特許第6345266号(P6345266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6345266波長変換素子、波長変換素子を含む発光半導体コンポーネント、波長変換素子の製造方法、および波長変換素子を含む発光半導体コンポーネントの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6345266
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】波長変換素子、波長変換素子を含む発光半導体コンポーネント、波長変換素子の製造方法、および波長変換素子を含む発光半導体コンポーネントの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20180611BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20180611BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20180611BHJP
   C09K 11/80 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   G02B5/20
   H01L33/50
   C09K11/08 G
   C09K11/80CPM
   C09K11/08 B
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-556701(P2016-556701)
(86)(22)【出願日】2015年3月5日
(65)【公表番号】特表2017-510843(P2017-510843A)
(43)【公表日】2017年4月13日
(86)【国際出願番号】EP2015054668
(87)【国際公開番号】WO2015135839
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2016年11月9日
(31)【優先権主張番号】61/950,574
(32)【優先日】2014年3月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ブリッタ ゲーツ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー エイ. タリー
【審査官】 中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/135502(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/136709(WO,A1)
【文献】 特開平05−325793(JP,A)
【文献】 特表2012−527742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
F21K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの焼結済み波長変換材料を含む波長変換素子であって、
・前記焼結済み波長変換材料内のチャネルによって格子が形成されており、
・前記チャネルは、前記焼結済み波長変換材料によって少なくとも部分的に囲まれており、
・前記チャネルは、前記焼結済み波長変換材料中を少なくとも部分的に通って、前記波長変換素子の主延在方向に対し垂直なまたは斜めの方向に延在しており、
・前記チャネルは、焼結済み非変換セパレータ材料を含んでお
・前記焼結済み非変換セパレータ材料は、紫外線および/または可視光に対し非透過性である、
波長変換素子。
【請求項2】
前記チャネルは、前記波長変換素子の主延在方向に少なくとも部分的に平行に延在している、
請求項1記載の波長変換素子。
【請求項3】
前記チャネルは、前記焼結済み波長変換材料中を完全に貫通して延在しており、または、
前記チャネルは、前記焼結済み波長変換材料中を部分的に通って延在している、
請求項1記載の波長変換素子。
【請求項4】
前記焼結済み非変換セパレータ材料は、紫外線および/または可視光に対し反射性である、
請求項1記載の波長変換素子。
【請求項5】
前記焼結済み波長変換材料は、以下の材料すなわち、
YAG: Ce, LuAG: Ce, LuYAG: Ce
のうちの1つまたは複数から選択された、ドーピングされたセラミック材料を含む、
請求項1記載の波長変換素子。
【請求項6】
前記焼結済み波長変換材料は、グループすなわち、
(AE)SiON, (AE)SiAlON, (AE)AlSiN3, (AE)2Si5N8 ただしAEはアルカリ土類金属、
硫化物、
オルトケイ酸塩、
から選択された1つまたは複数の材料を含む、
請求項1記載の波長変換素子。
【請求項7】
前記焼結済み波長変換材料は、マトリックス材料中に分散された波長変換物質を含む、
請求項1記載の波長変換素子。
【請求項8】
波長変換素子の製造方法であって、以下のステップを含む、すなわち、
A)上面および該上面とは反対側に位置する底面を備えた支持シートを準備するステップと、
B)前記支持シートの前記上面に波長変換材料を設けるステップと、
C)前記波長変換材料を直接的または間接的にパターニングして、該波長変換材料により少なくとも部分的に囲まれるチャネルを、該波長変換材料中に形成するステップと、
D)前記チャネルを、紫外線および/または可視光に対し非透過性の非変換セパレータ材料から成るスラリーによって充填するステップと、
E)前記波長変換素子を焼結するステップと
を含む、
波長変換素子の製造方法。
【請求項9】
前記波長変換材料を直接的にパターニングするステップは以下のステップを含む、すなわち、
前記波長変換材料を選択的に除去することによって、該波長変換材料内に格子状のパターンで前記チャネルを形成し、前記チャネルを少なくとも一部の個所で、前記波長変換材料中を完全に貫通して延在させ、前記波長変換材料が少なくとも部分的に存在しない領域を形成する、
請求項記載の方法。
【請求項10】
