(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行体、前記走行体の上方に旋回可能に設けられた旋回体、前記旋回体の前部に俯仰動可能に設けられ、先端に取付けられた作業具を含むフロント作業機、及び前記フロント作業機を操作する操作装置とを備えた作業機械に適用され、前記作業機械の旋回動作を支援する作業機械の旋回支援装置において、
前記作業具の位置を検出する作業具位置検出部と、
前記作業具の作業対象物を運搬する運搬車両の上方へ前記作業具を移動させるための、前記作業具の目標位置を設定する目標位置設定部と、
前記旋回体の旋回速度を検出する旋回速度検出部と、
前記作業具の移動速度を検出する移動速度検出部と、
前記作業具位置検出部によって検出された前記作業具の位置、前記目標位置設定部によって設定された前記目標位置、前記旋回速度検出部によって検出された前記旋回体の旋回速度、及び前記移動速度検出部によって検出された前記作業具の移動速度に基づいて、前記作業具と前記運搬車両が接触するかどうかを判定する接触判定部と、
前記接触判定部によって前記作業具と前記運搬車両が接触すると判定されたとき、前記作業具と前記運搬車両との接触を回避する前記旋回体の旋回速度と前記作業具の移動速度との関係を設定する速度関係設定部と、
前記速度関係設定部によって設定された前記旋回体の旋回速度と前記作業具の移動速度との関係に応じて、前記旋回体の旋回速度及び前記作業具の移動速度の少なくとも一方を制御する速度制御部とを備えたことを特徴とする作業機械の旋回支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る作業機械の旋回支援装置を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0013】
本発明に係る旋回支援装置の第1実施形態は、作業機械、例えば、
図1に示す油圧ショベル1に適用される。この油圧ショベル1は、走行用油圧モータ(図示せず)により駆動される走行体2と、この走行体2上に旋回フレーム(図示せず)を介して旋回可能に設けられた旋回体3と、これらの走行体2と旋回体3との間に介在され、走行体2に対して旋回体3を旋回させる旋回装置(図示せず)と、旋回体3の前部の片側(前方を向いて右側)に俯仰動可能に取付けられ、作業対象物8(
図3参照)を掘削して掘削物8a(
図3参照)を運搬車両に積み込む掘削積込作業等を行うフロント作業機4とを備えている。
【0014】
旋回装置は、旋回体3を駆動する旋回油圧モータ3a(
図2参照)と、この旋回油圧モータ3aに設けられ、旋回体3の旋回角度を検出する角度センサ3a1とを有している。旋回体3は、車体の前部の他方の片側(前方を向いて左側)に配置された操作室5と、車体の後部に配置され、車体の重量のバランスを保つカウンタウェイト6と、これらの操作室5とカウンタウェイト6との間に配置され、後述のエンジン(図示せず)が収納されるエンジンルーム7とを備えている。
【0015】
フロント作業機4は、基端が旋回フレームに回動可能に取り付けられて垂直方向に回動するブーム4Aと、このブーム4Aの先端に回動可能に取り付けられたアーム4Bと、このアーム4Bの先端に回動可能に取り付けられた作業具としてのバケット4Cとを有する多関節構造から成っている。
【0016】
また、フロント作業機4は、旋回体3とブーム4Aとを接続し、伸縮することによってブーム4Aを回動させるブームシリンダ4aと、ブーム4Aとアーム4Bとを接続し、伸縮することによってアーム4Bを回動させるアームシリンダ4bと、アーム4Bとバケット4Cとを接続し、伸縮することによってバケット4Cを回動させるバケットシリンダ4cとを有している。
【0017】
さらに、フロント作業機4は、ブームシリンダ4aに設けられ、旋回体3とブーム4Aとの回動角を検出する角度センサ4a1と、アームシリンダ4bに設けられ、ブーム4Aとアーム4Bとの回動角を検出する角度センサ4b1と、バケットシリンダ4cに設けられ、アーム4Bとバケット4Cとの回動角を検出する角度センサ4c1とを有している。
【0018】
操作室5は、操作者が着座する運転シート(図示せず)と、この運転シートの近傍に設けられ、走行用油圧モータ、旋回用油圧モータ3A1、ブームシリンダ4a、アームシリンダ4b、及びバケットシリンダ4c等の各油圧アクチュエータ3A1、4a〜4cの所望の動作を可能とし、操作室5内の操作者が把持して操作する操作装置としての操作レバー5A、5Bと、これらの操作レバー5A、5Bの操作情報や後述の速度制御部30による制御が行われている旨の情報を含む油圧ショベル1の動作に関する各種の情報を表示する表示装置5C(
図2参照)と、バケット4Cの作業対象物8を運搬する運搬車両の上方へバケット4Cを移動させるための、バケット4Cの目標位置51(
図5、
図6参照)、すなわち旋回体3の旋回軸C(
図5、
図6参照)周りの目標角度及びバケット4Cの目標高さ位置を設定する目標位置設定部5D(
図2参照)とを有している。
【0019】
操作レバー5Aは、例えば、運転席の左側方に配置され、旋回体3を左右に旋回させたり、あるいはアーム4Bを垂直方向に回動させる操作を行う。操作レバー5Bは、例えば、運転席の右側方に配置され、ブーム4Aを垂直方向に回動させたり、あるいはバケット4Cを垂直方向に回動させる操作を行う。目標位置設定部5Dは、例えば、表示装置5Cに表示された情報を用いて目標位置51を入力する目標位置入力部から構成されている。
【0020】
図2は操作室5を含む旋回体3の内部の構成の詳細を示す図である。なお、以下の説明において、走行用油圧モータ、アームシリンダ4b、及びバケットシリンダ4cを駆動する油圧駆動回路の各構成及び作用は旋回油圧モータ3a及びブームシリンダ4aを駆動する油圧駆動回路と同様であるので、旋回油圧モータ3a及びブームシリンダ4aを駆動する油圧駆動回路の各構成及び作用について詳細に説明し、走行用油圧モータ、アームシリンダ4b、及びバケットシリンダ4cの各構成及び作用の説明を省略している。従って、
図2には、油圧アクチュエータ3a、4a〜4cのうち旋回油圧モータ3a及びブームシリンダ4aが示されている。
【0021】
図2に示すように、旋回体3は、前述のエンジン(図示せず)と、このエンジンの駆動軸上に配置され、エンジンの駆動力で動作することにより、圧油を吐出する可変容量型油圧ポンプ(以下、便宜的に油圧ポンプと呼ぶ)11と、この油圧ポンプ11と同様に、エンジンの駆動軸上に配置され、エンジンの駆動力で動作することにより、パイロット圧油を生成するパイロットポンプ12と、これらの油圧ポンプ11及びパイロットポンプ12に吸入される作動油を貯蔵する作動油タンク13と、油圧ポンプ11と各旋回油圧モータ3a及びブームシリンダ4aとの間に接続され、油圧ポンプ11から吐出された圧油の流れを制御する制御弁15、16とを有している。
【0022】
油圧ポンプ11は、可変容量機構として、例えば、斜板(図示せず)を有し、この斜板の傾転角が調整されることにより、吐出する圧油の流量を制御している。さらに、油圧ポンプ11には、図示されないが、吐出された圧油の圧力を測定する吐出圧センサ、吐出された圧油の流量を測定する吐出流量センサ、及び油圧ポンプ11の斜板の傾転角を測定する傾転角センサ等が設けられている。なお、油圧ポンプ11は、可変容量型斜板式油圧ポンプである場合について説明するが、この場合に限らず、吐出する圧油の流量を制御する機能を有するものであれば、斜軸ポンプ等であっても良い。
【0023】
