(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6345062
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】積層剥離容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20180611BHJP
【FI】
B65D1/02 111
B65D1/02 230
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-195646(P2014-195646)
(22)【出願日】2014年9月25日
(65)【公開番号】特開2015-91719(P2015-91719A)
(43)【公開日】2015年5月14日
【審査請求日】2017年3月29日
(31)【優先権主張番号】特願2013-204516(P2013-204516)
(32)【優先日】2013年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光夫
(72)【発明者】
【氏名】権藤 義明
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 和彦
【審査官】
西山 智宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−196357(JP,A)
【文献】
特開2013−147295(JP,A)
【文献】
特開2007−320645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D1/00−1/48
B65D65/00−65/46
B65D67/00−79/02
B65D81/18−81/30
B65D81/38
B32B1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の外殻を形成する外層体と、該外層体の内側に剥離可能に積層されるとともにエチレンビニルアルコール共重合樹脂で構成される減容変形自在な内層体とを備え、
前記外層体は、前記内層体に隣接する外層体内側層がポリプロピレン樹脂で構成されるとともに、該外層体内側層に対して容器の外側に位置する外層体外側層がポリエチレン樹脂で構成されることを特徴とする積層剥離容器。
【請求項2】
前記ポリエチレン樹脂は、高密度ポリエチレン樹脂である請求項1に記載の積層剥離容器。
【請求項3】
前記内層体に対して容器の内側に位置する最内層を有し、該最内層は、変性ポリオレフィン樹脂で構成される請求項1又は2に記載の積層剥離容器。
【請求項4】
前記外層体は、前記外層体外側層とは異なる樹脂で構成されるとともに、該外層体外側層に対して容器の外側に位置する外殻層を有する請求項1〜3の何れか一項に記載の積層剥離容器。
【請求項5】
前記外層体と内層体との相互間に、容器の中心軸線に沿って延在する帯状の接着層を備える請求項1〜4の何れか一項に記載の積層剥離容器。
【請求項6】
前記外層体の底部に、該外層体と内層体との相互間に外気を導入する底割れ状の外気導入孔を備える請求項1〜5の何れか一項に記載の積層剥離容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の外殻を形成する外層体と、この外層体の内側に剥離可能に積層される内層体とを備える積層剥離容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧水などの化粧料や、シャンプーやリンスあるいは液体石鹸、また食品調味料などを収容する容器としては、容器の外殻を形成する外層体と、この外層体の内側に剥離可能に積層される減容変形可能な内層体とを備え、内層体内に収容した内容物の注出に伴い、外層体と内層体との相互間に外気を導入しつつ内層体のみを減容させるようにした積層剥離容器(デラミ容器とも言う)が知られている。
【0003】
このような積層剥離容器として、例えば特許文献1には、外層体をポリプロピレン樹脂(PP)で構成するとともに内層体をナイロン樹脂(PA)で構成したブロー成形容器が知られている。このようなブロー成形容器は、溶融状態とされたそれぞれの樹脂を、ダイスを介して共押出しすることで円筒状の積層パリソンを成形し、この積層パリソンをブロー成形することにより得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−207860号公報
【特許文献2】特開2008−110791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような容器において、より高いガスバリア性を得るべく、外層体はポリプロピレン樹脂のままとする一方、内層体をエチレンビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)で構成する場合は、ブロー成形によって得られる容器の寸法ばらつきが大きくなる傾向があり、これにより、容器の口部とこの口部に装着される注出栓との間に隙間が生じて、外層体と内層体との相互間の空気がこの隙間から漏れ出すことがあった。特に、ブロー成形において、割り金型によって挟持される積層パリソンの上方からプラグを押し込むことで口部上方の不要なバリを切断除去する手段(例えば特許文献2参照)を用いる場合は、メルトフローレートが大きいポリプロピレン樹脂を外層体に用いることと相俟って、このような寸法のばらつきが顕著になっていた。
【0006】
