特許第6345060号(P6345060)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6345060
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】脈波センサユニット
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20180611BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20180611BHJP
   G01L 9/00 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   A61B5/02 310M
   A61B5/0245 100C
   G01L9/00 303N
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-194219(P2014-194219)
(22)【出願日】2014年9月24日
(65)【公開番号】特開2016-63938(P2016-63938A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2016年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】三瓶 広和
(72)【発明者】
【氏名】加藤 耕平
【審査官】 亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−244287(JP,A)
【文献】 特開2008−020433(JP,A)
【文献】 特許第5543036(JP,B1)
【文献】 特開2013−148495(JP,A)
【文献】 特開2013−103040(JP,A)
【文献】 特表2012−516628(JP,A)
【文献】 特開2006−237401(JP,A)
【文献】 特開2000−060845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02 − 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力センサと、
前記圧力センサが実装された配線基板と、
前記圧力センサを被測定部位に固定する固定手段と、
前記配線基板と前記圧力センサを機械的且つ電気的に接続する接続手段と、
前記配線基板に接続された一端を有するケーブルと、
前記ケーブルの他端に接続されたコネクタと、を備えており、
前記圧力センサは、
ダイアフラム部と、
前記ダイアフラム部を支持すると共に、前記ダイアフラム部を前記被測定部位に対向させる開口を有する環状の支持部と、
前記ダイアフラム部に設けられたピエゾ抵抗と、
前記支持部において前記配線基板に対向する第1の主面に設けられていると共に、前記ピエゾ抵抗に電気的に接続された第1の電極と、を有し、
前記配線基板は、
前記ダイアフラム部に対向し、前記ダイアフラム部と実質的に同一の面積を少なくとも有し、且つ、前記ダイアフラム部の変形を許容するために必要な面積を有する貫通孔と、
前記圧力センサに対向する第2の主面に設けられた第2の電極と、
前記第2の主面の反対面に設けられた第3の電極と、
前記第2の電極と前記第3の電極とを電気的に接続する導電路と、を有しており、
前記配線基板と前記圧力センサとは、前記接続手段を介して相互に対向し、
前記接続手段は、前記第1の電極と前記第2の電極とを接続する接続部を含み、
前記ケーブルは、前記第3の電極に接続されており、
前記固定手段により前記圧力センサを前記被測定部位に固定することで、前記ダイアフラム部と前記被測定部位との間に密閉空間を形成することを特徴とする脈波センサユニット。
【請求項2】
請求項に記載の脈波センサユニットであって、
前記脈波センサユニットは、前記圧力センサと前記被測定部位との間に介在する環状のシール部材を備えたことを特徴とする脈波センサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイアフラム部を有する圧力センサを備えた脈波センサユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