各制御弁15、16は、油圧ポンプ11及び油圧アクチュエータ3a、4aとの間で油圧駆動回路を構成し、図示されないが、外殻を形成するハウジング内でストロークすることにより、油圧ポンプ11から吐出された圧油の流量及び方向を調整するスプールと、このスプールの左右両端に形成され、パイロットポンプ12で生成されたパイロット圧油が導かれる受圧部15a、15b、16a、16bとから構成されている。
【0024】
また、旋回体3は、油圧ポンプ11と制御弁15、16との間の油路に接続され、油圧ポンプ11から吐出される圧油が過剰となった場合に、圧油を作動油タンク13へ流出させるリリーフ弁17と、パイロットポンプ12と制御弁15、16の各受圧部15a、15b、16a、16bとの間の油路に接続され、パイロットポンプ12から吐出されるパイロット圧油が過剰となった場合に、パイロット圧油を作動油タンク13へ流出させるリリーフ弁18とを有している。従って、各リリーフ弁17、18の設定圧を変更することにより、油圧ポンプ11と制御弁15、16との間の油路、及びパイロットポンプ12と制御弁15、16の各受圧部15a、15b、16a、16bとの間の油路の最大圧力を調整することができる。
【0025】
そして、旋回体3は、制御弁15、16の受圧部15a、15b、16a、16bとパイロットポンプ12との間の油路に設けられ、これらの各受圧部15a、15b、16a、16bへ導かれるパイロット圧油を減圧する電気式パイロット減圧弁(以下、便宜的に減圧弁と称する)19a、19b、20a、20bと、操作レバー5A、5B、角度センサ3a1、4a1、表示装置5C、目標位置入力部5D、及び減圧弁19a、19b、20a、20bが接続され、操作レバー5A、5Bの操作量に応じて、旋回体3及びフロント作業機4の動作を制御する制御装置21を有している。
【0026】
減圧弁19aは、操作レバー5A、5Bの操作量に対応する制御指令を制御装置21から受信し、その制御指令に応じて制御弁15の左側の受圧室15aへ供給するパイロット圧油の圧力、すなわちパイロット圧を調整する。減圧弁19bは、操作レバー5A、5Bの操作量に対応する制御指令を制御装置21から受信し、その制御指令に応じて制御弁15の右側の受圧室15bへ供給するパイロット圧油の圧力、すなわちパイロット圧を調整する。
【0027】
従って、減圧弁19a、19bによって減圧されたパイロット圧が制御弁15の受圧部15a、15bにそれぞれ作用することにより、受圧部15a側のパイロット圧が受圧部15b側のパイロット圧よりも大きければ、制御弁15のスプールが右側へ移動して制御弁15の切換位置が中立位置から左位置へ切り替わり、受圧部15a側のパイロット圧が受圧部15b側のパイロット圧よりも小さければ、制御弁15のスプールが左側へ移動して制御弁15の切換位置が中立位置から右位置へ切り替わる。
【0028】
これにより、油圧ポンプ11から吐出された圧油が制御弁15を流通する際に、圧油の流量と方向が操作レバー5A、5Bの操作量に応じて調整される。そして、制御弁15を通過した圧油はブームシリンダ4a内へ流入することにより、ブームシリンダ4aが圧油で駆動してブーム4Aの垂直方向の移動速度が制御される。
【0029】
減圧弁20aは、操作レバー5A、5Bの操作量に対応する制御指令を制御装置21から受信し、その制御指令に応じて制御弁16の左側の受圧室16aへ供給するパイロット圧油の圧力、すなわちパイロット圧を調整する。減圧弁20bは、操作レバー5A、5Bの操作量に対応する制御指令を制御装置21から受信し、その制御指令に応じて制御弁16の右側の受圧室16bへ供給するパイロット圧油の圧力、すなわちパイロット圧を調整する。
【0030】
従って、減圧弁20a、20bによって減圧されたパイロット圧が制御弁16の受圧部16a、16bにそれぞれ作用することにより、受圧部16a側のパイロット圧が受圧部16b側のパイロット圧よりも大きければ、制御弁16のスプールが右側へ移動して制御弁16の切換位置が中立位置から左位置へ切り替わり、受圧部16a側のパイロット圧が受圧部16b側のパイロット圧よりも小さければ、制御弁16のスプールが左側へ移動して制御弁16の切換位置が中立位置から右位置へ切り替わる。
【0031】
これにより、油圧ポンプ11から吐出された圧油が制御弁16を流通する際に、圧油の流量と方向が操作レバー5A、5Bの操作量に応じて調整される。そして、制御弁16を通過した圧油は旋回油圧モータ3a内へ流入することにより、旋回油圧モータ3aが圧油で駆動して旋回体3の旋回速度が制御される。
【0032】
図3は油圧ショベル1の作業の一例である掘削積込作業を行っている様子を示す図であり、(a)図は掘削動作が終了してバケット4Cが掘削物8aを保持している状態を示す図、(b)図は旋回体3が旋回してバケット4Cを運搬車両上へ移動させてから掘削物8aを放出している状態を示す図である。なお、本発明の第1実施形態では、掘削物8aを運搬する運搬車両として、例えばダンプトラック100が用いられている。
【0033】
上述のように構成される油圧ショベル1の掘削積込作業では、例えば
図3(a)に示すように、操作室5内の操作者が操作レバー5A、5Bを操作してバケット4Cで掘削物8aを掘削した後、バケット4C内に掘削物8aを保持した状態でバケット4Cを持ち上げながら旋回体3を旋回させる。
【0034】
そして、
図3(b)に示すように、バケット4Cがダンプトラック100の荷台101上へ到達すると、操作者は操作レバー5A、5Bを操作して掘削物8aをバケット4Cからダンプトラック100の荷台101上へ放出する。このような掘削積込作業の
図3(a)の作業状態から
図3(b)の作業状態への旋回動作において、旋回体3の旋回速度に対してバケット4Cの垂直方向の移動速度が不足すると、バケット4Cがダンプトラック100の荷台101を上方へ超えるのに十分な高さを確保できず、バケット4Cと荷台101が接触する可能性がある。そこで、本発明の第1実施形態では、油圧ショベル1の旋回動作を支援する旋回支援装置が油圧ショベル1に設けられている。
【0035】
このような旋回支援装置に係る制御装置21の構成を
図4に基づいて説明し、これらの構成の一部について
図5〜
図8を適宜用いながら詳細に説明する。
【0036】
図4に示すように、制御装置21は、角度センサ3a1からの信号を変換して旋回体3の旋回角度及び旋回速度を演算し、演算した旋回角度及び旋回速度の情報を信号により送信する信号変換部22aと、角度センサ4a1〜4c1からの信号を変換してバケット4Cの高さ位置及び移動速度を演算し、演算した高さ位置及び移動速度の情報を送信する信号変換部22bとを具備している。
【0037】
この信号変換部22bは、油圧ショベル1の寸法データを内部に格納しており、角度センサ4a1〜4c1によって検出された角度から所定の基準位置におけるバケット4Cの座標及び移動速度を演算するようにしている。なお、本発明の第1実施形態では、信号変換部22aが旋回体3の旋回速度を検出する旋回速度検出部として機能し、信号変換部22bがバケット4Cの移動速度を検出する移動速度検出部として機能すると共に、信号変換部22a、22bの双方がバケット4Cの位置、すなわち旋回体3の旋回角度及びバケット4Cの高さ位置を検出する作業具位置検出部として機能する。
【0038】
また、制御装置21は、目標位置入力部5D及び信号変換部22aからの信号を受信し、目標位置入力部5Dによって入力された旋回体3の旋回軸C周りの目標角度と信号変換部22aによって演算された旋回体3の旋回角度との差分から、バケット4Cが目標位置に到達するまでに要する旋回体3の旋回角度(以下、便宜的に目標旋回角度と称する)を演算する差分演算部23aと、目標位置入力部5D及び信号変換部22bからの信号を受信し、目標位置入力部5Dによって入力されたバケット4Cの目標高さ位置と信号変換部22bによって演算されたバケット4Cの高さ位置との差分から、バケット4Cが目標位置に到達するまでに要するバケット4Cの垂直方向の移動量(以下、便宜的に目標移動量と称する)を演算する差分演算部23bとを具備している。
