特許第6344575号(P6344575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6344575
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】粘着型タバコ虫誘引捕獲器
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/14 20060101AFI20180611BHJP
   A01M 1/02 20060101ALI20180611BHJP
   A01M 1/00 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   A01M1/14 Z
   A01M1/02 B
   A01M1/00 Q
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-4382(P2016-4382)
(22)【出願日】2016年1月13日
(65)【公開番号】特開2016-158626(P2016-158626A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2016年9月2日
(31)【優先権主張番号】201510089627.3
(32)【優先日】2015年2月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516013376
【氏名又は名称】武漢東昌倉貯技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】李翊▲ウェイ▼
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−125275(JP,U)
【文献】 特開平7−327573(JP,A)
【文献】 特開2004−215577(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0095253(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板(1)、パネル(2)、粘着剤(3)、タバコ害虫フェロモンを含有した誘引芯(4)を含み、
引捕獲器の底板とパネルは湾曲可能なプラスチックシート又は120g/m以上のクラフト紙から作製され、パネル(2)を湾曲して底板(1)に嵌合することで、側面が誘引捕獲器の配置環境と連通する誘引捕獲空洞(11)が形成され、
誘引捕獲空洞(11)内においてパネルと対向する底板(1)の内表面には粘着剤(3)が塗布され、
誘引捕獲空洞(11)内の底板又はパネルの内表面には、タバコ害虫フェロモンを含有した誘引芯(4)が配置され、
前記パネルは、
1)透明材料からなるパネルと、
2)不透明のクラフト紙材料からなるパネルであって、パネル上面に観察孔が開設され、観察孔に捕虫数を観測するための透明防塵プレート(9)が嵌入又は貼り付けられ、透明防塵プレート(9)が透明なプラスチック又はガラス材料から作製されるパネル、のいずれかであり、
前記底板(1)は、透明材料からなり、
前記粘着剤(3)は、淡黄色透明の半液体からなることを特徴とする粘着型タバコ虫誘引捕獲器。
【請求項2】
前記パネルは、
1)画像拡大機能を備えた拡大鏡面材料から作製されるパネルと、
2)不透明のクラフト紙材料を用いたパネルであって、パネル上に観察孔が開設され、観察孔に画像拡大機能を備えた拡大鏡面材料が嵌入又は貼り付けられたパネル、のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の粘着型タバコ虫誘引捕獲器。
【請求項3】
前記底板の上側辺縁と下側辺縁の中央位置には、パネルを嵌め込むための上下フックがそれぞれ設けられており、底板と対向するパネルにおける対応する上側辺縁と下側辺縁の中央位置には、前記底板フックに嵌合可能な上下2つのパネルフックがそれぞれ設けられており、使用時には、パネルを湾曲させてから2つのパネルフックを底板における上下2つのフック内にそれぞれ嵌合させることを特徴とする請求項1記載の粘着型タバコ虫誘引捕獲器。
