(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2冷却器は、前記ガス化炉で生成されたガス燃料と、前記スクラバ装置で循環する媒体油との間で熱交換を行い、前記ガス燃料を冷却する熱交換器であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスエンジンシステム。
前記ガスエンジンのパイロット燃料となるガスエンジン燃料を前記ガスエンジンに供給するガスエンジン燃料供給装置を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のガスエンジンシステム。
前記ガス火炉と前記第1冷却器との間を流れるガス燃料と、前記ガスエンジン燃料供給装置が供給する前記ガスエンジン燃料との熱交換を行い、前記ガスエンジン燃料を昇温させる燃料熱交換器と、を有することを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載のガスエンジンシステム。
前記ガスエンジン燃料供給装置は、ガスエンジン燃料の一部を前記フィルタ装置と前記スクラバ装置との間の前記ガス燃料が流れるガス燃料ラインに供給することを特徴とする請求項4から7のいずれか一項に記載のガスエンジンシステム。
前記ガス火炉と前記第1冷却器との間を流れるガス燃料と、前記バーナ燃料供給装置が供給する前記バーナ燃料との熱交換を行い、前記バーナ燃料を昇温させる燃料熱交換器と、を有することを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載のガスエンジンシステム。
前記バーナ燃料供給装置は、バーナ燃料の一部を前記フィルタ装置と前記スクラバ装置との間の前記ガス燃料が流れるガス燃料ラインに供給することを特徴とする請求項9から12のいずれか一項に記載のガスエンジンシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、バイオマスをガス化したガス燃料を燃焼させる装置としてガスエンジンを用いることが検討されている。ガスエンジンでガス燃料を燃焼させる場合、供給されるガス燃料の条件によっては、窒素酸化物が多く発生する場合や、ガスエンジンの内部への付着物が多くなり、ガスエンジンに与える影響が大きくなる場合がある。
【0005】
本発明は上述した課題を解決するものであり、ガスエンジンに与える影響を少なくしつつ、かつ、ガス化したバイオマスを含む燃料を効率よく燃焼させることができるガスエンジンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明は、バイオマスからガス燃料を生成するバイオマスガス化システムと、前記バイオマスガス化システムから供給されたガス燃料を燃焼させるガスエンジンと、各部の動作を制御する制御装置と、を有し、前記バイオマスガス化システムは、バイオマスを燃料として燃焼・ガス化させることでガス燃料を生成するガス化炉と、バイオマスを乾燥した後、前記ガス化炉にバイオマスを供給するバイオマス供給ユニットと、前記ガス化炉で生成されたガス燃料を冷却する第1冷却器と、前記第1冷却器を通過したガス燃料に含まれる異物を捕集し、異物を捕集したガス燃料を排出するフィルタ装置と、前記フィルタ装置を通過したガス燃料を400℃以下に冷却する第2冷却器と、前記第2冷却器を通過したガス燃料に媒体油を接触させて、前記ガス燃料中のタール分を捕集するスクラバ装置と、前記スクラバ装置を通過したガス燃料を70℃以上に保持して前記ガスエンジンに供給するガス燃料ラインと、を有することを特徴とする。
【0007】
また、前記第2冷却器と前記スクラバ装置との間の温度を検出する温度検出器と、を有し、前記制御装置は、前記温度検出器の検出結果に基づいて、前記第2冷却器の冷却を制御し、前記冷却器から排出されるガス燃焼を400℃以下とすることが好ましい。
【0008】
また、前記第2冷却器は、前記ガス化炉で生成されたガス燃料と、前記スクラバ装置で循環する媒体油との間で熱交換を行い、前記ガス燃料を冷却する熱交換器であることが好ましい。
【0009】
また、前記ガスエンジンのパイロット燃料となるガスエンジン燃料を前記スクラバ装置に供給するガスエンジン燃料供給装置を有し、前記スクラバ装置は、前記ガスエンジン燃料を前記媒体油に含むことが好ましい。
【0010】
また、前記スクラバ装置の媒体油を前記ガスエンジンに供給するガスエンジン燃料供給ラインを有することが好ましい。
