(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記本体部が、前記本体部内を開放又は閉鎖する、前記ストリップを挿入可能にするための開閉機構を有し、前記開閉機構を閉じた状態で、前記押さえ部により前記ストリップが固定されることを特徴とする請求項2記載の核酸クロマトグラフィー検査器具。
前記本体部が、前記ストリップを位置決めするための凹端部を前記本体部内に備え、前記ストリップの長さが、前記凹端部から前記本体部下端までの長さよりも長いことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の核酸クロマトグラフィー検査器具。
前記本体部が、前記容器の開口部に嵌合させた状態における、前記本体部と前記容器の相対的押込量を規定する押込量規定部を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の核酸クロマトグラフィー検査器具。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の核酸クロマトグラフィー検査器具、核酸クロマトグラフィー検査キット、及び核酸クロマトグラフィー検査器具の使用方法の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
[核酸クロマトグラフィー検査器具/第一実施形態]
まず、
図1〜
図4を参照して、本発明の第一実施形態に係る核酸クロマトグラフィー検査器具について説明する。
【0020】
本実施形態の核酸クロマトグラフィー検査器具は、
図1に示すように、ストリップ20を挿入可能でかつ一方の端部が開口した筒状部材からなる本体部10を備えている。
本体部10は、遺伝子検査用のストリップ20を固定するためのストリップ固定部を有しており、
図2において、ストリップ固定部は、ストリップ20を挟んで固定する押さえ部101からなっている。
なお、ストリップ固定部101は、このような押さえ部101に限定されず、ストリップ20を固定可能であれば良い。例えば、挟み込み、差し込み、接着、溶着、テープ止め、ピン止め、ストリップに穴を開けて吊す等の方法により、ストリップ20を本体部10に固定することができる。
【0021】
また、本体部10は、その内部を開放又は閉鎖する、ストリップ20を挿入可能にするための開閉機構102(
図2においては、ヒンジ)を有することが好ましい。開閉機構102を閉じた状態にすることで、ストリップ20が押さえ部101によって固定されるようになっている。
具体的には、
図2に示すように、第一の蓋部がヒンジを介して第二の蓋部と縦並びに配置され、開閉機構102の上側に配置された第一の蓋部の内側壁面上に押さえ部101が備えられている。第一の蓋部をヒンジを支点にして180°回動させて第一の蓋部の内側壁面を、開閉機構102の下側に配置された第二の蓋部の内側壁面に面接触させて、押さえ部101によりストリップ20を押さえて固定する。本体部10にはストリップ20が配置される溝Gが形成されており、この溝Gにストリップ20が配置されると共に、押さえ部101はこの溝G内でストリップ20を押さえて固定する位置に配置されている。このため、開閉機構102を閉じた状態において、第一の蓋部の内側壁面と第二の蓋部の内側壁面とは面接触するようになっている。
【0022】
また、本体部10は、開閉機構102を閉じた状態で維持する係止部103を備えている。
図2において、開閉機構102の上側に配置された第一の蓋部の内側壁面に係止部103−1a(嵌合ピン穴)が備えられ、開閉機構102の下側に配置された第二の蓋部の内側壁面に係止部103−2a(嵌合ピン)が備えられている。第一の蓋部をヒンジにより180°回動させて、嵌合ピン穴103−1aに嵌合ピン103−2aを挿入し、第一の蓋部を第二の蓋部に係止できるようになっている。このとき、第一の蓋部の内側壁面と第二の蓋部の内側壁面とは密着し、開閉機構102によって開放可能な開口を密閉できる。
【0023】
第一の蓋部の外側壁面と第二の蓋部の外側壁面には、滑り止め104が備えられている。これによって、本実施形態の核酸クロマトグラフィー検査器具を、核酸を含む溶液の収容された容器(例えばPCRチューブ。以下、PCRチューブと称する場合がある。)に嵌合させる操作や、その確実な押込みなどを行い易くなっている。
【0024】
また、
図2、
図3に示すように、第一の蓋部と第二の蓋部における開閉機構102の反対側の端部には勾配が形成され、開閉機構102を閉じた状態においてこれら端部の勾配が面接触している。これにより、開閉機構102を開閉し易くすることができ、また開閉機構102によって開放可能な開口の密閉性を向上させることが可能になっている。
【0025】
開閉機構102は、
図2、
図3においては、縦方向(本体部の筒状部材の軸方向)に開閉する構成としてあるが、これに限定されず、横方向などに開閉するものであっても良い。
なお、開閉機構102を横方向に開閉する構成の具体的な態様については、第二実施形態として後述する。
【0026】