脈波を連続的に測定する方式として、トノメトリ法が知られている(例えば特許文献1(段落0002)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−289501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のトノメトリ法では、動脈を平坦に圧迫した状態を維持して動脈の内圧の変動を測定する。そのため、脈波の連続測定が可能ではあるが、長時間の測定は被験者に負担となってしまい困難である、という問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、長時間に亘って脈波を連続的に測定することが可能な脈波センサユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る脈波センサユニットは、圧力センサと、前記圧力センサが実装された配線基板と、前記圧力センサを被測定部位に固定する固定手段と、前記配線基板と前記圧力センサを機械的且つ電気的に接続する接続手段と、前記配線基板に接続された一端を有するケーブルと、前記ケーブルの他端に接続されたコネクタと、を備えており、前記圧力センサは、ダイアフラム部と、前記ダイアフラム部を支持すると共に、前記ダイアフラム部を前記被測定部位に対向させる開口を有する環状の支持部と、前記ダイアフラム部に設けられたピエゾ抵抗と、前記支持部において前記配線基板に対向する第1の主面に設けられていると共に、前記ピエゾ抵抗に電気的に接続された第1の電極と、を有し、前記配線基板は、前記ダイアフラム部に対向し、前記ダイアフラム部と実質的に同一の面積を少なくとも有し、且つ、前記ダイアフラム部の変形を許容するために必要な面積を有する貫通孔と、前記圧力センサに対向する第2の主面に設けられた第2の電極と、前記第2の主面の反対面に設けられた第3の電極と、前記第2の電極と前記第3の電極とを電気的に接続する導電路と、を有しており、前記配線基板と前記圧力センサとは、前記接続手段を介して相互に対向し、前記接続手段は、前記第1の電極と前記第2の電極とを接続する接続部を含み、前記ケーブルは、前記第3の電極に接続されており、前記固定手段により前記圧力センサを前記被測定部位に固定することで、前記ダイアフラム部と前記被測定部位との間に密閉空間を形成することを特徴とする脈波センサユニットである
【0012】
]上記発明において、前記脈波センサユニットは、前記圧力センサと前記被測定部位との間に介在する環状のシール部材を備えてもよい。
【0013】
]上記発明において、前記固定手段は、前記圧力センサを前記被測定部位に向かって押圧することで、前記圧力センサを前記被測定部位に固定してもよい。
【0014】
]上記発明において、前記ダイアフラム部が前記配線基板側に位置すると共に、前記開口が前記配線基板とは反対側に向かって開口するように、前記圧力センサは前記配線基板に実装されていてもよい。
【0015】
]上記発明において、前記シール部材は、前記支持部に貼り付けられていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、固定手段により圧力センサを被測定部位に固定することで、ダイアフラム部と被測定部位との間に密閉空間を形成する。これにより、血管を圧迫せずに、血圧変動に起因した被測定部位の皮膚表面の上下動に基づいて脈波を測定することができるので、長時間に亘る脈波の連続測定が可能となる。
【0017】
また、本発明では、配線基板に圧力センサが直接実装されているので、脈波センサユニットの小型化と部品点数の低減が図られており、結果的に低コスト化を図られている。このため、脈波センサユニットのディスポーザブル(disposable)な使用が可能となり、衛生性が向上する。
【0018】
さらに、本発明では、配線基板がダイアフラム部に対向する貫通孔又は凹部を有することで、ダイアフラム部の変形を許容するための空間を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の実施形態における脈波センサユニットを示す断面図である。
図2図2は、本発明の実施形態における脈波センサユニットを用いた脈波測定の原理を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態における圧力センサを示す平面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、本発明の実施形態における脈波センサユニットに用いられる半田ボールを示す断面図である。
図6図6は、本発明の実施形態における脈波センサユニットの第1変形例を示す断面図である。
