特許第6344304号(P6344304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6344304ミネラル成分含有食塩水の製造方法及び製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6344304
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】ミネラル成分含有食塩水の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/68 20060101AFI20180611BHJP
   B01D 39/04 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   C02F1/68 520S
   C02F1/68 520N
   C02F1/68 510B
   C02F1/68 510Z
   C02F1/68 530A
   C02F1/68 540Z
   B01D39/04
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-101127(P2015-101127)
(22)【出願日】2015年5月18日
(65)【公開番号】特開2016-215103(P2016-215103A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2017年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】515132928
【氏名又は名称】ジョン ゾン セ
(73)【特許権者】
【識別番号】505466619
【氏名又は名称】小柳 司
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ゾン セ
(72)【発明者】
【氏名】小柳 司
【審査官】 菊地 寛
(56)【参考文献】
【文献】 実開平09−000122(JP,U)
【文献】 特開2004−357534(JP,A)
【文献】 特開2006−150205(JP,A)
【文献】 特開平09−010765(JP,A)
【文献】 特開2003−335655(JP,A)
【文献】 特開2005−211765(JP,A)
【文献】 特開2008−006343(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0115335(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/68
A23L 2/00
A23L 27/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)塩度15〜21度の海水を化学繊維からなるろ材が収容された第1のハウジング内を通過させる第1の段階と、
(b)前記第1の段階で得られた海水を多数の一辺が80〜100mmの立方体形状のトルマリンが密集して収容された第2のハウジング内を通過させる第2の段階と、
(c)前記第2の段階で得られた海水を多数の直径が5〜10mmの球形状のトルマリンが密集して収容されるとともに30〜36℃に維持された第3のハウジング内を通過させる第3の段階と、
(d)前記第3の段階で得られた海水を多数の直径が0.5〜1mmの球形状のトルマリンが密集して収容された第4のハウジング内を通過させる第4の段階と
を備えたことを特徴とするミネラル成分含有食塩水の製造方法。
【請求項2】
化学繊維からなるろ材が収容された第1のハウジングと、前記第1のハウジングと連結され、多数の一辺が80〜100mmの立方体形状のトルマリンが密集して収容された第2のハウジングと、前記第2のハウジングと連結され、直径が5〜10mmの球形状のトルマリンが密集して収容された第3のハウジングと、前記第3のハウジングと連結され、直径が0.5〜1mmの球形状のトルマリンが密集して収容された第4のハウジングとを備えたことを特徴とするミネラル成分含有食塩水の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミネラル成分含有食塩水の製造方法及び製造装置に関する。より詳細には、トルマリン(電気石)を用いたろ過装置により重金属や不純物を除去するとともに人体に必須のミネラル成分を高めた、調味用、美容用及び飲料用のミネラル成分含有食塩水の製造方法及び製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