これに対し、外層体をポリエチレン樹脂(PE)で構成することによって寸法安定性を高めようとすることも試みられたが、この場合はポリエチレン樹脂に対し、内層体であるエチレンビニルアルコール共重合樹脂の剥離性が劣ることとなるため、内層体の減容が進展し難くなって、内容物がスムーズに注出されなくなることがあった。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、高いガスバリア性を備えるとともに寸法安定性にも優れる、新たな積層剥離容器を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、容器の外殻を形成する外層体と、該外層体の内側に剥離可能に積層されるとともにエチレンビニルアルコール共重合樹脂で構成される減容変形自在な内層体とを備え、
前記外層体は、前記内層体に隣接する外層体内側層がポリプロピレン樹脂で構成されるとともに、該外層体内側層に対して容器の外側に位置する外層体外側層がポリエチレン樹脂で構成されることを特徴とする積層剥離容器である。
【0009】
前記ポリエチレン樹脂は、高密度ポリエチレン樹脂であってもよい。
【0010】
前記内層体に対して容器の内側に位置する最内層を有し、該最内層は、変性ポリオレフィン樹脂で構成してもよい。
【0011】
前記外層体は、前記外層体外側層とは異なる樹脂で構成されるとともに、該外層体外側層に対して容器の外側に位置する外殻層を設けてもよい。
【0012】
前記外層体と内層体との相互間に、容器の中心軸線に沿って延在する帯状の接着層を設けてもよい。
【0013】
前記外層体の底部に、該外層体と内層体との相互間に外気を導入する底割れ状の外気導入孔を設けてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、内層体をエチレンビニルアルコール共重合樹脂で構成しているので、高いバリア性を得ることが可能である。また、外層体内側層をポリプロピレン樹脂で構成するとともに、外層体外側層をポリエチレン樹脂で構成しているので、内層体は外層体からスムーズに剥離することができ、また、外層体の寸法ばらつきを抑制することができる。
【0015】
ポリエチレン樹脂として、高密度ポリエチレン樹脂を用いる場合は、外層体に適度な剛性を付与することができる。この場合は、容器を傾倒状態にすることによって、内容物を、主にその自重で注出させることができる。また、外層体に剛性を持たせることで、外層体を不用意に押圧してしまうおそれが減り、内容物を意図した量で注出させることができる。
【0016】
内層体に対して容器の内側に位置する最内層を設け、最内層を、変性ポリオレフィン樹脂で構成する場合は、湿度が高くなるほど酸素を通しやすくなるエチレンビニルアルコール共重合樹脂が、水分を透過しにくい変性ポリオレフィン樹脂で覆われることになるので、高いガスバリア性を維持することができる。
【0017】
容器の形状によっては外層体の剛性が十分でない場合もある。この場合は、外層体に、外層体外側層とは異なる樹脂で構成されるとともに、外層体外側層に対して容器の外側に位置する外殻層を設けることで、所期する剛性を確保することができる。
【0018】
また、外層体と内層体との相互間に、容器の中心軸線に沿って延在する帯状の接着層を設ける場合は、接着層によって内層体の一部が外層体に接着されて支持されることになるので、内層体が減容変形する際、内層体の中間部同士が接触して内容物の一部が容器の底部側に残ってしまう不具合を防止することができる。
【0019】
外層体の底部に、外層体と内層体との相互間に外気を導入する底割れ状の外気導入孔を設ける場合は、ブロー成形によって外気導入孔を形成することができるので、別途外気導入孔を設ける工程は不要となり、容器の生産工程を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に従う積層剥離容器の一実施形態を、中栓、注出栓、及び蓋体とともに示す、側面視での部分断面図である。
【
図2】本発明に従う積層剥離容器の他の実施形態を、中栓、注出栓、及び蓋体とともに示す、側面視での部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1において、符号1は、本発明の積層剥離容器の一実施形態を示す。積層剥離容器1は、容器の外殻を形成する外層体10と、外層体10の内側に剥離可能に積層されるとともにその内側に内容物を収容可能とする内層体20とを備えている。また外層体10の口部には、中栓30と注出栓40とが設けられていて、注出栓40には、着脱自在となる蓋体50が設けられている。
【0022】
外層体10は、中央部を内側に向けて湾曲させた円板状の底部11と、底部11の縁部に連結するとともに中央部を内側に向けて窄ませた胴部12と、胴部12の上部に連結するともに円筒状をなす口部13とを備えている。口部13の外周面には、ねじ部13aを設けている。
【0023】
外層体10は、内層体20に隣接する外層体内側層14と、外層体内側層14に対して外側に位置する外層体外側層15とを備えている。ここで、外層体内側層14はポリプロピレン樹脂(PP)で構成され、外層体外側層15はポリエチレン樹脂(PE)で構成されている。ポリエチレン樹脂(PE)としては、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)を用いることができる。
【0024】
本実施形態の外層体10は、