【0039】
図5、
図6は差分演算部23a、23bによる目標旋回角度及び目標移動量の演算について説明する図であり、
図5(a)は掘削動作が終了してバケット4Cが掘削物8aを保持している状態を示す側面図、
図5(b)は旋回体3が旋回してバケット4Cをダンプトラック100の荷台101上へ移動させてから掘削物8aを放出している状態を示す側面図、
図6(a)は掘削動作が終了してバケット4Cが掘削物8aを保持している状態を示す平面図、
図6(b)は旋回体3が旋回してバケット4Cをダンプトラック100の荷台101上へ移動させてから掘削物8aを放出している状態を示す平面図である。なお、
図5、
図6では、油圧ショベル1及びダンプトラック100の作業状況を分かり易く示すために図示を簡略し、
図3の旋回体3の旋回角度に対して
図5、
図6の旋回体3の旋回角度を変更している。
【0040】
図5、
図6に示すように、例えば、制御装置21はバケット4Cの下端を、バケット4Cの位置として規定するモニタポイント50に設定し、表示装置5Cの表示画面に目標位置51の入力画面が表示されると、操作室5内の操作者が目標位置入力部5Dでダンプトラック100の荷台101の上方に目標位置51、すなわち旋回体3の旋回軸C周りの目標角度及び目標高さ位置を設定する。
【0041】
このとき、差分演算部23aは、
図6(a)、
図6(b)に示すように、目標位置入力部5Dによって設定された旋回体3の旋回軸C周りの目標角度と信号変換部22aによって演算されたモニタポイント50の旋回軸C周りの角度との角度差を目標旋回角度として演算する。従って、
図6(a)、
図6(b)の例では、差分演算部23aの演算結果は角度θ1となる。
【0042】
一方、差分演算部23bは、
図5(a)、
図5(b)に示すように、目標位置入力部5Dによって設定されたバケット4Cの目標高さ位置と信号変換部22bによって演算されたモニタポイント50の高さ位置との差を目標移動量として演算する。従って、
図5(a)、
図5(b)の例では、差分演算部23bの演算結果は移動量Hとなる。
【0043】
また
図4において、制御装置21は、信号変換部22a、22b及び差分演算部23a、23bからの信号を受信し、差分演算部23aによって演算された目標旋回角度、差分演算部23bによって演算された目標移動量、信号変換部22aによって演算された旋回体3の旋回速度、及び信号変換部22bによって演算されたバケット4Cの垂直方向の移動速度に基づいて、バケット4Cとダンプトラック100が接触するかどうかを判定する接触判定部24を具備している。
【0044】
この接触判定部24は、例えば、各差分演算部23a,23bからの信号を受信し、目標移動量と目標旋回角度との比を演算する目標移動量−目標旋回角度比演算部24aと、信号変換部22a,22bからの信号を受信し、信号変換部22a,22bによって演算された旋回体3の旋回速度及びバケット4Cの垂直方向の移動速度に基づいて、バケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との比を演算する移動速度−旋回速度比演算部24bとから構成されている。
【0045】
ここで、垂直方向の目標移動量に対し、目標旋回角度が大きい時と、小さい時とでは、目標旋回角度が大きい方が接触の可能性が少ない。これに基づき、接触判定部24は、例えば、移動速度−旋回速度比演算部24bによって演算されたバケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との比と、目標移動量−目標旋回角度比演算部24aによって演算された目標移動量と目標旋回角度との比を比較する。このとき、移動速度−旋回速度比が目標移動量−目標旋回角度比より小さい場合は、バケット4Cを目標位置51へ移動したときにバケット4Cがダンプトラック100の荷台101に接触しない状態となるために必要なバケット4Cの垂直方向の移動量を確保するバケット4Cの垂直方向の速度が不足していることになるため、バケット4Cとダンプトラック100が接触すると判定する。
【0046】
一方、接触判定部24は、例えば、移動速度−旋回速度比演算部24bによって演算されたバケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との比が目標移動量−目標旋回角度比演算部24aによって演算された目標移動量と目標旋回角度との比よりも大きいとき、バケット4Cとダンプトラック100が接触しないと判定する。
【0047】
さらに、制御装置21は、接触判定部24によってバケット4Cとダンプトラック100が接触すると判定されたとき、バケット4Cとダンプトラック100との接触を回避する旋回体3の旋回速度とバケット4Cの垂直方向の移動速度との関係を設定する速度関係設定部25を具備している。
【0048】
図7は速度関係設定部25によって設定される旋回体3の旋回速度とバケット4Cの垂直方向の移動速度との関係について説明する図であり、
図7(a)〜
図7(c)において3つの異なる状況を例に挙げて示している。
【0049】
速度関係設定部25は、バケット4Cとダンプトラック100との接触を回避する旋回体3の旋回速度とバケット4Cの垂直方向の移動速度との関係として、例えば、目標移動量−目標旋回角度比演算部24aによって演算された目標移動量と目標旋回角度との比を、バケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限として設定する。
【0050】
図7(a)は、掘削積込作業において旋回体3の目標旋回角度が中程度での作業状態における速度比の下限を示す図であり、旋回体3の旋回速度がVAのとき、バケット4Cの垂直方向の移動速度がVB1以上であれば、バケット4Cとダンプトラック100との接触を回避することができる。
【0051】
一方、
図7(b)は、掘削積込作業において旋回体3の目標旋回角度が垂直方向の移動距離と比較し相対的に大きい作業状態を示す図であり、操作者がバケット4Cを目標位置51(
図5、
図6参照)まで移動させるのに十分な余裕があるので、バケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限が
図7(a)に示す速度比の下限よりも小さくなる。その結果、旋回体3の旋回速度がVAのとき、バケット4Cとダンプトラック100との接触を回避するためには、バケット4Cの垂直方向の移動速度がVB1より小さいVB2以上あればよい。
【0052】
図7(c)は、掘削積込作業において旋回体3の目標旋回角度が垂直方向の移動距離と比較し相対的に小さい作業状態を示す図であり、操作者がバケット4Cを目標位置51(
図5、
図6参照)まで移動させるのに余裕が少ないので、バケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限が
図7(a)に示す速度比の下限よりも大きくなる。その結果、旋回体3の旋回速度がVAのとき、バケット4Cとダンプトラック100との接触を回避するためには、バケット4Cの垂直方向の移動速度がVB1より大きいVB3以上必要となる。
【0053】
さらに