開閉機構102を縦方向に開閉する構成とすれば、例えば、本実施形態の核酸クロマトグラフィー検査器具八個を側面方向に連続して一体に備えたものを製造できるため好ましい。この場合、各開閉機構102を容易かつ同時に開閉可能なものとすることができる。また、このように八個を側面方向に連続して一体に備えられた核酸クロマトグラフィー検査器具を用いれば、既存の八連式PCRチューブを用いて、同時に8サンプルについて核酸クロマトグラフィー検査を行うことができ、検査効率を向上させることが可能である。
【0027】
なお、本実施形態の核酸クロマトグラフィー検査器具において、開閉機構102と第一の蓋部及び第二の蓋部とを備えない構成にすることもできる。この場合、ストリップ20は、本体部10の下部開口部から差し込まれ、上述したその他の方法、例えば、挟み込み、差し込み、接着等により固定することができる。
【0028】
さらに、本体部10は、ストリップ20を位置決めするための凹端部105を本体部10の内部に備えている。すなわち、開閉機構102の下側に配置された第二の蓋部の内側壁面には、ストリップ20を配置するための溝Gが備えられており、この溝Gの上端部が、ストリップ20を位置決めするための凹端部105となっている。なお、この溝の下方は、本体部10の筒状部材の開口に延びている。
ストリップ20の長さは、凹端部105から本体部10の下端までの長さよりも長い。このため、本体部10をPCRチューブ30の開口部に嵌合させた状態で、ストリップ20の一方の端部(
図1においては下端)が、PCRチューブ30内に位置するようになっている。
これによって、ストリップ20の展開開始領域201が、PCRチューブ30内におけるPCR反応液に浸漬又は接触する。
なお、ストリップ20が固定して備えられた状態で核酸クロマトグラフィー検査器具を供給する場合には、特に図示しないが、本体部10の下部開口から外部に突出しているストリップ20の端部を保護するために、例えば、PCRチューブ30と同様の形状の保護キャップを封止部106に装着することができる。
【0029】
ストリップ20は、その上端縁を凹端部105に突き当てることによって位置決めがなされ、ストリップ20の吸水促進領域203が押さえ部材101に押えられた状態で溝G内に固定される。このとき、ストリップ20の検出領域202が溝Gに密着していると、展開開始領域201から検出領域202に展開してきたPCR反応液などが、検出領域202と溝Gとの界面に発現する毛細管現象によって、溝G側に浸み出して吸い上げられてしまい、標的核酸が検出できなくなってしまう虞がある。
【0030】
したがって、ストリップ20は、本体部10に対して検出領域202が非接触で固定して備えられているのが好ましい。このため、本実施形態では、吸水促進領域203と検出領域202との境界が位置する部位(
図2の右側面図に矢印で示す部位)を起点として、本体部10の筒状部材の開口に向かって溝Gが徐々に深くなるようにして、ストリップ20の検出領域202から下方の領域が本体部10に接触しないようにしている。
【0031】
本体部10は、PCRチューブ30の開口部に嵌合して、本体部10とPCRチューブ30の内部に密閉空間を形成させる封止部106を有している。封止部106は、本体部10の下端に位置し、開口を備えている。
具体的には、本体部10をPCRチューブ30に挿入して嵌合させる場合、封止部106の開口の外周は、PCRチューブ30の開口部の内周と同一の形状に形成される。また、本体部10をPCRチューブ30に被せて嵌合させる場合、封止部106の開口の内周は、PCRチューブ30の開口部の外周と同一の形状に形成される。なお、PCRチューブ30の蓋を接続する部分に対応する封止部106の領域には、切り欠きを形成することができる。
なお、本体部10とPCRチューブ30などの容器による嵌合の具体的な態様は、上記のような面接触に限定されず、例えば、嵌め込み又はネジにより嵌合する構成にすることもできる。
【0032】
また、本体部10は、PCRチューブ30の開口部に嵌合させた状態における、本体部10とPCRチューブ30の相対的押込量を規定する押込量規定部107を備えている。押込量規定部107によって、本体部10のPCRチューブ30に対する押込量を一定の値に設定することができる。
また、押込量規定部107によって、本体部10をPCRチューブ30の開口部に嵌合させた状態において、一定の押込量を確実に得られるようにすることができる。また、押込が浅い場合に生じ得る液漏れを防止できると共に、ストリップ20の先端を確実に溶液に到達させて展開を確実とし、さらにストリップ20の先端がPCRチューブ30の底に到達してつぶれることを防止できるなどの効果を得ることが可能になっている。
【0033】
押込量規定部107は、
図2〜4において、封止部106の側面の二箇所に、略直方体形状の突出部として対称に形成されているが、これに限定されるものではなく、押込量を一定の値に設定できればその他の構成としても良い。例えば、封止部106の側面の三箇所以上に突出部として形成しても良く、また、封止部106の周りを囲む一個の突出部として形成しても良い。
