(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記下方セクションは、前記下方セクションの内周壁面から前記風車タワーの径方向内側に向かって突出するように、前記風車タワーの周方向に沿って延設されたリングフランジを含み、
前記上方セクションに設けられた前記突出部又は前記受け部の何れか一方と前記リングフランジとの間にスペーサを介在させて、前記上方セクションの自重を前記スペーサを介して前記下方セクションの前記リングフランジで受けて、前記クリアランスを前記規定範囲内において一定に維持することを特徴とする請求項1に記載の風車タワーの組み立て方法。
前記クリアランスを調整するステップの後、且つ、前記接合するステップの前において、前記上方セクションの前記下端部と前記下方セクションの前記上端部との間の前記風車タワーの径方向における目違い量を減少させるステップをさらに備える
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の風車タワーの組み立て方法。
前記クリアランスを調整するステップの後、且つ、前記接合するステップの前において、前記上方セクションの内周壁面に上下方向に延在するように設けられた第1リブと、前記下方セクションの内周壁面に上下方向に延在するように設けられた第2リブと、にスプライスプレートを添接し、前記第1リブ及び前記第2リブに前記スプライスプレートを締結するステップをさらに備える
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の風車タワーの組み立て方法。
前記突出部は、先端に近づくにつれて前記突出部が先細りになる先端側領域において、前記突出部の側面が湾曲形状を有することを特徴とする請求項7に記載の風車タワーの組み立て方法。
前記突出部又は前記受け部の少なくとも一方は、前記突出部又は前記受け部の前記少なくとも一方の構成材料よりも摩擦係数が小さい摺動材によって被覆されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の風車タワーの組み立て方法。
前記突出部又は前記受け部の少なくとも一方は、前記上端部と前記下端部との溶接継手部に向かって開口する湾曲形状の切欠き部を有し、前記溶接継手部におけるフィレットを形成することを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の風車タワーの組み立て方法。
前記クリアランスを調整するステップの前において、前記風車タワーの径方向において、前記上方セクションの下端部又は前記下方セクションの上端部の一方の直径を、前記上方セクションの下端部又は前記下方セクションの上端部の他方の直径に近づけるように、前記上方セクションの下端部又は前記下方セクションの上端部の前記一方に対して、前記径方向の力を加える
ことを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の風車タワーの組み立て方法。
前記クリアランスを調整するステップの前において、前記突出部が該突出部に対応する前記受け部と周方向位置が一致するように、前記上方セクションを前記下方セクションに対して回転させるステップをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の風車タワーの組み立て方法。
前記上方セクションにチェーンブロックを取り付け、該チェーンブロックを用いて前記上方セクションを前記下方セクションに対して回転させることを特徴とする請求項13に記載の風車タワーの組み立て方法。
前記接合するステップでは、自動溶接機を用いて、前記上端部と前記下端部との溶接線に沿って自動溶接を行うことを特徴とする請求項1乃至14の何れか一項に記載の風車タワーの組み立て方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、風車タワーを構成するタワーセクション間の継手構造として、特許文献1に開示されるようなフランジ継手に代えて、溶接継手が採用されることがある。
例えば、風車タワーの大型化に伴ってタワーセクション間の継手部分の直径が大きくなることにより、タワーセクションの端部に形成されるフランジの製作が困難となるような場合には、タワーセクションの端部同士を溶接により接続できる場合がある。
タワーセクション同士を溶接で接続する場合、確実な溶接を行うためには、タワーセクションの端部同士を精度良く位置合わせする必要がある。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、タワーセクション間の溶接を確実に行うことができる風車タワーの組み立て方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る風車タワーの組み立て方法は、
下方セクション及び上方セクションを含む複数のタワーセクションにより構成される風車タワーの組み立て方法であって、
前記下方セクションを直立させた状態で前記下方セクションの上方において前記上方セクションを吊り下げて、前記下方セクションの上端部と前記上方セクションの下端部とを向き合わせるステップと、
前記上方セクションの前記下端部又は前記下方セクションの前記上端部の一方に設けられた突出部を、前記上方セクションの前記下端部又は前記下方セクションの前記上端部の他方に設けられた受け部に係合させた状態で、前記上方セクションを前記下方セクションに対して上下方向に移動させ、前記上方セクションの前記下端部と前記下方セクションの前記上端部との間のクリアランスを規定範囲内に調整するステップと、
