特許第6344897号(P6344897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社北研の特許一覧

<>
  • 特許6344897-キノコ種菌培養裝置 図000002
  • 特許6344897-キノコ種菌培養裝置 図000003
  • 特許6344897-キノコ種菌培養裝置 図000004
  • 特許6344897-キノコ種菌培養裝置 図000005
  • 特許6344897-キノコ種菌培養裝置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6344897
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】キノコ種菌培養裝置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/02 20060101AFI20180611BHJP
【FI】
   C12M1/02 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-214729(P2013-214729)
(22)【出願日】2013年10月15日
(65)【公開番号】特開2014-79244(P2014-79244A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2016年10月11日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0113940
(32)【優先日】2012年10月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】000242024
【氏名又は名称】株式会社北研
(74)【代理人】
【識別番号】100095739
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】金 昌洙
【審査官】 吉田 知美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/049492(WO,A1)
【文献】 特開昭50−121045(JP,A)
【文献】 特公昭47−041805(JP,B1)
【文献】 特開2010−172318(JP,A)
【文献】 特開昭57−189689(JP,A)
【文献】 特開昭61−202681(JP,A)
【文献】 実開平07−017993(JP,U)
【文献】 特表2008−501347(JP,A)
【文献】 特開昭57−008778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00−3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状のきのこ種菌を培養する培養装置において、
上記培養装置はきのこ種菌を培養する培養タンク(10)と、
上記培養タンク(10)の一部に形成されている内部ブラケット (21)と、上記内部ブラケット(21)の突出部(22)に結合し上記突出部(22)を中心に回転しきのこ種菌を破砕して体細胞を分裂可能とする一部分を折曲形成したインぺラ(23)と、上記インぺラ(23)に結合している従動磁石(24)を備えた撹拌機(20)と、
上記内部ブラケット(21)にはボルトなどの締結部材によって結合されている外部ブラケット(31)と、上記外部ブラケット(31)に結合されている減速器(32)と、上記減速器(32)で動力を伝達する駆動モータ(33)と、駆動モータ(33)の回転動力によって駆動磁石(35)が結合されている駆動軸(34)を備えた駆動裝置(30)と、
で構成されることを特徴とするキノコ種菌培養装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記培養タンク(10)は、蓋(11)を閉めた時内部ブラケット(21)によって外部とは完全に遮断されることを特徴とするキノコ種菌培養装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキノコ種菌培養裝置に関するもので、より詳細には培養タンク内に水と栄養分を投入し、高温で殺菌した後、キノコ種菌を投入して培養する間に数回撹拌と破砕をする一方で、培養タンクが外部と完全に遮断された状態で培養タンク内に設置された撹拌機で動力伝達がなされるため、キノコ種菌以外の菌が繁殖するのを基本的に防止したキノコ種菌培養装置である。
【背景技術】
【0002】
一般的にキノコは、高蛋白、低カロリー食品であり、食物纖維が豊富でビタミン、鉄、亜鉛などの無機質が豊富で、過食を抑制するので、優れたダイエット食品として好まれている。
【0003】