また、本体部10をPCRチューブ30に被せて嵌合させる場合、押込量規定部107は、封止部106の開口部の内面に上記突出部として形成することができる。
【0034】
さらに、本体部10は、ストリップ20を本体部10内に固定した状態において、ストリップ20の検出領域202に対して平行な平面部108を備えることが好ましい。本体部10をこのような構成にすれば、検査結果をより視認し易く、またCCDカメラなどの撮影手段によってストリップ20の検出領域を自動的に撮影する場合には、その撮影をより確実に行うことが可能となる。
また、平面部108において、ストリップ20の検出領域202のラインの形成位置に対応する位置に、検査対象の微生物名などの説明を記載又は貼付等することにより表示させることも好ましい。このようにすれば、核酸クロマトグラフィー検査を一層容易に実施可能にすることができる。
【0035】
本体部10は、全部透明であっても、一部が透明であっても良く、少なくとも本体部10の外部から本体部10内のストリップ20の検出領域202に示される検査結果を視認可能であれば良い。なお、コストや成形の観点からは、全部透明であることが好ましい。なお、「透明」には、無色透明の他、有色透明も含まれ、光を透過可能であることを意味する。
このような透明部材としては、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルメタクリレート(MMA)などのアクリル樹脂、ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、環状オレフィンなどのオレフィン系樹脂等を好適に用いることができる。
これらのなかでも、容器本体10とストリップ20とが接触する界面にPCR反応液などが浸み出してしまうのを抑制する上で、PCR反応液などに対する濡れ性が低い無極性樹脂であるポリオレフィン系樹脂が好ましく、樹脂の硬さや成形性からポリプロピレンが特に好ましい。
【0036】
また、本体部10の内面が曇り、検査結果が視認しづらくなることを防ぐために、本体部10の内面を、防曇処理を施したものとすることも好ましい。このような防曇処理は、本体部10の内面への紫外線硬化型防曇塗料の塗布や防曇処理フィルムの貼付等により行うことができる。また、本体部10又は本体部10の少なくとも内面を、防曇剤を含有する樹脂を用いて成形することもできる。
【0037】
防曇剤としては、例えば、グリセリンモノオレート,グリセリンラウレート,グリセリンカプレート,ジグリセリンオレート,ジグリセリンラウレート,トリグリセリンオレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪アルコール、ポリエチレングリコールオレート,ポリエチレングリコールラウレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
防曇剤を添加するにあたり、その添加量は0.1〜5質量%であるのが好ましく、より好ましくは1.2〜2.4質量%である。防曇剤の添加量が0.1質量%に満たないと、防曇剤を添加したことによる改善効果が十分に得られない傾向がある。一方、防曇剤の添加量が5質量%を超えると、それ以上の改善効果が認められず、また、容器本体10の透明性の低下や、ブリード量が多くなることによる金型清掃頻度の増加、ベント詰まりの発生につながり、連続成形性が低下する傾向がある。
【0038】
容器本体10の透明性を高めるには、透明核剤を添加するのも有効である。透明核剤としては、リン酸エステル金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩、ベンジリデンソルビトール、キナクリドン、シアニンブルー、タルクなどが挙げられる。
透明核剤を添加するにあたり、その添加量は0.1〜10質量%であるのが好ましい。透明核剤の添加量が0.1質量%に満たないと、透明核剤を添加したことによる改善効果が十分に得られない傾向がある。一方、透明核剤の添加量が10質量%を超えると、それ以上の改善効果が認められず、臭気を発したり、ブリードアウトして表面物性に悪影響を与えたりしてしまう傾向がある。
【0039】
ストリップ20は、増幅産物を捕捉するためのプローブが固定化された細長の部材であり、液体が毛細管現象によって部材全体に浸透し、展開しやすいように形成される。このため、ストリップの部材としてはセルロースメンブランなどのセルロース等が好適に用いられる。また、ストリップに強度を持たせて取り扱いを容易にするために、その一方の面に樹脂シート(又はフィルム)を接着したものを用いても良い。
【0040】
ストリップ20には、PCR反応液などを浸透させ(染み込ませ)、展開させ始める部分である展開開始領域201と、一又は二以上のプローブが、ストリップの特定の位置において、ストリップの短手方向にライン状に固定化された検出領域202と、液体をストリップに染み込み易くさせるための吸水促進領域203とが、この順に連続して形成されている。
【0041】