前記直接的なパターニングを、さらに付加的に前記チャネルが少なくとも部分的に前記支持シート中も通って延在するように実施する、
請求項記載の方法。
【請求項11】
前記波長変換材料を間接的にパターニングするステップは以下のステップを含む、すなわち、
前記支持シートの上面に除去可能なアイランド領域を設け、該除去可能なアイランド領域を互いにスペースをおいて配置し、
前記波長変換材料を少なくとも一部の個所で、前記除去可能なアイランド領域の間に充填し、
前記アイランド領域を、前記支持シートの上面から除去して、前記チャネルを形成する、
請求項記載の方法。
【請求項12】
前記除去可能なアイランド領域はフォトレジストを含む、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記支持シートは非ドーピングセラミックシートを含む、
請求項記載の方法。
【請求項14】
前記波長変換素子を焼結前に予備焼結する、
請求項記載の方法。
【請求項15】
動作中に光出射面を介して発光方向に沿って1次放射を送出するピクセル型発光半導体チップと、請求項1記載の波長変換素子とを含む発光半導体コンポーネントであって、
前記波長変換素子は、前記発光半導体チップの光出射面の上に配置されている、
発光半導体コンポーネント。
【請求項16】
請求項記載の方法により波長変換素子を製造し、
次に該波長変換素子を、ピクセル型発光半導体チップの光出射面の上に配置する、
請求項15記載の発光半導体コンポーネントの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長変換素子および波長変換素子の製造方法に関する。さらに本発明は、波長変換素子を含む発光半導体コンポーネントおよび波長変換素子を含む発光半導体コンポーネントの製造方法に関する。
【0002】
いくつかの実施形態によれば、発光半導体コンポーネントのための波長変換素子が特定される。さらにいくつかの実施形態によれば、波長変換素子の製造方法が特定される。さらに別の実施形態によれば、波長変換素子を含む発光半導体コンポーネントおよびこの種の発光半導体コンポーネントの製造方法が特定される。
【0003】
少なくとも1つの実施形態によれば、波長変換素子は、少なくとも1つの焼結済み波長変換材料を含む。波長変換素子を自立型とすることができる。この場合、コンポーネントを機械的に支持または固定することなく、波長変換素子を安定状態にしておくことができる。波長変換素子は主延在面を有する。特に波長変換素子は、シート状またはプレート状に形成されていて、主延在面に沿った方向の寸法は、波長変換素子の厚さに対応する主延在面に対し垂直な方向の寸法よりも大きい。さらにこの波長変換素子は、複数の層および/またはシートを含むことができる。たとえばそれらの層および/またはシートは、同じ焼結済み波長変換材料を含むことができ、あるいはそれらの層および/またはシートは各々、他の層および/またはシートの波長変換材料とは異なる波長変換材料を含むことができる。これに加え、上述の層のうちの1つが非ドーピング層を含むことができ、この層を特に支持層および/または支持シートとして用いることができる。この場合、非ドーピング層を、波長変換素子の放射出射エリアと向き合わせて配置することができる。
【0004】
用語「焼結済み」とは、特に要求されている波長変換材料密度を得るために、既述の波長変換材料が高温で処理またはベーキングされている、ということを意味する。
【0005】
用語「波長変換材料」とは、この材料が、第1のピーク波長を有する1次放射の少なくとも一部分を、第1のピーク波長とは異なる第2のピーク波長を有する2次放射に変換できる、ということを意味する。具体的には、波長変換材料は、1次放射を吸収可能であり2次放射を再放出可能である。
【0006】
少なくとも1つの実施形態によれば、焼結済み波長変換材料内のチャネルによって格子が形成される。格子の形成を特に、スライシング、スタンピング成形、および/またはエンボス加工によって実現することができる。格子は焼結済み波長変換材料と共に、波長変換素子を構成することができ、この波長変換素子において焼結済み波長変換材料は、格子により他とは少なくとも部分的に分離された複数の領域を形成し、これらの領域は、波長変換素子に照射された光を、入射光とは異なる光に変換することができる。
【0007】
少なくとも1つの実施形態によれば、チャネルは焼結済み波長変換材料によって少なくとも部分的に囲まれており、チャネルは、焼結済み波長変換材料中を少なくとも部分的に通って、波長変換素子の主延在方向に対し垂直なまたは斜めの方向に延在しており、チャネルは、焼結済み非変換セパレータ材料を含んでいる。波長変換素子の主方向は、波長変換素子の既述の主延在面に平行に延在している。たとえば、チャネルの側面または側方表面は、焼結済み波長変換材料と焼結済み非変換セパレータ材料との界面によって形成されている。チャネルの底面は、焼結済み非変換セパレータ材料と、焼結済み波長変換材料との界面によって形成されており、あるいはチャネルの底面は、焼結済み非変換セパレータ材料と、焼結済み波長変換材料を含む1つまたは複数の非ドーピングの層および/またはシートとの間に形成されている。チャネルの形状を、長方形、正方形、三角形または台形とすることができる。
【0008】
焼結済み非変換セパレータ材料が焼結済み波長変換材料と1つの共通の平坦面を成すように、焼結済み非変換セパレータ材料をチャネルに充填することができる。さらに考えられるのは、焼結済み非変換セパレータ材料が焼結済み波長変換材料を越えて縦方向に突出するように構成することであり、この場合、縦方向は主延在方向に対し斜めに延在している。たとえば、焼結済み非変換セパレータ材料によってチャネルを完全に充填して、焼結済み波長変換材料と焼結済み非変換セパレータ材料とがじかに接触し、焼結済み波長変換材料と焼結済み非変換セパレータ材料との間にギャップが存在しないようにする。
【0009】
用語「非変換」とは、焼結済みセパレータ材料は1次放射の波長を変換する能力がない、ということを意味する。焼結済み非変換セパレータ材料は1次放射の波長を、赤外線および/または熱放射を除いて、変化または吸収および再放出しない。焼結済み非変換セパレータ材料はたとえば、そこに当射されたどのような放射も完全に吸収または反射することができる。