図4において、制御装置21は、速度関係設定部25によって設定されたバケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限に応じて、旋回体3の旋回速度及びバケット4Cの垂直方向の移動速度の少なくとも一方、例えば、旋回体3の旋回速度及びバケット4Cの垂直方向の移動速度の双方を制御する速度制御部30を具備している。
【0054】
具体的には、速度制御部30は、速度関係設定部25からの信号を受信し、速度関係設定部25によって設定されたバケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限と、信号変換部22bによって演算されたバケット4Cの垂直方向の移動速度とからバケット4Cとダンプトラック100との接触を回避する旋回体3の旋回速度を演算し、旋回体3の目標旋回速度を演算した旋回速度に設定する目標旋回速度設定部31aと、バケット4Cの垂直方向の目標移動速度を、信号変換部22bによって演算された現在のバケット4Cの垂直方向の移動速度に設定してバケット4Cの移動速度を維持する目標移動速度設定部31bとを含んでいる。
【0055】
図8は目標旋回速度設定部31aによる旋回体3の目標旋回速度の設定、及び目標移動速度設定部31bによるバケット4Cの垂直方向の目標移動速度の設定について説明する図である。
【0056】
図8に示すように、移動速度−旋回速度比演算部24bによって演算されたバケット4Cの垂直方向の移動速度Vb1と旋回体3の旋回速度Va1との比(点t1)が速度関係設定部25によって設定されたバケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限L1よりも小さい。
【0057】
そのため、目標旋回速度設定部31aは、バケット4Cの垂直方向の移動速度がVb1のときに速度比の下限L1と同じ比(点t2)となる旋回体3の旋回速度Va2(<Va1)を旋回体3の目標旋回速度として設定する。そして、目標移動速度設定部31bは、バケット4Cの垂直方向の移動速度Vb1をバケット4Cの垂直方向の目標移動速度として設定する。
【0058】
また
図4において、速度制御部30は、信号変換部22a及び目標旋回速度設定部31aからの信号を受信し、目標旋回速度設定部31aによって設定された旋回体3の目標旋回速度Va2(
図8参照)と信号変換部22aによって演算された旋回体3の旋回速度Va1(
図8参照)とを比較してその差分を演算する比較演算部32aと、信号変換部22b及び目標移動速度設定部31bからの信号を受信し、目標移動速度設定部31bによって設定されたバケット4Cの垂直方向の目標移動速度Vb1と信号変換部22bによって演算されたバケット4Cの垂直方向の移動速度Vb1とを比較してその差分(この場合には、差分は0となる)を演算する比較演算部32bと、これらの各比較演算部32a、32bからの信号を受信し、比較演算部32a、32bによって演算された差分が0となるように油圧駆動回路を制御する制御指令を生成する駆動制御部33とを含んでいる。そして、速度制御部30は、駆動制御部33によって生成された制御指令を減圧弁19a、19b、20a、20bへ送信するようにしている。
【0059】
このように構成した本発明の第1実施形態によれば、接触判定部24によってバケット4Cとダンプトラック100が接触すると判定されると、速度関係設定部25によって設定されたバケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限から旋回体3の旋回速度及びバケット4Cの垂直方向の移動速度の双方が速度制御部30によって調整されるので、作業内容や操作室5内の操作者による操作レバー5A、5Bの操作に拘わらず、旋回体3の旋回動作中に旋回速度に対してバケット4Cの移動速度を容易に確保することができる。これにより、操作者が操作レバー5A、5Bを用いて旋回体3の旋回速度を落とさなくても、旋回動作においてバケット4Cとダンプトラック100との接触を的確に回避できるので、油圧ショベル1及びダンプトラック100の破損を防止しつつ、掘削積込作業の効率の低下を抑制することができる。
【0060】
特に、本発明の第1実施形態では、
図8に示すように、目標旋回速度設定部31a及び目標移動速度設定部31bによって旋回体3の目標旋回速度及びバケット4Cの垂直方向の目標移動速度が速度比の下限L1上における旋回速度Va2及び移動速度Vb1にそれぞれに設定されるので、駆動制御部33によってバケット4bの移動速度を維持しつつ、旋回体3の旋回速度を適切に制限することができる。これにより、旋回体3の旋回動作において、バケット4Cとダンプトラック100との接触を十分に回避することができる。従って、操作者がバケット4Cとダンプトラック100との接触を気にすることなく、掘削積込作業を進めることができるので、操作者の精神的な負担を軽減することができ、快適な操作性を実現することができる。
【0061】
また、本発明の第1実施形態は、バケット4Cの作業対象物8を運搬するダンプトラック100の上方へバケット4Cを移動させるための目標位置51を設定する際に、操作者が表示装置5Cの入力画面を見ながら目標位置入力部5Dを用いて目標位置51を指定できるので、仮に旋回体3が旋回する直前にダンプトラック100の位置がずれた場合であっても、操作者の判断で目標位置51を適宜設定したり、あるいは変更することができる。これにより、油圧ショベル1の作業状況や周囲の環境の変化に容易に対応することができる。
【0062】
しかも、操作者の操作レバー5A、5Bの操作中には、速度制御部30による制御が行われている旨の情報が表示装置5Cに表示されるので、操作者は表示装置5Cの表示画面を確認することにより、速度制御部30によって旋回体3の旋回速度が制限された状況を容易に把握でき、操作レバー5A、5Bの操作に違和感を覚えることなく、掘削積込作業を進めることができる。このように、掘削積込作業を行う操作者に対して優れた利便性を提供することができる。
【0063】
[第2実施形態]
図9は本発明の第2実施形態に係る速度制御部35の構成を示す機能ブロック図である。
【0064】
本発明の第1実施形態では、
図4に示すように、速度制御部30は、速度関係設定部25からの信号を受信し、速度関係設定部25によって設定されたバケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限と、信号変換部22bによって演算されたバケット4Cの垂直方向の移動速度とからバケット4Cとダンプトラック100との接触を回避する旋回体3の旋回速度を演算し、旋回体3の目標旋回速度を演算した旋回速度に設定する目標旋回速度設定部31aと、バケット4Cの垂直方向の目標移動速度を、信号変換部22bによって演算された現在のバケット4Cの垂直方向の移動速度に設定してバケット4Cの移動速度を維持する目標移動速度設定部31bとを含む構成について説明した。
【0065】
これに対して、本発明の第2実施形態では、
図9に示すように、速度制御部35は、旋回体3の目標旋回速度を、信号変換部22aによって演算された現在の旋回体3の旋回速度に設定して旋回体3の旋回速度を維持する目標旋回速度設定部36aと、速度関係設定部25によって設定されたバケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限と、信号変換部22aによって演算された旋回体3の旋回速度とからバケット4Cとダンプトラック100との接触を回避するバケット4Cの移動速度を演算し、バケット4Cの目標移動速度を演算した移動速度に設定する目標移動速度設定部36bとを含んでいる。