展開開始領域201は、PCR反応液などを最初に染み込ませる部分である。展開開始領域201は、検出領域202に隣接して連続して形成されており、展開開始領域201に染み込んだ液体は、毛細管現象によって検出領域202へ展開する。
なお、核酸を含む溶液の収容された容器が浅底のものである場合などには、展開開始領域201がストリップ20におけるごく僅かな部分である場合もあり得る。
【0042】
検出領域202には、プローブが固定化された一又は二以上の領域(スポット)がストリップ20の短手方向にライン状に形成(スポッティング)されている。このプローブが固定化されたラインの数は、特に限定されず、例えば1〜15個、好適には8〜12個等のラインが形成されたものなどを用いることができる。
このようなライン状に固定化されたプローブにハイブリダイズした増幅産物に対して、例えば青色の標識用色素が結合すると、検出領域202上において、青色のラインを目視によって検出できる。また、検出領域202には、プローブが固定化されたラインの位置を明確に確認できるようにするために、その他の色のライン、例えば赤色のラインが、位置決めマーカーとして好適に配置される。標識用色素は、特に限定されないが、例えばアビジン・ビオチンシステムによるものを好適に用いることができる。
【0043】
吸水促進領域203は、展開開始領域201と反対側の検出領域202に隣接して連続して形成される。吸水促進領域203は、例えばストリップ20上に吸水パッドやセルロース等の部材を積層して構成でき、このような吸水部材によってストリップ20に展開した水分の吸水を促進させることができる。また、このようにストリップ20に部材を積層して厚みを増加させた領域を形成することによって、ストリップ20をより取り扱い易くすることもできる。
さらに、吸水促進領域203を吸湿性を有するものとすることも好ましい。このように吸水促進領域203を吸湿性を有するものとすれば、本体部10とPCRチューブ30内に形成された密閉空間内の湿度を低減でき、本体部10の内面に結露が生じて観察ができなくなることを抑制することが可能となる。このような観点から、吸水促進領域203に乾燥剤等の部材を積層することも好ましい。
なお、ストリップ20において、吸水促進領域203を省略することもできる。
【0044】
[核酸クロマトグラフィー検査器具/第二実施形態]
次に、
図5〜
図8を参照して、本発明の第二実施形態に係る核酸クロマトグラフィー検査器具について説明する。
【0045】
上述した第一実施形態では、開閉機構102を縦方向に開閉する構成とした。本実施形態では、開閉機構102を横方向に開閉する構成とした点が第一実施形態と異なっている。
【0046】
具体的には、第一実施形態では、
図2に示すように、第一の蓋部がヒンジを介して第二の蓋部と縦並びに配置されて、第一の蓋部をヒンジを支点に縦方向に回動させて開閉するのに対して、本実施形態では、
図6に示すように、第一の蓋部がヒンジを介して第二の蓋部と横並びに配置されて、第一の蓋部をヒンジを支点に横方向に回動させて開閉するように構成されている。
なお、
図6には、図面の左側から背面図、左側面図、正面図、右側面図を示し、背面図の上に平面図、正面図の下に底面図を示している。
【0047】
そして、開閉機構102を閉じた状態で維持する係止部103として、第一の蓋部の内側壁面に係止部103−1b(嵌合爪)が備えられ、第二の蓋部の内側壁面に係止部103−2b(嵌合切り欠き部)が備えられている。第一の蓋部をヒンジにより180°回動させて、嵌合爪103−1bを嵌合切り欠き部103−2に嵌入し、第一の蓋部を第二の蓋部に係止できるようになっている。
【0048】
このようにして、開閉機構102を横方向に開閉する構成とすれば、縦方向におけるストロークが小さくなり、小型インキュベータや小型クリーンベンチ内での作業性を向上させることが可能となる。
【0049】
本実施形態に係る核酸クロマトグラフィー検査器具は、上記の点で第一実施形態と異なっているが、他の構成は第一実施形態と共通する。このため、
図5〜
図8において、第一実施形態と共通する構成には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0050】
[核酸クロマトグラフィー検査器具/第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る核酸クロマトグラフィー検査器具について、
図9を参照して説明する。
本実施形態の核酸クロマトグラフィー検査器具は、ストリップ20aがラミネートフィルム加工されてなるストリップ部110aと、核酸を含む溶液の収容された容器(PCRチューブ30など。以下、PCRチューブ30と称する。)の開口部に嵌合して、PCRチューブ30の内部に密閉空間を形成させる封止部106aとを有する本体部10aを備えている。
【0051】
