特許第6345148号(P6345148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6345148
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 1/00 20060101AFI20180611BHJP
   F24C 15/34 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   F24C1/00 370A
   F24C1/00 360G
   F24C15/34 C
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-77326(P2015-77326)
(22)【出願日】2015年4月6日
(65)【公開番号】特開2016-196984(P2016-196984A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2016年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】瀧 啓東志
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−219334(JP,A)
【文献】 特開2014−163596(JP,A)
【文献】 米国特許第05361749(US,A)
【文献】 特開平11−318718(JP,A)
【文献】 特開2015−007516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/00
F24C 15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収容する加熱庫と、
熱気を生成する加熱手段と、
加熱手段を配する燃焼室と、
前記熱気を加熱庫内に循環させる循環ファンと、
循環ファンを回転駆動させるファンモータと、
ファンモータを配するモータ収容室と、
本体の外部空気をモータ収容室へ取り込む冷却ファンと、
加熱庫内の熱気を本体外部へ導く排気通路と、
モータ収容室に取り込まれた外部空気を排気通路の構成壁に沿って導通させる冷却通路と、
冷却通路に送り込まれた外部空気を燃焼室内へ導く帰還通路とを備え
加熱手段で生成された熱気を循環ファンによって加熱庫内に循環させて被加熱物を加熱する加熱調理運転の際、冷却ファンによってモータ収容室に取り込まれる外部空気を冷却通路から帰還通路を通じて燃焼室に供給する構成とした、加熱調理器。
【請求項2】
被加熱物を収容する加熱庫と、
熱気を生成する加熱手段と、
加熱手段を配する燃焼室と、
前記熱気を加熱庫内に循環させる循環ファンと、
循環ファンを回転駆動させるファンモータと、
ファンモータを配するモータ収容室と、
本体の外部空気をモータ収容室へ取り込む冷却ファンと、
加熱庫内の熱気を本体外部へ導く排気通路と、
モータ収容室に取り込まれた外部空気を排気通路の構成壁に沿って導通させる冷却通路と、
冷却通路に送り込まれた外部空気を燃焼室内へ導く帰還通路とを備え
前記帰還通路は、燃焼室の構成壁に沿って配設される、加熱調理器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の加熱調理器において、
前記帰還通路は、下流端が燃焼室の空気取込口に連結される、加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器、特に、加熱手段から放出された熱気を加熱庫内に循環させて被加熱物の加熱調理を行う加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスバーナや電気ヒータ等の加熱手段から放出された熱気を循環ファンによって加熱庫内へ循環させ、食材等の被加熱物の加熱調理を行うオーブン機能を備えた加熱調理器が知られている。
【0003】
この種の加熱調理器は、被加熱物の内部まで均一に焼き上げると共に、表面に焦げ目も付けられるよう、280℃から300℃程度の高温の熱気を加熱庫内へ循環させるように構成されているため、運転時、常に排気口から高温の熱気が排出される問題がある。従って、従来の加熱調理器において、排気通路に沿って冷却通路が設けられ、冷却ファンによって本体の外部空気を冷却通路に流通させることで、排気口からの排気温度を下げるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0004】
具体的には、図8に示すように、従来の加熱調理器7は、本体ケース71内に、被加熱物Fを収容する加熱庫70と、加熱手段73を配する燃焼室80とが区画分離して設けられている。また、本体ケース71内の上部には、加熱庫70内の熱気や被加熱物Fから放出された油煙等を本体ケース71の外部へ導出する排気通路90が設けられている。さらに、本体ケース71内には、外部空気を導通させる冷却通路97が排気通路90に沿って設けられている。
