特許第6344576号(P6344576)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6344576
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】USBコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/648 20060101AFI20180611BHJP
   H01R 12/72 20110101ALI20180611BHJP
   H01R 24/60 20110101ALI20180611BHJP
【FI】
   H01R13/648
   H01R12/72
   H01R24/60
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-87762(P2016-87762)
(22)【出願日】2016年4月26日
(65)【公開番号】特開2017-199493(P2017-199493A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2017年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093034
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 隆英
(72)【発明者】
【氏名】大坂 純士
【審査官】 山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3186095(JP,U)
【文献】 特開2015−230770(JP,A)
【文献】 特開2010−212017(JP,A)
【文献】 特開2015−179591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56 − 13/72
H01R 12/00 − 12/91
H01R 24/00 − 24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ハウジングと、その絶縁ハウジングの少なくとも一部を覆う導電性シェルと、前記絶縁ハウジングに取り付けられて嵌合相手の他のコネクタに電気的に接続されるコンタクト部材と、前記他のコネクタの係止部に係合して嵌合状態を保持するサイドラッチと、を備えたものであって、
信号伝送媒体が連結されたパドルカードの両面の少なくとも一方に設けられた信号伝送用の電極部に前記コンタクト部材が接続される構成になされたUSBコネクタにおいて、
前記導電性シェルは、前記パドルカードの両面に当接して当該パドルカードを挟持状態とする一対のシェル突起部を備えている一方、
前記サイドラッチが、前記他のコネクタの係止部に設けられたグランド接点部に係合して嵌合状態を保持しながらグランド接続を行う構成を有するものであって、
前記サイドラッチは、前記パドルカードに設けられたグランド導電路に対して電気的に接続される第1のラッチ接点部と、前記導電性シェルに接続される第2のラッチ接点部と、を備えていることを特徴とするUSBコネクタ。
【請求項2】
前記シェル突起部が前記パドルカードに当接する部位は、前記コンタクト部材が前記パドルカードに当接する部位に対して信号伝送の方向に位置ズレした状態に配置されていることを特徴とする請求項1記載USBコネクタ。
【請求項3】
前記シェル突起部は、前記パドルカードに設けられたグランド導電路に電気的に接続されるシェル接点部を備えていることを特徴とする請求項1記載のUSBコネクタ。
【請求項4】
前記絶縁ハウジングは、前記第1のラッチ接点部に対して前記パドルカードを挟んで対向するハウジング突起部を備え、
前記第1のラッチ接点部とハウジング突起部とにより前記パドルカードを挟持する構成になされていることを特徴とする請求項記載のUSBコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号伝送媒体が連結されたパドルカードが、嵌合相手の他のコネクタに電気的に接続されるコンタクト部材に接続される構成になされたUSBコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
USBコネクタの規格は種々のものが存在しているが、近年、上下左右対称な構造によって、どちらの向きでも挿し込むことができる構造とした、いわゆるタイプCと呼ばれるUSBコネクタが使用されつつある。そのようなタイプC規格のUSBコネクタにおいては、同軸ケーブルなどの信号伝送媒体に連結されたパドルカード(中継基板)が、導電性シェルの内部に配置されている。そして、そのパドルカードに形成された電極部に対して、絶縁ハウジングに取り付けられたコンタクト部材の接点部が、半田接合等により電気的に接続されるとともに、他の相手コネクタに嵌合された状態にあっては、上述したコンタクト部材の他の接点部が、他の相手コネクタに対して電気的に接触される構成になされている。