【0010】
波長変換素子の少なくとも1つの実施形態によれば、波長変換素子は、少なくとも1つの焼結済み波長変換材料を含んでおり、焼結済み波長変換材料内のチャネルによって格子が形成されており、チャネルは、焼結済み波長変換材料によって少なくとも部分的に囲まれており、チャネルは、焼結済み波長変換材料中を少なくとも部分的に通って、波長変換素子の主延在方向に対し垂直なまたは斜めの方向に延在しており、チャネルは、焼結済み非変換セパレータ材料を含んでいる。
【0011】
上述の実施形態のさらに改善された実施形態によれば、チャネルの格子は、焼結済み非変換セパレータ材料を含んでおり、この場合、格子は、第1の方向に延在する第1のチャネルと、第2の方向に延在する第2のチャネルとを有しており、これら第1の方向と第2の方向は、波長変換素子の主延在方向に対し平行である。これら第1の方向と第2の方向は好ましくは、第1のチャネルと第2のチャネルとが互いに交差するよう、互いに垂直または斜めになっている。第1のチャネルの深さを、第2のチャネルの深さと等しくしてもよいし、異ならせてもよい。具体的に述べると、深さを異ならせる場合には、第1のチャネルを、焼結済み波長変換材料中を完全に貫通させることができる一方、第2のチャネルを、焼結済み波長変換材料中を部分的にしか通らずに延在させる。深い方の第1のチャネルによって、たとえば焼結済み波長変換材料中を完全に貫通するチャネルによって、隣り合う各波長変換エリア間のクロストークがいっそう効率的に低減される。また、浅い方の第2のチャネルによって、たとえば焼結済み波長変換材料中を部分的にしか通らずに延在するチャネルによって、波長変換素子の機械的安定性が高められる。
【0012】
少なくとも1つの実施形態によれば、波長変換素子の製造方法は、上面およびこの上面とは反対側に位置する底面を有する支持シートを準備するステップAを含む。上面および底面を、共通の側面によって互いに接続することができ、この側面は、上面または底面に対し斜めに、特に垂直に延在する。さらに支持シートはたとえば、ポリマー材料、セラミック材料および/またはガラスを含むことができる。たとえばチャネルが波長変換素子中を完全に貫通して延在している場合には、この支持シートを特に、波長変換素子の製造中に波長変換素子を固定するために用いることができる。さらに支持シートを、薄片またはプレートとすることも可能である。たとえば薄片を、ポリエステル薄片などのようなポリマー薄片とすることができる。たとえば支持シートとして、マイラーホイルを準備することができる。
【0013】
波長変換素子の製造方法に関する少なくとも1つの実施形態によれば、この方法のステップBにおいて、支持シートの上面に波長変換材料を準備する。既述の波長変換材料を、未焼結状態のものとしてもよい。つまりこの場合、波長変換材料は、ペースト状態、半流動状態および/または粘性状態であり、さらに詳しく述べると、まだ熱によって処理されておらず、あるいは乾燥されていない。支持シート上面に波長変換材料を準備するために、たとえば波長変換材料を含むスラリーまたはペーストを製造することができる。適切なキャスティング法を用いることによって、スラリーまたはペーストから成る層またはグリーンテープの形態で、たとえばプレートまたはテープの形態で、支持シート上面に波長変換材料を塗布することができる。
【0014】
このケースにおいて、グリーンボディの望ましい厚さつまりは波長変換素子の望ましい厚さが達成されるように、この態様で製造された複数の層またはグリーンテープを上下に積層することも可能である。したがって具体的には、上述の方法のステップBで製造された未焼結の波長変換材料から成る層を、複数のこの種の層から形成することもできるように、未焼結の波長変換材料から成る複数のグリーン層を、別のグリーン層の上面に塗布することもできる。これに応じて波長変換素子は、1つまたは複数の波長変換材料層を含むことができ、それらは波長変換素子が完成した状態でいっしょに焼結される。よって、既述の実施形態および以下で説明する実施形態は、未焼結の波長変換材料から成る1つの層だけが製造される方法と、未焼結の波長変換材料から成る複数の層が塗布されて上下に積層される方法の双方に関わるものである。
【0015】
波長変換素子の製造方法に関する少なくとも1つの実施形態によれば、この方法のステップCにおいて、波長変換材料を直接的または間接的にパターニングして、波長変換材料により少なくとも部分的に囲まれるチャネルを、この波長変換材料中に形成する。格子の形成を特に、スライシング、スタンピング成形、エンボス加工、ソーイング、および/またはダイシングたとえばレーザダイシングによって実現することができる。未焼結状態または乾燥状態または焼結済み状態の波長変換材料に対して、パターニングを実施することができる。焼結済み状態でパターニングするためには通常、ソーイングまたはダイシングたとえばレーザダイシングのようないっそう高度なパターニング法が必要とされる。
【0016】
詳しくは直接的なパターニングを好ましくは、乾燥後に波長変換材料に対して実施することができる。さらに詳しくは間接的なパターニングを好ましくは、スラリーまたはペーストの形態で未焼結状態の波長変換材料に対して実施することができる。波長変換素子を、波長変換材料の乾燥後にすでに自立可能とすることができ、支持シートを除去して波長変換素子を得ることができる。
【0017】
波長変換素子の製造方法に関する少なくとも1つの実施形態によれば、この方法のステップDにおいて、非変換セパレータ材料から成るスラリーでチャネルを充填する。
【0018】
波長変換素子の製造方法に関する少なくとも1つの実施形態によれば、この方法のステップEにおいて、波長変換素子を焼結する。焼結プロセスによって、波長変換材料および非変換セパレータ材料から成るスラリーは、要求された密度に到達する。
【0019】
本発明による方法の少なくとも1つの実施形態によれば、この方法は以下のステップを有する。すなわち、