【0005】
本体ケース71内における加熱庫70の後部には、燃焼室80から加熱庫70内へ熱気を循環させる循環ファン74と、本体ケース71の外部空気をモータ収容室95へ取り込む冷却ファン76とが設けられており、ファンモータ75を作動させることで、加熱手段73から燃焼室80内に放出された熱気が循環ファン74によって加熱庫70内へ送り込まれ、これにより、被加熱物Fの加熱調理が行われる。また、それと同時に、本体ケース71の外部空気が冷却ファン76によって給気口950からモータ収容室95へ取り込まれ、ファンモータ75の熱を回収しつつ、冷却通路97に導通される。そしてさらに、冷却通路97に導通された外部空気は、加熱庫70内から排気通路90に導出された熱気中の熱を回収しつつ、本体ケース71の外部へ導出される。これにより、ファンモータ75が冷却され、且つ、排気温度も低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−213649号公報
【特許文献2】特開2014−202382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の加熱調理器7では、ファンモータ75の熱や加熱庫70内からの排気熱を回収した後、そのまま本体外部へ排出するだけで、有効に利用されていなかった。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱手段から放出された熱気を加熱庫内に循環させて被加熱物の加熱調理を行う加熱調理器において、ファンモータの熱や加熱庫からの排気熱を回収し燃焼室に帰還させることで、加熱庫の予熱時間の短縮化および熱効率の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、被加熱物を収容する加熱庫と、熱気を生成する加熱手段と、加熱手段を配する燃焼室と、前記熱気を加熱庫内に循環させる循環ファンと、循環ファンを回転駆動させるファンモータと、ファンモータを配するモータ収容室と、本体の外部空気をモータ収容室へ取り込む冷却ファンと、加熱庫内の熱気を本体外部へ導く排気通路と、モータ収容室に取り込まれた外部空気を排気通路の構成壁に沿って導通させる冷却通路と、冷却通路に送り込まれた外部空気を燃焼室内へ導く帰還通路とを備え、加熱手段で生成された熱気を循環ファンによって加熱庫内に循環させて被加熱物を加熱する加熱調理運転の際、冷却ファンによってモータ収容室に取り込まれる外部空気を冷却通路から帰還通路を通じて燃焼室に供給する構成とした加熱調理器である。
【0010】
このものでは、加熱手段で生成された熱気を加熱庫内に循環させる加熱調理運転の際、本体の外部空気が冷却ファンによってモータ収容室へ取り込まれ、ファンモータの熱を回収する。そしてさらに、モータ収容室に取り込まれた外部空気は、冷却通路を導通する際に、加熱庫内から排気通路に導出された熱気中の熱(排気熱)を回収し、帰還通路を通って燃焼室内へ送り込まれる。これにより、燃焼室への給気温度を既述従来の加熱調理器よりも高くすることができる。
【0011】
また、本発明は、被加熱物を収容する加熱庫と、熱気を生成する加熱手段と、加熱手段を配する燃焼室と、前記熱気を加熱庫内に循環させる循環ファンと、循環ファンを回転駆動させるファンモータと、ファンモータを配するモータ収容室と、本体の外部空気をモータ収容室へ取り込む冷却ファンと、加熱庫内の熱気を本体外部へ導く排気通路と、モータ収容室に取り込まれた外部空気を排気通路の構成壁に沿って導通させる冷却通路と、冷却通路に送り込まれた外部空気を燃焼室内へ導く帰還通路とを備え、前記帰還通路は、燃焼室の構成壁に沿って配設された加熱調理器である。
【0012】
このものでは、冷却ファンを回転駆動させると、本体の外部空気がモータ収容室へ取り込まれ、ファンモータの熱を回収する。そしてさらに、冷却通路を流通する際に、加熱庫内から排気通路に導出された熱気中の熱(排気熱)を回収する。さらに、上記のようにファンモータの熱および加熱庫内からの排気熱を回収した外部空気、帰還通路を流通する際に燃焼室から放出される熱を回収し、帰還通路を通じて燃焼室内へ送り込まれる。これにより、燃焼室内への給気空気の温度をより高くすることができる。また、燃焼室から本体底部へ直接熱が伝わるのも抑制できる。
【0013】
上記加熱調理器において、好ましくは、前記帰還通路は、下流端が燃焼室の空気取込口に連結される。
【0014】