【0066】
図10は目標旋回速度設定部36aによる旋回体3の目標旋回速度の設定、及び目標移動速度設定部36bによるバケット4Cの垂直方向の目標移動速度の設定について説明する図である。
【0067】
図10に示すように、移動速度−旋回速度比演算部24bによって演算されたバケット4Cの垂直方向の移動速度Vb3と旋回体3の旋回速度Va3との比(点t3)が速度関係設定部25によって設定されたバケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限L2よりも小さい。
【0068】
そのため、目標移動速度設定部36bは、旋回体3の旋回速度がVa3のときに速度比の下限L2と同じ比(点t4)となるバケット4Cの垂直方向の移動速度Vb4(>Vb3)をバケット4Cの垂直方向の目標移動速度として設定する。そして、目標旋回速度設定部36aは、旋回体3の旋回速度Va3を旋回体3の目標旋回速度として設定する。その他の第2実施形態の構成は、上述した第1実施形態の構成と同じであり、第1実施形態の構成と同一の又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略している。
【0069】
このように構成した本発明の第2実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果が得られる他、目標旋回速度設定部36a及び目標移動速度設定部36bによって旋回体3の目標旋回速度及びバケット4Cの垂直方向の目標移動速度が速度比の下限L2上における旋回速度Va3及び移動速度Vb4にそれぞれ設定されるので、駆動制御部33によって旋回体3の旋回速度を維持しつつ、バケット4Cを迅速に加速させることができる。これにより、旋回体3の旋回動作において、バケット4Cとダンプトラック100との接触を十分に回避することができる。従って、操作者が操作レバー5A、5Bを用いて旋回体3の旋回速度を落すことなく、掘削積込作業を円滑に進めることができるので、優れた作業性を得ることができる。
【0070】
[第3実施形態]
図11は本発明の第3実施形態に係る速度制御部37の構成を示す機能ブロック図である。
【0071】
本発明の第1実施形態では、
図4に示すように、速度制御部30は、速度関係設定部25からの信号を受信し、速度関係設定部25によって設定されたバケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限と、信号変換部22bによって演算されたバケット4Cの垂直方向の移動速度とからバケット4Cとダンプトラック100との接触を回避する旋回体3の旋回速度を演算し、旋回体3の目標旋回速度を演算した旋回速度に設定する目標旋回速度設定部31aと、バケット4Cの垂直方向の目標移動速度を、信号変換部22bによって演算された現在のバケット4Cの垂直方向の移動速度に設定してバケット4Cの移動速度を維持する目標移動速度設定部31bとを含む構成について説明した。
【0072】
これに対して、本発明の第3実施形態では、
図11に示すように、速度制御部37は、速度関係設定部25からの信号を受信し、速度関係設定部25によって設定されたバケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限、信号変換部22aによって演算された旋回体3の旋回速度、及び信号変換部22bによって演算されたバケット4Cの垂直方向の移動速度からバケット4Cとダンプトラック100との接触を回避する旋回体3の旋回速度及びバケット4Cの垂直方向の移動速度を演算し、旋回体3の目標旋回速度を演算した旋回速度に設定すると共に、バケット4Cの目標移動速度を演算した移動速度に設定する目標速度設定部38を含んでいる。
【0073】
図12は目標速度設定部38による旋回体3の目標旋回速度及びバケット4Cの垂直方向の目標移動速度の設定について説明する図である。
【0074】
図12に示すように、移動速度−旋回速度比演算部24bによって演算されたバケット4Cの垂直方向の移動速度Vb5と旋回体3の旋回速度Va5との比(点t5)が速度関係設定部25によって設定されたバケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限L3よりも小さい。
【0075】
そのため、目標速度設定部38は、バケット4Cの垂直方向の移動速度Vb5と旋回体3の旋回速度Va5を表す点t5から速度比の下限L3の線分に下ろした垂線との交点t6における旋回速度Va6及び移動速度Vb6を旋回体3の目標旋回速度及びバケット4Cの垂直方向の目標移動速度にそれぞれ設定する。その他の第3実施形態の構成は、上述した第1実施形態の構成と同じであり、第1実施形態の構成と同一の又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略している。
【0076】
このように構成した本発明の第3実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果が得られる他、目標速度設定部38によって旋回体3の目標旋回速度及びバケット4Cの垂直方向の目標移動速度が速度比の下限L3上における旋回速度Va6及び移動速度Vb6にそれぞれ設定されるので、駆動制御部33によって旋回体3の旋回速度を適切に制限しながらバケット4Cを迅速に加速させることができる。これにより、バケット4Cとダンプトラック100との接触を効率良く回避することができる。このように、旋回体3の旋回動作において、旋回体3の旋回速度とバケット4Cの垂直方向の移動速度をバランス良く制御することができる。
【0077】
なお、
図12に示す目標速度設定部38による目標旋回速度及び目標移動速度の設定において、バケット4Cの垂直方向の移動速度Vb5と旋回体3の旋回速度Va5を表す点t5から速度比の下限L3の線分に下ろす線が垂線である場合について説明したが、この場合に限らず、点t5から速度比の下限L3に下ろす線は垂線でなくてもよいし、速度比の下限L3の状態に応じて、点t5から速度比の下限L3に下ろす線の角度を適宜変更してもよい。
【0078】
[第4実施形態]
図13は本発明の第4実施形態に係る速度制御部39の構成を示す機能ブロック図である。
【0079】
本発明の第4実施形態は、上述した第3実施形態の構成に加え、例えば、速度制御部39は、目標速度設定部40によって設定された目標旋回速度及び目標移動速度になるように旋回体3の旋回速度及びバケット4Cの垂直方向の移動速度をそれぞれ制御した後、エンジンや油圧ポンプ11等の性能から定まる油圧駆動回路の制限によりバケット4Cの垂直方向の移動速度が目標移動速度に達しない場合には、速度関係設定部25によるバケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限の設定を再度実施させるようにしている。
【0080】
さらに、目標速度設定部40は、速度関係設定部25によって再度設定されたバケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限と、信号変換部22bによって演算されたバケット4Cの垂直方向の移動速度とからバケット4Cとダンプトラック100との接触を回避する旋回体3の旋回速度を演算し、旋回体3の目標旋回速度を演算した旋回速度に設定すると共に、バケット4Cの垂直方向の目標移動速度を、信号変換部22bによって演算された現在のバケット4Cの垂直方向の移動速度に設定してバケット4Cの移動速度を維持するようにしている。
【0081】