【0003】
ここで、一般的なタイプC規格のUSBコネクタでは、絶縁ハウジングに設けられた凹状の挟持部によってパドルカードの端縁部が片持ち状に保持される構造になされている。そのため、パドルカードに対する保持力が不十分になり易い上に、絶縁ハウジングの挟持部に削れが発生した場合には、パドルカードの保持力が急速に低下してパドルカードの姿勢が安定しなくなることが考えられ、電気的な接続信頼性に問題を招来するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−230770号公報
【特許文献2】実用新案登録第3195845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、簡易な構成で、パドルカードの姿勢を安定的に維持させることができるようにしたUSBコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1にかかる発明は、 絶縁ハウジングと、その絶縁ハウジングの少なくとも一部を覆う導電性シェルと、前記絶縁ハウジングに取り付けられて嵌合相手の他のコネクタに電気的に接続されるコンタクト部材と、前記他のコネクタの係止部に係合して嵌合状態を保持するサイドラッチと、を備えたものであって、信号伝送媒体が連結されたパドルカードの両面の少なくとも一方に設けられた信号伝送用の電極部に前記コンタクト部材が接続される構成になされたUSBコネクタにおいて、前記導電性シェルは、前記パドルカードの両面に当接して当該パドルカードを挟持状態とする一対のシェル突起部を備えている一方、前記サイドラッチが、前記他のコネクタの係止部に設けられたグランド接点部に係合して嵌合状態を保持しながらグランド接続を行う構成を有するものであって、前記サイドラッチは、前記パドルカードに設けられたグランド導電路に対して電気的に接続される第1のラッチ接点部と、前記導電性シェルに接続される第2のラッチ接点部と、を備えた構成になされている。
【0007】
このような構成を備えた請求項1にかかる発明によれば、導電性シェルに設けられた一対のシェル突起部が、パドルカードを両面から挟持するようにして強固に保持することから、USBコネクタが他のコネクタに嵌合された際にあっても、バドルカードの姿勢が安定的に維持され、良好な信号伝送機能が得られる。
また、このような構成を備えた請求項1にかかる発明によれば、サイドラッチの第1及び第2のラッチ接点部を介してグランド接続が行われるため、グランド機能の強化が図られるとともに、サイドラッチの第1のラッチ接点部を介してバドルカードが一層安定的に保持される。
【0008】
このとき、請求項2にかかる発明のように、前記シェル突起部が前記パドルカードに当接する部位は、前記コンタクト部材が前記パドルカードに当接する部位に対して信号伝送の方向に位置ズレした状態に配置されていることが望ましい。
【0009】
このような構成を備え請求項2にかかる発明によれば、信号伝送の方向においてコンタクト部材とシェル突起部との2箇所でパドルカードが保持されることから、パドルカードが厚さ方向に撓まされるような、いわゆる煽り方向の外力が付与された場合であっても、ドルカードの姿勢が良好に安定される。
【0010】
また、請求項3にかかる発明のように、前記シェル突起部は、前記パドルカードに設けられたグランド導電路に電気的に接続されるシェル接点部を備えていることが望ましい。
【0011】
このような構成を備えたる請求項3にかかる発明によれば、導電性シェルが、シェル突起部を介してグランド接続されることから、グランド機能が強化される。
【0014】
さらにまた、請求項5にかかる発明のように、前記絶縁ハウジングは、前記第1のラッチ接点部に対して前記パドルカードを挟んで対向するハウジング突起部を備え、前記第1のラッチ接点部とハウジング突起部とにより前記パドルカードを挟持する構成になされていることが望ましい。
【0015】
このような構成を備えたる請求項5にかかる発明によれば、サイドラッチの第1のラッチ接点部による保持力がハウジング突起部によりさらに強化されることから、当該バドルカードの姿勢がさらに一層向上される。
【発明の効果】
【0016】
以上の通り本発明は、絶縁ハウジングの少なくとも一部を覆う導電性シェルに、パドルカードの両面に当接して当該パドルカードを挟持状態とする一対のシェル突起部を設け、パドルカードを一対のシェル突起部により挟持するようにして強固に保持し、USBコネクタが他の相手コネクタに嵌合された際にあってもバドルカードの姿勢を安定的に維持して良好な信号伝送機能が得られるとともに、サイドラッチの第1及び第2のラッチ接点部を介してグランド接続を行うことによりグランド機能を強化しつつ、サイドラッチの第1のラッチ接点部を介してバドルカードを一層安定的に保持する構成としたものであるから、簡易な構成で、パドルカードの姿勢を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態にかかるUSBコネクタをコネクタ後方側の上方から表した外観斜視説明図である。