封止部106aは、ストリップ部110aを挿入して固定するストリップ支持部109aを備えている。ストリップ支持部109aは、封止部106aの上部にスリットとして形成されている。このスリットは、ストリップ部110aの厚み及び横幅と同一又はそれより若干小さいサイズを備え、かつ所定の深さを有する溝である。後述するように、本体部10aが弾性を有する樹脂からなる場合、ストリップ部110aの厚みはほぼゼロであり、スリット壁面同士は密着している。このスリットにストリップ部110aの下部を挿入することで、ストリップ部110aをスリットに密着させ、直立させて支持することができる。
封止部106aの下部は、PCRチューブ30に挿入される栓の役割を果たす。したがって、封止部106aの下部の外周は、PCRチューブ30の開口部の内周と同一の形状に形成される。封止部106aの底面は、平面であってよく、凹部又は凸部が形成されていてもよい。
【0052】
また、封止部106aは、封止部106aをPCRチューブ30の開口部に嵌合させた状態における、封止部106aとPCRチューブ30の相対的押込量を規定する押込量規定部107aを備えている。この押込量規定部107aによって、本体部10aのPCRチューブ30に対する押込量を一定の値に設定することができる。
押込量規定部107aは、
図5において、封止部106aの側面の二箇所に、略直方体形状の突出部として対称に形成されているが、これに限定されるものではなく、押込量を一定の値に設定できればその他の構成としても良い。例えば、封止部106aの側面の三箇所以上に突出部として形成しても良く、また、封止部106aの周りを囲む一個の突出部として形成しても良い。
【0053】
また、封止部106aをPCRチューブ30に被せて嵌合させる構成とすることもできる。この場合、封止部106aの下部にはPCRチューブ30の開口部の外周と同一の形状の内周を有する開口が形成される。なお、PCRチューブ30の蓋を接続する部分に対応する封止部106aの領域には、切り欠きを形成することができる。
封止部106aをPCRチューブ30に被せて嵌合させる場合、押込量規定部107aは、封止部106aの開口部の内面に上記突出部として形成することができる。また、このような押込量規定部107aを省略して、封止部106aの開口部の上面を押込量規定部として用いることもできる。
【0054】
封止部106aは、その材料は特に限定されないが、弾性を有する樹脂からなるものとすることが好ましい。例えば、側鎖成分の長い柔軟性のある樹脂ならば何でもよいが、特にゴム類は好適であり、衛生性などの面からシリコンゴムやフッ素ゴム等がより好ましい。これらを用いて封止部106aを形成することができる。
また、封止部106aをこのように弾性を有する樹脂からなるものとすれば、ストリップ部110aをストリップ支持部109aに挿入して密着させ、容易に適切に支持可能なものとすることができる。また、これによって、封止部106aをPCRチューブ30に嵌合させた場合の密封度を高めることも可能となる。
【0055】
本実施形態において、ストリップ20aは、上述した実施形態におけるものと同一のものを使用することができる。具体的には、展開開始部201a、検出領域202a、及び吸水促進領域203aを備えたものとすることができ、また吸水促進領域203aを省略した構成とすることもできる。
【0056】
ストリップ部110aは、ストリップ20aをラミネートフィルム加工することによって、形成することができる。
本体部10aとPCRチューブ30に対するストリップ20aの位置は、ストリップ部110aにおけるストリップ20aをラミネートフィルム加工する位置と、ストリップ支持部109aの溝の深さと、押込量規定部107aとにもとづいて、特定の位置に設定することができる。
【0057】
ストリップ20aの長さは、ストリップ部110aにおいてラミネートフィルム加工されるストリップ20aの上端の位置から封止部106aの下端までの長さよりも長い。このため、本体部10aをPCRチューブ30の開口部に嵌合させた状態で、ストリップ20aの一方の端部(
図5においては下端)が、PCRチューブ30内に位置するようになっている。
これによって、ストリップ20aの展開開始領域201aが、PCRチューブ30内におけるPCR反応液に浸漬又は接触する。
【0058】
ラミネートフィルムの材料としては、ポリエチレンなどのポリオレフィンやポリスチレン等を好適に用いることができる。ストリップ20が接するラミネートフィルムの内面材料の親水性が、ストリップを構成するセルロースなどの材料の親水性よりも小さい場合に、溶液の展開を適切に行わせることができるためである。
【0059】
[核酸クロマトグラフィー検査用キット]
本実施形態の核酸クロマトグラフィー検査用キットは、上述した核酸クロマトグラフィー検査器具と、一又は二以上のプライマーセットからなるプライマーミックスを含むPCR用反応試薬と、クロマトグラフィー展開液と、標識用色素を含む染色液とを含むものとすることが好ましい。標識用色素を含む染色液は、クロマトグラフィー展開液に混合されていてもよい。
PCR用反応試薬としては、例えば、プライマーミックスの他、DNAポリメラーゼ、核酸合成基質、PCRバッファー等を含むものを好適に用いることができる。クロマトグラフィー展開液としては、例えば、DNA解離剤、尿素等を含むものを好適に用いることができる。染色液としては、標識用色素(着色ビーズ、例えばアビジン・ビオチンシステムによるものなど)、ブロッキング剤、界面活性剤、塩濃度調整バッファー等を含むものを好適に用いることができる。