【0011】
また、前記ガスエンジンのパイロット燃料となるガスエンジン燃料を前記ガスエンジンに供給するガスエンジン燃料供給装置を有することが好ましい。
【0012】
また、前記ガス火炉と前記第1冷却器との間を流れるガス燃料と、前記ガスエンジン燃料供給装置が供給する前記ガスエンジン燃料との熱交換を行い、前記ガスエンジン燃料を昇温させる燃料熱交換器と、を有することが好ましい。
【0013】
また、前記ガスエンジン燃料供給装置は、ガスエンジン燃料の一部を前記フィルタ装置と前記スクラバ装置との間の前記ガス燃料が流れるガス燃料ラインに供給することが好ましい。
【0014】
また、前記ガス化炉は、起動用バーナを有し、前記起動用バーナの燃料であるバーナ燃料を前記スクラバ装置に供給するバーナ燃料供給装置を有し、前記スクラバ装置は、前記バーナ燃料を前記媒体油に含むことが好ましい。
【0015】
また、前記スクラバ装置の媒体油を前記起動用バーナに供給するバーナ燃料供給ラインを有することが好ましい。
【0016】
また、前記ガス化炉は、起動用バーナを有し、前記起動用バーナの燃料であるバーナ燃料を前記起動用バーナに供給するバーナ燃料供給装置を有することが好ましい。
【0017】
また、前記ガス火炉と前記第1冷却器との間を流れるガス燃料と、前記バーナ燃料供給装置が供給する前記バーナ燃料との熱交換を行い、前記バーナ燃料を昇温させる燃料熱交換器と、を有することが好ましい。
【0018】
また、前記バーナ燃料供給装置は、バーナ燃料の一部を前記フィルタ装置と前記スクラバ装置との間の前記ガス燃料が流れるガス燃料ラインに供給することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ガスエンジンに与える影響を少なくしつつ、かつ、ガス化したバイオマスを含む燃料を効率よく燃焼させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0022】
図1は、本実施形態に係るガスエンジンシステムを表す概略構成図である。
図2は、
図1に示すガスエンジンシステムのガスエンジンを表す概略構成図である。
【0023】
図1に示すガスエンジンシステム1は、バイオマスを用いて生成したガス燃料を燃料としてガスエンジンで燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能なガスエンジンシステムである。
【0024】
この実施例1のガスエンジンシステム1は、
図1に示すように、バイオマスを燃焼・ガス化させることでガス燃料を生成するバイオマスガス化システム2と、バイオマスガス化システム2で生成されたガス燃料を燃焼するガスエンジン32と、各部の動作を制御する制御装置150と、を有する。
【0025】
バイオマスガス化システム2は、バイオマスを乾燥して供給するバイオマス供給装置3と、供給されたバイオマスをガス化しガス燃料を生成するガス化炉4と、ガス化炉4で生成されたガス燃料を冷却する空気予熱器5と、空気予熱器5を通過しガス燃料の異物を捕集するフィルタ装置6と、スクラバ装置7と、熱交換器8と、を有する。
【0026】
ここで、バイオマスとは、再生可能な生物由来の有機性資源であって、化石資源を除いたものと定義する。例えば、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを減量としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などペレットなどであり、ここに提示したものに限定されることはない。
【0027】
バイオマス供給装置3は、バイオマス貯留部(バイオマスヤード)70と、運搬機72と、受入部74と、搬送コンベヤ76、78と、磁選機80と、鉄分貯留ヤード82と、ホッパ84と、乾燥装置86と、計量コンベア88と、ホッパ90と、供給配管92と、を有する。バイオマス貯留部(バイオマスヤード)70は、加工前のバイオマスが貯留されている。バイオマス貯留部70には、外部からバイオマスが搬送される。運搬機72は、油圧ショベル、ホイールローダ等であり、バイオマス貯留部70に貯留されているバイオマスを搬送する。受入部74は、運搬機72で搬送されたバイオマスが投入される。搬送コンベヤ76は、受入部74に投入されたバイオマスを搬送コンベア78に搬送する。搬送コンベア78は、搬送コンベア76から搬送されたバイオマスをホッパ84に搬送する。