A)上面およびこの上面とは反対側に位置する底面を備えた支持シートを準備するステップ。
B)支持シート上面に波長変換材料を設けるステップ。
C)波長変換材料を直接的または間接的にパターニングして、この波長変換材料により少なくとも部分的に囲まれるチャネルを、この波長変換材料中に形成するステップ。
D)チャネルを、非変換セパレータ材料から成るスラリーにより充填するステップ。
E)波長変換素子を焼結するステップ。
【0020】
波長変換素子をピクセル型の発光デバイス(LED)に配置するのは、クロストークを阻止するためにピクセル間の光の分離が望まれる場合には特に、困難な課題である。シングルピクセルの波長変換素子の取り扱いは、変換領域、変換素子または変換セクションのサイズが500μmよりも小さくなると特に、ピクセルサイズの低減に伴って困難になる。この場合の着想とは、クロストークを避けるため、焼結済み波長変換材料と焼結済み非変換セパレータ材料とを含む単一の波長変換素子を一体的に製造する、ということである。既述の波長変換素子の場合には、波長変換材料内に格子を形成し、この格子のチャネルに非変換セパレータ材料を充填することによって、波長変換材料間の光学的なクロストークを回避することができる。
【0021】
このことは、波長変換材料を含む領域各々が、発光半導体チップの1つの発光セグメントに割り当てられる場合に、特に有利になる可能性がある。既述の方法に基づき大きい波長変換素子すなわち、たとえば発光半導体チップのサイズの波長変換素子を、波長変換材料を含む個々の変換領域を個別に処理して位置決めする必要なく、有利に処理することができる。その結果、個々の変換領域の位置合わせを1回だけ、つまり波長変換素子の調整中に行えばよく、波長変換材料を含む変換領域ごとに互いに別個に位置合わせする必要がない。
【0022】
既述の実施形態および特徴は、波長変換素子と波長変換素子の製造方法とに等しく適用される。
【0023】
少なくとも1つの実施形態によれば、チャネルは、波長変換素子の主延在方向に少なくとも部分的に平行に延在している。たとえば焼結済み波長変換材料内の格子が、菱形、ダイヤモンド形、長方形または正方形といった形状のセルを有するように、チャネルは互いにスペースをおいて配置されており、相互間で一定の距離を有している。
【0024】
少なくとも1つの実施形態によれば、チャネルは、焼結済み波長変換材料中を完全に貫通して延在しており、またはチャネルは、焼結済み波長変換材料中を部分的に通って延在している。チャネルが焼結済み波長変換材料中を完全に貫通して延在しているケースでは、焼結済み波長変換材料を支持シートによって支持することができ、この場合、チャネルの側面は、焼結済み波長変換材料と焼結済み非変換セパレータ材料との間の界面によって形成され、チャネルの底面は、焼結済み波長変換材料と支持シートとの間の界面によって形成される。さらにチャネルを、焼結済み波長変換材料と焼結済み非変換セパレータ材料との間の界面である側面と底面とを有する切り欠きとして、焼結済み波長変換材料内に形成することができる。
【0025】
少なくとも1つの実施形態によれば、焼結済み非変換セパレータ材料は、紫外線および/または可視光に対し非透過性である。紫外線および/または可視光を、たとえば発光半導体チップから送出させることができる。詳しくは、焼結済み非変換セパレータ材料は、紫外線および/または可視光を吸収し、この場合、焼結済み非変換セパレータ材料は特に、カーボンブラックを含有する。焼結済み非変換セパレータ材料を、その吸収特性ゆえに見る側に格子が黒く見えるように、選定することができる。
【0026】
少なくとも1つの実施形態によれば、焼結済み非変換セパレータ材料は、紫外線および/または可視光に対し反射性である。この目的で、焼結済み非変換セパレータ材料はたとえば、放射反射性粒子を含むことができる。放射反射性粒子は、Al2O3, SiO2, TiO2, ZrO2のうちの少なくとも1つによって形成される、または、これらの材料のうちの少なくとも1つを含有する。これらに加え、または択一的に、以下の材料すなわちZnO, BaSO4, MgO, Ta2O5, HfO2, Gd2O3, Nb2O3, Y2O3のうちの1つまたは複数であってもよい。焼結済み非変換セパレータ材料中の放射反射性粒子の濃度を、好ましくは10重量%以上または20重量%以上、とすることができる。放射反射性粒子の濃度を、特にTiO2またはAl2O3を含有する放射反射性粒子の濃度を、たとえば10重量%以上かつ100重量%以下とすることができる。さらに別の好ましい実施形態によれば、焼結済み非変換セパレータ材料は、90重量%以上の濃度のTiO2と、10重量%以下の濃度のAl2O3とを含有する放射反射性粒子を含んでいる。さらに焼結済み非変換セパレータ材料は一般に、焼結助剤を含むことができ、たとえば上述の酸化物好ましくはMgOまたはY2O3といった酸化物を含むことができる。焼結助剤の好ましい濃度は、0.01重量%以上かつ5重量%以下である。
【0027】
放射反射性粒子を好ましくは、焼結済み非変換セパレータ材料内に均一に分布させることができる。
【0028】
焼結済み非変換セパレータ材料を、その反射特性ゆえに見る側に格子が白く見えるように、選定することができる。
【0029】
少なくとも1つの実施形態によれば、焼結済み波長変換材料は、以下の材料すなわちYAG: Ce, LuAG: Ce, LuYAG: Ceのうち1つまたは複数から選択されたドーピングされたセラミック材料を含む。好ましい実施形態によれば、焼結済み波長変換材料としてセラミック材料を使用することができ、たとえば酸化イットリウムアルミニウム(YAG)、酸化ルテチウムアルミニウム(LuAG)、酸化ルテチウムイットリウムアルミニウム(LuYAG)および酸化テルビウムアルミニウム(TAG)などのガーネットとすることができる。さらに別の好ましい実施形態によれば、焼結済み波長変換材料のためのセラミック材料はドーピングされており、たとえば以下の活性剤すなわちセリウム、ユーロピウム、ネオジウム、テルビウム、エルビウム、プラセオジム、サマリウム、マンガン、のうちの1つによってドーピングされている。具体例として考えられるドーピングされた焼結済みセラミック波長変換材料として、YAG: Ce, LuAG: Ce and LuYAG: Ceを挙げておく。ドーピングされたセラミック材料を、好ましくは0.1%以上かつ4%以下のCeの含有率とすることができる。