図1に示すように、外層体外側層15に対して容器の外側に位置する外殻層18を備えている。外殻層18は、外層体外側層15とは異なる種々の樹脂が適用可能であって、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)やポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートの一部をイソフタル酸で置換した樹脂(PCTA)、エチレンメタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂(例えば三井・デュポンポリケミカル株式会社製「ハイミラン」(登録商標)等)を用いることができる。なお、上述したPET、PCTA、エチレンメタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂等を用いる際には、これらの樹脂と外層体10とを確実に固着させるべく、これらの間に変性ポリオレフィン樹脂(例えば三井化学株式会社製「アドマー」(登録商標)等)を配することが好ましい。外殻層18を設けることで、外層体10を更に硬くすることができるうえ、光沢感が高まるので優れた外観意匠性を呈することができる。
【0025】
更に外層体10には、外殻層18に対して容器の外側に位置する被覆層19を設けてもよい。被覆層19としては、エチレンビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)を用いることが好ましく、これによって容器への傷付きを効果的に防止することができ、また光沢感も高まるので、外観意匠性を更に高めることができる。なお、外殻層18と被覆層19との相溶性によっては、両者をより確実に固着させるために、これらの間に変性ポリオレフィン樹脂を配してもよい。
【0026】
外層体10は、
図2に示すような層構成を採用することも可能である。
図2に示す外層体外側層15は、内側に位置する第1の外層体外側層15aと、外側に位置する第2の外層体外側層15bとを積層したものであり、外層体10は合計3つの層(外層体内側層14、第1の外層体外側層15a、第2の外層体外側層15b)で構成されている。ここで、外層体内側層14はポリプロピレン樹脂(PP)で構成され、外層体外側層15は高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)で構成されるものであって、特に第1の外層体外側層15aは、高密度ポリエチレン樹脂の再生材で構成され、第2の外層体外側層15bは、高密度ポリエチレン樹脂のバージン材で構成される。第2の外層体外側層15bにバージン材を用いることによって、第1の外層体外側層15aに再生材を用いても高い外観品質を得ることができる。なお、第1の外層体外側層15aと第2の外層体外側層15bの構成は、上記のみに限定されるものではなく、例えばそれ程高い外観品質が要求されない場合や、外層体10を覆う外装用フィルム等を用いることによって外観品質が補完される場合は、第1の外層体外側層15aと第2の外層体外側層15bの両方に再生材を用いてもよく、また、例えばコストの優位性に大きな差がない場合は、第1の外層体外側層15aと第2の外層体外側層15bの両方にバージン材を用いてもよい。また、外層体内側層14と外層体外側層15との相互間に、1以上の他の層を積層させてもよい。
【0027】
内層体20は、
図1、
図2に示すように外層体10に隣接する内層体外側層21を備えていて、内層体外側層21はエチレンビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)で構成されている。エチレンビニルアルコール共重合樹脂は湿度が高くなるほど酸素を通しやすくなるため、本実施形態では、内層体外側層21を内側から被覆する最内層22を設けて内容物と内層体外側層21との直接的な接触を防止している。最内層22に用いる樹脂としては、水分を透過しにくくエチレンビニルアルコール共重合樹脂との相溶性が高いものが好ましい。なお、最内層22に用いる樹脂は、他の部材と共通の樹脂を用いて樹脂の種類を減らすことが望ましいため、本実施形態では、次に述べる接着層に用いた変性ポリオレフィン樹脂を使用している。
【0028】
外層体10と内層体20との相互間には、図示は省略するが、積層剥離容器1の中心軸線Mに沿って縦方向に延在する帯状の接着層を設け、外層体10と内層体20とを部分的に接着することが好ましい。接着層は、外層体10と内層体20の両方に対して相溶性が高いものが好適であり、本実施形態では変性ポリオレフィン樹脂を用いている。本実施形態では、底部11から口部13に向かって1本の帯状接着層を設けている。なお、帯状となる接着層は、2本以上であってもよい。
【0029】
このような構成となる積層剥離容器1は、上述したそれぞれの樹脂を溶融状態とし、これらをダイスを介して共押出しすることで円筒状の積層パリソンを成形し、この積層パリソンをブロー成形することにより得ることができる。ここで、外層体10の底部11には、ブロー成形の割り金型を閉める際、積層パリソンを食い切ることで形成されるピンチオフ部16が形成されるが、相互に隣接することになる外層体10の外層体内側層14と内層体20の内層体外側層21とは、互いに相溶性の低いポリプロピレン樹脂とエチレンビニルアルコール共重合樹脂とで構成されているので、外層体10と内層体20とを容易に剥離させることができる。これによりピンチオフ部16には、外層体10と内層体20との相互間と外界とが連通する底割れ状の外気導入孔17が形成される。また、外層体外側層15はポリエチレン樹脂で構成されているので、ブロー成形によって得られる外層体10の寸法ばらつきを抑制することができる。