【0060】
このような核酸クロマトグラフィー検査キットによれば、核酸クロマト法を行うにあたって、ストリップへの展開時における反応液の揮発やストリップへの接触が生じることによるコンタミネーション及び検査器具の廃棄によるコンタミネーションを好適に防止することが可能となる。
【0061】
[核酸クロマト法のプロトコル]
次に、本実施形態の核酸クロマトグラフィー検査器具に適用可能な核酸クロマト法のプロトコル(第一のプロトコル)について説明するが、本発明は、当該プロトコルでの使用に限定されるものではない。
核酸クロマト法は、標的核酸が、遺伝子検査用のストリップ内を一定方向に移動(展開)することにより、ストリップにスポッティングされているプローブに補足されるとともに、プローブが固定化されたスポットにおいて標的核酸が濃縮されることで、その標的核酸に結合した標識用色素により目視できるレベルまでの発色を得て、標的核酸を検出するものである。
【0062】
まず、標的核酸の増幅処理をPCR法などによって行う。これによって得られ得る増幅産物は、標的核酸からなる。なお、標的核酸の増幅処理は、PCR法に限定されるものではなく、リガーゼ連鎖反応、TMA(Transcription Mediated Amplification)、NASBA(Nucleic Acid Sequence-Based Amplification)等のその他の方法により行うこともできる。
【0063】
具体的には、検査対象生物のゲノムDNAにおける標的核酸を増幅させるためのプライマーセットを含むPCR反応試薬をPCRチューブへ注入する。プライマーセットとしては、一又は二以上のプライマーセットからなるプライマーミックスを用いることができ、複数の標的核酸を同時に増幅するマルチプレックスPCRを行うこともできる。
また、PCR反応試薬には、プライマーセットの他、核酸合成基質(例えば、dNTPmixture(dCTP、dATP、dTTP、dGTP))、核酸合成酵素(例えば、EX Taq HotStart DNA polymerase)、緩衝液等が含まれる。
そして、PCRチューブには、このようなPCR反応試薬と、生体試料から抽出されたゲノムDNA、及び残りの成分として水を含む溶液が注入され、この溶液がPCRに使用する反応液として用いられる。
【0064】
ゲノムDNAの抽出は、CTAB法(Cetyl trimethyl ammonium bromide)による方法やDNA抽出装置を用いる方法など、一般的な手法により行うことができる。
また、PCR装置としては、一般的なサーマルサイクラーなどを用いることができる。PCR反応は、例えば以下のような反応条件で行うことができるが、適宜変更して実施可能であり、全体を15〜30分程度で行っても良い。
(a)95℃ 2分、(b)95℃(DNA変性工程) 10秒、(c)60℃(アニーリング工程) 20秒、(d)72℃(DNA合成工程) 90秒((b)〜(d)を40サイクル)、(e)72℃ 2分
【0065】
次に、PCRによって得られた増幅産物(標的核酸)を含むPCR反応液に、クロマトグラフィー展開液と標識用色素を含む染色液とを添加して、このPCR反応液を遺伝子検査用のストリップに展開させる。
すなわち、ストリップにおける展開開始領域に対して、PCR反応液を染み込ませる。PCR反応液は、展開開始領域から検出領域へ展開する。そして、検出領域に固定化されたプローブと相補的な塩基配列を有する増幅産物がPCR反応液に含まれている場合、そのプローブと増幅産物がハイブリダイズする。
また、複数種類のプローブがストリップ上に個別にライン状に固定化され、各プローブにそれぞれハイブリダイズする増幅産物がマルチプレックスPCRにより得られてPCR反応液に含まれている場合も同様に、それぞれ対応するプローブと増幅産物がハイブリダイズする。
【0066】
また、増幅産物には標識用色素が結合されているため、プローブが固定化された位置に着色されたラインが現れる。
このように、ストリップ上の着色されたラインを確認することによって、標的核酸を検出することができる。
【0067】
本実施形態の核酸クロマトグラフィー検査器具に適用可能な核酸クロマト法の他のプロトコル(第二のプロトコル)として、PCRによって得られた増幅産物(標的核酸)を含むPCR反応液を遺伝子検査用のストリップに展開した後、標識用色素を含む染色液を混合したクロマトグラフィー展開液を遺伝子検査用のストリップに展開させることもできる。すなわち、上述したプロトコルでは、溶液の展開は一段階で行われるが、このプロトコルでは、溶液の展開は二段階で行われる。
【0068】
具体的には、PCRによって得られた増幅産物(標的核酸)を含むPCR反応液を、遺伝子検査用のストリップに展開させる。このとき、PCR反応液の量が少ない場合には、クロマトグラフィー展開液を追加した後に、展開させてもよい。