天日塩は、海水を塩田に引き入れ、風と日光を利用して水分を蒸発させて作られる。天然塩は、海水に由来する様々なミネラル、特に、人体に必須のカルシウム、カリウム、マグネシウムなどを豊富に含み、干潟の有機成分も含有していることから、栄養学的に優れている。なお、マグネシウムは、細胞の新陳代謝を促進させ、酵素を活性化させ、カルシウム、燐と共に骨の代謝に作用をする。カルシウムは、細胞膜と骨を強化し、心臓筋肉と神経に関与する。カリウムは、水分維持を通じて老廃物を体外へ排出し、筋肉収縮を調節し、神経筋接合部における神経伝達を円滑にする。一方、現在一般家庭で広く使われる精製塩は、精製過程を経ているため衛生面は保障されるが、成分の約95%を塩化ナトリウムが占めておりその他の栄養成分はゼロに近い。
【0003】
天日塩の韓国における年間生産量は約30万tであり、これは韓国の塩消費量の43%を占める。しかし、天日塩は精製過程を経ずに生産されるため、韓国では非衛生的という理由で1963年塩管理法によって鉱物に分類され、1992年発刊された食品公典に記載されることもなかった。そして、韓国食品医薬品安全庁は、天日塩を白菜魚などの保存用だけで使うように制限した。このために天日塩は、家庭でキムチや醤油を仕込むときや、魚を漬けるときには使うことができるが、加工食品製造などの産業用途では使用することができなかった。
【0004】
そこで、韓国においては、天日塩生産業者などが天日塩の機能性と安全性を主張し、天日塩を食品として認めさせるために総力を尽くした。その結果、韓国食品医薬品安全庁は、遂に天日塩生産業者が提出した研究結果と分析結果から天日塩の栄養成分と安全性を確認し、塩管理法を改正した。そして、天日塩は食品として認定され、2008年から食品公典に記載された。
【0005】
天日塩の生産工程では、一般的に、塩田で天日塩を採塩後、感触が良い塩を製造するために、塩倉庫に一定期間保管して、苦塩を含んだ水分を除去する。しかしながら、このような苦塩を含んだ水分が十分に除去されない場合は、湿気により包装が汚れてしまうほか、塩に苦味が残るという問題があった。このため、一般的に、天日塩は遠心脱水機により脱水されているが、そうすると天日塩に含まれている多様なミネラル成分も水分とともに除去されてしまうという問題があった。
【0006】
天日塩にミネラル成分を保持するために、天日塩の製造工程で海水を沸かす方法や、噴霧乾燥してミネラル含有量が高い塩を製造する方法などが知られている。しかしながら、このような方法は、装置が大掛かりになってしまい、簡単でない。また、天日塩のミネラル含有量を高めるために、外部からミネラル成分を添加して天日塩のミネラル含有量を増加させる方法も利用されている。しかし、天日塩の固有のミネラル成分を保持させて天日塩を製造する方法はあまり研究されていない。
【0007】
天日塩は、海水を塩田に引き込んで風と日光を利用して水分を蒸発させて作るという製造工程の特性上、非衛生的であることもあって、天日塩から異物を除去する精製過程が必要である。なお、天日塩が食品と認定されたのは、天日塩に含まれる重金属の問題が完全に解決されたからではなく、単に分析の技術と資料によってすべての天然物には少量ではあるが重金属が含まれており、天日塩に存在する重金属の量が健康に害を与える水準ではないという判断からである。
【0008】
韓国食品医薬品安全庁の塩規格基準値(mg/kg)には、ヒ素0.5以下、鉛2.0以下、カドミウム0.5以下、水銀0.1以下と規定されている。また、すべての食品にいかなる量であっても発癌性物質があってはいけないというデラニー条項が、分析技術の発達と伴ってほとんどの天然物から発癌物質が発見されるようになったことから、発癌物質の存在有無の代わりに有害水準の発癌物質の存在有無に変更された。
【0009】
天日塩にはカドミウム、水銀、鉛、ヒ素などの重金属と、内分泌障害や発癌を及ぼす成分であるダイオキシン、フェロシアン化イオンなど多様な物質が含まれる。また、環境ホルモンであるフタル酸エステル(DEHP:フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)は、天日塩(35.35μg/kg)の方が精製塩(2.25μg/kg)よりも15.7倍多く含まれる。精製塩は天日塩から純粋な塩化ナトリウムだけを取り出す方式であるため、重金属と環境ホルモンがほとんど含まれない。
【0010】
天日塩には、上記以外の不純物も多く含まれる。砂粉は砂の成分で砂潟、岩石潟、干潟などに位置した塩田に比較的高く含まれるし、総菌数は精製塩では不検出であるが天日塩の場合は1g当たり1,000cfu程度の微細な量の細菌が検出される場合もある。
【0011】