図2図1に示されたUSBコネクタをコネクタ前方側の上方から表した外観斜視説明図である。
図3図1及び図2に示されたUSBコネクタの平面説明図である。
図4図1図3に示されたUSBコネクタの正面説明図である。
図5図1図4に示されたUSBコネクタの背面説明図である。
図6図1図5に示されたUSBコネクタの側面説明図である。
図7図1図6に示されたUSBコネクタにおいて、導電性シェル及び絶縁ハウジングを取り除いた内部構造を表した外観斜視説明図である。
図8図1図6に示されたUSBコネクタの後端部分におけるコネクタ幅方向の片側を拡大して表した外観斜視説明図である。
図9図1図8に示されたUSBコネクタにパドルカードを装着した状態を表した外観斜視説明図である。
図10図9中の IX で示した部分を拡大して表した外観斜視説明図である。
図11図9におけるパドルカードを装着したUSBコネクタを表した背面説明図である。
図12図11に示されたパドルカードを装着したUSBコネクタの後端部分におけるコネクタ幅方向の片側を拡大して表した外観斜視説明図である。
図13図1図8に示されたUSBコネクタを、嵌合の相手となるリセプタクルコネクタ(他のコネクタ)に嵌合した状態を表した外観斜視説明図である。
図14図13に示されたリセプタクルコネクタ(他のコネクタ)とUSBコネクタとの嵌合状態を表した平面説明図である。
図15図13及び図14に示されたリセプタクルコネクタ(他のコネクタ)とUSBコネクタとの嵌合状態を表した背面説明図である。
図16図13図15に示されたリセプタクルコネクタ(他のコネクタ)とUSBコネクタとの嵌合状態を表したものであって、USBコネクタの一部を破断して内部構造を示した側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
[USBコネクタの全体構造について]
図1図8に示されている本発明の一実施形態にかかるプラグコネクタ10は、薄厚の中空箱状をなす絶縁性の樹脂材からなる絶縁ハウジング11を備えているとともに、その絶縁ハウジング11における中空状の内部空間には、多極状をなすようにして複数体のコンタクト部材12を保持するサブハウジング(図示省略)が、上下2段にわたって配列されている。また、それら絶縁ハウジング11及びコンタクト部材12を保持するサブハウジングを外方側から覆う薄板の金属状部材の中空箱状の折曲げ体からなる導電性シェル13が、絶縁ハウジング11を取り囲むように装着されている。
【0020】
さらに、上述した絶縁ハウジング11の中空内部には、例えば図7に示すように同じく薄板の金属状部材の打抜き体からなる一対のサイドラッチ14,14を有する連結板(図7中の符号14a参照)が、上述した上下2段のサブハウジングの間部分に挟まれるようにして取り付けられている。この一対のサイドラッチ14,14は、後述するように嵌合相手としてのリセプタクルコネクタ(他のコネクタ)20との嵌合時(図13及び図14参照)に、当該リセプタクルコネクタ20の一部に係合する構成になされている。
【0021】
すなわち、本発明にかかるプラグコネクタ10は、特に図13図16に示されているように、印刷配線基板(図示省略)上に実装された嵌合相手としてのリセプタクルコネクタ(他のコネクタ)20に嵌合される構成(図13図16参照)を備えており、そのときの嵌合は、印刷配線基板の表面の延在方向に沿って行われる。ここで、プラグコネクタ10が、他のコネクタとしてのリセプタクルコネクタ20に嵌合される方向、すなわち印刷配線基板の表面の延在方向を、以下において「水平面方向」とする。
【0022】
また、プラグコネクタ10の嵌合が行われるにあたっては、当該プラグコネクタ10の先端部分がリセプタクルコネクタ(他のコネクタ)20の内部に差し込まれ、又はリセプタクルコネクタ20から抜去される関係になされているが、そのようにプラグコネクタ10の嵌合・抜去が行われる方向を「コネクタ前後方向」とし、嵌合される方向を「コネクタ前方」、抜去される方向を「コネクタ後方」とする。さらに、リセプタクルコネクタ20に差し込まれるプラグコネクタ10の先端部分を「コネクタ前端部分」とし、その反対側の部分を「コネクタ後端部分」とする。なお、本実施形態におけるプラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ20によって実行される「信号伝送」は、「コネクタ前後方向」に行われる。
【0023】