このようなキノコは種類によって栽培方法や栽培条件が異なるが、一般的には最初の元菌を採取して培養した後、これを液状または固形物で一定期間培養してキノコ種菌を得て、このようなキノコ種菌を一般農家等で栽培して最終的にキノコを採取することになる。
【0004】
固体種菌培養法では種菌生産の期間が多くかかり、雑菌の混入が容易で種菌の汚染を簡単に判別することが難しいだけでなく多量の培養容器も必要となり深刻な環境汚染の問題もあって、今日では液状で種菌培養をして、このような種菌を使用してキノコを栽培することになる。
【0005】
液状種菌を用いてキノコを栽培する装置としては登録特許第10ー1007749号に開示された液状キノコ種菌培養タンクがあり、図4に図示されている。
【0006】
上記特許にはフランジが装着されて、液状培地を収納する円筒型容器と、上記円筒型容器に固定される移動用ホイールが装着された移動用本体支持台と、清浄空気を液状培地に上方向で供給する空気注入管と、液状培地にキノコ種菌を供給する種菌接種口と、培養された液状種菌を円筒型容器から引き出しできるサンプリング採取口と、キノコ菌糸の培養状態を肉眼で確認できる覗き窓と、円筒形容器より空気を排出する空気排出口および円筒形容器の下方内側の円錐型壁面と2〜3mmに近接配置される空気分散板などで構成された液状キノコ種菌培養タンクにおいて、上記空気分散板の直下方に通空穴が同じ間隔で穿孔され、上記空気注入管はワンタッチカップリングによって脱附着が可能に構成されているのが特徴である液状キノコ種菌培養タンクが開示されているが、空気によって液状培地を撹拌することによって十分な撹拌が行われず、撹拌の速度が遅れて養分を混ぜる役割をするだけで、キノコが体細胞分裂をするための撹拌速度に到達できないので培養速度が遅れる短所がある。
【0007】
なお、異なる従来技術としては登録特許第10-0607375号に開示されているダブルタンク方式の撹拌装置およびこれを用いたキノコ栽培用培地の一括処理システムがあり、図5に図示されている。
【0008】
上記特許には、複数の撹拌室が並んでいるダブルタンク方式の形状であり、上記撹拌室の間には撹拌室が相互連通できるよう中央部および両端部に中央移動路および側面移動路が形成されたハウジング、上記撹拌室の内部には横方向に撹拌軸が回転可能に装着され、上記撹拌軸の中央を基点に両側が互いに対称となる螺旋形状をもつように撹拌翼が形成され、
上記撹拌翼中どれか一つの撹拌翼の中央部または反対側の撹拌翼の両端部には上記中央移動路および側面移動路側に掻き揚げられるようにスコップが装着されている撹拌部、及び上記ハウジングの側面には上記撹拌軸が各々反対になる外側方向に回転するように駆動させるための駆動モータを持つ駆動手段を装着している農業用撹拌装置が開示されているが、複数の撹拌翼によって撹拌速度が早く行われるとしてもハウジングに形成されている撹拌軸は回転動力を外部より伝達されることによってハウジングの一部を貫いてハウジングと撹拌軸の間に隙間が生じることになる。
【0009】
このような隙間を通って空気中に混ざっていった菌が撹拌室(ハウジング) 内部に浸透するにしても、上記撹拌室の内には培地が入っており、上記培地は多くの栄養分を含有していて種菌培養には最適化された温度を維持しているため、微細な量の菌が浸透しても浸透した菌が急速に増えて、キノコ種菌に対して被害を与えたり、苦心して培養した種菌全体が使えなくなる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】(大韓民国特許公告公報) 登録特許第10-1007749号
【特許文献2】(大韓民国特許公告公報) 登録特許第10-0607375号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明はキノコ種菌を培養する培養タンクと、上記培養タンク内に設置されている撹拌機と、上記撹拌機に動力を伝達する駆動裝置によって構成されているキノコ種菌培養装置を提供するもので、上記撹拌機は外部とは遮断された状態で動力が伝達できるキノコ種菌培養装置を提供するのがその目的である。
【0012】
なお、この撹拌機が外部と遮断された状態で動力を伝達するためには、上記撹拌機に従動磁石を形成し、培養タンクの外部に形成される駆動裝置には駆動磁石を形成し、駆動磁石と従動磁石とが磁力の及ぼす範囲内に配置した駆動磁石の回転によって従動磁石が回転するキノコ種菌培養装置を提供する他の目的もある。
【0013】