磁選機80は、電磁石等でバイオマスに含まれる金属製の異物を吸着し、バイオマスから除去する。異物としては、釘や蝶番が例示される。磁選機80は、バイオマスから除去した金属製の異物を鉄分貯留ヤード82に排出する。ホッパ84は、所定量のバイオマスを貯留可能な装置である。ホッパ84は、搬送コンベア78から供給されたバイオマスを貯留し、貯留したバイオマスを乾燥装置86に供給する。乾燥装置86は、バイオマスから水分を除去する。乾燥装置86としては、バイオマスに熱風を供給する乾燥装置や、加熱源を内部に配置しつつ、バイオマスを流動化させて移動させる流動層乾燥装置を用いることができる。計量コンベア88は、乾燥装置86から排出された乾燥されたバイオマスを、計量した後、ホッパ90に搬送する。ホッパ90は、所定量のバイオマスを貯留可能であり、スクリューフィーダ等で、貯留したバイオマスを所定量ずつ供給する。供給配管92は、ホッパ90とガス化炉4とを接続しており、ホッパ90から排出されたバイオマスをガス化炉4に供給する。
【0028】
バイオマス供給装置3は、以上のような構成であり、バイオマスから異物を除去し、乾燥させた後、ガス化炉4に供給する。バイオマス供給装置3の構造は、これに限定されない。例えば、バイオマス供給装置3は、さらにバイオマスを粉砕するミル等の粉砕装置を備えていてもよい。
【0029】
ガス化炉4は、循環流動層形式のガス化炉であって、ガス化炉本体11と、サイクロン17と、排出配管18と、循環配管19と、シールポッド20と、空気供給配管21と、空気供給分岐配管22と、灰排出配管23と、ガス燃料ライン24と、灰処理装置27と、流動材搬送装置28と、起動用バーナ29と、を有する。ガス化炉4は、循環流動層形式のガス化炉であるが、循環流動層形式に限らず気泡型循環流動層形式であってもよい。
【0030】
ガス化炉本体11は、中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、上下及び周囲の各壁部が全面耐火材料により構成され、外部への放熱が防止可能な構造であり、例えば、500〜1000℃で運転可能となっている。このガス化炉本体11は、流動材としての流動砂と燃料としてのバイオマスを供給可能となっており、内部でバイオマスを燃焼・ガス化することで流動砂を高温化すると共に、二酸化炭素を主成分とする可燃性ガスが発生し、この可燃性ガスをガス化剤としてガス化反応が起こる。ここで、流動砂としては、例えば、珪砂(主成分として、SiO
2、Al
2O
3など)であり、また、ガス化炉本体11内で発生したガスから硫黄を除去(脱硫)するために、炭酸カルシウム(CaCO
3)を投入してもよい。
【0031】
また、ガス化炉本体11は、上側部が排出配管18を介してサイクロン17の上側部に連結されている。サイクロン17は、可燃性ガスと流動砂を分離する。サイクロン17は、下部が循環配管19を介してガス化炉本体11の下側部に連結されており、この循環配管19にシールポッド20が装着されている。
【0032】
空気供給配管21と、空気供給分岐配管22とは、ガス化炉本体11に接続され、燃焼・ガス化用の空気を供給する。空気供給配管21は、端部がガス化炉本体11の下部に連結される。空気供給分岐配管22は、空気供給配管21から分岐し、シールポッド20に連結されている。空気供給配管21は、空気予熱器5で例えば200〜350℃に加熱された高温空気をガス化炉本体11の下部から内部に供給することができる。空気供給分岐配管22は、空気予熱器5で例えば200〜350℃に加熱された高温空気をシールポッド20に供給する。
【0033】
灰排出配管23は、ガス化炉本体11の下部に接続され、堆積した灰を排出する。灰排出管23は、灰と流動材と異物が混在した状態で排出される。ガス燃料ライン24は、サイクロン17の上部に接続されている。ガス燃料ライン24は、サイクロン17を通過した可燃性ガス、つまりガス燃料が排出される。ガス燃料ライン24は、空気予熱器5に接続されている。
【0034】
灰処理装置27は、灰排出配管23から排出された灰と流動材と異物の混合物を処理する。灰処理装置27は、搬送ベルト27aと、分離装置27bと、流動材搬出ライン27cとを有する。搬送ベルト27aは、灰排出配管23から排出された灰と流動材と異物の混合物を分離装置27bに搬送する。分離装置27bは、灰と流動材と異物の混合物を分離し、流動材を流動材搬出ライン27cに供給し、その他の物質を灰循環装置100に供給する。なお、灰処理装置27は、分離装置27bで分離を行わず、そのまま、流動材搬出ライン27cと灰循環装置100に混合物を供給してもよい。