前記上方セクションの前記下端部と前記下方セクションの前記上端部とを溶接により接合するステップと、を備える。
【0007】
上記(1)の構成では、上方セクションの下端部又は下方セクションの上端部の一方に設けられた突出部を、上方セクションの下端部又は下方セクションの上端部の他方に設けられた受け部に係合させた状態で、直立した下方セクションに対して上方セクションを上下方向に移動させる。すなわち、突出部を受け部に係合させた状態で、下方セクションの径方向又は周方向(すなわち風車タワーの径方向又は周方向)における上方セクションの移動を規制しながら、上方セクションを下方セクションに対して上下方向に移動させるので、上方セクションの下端部と下方セクションの上端部との間のクリアランス(ルートギャップ)を規定範囲内に調整しやすい。これにより、上方セクションの下端部と下方セクションの上端部との溶接を確実に行うことができる。
【0008】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の方法において、
前記下方セクションは、前記下方セクションの内周壁面から前記風車タワーの径方向内側に向かって突出するように、前記風車タワーの周方向に沿って延設されたリングフランジを含み、
前記上方セクションに設けられた前記突出部又は前記受け部の何れか一方と前記リングフランジとの間にスペーサを介在させて、前記上方セクションの自重を前記スペーサを介して前記下方セクションの前記リングフランジで受けて、前記クリアランスを前記規定範囲内において一定に維持する。
上記(2)の方法では、下方セクションに設けられたリングフランジを利用して、上方セクションと下方セクションとの間に配置されるスペーサを介して上方セクションの自重を受けるようにした。ここで、リングフランジは、下方セクションの内周壁面から径方向内側に突出するように周方向に沿って設けられているため、上方セクションの自重に耐えられる剛性を有する。このため、上方セクションの自重をスペーサ及びリングフランジを介してタワーシェルに円滑に伝達させることができ、上方セクションの下端部と下方セクションの上端部との間のクリアランスを安定的に維持することができる。
【0009】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の方法において、前記上方セクションに設けられた前記突出部又は前記受け部の何れか一方を押し上げるための第1アクチュエータを操作することで、前記クリアランスを調整する。
上記(3)の方法によれば、第1アクチュエータによって、上方セクションの自重に抗って上方セクションを押し上げるので、上方セクションの下端部と下方セクションの上端部との間のクリアランスを上下方向において精度良く調整することができる。
なお、上記(3)の方法では、第1アクチュエータは上方セクションの自重に抗する力を生成できるものであれば特に限定されないから、鉛直ジャッキのような簡素な構成のアクチュエータを第1アクチュエータとして採用可能である。
【0010】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(3)の何れかの方法において、前記受け部の底部と前記突出部の先端部との間に挿入するシムの厚さを調節することで、前記クリアランスを調整する。
上記(4)の方法によれば、受け部の底部と突出部の先端部との間に挿入するシムの厚さを調節することで、上方セクションの下端部と下方セクションの上端部との間のクリアランスを上下方向において適切に調整することができる。
【0011】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(4)の何れかの方法は、
前記クリアランスを調整するステップの後、且つ、前記接合するステップの前において、前記上方セクションの前記下端部と前記下方セクションの前記上端部との間の前記風車タワーの径方向における目違い量を減少させるステップをさらに備える。
上記(5)の方法によれば、上方セクションの下端部と下方セクションの上端部との間のクリアランスを調整した後、上方セクションの下端部と下方セクションの上端部との間の風車タワーの径方向における目違い量を減少させてから、上方セクションの下端部と下方セクションの上端部とを溶接により接合する。よって、上方セクションの下端部と下方セクションの上端部との溶接をより確実に行うことができる。
【0012】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(5)の何れかの方法は、
前記クリアランスを調整するステップの後、且つ、前記接合するステップの前において、前記上方セクションの内周壁面に上下方向に延在するように設けられた第1リブと、前記下方セクションの内周壁面に上下方向に延在するように設けられた第2リブと、にスプライスプレートを添接し、前記第1リブ及び前記第2リブに前記スプライスプレートを締結するステップをさらに備える。
上記(6)の方法によれば、上方セクションの下端部と下方セクションの上端部との間のクリアランスを調整した後、第1リブ及び第2リブにスプライスプレート(添接板)を締結して、上方セクションを下方セクションに対して固定してから、上方セクションの下端部と下方セクションの上端部とを溶接により接合する。これにより、上方セクションの下端部と下方セクションの上端部との溶接をより確実に行うことができる。
【0013】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(6)の何れかの方法において、前記突出部は、先端に近づくにつれて先細りになっている。