図7図7は、本発明の実施形態における脈波センサユニットの第2変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は本実施形態における脈波センサユニットを示す断面図、図2は本実施形態における脈波センサユニットを用いた脈波測定の原理を示す図である。
【0022】
本実施形態における脈波センサユニット10は、血管脈動波形(単に「脈波」とも称する。)を測定するセンサユニットであり、血圧測定装置1による血圧測定時に当該血圧測定装置1に接続されて使用される。この脈波センサユニット10は、図1に示すように、圧力センサ20と、シール部材30と、配線基板40と、接続部51,52と、ケーブル60と、コネクタ70と、粘着テープ80と、を備えている。
【0023】
この脈波センサユニット10を用いて脈波を測定する場合には、図2に示すように、圧力センサ20のダイアフラム部21と被測定部位101との間に密閉空間28を形成する。そして、血圧変動に起因した被測定部位101の表面の圧力変動を、ダイアフラム部21に設けられたピエゾ抵抗23(図4参照)によって検出することで、脈波を測定する。なお、脈波測定の原理の理解を容易にするために、図2では、配線基板40、接続部51,52、ケーブル60、コネクタ70及び粘着テープ80を省略している。
【0024】
以下に、本実施形態における脈波センサユニット10の構成について詳細に説明する。
【0025】
図3は本実施形態における圧力センサ20を示す平面図、図4図3のIV-IV線に沿った断面図である。
【0026】
圧力センサ20は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いたピエゾ抵抗型半導体圧力センサであり、図3及び図4に示すように、ダイアフラム部21と、当該ダイアフラム部21を支持する支持部22と、を備えている。本実施形態では、図4に示すように、ダイアフラム部21は、第1のSiO層91及び第1のSi層92から構成されている。一方、支持部22は、第1及び第2のSiO層91,93並びに第1及び第2のSi層92,94から構成されている。なお、ダイアフラム部21及び支持部22の構成は、特にこれに限定されない。図1に示すように、本実施形態では、支持部22の上面221が配線基板40の下面412に対向しており、ダイアフラム部21が配線基板40の下面412に近接している。本実施形態における支持部22の上面221が、本発明における第1の主面の一例に相当する。
【0027】
図3及び図4に示すように、ダイアフラム部21は、円形状の薄膜から構成されている。支持部22は、円形の開口223を有する筒形状を備えている。この支持部22の開口223の上部にダイアフラム部21の外周縁が接続されており、ダイアフラム部21が支持部22に支持されている。この際、ダイアフラム部21の外周縁が全周に亘って支持部22に接続されているので、支持部22の開口223の上部は、ダイアフラム部21によって気密的に閉塞されている。なお、ダイアフラム部21及び開口223の形状は、特に円形に限定されない。
【0028】
ダイアフラム部21には、4つのピエゾ抵抗23a〜23dが設けられている。このピエゾ抵抗23a〜23dは、ダイアフラム部21の外周近傍に配置されている。それぞれのピエゾ抵抗23a〜23dは、コンタクト部24a〜24h及び配線パターン25a〜25hを介して、第1の電極26a〜26dに電気的に接続されている。第1の電極26a〜26dは、支持部22の上面221に設けられている。ピエゾ抵抗23a〜23d及びコンタクト部24a〜24hは、例えば、ダイアフラム部21を構成する第1のシリコン層92にホウ素(B)をドープすることで形成されている。なお、図3には特に図示していないが、コンタクト部24a〜24hは、ピエゾ抵抗23a〜23dと配線パターン25a〜25hの間にそれぞれ設けられている。
【0029】
さらに、本実施形態では、図3に示すように、支持部22の上面221に複数の第1のダミー電極27が設けられている。この第1のダミー電極27は、ピエゾ抵抗23、コンタクト部24、配線パターン25、第1の電極26などに電気的に接続されておらず、電気的には機能しない電極である。この第1のダミー電極27は、支持部22の上面221の外縁近傍に配置されており、当該外縁に沿って実質的に等間隔に配置されている。なお、支持部22の上面221における第1のダミー電極27の位置は、第1の電極26の配置等に応じて設定され、当該上面221の外縁近傍に特に限定されない。また、第1のダミー電極27の間隔は、特に等間隔に限定されない。
