特許第6344282号(P6344282)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6344282コイル端子およびこれを備えた電磁継電器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6344282
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】コイル端子およびこれを備えた電磁継電器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/14 20060101AFI20180611BHJP
【FI】
   H01H50/14 Q
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-64755(P2015-64755)
(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公開番号】特開2016-184526(P2016-184526A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2017年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100103012
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 隆宣
(74)【代理人】
【識別番号】100172236
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 宣憲
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 純
(72)【発明者】
【氏名】筒井 和広
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−062078(JP,A)
【文献】 特開2007−207495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルに電流を供給するための少なくとも2つの端子部と、
少なくとも前記端子部を連結する連結部と、
前記端子部もしくは前記連結部に設けられ、前記コイルの引出線が接続される少なくとも2つの接続部と、
を備え、
前記連結部が、抵抗材料で形成されていると共に、前記連結部の少なくとも一部を屈曲させた抵抗調整部を有する、コイル端子。
【請求項2】
前記端子部、前記連結部、前記接続部および前記抵抗調整部が、同一平面に沿って配置されていると共に、
前記端子部と前記抵抗調整部とが、同一方向に突出しており、
前記接続部と前記抵抗調整部とが、曲げ起こし可能に形成されている、請求項1に記載のコイル端子。
【請求項3】
前記端子部、前記連結部および前記接続部が、同一平面に沿って配置されていると共に、前記抵抗調整部が、前記前記端子部、前記連結部および前記接続部が配置されている平面と交差する方向に延びるように配置されている、請求項1に記載のコイル端子。
【請求項4】
前記端子部、前記連結部および前記接続部が、同一の抵抗材料で一体に形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のコイル端子。
【請求項5】
前記端子部、前記接続部、および、前記端子部から前記接続部に至る経路における前記連結部の表面の一部または全部が、導電性材料により覆われている、請求項4に記載のコイル端子。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のコイル端子を備えた電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル端子、および、これを備えた電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁継電器としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。この電磁継電器は、通電により励磁される電磁石およびこの電磁石に電流を流すための一対のコイル端子を有する電磁石装置と、電磁石の励磁、消磁に伴って固定接点および可動接点を接触または開離させる接点機構とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−11838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の前記電磁継電器では、例えば、電磁石装置から発生するサージ電圧を吸収するための既製の抵抗器を設けている。このため、コイル端子の形状および配置が制限され、ユーザが所望する小型化等の設計変更に対応するのが困難であった。