このものでは、燃焼室内の熱気を加熱庫内に循環させるときの循環ファンの吸気力によって、冷却通路から帰還通路に導出された外部空気がより積極的に燃焼室内に導入される。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、ファンモータの熱および加熱庫からの排気熱によって燃焼室内への給気温度を高くすることができるから、その分、加熱庫の予熱時間を短縮できるし、熱効率も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の側面視概略断面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の平面視概略断面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の後部概略斜視である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の第1変形例を示す側面視概略断面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の第2変形例を示す側面視概略断面図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の第3変形例を示す平面視概略断面図である。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の第4変形例を示す側面視概略断面図である。
図8図8は、従来の加熱調理器の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、上記した本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る加熱調理器1は、システムキッチンのカウンタトップKに開設された取付口K1に落とし込んだ状態で設置されるビルトイン式のガスコンロであって、加熱庫10内に循環供給させる熱気により食材等の被加熱物Fの加熱調理を行うオーブン機能を備えている。尚、本明細書では、本体ケース11の前面部111を加熱調理器1の正面とし、加熱調理器1を正面側から見たときの本体ケース11の奥行き方向を前後方向、幅方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
【0019】
本体ケース11の内部には、被加熱物Fを収容する加熱庫10と、加熱手段としてバーナ13を配する燃焼室20とが上下に区画分離して設けられている。また、加熱庫10の上部には、被加熱物Fから放出された油煙や臭気成分、加熱庫10内に送り込まれたバーナ13の燃焼排ガス(熱気)等を本体ケース11の上部後方に開設された排気口300へ導く排気通路30が設けられている。さらに、加熱庫10の後部には、加熱庫10や燃焼室20内の熱気を後述する循環ファンケース34へ導く熱気通路31が設けられている。
【0020】
加熱庫10は、上面を構成する上壁101と、底面を構成する底壁102と、左側面を構成する左側壁103と、右側面を構成する右側壁(図示せず)と、後面を構成する奥壁105とを有しており、前面が本体ケース11の前方へ開放する箱状に形成されている。また、加熱庫10の前面の開口部100は、本体ケース11の前面部111に設けられた前扉12により被閉されている。
【0021】
前扉12の後方で且つ本体ケース11の前面部(以下、「ケース前壁」という)111の下端寄りの位置には、燃焼室20内にバーナ13の燃焼用空気を取り込むための複数の空気取込口200が開設されている。また、本体ケース11の後面部(以下、「ケース後壁」という)115には、本体ケース11の外部空気を後述するモータ収容室35に取り込むための給気口350が開設されている。
【0022】
本体ケース11内における熱気通路31の後部には、バーナ13から燃焼室20内に放出された熱気や加熱庫10内に送り込まれた熱気を加熱庫10内へ循環させる循環ファン14と、本体ケース11の外部空気をファンモータ15の冷却空気としてモータ収容室35に取り込む冷却ファン16とが配設されている。循環ファン14および冷却ファン16は、ファンモータ15の駆動軸に同軸で連結固定されており、ファンモータ15を作動させることで、両ファン14,16は同時に回転駆動する。
【0023】
熱気通路31は、燃焼室20の上部で且つ加熱庫10と循環ファン14を収容する循環ファンケース34との間に設けられており、燃焼室20の上部に開設された熱気出口21を通じて燃焼室20内に繋がる一方、循環ファンケース34の前面部に開設された吸込口22を通じて循環ファンケース34の内部空間に繋がっている。
【0024】