【0030】
なお、本実施形態において、ピエゾ抵抗23a〜23dを総称して「ピエゾ抵抗23」と称し、コンタクト部24a〜24hを総称して「コンタクト部24」と称し、配線パターン25a〜25hを総称して「配線パターン25」と称し、第1の電極26a〜26dを総称して「第1の電極26」と称する。
【0031】
図1に示すように、圧力センサ20の支持部22には、環状形状を有し、弾性変形可能なシール(封止)部材30が取り付けられている。こうしたシール部材30を、圧力センサ20と被測定部位101との間に介在させることで、密閉空間28(図2参照)の密閉性が向上する。
【0032】
このシール部材30は、基材31と、第1の粘着層32と、第2の粘着層33と、を有している。第1及び第2の粘着層32,33は基材31の上下面にそれぞれ積層されている。
【0033】
このシール部材30は、第1の粘着層32を介して支持部22の下面222に貼り付けられている。また、血圧測定時には、第2の粘着層33を介してシール部材30が被測定部位101に密着する。これにより、密閉空間28の気密性がさらに向上する。
【0034】
また、このシール部材30の基材31は、樹脂材料等の電気絶縁性を有する材料から構成されている。このため、血圧測定時に、生体からのノイズが脈波センサユニット10の出力に混入するのを抑制することができ、圧力センサ20の検出精度の向上が図られている。
【0035】
さらに、本実施形態では、このシール部材30の内孔34の内径Dが、支持部22の開口223の内径Dに対して相対的に大きくなっており(D>D)、内孔34の内周縁が開口223の内周縁に対して相対的に外側に位置している。これにより、圧力センサ20の測定可能領域が拡大されているので、血圧測定時に脈波センサユニット10を被験者の腕100に装着しやすくなっている。
【0036】
配線基板40は、図1に示すように、基材41と、第2の電極42と、第3の電極43と、スルーホール44と、を備えている。本実施形態におけるスルーホール44が、本発明の導電路の一例に相当する。
【0037】
基材41は、電気絶縁性を有する材料から構成されている。この基材41を構成する具体的な材料としては、例えば、ポリイミド(PI)、ガラスエポキシ樹脂等の樹脂材料、ガラス、セラミックス等を例示することができる。
【0038】
第2の電極42は、基材41の下面412に設けられている。この第2の電極42は、上述の圧力センサ20の第1の電極26に対応するように配置されている。これに対し、第3の電極43は、基材41の上面411に設けられている。スルーホール44は、基材41の上下面411,412を貫通しており、第2の電極42と第3の電極43を電気的に接続している。本実施形態における基材41の下面412が、本発明における「第2の主面」の一例に相当する。
【0039】
さらに、本実施形態における配線基板40は、第2のダミー電極45を備えている。この第2のダミー電極45は、第2の電極42、第3の電極43、スルーホール44などに電気的に接続されておらず、電気的には機能しない電極である。この第2のダミー電極45は、基材41の下面412に設けられており、上述の圧力センサ20の第1のダミー電極27に対応するように配置されている。
【0040】
なお、配線基板40の構成は特に上記に限定されない。例えば、配線基板40として多層配線基板を用いてもよい。この場合には、多層配線基板にバイアホールや内部配線を形成し、当該バイアホールや内部配線を介して、第2の電極42と第3の電極43を電気的に接続することで、電極42,43のピッチを変換したり、電極42,43の位置を変えてもよい。この場合におけるバイアホールや内部配線が、本発明における導電路の一例に相当する。
【0041】
本実施形態では、支持部22の上面221が配線基板40の下面412に対向した状態で、圧力センサ20と配線基板40とが、第1及び第2の接続部51,52を介して、機械的且つ電気的に接続されている。本実施形態における第1の接続部51が、本発明における接続手段の一例に相当する。
【0042】
具体的には、第1の接続部51が、圧力センサ20の第1の電極26と、配線基板40の第2の電極42と、を機械的且つ電気的に接続している。また、第2の接続部52が、圧力センサ20の第1のダミー電極27と、配線基板40の第2のダミー電極45と、を機械的に接続している。
【0043】
このように、本実施形態では、第1及び第2のダミー電極27,45を第2の接続部52を介して接続することで、圧力センサ20と配線基板40の機械的な接合強度を高めることができる。