【0035】
流動材搬送装置28は、流動材搬出ライン27cから供給された流動材を含む物質をガス化炉本体11及び循環配管19に供給する。ガス化炉4は、このようにガス化炉本体11及び循環配管19を循環する経路内に、流動材を戻す。起動用バーナ29は、ガス化炉本体11に接続されている燃焼装置である。起動用バーナ29は、燃料(例えばLNG、液化天然ガス)を供給する燃料供給装置29aと、空気を供給する空気供給装置29bとを有する。燃料供給装置29aから燃料を供給しつつ、空気供給装置29bから空気を供給することで、火炎を発生させて、ガス化炉本体11を加熱する。起動用バーナ29は、バイオマスガス化システム2の起動時にガス化炉本体11を加熱する場合に使用される。
【0036】
空気予熱器5は、ガス燃料ライン24及びガス燃料ライン118と接続されており、ガス燃料ライン24から供給されたガス燃料を、熱交換で冷却した後、ガス燃料ライン118に排出する。空気予熱器5は、送風ファン116と接続されている。空気予熱器5は、送風ファン116から供給された空気とガス燃料との間で熱交換を行い、空気を200〜300℃に加熱して昇温させ、ガス燃料を400℃以上500℃以下に減温させる。空気予熱器5は、空気供給配管21及び空気供給分岐配管22と接続しており、昇温した空気を空気供給配管21及び空気供給分岐配管22に供給する。
【0037】
フィルタ装置6は、ガス燃料ライン118及びガス燃料ライン124と接続されており、ガス燃料ライン118から供給されたガス燃料から異物を除去した後、ガス燃料ライン124に排出する。フィルタ装置6は、セラミックフィルタ等の高温、具体的には400℃以上の温度で使用可能なフィルタを有する。フィルタ装置6は、ガス燃料の温度低下を抑制しつつ、フィルタを用いて異物を除去することができればよく、ガス燃料が固定したフィルタを通過する構造としても、サイクロン式の構造としてよい。異物排出装置122は、フィルタ装置6でガス燃料から分離された異物を外部に搬送する。ガス燃料ライン124は、フィルタ装置6から供給されたガス燃料をスクラバ装置7に供給する。
【0038】
スクラバ装置7は、ガス燃料ライン124及びガス燃料ライン126と接続されており、ガス燃料ライン124から供給されたガス燃料からタール分を除去した後、ガス燃料ライン126に排出する。スクラバ装置7は、ガス燃料に媒体油を接触させることで、ガス燃料を冷却しつつ、ガス燃料に含まれるタール分を捕集する。スクラバ装置7は、スクラバ本体130と、循環装置132と、を有する。スクラバ本体130は、媒体油を貯留する貯留部、反応を促進させる触媒部、媒体油を噴霧する噴霧部を有し、噴霧部から媒体油を触媒部に噴霧する。触媒部を通過した媒体油は、貯留部に貯留される。循環装置132は、貯留部に貯留された媒体油を噴霧部に供給する。スクラバ装置7は、ガス燃料を80℃以上400℃以下に冷却することが好ましい。
【0039】
熱交換器8は、冷媒(熱媒)を循環させて、スクラバ装置7の循環装置132を流れる媒体油と、ガス燃料ライン124を流れるガス燃料との熱交換を行う。熱交換器8は、媒体油と冷媒との間で熱交換を行い、媒体油の温度を上昇させ、冷媒の温度を低下させる。
熱交換器8は、ガス燃料と冷媒との間で熱交換を行い、冷媒の温度を上昇させ、ガス燃料の温度を低下させる。熱交換器8は、ガス燃料を400℃以下に冷却する。ガス燃料ライン126は、スクラバ装置7から供給されたガス燃料をガスエンジン32に供給する。ガス燃料ライン126は、スクラバ装置7から供給されたガス燃料の温度を70℃以上に維持してガスエンジン32に供給する。
【0040】
また、バイオマスガス化システム2は、温度検出器140と、温度検出器142とを有する。温度検出器140は、ガス燃料ライン124の熱交換器8よりも下流側(スクラバ装置7側)に設置され、フィルタ装置6及び熱交換器8を通過したガス燃料の温度を検出する。温度検出器142は、ガス燃料ライン126に設置され、スクラバ装置7を通過したガス燃料の温度を検出する。
【0041】