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑み、設計の自由度が大きいコイル端子およびこれを備えた電磁継電器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコイル端子は、前記課題を解決すべく、コイルに電流を供給するための少なくとも2つの端子部と、少なくとも前記端子部を連結する連結部と、前記端子部もしくは前記連結部に設けられ、前記コイルの引出線が接続される少なくとも2つの接続部と、を備える。前記連結部が、抵抗材料で形成されていると共に、前記連結部の少なくとも一部を屈曲させた抵抗調整部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のコイル端子によれば、少なくとも端子部を連結する連結部を抵抗材料で形成し、この連結部の少なくとも一部を屈曲させた抵抗調整部を設けているので、抵抗材料の種類および抵抗調整部の形状を変更することにより端子部間の抵抗を調整できる。このため、既製の抵抗器等を取り付ける際に発生する形状および配置に関する制約を受けることなく、端子部間の抵抗値を所望の値に設定できる。その結果、例えば、電磁継電器を容易に小型化できる。
【0008】
本発明の一実施形態としては、前記端子部、前記連結部、前記接続部および前記抵抗調整部が、同一平面に沿って配置されていると共に、前記端子部と前記抵抗調整部とが、同一方向に突出しており、前記接続部と前記抵抗調整部とが、曲げ起こし可能に形成されている構成としてもよい。
【0009】
この実施形態によれば、抵抗調整部が曲げ起こし可能に形成されているので、例えば、コイル端子を電磁石装置に取り付けた場合に、抵抗調整部を電磁石装置の空きスペースに収納できる。これにより、抵抗調整部の形状に起因する電磁石装置の大型化を防止できる。また、電磁石装置のスプールにコイルを巻回した後でも接続部と抵抗調整部とを同時に曲げ起こすことができるので、コイルを巻回するときに接続部と抵抗調整部との干渉を防ぐことができる。その結果、電磁石装置を容易に製造できる。
【0010】
本発明の一実施形態としては、前記端子部、前記連結部および前記接続部が、同一平面に沿って配置されていると共に、前記抵抗調整部が、前記前記端子部、前記連結部および前記接続部が配置されている平面と交わる方向に突出するよう配置されている構成としてもよい。
【0011】
この実施形態によれば、端子部間の抵抗値を所望の値に設定できる。
【0012】
本発明の一実施形態としては、前記端子部、前記連結部および前記接続部が、同一の抵抗材料で一体に形成されている構成としてもよい。
【0013】
この実施形態によれば、端子部間の抵抗値をより広い範囲で設定することができるので、コイル端子の設計の幅を広げることができる。
【0014】
本発明の一実施形態としては、前記端子部、前記接続部、および、前記端子部から前記接続部に至る経路における前記連結部の表面の一部または全部が、導電性材料により覆われている構成としてもよい。
【0015】
この実施形態によれば、端子部間の抵抗値をより広い範囲で設定することができるので、コイル端子の設計の幅を広げることができる。
【0016】
本発明の電磁継電器は、前記コイル端子を備えている。
【0017】
本発明の電磁継電器によれば、前記コイル端子を組み込むことにより、容易に小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態のコイル端子を備えた電磁継電器を示す斜視図である。
図2図1の電磁継電器のカバーを取った状態を示す斜視図である。
図3図1の電磁継電器の分解斜視図である。
図4図1の電磁継電器の図3の分解斜視図とは異なる方向の分解斜視図である。
図5】第1実施形態のコイル端子を示す斜視図である。
図6図1の電磁継電器の電磁石装置のコイルを巻回する前の状態を示す斜視図である。
図7図6のVI−VI線に沿った断面図である。
図8図6の電磁石装置のコイルを巻回した状態を示す斜視図である。
図9】本発明の第2実施形態のコイル端子を備えた電磁継電器の電磁石装置のコイルを巻回する前の状態を示す斜視図である。
図10図8のIX−IX線に沿った断面図である。
図11図8の電磁石装置のコイルを巻回した状態を示す斜視図である。
図12】本発明の第3実施形態のコイル端子を備えた電磁継電器の電磁石装置のコイルを巻回する前の状態を示す斜視図である。
図13】本発明の第4実施形態のコイル端子を備えた電磁継電器の電磁石装置のコイルを巻回する前の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、図面に表された構成を説明するうえで、「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を示す用語、及びそれらを含む別の用語を使用するが、それらの用語を使用する目的は図面を通じて実施形態の理解を容易にするためである。したがって、それらの用語は本発明の実施形態が実際に使用されるときの方向を示すものとは限らないし、それらの用語によって特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲が限定的に解釈されるべきでない。
【0020】