【0044】
第1及び第2の接続部51,52は、図5に示すような半田ボール53を溶融した後に硬化させることで形成されている。この半田ボール53は、球状のコア(芯材)531と、当該コア531の外周を覆っている半田層532と、を備えている。コア531を構成する材料として、半田層532を構成する半田よりも高い融点を有する高耐熱性の樹脂材料を用いることができ、具体的には、ジビニルベンゼン架橋重合体等を例示することができる。コア531と半田層532との間に、銅層等を介在させてもよい。図5は本実施形態における脈波センサユニットに用いられる半田ボールを示す断面図である。なお、半田ボール53のコア531を、半田層532を構成する半田よりも高い融点を有する銅などの金属で構成してもよい。
【0045】
こうした半田ボール53を用いて接続部51,52を形成することで、圧力センサ20と配線基板40とを確実に所定距離S離すことができる(図1参照)。このため、ダイアフラム部21と配線基板40との間に、ダイアフラム部21の変形を許容するための空間46を確実に確保することができ、圧力センサ20の検出精度の向上を図ることができる(図1参照)。本実施形態における半田ボール53が本発明における半田ボールの一例に相当する。
【0046】
なお、半田ボール53に代えて、導電性接着剤を硬化させることで、第1及び第2の接続部51,52を形成してもよい。この場合には、本例における導電性接着剤が、本発明における導電性接着剤の一例に相当する。
【0047】
或いは、半田ボール53に代えて、コア531を有しない半田ボールによって、第1及び第2の接続部51,52を形成してもよい。この場合には、本例におけるコア531を有しない半田ボールが、本発明における半田ボールの一例に相当する。
【0048】
図6は本実施形態における脈波センサユニットの第1変形例を示す断面図、図7は本実施形態における脈波センサユニットの第2変形例を示す断面図である。
【0049】
図6に示すように、配線基板40においてダイアフラム部21に対向する部分に、当該配線基板40の上面411から下面412を貫通する貫通孔47を形成してもよい。この貫通孔47は、当該ダイアフラム部21と実質的に同一の面積を有するなど、ダイアフラム部21の変形を許容するために必要な面積を有する。
【0050】
或いは、図7に示すように、配線基板40の下面412においてダイアフラム部21に対向する部分に凹部48を形成してもよい。この凹部48も、当該ダイアフラム部21と実質的に同一の面積を有するなど、ダイアフラム部21の変形を許容するために必要な面積を有する。
【0051】
こうした貫通孔47や凹部48を配線基板40に形成することで、圧力センサ20と配線基板40との間に所定距離Sを確保しなくても、ダイアフラム部21の変形を許容するための空間を確保することができる。
【0052】
図1に戻り、配線基板40の第3の電極43には、ケーブル60の一端が半田等により接続されている。一方、当該ケーブル60の他端はコネクタ70に接続されている。血圧測定装置1により血圧を測定する際には、このコネクタ70を血圧測定装置1のコネクタ2に嵌合させることで、脈波センサユニット10と血圧測定装置1とが電気的に接続される。
【0053】
粘着テープ80は、基材81と、当該基材81の下面に設けられた粘着層82と、を備えている。この粘着テープ80は、配線基板40よりも大きな面積を有しており、当該粘着テープ80の一部に配線基板40の上面411が貼り付けられている。特に図示しないが、当該粘着テープ80において粘着層82が露出している部分に、剥離紙が貼り付けられていてもよい。
【0054】
この粘着テープ80において粘着層82の露出部分が被験者の腕100に貼り付けられることで、配線基板40が当該腕100に固定されると共に、圧力センサ20がシール部材30を介して被測定部位101に押し付けられる。
【0055】
本発明における粘着テープ80が、本発明における固定手段の一例に相当する。なお、本発明における固定手段は、圧力センサ20を被測定部位101に固定する固定機能を備えていれば、粘着テープ80に特に限定されない。
【0056】
例えば、面ファスナーを有する帯状のテープ、弾性を有するリング状のバンド、クリップ等を、固定手段として用いてもよい。或いは、上述のシール部材30の第2の粘着層33によって圧力センサ20を被測定部位101に固定することで、密閉空間28を形成してもよい。この場合には、粘着テープ80を省略してもよい。