一方、ガスエンジン32は、ガス燃料を燃焼させる内燃機関である。ガスエンジン32は、パイロット燃料として、液体燃料を燃焼させることもできる。ガスエンジン32は、ガス燃料を燃焼させて発生したエネルギを駆動軸の回転エネルギに変換する。ガスエンジン32の駆動軸には、発電機34が接続されている。発電機34は、ガスエンジン32の駆動軸とともに回転部が回転することで、発電する。ガスエンジン32は、ガス燃料を燃焼して生成される排ガスを排ガスライン146から排出する。排ガスライン146には、乾燥装置142が配置されている。乾燥装置142は、内部に乾燥前のバイオマス、例えば生木が配置され、排ガスに含まれる熱によりバイオマスを乾燥させる。
【0042】
制御装置150は、バイオマスガス化システム2の各部の動作を制御する。制御装置150による動作制御については後述する。
【0043】
次に、本実施形態のガスエンジンシステム1の動作について説明する。ガスエンジンシステム1は、バイオマスガス化システム2でバイオマスからガス燃料を生成する。バイオマスガス化システム2は、バイオマス供給装置3の各部でバイオマスを搬送し、金属性の異物を除去し、乾燥した後、ガス化炉4に供給する。ガス化炉4は、供給されたバイオマスと流動材とともに流動させつつ加熱することでガス燃料を生成する。具体的には、ガス化炉本体11は、流動材搬送装置28から流動砂が供給されており、バイオマス供給装置3からバイオマスが供給される。また、ガス化炉本体11は、空気供給配管21により下部からガス化用の高温空気が供給される。すると、ガス化炉本体11内にて、流動砂とバイオマスとが流動混合すると共に、バイオマスが燃焼・ガス化して可燃性ガスが発生する。この燃焼・ガス化により発生した可燃性ガスは、流動砂と共に排出配管18を通してサイクロン17に排出され、このサイクロン17により可燃性ガスと流動砂とに分離される。そして、分離された可燃性ガスは、ガス燃料としてガス燃料ライン24を通して空気予熱器5に供給される。サイクロン17で分離された高温の流動砂は、シールポッド20を介して循環配管19によりガス化炉本体11に戻される。また、灰排出配管23から排出された混合物は、一部が流動材搬送装置28でガス化炉本体11及び循環配管19に戻され、一部が灰循環装置100でバイオマス供給装置3に供給される。ここで、ガス火炉4の内部の温度は、500℃以上1000℃以下である。ガス化炉4は、供給する空気の火を変化させることで、温度を制御することができる。ガス化炉4で生成されるガス燃料は、主成分が一酸化炭素(CO)、水素(H
2)、二酸化炭素(CO
2)、窒素(N)などから構成され、300〜1100kcal/Nm
3程度の低カロリーガスであり、650〜850℃の範囲となる。
【0044】
バイオマスガス化システム2は、ガス化炉4から排出され、ガス燃料ライン24を通過したガス燃料が空気予熱器5に供給される。空気予熱器5は、供給されたガス燃料と空気とを熱交換することで、ガス燃料の温度を400℃以上500℃以下とする。また、空気予熱器5は、大気温度の空気を例えば200〜350℃に加熱する。
【0045】
バイオマスガス化システム2は、空気予熱器5で400℃以上500℃以下としたガス燃料をガス燃料ライン118でフィルタ装置6に供給し、ガス燃料に含まれる異物を除去する。バイマスガス化システム2は、フィルタ装置6で異物を除去し、400℃以上を維持した状態のガス燃料をガス燃料ライン124でスクラバ装置7に供給する。ガス燃料ライン124には、熱交換器8が設けられている。熱交換器8は、ガス燃料ライン124を通過するガス燃料と冷媒との間で熱交換を行い、ガス燃料を400℃以下とする。また、熱交換器8は、冷媒と媒体油との間で熱交換を行い、冷媒を冷却しつつ、媒体油を加熱する。
【0046】
スクラバ装置7は、供給されたガス燃料を流通させる空間に媒体油を噴霧して、ガス燃料と媒体油とを接触させ、ガス燃料に含まれるタール分を媒体油で捕集する。これにより、ガス燃料は、タール分が除去、低減される。また、スクラバ装置7は、ガス燃料と媒体油とを接触させることで、ガス燃料を冷却する。スクラバ装置7は、配管内で水分が恐縮しない温度、例えば70℃以上とする。スクラバ装置7は、タール分を除去したガス燃料をガスエンジン32に供給する。なお、バイオマスガス化システム2は、予め運転条件を設定することで、各位置での温度を上記範囲とすることができる。ガスエンジン32は、供給されたガス燃料を燃焼して、駆動軸を回転させ、発電機34で発電を行う。乾燥装置148は、排ガスの熱を利用して内部に配置された対象を乾燥させる。
【0047】