加熱庫10の奥壁105の左右の側辺寄りの位置には、循環ファンケース34の図示しない吹出口に繋がる熱気吹出孔23が開設されている。また、加熱庫10の奥壁105の略中央位置には、熱気通路31に繋がる熱気吸込孔24が開設されている。従って、ファンモータ15を作動させると、バーナ13から燃焼室20内に放出された熱気が、循環ファン14によって熱気出口21から熱気通路31へ導出された後、循環ファンケース34に取り込まれ、熱気吹出孔23から加熱庫10内へ送出される。また、加熱庫10内に送出された熱気の一部は、熱気吸込孔24から熱気通路31へ導出された後、循環ファンケース34に取り込まれ、再び熱気吹出孔23から加熱庫10内へ送出される。
【0025】
加熱庫10の上壁101の後方寄りの位置には、排気通路30に繋がる排気導出孔25が開設されている。排気通路30は、排気導出孔25からモータ収容室35の上方を通って後方へ延設され、さらに後端部が排気口300へ向かって上方に延設されている。従って、循環ファン14によって加熱庫10内に送出された熱気の一部は、排気導出孔25から排気通路30を通って排気口300へ導かれ、本体ケース11の外部へ排出される。
【0026】
モータ収容室35は、ファンモータ15の駆動軸の周辺に開設された軸挿通孔26を通じて、冷却ファン16を収容する冷却ファンケース36の内部空間に繋がっている。従って、ファンモータ15を作動させると、本体ケース11の外部空気が、冷却ファン16によって給気口350からモータ収容室35内へ取り込まれ、ファンモータ15から放出される熱を回収した後、軸挿通孔26を通って冷却ファンケース36内へ導かれる。
【0027】
冷却ファンケース36の上部には、モータ収容室35に取り込まれた外部空気を排気通路30に沿って導通させる冷却通路37が形成されている。図1および図2に示すように、冷却通路37は、冷却ファンケース36の上部から排気通路30の底壁302に沿って後方へ延設され、さらに左側方へ向かって延設されている。また、冷却通路37の後端部は、後方へ向かって本体ケース11の後方まで延出し、冷却通路37に導入された外部空気を燃焼室20内へ導く帰還通路38に繋がっている。従って、モータ収容室35から冷却ファンケース36内に導入された外部空気は、冷却通路37を通り、排気通路30内を流れる熱気から底壁302に伝導される熱(排気熱)を回収した後、帰還通路38へ導出される。
【0028】
図1から図3に示すように、帰還通路38は、冷却通路37の後端部から下方へ延出し、さらにケース後壁115の外側を、給気口350の上方を通って右方へ延出し、給気口350の右側まで延設される第1通路41と、第1通路41の右端部からケース後壁115の外側面に沿って右方へ延設され、右端部がケース後壁115に開設された連通孔27に連結される第2通路42と、連通孔27からケース後壁115の内側面に沿って下方へ延設される第3通路43と、第3通路43の下端部から本体ケース11の底面部(以下、「ケース底壁」という)112に沿って前方へ延設される第4通路44と、第4通路44の前端部からケース前壁111の下端前面に沿って左方へ延設され、空気取込口200に連結される第5通路45とで構成されている。
【0029】
図2に示すように、第3通路43は、加熱庫10の右側方に設けられた、図示しないガスバルブや制御回路等を収容する制御室39の奥部に設けられ、第4通路44は、制御室39の底部に設けられている。また、図1に示すように、第5通路45は、ケース底壁112の前端部に立設形成された前端板116により本体ケース11の外部空間と分離されており、バーナ13の燃焼用の二次空気は、略全てが帰還通路38を通じて燃焼室20内に供給される。即ち、ファンモータ15を作動させた際に、給気口350を通じて冷却通路37に導入された外部空気は、ケース後壁115の外側を通って連通孔27から制御室39の奥部へ導かれ、さらに制御室39の底部に沿って前方へ導かれ、空気取込口200からバーナ13の燃焼用の二次空気として燃焼室20内に送り込まれるように構成されている。
【0030】
このように、上記加熱調理器1によれば、運転中、本体ケース11の外部空気が冷却ファン16によって給気口350からモータ収容室35内へ取り込まれ、ファンモータ15の熱を回収した後、冷却ファンケース36内を通って冷却通路37へ導出されるから、ファンモータ15の過熱を防止できる。そしてさらに冷却通路37へ導出された外部空気は、冷却通路37を流通する間に、排気通路30から排気熱を回収し、帰還通路38へ導出される。これにより、排気口300からの排気温度を低下させることができる。
【0031】
しかも、その後、帰還通路38へ導出された外部空気、即ち、ファンモータ15の熱および加熱庫10内からの排気熱を回収した外部空気は、帰還通路38を通じて空気取込口200へ導かれ、燃焼室20内に供給されるから、燃焼室20への給気温度が既述従来の加熱調理器よりも高くなる。よって、その分、オーブン加熱調理において加熱庫10内の温度を設定温度まで上昇させるのに必要な予熱時間を短縮することができるし、バーナ13の燃焼効率も向上する。