人体にとって食塩は必須的な要素であるが、食塩を生産している塩田環境の劣悪さや、潟で採取される食塩の重金属や異物質による汚染など、様々な要因によって食塩が深刻な程度まで汚染され、私たちの健康を脅かしている。
【0012】
すなわち、海水を太陽熱で水分を蒸発させて作る天日塩は、海水に含まれている工場廃水、生活汚水、近所の田畑などから流入した農薬成分、中国の黄砂に含まれた重金属などで汚染されている。癌などの恐ろしい病気を誘発させるヒ素、鉛、水銀、カドミウムなどの有害物質も含まれている。
【0013】
また、天日塩でない加工塩の場合、塩へ高い熱を加えるとヒ素や鉛などが除去されるということから、煮たり焼いたりする方法が用いられるが、この過程で多量のダイオキシンが発生する。このダイオキシンは、塩素化合物の不完全煙硝過程で作られるが、これも人体に致命的な発癌物質である。
【0014】
韓国では、中国やその他海外から輸入した岩塩から青酸カリ成分が検出され大きな衝撃を与えたが、価格が安いため、今でも様々な食品加工に使用されている。
【0015】
そして、韓国は、固有の塩蔵食文化のため食塩の基準使用量がなく、食塩の一日の摂取量が世界勧告基準量(WHO)よりはるかに高いため、食生活文化の改善が必要とされると同時に、有害物質ができるだけ含まれない食塩が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】大韓民国特許公開第2005−099474号公報
【特許文献2】特表2013−507121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
そこで、本発明は、海水から重金属や不純物を除去して、人体に有益なミネラル成分を多く含む食塩水を安価にかつ大量に製造するためのミネラル成分含有食塩水の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、上記方法で製造したミネラル成分含有食塩水を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、上記の問題点を解決するために鋭意検討した結果、トルマリン(電気石)を用いたろ過装置により、重金属や不純物を除去するとともに人体に必須のミネラル成分を高めることができることを見出し、本発明に想到した。
【0019】
すなわち、本発明のミネラル成分含有食塩水の製造方法は、
(a)塩度15〜21度の海水を化学繊維からなるろ材が収容された第1のハウジング内を通過させる第1の段階と、
(b)前記第1の段階で得られた海水を多数の一辺が80〜100mmの立方体形状のトルマリンが密集して収容された第2のハウジング内を通過させる第2の段階と、
(c)前記第2の段階で得られた海水を多数の直径が5〜10mmの球形状のトルマリンが密集して収容されるとともに30〜36℃に維持された第3のハウジング内を通過させる第3の段階と、
(d)前記第3の段階で得られた海水を多数の直径が0.5〜1mmの球形状のトルマリンが密集して収容された第4のハウジング内を通過させる第4の段階と
を備えたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明のミネラル成分含有食塩水の製造装置は、化学繊維からなるろ材が収容された第1のハウジングと、前記第1のハウジングと連結され、多数の一辺が80〜100mmの立方体形状のトルマリンが密集して収容された第2のハウジングと、前記第2のハウジングと連結され、直径が5〜10mmの球形状のトルマリンが密集して収容された第3のハウジングと、前記第3のハウジングと連結され、直径が0.5〜1mmの球形状のトルマリンが密集して収容された第4のハウジングとを備えたことを特徴とする
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、第1の段階で懸濁物質を除去し、第2の段階で重金属を除去し、第3の段階でミネラル成分の含有量を増加させ、第4の段階で水分子のクラスターを細分化することにより、海水から重金属や不純物を除去して、人体に有益なミネラル成分を多く含む食塩水を安価にかつ大量に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明のミネラル成分含有食塩水の製造方法を示すフロー図である。
図2】本発明のミネラル成分含有食塩水の製造装置の一実施例を示す平面図である。
図3】同上正面図である。
図4】同上右側面図である。
図5】同上ハウジングの断面図である。
図6】同上第1のハウジングの動作を示す模式図である。