バイオマスガス化システム2は、熱交換器8で熱交換を行い、ガス燃料を400℃以下に冷却した後、スクラバ装置7に供給することで、スクラバ装置7でタールを好適に回収することができる。つまり、熱交換器8でタールの凝縮温度以下に冷却することで、スクラバ装置7でタールを好適に回収することができる。また、バイオマスガス化システム2は、スクラバ装置7でガス燃料を冷却した後、70℃以上に維持した状態でガスエンジン32に供給することで、エンジンでの燃焼時に発生する窒素酸化物が増加することを抑制することができる。
【0048】
バイオマスガス化システム2は、ガス燃料を400℃以上500℃以下とした後、フィルタ装置6で異物を除去することで、500℃以下で析出するガス燃料に含まれるアルカリ金属成分をフィルタ装置6で除去することができる。また、ガス燃料が400℃以上を維持した状態でフィルタ装置6を通過させガスエンジン32に供給することで、タール分の析出を抑制することができる。これにより、タール分が付着することを抑制でき、ガスエンジン32で燃焼可能な成分をより多くすることができる。また、ガス燃料が400℃以上を維持した状態でフィルタ装置6を通過させガスエンジン32に供給することで、ガス燃料をエネルギが高い状態でガスエンジン32に供給することができる。これにより、ガスエンジンシステム1の運転効率を高くすることができる。また、油・ガス焚きのガスエンジン32にアルカリ金属が投入されることを抑制でき、油・ガス焚きのガスエンジン32でガス化したバイオマスを好適に燃焼させることができる。
【0049】
ここで、フィルタ装置6は、ガス燃料の通過方向と逆の方向から不活性ガスを噴射し、捕集した異物を除去する逆洗機構を有することが好ましい。ここで、不活性ガスとしては、ガスエンジン32の排ガスや、二酸化炭素、窒素等が例示される。フィルタ装置6の洗浄に不活性ガスを用いることで、温度が高い状態でガス燃料が通過するフィルタ装置6内で、ガス燃料が燃焼することを抑制することができる。
【0050】
図2は、ガスエンジンシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
図3に示す動作は、制御装置150が各部の動作を実行することで、実現することができる。制御装置150は、温度検出器140で温度を検出する(ステップS12)。
【0051】
制御装置150は、温度を検出したら、ガス燃料ライン124の熱交換器8よりも下流側を流れるガス燃料の温度が400℃以下であるか判定する(ステップS14)。制御装置150は、温度が400℃以下ではない(ステップS14でNo)、つまり、400℃より高いと判定した場合、熱交換器8を循環させる冷媒の量を増加させる(ステップS16)。制御装置150は、熱交換器8を循環させる冷媒の量を増加させることで、ガス燃料に対する冷媒の吸熱量が増加し、スクラバ装置7に供給されるガス燃料の温度を低くすることができる。制御装置150は、温度が400℃以下である(ステップS14Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
【0052】
バイオマスガス化システム2は、温度検出器140の検出結果に基づいて、熱交換器8の動作を制御し、ガス燃料と冷媒、冷媒と媒体油との熱交換を制御することで、スクラバ装置7に供給するガス燃料をより確実に400℃以下とすることができる。これにより、ガス燃料からタール分を好適に除去することができる。また、上記制御では、上限の400℃を制御の判定基準としたが、判定基準は、400℃よりも低い温度とを用いることが好ましい。これにより、制御に誤差が生じても、フィルタ装置6に供給するガス燃料をより確実に400℃以下とすることができる。また、上記制御では、温度の下限値を設定していないが下限値を設定してもよい。バイオマスガス化システム2は、温度が下限値よりも低くなったら循環させる冷媒の量を減少させる。
【0053】
ここで、上記実施形態のバイオマスガス化システム2はフィルタから排出されたガス燃料を熱交換器8による熱交換で冷却しつつ、媒体油を加熱することで、システム全体の熱を効率よく利用することができる。なお、バイオマスガス化システム2は、熱交換器8に代えて、冷却器を設けてもよい。また、媒体油以外の媒体とガス燃料とを熱交換してもよい。
【0054】