一方、上述したコンタクト部材12が多極状に配列されている「多極配列方向」は、「水平面方向」であって、かつプラグコネクタ10の嵌合・抜去が行われる「コネクタ前後方向」に略直交する「コネクタ幅方向」となっている。また、その「多極配列方向」である「コネクタ幅方向」と、「コネクタ前後方向」との双方に直交する方向を「コネクタ高さ方向」とし、印刷配線基板の表面から離間する方向を「上方向」、印刷配線基板の表面に近付く方向を「下方向」とする。
【0024】
このようなプラグコネクタ10の「コネクタ後端部分」には、例えば図9に示すように同軸ケーブル等の信号伝送媒体(図示省略)が連結されたパドルカード(中継基板ボード)Pが連結されている。そのパドルカードPの表裏両面に形成された信号伝送用の電極部P1には、上述したコンタクト部材12の後端側部分が接続される構成になされている。また、パドルカードPの表裏両面に形成されたグランド接地用の電極部P2には、上述したサイドラッチ14の後端側部分、及び後述する導電性シェル13に設けられた一対のシェル突起部13b,13bが、半田接合により電気的に接続される構成になされている。
【0025】
[コンタクト部材について]
上述したように上下2段にわたって配置されたコンタクト部材12は、サブハウジング(図示省略)にそれぞれ保持されているが、それらの各サブハウジングから「コネクタ前後方向」に片持ちビーム状に突出する部分が、絶縁ハウジング11に「コネクタ前後方向」に延在するように形成された複数体のコンタクト取付け溝(図示省略)の内部に収容された状態で装着されている。すなわち、それらのコンタクト取付け溝は、絶縁ハウジング11の中空部を形成している上下の内壁部に、当該中空部を介して「コネクタ高さ方向」に対向する状態で上下2段にわたって配置されている。そして、それら上下2段のコンタクト取付け溝に装着されたコンタクト部材12の片持ちビーム状突出部分も、絶縁ハウジング11の中空部を介して「コネクタ高さ方向」に上下2段にわって「コネクタ前後方向」に延在するように配置されており、それら上下のコンタクト部材12,12同士が、「コネクタ高さ方向」において対称的に対向する配置関係になされている。
【0026】
このように、各コンタクト部材12における「コネクタ前後方向」の前端部分及び後端部分は、上述した絶縁ハウジング11のコンタクト取付け溝から、それぞれ前方側及び後方側に向かって片持ち状に延出しているとともに、その延出端部には、例えば図7に示すように突形状をなす前端側接点部12a及び後端側接点部12bが、上下のコンタクト部材12,12において互いに近接した状態に対向する配置関係になされている。それらの前端側接点部12a及び後端側接点部12bは、コンタクト部材12の弾性に基づいて、「コネクタ高さ方向」において互いに近接又は離間するように弾性的に変位する構成になされている。
【0027】
そして、上述したコンタクト部材12の前端側接点部12aは、プラグコネクタ10がリセプタクルコネクタ(他のコネクタ)20に嵌合された際に、リセプタクルコネクタ20に設けられた電極部(図16参照)に対して、弾性的に当接して電気的に接続される配置関係になされている。また、コンタクト部材12の後端側接点部12bは、上述したパドルカード(中継基板ボード)Pの信号伝送用の電極部P1に当接した状態で、半田接合により電気的に接続される構成になされている。
【0028】
[導電性シェルについて]
一方、上述した導電性シェル13の前端部分には、例えば図2に示すように嵌合相手としてのリセプタクルコネクタ(他のコネクタ)20に嵌合される横長状の前端開口部が設けられており、その前端開口部には、舌片状をなすようにしてグランド接続片13aが複数体にわたって設けられている。それらの各グランド接続片13aは、プラグコネクタ10がリセプタクルコネクタ(他のコネクタ)20に嵌合された際に、リセプタクルコネクタ20側に設けられたグランド端子(図示省略)に対して電気的に嵌合される構成になされている。
【0029】
また、その導電性シェル13の前端部分に設けられた前端開口部を通して、前述した上下2段のコンタクト部材12の前端側接点部12aが、例えば図4に示すようにコネクタ前方側に向かって露出された状態になされている。さらに、上述した導電性シェル13の後端部分にも、同じく横長状の後端開口部が設けられており、その後端開口部を通して、前述した上下2段のコンタクト部材12の後端側接点部12bが、例えば図5に示すようにコネクタ後方側に向かって外方に突出した状態になされている。
【0030】
そして、そのように導電性シェル13の後端開口部を通して外方に突出している上下2段のコンタクト部材12の後端側接点部12b,12b同士の間部分には、例えば図9に示すように同軸ケーブル等の信号伝送媒体(図示省略)が連結されたパドルカード(中継基板ボード)Pが、コネクタ後方側から前方に向かって挿入された状態になされている。そのパドルカードPの表裏両面に形成されている信号伝送用の電極部P1に対して、コンタクト部材12の後端側接点部12b,12bが上下から接触された状態で半田材により接合されており、それによって信号伝送回路が構成されるようになっている。このとき、多極配列の方向において複数の後端側接点部12bを一括的に半田接合することが可能である。