上記(7)の方法では、突出部は先端に近づくにつれて先細りになっているので、突出部を受け部に挿入する際に、突出部の先端が受け部の入口に接触しにくいため、突出部を受け部に円滑に挿入することができる。また、突出部を受け部に挿入する際に突出部の先端付近が受け部の入口に接触したとしても、先細りとなっている突出部の先端部が受け部の入口に沿うようにしながら突出部を受け部に円滑に挿入することができる。よって、上記(7)の方法によれば、突出部を受け部に円滑に係合させることができる。
【0014】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の方法において、前記突出部は、先端に近づくにつれて前記突出部が先細りになる先端側領域において、前記突出部の側面が湾曲形状を有する。
上記(8)の方法によれば、突出部は、先端に近づくにつれて突出部が先細りになる先端側領域において突出部の側面が湾曲形状を有するので、突出部を受け部に挿入する際に突出部の先端付近が受け部の入口に接触したとしても、突出部を受け部により円滑に挿入することができる。よって、上記(8)の方法によれば、突出部を受け部により円滑に係合させることができる。
【0015】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(8)の何れかの方法において、前記受け部は、先端に近づくにつれて前記突出部を受け入れるための入口幅が広がっている。
上記(9)の方法では、受け部は、先端に近づくにつれて突出部を受け入れるための入口幅が広がっているので、突出部を受け部に挿入する際に、突出部の先端が受け部の入口に接触しにくいため、突出部を受け部に円滑に挿入することができる。また、突出部を受け部に挿入する際に突出部の先端付近が受け部の入口に接触したとしても、突出部の先端部が、先端に近づくにつれて幅が広がっている受け部の入口に沿うようにしながら突出部を受け部に円滑に挿入することができる。よって、上記(9)の方法によれば、突出部を受け部に円滑に係合させることができる。
【0016】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(9)の何れかの方法において、前記突出部又は前記受け部の少なくとも一方は、前記突出部又は前記受け部の前記少なくとも一方の構成材料よりも摩擦係数が小さい摺動材によって被覆されている。
上記(10)の方法では、突出部又は受け部の少なくとも一方は、突出部又は受け部の前記少なくとも一方の構成材料よりも摩擦係数が小さい摺動材によって被覆されているので、突出部を受け部に挿入する際に、突出部と受け部が接したとしても、突出部と受け部とが摺動しやすい。よって、上記(10)の方法によれば、突出部を受け部により円滑に係合させることができる。
【0017】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(10)の何れかの方法において、前記突出部又は前記受け部の少なくとも一方は、前記上端部と前記下端部との溶接継手部に向かって開口する湾曲形状の切欠き部を有し、前記溶接継手部におけるフィレットを形成する。
上記(11)の方法によれば、突出部又は受け部の少なくとも一方に、上端部と下端部との溶接継手部に向かって開口する湾曲形状の切欠き部を設けたので、該切欠き部により溶接継手部におけるフィレットを形成することができる。これにより、溶接により接合された上端部と下端部との溶接継手部における応力集中を緩和して、溶接継手部の疲労強度を向上させることができる。
【0018】
(12)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(11)の何れかの方法において、前記クリアランスを調整するステップの前において、前記風車タワーの径方向において、前記上方セクションの下端部又は前記下方セクションの上端部の一方の直径を、前記上方セクションの下端部又は前記下方セクションの上端部の他方の直径に近づけるように、前記上方セクションの下端部又は前記下方セクションの上端部の前記一方に対して、前記径方向の力を加える。
上記(12)の方法では、クリアランスを調整するステップの前に、風車タワーの径方向において、上方セクションの下端部又は前記下方セクションの上端部の一方の直径を他方の直径に近づけるように、前記一方に対して径方向の力を加えるようにした。これにより、前記風車タワーの径方向において、上方セクションの下端部の直径と下方セクションの上端部の直径とがより近くなるので、クリアランスを調整するステップにおいて突出部と受け部とをより円滑に係合させることができる。
【0019】
(13)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(12)の何れかの方法は、前記クリアランスを調整するステップの前において、前記突出部が該突出部に対応する前記受け部と周方向位置が一致するように、前記上方セクションを前記下方セクションに対して回転させるステップをさらに備える。
上記(13)の方法によれば、クリアランスを調整するステップの前に、突出部が該突出部に対応する受け部と周方向位置が一致するように、上方セクションを下方セクションに対して回転させるので、クリアランスを調整するステップにおいて突出部と受け部とをより円滑に係合させることができる。
【0020】
(14)幾つかの実施形態では、上記(13)の方法において、前記上方セクションにチェーンブロックを取り付け、該チェーンブロックを用いて前記上方セクションを前記下方セクションに対して回転させる。