【請求項4】
前記底板とパネルは中央部に沿って折り畳み可能な一体式構造であって、一体式構造の底板とパネルの中間位置に折り線が設けられ、底板とパネルが折り線に沿って対向しており、対向するよう折り合わされ、このとき、底板の上側辺縁の中央位置とパネルの上側辺縁の中央位置にフックが1つずつ設けられており、使用時には、パネルを湾曲させてからパネルのフックを底板フック内に嵌合させることを特徴とする請求項1記載の粘着型タバコ虫誘引捕獲器。
【請求項5】
前記パネルのシート状幾何形状と底板のシート状幾何形状は類似していることを特徴とする請求項1記載の粘着型タバコ虫誘引捕獲器。
【請求項6】
底板の内表面には粘着剤層が塗布されており、粘着剤の塗布量は0.001〜30g/cmとされることを特徴とする請求項1記載の粘着型タバコ虫誘引捕獲器。
【請求項7】
前記パネルはシート状のアーチ型パネル又は球面パネルであることを特徴とする請求項1記載の粘着型タバコ虫誘引捕獲器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着型タバコ虫誘引捕獲器に関し、特に、視覚的且つ正確に計数しやすいタバコ虫誘引捕獲器に関する。
【背景技術】
【0002】
タバコシバンムシやタバコガによる貯蔵タバコ葉被害によって、全世界では毎年のようにタバコ葉生産量のおよそ1%が失われており、経済損失に換算すると約30億ドルともなる。中国の場合、貯蔵害虫被害に起因するタバコ葉商品の重量損失率は毎年平均1.64%程度であり、貯蔵害虫の食害によってタバコ葉や製品の生産量が減少する結果、2〜4億人民元の経済損失が発生している。害虫被害により、タバコ葉を加工して得られる刻みの生産率は3.5〜4.5%減少している。また、タバコ葉を生産投入する際には虫食い部分を人工的に取り除く必要があるためコストも嵩む。更に、箱や包装内に残留した害虫の死骸や糞はタバコ葉を深刻に汚染し、タバコ葉の品質を低下させるだけでなく、消費者の健康や巻きタバコのブランドイメージにも影響し得る。タバコの加工過程では、タバコ葉の再乾燥、貯蔵及び生産という3つの主要段階の全てにおいてタバコ虫による被害リスクがある。そこで、タバコ虫誘引捕獲器を用いて加工エリア内の虫害密度を監視し、適時にエリア内の虫害情況を把握することで、エリア内のタバコ虫対策用にデータを提供するとともに、虫害密度を大幅に低減可能とすることが求められている。
【0003】
現在流通しているタバコ虫誘引捕獲器の多くは、タバコ虫フェロモンによる誘引と強力粘着プレートを組み合わせた捕獲方式を採用している。各種の誘引捕獲器では、いずれも不透明な紙材料を粘着剤層の担持体として用いているため、使用過程でタバコ虫の誘引捕獲数を統計するには、手作業で各誘引捕獲器を開放しなければ観測及び計数ができない。また、使用にあたっては捕獲器を再び元の状態に戻し、従来の位置に掛け直す必要がある。このような作業形態では監視や記録の業務効率が制限されるため、多数の誘引捕獲器を設置している場合や、高所に誘引捕獲器を吊り下げている場合には、監視・記録作業が複雑で非効率的となってしまう。
【0004】
特許文献1は、観測と防塵に便利な貯蔵害虫誘引捕獲器を開示している。しかし、当該誘引捕獲器は保護ケースと組み合わせて使用する必要があり、独立した透明な保護ケースを取り付けた後に、単一の粘着プレートから保護層を剥がし、この粘着プレートを保護ケース内に挿入せねばならない。よって、実際の使用にあたっては、単一の粘着プレートの粘着剤が保護ケースの入口に貼り付きやすく、汚染を招来しやすい。また、保護ケースもタバコ葉の包装箱や清掃工具によって損傷しやすく、絶えず交換が必要となる。結果、使用コストが高騰し、使用にはある程度の限界がある。また、特許文献1が提供する透明な保護ケースを組み合わせることなく、シート式のタバコ虫誘引捕獲器を単体で使用する場合、防塵保護機能が備わっていないことから普及は難しい。なぜなら、生産段階で大量の粉塵や浮遊物が発生する巻きタバコ工場の職場環境では、このような捕獲器を使用すること自体が不可能だからである。