【0030】
少なくとも1つの実施形態によれば、焼結済み波長変換材料は、グループすなわち(AE)SiON, (AE)SiAlON, (AE)AlSiN3, (AE)2Si5N8ただしAEはアルカリ土類金属、または硫化物またはオルトケイ酸塩、から選択された1つまたは複数の材料を含む。
【0031】
焼結済み波長変換材料は、ここで挙げた光変換材料のいずれかを含むことができる、または、ここで挙げた光変換材料のいずれかから成るようにすることができる。
【0032】
少なくとも1つの実施形態によれば、焼結済み波長変換材料は、マトリックス材料中に分散された波長変換物質を含む。さらに焼結済み波長変換材料について同様に考えられるのは、波長変換物質をたとえば粉体としてマトリックス材料中に含めることである。
【0033】
少なくとも1つの実施形態によれば、直接的にパターニングするステップは以下のステップを含む。すなわちこのステップによれば、波長変換材料を選択的に除去することによって、波長変換材料内に格子状パターンでチャネルを形成し、チャネルを少なくとも一部の個所で、波長変換材料中を完全に貫通して延在させ、波長変換材料が少なくとも部分的に存在しない領域を形成する。選択的な除去を、スライシング、スタンピング成形、および/またはエンボス加工によって達成することができる。チャネルを、焼結済み波長変換材料中を完全に貫通して延在させることができ、この場合、焼結済み波長変換材料を支持シートによって支持することができる。
【0034】
少なくとも1つの実施形態によれば、直接的なパターニングを、さらに付加的にチャネルが少なくとも部分的に支持シート中も通って延在するように実施する。この場合にはたとえば選択的な除去を、スライシング、スタンピング成形および/またはエンボス加工によって、支持シート材料も部分的に除去されるように、実施することができる。その後、非変換セパレータ材料から成るスラリーによって、チャネルを充填することができる。焼結後、波長変換素子は特に、既述の態様で焼結済み波長変換材料と焼結済み非変換セパレータ材料とを含む。さらに支持シートを、焼結されたまたは相応に製造された波長変換素子から剥離または除去することができ、その際、焼結済み非変換セパレータ材料は、焼結済み波長変換材料の上を垂直方向で覆っている。
【0035】
少なくとも1つの実施形態によれば、間接的なパターニングは以下のステップを含む。すなわちこのステップによれば、支持シートの上面に除去可能なアイランド領域を設け、それらの除去可能なアイランド領域を互いにスペースをおいて配置し、波長変換材料を少なくとも一部の個所で、それらの除去可能なアイランド領域の間に充填し、アイランド領域を支持シートの上面から除去して、波長変換材料にチャネルを形成する。たとえばアイランド領域は、光リソグラフィまたは紫外線リソグラフィとしても知られているフォトリソグラフィのようなパターニングプロセスによって形成される。この場合、支持シート上面上の除去可能なアイランド領域の材料から成る層に、フォトマスクから幾何学的パターンを転写するために、光が用いられる。たとえば、除去可能なアイランド領域は格子状パターンを有しており、その際、アイランド領域各々の間に除去可能な材料の存在しない領域が配置されている。これらの領域を、未焼結の波長変換材料から成るスラリーまたはペーストにより、キャスティング法を利用して充填することができる。
【0036】
未焼結の波長変換材料はたとえば、除去可能なアイランド領域と共通の平坦面を成すことができる。未焼結の波長変換材料を乾燥させた後、アイランド領域を化学的手段によって除去することができる。このためにはたとえば、液体いわゆる「レジスト剥離液」を必要とする場合もあり、この液体は、たとえばアイランド領域がもはや支持シートおよび/または波長変換材料に粘着しないように、それらのアイランド領域を化学的に変化させる。別の選択肢として、アイランド領域を酸化させる酸素含有プラズマによって、アイランド領域を除去してもよい。このプロセスはアッシングと呼ばれ、ドライエッチングと類似している。この場合、波長変換材料中にチャネルが形成され、その後、それらのチャネルを、非変換セパレータ材料から成るスラリーまたはペーストによって充填することができる。
【0037】
間接的なパターニングに関してさらに考えられるのは、既述の除去可能な領域を用いて非変換セパレータ材料を最初にパターニングし、次に波長変換材料から成るスラリーまたはペーストで格子のセルを充填することである。たとえば既述のチャネルとセルとは互いに交換可能であり、つまり波長変換材料をストラクチャリングして非変換セパレータ材料のための既述の方法を適用することと、非変換セパレータ材料をストラクチャリングして波長変換材料のための既述の方法を適用することとは、互いに交換可能である。換言すれば、既述の方法を逆にしても同様に処理することができる。
【0038】
さらに別の実施形態によれば、波長変換材料から成るスラリーまたはペーストを、波長変換材料がもっぱら共通の平坦面を成すように、支持シート上面上の除去可能なアイランド領域とオーバラップさせることができる。波長変換材料を乾燥させた後、支持シートを除去することができる。その後、露出した除去可能なアイランド領域を、既述の「レジスト剥離液」によって除去することができ、この液体は、アイランド領域が乾燥された波長変換材料にもはや粘着しないように、それらのアイランド領域を化学的に変化させる。このようにして形成されたチャネルを、非変換セパレータ材料から成るスラリーによって充填することができる。波長変換材料と非変換セパレータ材料とを含む共通の平坦面を、波長変換素子の放射出射エリアと呼ぶことができ、この放射出射エリアを、波長変換材料の直接的または間接的なパターニングに基づくものとすることができる。
【0039】