上記(14)の方法によれば、チェーンブロックを用いた簡素な構成により上方セクションを下方セクションに対して回転させることができ、これにより突出部と受け部との周方向位置を一致させるので、クリアランスを調整するステップにおいて突出部と受け部とをより円滑に係合させることができる。
【0021】
(15)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(14)の何れかの方法において、前記接合するステップでは、自動溶接機を用いて、前記上端部と前記下端部との溶接線に沿って自動溶接を行う。
上記(15)の方法によれば、自動溶接機を用いて、上端部と下端部との溶接線に沿って自動溶接を行うことにより、高品質の溶接を効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、タワーセクション間の溶接を確実に行うことができる風車タワーの組み立て方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0025】
図1は、一実施形態に係る風車タワーの組み立て方法により組み立てられる風車タワーを備える風車の構成例を示す概略図である。同図に示すように、風車1は、少なくとも一本のブレード2及びハブ4で構成されるロータ3と、ロータ3を支持するナセル5と、ナセル5を支持する風車タワー6と、を備える。風車タワー6は、水上又は陸上に設けられた土台構造7に立設されていてもよい。土台構造7は、水上又は陸上に設けられる基礎構造であってもよく、又は、水上に設けられる浮体構造であってもよい。
なお、風車1は風力発電装置を構成するものであってもよい。この場合、ナセル5には、ロータ3の回転エネルギーにより駆動される発電機や、ロータ3の回転エネルギーを該発電機に伝えるためのドライブトレイン等が収容されていてもよい。
【0026】
風車タワー6は、複数のタワーセクションにより構成される。
図1に示す風車1において、風車タワー6は4つのタワーセクション6a〜6dにより構成される。これらのタワーセクション6a〜6dは、上下方向(即ち鉛直方向)に沿って配列されており、上下方向に隣り合う2つのセクションのうち、上側に配置される上方セクション10の下端部11と下側に配置される下方セクション12の上端部13とがそれぞれ接続されて1本の風車タワー6を形成している。
【0027】
図2は、一実施形態に係る風車タワーの組み立て方法の概要を示すフローチャートである。同図に示すように、一実施形態では、まず、下方セクション12の上端部13と上方セクション10の下端部11とを向き合わせて(S102)、下方セクション12の上端部13と上方セクション10の下端部11の周囲方向における位置合わせを行う(S104)。そして、下方セクション12の上端部13と上方セクション10の下端部11との間のクリアランス及び目違い量を調整し(S106及びS108)、後述するスプライスプレートを用いて下方セクション12の上端部13と上方セクション10の下端部11とを仮固定した後(S110)、下方セクション12の上端部13と上方セクション10の下端部11とを溶接により接合する(S112)。
【0028】
なお、上述したステップS104、S108及びS110の実施は任意であり、これらのステップは、必要に応じて実施されるステップである。
また、本実施形態に係る風車タワーの組み立て方法を
図1に示す風車1に適用する場合、風車タワー6を構成する4つのタワーセクション6a〜6dのうち、上下方向において隣り合う少なくとも1組のタワーセクション(即ち、タワーセクション6aと6b、6bと6c又は6cと6d)の接続に本実施形態に係る方法を適用することができる。
【0029】
以下、
図3〜
図13を参照して、
図2のフローに示した風車タワーの組み立て方法の各ステップについて詳細に説明する。以下においては、タワーセクション6bを上方セクション10とし、タワーセクション6aを下方セクション12とした場合を例として説明する。
図3〜
図13は、それぞれ、一実施形態に係る風車タワーの組み立て方法を説明するための図である。
【0030】
まず、各ステップの説明の前に、一実施形態に係る風車タワーの組み立て方法の適用対象となる上方セクション10及び下方セクション12の構成について説明する。
図3Aは、上方セクション10(タワーセクション6b)の
底面図であり、
図3Bは、上方セクション10の下端部11を、上方セクション10の内側から径方向外側に向かって視た図である。
図4Aは、下方セクション12(タワーセクション6a)の
平面図であり、
図4Bは、下方セクション12の
上端部131を、下方セクション12の内側から視た図である。
【0031】
図3A及び
図3Bに示すように、上方セクション10の下端部11には突出部14が設けられている。
上方セクション10には、上方セクション10の内周壁面8から風車タワー6の径方向内側(即ち上方セクション10の径方向内側)に向かって突出するように、風車タワー6の周方向(即ち上方セクション10の周方向)に沿ってリングフランジ18が延設されており、突出部14は、該リングフランジ18から鉛直下向きに突出するように設けられている。
なお、上方セクション10の下端部11において、リングフランジは複数設けられてもよく、
図3Bに示すように、リングフランジ18の他にリングフランジ18’が設けられていてもよい。
【0032】
また、
図4A及び
図4Bに示すように、下方セクション12の上端部13には、突出部14と係合可能な受け部16が設けられている。