【0005】
密封されたタバコ葉バルク内の虫害情況を監視する場合に、特許文献1が提供する貯蔵害虫誘引捕獲器を適用するには、タバコ葉の包装箱上面に誘引捕獲器の保護ケースを固定する必要がある。しかし、タバコ葉の工場調達時において、保護ケースは往々にしてタバコ葉の包装箱とともに巻きタバコ工場の生産現場に調達されて工業異物となり、生産を妨げてしまう。また、バルクの密封テント内の誘引捕獲器を検査するには、その度ごとにテントを開けて誘引捕獲器の保護ケースを開放し、シート式の誘引捕獲器を交換せねばならないため、誘引捕獲器の交換効率が低い。
【0006】
また、より重要な課題として以下が挙げられる。一、タバコシバンムシは暗所や隙間での活動を好み、サイズも極めて小さい。特に、タバコシバンムシの成虫は小さく、体長はわずか2.0mm程度である。また、成虫は薄赤褐色をしており、タバコ葉粉末の色に類似している。二、通常、誘引捕獲器は巻きタバコ工場の生産現場やタバコ葉倉庫に吊り下げられるが、これらの場所には大量のタバコ葉粉末が浮遊している。よって、誘引捕獲器の粘着面には害虫が誘引捕獲されるだけでなく、大量に浮遊するタバコ葉の粉末や断片も粘着してしまう。これらの粉末や断片は外観と色がタバコシバンムシに類似していることがあり、往々にして人による正確な計数を妨げ、大きな数量誤差を招来する。
【0007】
現在市場で販売及び使用されている誘引捕獲器や特許文献1に開示される貯蔵害虫誘引捕獲器は、いずれも上述のように異物による干渉を排除困難なことから計数精度が影響を受けるとの課題がある。結果、操作者の業務効率や仕事の質が大きく左右されてしまう。
【0008】
また、特許文献1が開示する観測及び防塵に便利な貯蔵害虫誘引捕獲器を適用する場合、当該誘引捕獲器に組み合わされる保護ケースは硬質プラスチックやガラスで製造する必要があり、保護ケースのパネルはほとんど湾曲不可能となっている。よって、誘引捕獲器の適用範囲が制限されることになり、狭小空間での適用には不向きである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】中国実用新案第201020529840.4号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、構造が簡易で手動操作の必要がなく、保護ケースの配置を要さずに、誘引捕獲器の正面から視覚的且つ正確な観察及び計数が可能な粘着型タバコ虫誘引捕獲器を提供することを解決すべき技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は以下の技術方案を用いた。即ち、粘着型タバコ虫誘引捕獲器であって、底板(1)、パネル(2)、粘着剤(3)、タバコ害虫フェロモンを含有した誘引芯(4)を含み、底板とパネルが湾曲可能なプラスチックシート又は120g/m以上のクラフト紙から作製され、パネル(2)を湾曲して底板(1)に嵌合することで、側面が誘引捕獲器の配置環境と連通する誘引捕獲空洞(11)が形成され(例えば、タバコ虫を誘引捕獲空洞に誘導しやすいように、誘引捕獲空洞の左側面、右側面のいずれか一方の面が誘引捕獲器の配置環境と連通しているか、或いは、左側面と右側面の両面が誘引捕獲器の配置環境と連通しているか、或いは、側面に孔、又はスリット、又は間隙等が設けられる)、誘引捕獲空洞(11)内においてパネルと対向する底板(1)の内表面には粘着剤(3)が塗布され、誘引捕獲空洞(11)内の底板又はパネルの内表面にはタバコ害虫フェロモンを含有した誘引芯(4)が配置されており(即ち、タバコ虫誘引剤を放出するための誘引芯。タバコ害虫フェロモンを含有した誘引芯(4)は粘着剤上に載置される。