【0030】
本実施形態において中栓30は、中央部で起立する円筒壁31と、この円筒壁31にフランジを介して連結する環状壁32を備えている。また環状壁32の上端縁部には、径方向外側に向けて延在し、口部13の上端と当接するフランジ部33を設けている。円筒壁31の下部には、下方に向けて縮径する傾斜壁34を設けている。また円筒壁31の内周面には、周方向に間隔をあけて設けられる複数の縦リブ35を設けている。
【0031】
更に、縦リブ35の径方向内側には、球状体36を配置している。ここで、球状体36は、縦リブ35に沿って自重にて移動するものであり、
図1に示すように積層剥離容器1が起立状態にある時は、傾斜壁34と全周に亘って当接して内層体20内を閉鎖している。なお、縦リブ35の上端は径方向内側に向けて僅かに膨出していて、球状体36の抜け止めを形成している。
【0032】
注出栓40は、円筒壁31に通じる注出筒41を備えていて、注出筒41は、径方向外側に向けて延在し、フランジ部33上に位置する天壁42に連結している。また、天壁42の縁部には、口部13を取り囲む外周壁43を連結している。外周壁43の内周面には、口部13のねじ部13aに対応するねじ部43aを設けている。これにより注出栓40は、中栓30を間に挟んで口部13にねじ止めされる。また、外周壁43の下部は、口部13の外周面に気密に当接していて、外層体10と内層体20との相互間に導入された空気の漏れ出しを有効に阻止している。
【0033】
蓋体50は、注出栓40の上方を覆う頂壁51の縁部に周壁52を連結するとともに、ヒンジ53にて注出栓40に一体に連結するものである。なお、ヒンジ53を設けずに注出栓40と蓋体50とを別体とし、ねじ止め等によって保持するようにしてもよい。頂壁51の下面には、注出筒41と液密に当接するシール筒54を設けている。また、シール筒54の径方向内側には、下方に向けて延びるピン55を設けている。ピン55は、球状体36が上方へ変位する際、上限に至る手前で球状体36に当接するように設けられている。これにより、輸送等によって球状体36が勢いよく上方に移動しても、縦リブ35に設けた抜け止めを越えて外れてしまうことがない。
【0034】
上記のように構成される積層剥離容器1から内容物を注出するに当たっては、蓋体50を開いて積層剥離容器1を傾倒状態にすることで、球状体36は注出筒41側に変位し、内層体20内の内容物は自重にて傾斜壁34の開口から縦リブ35の相互間を通り抜け、注出筒41より注出される。この際、外層体10と内層体20との相互間には外気導入孔17から外気を導入することができ、また、相互に隣接することになる外層体10の外層体内側層14と内層体20の内層体外側層21とは、互いに相溶性の低いポリプロピレン樹脂とエチレンビニルアルコール共重合樹脂とで構成されているので、内層体20は外層体10から容易に剥離し、内層体20のみを減容変形させることができる。なお、外層体外側層15として高密度ポリエチレン樹脂を用いる場合は、外層体10に適度な剛性を付与することができるので、外層体10を不用意に押圧してしまうおそれが減り、内容物を意図した量で注出させることができる。また、容器の形状によっては外層体10の剛性が十分に得られないこともある。この場合は、
図1に示すような外殻層18や被覆層19を設けることも可能である。
【0035】
内容物の注出が進んで残量が減ってくると、内容物全体の重量が少なくなることから、積層剥離容器1を傾けるだけでは内容物が注出されにくくなることがある。この場合は、外層体10の胴部12をやや強めに押圧すれば、外層体10と内層体20との相互間の空気を介して内層体20を押圧することができるので、内容物を最後まで注出させることができる。なお、外層体10を押圧する際は、外層体10と内層体20との相互間の空気の一部が外気導入孔17から漏れ出すことがあるものの、外気導入孔17の延在長さや底部11の厚みを適宜調整することによって外気導入孔17からの空気の漏れを極力減らすことができる。
【0036】
なお、積層剥離容器1から内容物を注出するに当たっては、内容物の自重によらず、主に外層体10への押圧によって内容物を注出させることも可能である。
【0037】
外層体10の剛性は、外層体内側層14及び外層体外側層15のみならず、外殻層18や被覆層19を選択的に設けることによっても任意に調節することができる。
【0038】
内容物の注出に供するものは、上述の中栓30、注出栓40、及び蓋体50に限定されるものではなく、内容物の注出を可能とする種々のものを適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、高いガスバリア性を備えるとともに寸法安定性にも優れる新規の積層剥離容器を提供することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 積層剥離容器
10 外層体
11 底部
12 胴部
13 口部
13a ねじ部
14 外層体内側層
15 外層体外側層
15a 第1の外層体外側層
15b 第2の外層体外側層
16 ピンチオフ部
17 外気導入孔
18 外殻層
19 被覆層
20 内層体
21 内層体外側層
22 最内層
30 中栓
31 円筒壁
32 環状壁
33 フランジ部
34 傾斜壁
35 縦リブ
36 球状体
40 注出栓
41 注出筒
42 天壁
43 外周壁
43a ねじ部
50 蓋体
51 頂壁
52 周壁
53 ヒンジ
54 シール筒
55 ピン
M 積層剥離容器の中心軸線