図14は目標速度設定部40による旋回体3の目標旋回速度の設定及びバケット4Cの垂直方向の目標移動速度の設定について説明する図である。
【0082】
図14に示すように、移動速度−旋回速度比演算部24bによって演算されたバケット4Cの垂直方向の移動速度Vb7と旋回体3の旋回速度Va7との比(点t7)が速度関係設定部25によって設定されたバケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限L4よりも小さい。
【0083】
そのため、目標速度設定部40は、バケット4Cの垂直方向の移動速度Vb7と旋回体3の旋回速度Va7を表す点t7から速度比の下限L4の線分に下ろした垂線との交点t8における旋回速度Va8及び移動速度Vb8を旋回体3の目標旋回速度及びバケット4Cの垂直方向の目標移動速度にそれぞれ設定する。そして、駆動制御部33の制御指令が減圧弁19a、19b、20a、20bへ送信されることにより、旋回体3の旋回速度が減少すると共に、バケット4Cの垂直方向の移動速度が上昇するが、バケット4Cの垂直方向の移動速度がVb9に到達すると、油圧駆動回路の制限によりそれ以上上昇しなくなる。
【0084】
このとき、目標速度設定部40は、速度関係設定部25によるバケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限の設定を再度実施する。そして、移動速度−旋回速度比演算部24bによって再度演算されたバケット4Cの垂直方向の移動速度Vb9と旋回体3の旋回速度Va8との比(点t9)が速度関係設定部25によって再度設定されたバケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限L5よりも小さいので、目標速度設定部40は、バケット4Cの垂直方向の移動速度がVb9のときに速度比の下限L5と同じ比(点t10)となる旋回体3の旋回速度Va10(<Va8)を旋回体3の目標旋回速度として設定すると共に、バケット4Cの垂直方向の移動速度Vb9をバケット4Cの目標移動速度として設定する。その他の第4実施形態の構成は、上述した第3実施形態の構成と同じであり、第3実施形態の構成と同一の又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略している。
【0085】
このように構成した本発明の第4実施形態によれば、上述した第3実施形態と同様の作用効果が得られる他、油圧駆動回路の制限によってバケット4Cの垂直方向の移動速度がVb9以上の速度へ上昇しなくても、目標速度設定部40によって旋回体3の目標旋回速度及びバケット4Cの垂直方向の目標移動速度が再度設定された速度比の下限L5上における旋回速度Va10及び移動速度Vb9にそれぞれ設定されるので、駆動制御部33によってバケット4Cの垂直方向の移動速度を保ちながら、旋回体3の旋回速度を機動的に制限することができる。これにより、油圧駆動回路の制限に拘わらず、バケット4Cとダンプトラック100との接触を回避できるので、種々の油圧駆動回路を有する作業機械に適用することができる。
【0086】
[第5実施形態]
図15は本発明の第5実施形態が適用される作業機械の一例として挙げた油圧ショベル1Aの構成を示す図、
図16は本発明の第5実施形態に係る目標位置設定部5Eの構成を示す機能ブロック図である。
【0087】
本発明の第5実施形態が前述した第1実施形態と異なるのは、第1実施形態では、
図2に示すように、目標位置設定部5Dが、表示装置5Cに表示された情報を用いて目標位置51(
図5、
図6参照)を入力する目標位置入力部から構成されたのに対して、第5実施形態では、
図15、
図16に示すように、油圧ショベル1Aは、ダンプトラック100の位置を検出する運搬車両位置検出部41を備え、目標位置設定部5Eは、運搬車両位置検出部41によって検出されたダンプトラック100の位置を入力し、このダンプトラック100の位置から目標位置51を設定するようにしている。
【0088】
具体的には、運搬車両位置検出部41は、例えば、操作室5の上部に取付けられ、車体の前方を撮影する前方カメラ41aと、カウンタウェイト6の上面に設置され、車体の後方を撮影する後方カメラ41b、エンジンルーム7の上面左側に設置され、車体の左側方を撮影する左側方カメラ41c、エンジンルーム7の上面右側に設置され、車体の右側方を撮影する右側方カメラ41dとから成り、これらの各カメラ41a〜41dによって車体の周囲を撮影するようにしている。
【0089】
また、目標位置設定部5Eは、上述した目標位置入力部5Dの代わりに、ダンプトラック100の特徴を示す特徴点及び予め設定されたダンプトラック100の目標位置を記憶する記憶装置5E1と、各カメラ41a〜41dによって撮影された画像及び記憶装置5E1に記憶されたダンプトラック100の特徴点に基づいて、車体からのダンプトラック100の距離を演算する距離演算部5E2とを具備している。
【0090】
この距離演算部5E2は、前方カメラ41a、後方カメラ41b、左側方カメラ41c、及び右側方カメラ41dのいずれかで撮影された画像からダンプトラック100の特徴点を抽出し、抽出したダンプトラック100の特徴点と記憶装置5E1に記憶されたダンプトラック100の特徴点とのマッチングを行う。その後、距離演算部5E2は、マッチングの結果と、記憶装置5E1に記憶されたダンプトラック100の特徴点同士の相対的な位置関係から、カメラ41a〜41dのうちマッチングに用いたカメラの位置とダンプトラック100の位置との相対的な距離を演算する。
【0091】
そして、目標位置設定部5Eは、記憶装置5E1に記憶されたダンプトラック100の所定の目標位置と、距離演算部5E2で演算したカメラの位置とダンプトラック100の位置との相対的な距離とを合成することにより、目標位置51を生成して制御装置21へ送信する。その他の第5実施形態の構成は、上述した第1実施形態の構成と同じであり、第1実施形態の構成と同一の又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略している。
【0092】
このように構成した本発明の第5実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果が得られる他、掘削物8aをダンプトラック100に積載する際のバケット4Cの移動地点である目標位置51を記憶装置5E1に予め記憶しておくことにより、油圧ショベル1に対するダンプトラック100の位置が変わっても、目標位置設定部5Eが各カメラ41a〜41dの画像からダンプトラック100の特徴点を認識してダンプトラック100の位置を把握した上で、目標位置51を自動的に設定することができる。これにより、ダンプトラック100の位置が変わる度に操作者が目標位置51を入力する手間を省くことができるので、操作者に対する利便性を向上させることができる。しかも、掘削物8aをダンプトラック100の荷台101上に放出するのに適した位置へバケット4Cを正確に移動させることができるので、操作者が操作レバー5A、5Bを操作して掘削物8aの積込作業を円滑に進めることができる。
【0093】
[第6実施形態]
図17は本発明の第6実施形態が適用される作業機械の一例として挙げた油圧ショベル1Bの構成を示す図である。
【0094】
本発明の第6実施形態が前述した第5実施形態と異なるのは、第5実施形態は、
図15に示すように、運搬車両位置検出部41が車体の周囲を撮影する前方カメラ41a、後方カメラ41b、左側方カメラ41c、及び右側方カメラ41dから構成されたのに対して、第6実施形態は、