粘着剤(3)と誘引芯(4)は誘引捕獲空洞(11)内に位置する)、前記パネルは、1)透明材料からなるパネルと、2)不透明のシート状材料からなるパネルであって(底板もまた不透明のシート状材料としてもよい)、パネルに観察孔が開設され、観察孔に捕虫数を観測するための透明防塵プレート(9)が嵌入又は貼り付けられ、透明防塵プレート(9)が透明材料又は画像拡大機能を備えた拡大鏡面材料から作製されるパネルと、3)画像拡大機能を備えた拡大鏡面材料から作製されるパネル(タバコ害虫数の観測・識別効果を高めるために、誘引捕獲器のパネルを視野角拡大機能を備えた拡大鏡面材料を用いて作製してもよい)、のいずれかであることを特徴とする。
【0012】
前記底板の上端辺縁及び下端辺縁の中央位置には、パネルを嵌め込むためのフックが1つずつ設けられており(即ち、底板上フック(6)と底板下フック(8)。底板とパネルは互いに独立した2つの部分として打ち抜き成形すればよい)、前記底板と対向するパネルにおける対応する上端辺縁と下端辺縁の中央位置には、前記底板フックに嵌合可能なパネルフック(即ち、パネル上フック(5)、パネル下フック(7))がそれぞれ設けられており、使用時には、パネルを湾曲させてから2つのパネルフックを底板における上下2つのフック内にそれぞれ嵌合させる。
【0013】
前記底板、パネルの上端辺縁と下端辺縁とは、一定の平面多角形状を持つ底板又はパネルにおける互いに対称な2つの外縁のことであり、うち一方の辺縁を上端辺縁と呼ぶ場合、これと対称な他方の辺縁が下端辺縁となる。通常は、誘引捕獲器を直立させて操作者の視野に対向させた場合、操作者の視野における底板(パネル)の上方の辺縁を底板(パネル)の上端辺縁、操作者の視野における底板(パネル)の下方位置の辺縁を底板(パネル)の下端辺縁と称する(図1,2,3,4において、5はパネルの上端辺縁の中央位置に設けられたフック、6は底板の上端辺縁の中央位置に設けられたフック、7はパネルの下端辺縁の中央位置に設けられたフック、8は底板の下端辺縁の中央位置に設けられたフック)。また、前記底板フックとは、打ち抜き又はダイカット技術で誘引捕獲器の底板の上端辺縁又は下端辺縁における中央位置に折り畳み可能に切り出されたフックであり(例えば、図1図3における6と8、図2図4における6)、同様に、前記パネルフックとは、打ち抜き又はダイカット技術によって誘引捕獲器のパネルの上端辺縁又は下端辺縁における中央位置に底板フックに嵌め込み可能に切り出されたフックである(図1図3における5と7、図2図4における5)。
【0014】
前記底板とパネルは一体式(底板とパネルを一体的に直に打ち抜き成形するか、或いは、底板とパネルを一体的に突き合せ接着又は加熱合成する)であって、一体式構造の底板とパネルの中間位置に折り線(10)が設けられ、底板とパネルが折り線(10)に沿って対向するよう折り合わされ、このとき、底板の上側辺縁の中央位置とパネルの上側辺縁の中央位置にフックが1つずつ設けられており、使用時には、パネルを湾曲させてからパネルのフックを底板フック内に嵌合させる(底板上フック(6)、パネル上フック(5))。使用時には、パネルのフックを底板フック内に嵌合させる。
【0015】
前記パネル(2)の平面多角形状と、底板(1)の平面多角形状は類似している。
【0016】
前記パネルは、シート状のアーチ型パネル(図1図2−1、図3図4のように、パネルはアーチ状に湾曲される)、又は2本の折り線が設けられた平板(パネルの両端に折り線が1本ずつ設けられ、当該折り線に沿ってパネルを折り曲げた後、折り曲げられたパネルを底板上面に嵌め込む。このとき、パネルと底板は水平に対向した状態を維持する)、又は球面パネル(構造は図1図2−1、図3図4と類似しているが、パネルが球面に打ち抜かれている点でのみ異なる)とされる。
【0017】
使用時には、タバコ害虫が出没し得るエリアに誘引捕獲器を配置する。本発明によれば、誘引捕獲器のパネルを開放しなくても、誘引捕獲器の正面から視覚的且つ正確に誘引捕獲されたタバコ害虫の数を観察及び計数可能となる。
【発明の効果】
【0018】