これにより、ストリップにおける展開開始領域に対して、PCR反応液を染み込ませる。PCR反応液は、展開開始領域から検出領域へ展開する。そして、検出領域に固定化されたプローブと相補的な塩基配列を有する増幅産物がPCR反応液に含まれている場合、そのプローブと増幅産物がハイブリダイズする。
また、複数種類のプローブがストリップ上に個別にライン状に固定化され、各プローブにそれぞれハイブリダイズする増幅産物がマルチプレックスPCRにより得られてPCR反応液に含まれている場合も同様に、それぞれ対応するプローブと増幅産物がハイブリダイズする。
【0069】
次に、遺伝子検査ストリップの展開開始領域に対して、標識用色素を含む染色液を混合したクロマトグラフィー展開液を染み込ませる。このクロマトグラフィー展開液は、PCR反応液が検出領域に十分に展開した後に染みこませることが望ましい。このクロマトグラフィー展開液を展開開始領域へ染み込ませるのは、PCR反応液が検出領域へ展開した後、例えば5〜10分程度経過した後に、行うことが好ましい。
【0070】
このような核酸クロマト法の他のプロトコルによれば、増幅産物を含むPCR反応液を先にストリップに展開した後に、標識用色素を含むクロマトグラフィー展開液をストリップに後から展開して、プローブとハイブリダイズした増幅産物に対して着色を行うことができる。このため、着色されたラインを安定的に得ることができ、検出精度を向上させることが可能となる。
【0071】
[核酸クロマトグラフィー検査器具の使用方法]
次に、本実施形態の核酸クロマトグラフィー検査器具の使用方法について、
図10及び
図11を参照して説明する。
なお、
図10は、第一実施形態に係る核酸クロマトグラフィー検査器具の使用方法を示す図であり、
図11は、第二実施形態に係る核酸クロマトグラフィー検査器具の使用方法を示す図である。
【0072】
まず、
図10(1)及び
図11(1)に示すように、核酸クロマトグラフィー検査器具の開閉機構を開放して、ストリップを上方から本体部内に挿入する。
そして、
図10(2)及び
図11(2)、
図10(3)及び
図11(3)に示すように、ストリップの上端部を本体部内の凹端部に合せた状態で、開閉機構を閉じ、ストリップを本体部内で固定する。このとき、ストリップの下端は、本体部の下部開口から外部に突出している。
【0073】
また、上述したようにPCRを行い、PCR反応液が収容されたPCRチューブの蓋を開放するのに先立って、遠心機などにPCRチューブをセットして、蓋の裏側やPCRチューブの上方内壁についた溶液を振り落として底部に沈降させる。これによって、PCRチューブの開封時に、反応液が飛散してコンタミネーションが生じることを抑制することが可能である。
【0074】
次に、上述した第一のプロトコルで行う場合、
図10(4)及び
図11(4)に示すように、開封したPCRチューブに、クロマトグラフィー展開液と、標識用色素を含む染色液とを添加する。このとき、PCR反応液内において、標識用色素は、標的核酸に結合する。
そして、
図10(5)及び
図11(5)、
図10(6)及び
図11(6)に示すように、核酸クロマトグラフィー検査器具の封止部(本体部)をPCRチューブの開口部に挿入して嵌合させ、ストリップの下端をPCR反応液に浸漬する。このとき、核酸クロマトグラフィー検査器具はPCRチューブの栓の役割を果たし、核酸クロマトグラフィー検査器具及びPCRチューブ内に形成された空間が密封される。
これにより、PCR反応液がストリップに展開して、標的核酸がストリップに固定化されている相補的な塩基配列を有するプローブとハイブリダイズする。
【0075】
また、上述した第二のプロトコルで行う場合、開封したPCRチューブに、クロマトグラフィー展開液と、標識用色素を含む染色液とを添加せずに、
図10(5)及び
図11(5)、
図10(6)及び
図11(6)に示すように、核酸クロマトグラフィー検査器具の封止部をPCRチューブの開口部に嵌合させ、ストリップの下端をPCR反応液に浸漬する。このとき、核酸クロマトグラフィー検査器具はPCRチューブの栓の役割を果たし、核酸クロマトグラフィー検査器具及びPCRチューブ内に形成された空間が密封される。
これにより、PCR反応液がストリップに展開して、標的核酸がストリップに固定化されている相補的な塩基配列を有するプローブとハイブリダイズする。
【0076】
次に、核酸クロマトグラフィー検査器具の封止部をPCRチューブの開口部から抜き取り、
図10(4)及び
図11(4)に示すように、PCRチューブに、クロマトグラフィー展開液と、標識用色素を含む染色液(又は、標識用色素を含む染色液を混合したクロマトグラフィー展開液)を添加する。なお、このPCRチューブは、上記したPCR反応液を含むPCRチューブ以外の別個のPCRチューブを用いても良い。
そして、再度、
図10(5)及び
図11(5)、
図10(6)及び
図11(6)に示すように、核酸クロマトグラフィー検査器具の封止部をPCRチューブの開口部に嵌合させ、ストリップの下端をクロマトグラフィー展開液(染色液を含む)に浸漬する。
これにより、クロマトグラフィー展開液がストリップに展開して、標識用色素が標的核酸に結合する。