なお、キノコ種菌の成長時期によって周期的に撹拌機を回転させることによってすべての菌糸が破砕でき、均等な成長が期待でき、最終的には接種時に一定な大きさの菌糸ができるため、接種ノズルのつまり現象も解消できる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によるキノコ種菌培養装置は、液状のキノコ種菌を培養する培養装置に関し、上記培養装置はキノコ種菌を培養する培養タンクと、上記培養タンク内部に回転可能な状態で設置されている従動磁石が結合されている撹拌機と、上記培養装置の外部に形成されている従動磁石を駆動させるための駆動磁石を設置して上記駆動磁石を駆動させる駆動モータ備えた駆動装置とで構成されているのが特徴である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるキノコ種菌培養装置は、キノコ種菌が培養される培養タンクと、上記培養タンク内に設置された撹拌機と、上記撹拌機に動力を伝達する駆動装置で構成されるキノコ種菌培養装置を提供するもので、上記撹拌機は外部と遮断された状態で動力伝達が成り立つので外部の菌が培養タンク内に浸透することができない著しい効果がある。
【0016】
なお、撹拌機が外部と遮断された状態で動力を伝達できるため上記撹拌機に従動磁石を形成し、培養タンク外部に形成されている駆動裝置には従動磁石を形成して、従動磁石と駆動磁石とを磁力が及ぼす範囲内に設置した駆動磁石の回転により従動磁石が回転することによって、簡単な構成で製作費用を節減できる著しい効果がある。
【0017】
なお、キノコ種菌の成長時期によって周期的に撹拌機を回転させることによってすべての菌糸が破砕されながら、均等に成長するようにすることができ、最終的には接種時に一定な大きさの菌糸ができるため、接種ノズルの詰まり現象も解消できる著しい効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の構成を例示する図。
図2】本発明の一部分拡大構成図。
図3】本発明の他の実施を例示する図。
図4】従来のキノコ種菌培養装置の構成図。
図5】従来のキノコ種菌培養装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、キノコ種菌培養裝置に関し、より詳しくは 、培養タンク内に水と栄養分を投入し、高温で殺菌した後、キノコ種菌を投入して培養する間に数回撹拌と破砕をする一方、培養タンクの構造は外部とは完全に遮断された状態で培養タンク内に設置された撹拌機で動力伝達がなされるため、キノコ種菌以外の菌が繁殖するのを基本的に防止できるキノコ種菌培養装置である。
【0020】
本発明によるキノコ種菌培養装置は、液状のキノコ種菌を培養する培養装置において、上記培養装置は、キノコ種菌を培養する培養タンクと、上記培養タンク内部に回転可能な状態で設置されている従動磁石が結合されている撹拌機と、上記培養装置の外部に形成されている従動磁石を駆動させるための駆動磁石が設置されて、上記駆動磁石を駆動させる駆動モータで構成された駆動装置で構成されるのが特徴である。
【0021】
なお、上記撹拌機は培養タンクの一部に形成されている内部ブラケットと、上記内部ブラケットの突出部と結合して上記突出部を中心に回転可能なインぺラと、上記インぺラに結合させた従動磁石でつくられているのが特徴である。
【0022】
なお、上記駆動裝置は、内部ブラケットには締結部材によって結合されている外部ブラケットと、上記外部ブラケットに固定結合されている減速器と、上記減速器で動力を伝達する駆動モータと、駆動モータの回転動力によって回転して駆動磁石で結合されている駆動軸で構成されるのが特徴である。
【0023】
なお、上記培養タンクはふたを閉めた時、内部ブラケットによって外部とは完全に遮断されるのが特徴である。
【0024】
以下本発明の望ましい実施例を添付した図面によって詳細に説明すれば、以下の通りとなる。
【0025】
図1は本発明の構成の例示図で、図2は本発明の一部分の拡大構成図で、本発明によるキノコ種菌栽培装置は、液状のキノコ種菌を培養する培養装置において、上記培養装置はキノコ種菌が培養される培養タンク(10)と、上記培養タンク(10)の内部に回転可能な状態で設置された従動磁石(24)が結合している撹拌機(20)と、上記培養装置の外部に形成されて上記従動磁石(24)を駆動させるための駆動磁石(35)が設置され、上記駆動磁石(35)を駆動させる駆動モータ(33)で構成された駆動装置(30)、で作られている。
【0026】
より詳細には、上記撹拌機(20)は、培養タンク(10)の一部に形成されている内部ブラケット(21)と、上記内部ブラケット(21)の突出部(22)と結合して上記突出部(22)を中心として回転可能なインぺラ(23)と、インぺラ(23)と結合されている従動磁石(24)で構成される。上記駆動裝置(30)は、内部ブラケット(21)にボルトなどの締結部材によって締結される外部ブラケット(31)と、外部ブラケット(31)に固定結合した減速器(32)と、上記減速器(32)で動力を伝達する駆動モータ(33)と、上記駆動モータ(33)の回転動力で回転する駆動磁石が結合されている駆動軸(34)で構成される。
【0027】