【0031】
また、前述したように導電性シェル13の後端縁部分における「コネクタ幅方向」の両側部分には、板状をなすシェル突起部13bが、「コネクタ後方側」に向かって突出するように設けられている。それらの各シェル突起部13bは、例えば図8に示すように導電性シェル13の後端開口部を形成しているシェル壁部の一部をなすように形成されており、「コネクタ幅方向」の片側部分において各々一対のものが、「コネクタ高さ方向」において互いに対称的な形状を有している。それら片側一対の各シェル突起部13b,13bは、互いに対向する頂部を有する形状になされており、それら互いに近接する方向に突出している各頂部に、グランド接点部としてのシェル接点部が形成されている。
【0032】
すなわち、上述した片側一対のシェル突起部13b,13b同士の間部分には、例えば図9に示すように前述したパドルカード(中継基板ボード)Pの端縁部分が、コネクタ後方側から前方に向かって挿入されるようにして装着されており、そのパドルカードPの表裏両面における「コネクタ幅方向」の両側部分に形成されたグランド接地用の電極部P2に対して、上述した片側一対のシェル突起部13b,13bのシェル接点部が、「コネクタ高さ方向」の上下から当接した状態で半田材により接合されている。それによって、パドルカードPの端縁部分は、片側一対のシェル突起部13b,13b間に挟持されて固定状態になされるとともに、グランド(接地)回路が構成されるようになっている。
【0033】
このようにパドルカード(中継基板ボード)Pのグランド接地用の電極部P2に当接するシェル突起部13bは、前述したパドルカードPの信号伝送用の電極部P1に当接するコンタクト部材12の後端側接点部12bに対して、「コネクタ後方」側にやや位置ズレされた状態に配置されており、信号伝送の方向である「コネクタ前後方向」においてコンタクト部材12とシェル突起部13bとの2箇所でパドルカードPが保持され、それによって、パドルカードPが厚さ方向に撓むような、いわゆる煽り方向の外力が付与された場合であっても、バドルカードPの姿勢が良好に安定される構成になされている。
【0034】
[サイドラッチについて]
一方、前述したサイドラッチ14は、例えば図7、10に示すように多極配列方向(コンタクト幅方向)における両側のコンタクト部材12から、同方向の外方に張り出すようにして一対のものが配置されており、それら一対のサイドラッチ14,14同士を一体的に接続している平板状の連結板14aが、上述した絶縁ハウジング11の中空部の内方に配置された状態で、前述した上下のサブハウジング同士の間に挟まれるようにして固定されている。そして、このような絶縁ハウジング11の中空部の内方に配置された連結板14aにおける「コネクタ幅方向」の両端縁部には、一対のサイドラッチ14,14が、「コネクタ幅方向」の外方に張り出すように設けられており、それらの各サイドラッチ14が、「水平面方向」において「コネクタ前方」側に向かって片持ち状をなして弾性変位可能に延出している。
【0035】
上述した各サイドラッチ14の延出側(前方側)の先端部分には、フック状をなす係合部14bが、「コネクタ幅方向」における内方側(コネクタ中心側)に向かって突出するようにそれぞれ設けられている。それらの各係合部14bは、他のコネクタとしてのリセプタクルコネクタ20にプラグコネクタ10が嵌合された際に、リセプタクルコネクタ20の内部に凹状をなすように設けられた係止部(図示省略)に対して「コネクタ幅方向」の外方側から係合し、それによって両コネクタ10,20同士の嵌合状態を維持する構成になされている。
【0036】
このとき、上述したリセプタクルコネクタ(他のコネクタ)20に設けられた係止部(図示省略)には、グランド接点部が形成されており、他のコネクタとしてのリセプタクルコネクタ20にプラグコネクタ10が嵌合されることで、各サイドラッチ14の係合部14bがリセプタクルコネクタ20側の係止部に係合された際に、当該サイドラッチ14を介して、次のようなグランド(接地)回路が構成されるようになっている。
【0037】
すなわち、まず上述した平板状の連結板14aにおける「コネクタ幅方向」の両端縁部には、各サイドラッチ14に対して「コネクタ後方」寄りの部位からグランド接続部14cが、「コネクタ後方」側に向かって延出するようにそれぞれ設けられている。それらの各グランド接続部14cの延出端部分には、グランド接点部をなす第1のラッチ接点部14dが設けられており、当該グランド接続部14cに設けられた第1のラッチ接点部14dが、前述したパドルカードPの片面(上面)における「コネクタ幅方向」の両側部分に形成されているグランド接地用の電極部P2(図9参照)に当接した状態で、半田材により接合されている。
【0038】