【0032】
また、このものでは、帰還通路38の下流端が空気取込口200に直結されているから、燃焼室20内の熱気を加熱庫10内に循環させるときの循環ファン14の吸気力によって、冷却通路37から帰還通路38に導出された外部空気がより積極的に燃焼室20内に取り込まれる。即ち、ファンモータ15の熱および熱気中の熱を回収した外部空気が、冷却ファン16の排気力と循環ファン14の吸気力との相乗によって積極的に燃焼室20内に導入される。よって、その分、予熱時間を一層短縮することができるし、バーナ13の燃焼効率も一層向上する。また、ファンモータ15の過熱をより確実に防止できると共に、排気温度をより確実に低下させることもできる。
【0033】
尚、上記実施の形態において、冷却通路37は、冷却ファンケース36の上部から排気通路30の底壁302に沿ってケース後壁115の外側まで延設されている一方、帰還通路38の第1通路41は、冷却通路37の後端部からケース後壁115の外側を通って第2通路42に連結されているものを説明したが、図4に示す加熱調理器1Aのように、冷却通路37は、冷却ファンケース36の上部から排気通路30の底壁302および後壁305に沿って排気通路30の上端近傍まで延設されている一方、帰還通路38の第1通路41は、冷却通路37の上端右側から本体ケース11の内側を通って下方へ延出し、ケース後壁115の外側の第2通路42に連結されているものとしてもよい。
【0034】
このものでは、冷却ファンケース36内から冷却通路37へ導出された外部空気は、排気通路30内を流れる熱気から底壁302および後壁305に伝導される熱を回収した後、帰還通路38へ導出される。即ち、加熱庫10内からの排気熱をより多く回収し、帰還通路38へ導出される。従って、燃焼室20内への給気温度がより高くなる。よって、その分、予熱時間を一層短縮することができるし、バーナ13の燃焼効率も一層向上する。
【0035】
また、上記実施の形態において、帰還通路38は、第4通路44が制御室39の底部に配設されているものを説明したが、図5に示す加熱調理器1Bのように、第4通路44が燃焼室20の底壁202に沿って、即ち、燃焼室20の底壁202とケース底壁112との間隙に配設されているものとしてもよいし、図6に示す加熱調理器1Cのように、第4通路44が燃焼室20の側壁203に沿って配設されているものとしてもよい。
【0036】
このものでは、ファンモータ15の熱および加熱庫10内からの排気熱を回収した外部空気が、帰還通路38の第4通路44を流通する際に燃焼室20内の熱気から底壁202或いは側壁203に伝達される熱を回収し、帰還通路38を通じて燃焼室20内へ送り込まれるから、燃焼室20内への給気温度がより一層高くなる。よって、その分、予熱時間を一層短縮することができるし、バーナ13の燃焼効率も一層向上する。
【0037】
特に、図5に示す加熱調理器1Bのように、第4通路44が燃焼室20の底壁202とケース底壁112との間隙に配設されたものでは、燃焼室20からケース底壁112へ直接熱が伝わり難いから、加熱調理器1Bの下方の空間に収納された物品が過熱されたりケース底壁112に使用者が触れた際に不快感を与えたりするなどの不具合も防止できる。
【0038】
また、上記実施の形態において、第5通路45がケース底壁112の前端板116により本体ケース11の外部空間と分離されたもの、即ち、帰還通路38の下流端が空気取込口200に直結されたものを説明したが、図7に示す加熱調理器1Dのように、帰還通路38の下流端が空気取込口200に連絡し、且つ、ケース底壁112に開設された通気孔28にも繋がっており、運転時、ファンモータ15の熱および加熱庫10内からの排気熱を回収した外部空気が、通気孔28から第5通路45に導入される外部空気と共に、燃焼室20内に導入されるように構成されたものとしてもよい。
【0039】
このものでは、たとえ運転中に給気口350や冷却通路37、帰還通路38がごみ詰まりなどを起因として閉塞しても、通気孔28からバーナ13へ燃焼用空気を供給することができるから、給気量の不足に伴うバーナ13の燃焼不良を防止できる。
【0040】
本発明は、被加熱物Fの加熱手段として、燃焼室20内にバーナ13が組み込まれた加熱調理器を説明したが、バーナ13に代えて、電気ヒータが組み込まれたものにも適用できる。
【符号の説明】
【0041】
1 加熱調理器
10 加熱庫
11 本体ケース
13 バーナ(加熱手段)
14 循環ファン
15 ファンモータ
16 冷却ファン
20 燃焼室
30 排気通路
302 排気通路の底壁(構成壁)
35 モータ収容室
37 冷却通路
38 帰還通路
F 被加熱物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8