【0077】
次に、標的核酸に結合した標識用色素を検出することにより、標的核酸を検出する。
すなわち、標識用色素が結合した標的核酸が、プローブとハイブリダイズすることによって、プローブが固定化された位置に着色されたラインが現れる。このストリップ上の着色されたラインを目視又は撮影して確認することにより、標的核酸が検出される。
なお、核酸クロマトグラフィー検査器具内に結露が生じてラインの観察がし難くなることを防止するために、インキュベータ内で検査を実施することが好ましい。
そして、核酸クロマトグラフィー検査の実施後、核酸クロマトグラフィー検査器具がPCRチューブに嵌合した状態で、これらを廃棄する。
【0078】
このように、本実施形態の核酸クロマトグラフィー検査器具の使用方法によれば、核酸クロマトグラフィー検査器具がPCRチューブに嵌合して、ストリップとPCR反応液が核酸クロマトグラフィー検査器具及びPCRチューブ内に密閉された状態で標的核酸を検出でき、当該検査器具をそのまま廃棄することができる。
このため、核酸クロマト法を行うにあたって、ストリップへの展開時における反応液の揮発やストリップへの接触が生じることによるコンタミネーションを防止でき、さらに検査器具の廃棄によるコンタミネーションを適切に防止することが可能となっている。
【実施例】
【0079】
[核酸クロマトグラフィー検査器具の作製]
防曇剤、透明核剤の含有量が異なるポリプロピレンを用いて、
図1に示す核酸クロマトグラフィー検査器具の本体部10を形成し、
図10(1)〜(3)に示す手順にしたがって、ストリップを挿入、固定したサンプル1〜4を用意した。
サンプル1には、防曇剤、透明核剤を含有しないポリプロピレンを用いた。
サンプル2には、防曇剤を1.2質量%で含有するように調製されたポリプロピレンを用いた。
サンプル3には、防曇剤を1.2質量%で含有し、透明核剤を0.4質量%で含有するように調製されたポリプロピレンを用いた。
サンプル4には、防曇剤を2.4質量%で含有し、透明核剤を0.4質量%で含有するように調製されたポリプロピレンを用いた。
なお、本実施例では、次のポリプロピレン、防曇剤、透明核剤を用いた。
・ポリプロピレン:FORMOSA CHEMICALS & FIBRE CORPORATION製「K4535(ランダムPP、MFR35)」
・防曇剤:Kemfar Corp.製「KAF−0730P(グリセリン脂肪酸エステル)」
・透明核剤:JimShin Trading Co., Ltd製「PP透明晶核劑」
【0080】
[核酸クロマトグラフィー検査]
調製したPCR反応液をPCRチューブに規定量封入し、サーマルサイクラーにPCR反応液入りPCRチューブをセットして、通常行われる条件でPCR反応を行わせた。
反応終了後、上記サンプル1〜4のそれぞれについて用意したPCRチューブを、50℃に設定したブロックヒーターに装着し、
図10(4)〜(6)に示す手順にしたがって、PCRチューブの蓋を手で開封し、クロマトグラフィー展開液と標識用色素を含む染色液を注入し、サンプル1〜4をそれぞれPCRチューブに嵌合させ、ストリップの下端をPCR反応液に浸漬した。そのままの状態で、展開液を加えたPCR反応液を約30分程度かけてストリップ内に展開させた後に、検出領域上の検出ラインの視認状況を観察した。
なお、
図12は、本実施例の結果を示す写真であり、左からサンプル1、サンプル2、サンプル3、サンプル4の順に並べてある。
【0081】
[評価]
サンプル1とサンプル2とを比較すると、サンプル2の方が、防曇剤の効果により結露が少ないため、検出ラインをより良好に視認できた。
サンプル2とサンプル3とを比較すると、サンプル3の方が、透明核剤の効果により透明性が向上したため、検出ラインをより良好に視認できた。
サンプル3とサンプル4とを比較すると、これらの視認性に大きな変化は認められず、透明核剤の効果により防曇剤の量が増えても視認性が悪化しないことが確認できた。
【0082】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、核酸クロマトグラフィー検査器具の形状は、
図1〜
図9に示されたものに限定されず、同じ機能を備えている限り、その他の形状にするなど適宜変更することが可能である。
【課題】 核酸クロマト法を行うにあたって、ストリップへの展開時における反応液の揮発やストリップへの接触が生じることによるコンタミネーション及び検査器具の廃棄によるコンタミネーションを防止することを可能とする。
【解決手段】 遺伝子検査用のストリップ20により標的核酸を検出するために用いられる核酸クロマトグラフィー検査器具であって、ストリップを挿入可能で一方の端部が開口した筒状部材からなり、かつ、ストリップを固定するためのストリップ固定部を有する本体部10を備え、本体部が、核酸を含む溶液の収容された容器30の開口部に嵌合して、本体部と容器の内部に密閉空間を形成させる封止部106を有し、本体部を容器の開口部に嵌合させた状態で、ストリップの一方の端部が、容器内に位置する核酸クロマトグラフィー検査器具により核酸クロマト法を行う。