従来技術及び製品と比較して、本発明には以下のような突出した実質的特徴と顕著な進歩がある。
【0019】
(1)透明なシート状材料を粘着型誘引捕獲器のパネルとして用いるため、誘引捕獲器の粘着剤層を保護する作用が奏されるとともに、誘引捕獲器の粘着面の視認性と透明性が実現される。よって、誘引捕獲器に保護ケースを設けなくとも、誘引捕獲器の透明なパネルを通じて、粘着捕獲したタバコ虫の数を視覚的且つ正確に確認することが可能となる。従って、誘引捕獲器の保護ケースを繰り返し組み付け直す必要がなくなり、使用コストが削減される。また、底板とパネルは湾曲可能なプラスチックシートか120g/m以上のクラフト紙から作製されるため、誘引捕獲器のパネルを湾曲させて底部のフック内に嵌合させられる。パネルを湾曲可能な設計とすることで、誘引捕獲器の適用性も高まる。
【0020】
(2)不透明材料により作製された誘引捕獲器を使用する場合には、手動で誘引捕獲器のパネルを開放しなければタバコ虫の数を観測できないという上述の課題が解決されるため、監視操作がより簡便且つ迅速となる。
【0021】
(3)誘引捕獲器のパネルとして拡大鏡面材料を使用することで、誘引捕獲器の粘着面に誘引捕獲したタバコ虫のサイズを拡大可能となる。よって、粘着面に混入した各種異物を観察者の視覚から効果的に除去可能となり、計数誤差が大幅に低減される。
【0022】
(4)ビニールテントで密封されたタバコ葉のバルク内部に誘引捕獲器を適用する場合に遭遇する各種課題が解決される。タバコ葉バルクの密封箱に保護ケースを吊り下げる必要がなくなるため、タバコ葉の工場調達時に、保護ケースがタバコ葉の包装箱とともに巻きタバコ工場に調達されて生産を妨げるとの難題が解消される。また、検査の度にテントを開ける必要もなくなるため、操作者は密封テントの外側に立ったまま虫害数を観察及び記録可能となり、業務効率が大幅に高まる。
【0023】
(5)誘引捕獲器のパネルと底板を分割式設計とすることで、透明又は拡大鏡機能を備えたパネルを繰り返し使用可能となる。この場合、誘引捕獲器の誘引芯と粘着剤層が塗布された底板とを定期的に交換するだけでよいため、誘引捕獲器の購買コストを大幅に削減可能となる。
【0024】
本発明で使用する透明なシート状材料としては、柔軟で厚みが均一なシート状プラスチック材料、例えば、PA材質、pp材質、pvc材質、pet材質、arm材質、BOPP材質、CPP材質、LDPE材質、セロファン紙等の透明材料が選択される。また、使用する視野角拡大機能を備えた拡大鏡面シート材料としては、pvc透明拡大鏡シートや、薄いガラス拡大鏡シートが選択される。また、使用する不透明のシート状材料としては、プラスチック薄板、植物質を原料に作製された不透明用紙等が選択される。
【0025】
誘引捕獲面の中央位置には、タバコ虫フェロモンが添加された誘引芯が設けられる。誘引芯に添加されるタバコ虫フェロモンはタバコ虫を誘引捕獲エリアに誘引可能であるため、誘引捕獲器の誘引捕獲効率が高まる。
【0026】
本発明で使用されるタバコ虫誘引剤を放出可能な誘引芯としては、武漢東昌倉貯技術有限公司提供のタバコ害虫フェロモンを含有した誘引芯が用いられる。タバコシバンムシのフェロモン成分は、(4S,6S,7S)−7−ヒドロキシ−4,6−ジメチル−3−ノナノン、タバコガのフェロモン成分は、(Z,E)9,12−テトラデカジエン−1−オールアセタート、又は(E)−フィトール(3,7,11,15−テトラメチル−2−ヘキサデセン−1−オール)である。
【0027】
本発明で使用される粘着剤としては、淡黄色又は無色、無味、無毒、無腐食、無残留の透明状半液体が選択される。また、有効期間は4ヶ月以上で、耐紫外線及び良好な耐風化性を備えるものとされる。本発明で使用される粘着剤の表面には剥離紙が貼り付けられる(剥離紙はシリコーン紙とも称され、耐高温、防湿、防油性であって、粘着剤層を隔離防護する作用を奏する)。
【0028】