図17に示すように、油圧ショベル1Bの運搬車両位置検出部42は、これらのカメラ41a〜41dの代わりに、レーザレーダ42a及び超音波センサ42bの双方から構成されたことである。
【0095】
この場合には、目標位置設定部5E(
図16参照)は、上述したカメラ41a〜41dの撮影画像の代わりに、これらのレーザレーダ42a及び超音波センサ42bの検出結果からレーザレーダ42a又は超音波センサ42bとダンプトラック100との相対的な距離を演算して目標位置51(
図5、
図6参照)を生成するようにしている。その他の第6実施形態の構成は、上述した第5実施形態の構成と同じであり、第5実施形態の構成と同一の又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略している。
【0096】
このように構成した本発明の第6実施形態によれば、上述した第5実施形態と同様の作用効果が得られる他、レーザレーダ42a及び超音波センサ42bを用いることにより、第5実施形態に係るカメラ41a〜41dの撮影範囲よりも遠方の位置に停車したダンプトラック100を容易に検知することができる。これにより、目標位置設定部5Eによる目標位置51の設定精度を高めることができる。なお、本発明の第6実施形態では、運搬車両位置検出部42がレーザレーダ42a及び超音波センサ42bの双方から構成された場合について説明したが、この場合に限らず、レーザレーダ42a及び超音波センサ42bのいずれか一方から構成されてもよいし、ダンプトラック100の位置を検知できるものであれば、レーザレーダ42a及び超音波センサ42b以外のセンサから構成されてもよい。
【0097】
[第7実施形態]
図18は本発明の第7実施形態が適用される作業機械の一例として挙げた油圧ショベル1Cの構成を示す図である。
【0098】
本発明の第7実施形態が前述した第5実施形態と異なるのは、第5実施形態では
図15に示すように、運搬車両位置検出部41が車体の周囲を撮影する前方カメラ41a、後方カメラ41b、左側方カメラ41c、及び右側方カメラ41dから構成されたのに対して、第7実施形態では
図18に示すように、運搬車両位置検出部43は、これらのカメラ41a〜41dの代わりに、外部の通信装置として、例えばGPS衛星43aと、油圧ショベル1Cに設けられ、GPS衛星43a及びダンプトラック100と無線により通信を行うアンテナ43bと、ダンプトラック100に設けられ、GPS衛星43a及び油圧ショベル1Cと無線により通信を行うアンテナ43cとから構成されていることである。
【0099】
この場合には、油圧ショベル1C及びダンプトラック100は、GPS衛星43aから位置情報をアンテナ43b、43cを介してそれぞれ受信し、各自車体の絶対位置を演算する。そして、ダンプトラック100は、停止時にダンプトラック100の寸法情報及び演算した絶対位置(停車位置)の情報をアンテナ43cで油圧ショベル1へ送信する。
【0100】
油圧ショベル1Cの目標位置設定部5E(
図16参照)は、上述したカメラ41a〜41dの撮影画像の代わりに、ダンプトラック100からの情報をアンテナ43bで受信すると、演算した油圧ショベル1Cの絶対位置、ダンプトラック100の寸法、及びダンプトラック100の絶対位置に基づいて、油圧ショベル1Cとダンプトラック100との相対的な距離を演算して目標位置51(
図5、
図6参照)を生成するようにしている。その他の第7実施形態の構成は、上述した第5実施形態の構成と同じであり、第5実施形態の構成と同一の又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略している。
【0101】
このように構成した本発明の第7実施形態によれば、上述した第5実施形態と同様の作用効果が得られる他、目標位置設定部5Eがアンテナ43b、43cを介してGPS衛星43a及びダンプトラック100からの位置情報や寸法情報を利用することにより、油圧ショベル1Cとダンプトラック100との相対的な距離を正確に演算できるので、ダンプトラック100の位置を検知するセンサ等を油圧ショベル1Cに設ける必要がない。そのため、操作者がセンサの設置位置や設置角度を調整しなくて済むので、これらの調整作業にかかる操作者の負担を軽減することができる。
【0102】
[第8実施形態]
図19は本発明の第8実施形態に係る駆動制御部45の構成を示す機能ブロック図、
図20は本発明の第8実施形態に係る進入禁止領域設定部45aによって設定される進入禁止領域Aを示す図である。
【0103】
本発明の第8実施形態は上述した第1実施形態の構成に加え、例えば、
図19、
図20に示すように、制御装置21の駆動制御部45が、バケット4Cの進入を禁止する進入禁止領域Aを目標位置51(
図5、
図6参照)の周囲の所定の範囲に設定する進入禁止領域設定部45aと、この進入禁止領域設定部45aによって設定された進入禁止領域Aにバケット4Cが到達したとき、操作レバー5A、5Bの操作量に拘わらず、制御弁15、16を強制的に中立位置に保つ制御指令を減圧弁19a、19b、20a、20bへ送信することにより、旋回体3及びフロント作業機4の動作を停止させる緊急停止部45bとを具備している。その他の第8実施形態の構成は、上述した第1実施形態の構成と同じであり、第1実施形態の構成と同一の又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略している。
【0104】
このように構成した本発明の第8実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果が得られる他、バケット4Cがダンプトラック100に接近し過ぎると、進入禁止領域設定部45aによって設定された進入禁止領域Aにバケット4Cのモニタポイント50が到達した時点で、緊急停止部45bによって旋回体3及びフロント作業機4の動作が迅速に停止するので、バケット4Cとダンプトラック100との接触を未然に防止することができる。これにより、操作者は操作レバー5A、5Bを操作して作業を安心して行うことができるので、油圧ショベル1の旋回支援装置に対して優れた信頼性を得ることができる。
【0105】
[第9実施形態]
図21は本発明の第9実施形態に係る目標旋回速度設定部46の構成を示す機能ブロック図である。
【0106】
本発明の第9実施形態は上述した第1実施形態の構成に加え、例えば、
図21に示すように、目標旋回速度設定部46は、旋回体3を減速させる減速度を設定する旋回減速度設定部46aと、信号変換部22bによって演算されたバケット4Cの位置、目標位置入力部5Dによって入力された目標位置51(
図5、
図6参照)、及び旋回減速度設定部46aによって設定された旋回体3の減速度に基づいて、旋回体3を減速させてバケット4Cを目標位置51で停止させる旋回速度を演算し、旋回体3の目標旋回速度を演算した旋回速度に設定して旋回体3の旋回速度を制限する目標停止旋回速度制限部46bとを含んでいる。旋回減速度設定部46aは、旋回体3の減速度として、例えば旋回体3の旋回角度の変化量に対する旋回速度の変化量が負の値になる所定の割合に設定している。
【0107】
図22は目標停止旋回速度制限部46bによる旋回体3の旋回速度の制限について説明する図である。
【0108】