まず、培養タンク(10)はキノコ種菌を培養するタンクとして上部と側面にふた(11)が形成されて、上記ふた(11)を開いて水と栄養分およびキノコの種菌を投入することができる。もちろんふた(11)を閉めるときには培養タンク(10)が外部と完全に遮断されて、外部の菌が培養タンク(10)内に浸透することが防止されなければならない。
【0028】
上記培養タンク(10)内には撹拌機(20)が設置されるが、撹拌機(20)は回転可能な状態に設置されて、回転のための従動磁石(24)と結合されている。
【0029】
上記培養タンク(10)の外部には駆動装置(30)が形成されるが、上記駆動装置(30)は駆動磁石(35)が付着された駆動軸(34)と、上記駆動軸(34)を回転させる減速器(32)と、上記減速器(32)に駆動力を伝達する駆動モータ(33)を含んで構成される。
【0030】
結局、駆動モータ(33)が駆動され減速器(32)によって減速した状態で駆動軸(34)を回転させると、駆動軸(34)と固定結合している駆動磁石(35)も駆動軸(34)を中心に回転することとなって、上記駆動磁石(35)と一定距離離れている従動磁石(24)は駆動磁石(35)の磁力によって一緒に回転することとなり、上記従動磁石(24)はインぺラ(23)に固定結合されているため上記インぺラ(23)が回転することとなる。
【0031】
上記内部ブラケット(21)は、その断面形状が突出部(22)を除いては図示された通りでふっくらしたキャップのような形状をもって両端は培養タンク(10)に溶接で結合されているため上記培養タンク(10)は外部と完全に遮断されることとなる。
【0032】
なお、上記内部ブラケット(21)の一部にはボルトなどの締結部材によって外部ブラケット(31)が結合されて、上記外部ブラケット(31)には速器(32)が結びついて上記減速器(32)には駆動モータ(33)が固定結合されていて、結局、培養タンク(10)と外部タンクブラケット(31)、内部ブラケット(21)、減速器(32)及び駆動モータ(33)は相対的位置が一定に維持される。
【0033】
結局、本発明によるキノコ種菌培養装置は最初ふた(11)を開け、培養タンク(10)内に水と栄養分を入れた状態で培養タンク(10)を加熱して滅菌処理を行った後冷却し、滅菌された培養タンク(10)内にキノコ種菌を投入する。
【0034】
そのあと、キノコ種菌の個体数が増えてきたらインぺラ(23)を回転させてきのこ種菌を破砕して体細胞を分裂させれば種菌の個体数が急激に増えることになって、結局、キノコ種菌の培養日数が短縮される。
【0035】
上記培養タンク(10)の滅菌のため高温で加熱する際には、減速器(32)および駆動モータ(33)に変形による寿命の短縮を防止するために、内部ブラケット(21)から外部ブラケット(31)を分離してこの状態で高温で加熱して殺菌処理を行った後、今後撹拌が必要な場合には駆動裝置(30)を結合して撹拌機(20)を駆動させることができる。
【0036】
図3は本発明の他に実施した例示図で、培養タンク(10)の側部に撹拌機(20)及び駆動裝置(30)を設置したものである。
【0037】
このような実施例の場合には、培養タンク(10)がより安定的に支持され、培養タンク(10)の下部にホイール(12)等を設置し、培養タンクの移動をも容易にできる。
【0038】
上述した実施例において、上記培養タンク(10)の一部にキノコ種菌の状態や撹拌状態を随時確認できる覗き窓を具備することができるし、上記覗き窓は高温殺菌時にも耐える耐熱性材質で構成されなければならない。
【0039】
なお、上記駆動モータ(33)の一部には慣用的に使われるインバータ(36)を附加設置し、上記インバータ(36)は認可電圧によって速度の調節のできる構成とすることもできる。
【0040】
なお、図示された実施例としては駆動モータ(33)の回転軸と駆動軸(34)の回転軸が相互一致せず直交するため、減速器(32)はワームギアを利用したワーム減速器を用いたが、ワームギアに代わって一般的なギア減速器を使ってギア減速器と駆動軸(34)の間にベベルギアを設置して動力転換をすることも可能で、インぺラ(23)の回転に対する抵抗が少ないため大きなトルクの必要のない場合には、駆動モータとしてギアドモータを使用することも可能である。
【0041】
上記インぺラ(23)は図示されたように一部分が折曲形成されているためより多くの面積がキノコ培養液と接触できるように構成するのが望ましく、インぺラ(23)の一部にガイドを設置して上記インぺラの回転に対する安定性を高めることができる。
【符号の説明】
【0042】
10・・培養タンク
11・・ふた
12・・ホイール
20・・撹拌機
21・・内部ブラケット
22・・突出部
23・・インぺラ
24・・従動磁石
25・・ガイド
30・・駆動裝置
31・・外部ブラケット
32・・減速器
33・・駆動モータ
34・・駆動軸
35・・駆動磁石
36・・インバータ
図1
図2
図3
図4
図5