少なくとも1つの実施形態によれば、除去可能なアイランド領域はフォトレジストを含み、またはフォトレジストから成るものとすることができる。フォトレジストは、フォトリソグラフィのような既述のパターニングプロセスのために特に有利な光感応性材料である。たとえばフォトレジストは、以下の材料のうちの1つを含む、または以下の材料のうちの1つから成る:ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(メチルグルタルイミド)(PMGI)、フェノールホルムアルデヒド樹脂(DNQ/Novolac)、またはSU-8。
【0040】
少なくとも1つの実施形態によれば、支持シートは非ドーピングセラミックシートを含んでいる。非ドーピングセラミックシートは非変換セラミック材料を含み、好ましくは非変換セラミック材料から成る。さらに詳しくは非ドーピングセラミックシートは、酸化イットリウムアルミニウム(YAG)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化チタン(TiO2)および窒化アルミニウム(AlN)から選択された1つまたは複数の非ドーピングセラミック材料を含むことができる、あるいは、それらの材料から選択された1つまたは複数の非ドーピングセラミック材料から成るものとすることができる。たとえば支持シートを、波長変換素子の一部分とすることができる。
【0041】
少なくとも1つの実施形態によれば、波長変換素子を焼結前に予備焼結する。具体的には予備焼結プロセス中、波長変換材料中および非変換セパレータ材料中の結合剤が除去される。
【0042】
さらに別の実施形態によれば、発光半導体コンポーネントは、動作中に光出射面を介して発光方向に沿って1次放射を送出する発光半導体チップと、既述の波長変換素子とを含み、波長変換素子は、発光半導体チップの光出射面の上に配置されている。さらに具体的には半導体チップを、ピクセル型発光半導体チップとすることができる。発光半導体チップは、1次放射たとえば青色光および/または紫外線光を、光出射面を介して発光方向に沿って送出することができ、この発光方向は、波長変換素子または発光半導体コンポーネントの主延在面に対し斜めに延在している。波長変換素子は、発光半導体チップの光出射面の上に、たとえば接着剤で固定されている。
【0043】
図面を参照しながら以下で説明する実施形態によって、さらに別の利点、有利な実施形態および発展形態を明確に理解できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1A】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図1B】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図1C】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図1D】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図1E】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図1F図1A図1Eによる波長変換素子を含む発光半導体コンポーネントの側面を概略的に示す図
図2A】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図2B】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図2C】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図2D】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図2E】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図2F図2A図2Eによる波長変換素子を含む発光半導体コンポーネントの側面を概略的に示す図
図3A】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図3B】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図3C】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図3D】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図3E】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図3F】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図3G】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図3H図3A図3Gによる波長変換素子を含む発光半導体コンポーネントの側面を概略的に示す図
図4A】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図4B】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図4C】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図4D】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図4E】1つの実施例による波長変換素子の製造方法に関して、この方法のステップを概略的に示す図
図4F図4A図4Eによる波長変換素子を含む発光半導体コンポーネントの側面を概略的に示す図
【0045】
実施例および図面において、同じ要素または同じ種類の要素または同じように動作する要素には、それぞれ同じ参照符号が付されている場合もある。また、図示されている要素およびそれら相互間のサイズの関係は、縮尺どおりとみなされるべきものではなく、むしろたとえば層、コンポーネント部品、コンポーネントおよび領域といった個々の要素は、図示しやすくするため、および/または理解しやすくするため、誇張されたサイズで描かれている場合もある。