図22に示すように、目標停止旋回速度制限部46bは、信号変換部22b、目標位置入力部5D、及び旋回減速度設定部46aからの信号を受信し、信号変換部22bによって演算された旋回角度に対して旋回体3の旋回速度が制限されているときに、旋回体3の旋回速度を旋回減速度設定部46aで設定された減速度で減少させて旋回体3の旋回角度が目標位置入力部5Dで入力された目標位置51、すなわち旋回体3の目標角度VOに到達した時点で0となる旋回速度の上限Luを定め、旋回体3の目標旋回速度をこの旋回速度の上限Lu以下に設定する。その他の第9実施形態の構成は、上述した第1実施形態の構成と同じであり、第1実施形態の構成と同一の又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略している。
【0109】
このように構成した本発明の第9実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果が得られる他、バケット4Cがダンプトラック100との接触を回避しながら目標位置51で停止する際に、旋回減速度設定部46aで設定された旋回体3の減速度に従って旋回体3の旋回速度が上限Lu以下に制限されることにより、バケット4Cが目標位置入力部5Dによって入力された目標角度VOを超えて停止することがないので、操作者が操作レバー5A、5Bを操作してバケット4Cを目標位置51に合わせる手間を省くことができる。これにより、掘削物8aをダンプトラック100へ積載するのに要する時間を短縮できるので、作業能率を十分に向上させることができる。
【0110】
なお、上述した本実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【0111】
本発明の第1実施形態は、操作室5内に表示装置5Cを設け、この表示装置5Cの表示画面に、速度制御部30による制御が行われている旨の情報を表示した場合について説明したが、この場合に限るものではない。例えば、表示装置5Cの代わりに、操作室5内にランプ等のインジケータを設け、このインジケータから速度制御部30による制御が行われている旨の情報を点灯により報知しても良いし、あるいは操作室5内にブザーを設け、このブザーから速度制御部30による制御が行われている旨の情報を音情報として発するようにしてもよい。
【0112】
さらに、
図8に示すバケット4Cの垂直方向の移動速度Vb1と旋回体3の旋回速度Va1との比(点t1)と、速度比の下限L1上におけるバケット4Cの垂直方向の移動速度Vb1と旋回体3の旋回速度Va2との比(点t2)との乖離率に応じて、インジケータを点滅させたり、あるいはブザーの音程や音量を調整するようにしてもよい。
【0113】
さらに、本発明の第1実施形態は、油圧ショベル1の掘削積込作業の旋回動作において、
図5、
図6に示すバケット4Cを上方へ移動させる場合に限定されるものではない。
【0114】
図23は油圧ショベル1の掘削積込作業の旋回動作において、バケット4Cを掘削位置よりも低い目標位置51Aへ移動させる様子を示す図である。
【0115】
図23に示すように、ダンプトラック100の荷台101の高さ位置がバケット4Cの掘削位置よりも低いときには、目標位置入力部5Dによって入力される目標位置51Aがバケット4Cの位置、すなわちモニタポイント50の位置よりも低くなるので、操作者は操作レバー5A、5Bを操作して旋回体3を旋回させながらバケット4Cを高所から低所へ移動させる。この場合には、速度関係設定部25は、バケット4Cとダンプトラック100との接触を回避する旋回体3の旋回速度とバケット4Cの垂直方向の移動速度との関係として、例えば、目標位置入力部5Dによって入力された目標位置51Aを超えてバケット4Cが下がらないように、バケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限を設定すればよい。
【0116】
また、本発明の第1実施形態は、
図4〜
図6に示すように、油圧ショベル1の掘削積込作業の旋回動作において、バケット4Cの掘削位置から目標位置51までの途中にバケット4Cの移動を妨げる他の運搬車両等の障害物が存在しない場合について説明したが、この場合に限らず、バケット4Cの掘削位置から目標位置51までの途中にバケット4Cの移動を妨げる障害物が存在する場合についても適用することができる。
【0117】
図24は油圧ショベル1の掘削積込作業の旋回動作において、バケット4Cの掘削位置から目標位置52Bまでの途中に障害物100Aがある場所で、バケット4Cを掘削位置から目標位置52Bへ移動させる様子を示す図である。
【0118】
具体例として、
図24に示すように、操作者が目標位置入力部5Dで障害物100Aの上方に目標位置52Aを設定することにより、速度関係設定部25は、バケット4Cと障害物100Aとの接触を回避する旋回体3の旋回速度とバケット4Cの垂直方向の移動速度との関係として、目標移動量−目標旋回角度比演算部24aによって演算された目標移動量と目標旋回角度との比を、バケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限として設定するので、バケット4Cを障害物100Aに接触させることなく目標位置52Aへ移動させることができる。
【0119】
その後、操作者が目標位置入力部5Dでダンプトラック100の荷台101の上方に目標位置52Bを設定することにより、速度関係設定部25は、バケット4Cとダンプトラック100との接触を回避する旋回体3の旋回速度とバケット4Cの垂直方向の移動速度との関係として、目標移動量−目標旋回角度比演算部24aによって演算された目標移動量と目標旋回角度との比を、バケット4Cの垂直方向の移動速度と旋回体3の旋回速度との速度比の下限として設定するので、バケット4Cをダンプトラック100に接触させることなく目標位置52Bへ移動させることができる。このように、旋回体3の旋回動作の全範囲でバケット4Cと障害物100A及びダンプトラック100との接触を回避しながら掘削積込作業を行うことができる。
【0120】
また、本発明の第5〜第7実施形態では、運搬車両位置検出部41〜43の検出結果を用いて目標位置設定部5Eによる目標位置の設定を行った場合について説明したが、この場合に限るものではない。
【0121】
図25は目標位置設定部5Eによる目標位置51の設定の他の例を説明する図であり、油圧ショベル1とダンプトラック100の上面を示している。
【0122】
図25に示すように、油圧ショベル1が掘削物8a(
図5、
図6参照)をダンプトラック100に積載する際には、ダンプトラック100は、バケット4Cから荷台101へ掘削物8aを放出可能な位置に進入する。このとき、油圧ショベル1は、掘削物8aを放出する直前で待機しており、ダンプトラック100の進入が終了してから掘削物8aの放出を開始する。目標位置設定部5Eは、例えば、油圧ショベル1の待機時におけるバケット4Cの位置を記録し、この位置をダンプトラック100の荷台101が満杯になるまでの掘削積込作業における目標位置51に設定してもよい。
【0123】
また、本実施形態が適用される作業機械はバケット4Cを含む油圧ショベル1、1A〜1Cから成る場合について説明したが、この場合に限るものではない。
【0124】
図26は本実施形態が適用される作業機械の他の例として挙げたリフティングマグネット作業機1Dの外観を示す図である。
【0125】
本実施形態は、上述した油圧ショベル1、1A〜1Cの代わりに、例えば、
図26に示すように、作業対象物としての積載物9を保持するリフティングマグネット4C1を含むリフティングマグネット作業機1Dに適用してもよい。この場合には、例えば、本発明の第5実施形態において、前方カメラ41aが積載物9の下端位置を撮影し、制御装置21が前方カメラ41aで撮影した画像から積載物9の下端を、リフティングマグネット4C1の位置として規定するモニタポイント50Aに設定すればよい。