また、上記実施形態のバイオマスガス化システム2は、ガス化炉4から排出されたガス燃料を空気予熱器5による熱交換で冷却しつつ、空気を加熱することで、システム全体の熱を効率よく利用することができる。なお、バイオマスガス化システム2は、空気予熱器5に代えて、冷却器を設けてもよい。また、ガス化炉2に供給する空気以外の媒体とガス燃料とを熱交換してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、温度検出器140をガス燃料ライン124に設置し、ガス燃料ライン124の検出結果に基づいて制御を行ったがこれに限定されない。例えば、ガス燃料ライン126に設置した温度検出器142の結果に基づいて制御を行ってもよい。この場合、スクラバ装置7から排出されるガス燃料の温度を設定した範囲内とするようにスクラバ装置7の運転を制御することで、ガスエンジン32で発生する窒素酸化物を低減することができる。
【0056】
図3は、他の実施形態のガスエンジンシステムを表す概略構成図である。
図3に示すガスエンジンシステム1aは、燃料供給ユニット160を備えている以外は、ガスエンジンシステム1と同様の構成である。以下ガスエンジンシステム1aの特徴である燃料供給ユニット160について説明する。燃料供給ユニット160は、ガスエンジン32にパイロット燃料を供給し、起動用バーナ29に起動用バーナ燃料を供給する。ここで、パイロット燃料と、起動用バーナ燃料は、灯油、軽油、重油等の油(液体燃料)である。燃料供給ユニット160は、ガスエンジン燃料供給装置162と、バーナ燃料供給装置164と、燃料供給ライン166、168と、送液ポンプ170、172と、を有する。
【0057】
ガスエンジン燃料供給装置162は、ガスエンジン32のパイロット燃料であるガスエンジン燃料を貯留し、貯留したガスエンジン燃料をスクラバ装置7に供給する。バーナ燃料供給装置164は、起動用バーナ29の起動用バーナ燃料(バーナ燃料)を貯留し、貯留したバーナ燃料をスクラバ装置7に供給する。燃料供給ライン166は、スクラバ装置7とガスエンジン32とを接続している。燃料供給ライン168は、スクラバ装置7と起動用バーナ29の燃料供給装置29aとを接続している。送液ポンプ170は、燃料供給ライン166に設置されており、スクラバ装置7に貯留された媒体油をガスエンジン燃料としてガスエンジン32に供給する流れを形成する。送液ポンプ172は、燃料供給ライン168に設置されており、スクラバ装置7に貯留された媒体油をバーナ燃料として起動用バーナ29に供給する流れを形成する。ガスエンジンシステム1aの燃料供給ユニット160は、ガスエンジン32の起動時や、起動用バーナ29の使用時に、送液ポンプ170、172を駆動させ、媒体油を各部に送る。
【0058】
ガスエンジンシステム1aの燃料供給ユニット160は、ガスエンジン燃料供給装置162と、バーナ燃料供給装置164が貯留した燃料をスクラバ装置7に供給することで、ガスエンジン燃料、バーナ燃料をスクラバ装置7の媒体油として用いることができる。これにより、ガスエンジンシステム1a内の油を効率よく使用することができ、用いる油の種類を少なくすることができ、装置を簡単にすることができる。
【0059】
また、ガスエンジンシステム1aの燃料供給ユニット160は、スクラバ装置7に貯留された媒体油を燃料供給ライン166と送液ポンプ170とで、ガスエンジン32に供給することで、スクラバ装置7に貯留され、タール分を捕集した媒体油をガスエンジン32で燃焼させることができる。ガスエンジンシステム1aの燃料供給ユニット160は、スクラバ装置7に貯留された媒体油を燃料供給ライン168と送液ポンプ172とで、起動用バーナ29に供給することで、スクラバ装置7に貯留され、タール分を捕集した媒体油を起動用バーナ29で燃焼させることができる。ガスエンジンシステム1aは、スクラバ装置7でタール分を捕集した媒体油を燃料として、消費することで、新たな媒体油をスクラバ装置7に供給することができ、スクラバ装置7のタール分の除去性能を維持することができる。また、スクラバ装置7でタール分を捕集した媒体油をガスエンジン32または起動用バーナ29の燃料として用いることで、媒体油を効率よく利用することができ、エネルギ効率を高くすることができる。
【0060】
燃料供給ユニット160は、ガスエンジン燃料を供給するガスエンジン燃料供給装置162と、バーナ燃料を供給するバーナ燃料供給装置164と、を別々に設けたが同じ供給装置から供給してもよい。また、燃料供給ユニット160は、ガスエンジン燃料を供給する燃料供給ライン166、バーナ燃料を供給する燃料供給ライン168の一方のみを設けてもよい。
【0061】
図4は、他の実施形態のガスエンジンシステムを表す概略構成図である。