この第1のラッチ接点部14dが接合されるパドルカード(中継基板ボード)Pのグランド接地用の電極部P2は、前述したコンタクト部材12の後端側接点部12bが接合される信号伝送用の電極部P1に対して、「コネクタ幅方向」の両側外方に一対配置されている。
【0039】
このようなグランド接続部14cの第1のラッチ接点部14dに対応して、例えば図8に示すように絶縁ハウジング11にはハウジング突起部11aが設けられている。このハウジング突起部11aは、上述した第1のラッチ接点部14dの下方位置において、パドルカード(中継基板ボード)Pを介して「コネクタ高さ方向」に対向するように配置されており、それらの第1のラッチ接点部14dとハウジング突起部11aとの間部分にパドルカードPが挟持される構成になされている。
【0040】
さらに、前述した各サイドラッチ14の後端部分には、例えば図10に示すように電性シェル13の内壁面に接触して電気的に接続される第2のラッチ接点部14eが突起片をなすように設けられている。この第2のラッチ接点部14eは、上述した電性シェル13のシェル突起部13bを介してグランド接続される構成になされている。
【0041】
このような構成を備えた本実施形態によれば、導電性シェル13に設けられた一対のシェル突起部13b,13bが、パドルカード(中継基板ボード)Pを表裏両面から挟持するようにして強固に保持することから、プラグコネクタ10がリセプタクルコネクタ(他のコネクタ)20に嵌合された際(図13図16参照)にあっても、バドルカードPの姿勢が安定的に維持され、良好な信号伝送機能が得られる。
【0042】
特に、本実施形態におけるシェル突起部13bは、コンタクト部材12がパドルカード(中継基板ボード)Pに当接する部位に対して信号伝送の方向(コネクタ前後方向)に位置ズレした状態に配置されていることから、信号伝送の方向(コネクタ前後方向)においてコンタクト部材12とシェル突起部13bとの2箇所でパドルカード(中継基板ボード)Pが保持されることとなり、当該パドルカードPが厚さ方向に撓まされるような、いわゆる煽り方向の外力が付与された場合であっても、バドルカードPの姿勢が良好に安定される。
【0043】
さらに、本実施形態においては、導電性シェル13に設けられたシェル突起部13bが、パドルカード(中継基板ボード)Pに設けられたグランド接地用の電極部P2に電気的に接続されるシェル接点部を備えていることから、当該シェル突起部13bを介して導電性シェル13のグランド接続が行われ、グランド機能が強化されるようになっている。
【0044】
さらにまた、本実施形態におけるサイドラッチ14の係合部14bが、嵌合相手としてのリセプタクルコネクタ(他のコネクタ)20の係止部(図示省略)に設けられたグランド接点部に係合して嵌合状態を保持する構造に加えて、本実施形態におけるサイドラッチ14は、パドルカード(中継基板ボード)Pのグランド接地用の電極部P2に当接してグランド接続を行う第1のラッチ接点部14dと、導電性シェル13に接続される第2のラッチ接点部14eと備えている。よって、サイドラッチ14の第1のラッチ接点部14dを介してバドルカードPが一層安定的に保持されるとともに、サイドラッチ14の第1及び第2のラッチ接点部14c,14dを介してグランド接続が行われ、グランド機能の強化が図られるようになっている。
【0045】
また、本実施形態における絶縁ハウジング11は、第1のラッチ接点部14dに対してパドルカード(中継基板)Pを挟んで対向するハウジング突起部11aを備えていることから、サイドラッチ14の第1のラッチ接点部14dによる保持力が、ハウジング突起部11aにより安定的に得られ、バドルカードPの姿勢がさらに一層向上されるようになっている。
【0046】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0047】
例えば上述した実施形態では、パドルカードの表裏両面にコンタクト部材が接触する構成になされているが、パドルカードの片面のみにコンタクト部材が接触する構成とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、各種電気機器に使用する多種多様なUSBコネクタに対して広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 プラグコネクタ
11 絶縁ハウジング
11a ハウジング突起部
12 コンタクト部材
12a 前端側接点部
12b 後端側接点部
13 導電性シェル
13a グランド接続片
13b シェル突起部
14 サイドラッチ
14a 連結板
14b 係合部
14c グランド接続部
14d 第1のラッチ接点部
14e 第2のラッチ接点部
20 リセプタクルコネクタ(他のコネクタ)
P パドルカード(中継基板ボード)
P1 信号伝送用の電極部
P2 グランド接地用の電極部
図1
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