本発明の一実施形態のコイル端子を備えた電磁継電器100は、図1図2に示すように、ベース10と、ベース10上に設けられた電磁石装置20,可動鉄片30および接点機構40と、電磁石装置20,可動鉄片30および接点機構40を覆うようにベース10に取り付けられたカバー50とを備えている。
【0021】
ベース10は、図3図4に示すように、上面視方形を有している。このベース10には、後述する電磁石装置20のコイル端子80を圧入するためのコイル端子孔11と、接点機構40の固定端子44を圧入するための固定端子孔12(図4に示す)とが設けられている。ベース10の周縁には、図3に示すように、上方に延びる壁部13が設けられている。また、ベース10の底面の外周には、図4に示すように、段部14が設けられている。
【0022】
電磁石装置20は、図3図4に示すように、スプール21と、スプール21に巻回された2つのコイル25と、スプール21内に挿入された鉄心26と、鉄心26の一端が連結されたヨーク27と、コイル25の引出線が巻回されたコイル端子80と、可動接触片46の移動範囲を規制する位置規制部28とで構成されている。
【0023】
スプール21は、両端にそれぞれ設けられた第1,第2鍔部22,23と、第1,第2鍔部22,23の間に設けられた第3鍔部24と、第1〜第3鍔部22,23,24を連結する胴部211とで構成されている。
【0024】
第1鍔部22は、図2に示すように、ベース10の壁部13の外側面と接するように配置されている。この第1鍔部22の下側中央には、図4に示すように、ヨーク27を位置決めするための突部221が設けられている。
【0025】
第2鍔部23は、ベース10の壁部13の内側面に対し、所定の間隔を空けて略平行に配置されている。この第2鍔部23の両側には、後述する固定接点端子41を取り付けるための取付部231が設けられている。また、第2鍔部23の下側両隅部には、第1,第2固定接点42,43を位置決めするための凹部232が設けられ、第2鍔部23の下側中央部には、位置規制部28を取り付けるための取付部233が設けられている。
【0026】
第3鍔部24は、第1鍔部22および第2鍔部23に対して略平行に配置されている。第3鍔部24の下側両端には、切欠部241が設けられている。また、第3鍔部24の底面には、図4に示すように、コイル端子80を取り付けるための端子溝242が設けられている。また、端子溝242には、図7に示すように、コイル端子80を圧入するための圧入溝243が設けられている。胴部211は、第1〜第3鍔部22,23,24の略中央に設けられ、鉄心26を挿入するための貫通孔212を有している。
【0027】
コイル25は、スプール21の第1鍔部22および第3鍔部24の間の胴部211と、第2鍔部23および第3鍔部24の間の胴部211とに、それぞれ巻回されている。
【0028】
鉄心26は、略円柱形状を有し、磁性材料で形成されている。鉄心26の両端には、可動鉄片30を吸引するための磁極部261と、ヨーク27にかしめ固定するためのかしめ部262とがそれぞれ設けられている。
【0029】
ヨーク27は、略L字形状の磁性材料からなる板状体で、鉛直部271と、水平部272とで構成されている。鉛直部271の下側両端には、端子部273が設けられている。このヨーク27は、その鉛直部271がスプール21の第1鍔部22に接すると共に、その端子部273の間に第1鍔部22の突部221が配置されている。また、水平部272の各隅部には、可動接触片46をかしめ固定するための突起部274が設けられている。
【0030】
コイル端子80は、図5に示すように、第1〜第3端子部81,82,83と、接続部85と、圧入部86と、第1〜第3端子部81,82,83、接続部85および圧入部86を連結する連結部84とで構成されている。第1〜第3端子部81,82,83、連結部84、接続部85および圧入部86は、ニッケル、クロム、マンガン等の合金からなる抵抗材料で一体に形成されている。
【0031】
第1〜第3端子部81,82,83は、間隔を空けて配置され、連結部84から同一方向に向かって相互に平行に突出している。なお、第1,第3端子部81,83でセットコイル端子を構成し、第2,第3端子部82,83でリセットコイル端子を構成している。
【0032】
接続部85は、連結部84の両端と、第2,第3端子部82,83の間とに配置され、第1〜第3端子部81,82,83に略直交する方向に曲げ起こされている。この接続部85の各々には、コイル25の引き出し線がそれぞれ接続されている。
【0033】
圧入部86は、連結部84の上辺両端に配置され、連結部84から第1〜第3端子部81,82,83に対向する方向に突出している。なお、圧入部86は、図7に示すように、スプール21の第3鍔部24の圧入溝243に圧入される部分である。
【0034】
また、連結部84の第1,第3端子部81,83の間には、抵抗調整部87が設けられている。この抵抗調整部87は、圧入部86の突出方向と同一の方向に突出しており、連結部84の一部を屈曲させることにより形成されている。抵抗調整部87を設けることで、第1,第3端子部81,83間の距離を長くして、抵抗調整部87を設けない場合と比べて、第1,第3端子部81,83間の抵抗値が高くなるようにしている。