下方セクション12は、下方セクション12の内周壁面9から風車タワー6の径方向内側(即ち下方セクション12の径方向内側)に向かって突出するように、風車タワー6の周方向(即ち下方セクション12の周方向)に沿って延設されたリングフランジ20を含む。そして、受け部16は、該リングフランジ20の上方において、鉛直上向きに開口するように設けられている。
なお、
図4Bに示す受け部16は、受け部16を補強するための補強材(
図4Bにおけるリブ62)を含んでいてもよい。
また、下方セクション12の上端部13において、リングフランジは複数設けられてもよく、
図4Bに示すように、リングフランジ20の他にリングフランジ20’が設けられていてもよい。
【0033】
突出部14及び受け部16は、それぞれ複数設けられていてもよい。本実施形態では、
図3A及び
図4Aに示すように、上方セクション10(タワーセクション6b)の中心軸.P周りに周方向に45°の間隔で8か所に突出部14が配置されているとともに、下方セクション12(タワーセクション6a)の中心軸Q周りに周方向に45°の間隔で8か所に受け部16が配置されている。
【0034】
また、上方セクション10には、内周壁面8に上下方向に延在するように第1リブ22が設けられており、下方セクション12には、内周壁面9に上下方向に延在するように設けられた第2リブ24がそれぞれ設けられている。
第1リブ22及び第2リブ24は、それぞれ、周方向において突出部14及び受け部16と距離を空けて設けられている。
【0035】
幾つかの実施形態では、下方セクション12の上端部13に突出部14が設けられているとともに、上方セクション10の下端部11に、突出部14と係合可能な受け部16が設けられていてもよい。
【0036】
ステップS102では、
図5に示すように、下方セクション12(タワーセクション6a)を直立させた状態で、下方セクション12の上方において上方セクション10(タワーセクション6b)をクレーン等を用いて吊り下げて、下方セクション12の上端部13と上方セクション10の下端部11とを向き合わせる。
【0037】
ステップS104では、突出部14が該突出部14に対応する受け部16と周方向位置が一致するように、上方セクション10を下方セクション12に対して周方向に回転させる。この際、上方セクション10にチェーンブロックを取り付けて、該チェーンブロックを用いて上方セクション10を下方セクション12に対して回転させてもよい。
【0038】
なお、ステップS102で下方セクション12の上端部13と上方セクション10の下端部11とを向き合わせた時点で突出部14と該突出部14に対応する受け部16の周方向位置が一致している場合には、ステップS104を行う必要はない。
【0039】
ステップS106では、上方セクション10の下端部11に設けられた突出部14を、下方セクション12の上端部13に設けられた受け部16に係合させた状態で、上方セクション10を下方セクション12に対して上下方向に移動させ、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13との間のクリアランスd
g(ルートギャップ)、すなわち上下方向における上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13との間の距離を規定範囲内に調整する。
【0040】
このステップS106について、
図6A〜
図6Cを参照してより具体的に説明する。
図6A〜
図6Cは、一実施形態に係る突出部及び受け部を示す図であり、それぞれ(a)は風車タワー6の径方向(すなわち上方セクション10又は下方セクション12の径方向)外側に向かって視た図であり、(b)は風車タワーの周方向に沿って視た図である。
【0041】
ステップS102及びS104の後、突出部14が該突出部14に対応する受け部16と周方向位置が一致した状態で、上方セクション10をクレーン等で吊り下ろし、
図6Aに示すように、突出部14を受け部16に係合させる。
図6Aに示す状態では、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13との距離はd
1である。
【0042】
その後、突出部14を受け部16に係合させた状態で、上方セクション10をさらに吊り下ろし、
図6Bに示すように、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13とをより近づける。
図6Bに示す状態では、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13との距離はd
2である。
【0043】
そして、突出部14を受け部16に係合させた状態で、上方セクション10を、クレーンや他の手段を用いて、下方セクション12に対して上下方向に移動させて、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13との間のクリアランスd
gを規定範囲内に調整する(
図6C参照)。ここで、クリアランスd
gは、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13との溶接のためのルートギャップである。すなわち、ステップS106では、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13との間のクリアランスd
gは、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13との溶接のために適切な値に調整される。