本発明によれば、構造が簡易で手動操作の必要がなく、保護ケースの配置を要さずに、誘引捕獲器の正面から視覚的且つ正確な観察及び計数が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の底板とパネルがいずれも透明材料(又は、pvc、ガラス等を材質とする拡大鏡面材料)からなる分割式誘引捕獲器を示す立体構造図である。
図2-1】本発明の底板とパネルがいずれも透明材料(又は、pvc、ガラス等を材質とする拡大鏡面材料)からなる一体式誘引捕獲器を示す立体構造図である。
図2-2】本発明の底板とパネルがいずれも透明材料(又は、pvc、ガラス等を材質とする拡大鏡面材料)からなる一体式誘引捕獲器を展開した場合を示す平面構造図である。
図3】本発明における不透明のシート状材料を用いて作製された、パネル中央部の開口に透明防塵板(又は、pvc、ガラス等を材質とする拡大鏡面材料)が嵌め込まれた分割式誘引捕獲器を示す立体構造図である。
図4】本発明における不透明のシート状材料を用いて作製された、パネル中央部の開口に透明防塵板(或いは透明防塵シート(又は、pvc、ガラス等を材質とする拡大鏡面材料))が嵌め込まれた一体式誘引捕獲器を示す立体構造図である。
図5図1のA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0030】
図1及び図5に示すように(分割式誘引捕獲器)、粘着型タバコ虫誘引捕獲器は、底板1、パネル2、粘着剤3及びタバコ害虫フェロモンを含有した誘引芯4を含む。底板はプラスチックシート又はクラフト紙からなり、パネルは透明材料(PVCプラスチック、アクリルプラスチック、ABSプラスチック、ガラス等の材質)を用いて作製される。底板とパネルは互いに独立した2つの部分として打ち抜き成形され、パネルが底板の上方に位置している。パネル2を湾曲させてから底板1に嵌合することで、側面が誘引捕獲器の配置環境と連通する誘引捕獲空洞11が形成される。誘引捕獲空洞11の側面(例えば、左側面、右側面のいずれか一方の面、又は左側面と右側面の両面。タバコ虫を誘引捕獲空洞へ誘導しやすいよう、側面は開口端となっている)は外部と連通している(タバコ虫を誘引捕獲空洞へ誘導しやすいよう、側面が開口端となっている)。誘引捕獲空洞11内においてパネルと対向する底板1の内表面には、粘着捕虫のための工業用粘着剤が塗布されている(更に、粘着剤層には表面が平滑な剥離紙が保護用に貼り付けられており、使用時には剥離紙を剥がして除去する。粘着剤3の塗布量は0.001〜30g/cmとされる)。誘引捕獲空洞11内の底板又はパネルの内表面には、タバコ害虫フェロモンを含有した誘引芯4(即ち、タバコ虫誘引剤を放出する誘引芯。粘着剤3と誘引芯4はいずれも誘引捕獲空洞11内に位置する)が配置されている。
【0031】
観測と識別の効果を高めるために、パネルは視野角拡大機能を備えた拡大鏡面材料を用いて作製(PVCプラスチック、アクリルプラスチック、ABSプラスチック、ガラス等の材質からなる拡大鏡面材料を用いて作製)してもよい。
【0032】
前記パネル2のシート状平面は多角形状とされ、底板1とパネル2の形状は類似している。パネルはアーチ型パネルとなるよう湾曲可能である。また、底板が透明材料からなってもよい。
【0033】
前記底板の上端辺縁及び下端辺縁の中央位置には、パネルを嵌め込むための底板フックが1つずつ設けられている(即ち、底板上フック6と底板下8フック。底板とパネルは互いに独立した2つの部分として打ち抜き成形すればよい)。前記底板と対向するパネルの上端辺縁と下端辺縁における対応する中央位置には、前記底板フックに嵌合するパネルフック(即ち、パネル上フック5、パネル下フック7)がそれぞれ設けられている。使用時には、まず粘着剤層表面の剥離紙を剥がす。そして、パネルを湾曲させて上下2つのパネルフックを底板の上下両フック内にそれぞれ嵌合させる。
【0034】