【0035】
可動鉄片30は、図3図4に示すように、磁性材料からなる板状体で、可動接触片46をかしめ固定するための突起部31を有している。
【0036】
接点機構40は、図3図4に示すように、固定接点端子41と、可動接触片46とで構成されている。
【0037】
固定接点端子41は、導電性を有する矩形の板状体で、長手方向の両端にそれぞれかしめ固定された第1,第2固定接点42,43と、この第1,第2固定接点42,43の各々に対応する固定端子44とを有している。また、第1,第2固定接点42,43の長手方向の外側には、固定接点端子41を第2鍔部23の取付部231に圧入するための圧入部45が設けられている。
【0038】
可動接触片46は、弾性および導電性を有する略L字形状の板状体で、第1平面部60と第2平面部70とで構成されている。第1平面部60の自由端には、第1,第2可動接点61,62が設けられている。
【0039】
第1可動接点61は、第1固定接点42に接触または開離可能に対向配置され、第2可動接点62は、第2固定接点43に接触または開離可能に対向配置されている。また、第1平面部60には、可動接触片46を可動鉄片30にかしめ固定するための貫通孔63が設けられている。
【0040】
第2平面部70は、その各隅部に、可動接触片46を電磁石装置20のヨーク27にかしめ固定するための第1貫通孔71を有している。また、第2平面部70の自由端の略中央には、可動接触片46をヨーク27にかしめ固定するときに、可動接触片46を仮保持するための第2貫通孔72が設けられている。
【0041】
カバー50は、図3図4に示すように、一面が開口した箱形状で、電磁石装置20,可動鉄片30および接点機構40を覆うようにベース10に取り付けられている。カバー50をベース10に取り付けた状態では、カバー50の内周面とベース10の段部14(図4に示す)とで溝部(図示せず)が形成される。この溝部にはシール剤が注入され、ベース10とカバー50との間に形成される隙間を封止している。
【0042】
次に、コイル端子80をスプール21に取り付ける工程を説明する。
【0043】
図6図7に示すように、スプール21の第3鍔部24の端子溝242内にコイル端子80の圧入部86を挿入し、圧入部86を圧入溝243に圧入する。
【0044】
次に、スプール21の胴部211にコイル25を巻回し、切欠部241に位置している連結部84の両端の接続部85、および、第3鍔部24の底面に位置している第2,第3端子部82,83間の接続部85を第2鍔部23に向かって曲げ起こす。このとき、連結部84の両端の接続部85は、電磁石装置20をベース10に取り付けたときに、ベース10の壁部13に平行に延びるように曲げ起こされる。また、第2,第3端子部82,83間の接続部85は、ベース10の底面に平行に延びるように曲げ起こされる。
【0045】
なお、第1実施形態のコイル端子80は、接続部85を曲げ起こす前の状態において、図6図7に示すように、第1〜第3端子部81,82,83、連結部84、接続部85、圧入部86および抵抗調整部87が、同一平面に沿って配置されている。このため、スプール21の胴部211にコイル25を巻回した後、コイル端子80をスプール21に圧入してもよい。
【0046】
続いて、電磁継電器100の動作を説明する。
【0047】
コイル端子80を介してコイル25に電流を供給して電磁石装置20を励磁する前の電磁継電器100は、図2に示すように、可動接触片46が、自身のばね力によって固定接点端子41から離れる方向に付勢され、位置規制部28に当接している。このとき、第1,第2可動接点61,62と第1,第2固定接点42,43とは、開離した状態で保持され、接触していない。
【0048】
コイル25に電流を供給して電磁石装置20を励磁すると、鉄心26が磁化され、可動鉄片30が磁極部261に吸引される。これにより、可動鉄片30と共に可動接触片46が固定接点端子41に向かって移動し、第1可動接点61および第1固定接点42が接触し、第2可動接点62および第2固定接点43が接触する。
【0049】
その後、コイル25への電流の供給を停止すると、鉄心26の磁極部261による吸引力が消滅する。これにより、可動接触片46は、自身のばね力によって固定接点端子41から離れる方向に移動し、第1可動接点61および第1固定接点42が開離し、第2可動接点62および第2固定接点43が開離する。そして、可動接触片46は、位置規制部28に当接するまで移動する。
【0050】
前記構成のコイル端子80は、第1〜第3端子部81,82,83を連結する連結部84の少なくとも一部を屈曲させた抵抗調整部87を備えているので、抵抗調整部87の形状を変更することにより端子部81,82,83間の抵抗を調整できる。これにより、例えば、既製の抵抗器を設けなくてもサージ電圧を吸収できるので、既製の抵抗器等を取り付ける際に発生する形状および配置に関する制約を受けることがない。このため、コイル端子80の設計の自由度を高めることができ、電磁継電器100を容易に小型化できる。
【0051】