【0044】
図6Cに示すように、上方セクション10に設けられた突出部14と下方セクション12のリングフランジ20との間に配置されたスペーサ26を用いて、突出部14の先端部15をスペーサ26の上面27で受けて、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13との間のクリアランスd
gを規定範囲内に調節するようにしてもよい。
また、上方セクション10の自重をスペーサ26を介して下方セクション12のリングフランジ20で受けて、クリアランスd
gを規定範囲内において一定に維持するようにしてもよい。
【0045】
下方セクション12のリングフランジ20は、下方セクション12の内周壁面9から径方向内側に突出するように周方向に沿って設けられているため、上方セクション10の自重に耐えられる剛性を有する。このため、上方セクション10の自重をスペーサ26及びリングフランジ20を介してタワーシェルに円滑に伝達させることができ、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13との間のクリアランスd
gを安定的に維持することができる。
【0046】
また、
図6Cに示すように、突出部14は、上方セクション10の内周壁面8から径方向内側に突出するように周方向に沿って設けられたリングフランジ18から鉛直下向きに突出するように設けられている。このため、突出部14がスペーサ26から受ける反力をリングフランジ18を介してタワーシェルに円滑に伝達させることができ、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13との間のクリアランスd
gをより安定的に維持することができる。
【0047】
なお、
図6A〜
図6Cに示すように、突出部14は、上下方向に沿って延在する支持板19を含んでいてもよい。突出部14が支持板19を含むことで、突出部14の剛性が強化されて、突出部14がより大きな力(例えば後述する鉛直ジャッキ28からの反力等)に耐えられるようになる。
【0048】
図6A〜
図6Cに示す例では、スペーサ26として鉛直ジャッキ28(第1アクチュエータ)を採用している。この場合、上方セクション10をクレーン等で下降させて、突出部14を鉛直ジャッキ28の上面27に載せて、上方セクション10の自重を鉛直ジャッキ28及びリングフランジ20を介して下方セクション12で受ける。この状態とした後に、鉛直ジャッキ28によって、上方セクション10の自重に抗って上方セクション10を押し上げることでクリアランスd
gを調節する。これにより、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13との間のクリアランスd
gを精度良く調整することができる。
【0049】
幾つかの実施形態では、スペーサ26としてシムを用いて、受け部16の底部17と突出部14の先端部15との間に挿入するシムの厚さを調整することで、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13との間のクリアランスd
gを調節してもよい。
【0050】
ステップS106でクリアランスd
gを調整した後、ステップS108では、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13との間の風車タワー6の径方向における目違い量mを減少させる。
ここで、目違い量は、溶接における基準面同士の距離のことである。
図7に示す例では、上方セクション10の下端部11における内周壁面8と、下方セクション12の上端部13における内周壁面9との径方向における距離mが目違い量に相当する。
【0051】
例えば、
図7に示すように、下方セクション12の上端部13のほうが上方セクション10の下端部11よりも径方向内側に位置している場合、油圧ジャッキ30を用いて目違い量mを減少させることができる。
この場合、例えば、上方セクション10の下端部11における内周壁面8に溶接部33において溶接で接合した反力壁32と、下方セクション12の上端部13における内周壁面9との間に油圧ジャッキ30を設置する。そして、油圧ジャッキ30により、下方セクション12の上端部13における内周壁面9に対して径方向外向きの力F
1を作用させるとともに、下方セクションの上端部13における内周壁面9には、反力壁32を介して、F
1の反力に基づく径方向内向きの力F
2を作用させる。これにより、下方セクション12の上端部13を径方向外側に移動させるとともに、上方セクション10の下端部11を径方向内側に移動させることで、目違い量mを減少させる。
【0052】
なお、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13との間の径方向における目違い量mを減少させた後、減少させた目違い量を維持するために、上方セクション10の下端部11及び下方セクション12の上端部13にストロングバック(不図示)を溶接により接合して、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13とを部分的に接続するようにしてもよい。
【0053】
ステップS110では、スプライスプレート34を用いて下方セクション12の上端部13と上方セクション10の下端部11とを仮固定する。
ここで、