図4に示すガスエンジンシステム1bは、燃料供給ユニット160aを備えている以外は、ガスエンジンシステム1と同様の構成である。以下ガスエンジンシステム1bの特徴である燃料供給ユニット160aについて説明する。燃料供給ユニット160aは、ガスエンジン32にパイロット燃料を供給し、起動用バーナ29に起動用バーナ燃料を供給する。燃料供給ユニット160aは、燃料供給装置190と、燃料供給ライン192と、燃料熱交換器193と、燃料供給ライン194、196、198と、制御弁195、197、199と、を有する。
【0062】
燃料供給装置190は、ガスエンジン燃料及びバーナ燃料に相当する液体燃料(油)を貯留している。燃料供給ライン192は、燃料供給装置190と接続され、燃料供給装置190から液体燃料が供給される。燃料供給ライン192は、燃料供給ライン194、196と接続されている。燃料熱交換器193は、燃料供給ライン192とガス燃料ライン124とに接続されている。燃料熱交換器193は、燃料供給ライン192を流れる液体燃料と、ガス燃料ライン124を流れるガス燃料との熱交換を行い、液体燃料の温度を上昇させ、ガス燃料の温度を低下させる。
【0063】
燃料供給ライン194は、燃料供給ライン192とガスエンジン32とを接続している。制御弁195は、燃料供給ライン194に設置されており、燃料供給ライン192からガスエンジン32に流れる液体燃料の流れを制御する。燃料供給ライン196は、燃料供給ライン192と起動用バーナ29とを接続している。制御弁197は、燃料供給ライン196に設置されており、燃料供給ライン192から起動用バーナ29に流れる液体燃料の流れを制御する。ガスエンジンシステム1bの燃料供給ユニット160aは、ガスエンジン32の起動時や、起動用バーナ29の使用時に、制御弁195、197を開き、液体燃料を各部に送る。
【0064】
燃料供給ライン198は、燃料供給装置190とガス燃料ライン124とを接続している。制御弁199は、燃料供給ライン198に設置されており、燃料供給装置190からガス燃料ライン124に流れる液体燃料の流れを制御する。
【0065】
燃料供給ユニット160aは、燃料熱交換器193を設け、液体燃料とガス燃料との熱交換を行い、ガス燃料の温度を低下させることで、空気予熱器5での熱交換量を少なくすることができ、空気予熱器5の負荷を低減することができる。また、燃料供給ユニット160aは、燃料熱交換器193を設け、液体燃料とガス燃料との熱交換を行い、液体燃料の温度を高くすることで、液体燃料の流動性を高くすることができ、液体燃料に粘度の高い燃料、例えば、C重油以上の後粘度タール回収媒体油を用いることができる。
【0066】
燃料供給ユニット160aは、燃料供給ライン198を設け、液体燃料をガス燃料ライン124に供給することで、液体燃料でガス燃料ライン124を流れるガス燃料を冷却することができ、ガス燃料のタール分を液体燃料に吸収させることができる。これにより、スクラバ装置7に供給される前のガス燃料ライン124のガス燃料からタール分を除去することができ、かつ、ガス燃料の温度を低減することができる。このように、燃料供給ユニット160aは、液体燃料をガス燃料ライン124に供給する燃料供給装置190及び燃料供給ライン198が、冷却器となる。
【0067】
燃料供給ユニット160aは、1つの燃料供給装置でガスエンジン燃料とバーナ燃料を供給したが、ガスエンジン燃料を供給するガスエンジン燃料供給装置と、バーナ燃料を供給するバーナ燃料供給装置と、を別々に設けてもよい。また、燃料供給ユニット160aは、ガスエンジン燃料を供給する燃料供給ライン194、バーナ燃料を供給する燃料供給ライン196、燃料供給ライン124に燃料を供給する燃料供給ライン198の少なくとも1つを設ければよい。
【0068】
また、ガスエンジンシステムは、
図3に示す実施形態と
図4に示す実施形態とを組み合わせてもよい。例えば、ガスエンジンシステムは、燃料熱交換器193で熱交換した燃料をスクラバ装置7に供給し、かつ、スクラバ装置7からガスエンジン32、起動用バーナ29に媒体油を供給してもよい。また、ガスエンジンシステムは、スクラバ装置7からガスエンジン32、起動用バーナ29に供給する液体燃料とガス燃料とを燃料熱交換器193で熱交換してもよい。また、ガスエンジンシステムは、燃料供給装置190及び燃料供給ライン198で、液体燃料をガス燃料ライン124に供給し、ガス燃料ライン124からスクラバ装置7に液体燃料を供給し、スクラバ装置7からガスエンジン32、起動用バーナ29に媒体油を供給してもよい。