応用:タバコ害虫が出没し得るエリアに誘引捕獲器を配置し、誘引捕獲されたタバコ害虫の数を定期的に観測及び記録する。手動で誘引捕獲器のパネルを開放してから計数したり、保護ケースを配置したりする必要がなく、視覚的な観察と正確な計数が可能となる(数回検証した結果、パネルが透明材料からなるこのような誘引捕獲器の捕虫効果として、従来の不透明材料からなる誘引捕獲器よりも計数効率が30%以上向上したほか、誘引捕獲された害虫の計数精度が98〜100%まで上昇した)。
【実施例2】
【0035】
実施例2は実施例1〜4のいずれかとほぼ同様であるが、前記パネルが不透明のシート状材料からなり、パネル上面に観察孔が開設され、観察孔に捕虫数を観測するための透明防塵プレート(9)が嵌入又は貼り付けられ、透明防塵プレート(9)が透明材料又は画像拡大機能を備えた拡大鏡面材料からなる(図3参照)点で異なる。
【0036】
応用:タバコ害虫が出没し得るエリアに誘引捕獲器を配置する。手動操作や保護ケースの配置を要することなく、視覚的な観察と正確な計数が可能となる(数回検証した結果、パネルが透明材料からなるこのような誘引捕獲器の捕虫効果として、従来の不透明材料からなる誘引捕獲器よりも計数効率が30%以上向上したほか、誘引捕獲された害虫の計数精度が98〜100%まで上昇した)。
【実施例3】
【0037】
図2―1及び図2―2に示すように(一体式誘引捕獲器)、粘着型タバコ虫誘引捕獲器は、底板1、パネル2、粘着剤3及びタバコ害虫フェロモンを含有した誘引芯4を含む。
【0038】
前記底板とパネルは一体式とされる(底板とパネルを一体的に直に打ち抜き成形するか、或いは、底板とパネルを一体的に突き合せ接着又は加熱合成する)。一体式構造の底板とパネルの中間位置には折り線10が設けられる。この場合、底板の上端辺縁の中央位置とパネルの上端辺縁の中央位置とにフック(底板上フック6とパネル上フック5)が1つずつ設けられる。使用時には、まず粘着剤層表面の剥離紙を剥がしてから、パネルのフックを底板のフック内に嵌合させる(パネルが底板の上方に位置し、底板とパネルが互いに嵌合する)。
【0039】
パネル2と底板1との間には誘引捕獲空洞11が形成され、誘引捕獲空洞11の側面(例えば、左側面、右側面のいずれか一方の面、又は左側面と右側面の両面)が外部と連通する(タバコ虫を誘引捕獲空洞に誘導しやすいよう、側面が開口端又は孔、又はスリット、又は間隙等とされる)。粘着剤3は底板におけるパネルと対向する内表面に塗布される(即ち、底板の内表面に粘着剤層が塗布されている。更に、粘着剤層には剥離紙が貼り付けられており、使用時には剥離紙が剥がされる。粘着剤3の塗布量は0.001〜30g/cmとされる)。底板の内表面には、タバコ害虫フェロモンを含有した誘引芯4が載置される(即ち、タバコ虫誘引剤を放出するための誘引芯。タバコ害虫フェロモンを含有した誘引芯4は粘着剤上に載置される。粘着剤3と誘引芯4は誘引捕獲空洞11内に位置する)。前記パネルは透明材料からなる(PVCプラスチック、アクリルプラスチック、ABSプラスチック、ガラス等の透明材質を用いる。観測と識別の効果を高めるために、視野角拡大機能を備えた拡大鏡面材料を用いて作製してもよい)。前記パネルはシート状のアーチ型パネルとされる。前記パネル2のシート状平面の多角形状と、底板1のシート状平面の多角形状は類似している。また、底板を透明材料で作製してもよい。
【0040】
応用:タバコ害虫が出没し得るエリアに誘引捕獲器を配置する。手動操作や保護ケースの配置を要することなく、視覚的な観察と正確な計数が可能となる(数回検証した結果、パネルが透明材料からなるこのような誘引捕獲器の捕虫効果として、従来の不透明材料からなる誘引捕獲器よりも計数効率が30%以上向上したほか、誘引捕獲された害虫の計数精度が98〜100%まで上昇した)。
【実施例4】
【0041】
図4に示すように(パネルが不透明のシート状材料からなる一体式誘引捕獲器)、粘着型タバコ虫誘引捕獲器は、底板1、パネル2、粘着剤3及びタバコ害虫フェロモンを含有した誘引芯4を含む。
【0042】