図8は、スプライスプレート34による上方セクション10と下方セクション12との接続部分を示す図であり、(a)は風車タワー6の径方向(すなわち上方セクション10又は下方セクション12の径方向)外側に向かって視た図であり、(b)は風車タワーの周方向に沿って視た図である。
【0054】
より具体的には、ステップS110では、上方セクション10の内周壁面8に上下方向に延在するように設けられた第1リブ22と、下方セクション12の内周壁面9に上下方向に延在するように設けられた第2リブ24とにスプライスプレート34を添接し、第1リブ22及び第2リブ24にスプライスプレート34を締結する。
一実施形態では、
図8に示すように、上下方向に配列された第1リブと第2リブとを、周方向において両側から挟むように2枚のスプライスプレート34a,34bを添接する。そして、ボルト35を用いて、第1リブ22及び第2リブ24にスプライスプレート34a,34b締結する。
【0055】
このように、クリアランスdg及び/又は目違い量mを調整した後で第1リブ22及び第2リブ24にスプライスプレート34を締結して、上方セクション10を下方セクション12に対して固定することで、この後の溶接ステップをより確実に行うことができる。
【0056】
ステップS112では、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13とを溶接により接合する。
幾つかの実施形態では、ステップS112において、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13とを自動溶接により接合する。すなわち、自動溶接機を用いて、下方セクション12の上端部13と上方セクション10の下端部11との溶接線に沿って自動溶接を行う。
幾つかの実施形態ではステップS112において、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13とを人手による手動溶接により接合してもよい。
また、幾つかの実施形態ではステップS112において、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13とを、一部は自動溶接により溶接し、一部は手動溶接により溶接することで接合してもよい。
【0057】
上述したS102〜S112の各ステップを含む風車タワーの組み立て方法によれば、突出部14を受け部16に係合させた状態で、下方セクション12の径方向又は周方向における上方セクション10の移動を規制しながら、上方セクション10を下方セクション12に対して上下方向に移動させるので、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13との間のクリアランスd
gを規定範囲内に調整しやすい。これにより、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13との溶接を確実に行うことができる。
【0058】
幾つかの実施形態では、クリアランスd
gを調整するステップS106の前に、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13とのオーバル調整を行ってもよい。オーバル調整は、上方セクション10の下端部11の直径と下方セクション12の上端部13の直径との差が小さくなるように、上方セクション10の下端部11又は下方セクション12の上端部13の少なくとも一方に対して、風車タワー6の径方向の力を加えることによって行ってもよい。
【0059】
図9は、一実施形態に係る上方セクション10及びオーバル調整装置を示す図であり、上方セクション10の下方から上方に向かって視た図である。
例えば、上方セクション10の下端部11に対して風車タワー6の径方向外向きの力を加える場合、
図9に示されるようなオーバル調整装置40を用いることができる。
オーバル調整装置40は、中間棒42と、中間棒42の少なくとも一方の端部に取り付けられた油圧ジャッキ44とを含む。なお、
図9に示すオーバル調整装置40では、中間棒42に両端部に油圧ジャッキ44a,44bが取り付けられている。
【0060】
上方セクション10に径方向外向きの力を加えるときには、まず、上方セクション10の下端部11において力を加える径方向に中間棒42を配向させて、該力を作用させる内周壁面8上の一対の作用点と中間棒42との間にそれぞれ油圧ジャッキ44a,44bを位置させる。そして、油圧ジャッキ44a,44bによって、中間棒42を介して作用点の各々に対して、径方向の外向きF
3,F
3’の力を加える。
【0061】
これにより、風車タワー6の径方向において、上方セクション10の下端部11の直径と下方セクション12の上端部13の直径とがより近くなるので、クリアランスd
gを調整するステップS106において突出部14と受け部16とをより円滑に係合させることができる。
なお、このオーバル調整を行うステップは、下方セクション12の上端部13と上方セクション10の下端部11とを向き合わせるステップS102の前に行ってもよく、該ステップS102の後に行ってもよい。
【0062】
幾つかの実施形態では、オーバル調整を行うステップでは、上方セクション10の下端部11又は下方セクション12の上端部13に対して風車タワー6の径方向内向きの力を加えるようにしてもよい。
【0063】
ここで、
図6A及び
図10〜
図13を参照して、幾つかの実施形態における突出部14及び受け部16の特徴について説明する。
図10〜
図13は、それぞれ、一実施形態に係る突出部及び受け部を示す図である。
なお、
図6A、
図10及び