図7】本発明のミネラル成分含有食塩水の製造方法の第2の段階における重金属除去のメカニズムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明のミネラル成分含有食塩水の製造方法及び製造装置について説明する。
【0024】
本発明のミネラル成分含有食塩水の製造方法は、図1に示す4つの段階S1〜S4を備えている。これに対応して、本発明のミネラル成分含有食塩水の製造装置は、図2〜5に示す4つのハウジング1〜4を備えている。なお、ハウジング1〜4は、アルミニウム、ステンレス等の金属、又はプラスチック等からなり、その中には、後述するようにろ材又はトルマリンが収容されている。
【0025】
まず、第1の段階S1において、塩度15〜21度の海水を化学繊維からなるろ材が収容された第1のハウジング1内を通過させる。この第1の段階の主な目的は、懸濁物質を除去することである。
【0026】
ここで、原水として用いる塩度15〜21度の海水としては、例えば、塩田において天日塩として食塩が晶出する直前の海水を好適に用いることができる。また、ここでいう塩度は、ボーメ度のことをいう。
【0027】
第1のハウジング1には、化学繊維からなるろ材11が収容されている。このろ材としては、例えば、ポリプロピレン繊維からなる糸を熱融着加工したものなどが好適に用いられる。また、第1のハウジング1の上部には、ポンプ5の吐出口に接続する配管12が接続するとともに、第2のハウジング2に接続する配管22が接続している。また、第1のハウジング1の下部には、排水用の配管13が接続している。ポンプ5の吸入口は図示しない海水タンクに接続する配管51に接続している。そして、ポンプ5から配管12を経由して供給された海水が第1のハウジング1内のろ材11を通過し、懸濁物質が除去された後に配管22を経由して第2のハウジング2に送られるようになっている。
【0028】
また、第1のハウジング1は、図6に示すような振動圧縮ろ過装置により構成することができる。振動圧縮ろ過装置には、密閉構造になっているハウジング内にポリプロピレン繊維からなる糸を熱溶着加工してなる球状のろ材が多数収容されており、その上方には上下に動作してろ材を加圧するピストンが設けられ、上部には海水原水を導入する配管、下部にはろ過後の海水を排出するとともに逆洗水を導入する配管が設けられている。振動圧縮ろ過装置の動作は、図6に示すように、(a−1)ピストンが下降してろ材への加圧が開始され、(a−2)ピストンが下限点に到達したところで圧力を高めた海水原水の導入が開始されてろ過工程が始まり、ろ過工程は入口圧力が所定値に到達するまで持続される。(a−3)入口圧力が所定値に到達するとピストンが上昇してピストンによる加圧が解放されるとともに逆洗水が導入され、(a−4)ピストンが上限点に到達したところで逆洗水と空気が導入されて逆洗工程に入る。ここでは、ろ材の下方から逆洗水と空気を噴出させてろ材を洗浄する。この逆洗工程における撹拌と振動、ろ材同士の衝突によって、ろ材に付着した懸濁物質が除去されてろ材が再生される。そして、再び上記の動作が繰り返される。このように、振動圧縮ろ過装置を採用することにより、ろ材の再生を容易に行うことができる。
【0029】
この第1の段階S1においては、好ましくは海水に含まれる懸濁物質や重金属などの不純物のうちの70〜80%、或いはそれ以上が除去される。
【0030】
第2の段階S2において、第1の段階で得られた海水を多数の一辺が80〜100mmの立方体形状のトルマリンが密集して収容された第2のハウジング2内を通過させる。この第2の段階の主な目的は、重金属を除去することである。
【0031】
ここで、トルマリンとしては、特に鉄電気石が好適に用いられる。これは第3及び第4の段階におけるトルマリンも同様である。
【0032】
第2のハウジング2には、多数の一辺が80〜100mmの立方体形状のトルマリン21が密集して収容されている。また、第2のハウジング2の上部には、第1のハウジング1に接続する配管22が接続するとともに、第3のハウジング3に接続する配管32が接続している。そして、配管22を経由して供給された海水が第2のハウジング2内の多数のトルマリン21の間を通過し、重金属が除去された後に配管32を経由して第3のハウジング3に送られるようになっている。
【0033】
この第2の段階S2においては、第1の段階S1と併せて、好ましくは海水に含まれる懸濁物質や重金属などの不純物のうちの90〜99%、或いはそれ以上が除去される。
【0034】