【0046】
図1A図1Eには、1つの実施例に従って波長変換素子1を製造するための方法の各ステップが示されている。
【0047】
図1Aに示されているように、この方法の第1のステップにおいて、上面11および上面11とは反対側に位置する底面12を備えた支持シート10が準備される。上面11と底面12は、共通の側面13によって互いに接続されており、この場合、側面13は、波長変換素子の1の主延在方向または主延在面に対し垂直に延在している。波長変換材料20は、支持シート10の上面11の上に配置されている。波長変換材料20の端面は、支持シートの側面13と同一平面上にある。この方法のこのステップにおいて、波長変換材料20をスラリーまたはペーストとすることができ、波長変換材料20を支持シート10の上面11に設けるためにキャスティング法を利用することができる。
【0048】
さらに図1Bによるこの方法の次のステップにおいて、波長変換材料20を選択的に除去することにより、波長変換材料20内に格子状のパターンでチャネル2が形成されるように、波長変換材料20が直接的にパターニングされる(図1Cも参照)。この場合、波長変換材料を特に直接的な手法でパターニングできるように、波長変換材料20のスラリーまたはペーストを乾燥させることができる。チャネル2は、波長変換素子1の主延在方向に対し垂直な方向で、波長変換材料20中を完全に貫通して延在している。
【0049】
図1Bに示されているように、波長変換材料20を選択的に除去した後、互いにスペースをおいて配置された波長変換材料20を含む領域が形成される。波長変換材料20間のスペースまたはチャネルには、波長変換材料20は存在しない。特にチャネル2は、水平方向では波長変換材料20によって区切られており、垂直方向では支持層10によって区切られている。ここで水平方向は、波長変換素子の主延在面に対し平行に延在し、垂直方向は、水平方向に対し垂直にまたは斜めに延在している。
【0050】
図1Bに加え図1Cには、波長変換素子1の上面図が示されており、ここでは波長変換材料20内にチャネル2によって形成された格子3が示されている。この場合、水平方向ではチャネル2が波長変換材料20によって区切られており、垂直方向では波長変換材料20が支持シート10によって区切られている。図1Cにはさらに、波長変換材料20を含むセル18が示されており、これは長方形または正方形のような形状で形成されている。
【0051】
図1Dに示されているように、この方法のさらに次のステップにおいて、非変換セパレータ材料30から成るスラリーまたはペーストによって、チャネル2または格子3がそれぞれ充填される。図1Dに示されているように、波長変換材料20と非変換セパレータ材料30とによって、1つの共通の平坦面8が形成され、この平坦面を特に波長変換素子1の放射出射領域として用いることができる。非変換セパレータ材料30の端面は、波長変換材料20の端面と垂直方向で同一平面上にある。
【0052】
ついで、図1Dに示されているような波長変換素子1を焼結することができる。焼結プロセスを通して、波長変換素子は要求される密度まで焼結される。さらにその際、波長変換素子1を予備焼結して、結合剤を除去することができる。支持シート10は、非ドーピングセラミックシートを含むことができる、または、非ドーピングセラミックシートから成るようにすることができる。たとえば図1Dに示されているような波長変換素子を、いわゆるグリーンボディとすることができる。予備焼結プロセスまたは焼結プロセスを経た後、支持シート10が非ドーピングセラミックシートを含むかまたは非ドーピングセラミックシートから成る場合には、支持シート10を波長変換素子1の一部分とすることができ、波長変換素子1から取り除かれない。さらに支持シート10は、ポリマー材料またはセラミック材料および/またはガラスを含むことができる、あるいは、ポリマー材料またはセラミック材料および/またはガラスから成るようにすることができる。
【0053】
図1Eに示されているように、この方法のさらに次のステップにおいて、この時点では焼結済み波長変換材料と焼結済み非変換セパレータ材料とを有する波長変換素子1から、支持シート10が除去または分離される。このようにして得られた波長変換素子1を自立型とすることができ、いかなる支持部品も必要とされない。
【0054】
図1Fには、発光半導体コンポーネント100が示されており、これによれば波長変換素子1が発光半導体チップ9の光出射面15に接着されている。この図に示されている発光半導体チップ9を、ピクセル型発光半導体チップとすることができる。図1Fに示されているように、波長変換素子1と発光半導体チップ9との間に接着層7が配置されている。
【0055】
これらの結果として図1Fには、図1A図1Eに示したこの方法の各ステップに基づく波長変換素子1と、発光半導体チップ9とを含む発光半導体コンポーネント100の概略側面図が示されている。
【0056】
図2A図2Eには、図1A図1Eで説明したような方法の各ステップが概略的に示されている。図2A図2Eに示されている方法の各ステップは、図1A図1Eについて説明したものと同じ方法に基づくが、ただし相違点として、チャネル2はたとえば乾燥された波長変換材料20内に形成され、それらのチャネル2は図2Bに示されているように三角形状に成形される。詳しくは、チャネル2の三角形状を台形状にしてもよい。図1A図1Eに示した方法の各ステップとさらに異なる点は、チャネル2が波長変換素子20中を完全に貫通し、さらに少なくとも部分的に支持シート10内まで延在していることであり、この場合、支持シート10を薄箔および/または薄板とすることができる。その結果、チャネル2または格子3をそれぞれ充填した後、垂直方向では非変換セパレータ材料30が波長変換材料20の上にオーバラップまたは突出している。
【0057】