図11に示す実施形態では、上方セクション10の下端部11に突出部14が設けられるとともに下方セクション12の上端部13に受け部16が設けられている。また、
図12に示す実施形態では、下方セクション12の上端部13に突出部14が設けられるとともに上方セクション10の下端部11に受け部16が設けられている。
【0064】
幾つかの実施形態では、突出部14は、先端(先端部15)に近づくにつれて先細りになっている。
図6Aの(a)及び
図10〜
図12に示す例では、突出部14は、中心軸方向(上下方向)に沿って先端(先端部15)に近づくにつれて、周方向に沿った幅Wcが小さくなるテーパ形状46を有する。
また、
図6Aの(b)に示す例では、突出部14は、中心軸方向に沿って受け部16の底部17に近づくにつれて、径方向に沿った幅Wrが小さくなるテーパ形状47を有する。
【0065】
幾つかの実施形態では、
図6A及び
図10〜
図12に示すように、受け部16は、先端に近づくにつれて突出部14を受け入れるための入口幅Wiが広がるテーパ形状48を有する。
【0066】
このように、突出部14は先端に近づくにつれて先細りになっているので、及び/又は、受け部16は、先端に近づくにつれて突出部14を受け入れるための入口幅が広がっているので、突出部14を受け部16に挿入する際に、突出部14の先端が受け部16の入口21に接触しにくい。このため、突出部14を受け部16に円滑に挿入することができ、突出部14を受け部16に円滑に係合させることができる。
【0067】
幾つかの実施形態では、
図10に示すように、突出部14のテーパ形状46が設けられた先端側領域において、突出部14の側面50が湾曲形状49を有する。なお、
図10に示す実施形態では、突出部14の側面50の湾曲形状49は凸の曲面を有している。
この場合、突出部14を受け部16に挿入する際に突出部14の先端付近が受け部16の入口21に接触したとしても、突出部14を受け部16により円滑に挿入することができるので、突出部14を受け部16により円滑に係合させることができる。
【0068】
幾つかの実施形態では、受け部16のテーパ形状48が設けられた領域において、受け部16の側面が湾曲形状を有していてもよい。
この場合、突出部14を受け部16に挿入する際に突出部14の先端付近が受け部16の入口21に接触したとしても、突出部14を受け部16により円滑に挿入することができるので、突出部14を受け部16により円滑に係合させることができる。
【0069】
幾つかの実施形態では、突出部14又は受け部16の少なくとも一方は、突出部14又は受け部16の前記少なくとも一方の構成材料よりも摩擦係数が小さい摺動材によって被覆されている。
図11に示す実施形態では、突出部14は、先端側領域において、突出部14の構成材料(例えば鋼材)よりも摩擦係数が小さいフッ素樹脂板52により被覆されている。すなわち、摺動材であるフッ素樹脂板52は、突出部14のうち、突出部14と受け部16とを係合させる際に、受け部16と接触しやすい先端側領域の部分に設けられている。
なお、
図11に示す実施形態では、受け部16は、フッ素樹脂材との摺動性が良好なステンレス板54により被覆されている。
【0070】
この場合、突出部14を受け部16に挿入する際に、突出部14と受け部16が接したとしても、突出部14と受け部16とが摺動しやすいため、突出部14を受け部16により円滑に係合させることができる。
【0071】
幾つかの実施形態では、突出部14又は受け部16の少なくとも一方は、上端部13と下端部11との溶接継手部56に向かって開口する湾曲形状の切欠き部58を有し、溶接継手部56におけるフィレット60を形成する。
ここで、
図13は、溶接するステップS112の後の突出部14及び受け部16を示す図であり、上方セクション10の下端部11と下方セクション12の上端部13とは、溶接するステップS112で溶接継手部56において形成された溶接金属57を介して接続されている。
図13に示す実施形態では、突出部14は、溶接継手部56に向かって開口する湾曲形状の切欠き部58aを有し、溶接継手部56におけるフィレット60aを形成するとともに、受け部16は、溶接継手部56に向かって開口する湾曲形状の切欠き部58bを有し、溶接継手部56におけるフィレット60bを形成する。
【0072】
フィレット60aは、上方セクション10の下端部11において突出部14を溶接により設ける際に形成される。より具体的には、溶接部64aにて上方セクション10の内周壁面8と突出部14とを接合した後、切欠き部58aと上方セクション10の内周壁面8とが円滑に連なるように、グラインダで切欠き部58aの形状を整えることによりフィレット60aが形成される。
同様に、フィレット60bは、下方セクション12の上端部13において受け部16を溶接により設ける際に形成される。より具体的には、溶接部64bにて下方セクション10の内周壁面9と
受け部16とを接合した後、切欠き部58bと下方セクション12の内周壁面9とが円滑に連なるように、グラインダで切欠き部58bの形状を整えることによりフィレット60bが形成される。
【0073】
このようなフィレット60a又はフィレット60bを形成することにより、上方セクション10と突出部14との溶接部64a、又は、下方セクション12と受け部16との溶接部64bにおける応力集中を緩和して、該溶接部64a又は溶接部64bの疲労強度を向上させることができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0075】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。