なお、トルマリンは、結晶構造が六方晶系に属し、鉄、マグネシウム、アルミニウムなどを含み、マイナスイオンや遠赤外線を発生すると言われている。また、結晶を熱すると電気を帯びるため、電気石と呼ばれている。トルマリンは水分に接触すると放電を引き起こし、約0.06mAの微弱電流を発する。このとき水は電気分解され、水素イオンはトルマリンに引き寄せられた電子と結合して水素ガス(H2)に変わって放出されると考えられる。水酸化物イオンは周辺の水と結合することでヒドロキシルイオン(H3O2−)に変化し、このヒドロキシルイオンの作用によって、図7に示すように重金属が無害化され、不純物が取り除かれると考えられる。
【0035】
第3の段階S3において、第2の段階で得られた海水を多数の直径が5〜10mmの球形状のトルマリンが密集して収容されるとともに30〜36℃に維持された第3のハウジング3内を通過させる。この第3の段階の主な目的は、ミネラル成分の含有量を増加させることである。
【0036】
第3のハウジング3には、多数の直径が5〜10mmの球形状のトルマリンが密集して収容されている。また、第3のハウジング3の上部には、第2のハウジング2に接続する配管32が接続するとともに、第4のハウジング4に接続する配管42が接続している。そして、配管32を経由して供給された海水が第3のハウジング3内の多数のトリマリンの間を通過し、ミネラル成分の含有量が増加した後に配管42を経由して第4のハウジング4に送られるようになっている。
【0037】
また、第3のハウジング3内には、図示しない温度センサーと加熱手段を備えた温度制御装置が設けられており、第3のハウジング内3は30〜36℃に保たれるようになっている。これにより、第3のハウジング3内のトルマリンも30〜36℃に保たれ、トルマリンの加熱により電気を帯びる性質が助長される。
【0038】
この第3の段階S3においては、トルマリンに含まれるマグネシウム、鉄、ホウ素、ケイ素などのミネラル成分が海水中に溶出し、海水中のミネラル成分が増加する。また、第3のハウジング3を通過する海水の温度は、20〜25℃に達する。
【0039】
第4の段階において、第3の段階で得られた海水を多数の直径が0.5〜1mmの球形状のトルマリンが密集して収容された第4のハウジング4内を通過させる。この第4の段階の主な目的は、トリマリンが発する遠赤外線を照射させることである。
【0040】
第4のハウジング4には、多数の直径が0.5〜1mmの球形状のトルマリンが密集して収容されている。また、第4のハウジング4の上部には、配管42が接続するとともに、排出口に接続する配管52が接続している。そして、配管42を経由して供給された海水が第4のハウジング4内の多数のトルマリンの間を通過し、トリマリンが発する遠赤外線が照射された後に配管52を経由して排出口に向けて送られるようになっている。
【0041】
この第4の段階S4においては、第3の段階S3で加熱された海水が多数の直径が0.5〜1mmの微細な球形状のトルマリン間を通過する際に、海水にトルマリンが発する遠赤外線が照射されることによって、海水のクラスターが、細分化されると考えられる。
【0042】
また、トルマリンに含まれるミネラル分が溶出し、最終的には、原水よりも塩度が3度程度高くなった塩度18〜24度の海水が得られる。
【0043】
本発明によれば、細胞への浸透性が高く、柔らかく美味しいミネラル成分含有食塩水が得られる。
【実施例1】
【0044】
大韓民国全羅南道霊光郡落月面の海から採取した海水を、図6に示す振動圧縮ろ過装置により処理したところ、表1に示すの結果が得られた。懸濁物質(SS)の除去率は93.57%であった。
【0045】
【表1】
【実施例2】
【0046】
大韓民国全羅南道霊光郡白岫邑にある洗浄天日塩製造工場にて最終処理された海水を採取した。そして、この海水を発明のミネラル成分含有食塩水の製造装置により処理した。処理済の海水を韓国食品研究所に依頼して分析したところ、表2に示す結果が得られた。
【0047】
【表2】
【0048】
カルシウム14.08(mg/100g)、カリウム745.57(mg/100g)、マグネシウム2,742.90(mg/100g)など、健康に有益なミネラル成分が多量に含まれていた。
【実施例3】
【0049】
韓国において天日塩が生産されている池において、海水の重金属の汚染度を分析した結果、表3に示すとおりであった。これらの海水を発明のミネラル成分含有食塩水の製造装置により処理したところ、カドミウム、鉛は不検出となった。
【0050】
【表3】
【符号の説明】
【0051】
1 第1のハウジング
2 第2のハウジング
3 第3のハウジング
4 第4のハウジング
11 ろ材
21 トルマリン
31 トルマリン
41 トルマリン
S1 第1の段階
S2 第2の段階
S3 第3の段階
S4 第4の段階
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7