図2A図2Dに示したような方法に基づく波長変換素子1の焼結によれば、波長変換素子1は予備焼結され、および/または焼結される。予備焼結ステップおよび/または焼結ステップの後、支持シート10を波長変換素子1から除去または分離することができ、波長変換素子1は、たとえばピクセル型の発光半導体チップ9上に接着され、その際、焼結済み波長変換材料20の上を覆っている焼結済み非変換セパレータ材料30の領域が、発光半導体チップ9とは反対側の方向にポジショニングまたは配置されるようにする。
【0058】
図1Fにすでに示したように図2Fの場合も、波長変換素子1と発光半導体チップ9との間に接着層7を配置することができる。その結果として図2Fには、発光半導体コンポーネント100が示されている。したがって図2Fには、波長変換素子1の製造方法の各ステップを描いた図2A図2Eに示したようにして製造された波長変換素子1を含む、発光半導体コンポーネント100の概略側面図が示されている。
【0059】
図3A図3Gには、波長変換材料20の間接的なパターニングを用いて波長変換素子1を製造する方法の各ステップの概略図が示されている。
【0060】
図3Aに示されているように支持シート10が準備され、この場合、支持シート10の上面11にフォトレジスト4が配置される。
【0061】
図3Bには、この方法の次のステップが示されており、このステップによれば、フォトリソグラフィを用いてフォトレジスト4がパターニングまたはストラクチャリングされる。フォトリソグラフィ中に除去可能なアイランド領域5が、支持シート10の上面11に設けられ、またはポジショニングされ、この場合、除去可能なアイランド領域5は互いにスペースをおいて配置される。
【0062】
図3Dには、除去可能なアイランド領域と、除去可能な各アイランド領域5間のスペースとを、上から見た図が示されている。図3Cに示されているように、除去可能な各アイランド領域間にチャネルが形成され、その結果として、図3Cに示されているように格子3が形成される。
【0063】
図3Dによれば、非変換セパレータ材料30が除去可能なアイランド領域5と共に、支持シート10とは反対側に位置する共通の平坦面8を形成するように、除去可能な各アイランド領域の間に非変換セパレータ材料30が充填される。
【0064】
図3Eに示されているように、この方法のさらに次のステップにおいて、除去可能なアイランド領域が支持シート10の上面11から取り除かれる。さらにこれによってチャネル2が形成される。これらのチャネル2は非変換セパレータ材料30の間に形成され、そこには非変換セパレータ材料30は存在しない。したがって図3Eに示されているように各チャネルは、水平方向では非変換セパレータ材料30によって区切られ、垂直方向では支持シート10によって区切られる。
【0065】
図3Fに示されているように、この方法のさらに次のステップにおいて、波長変換材料20のスラリーまたはペーストがチャネル2に充填される。予備焼結および/または焼結を経て、非変換セパレータ材料30の間接的なパターニング方法に基づき波長変換素子1が形成され、この時点では自立型となっている波長変換素子1から、支持シート10が分離または除去される。
【0066】
ここで図示した方法の各ステップ3A〜3Fに関して同様に考えられるのは、波長変換材料20をアイランド領域5によって最初にパターニングし、その結果として得られたチャネルを非変換セパレータ材料30によって充填することである。つまり図3A図3Fに示した方法の各ステップは、波長変換材料20と非変換セパレータ材料30とを逆にしても同様に処理される。
【0067】
図3Hには、発光半導体コンポーネント100のさらに別の実施形態の概略側面図が示されている。図3A図3Gに示した方法の各ステップに基づく波長変換素子1が、発光半導体チップ9の光出射面15の上に配置されており、この場合、波長変換素子1と発光半導体チップ9との間に接着層7が配置されている。
【0068】
図4A図4Eに示されている方法も、図3A図3Fで示したような間接的なパターニング方法に基づく。
【0069】
図4Aには支持シート10が示されており、支持シート10の上面11の上に、除去可能なアイランド領域5が互いにスペースをおいて配置されている。この場合、除去可能なアイランド領域5は球状である。図3A図3Gに示した方法の各ステップとは異なり、波長変換材料20が除去可能なアイランド領域5の上にオーバラップしており、これらのアイランド領域5はフォトレジスト4を含むことができる、または、フォトレジスト4から成るようにすることができる。波長変換材料20は、この材料自体で平坦面8が形成されるように、除去可能なアイランド領域の範囲を超えて設けられ、波長変換材料20から成る平坦面8は、非変換セパレータ材料30によっても途切れない。ついで波長変換材料20を乾燥させることができ、それに応じて支持シートも除去可能なアイランド領域5も取り除くことができる。除去可能なアイランド領域5を取り除くことによって、波長変換材料20内にチャネル2が形成され、ついでこのチャネル2を非変換セパレータ材料30によって充填することができる。図4C図4Dに示されているように、波長変換素子1を裏返すことによって、これを実施することができる。図4Eには、波長変換素子1を上から見た図が示されており、これによれば、波長変換材料20が非変換セパレータ材料30によって完全に囲まれている。
【0070】
図4Fには、図4A図4Eに示した方法の各ステップに基づく波長変換素子1を含む発光半導体コンポーネント100の概略側面図が示されている。これによれば、このようにして製造された波長変換素子1が、発光半導体チップ9の光出射面15上に接着層7を用いて接着される。
【0071】
本発明は、実施例に基づくこれまでの説明によって、それらの実施例に限定されるものではない。しかも本発明は、あらゆる新規の特徴を包含し、さらにそれらの特徴の組み合わせをも包含するものであり、特にそれには特許請求の範囲に記載した特徴の任意の組み合わせが含まれるが、このような特徴またはこのような組み合わせそのものが、特許請求の範囲または実施例に明示的に特定されていないにしても、このことは当てはまる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F