4が共通して適用されるようになる。
【0063】
また、この構成は、従来の支持板10に設けられているストッパ3sがないという特徴を有する。
従来の支持板10には、第1キャリア31の下方への移動を止めるためのストッパ3sが設けられている。この構成の場合、第1キャリア31が下方に移動してストッパ3sに当接するとき、このストッパ3sには第1キャリア31からストッパ3sに向かう力が加わる。この力は、支持板10の曲げ強度に対しては十分小さいが、支持板10を弾性変形させる。このような変形は窓ガラス5の昇降の都度生じるため、支持板10の劣化が進行するおそれがある。この点、上記構成によれば、ストッパ3sが支持板10から除去されているため、第1キャリア31をストッパ3sで停止させることによる支持板10の変形がなくなる。これにより、支持板10の変形や支持板10の劣化の進行を抑制することができる。
【0064】
(2)上記実施形態に係る昇降装置4では、支持板10の貫通孔13の周囲にリブ15が設けることが好ましい。
この構成によれば、リブ15により貫通孔13の周辺部分が補強されるため、支持板10の変形が抑制される。
【0065】
例えば、貫通孔13と第1ガイドレール11との間に、貫通孔13から第1ガイドレール11に向かう方向(横幅方向)に延びるように、リブ15が設けられる。
この構成によれば、このリブ15により、支持板10において横幅方向への変形が抑制されるようになるため、貫通孔13が広がったり、貫通孔13付近の部分が捻じれたりすることが抑制される。
【0066】
(3)上記実施形態に係るサイドドア1は、上記昇降装置4と、インナーパネル3とを備える。
サイドドア1は、共通化された昇降装置4を有するため、全体として、その生産性が向上する。具体的には、昇降装置4の生産性の向上によりサイドドア1の生産性が向上する。また、ドアシリーズの各ドアに共通の昇降装置4が用いられるため、ドアシリーズ全体において生産性が向上する。
【0067】
(4)インナーパネル3は、支持板10の下部を支持する下辺部3bを有するものとして構成される。ストッパ3sは、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、インナーパネル3の下辺部3bの上端3tから延長するように設けられている。この構成によれば、インナーパネル3の製造工程においてストッパ3sを簡単に設けることができる。
【0068】
(5)また、別の例では、ストッパ103sは、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、インナーパネル3の切り曲げ部として構成されている。
上記構成によれば、インナーパネル3の製造工程においてストッパ103sを簡単に設けることができる。また、この構成では、インナーパネル3の上端3tよりも下側の位置にストッパ103sを設けることができる。
【0069】
(6)また、ストッパ203sは、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、インナーパネル3とは別部材のものとして構成され、インナーパネル3に位置調整可能に取り付けられている。この構成によれば、ストッパ203sの位置を調整することができる。
【0070】
なお、上記実施形態は以下のように変更することもできる。
・上記実施形態において、支持板10の貫通孔13付近を補強するリブ15の一例として、貫通孔13と第1ガイドレール11との間に設けられて貫通孔13から第1ガイドレール11に向かう方向(横幅方向)に延びるものを示しているが、リブ15の配置及び形態はこれに限定されない。
【0071】
例えば、貫通孔13を囲むようにリブ15を設けてもよい。この場合でも貫通孔13の変形(すなわち支持板10の変形)が抑制される。また、実施形態に示したリブ15に加えて、このリブ15に交わるリブを設けてもよい。これにより、支持板10は更に補強される。
【0072】
・上記実施形態において、支持板10は樹脂により形成されているが、支持板10を形成する素材は限定されない。例えば、支持板10は、金属板または金属板と樹脂板の合成板により形成される。
【0073】
・上記実施形態では、第1及び第2ガイドレール11,12は、支持板10と一体に成形されているが、第1及び第2ガイドレール11,12を、支持板10とは異なる別部材として構成してもよい。
【0074】
・上記実施形態では、昇降装置4は、2個のキャリア31,32を備えるが、キャリアの個数は限定されない。例えば、1個のキャリアで窓ガラス5を移動させることもできる。この場合は、貫通孔13は、支持板10においてキャリアの下死点付近に設けられる。この構成によっても、上記(1)の効果に準じた効果が得られる。