【0057】
以上に説明した脈波センサユニット10が接続された血圧測定装置1により血圧を測定する場合には、先ず、圧力センサ20を被測定部位101に対向させた状態で、粘着テープ80により配線基板40を被験者の腕100に固定し、圧力センサ20を被測定部位101に押圧する。これにより、圧力センサ20が被測定部位101に固定され、圧力センサ20のダイアフラム部21と被測定部位101との間に密閉空間28(図2参照)が形成される。そして、血圧変動に起因した被測定部位101の表面の上下動に伴ってダイアフラム部21が変形し、当該ダイアフラム部21に生じた応力変化をピエゾ抵抗23が抵抗変化として検出することで、脈波を測定する。
【0058】
被測定部位101の具体例としては、例えば、橈骨動脈102に対応した被験者の腕100の皮膚表面等を例示することができる。なお、脈波センサユニット10による脈波測定の対象となる動脈は、橈骨動脈102に特に限定されず、上腕動脈や尺骨動脈等であってもよい。或いは、脈波センサユニット10による脈波測定の対象となる動脈が腕100以外の動脈であってもよく、この場合には、当該動脈に対応した被験者の腕100以外の皮膚表面が被測定部位101となる。
【0059】
そして、コンピュータやディスプレイ等を備えた血圧測定装置1は、コネクタ70,2等を介して、脈波を示す電圧値を脈波センサユニット10から取得し、当該脈波電圧値を血圧値に変換すると共に、当該血圧値を表示する。
【0060】
以上のように、本実施形態では、粘着テープ80により圧力センサ20を被測定部位101に固定することで、ダイアフラム部21と被測定部位101との間に密閉空間28を形成する。これにより、血管を圧迫せずに、血圧変動に起因した被測定部位101の皮膚表面の上下動に基づいて、脈波を測定することができるので、長時間に亘る脈波の連続測定が可能となる。
【0061】
また、本実施形態では、配線基板40に圧力センサ20が直接実装されているので、脈波センサユニット10の小型化と部品点数の低減が図られており、結果的に低コスト化が図られている。このため、脈波センサユニット10のディスポーザブルな使用が可能となり、衛生性が向上する。
【0062】
また、本実施形態では、圧力センサ20にシール部材30が直接貼り付けられており、当該シール部材30が被測定部位101に直接接触する。このように、本実施形態では、脈波センサユニット10の小型化と部品点数の低減が図られており、結果的に低コスト化を図られているので、ディスポーザブルな使用に一層適した構造とすることができる。
【0063】
さらに、本実施形態では、コネクタ70を備えており、血圧測定装置1に対して容易に着脱することができる。また、本実施形態では、コネクタ70を備えていることで、無線通信を介して脈波センサユニットと血圧測定装置を接続する場合と比較して、脈波センサユニット10に電源や回路が設ける必要がない。このため、本実施形態では、ディスポーザブルな使用に一層適した構造とすることができる。
【0064】
さらに、本実施形態では、圧力センサ20、配線基板40、及び、粘着テープ80がユニット化(一体化)されているので、脈波センサユニット10を被測定部位101に迅速且つ容易に装着することができる。
【0065】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0066】
1…血圧測定装置
2…コネクタ
10…脈波センサユニット
20…圧力センサ
21…ダイアフラム部
22…支持部
221…上面
222…下面
223…開口
23,23a〜23d…ピエゾ抵抗
24,24a〜24h…コンタクト部
25,25a〜25h…配線パターン
26,26a〜26d…第1の電極
27…第1のダミー電極
28…密閉空間
30…シール部材
31…基材
32…第1の粘着層
33…第2の粘着層
34…内孔
40…配線基板
41…基材
411…上面
412…下面
42…第2の電極
43…第3の電極
44…スルーホール
45…第2のダミー電極
46…空間
47…貫通孔
48…凹部
51…第1の接続部
52…第2の接続部
53…半田ボール
531…コア
532…半田層
60…ケーブル
70…コネクタ
80…粘着テープ
81…基材
82…粘着層
91…第1のSiO
92…第1のSi層
93…第2のSiO
94…第2のSi層
100…被験者の腕
101…被測定部位
102…橈骨動脈
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7