また、連結部84を抵抗材料で形成しているので、抵抗調整部87の形状に加え、抵抗材料を適宜選択することにより、第1〜第3端子部81,82,83間の抵抗を所望の値に変更することができる。
【0052】
前記構成のコイル端子80は、接続部85を曲げ起こされる前の状態において、図6図7に示すように、第1〜第3端子部81,82,83、連結部84、接続部85、圧入部86および抵抗調整部87が、同一平面に沿って配置されている。このため、プレス加工等によってコイル端子80を容易に形成できる。
【0053】
(その他の実施形態)
コイル端子80は、第1実施形態に限らない。例えば、図9図11に示す第2実施形態のコイル端子180のように、抵抗調整部187を第1〜第3端子部81,82,83の突出方向と同一の方向に突出させて、その突出部分を接続部85と共に曲げ起こしてもよい。抵抗調整部187を第1〜第3端子部81,82,83の突出方向と同一の方向に突出させることで、例えば、コイル端子180を電磁石装置に取り付けた場合に、抵抗調整部187を電磁石装置の空きスペースに収納できる。これにより、抵抗調整部187の形状に起因する電磁石装置の大型化を防止できる。また、電磁石装置のスプールにコイルを巻回した後でも接続部85と抵抗調整部187とを同時に曲げ起こすことができるので、コイル25を巻回するときに接続部85と抵抗調整部187との干渉を防ぐことができる。その結果、電磁石装置を容易に製造できる。
【0054】
また、図12に示す第3実施形態のコイル端子280のように、端子部81,82および接続部85は、少なくとも2つあればよい。すなわち、コイルは、1巻線でも2巻線でもよい。さらに、抵抗調整部287は、第1,第2端子部81,82、連結部84および接続部85が配置されている平面と交差する方向に延びるように配置されていてもよい。第3実施形態では、抵抗調整部287は、第1,第2端子部81,82、連結部84および接続部85が配置されている平面に対して、略直交方向に突出している。
【0055】
また、図13に示す第4実施形態のコイル端子380のように、複数の突部91,92,93で抵抗調整部387を構成してもよい。
【0056】
このように、抵抗調整部は、任意の形状を採用でき、また、任意の抵抗材料で形成できる。このため、端子部間の抵抗値を所望の値に設定でき、コイル端子の設計の幅を広げることができる。
【0057】
コイル端子80は、第1〜第3端子部81,82,83、連結部84、接続部85および圧入部86が、同一の抵抗材料で一体に形成されている場合に限らない。少なくとも連結部が抵抗材料で形成されていればよく、第1〜第3端子部、接続部および圧入部は、抵抗材料以外の材料で別々に形成してもよい。
【0058】
接続部85は、連結部84を介して第1〜第3端子部81,82,83に接続されている場合に限らない。例えば、接続部を第1〜第3端子部に直接連結させてもよい。
【0059】
第1〜第3端子部81,82,83、接続部85、および、第1〜第3端子部81,82,83から接続部85に至る経路における連結部84の表面は、導電性材料で覆われていてもよい。例えば、第1〜第3端子部81,82,83、接続部85、および、第1〜第3端子部81,82,83から接続部85に至る経路における連結部84の表面の一部または全部を銅めっき処理することで、第1〜第3端子部81,82,83から接続部85に至る導電経路の電気抵抗を低減することができる。
【0060】
コイル端子80は、必要に応じて、めっき,コーティング等の表面処理を行うことができる。
【0061】
第1〜第4実施形態のコイル端子80,180,280,380は、電磁継電器に適用できる。
【0062】
前記実施形態で述べた構成要素は、適宜、組み合わせてもよく、また、適宜、選択、置換、あるいは、削除してもよいことは、勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のコイル端子は、電磁継電器に限らず、他の電磁機器に適用できる。
【符号の説明】
【0064】
10 ベース
11 コイル端子孔
12 固定端子孔
13 壁部
14 段部
20 電磁石装置
21 スプール
211 胴部
212 貫通孔
22 第1鍔部
221 突部
23 第2鍔部
231 取付部
232 凹部
233 取付部
24 第3鍔部
241 切欠部
25 コイル
26 鉄心
261 磁極部
262 かしめ部
27 ヨーク
271 鉛直部
272 水平部
273 端子部
274 突起部
28 位置規制部
30 可動鉄片
31 突起部
40 接点機構
41 固定接点端子
42 第1固定接点
43 第2固定接点
44 固定端子
45 圧入部
46 可動接触片
50 カバー
60 第1平面部
61 第1可動接点
62 第2可動接点
63 貫通孔
70 第2平面部
71 第1貫通孔
72 第2貫通孔
80,180,280,380 コイル端子
81 第1端子部
82 第2端子部
83 第3端子部
84 連結部
85 接続部
86 圧入部
87,187,287,387 抵抗調整部
91,92,93 突部
100 電磁継電器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13