前記パネルはシート状のアーチ型パネルとされる。前記底板とパネルは一体式とされる(底板とパネルを一体的に直に打ち抜き成形するか、或いは、底板とパネルを一体的に突き合せ接着又は加熱合成する)。一体式の底板とパネルの中間部には折り線10が設けられ、底板とパネルは折り線10により折り合わされる(これ以降、折り線10箇所が後辺縁となる)。この場合、底板の上端辺縁の中央位置とパネルの上端辺縁の中央位置とにフック(底板上フック6とパネル上フック5)が1つずつ設けられる。使用時には、まず粘着剤層表面の剥離紙を剥がしてから、パネルのフックを底板のフック内に嵌合させる(パネルが底板の上方に位置し、底板とパネルが互いに嵌合する)。
【0043】
パネル2と底板1との間には誘引捕獲空洞11が形成され、誘引捕獲空洞11の側面(例えば、左側面、右側面のいずれか一方の面、又は左側面と右側面の両面)が外部と連通する(タバコ虫を誘引捕獲空洞に誘導しやすいよう、側面が開口端とされる)。粘着剤3は底板におけるパネルと対向する内表面に塗布される(即ち、底板の内表面に粘着剤層が塗布されている。更に、粘着剤層には剥離紙が貼り付けられており、使用時には剥離紙が剥がされる。粘着剤3の塗布量は0.001〜30g/cmとされる)。底板の内表面には、タバコ害虫フェロモンを含有した誘引芯4が載置される(即ち、タバコ虫誘引剤を放出するための誘引芯。タバコ害虫フェロモンを含有した誘引芯4は粘着剤上に載置される。粘着剤3と誘引芯4は誘引捕獲空洞11内に位置する)。
【0044】
前記パネルは不透明のシート状材料からなる(底板もまた不透明のシート状材料からなってもよい)。パネル中央部には観察孔が設けられ、観察孔には捕虫数を観測するための(観測に供される)透明防塵プレート9が嵌入されている。透明防塵プレート9は、透明材料又は拡大鏡面材料を用いて作製される。
【0045】
応用:タバコ害虫が出没し得るエリアに誘引捕獲器を配置する。手動操作や保護ケースの配置を要することなく、視覚的な観察と正確な計数が可能となる(数回検証した結果、パネルが透明材料からなるこのような誘引捕獲器の捕虫効果として、従来の不透明材料からなる誘引捕獲器よりも計数効率が30%以上向上したほか、誘引捕獲された害虫の計数精度が98〜100%まで上昇した)。
【実施例5】
【0046】
実施例5は、実施例1〜4のいずれかとほぼ同様であるが、パネルの側面に防塵ガードが設けられ、防塵ガードに孔、又はスリット、又は間隙等が設けられる点で異なる。或いは、防塵ガードと底板の間にはスリット又は間隙が設けられる。
【0047】
防塵ガードは、パネルと同じ材料でパネルと一体的に作製すればよい。使用時には、防塵ガードとパネルの接続箇所に沿って、防塵ガードを底板方向に折り曲げればよい。
【実施例6】
【0048】
実施例6は実施例1〜5のいずれかとほぼ同様であるが、前記パネルが球面パネル(例えば、半球面状)である点において異なる。
【実施例7】
【0049】
実施例7は実施例1〜5のいずれかとほぼ同様であるが、前記パネルが球面パネル(例えば、板状球面)である点において異なる。
【0050】
本発明はタバコの流通及び製造段階に適用され、日照、熱源、振動、気流又は埃発生箇所をできるだけ避けつつ、タバコ害虫が繁殖、活動する関連エリアに配置される。
【0051】
上記では図面を組み合わせて本発明の実施形態について詳述したが、本発明は上記の具体的実施形態に限定されない。当業者であれば、本発明における実施例の思想に基づき、具体的実施形態及びその適用範囲を変更し得る。しかし、本発明の設計思想に基づいて実施された変更であれば、いずれも本発明の保護の範囲に包括される。
【符号の説明】
【0052】
1 底板
2 パネル
3 粘着剤(粘着捕虫のための工業用粘着剤)
4 タバコ害虫フェロモンを含有した誘引芯(タバコ虫誘引剤を含有した誘引芯)
5 パネル上フック
7 パネル下フック
6 底板上フック
8 底板下フック
9 透明防塵プレート(又は、pvc、ガラス等を材質とする拡大鏡面材料)
10 折り線
11 誘引捕獲空洞
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5